窓辺に置いたイスにもたれ、ジュンはぼんやりと夕陽を見ていた。
私には、そんなジュンが『別れの気配』というものを横顔に漂わせているのがわかった。
『愛してるよ水銀燈』
『うふふっ。ありがとぉね。私も愛してるわよぉ』
『私の側からいなくなったりしないでねぇ。ずっと一緒にいましょうねぇ』
『ああ、約束する』
『ぜったいよぉ』
『ああ、ぜったいに。だ』
過ぎ去った日々をさ迷う二人の言葉。
いまの二人の言葉というものは…
「…別れよう…」
「…どうしても…別れなきゃだめ…?」
「水銀燈の為でもあるんだ…」
「どうしてよぉ……ずっと…一緒に……いてくれるって…」
「………すまない…」
…現実の非情さが身にしみた。
ふと、振り向いたらドアの隙間から宵闇が忍び込んできた。
一体どんな運命が私達の間から『愛』を遠ざけてしまったのだろうか?
…もう…輝きは戻りはしない…。
たとえ…私が今死んでしまっても…。
ジュンは部屋を出ていった。
「じゃあ…な…」と、一言残して。
すっかり闇に包まれた部屋の中、ランプを灯せば窓に映る街は沈み、そこには代わりにこの部屋が映る。
私は冷たい壁に耳を当てて、もうこの部屋に戻ることのない人の靴音を聞いていた。
どんな運命が、二人の『愛』を遠ざけてしまったのだろう?
ジュンと過ごした日々の輝きは、もう戻らない…。
「わたしが…今死んでもぉ…」
薄紅色の瞳から、涙が流れ出した。
とめどなく…。
Fin
二月二十五日晴れ。
それは放課後のことでした。
突然、水銀燈ハ一人何処かへ行ってしまったのです。
気になったので追ってみたのですぅ。すると教会に入ったではないですか。私は気付かれないよう入ってみたですぅ‥‥
水銀燈は、制服を脱いでドレスを躯に纏い、曲をかけて踊り始めました。
曲はマリスなんちゃらのヴェルなんたらとかいうよくわからんやつですぅ。水銀燈が独り言で言ってたですぅ。
水銀燈の踊りは同性から見ても美しく、しなやかで、儚く、それでいて魅力的でした。
口は蠱惑的にひらき、目には憂いを帯び、手は何かを掴むかのように前に差し出されていたですぅ。
曲が終わり、水銀燈はドレスをはためかせながらうっすらと上気していたです。
そんな姿を見ていたら私、ぐっと来てしまったものですからつい‥‥にゃんにゃんしちゃったですぅ。
反省しなきゃですぅ‥‥
コトが終わった後は大変でした。二人とも服は乱れに乱れ、濡れに濡れていたのでかなり焦ったですぅ。
でもこれで水銀燈は私の虜なのです。いい気分ですぅ。
「と。以上で今日の日記は終わりですぅ。なかなか日記帳に書くには大変な一日でした。」
世界は廻り、人は生きる、その一瞬の思い出のために。
ある日の夕暮れ、水銀燈の家のポストに一つの手紙が投函されていた。
手紙なんて珍しい、そう思い手紙の宛名を見て水銀燈は驚愕する。
水「この名字って…」
その名は水銀燈にとって見覚えがありとても懐かしいものだった。
水「どうして今頃こんな手紙出すのよ……めぐ…っ」
震える手で手紙を持って自分の部屋へと戻る。
おぼつかない手で封筒を切り手紙を広げる。
めぐからの手紙…。
水銀燈の胸は言い知れぬ期待と不安で一杯になり心臓を握られているかのようだった。
呼吸も苦しく肺に鉛が落ちたかのように思える。
読むのが躊躇われた、この手紙には何か、何か今の生活を崩すそんな力を感じる。
水「それでも…読まなきゃ…」
水銀燈へ
お元気ですか、私は相変わらず病弱なままです。
今更こんな手紙を出されても迷惑なのはわかってます。
でも私は貴女に謝らなくちゃならない。
あの日、貴女に何も言わずに引っ越してしまったことあれは貴女にとっては裏切りに思えたでしょう。
傍目から見ても裏切りには違いありません、でもあれは仕方なかったんです。
引っ越す前のある日から私の体は急速に衰退してもう学校へ行くことも叶わなくなりました。
私は悲しかった、でも、悲しい以上のことに貴女のことで頭が一杯になってました。
貴女は普段は強がって意地を張ってるけど本当は凄く優しく友達想いだわ。
皆は病弱な私を置いて行くけど貴女だけは違った、こんな私でも本当によく一緒に遊んでくれた。
私はそれだけで満たされていたけれど、その代わり貴女は他の子ともロクに遊べなかった。
何時しか貴女は私と同じで孤立してしまっていた。私はそれが後ろめたかった。
満たされた気持の中で時折、冷水を浴びせられたように一抹の不安を感じた。
その時、私はもう学校へも行けない体になってしまった。
私は怖かった、貴女のことだからきっと今まで以上に私と一緒に居ようとする。
そして貴女自身は今まで築き上げた自分の居場所を一層犠牲にすることになってしまうのではないか?
私にはそれが堪えられなかった、水銀燈が私と同じ孤独を味わうことが。
それで私は逃げるように貴女の許を去った。
ごめんなさい、それで貴女の心が傷つかないと思った訳ではなかった。
それでも、きっと貴女にはその傷を癒してくれる新しい人が現れる。
そうやって自分を納得させるしかなかった。
本当にごめんなさい、結局これは全部私のエゴ、偽善、自己満足です。
私はもうそんなに長くないと医師に宣告されました。最期に貴女に謝罪をしたくてこの手紙を書きました。
最期まで自分勝手でごめんなさい、そしてありがとう。貴女のことは死んでも忘れません。
さようなら たった一人の親友へ、めぐより
水銀燈の目には涙が溢れていた。めぐが自分を想ってくれていたこと、そしてめぐがもう長くないこと。
嬉しさと悲しさ、一度に多くの感情が水銀燈の心の中で渦巻き、坩堝となる。
水「めぐったら…本当にお馬鹿さぁん……っ
こんな、こんな…こと…なんであの時言ってくれなかったのよぉ…っ」
水銀燈は先刻切った封筒を見る、幸い住所は書かれていた。
しかし其処は非常に遠く一日でましてや軽い気持で行けるようなところではなかった。
めぐに会いたい、想いは募り沈殿して行き思考は廻る。
水「めぐ…貴女を孤独(ひとり)では逝かせない…」
水銀燈の目には迷いはなく、強い決意があった。
風が吹き、日は沈み行き、時は流れ、人の想いは巡る…。
今日も薔薇水晶は水銀燈の家へ泊まりに来た。
そして夜、最近では毎日のようになっている交わりへと入る。
薔薇「銀姉さま……っ」
自らの唇を舌で湿らせ水銀燈の唇を薔薇水晶は啄ばむ。
幾度となく繰り返しながら二人は飽くことなくしてはその甘美さに理性が麻痺する。
水「今日は一段と甘え上手なのねぇ…」
水銀燈も薔薇水晶の首筋へと頭を近付け愛撫する。
生暖かい舌の感触に薔薇水晶は思わず声を漏らし水銀燈の肩を強く抱く。
薔薇「銀姉さまぁ………んぅ…っ…はぁ…はぁ…」
水「あらあらぁ…貴女ひょっとしてもう濡れてるんじゃないのぉ…」
何時しか水銀燈の手は薔薇水晶の下腹部より下を弄(まさぐ)っている。
見ないでぇ…と言って薔薇水晶は紅潮した顔を背ける。
水銀燈もわざと薔薇水晶の弱点を突かずにじわじわと弱点の周りを指で優しく愛撫する。
水「ふぅ~ん……じゃあ止めちゃってもいいのかしらぁ…?」
今まで散々弄んでいた指を止める。
薔薇「あ…駄目…っ…焦らしちゃ…嫌ぁ…(///)」
顔も体も真っ赤にしながら薔薇水晶は水銀燈の手を取り自らの下腹部に当てる。
水「うふふ…じゃあ言ってごらんなさぁい…自分をどうして欲しいのか。」
薔薇「あ……ぅ…(///)」
水銀燈は意地悪く哂い、薔薇水晶を試す。
薔薇「わ、私のこと……滅茶苦茶に壊して…銀姉さまの好きなだけ…(///)」
水「うふふ、よぉ~く出来ました、お馬鹿さぁん…」
先ほどの意地の悪い哂いではなく妖艶に美しくワラう。
そのワラいには一抹の美しさもあった。
交わりも終わり二人は肌と肌で抱き合い、お互いの温もりを感じ合っていた。
薔薇水晶は相変わらず水銀燈の豊かな果実に顔を埋めている。
水「ねぇ…薔薇水晶。」
薔薇「…何…銀姉さま…」
水「あのね…少し前にめぐから手紙が来たの。」
薔薇「うん…」
水「それでね…私…めぐの所に行こうと思うの。」
薔薇「え………」
水「もう向こうで住む家も決めたし、三日後には引っ越すわぁ…」
薔薇「いや………」
薔薇水晶は目に涙を浮かべる。
水「薔薇水晶…」
薔薇「いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ!!
離れたくない!変わりたくない!!姉さまが…ずっと一緒に居てって…言ってくれたのに…どうして!?」
涙が溢れ、一層水銀燈を強く抱きしめる。
この温もりを、想いを、自己証明を手放すまいと。
水「お願い、わかって薔薇水晶…私には貴女が居てくれた、けれどめぐには誰も居なかったわ。
めぐは今、自分自身に救われないまま命を散らそうとしてるの。私にはそんなことできない。
友達と言ってくれためぐを、孤独と絶望のなか死なすことしたくないの!!」
水銀燈は薔薇水晶の肩を掴み、自分から引き剥がす。
初めてのあからさまな拒絶に、薔薇水晶は我を忘れてしまった。
薔薇「わからない!わかりたくない!!銀姉さまのことなんて、わかりたくもない!!」
水「薔薇水晶!!」
薔薇水晶は自分の服を掴み、水銀燈の家を出て行った。
水「めぐも…同じ気持だったのかしら…私も…お馬鹿さん…」
本当は傷つけたくなかった。なのにどうしてこうなってしまうのだろう。
自嘲の笑いと共に水銀燈は声を押し殺して布団の中で泣いた。
兎「お嬢様、出会いがあれば別れがあるのは物事の道理、逆を言えば別れなくして出会いは有り得ないのです。」
薔薇「……でも…」
兎「お嬢様の言いたいこともわかります。変わりたくない、けれども自分を嘲笑うように世界は廻る。
世界は変わり、何時しか自分も変わってしまう。それでもね、変わらないものというのはあるものなのです。」
薔薇「………変わらないもの…?」
兎「『想い』ですよ、『想い』。お嬢様の水銀燈様への『想い』です。」
薔薇「水銀燈への…『想い』…。」
兎「そう、お嬢様の水銀燈様への愛は今でも変わっておられない。だからこそ此処で悩んでるのです。」
薔薇「私は…私は……っ」
時計を見る、もう学校も終わりそろそろ水銀燈が電車に乗る頃だ。
薔薇水晶にもう迷いはなかった。上着を羽織り、屋敷を飛び出す。外には既にラプラスの魔が車の用意をしていた。
薔薇(私は……水銀燈が何処へ行っても水銀燈が………)
『大好き』
駅ではプラットホームにいつもの面々がいた。
真紅、蒼星石、翠星石、雛苺、金糸雀、ジュン、更にベジータまで。
雛苺「水銀燈ぉ…居なくなっちゃうなんて寂しいの…っ」
金糸雀「雛苺ったらお子様かしら、な、泣いてしまうなんてぇ…っ」
雛苺「か、金糸雀だって泣いてるのっ!」
蒼「元気で、絶対に手紙書くからね。」
翠「こ、これ持って行きやがれです!翠星石と蒼星石が今日のために作ってやったクッキーですぅ…。」
真紅「残念ね…貴女がいないと、私もなんだか張り合いがなくなるのだわ…。」
いつも喧嘩ばかりしていた真紅と翠星石ですら来てくれた。翠星石なんて泣いてすらいる。
水銀燈の心はそれで大分満たされていた。でも…
水(あの子は…やっぱり来てくれないのね…)
考えに沈んでいると顔に何か冷たいものが当てられ驚く。
ジュン「何考え込んでるんだよ。これ、ヤクルトだけど。」
水「あら、ジュンも気が利くわねぇ。」
べ「俺からは…」
水「ありがとうねぇ、皆。」
べ「orz」
水「もう、冗談よぉ。それでなぁに?ベジータ。」
べ「お、おう、その…めぐさんって人にこのお守りをって思ってな。」
翠「べ、ベジータの癖に妙に気が利くです…。」
水「ふふ、ありがとうベジータ。」
丁度、電車がプラットホームに到着した。
電車の扉が開かれ、水銀燈は扉の前にいる。
水(結局…薔薇水晶は来てくれなかったわねぇ…ふふ…めぐに言われた通りだわぁ…)
知らず知らずのうちに目頭が熱くなる。
無情にも扉は閉まり、水銀燈と真紅達の空間は隔離される。
真紅達が何かを言っている。だがプラットホームのベルの音で何も聞こえない。
口の動きで理解しようと真紅達を見ると雛苺と金糸雀が何処かを指差していた。
指し示された方向を見ると、其処には一番此処に居て欲しかった人がいた。
水「薔薇水晶!!」
薔薇水晶が走って来る。走りながら、必死に何かを言っている。
だが電車はゆっくり進み出し、水銀燈は止まったままで皆から離れていく。
進みだしてからやっと薔薇水晶は近くまで来て、何かを言う。
涙を流しながら走り、何かを言う薔薇水晶に水銀燈も止まったまま涙を目に溜めながら彼女に応える。
やがて電車が二人を引き裂き、二人は離れ離れになる。
水銀燈は扉にもたれ掛かる姿で泣き崩れた。
先刻の薔薇水晶の言葉を思い出す、声は聞けねども、水銀燈には分っていた。
『水銀燈、大好き』
水「私もよぉ…薔薇水晶…っ…私も…貴女がぁ…大好きぃ……っ」
世界は廻り、変化する。変わらないことを望む人を嘲笑うように。
だけど、本当は明日を生きて欲しいから背中を押すだけ。
変わらない『想い』があれば、誰でも明日を生きて行けるから。
兎「別れが永久になるか、一時になるか、それはお二人しだい…。」
TheEND
僕の彼女は病気だった…
「余命」もあと僅からしい…
あの子は何も悪くないのに…
君は僕に言った
銀「私ね…寝る時になるといつも足音が聞こえるの」
J「何の足音だい?」
彼女は少し考えてこう言った
銀「たぶん…死神さんの足音」
銀「でもね…その足音を聞くと家族の顔と貴方の顔を思い浮かぶの!」
J「そうか…でも君はきっと治るさ!」
銀「ありがとう…じゃあ私は病室に戻るね」
そうして彼女は病室に帰った
僕は残されたシーソーに座っていた…
帰ろうとした時に、彼女な病室の電気がついた
彼女は窓から少し身をのり出し、僕に向かって言った。
銀「JUN!また明日ね!必ず来てね!」
J「もちろん来るさ!また明日な!」
そうして僕は彼女に手を振り、病院を後にした…
これが彼女との最後の会話だった…
僕は彼女に会えなかった
僕は泣き崩れた
J「なんでだよ!なんで死んだんだよ!昨日まであんなに元気だったじゃないか!」
彼は叫んだ
彼女の最後に向かい合えなかった悲しさで…
少し落ち着いて彼女の親から聞かされた…
彼女は苦しまず安らかに眠ったと…
僕は家に帰り
また泣いた…
涙が枯れるまで泣いた
そして、泣き疲れて眠った…
そしたら君は夢の中に会いに来てくれた
そして彼女は笑顔で別れを告げ、手を振った
僕は泣きながら、笑顔で彼女に手を振った…
END
【今宵月が照らす部屋で】
深夜、月光が射す部屋のベッドの上で水銀燈は月を眺めて物思いにふけっていた。
傍らには愛してやまない少年が穏やかな寝顔を無防備にさらしている。
満月から少し欠けた月
その月から視線を外して部屋の隅に置いてある姿見に視線を移す。
そこには、銀色の髪に月の光を反射させた自分の姿が移っている。
銀「はぁ~」
小さくため息をついて悩みの種である少年の寝顔を見る。
桜田ジュン
すこし冴えないクラスメートの一人にして彼女の恋人
ジュンと付き合いだしたのは今から2ヶ月ほど前、ジュンが彼女に告白してきたのだ。
彼と出会ったのは中学に入学したとき、たまたま同じクラスになり席が隣り合ったのがその始まりだった。
取り立てて取り柄のない彼のどこに引かれたのかと問われても明確に答えることは出来ない。
ただ、優しくて少々ぶっきらぼうで照れ屋のジュンと一緒にいるうちに水銀燈は彼に引かれていったのだ。
親愛から友愛へそしてそれが情愛に変わるまでの時間はさして長くなかった。
だからこそ、水銀燈はジュンから告白されたときは本当に嬉しかった。
水銀燈はもう一度月を見上げてから、ゆっくりと立ち上がり姿見の前に移動する
そして、来ていた衣服を全て脱ぎ捨てると姿見の中に映し出された自分の姿を見つめた。
整った顔立ちに映える長い銀色の髪、真っ白な肌、
雛苺には負けるものの彼女の年齢の平均に以上に豊かなバスト、くびれたウエスト、すらりと伸びた長い脚
その整った容姿は学校の男子生徒の憧れの的だった。
しかし、水銀燈はその自分の身体があまり好きではなかった。
彼女の腹部にある大きな傷跡、幼い頃にあった自動車事故で負ったものでその醜い傷跡が水銀燈は大嫌いだった。
酷い事故で一命を取り留めたのは奇跡だと医師は言っていた。
しかし、そんなことは何の慰めにもならない、身体に残る傷跡は生涯消えることはないのだから
無論、水銀燈とて最初からその傷跡を気にしていたわけではない。
だが、成長するにつれ周りの女子と比べたときそれは大きな染みとなって彼女の心に広がっていった。
そしてその思いはジュンを愛するようになってよりいっそう広がっていった。
こんな身体をしている自分を愛してくれるのだろうか、この醜い身体みて嫌われはしないか
水銀燈の心は常にその不安でいっぱいだった。
最初にジュンと肌を合わせたとき傷のことは包み隠さずジュンに教えた。
水銀燈の話を聞いた彼が目を見開いて驚いていたのを思い出す。
その時彼女は不安で仕方なかったジュンに嫌われはしないかと
しかし、それは杞憂に終わった。彼はそこに優しくキスをすると笑って「気持ちは変わらない」と言ったのだ。
水銀燈はそっとその傷跡を撫で上げる。
ジュンは水銀燈の全てを愛してくれていた。
その気持ちに偽りは微塵もないだろう
だが、それでも水銀燈は自分の身体が、醜い傷跡が嫌いだった。
彼女はそっと振り返ると寝ているジュンの顔を覗き込み囁く
銀「ねぇジュン、私のこと本当に好き?こんな醜い身体をしている私なんかが好き」
ジュンは寝ているので答えはない。
銀「私はあなたのことが好き、他の誰よりも大好きよぉ」
彼の頬を優しく撫でる。
するとジュンは突然目を開き水銀燈を抱き寄せた。
銀「・・・・きゃ!?」
J「たく、何度言えばわかるんだよ」
ジュンは苦笑しながら水銀燈に言った。
J「僕が水銀燈を好きな気持ちはどんなことがあたってかわらないよ」
銀「本当ぉ?」
水銀燈はそっとジュン瞳を覗き込む
J「ああ、むしろ僕がお前に愛想つかされて捨てられないかのほうが心配だよ」
その言葉に水銀燈は安心する。
そして、この人を愛してよかったと心底思った。
銀「うふふ、安心してジュンそんなことありえないからぁ」
そう言って水銀燈はジュンの胸に顔を埋めた。
やはりこの身体は好きになれない、でもいつかきっと好きになれる日が来るだろう、彼と一緒なら
そう思いながらジュンの腕の中で水銀燈は眠りについた。
FIN
バレンタインの登校
めぐ「・・・何かしら?下駄箱に物を入れるなんてシュールよね・・・まあチョコレートだわ、私って男と思われていたのかしらね?水銀燈?」
水銀燈「な、何がよ。」
めぐ「朝早くに学校来て私の下駄箱にチョコレート入れた人、ご存知ない?」
水銀燈「無いわね。そんなイカレたおばかさん見たこと無いわ」
めぐ「あら・・・・黒い羽・・・・」
水銀燈「えっ うそ!」
めぐ「うそよ。・・・・うふふ。おばかさんは案外近くに居たのね」
水銀燈「あなたってほんとぉに性格悪いわね。」
めぐ「ええ、そうよ。だから水銀燈以外に好きな人ができないの」
水銀燈「ば・・・・バカじゃない・・・」
END
水『ほら・・ジュンには口移しでのませてア ゲ ル』
J『むむ・・・』
J『や、ヤクルト!?水銀燈!薬とジュースはちゃんぽんしちゃ・・・・うおお・・・は、腹が!』
ジュンは高熱+極度のゲリで衰弱してしまいました
僕らの銀様を独り占めするから天罰がくだったんですね