J「お願いします、一度。一度でいいので、その柔らかそうな唇に接吻をさせてください!」
土下座して頼むジュン。
蒼「ちょ、ちょと。顔上げなよ・・」
困ったように言う蒼星石。
J「お願いします!男、この桜田ジュンは。もう我慢出来ません!征かせてください!」
蒼「も、もう・・少し、だけだからね・・?」
しぶしぶ返事をする蒼星石。
J「しょ、少佐!!」
蒼「わっ!ちょ、んっ・・!やめ・・ぐっ・・!」
口内をジュンの舌舐り回す。
蒼「や、やぁ・・激しい・・ぷはっ・・も、もう、ンッ・・」
頭の芯が真っ白になる蒼星石。
足腰が立たない。
J「んっ・・ぷはっ!」
口を離すジュン。倒れこむ蒼星石。
J「お、俺としたことが!理性のストッパーが・・!」
顔を赤らめ、ひくひく、と痙攣する蒼星石。
J「す、すみませんでしたっ!」
腰を90度に折り謝るジュン。
蒼星石の腕がジュンの首に絡みつく。
J「へっ?」
蒼「もう・・僕も我慢してたのに・・ンっ」
J「んっ!!ぐっ・・ンッンッ!!」
ジュンの唇を貪る蒼星石。
蒼「ぷはっ・・僕をこんな風にした責任、とってよね?」
J「は、はいっ!全身全霊を持ってお受けします!」
蒼「今日は寝かせないからね・・」
床に倒れこむ二人の影
蒼「日曜日の昼間ッから寝ないでよ・・」
『ゆさゆさ、』とベットに横たわるジュン体を揺らす。
蒼「ほら、起きてよー駅前に美味しいパスタのお店が出来たんだよ、行こうよー」
よー、の所で顎をジュンのコメカミにのせる。
J「ん・・ま、まぶしい・・寝かせて・・zzz」
瞼を一瞬空けて光を感じ、直閉じる。
どこの深海魚だ。
蒼「あーこら起きろーくらえ、」
『ころっ、ころころ・・』
閉じた瞼に舌をねじ込み、舌で目を舐る。
J「あっ・・や、やめて・・」
ふるふる、と震えながら懇願する。
蒼「だーめ、起きるまで続けるからねー」
J「そ、そこはっ!・・あっ・くぅ・・」
~15分後~
蒼「ん・・レロ、ぷはっ! ほんと、起きないね・・」
J「蒼星石も一緒に寝ればいいじゃん・・」
腰に手を回し引き込もうとする。
蒼「わっ!こら、やめなさい」
J「いいじゃんいいじゃん」
引き込もうとする力を強める。
蒼「あーもうっ!この、バカジュン!」
『がりっ!』
J「ごばっ!」
耳を噛む。
蒼「起きないと、食いちぎるからね・・」
声がマジだった。
J「わっ、分かりました!では駅前のお店に行きましょう!」
蒼「ん、よろしい♪」
彼女との待ち合わせ場所に急ぐ。
朝日が寝不足の目には辛い。
彼女はまだこない、遅れるのは珍しい。
はっはっはっ・・
息を切らせて走ってきた。
蒼「おはようっ!今日も元気に学校にいこうね」
彼女の笑顔は朝日より眩しかった。
J「おい、起きろよ・・」
朝、しっかり者に見えて実は寝ぼすけな彼女を起こしに来た。
蒼「zzz」
反応がない。
J「朝飯食って学校行かないと遅刻するぞー」
自分もまだ眠い頭を使って呼びかける。
J「眠れる森の姫にはキスだよな・・」
唇が近づく。
ちゅ ぱちっ
唇が重なり合うのと、彼女が目を覚ますのは同時だった。
J「あっ・・」
蒼「な、な、な・・・」
見る見る真っ赤になって行く。
J「おはよう。蒼星石」
蒼「・・・・ばかっ」
照れ隠しにつぶやく。
J「ほら、朝飯食べて学校行こうぜ」
蒼「うんっ!」
蒼「起きて!学校に行くよ!」
蒼「何でって!君が起こしてくれって言ったんだよ!」
蒼「朝食も用意したから一緒に食べよう!」
蒼「和食なんだけど、トーストとかの方が良かったかな?」
蒼「君のそういうところ好きだよ(/////)」
蒼「早く着替えてきてね!」
今何て言ったの?
他の事考えて
僕は君ばかり見ていてた
君を好きになって良いの?
少年のような僕
僕がここにいて良いの?
君の横にいて良いの?女の子になって良いの?
君の心はどこにあるの
聞きたくて聞けないこの気持ち
今聞きたいよ
蒼星石が僕の家に遊びに来た。
蒼「ふ~ん・・・ジュン君はこういう本が好きなんだ」
J「ちょ!やめろよ蒼星石!」
彼女は僕の家に来るなり、いきなり家捜しを初めた。
彼女に僕の秘蔵本を見つけられるのに時間は必要なかった。
蒼「こんな本のどこが面白いんだか・・・」
J「やめろって・・・女の子が見るような本じゃないだろ」
蒼「うるさいなー。ジュン君は大人しくネットでもやってたらいいだろ」
J「・・・ったく!」
蒼星石はさして興味は無さそうに振舞っていたが、エロ本を見つめる視線は真剣そのものだった。
僕はこれ以上何かを言っても無駄だと思い、VIPを適当にひやかす事にした。
カタカタカタ・・・
ペラ・・・
カタカタカタ・・・
ぺら・・・
キーボードを打つ音とページをめくる音だけが二人しかいない室内に静かに響いていた。
時折蒼星石が「うわ・・・」とか「へぇ・・・」と呟くのを聞くたびに、僕はなんだかとてもいけない事をしているような不思議な気分になった。
J「ゴクリ・・・」
そっと飲み込んだはずの唾の音が意外に大きく響いて冷や汗が出た。
蒼「ねぇ、ジュン君?」
J「な、なんだよ?」
蒼「ジュン君って、こういうのが好きなんだ・・・」
J「ま、まぁ・・・僕も男だからな」
蒼「ふ~ん」
J「何だよ?」
蒼「べっつにぃ?――ねぇ、この写真集とかでさ、ショートカットの子が多いのはどうして?」
J「えっ!?――マジ?」
蒼「えって、気付いてなかったの?」
予想もしていなかった蒼星石の質問に僕は思わず絶句してしまった。
蒼「ちょ、ちょっと!黙り込まないでよ!」
J「あ、ああ・・・ごめん」
蒼「ボクに謝られても困るんだけど・・・へ、変な質問したよね。ごめん」
J「い、いや・・・いいんだ」
僕はPCに顔を向けたまませわしなくマウスを動かしていた。
きっと僕は耳まで真っ赤になってたと思う。気付かれてないだろうか・・・。
蒼「ねぇ、ジュン君?」
J「んー?」
蒼「ちょっとこっち見て?」
蒼星石に言われるまま僕は後を振り返った。
彼女は床に四つん這いになり、両腕で胸を強調するようなポーズをとっていた。
見事な雌豹のポーズだ。・・・普通に服を着ていることを除けば。
蒼「・・・・・・」
J「・・・・・・何やってるんだ?」
蒼「い、色っぽくない?」
J「全然。服着てるからワカンネ」
蒼「そ、そうだよね!――何やってるんだろ・・・ボク」
僕は再びPCに向き直り、キーボードを叩き始めた。
何がしたかったんだろうか。
それから度々、蒼星石は僕の名前を呼んでは色々なポーズを試していた。正直微妙だった。
蒼「これは?」
J「いまいち」
蒼「じゃぁ・・・これは?」
J「腕が何かへん」
蒼「――これは?」
J「不自然」
蒼「むー!!だったらジュン君はどんなのがいいのさ!」
J「そんな事言われても、服着たまんまなんて興奮しねーよ」
蒼「ボクに脱げっていうの!?この変態!痴漢!」
J「何でそうなるんだよ!?」
蒼「もういいよ!」
そういって蒼星石は僕のベッドでうつ伏せてしまった。
こうなると蒼星石は厄介だ。
僕は小さくため息をついて再びネットを徘徊する事にした。
ふっ・・・
ゾクゾクと背筋に電流が走った。
耳に息を吹きかけられたのだ。
J「な、何するんだよ!」
蒼「だってぇ・・・ジュン君全然かまってくれないんだも~ん」
蒼星石はそういって僕の首に抱きつく。
J「やめれ!おもい!」
蒼「あー、酷いんだ~。女の子にそういうこと言っちゃいけないんだよ?」
J「ざけんな!普段から男か女かわかんないくせに」
蒼「えっ・・・」
J「あっ・・・わ、わるい」
蒼「・・・・・・ボク、そんなに魅力ないかな?」
J「な、何言ってるんだよ!そ、蒼星石は魅力的だと思うぞ?」
蒼「ホント?」
J「あ、ああ」
蒼「じゃぁ・・・キスして?」
J「な、ななななっ!?」
蒼「・・・なんてね♪やーい、だまされたー!はむはむ」
J「や、やめれ!耳を甘噛むのはやめれ!」
蒼「だめー♪はむはむはむはむ」
~おわり~
校内マラソン大会。
J「ぜひぃ・・ぜひぃ・・帰宅部の、俺には・・げふっ・・つらいぜ・・」
ジュンが8位でゴールした。
この大会は女子5km男子10kmの距離を走るものである。
蒼「あ、お帰り。結構早かったね」
清涼飲料水を飲みながら喋りかけてくる。
J「へっ・・そういう、蒼星石は・・ぜひっ・・女子の部、1位じゃないか・・」
蒼「そりゃ、毎日走ってるし。鍛錬の成果って奴じゃないかな」
J「それも。そうだな・・(俺も頑張ったんだがな」
蒼「まあ、ジュン君が練習しなかったのが悪いよ」
J「いや、でも・・上位7人は空飛んでたり、色々反則・・ぜぇぜぇ・・」
蒼「はいはい、今度から僕と一緒に走る?」
J「げふっ・・そ、それは・・嬉しいな・・ぜひっぜひっ・・」
蒼「もう、息切れすぎ。はい、これどうぞ」
清涼飲料水を差し出す。
J「す、すまないな・・(ごきゅ、ごきゅ)・・っぱぁ、生き返った(´∀`)」
蒼「・・ねぇ」
J「どうした?」
蒼「それ。間接キスだよね・・」
J「ちょちょちょ、そ、それはっ!」
顔が真っ赤になる。
蒼「ふふっ、どうしたの?顔が真っ赤だよ?クスクス」
J「はっ、走った後だから、真っ赤なんだよ(かー遊ばれた」
街角…夕暮れに手をつなぐ二人。
太陽の位置は低く二人の影を長く伸ばした。
「帰ろうか。」
街からの買い物帰り。
―リン―
小さな小さな鈴の音色がどこからか聞こえた
―アカイスズ―
「…おまえもか。」
郵便配達員が手渡したのは
―赤い紙―
集令状とでもいうか。
受け取るジュンの顔は暗い。
「どうしたの?」
家の中にいた蒼星石は心配になり、顔を出した。
「…おまえは…俺がいなくても平気か?」
「…なんで、なんでジュン君まで…っ!」
「俺は戦いにいかないといけない…俺が帰るまで待っててくれ。」
泣きじゃくる蒼星石をあやす為に抱きしめる。
それでも抱く少女からは涙が止まらない。
ジュンの手は震えていた。
買い物の為に家の鍵を閉め家の敷地からでた瞬間
「おまえの幸せは…ケケケ…どうなるかな。」
白装束の老婆が 暗い顔の蒼星石へと話しかける。
舌を出しながらケケケ、と笑う。
――――
「右手は空へ!!左手は海へ捨て!!立派に蒼天を仰げ!!」
「はっ!!」
烏は一切の無駄のない動きで右へ倣う。
――
「…なんで…ずっと…ずっと一緒にいたかったのに…。」
当然だと思っていた幸せは―つまらぬ地へと広がり溶ける。
何もなかったかの如く。
「オニサンコチラ、テノナルホウヘ」
どこからか そんな声が聞こえた
幾つの月日が流れただろうか。いつまでも帰ってこない。
近くに住む男らからは
「あいつはもう死んださ…慰めてやるから俺と結婚しよう」
「あきらめろ。…新たな人生を歩め」
人勝手な事を口走る。
―ウザイ
―ウザイ
―ウザイ
―ウザイ
「嘘をつく貴様らの舌なんて…ちょんぎって捨ててやる!!!
おまえらが何を言おうと僕はジュン君を待つんだ!!!!」
強引に振り払い家の中で一人。
「何も見えなくていい…何も聞こえなくていい…
ジュン君以外・・ボクにはいらないんだから…
テーブルの上の金魚蜂。蒼星石の顔が映る。
――――
「ジュン。またお前に手紙だ。…いい嫁をもらったようだな。」
無愛想な隊員が初めて笑ったのを見たきがした。
「お元気ですか?」
いつでもこの書き出しから始まる手紙は
――
「今日は届いてないのか?」
ある日を境に途絶えた。
―
何度目かの緑雨に染まる鳥がうわさをつれて来る。
―聞く人はもういないのに。
黙す空間。
あの飴色をした綺麗な空はもう二度と
影を伸ばさないのだろう。
―リン―
―リン―
―リン―
・・鈴は鳴り響いているのに。
―
「貴様!何をする!」
「うるさい…俺はあいつのところへ帰るんだ!」
待っていられなかった。戦いが終わりを告ぐことなど。
どんなに偉い地位にいようと、ジュンには蒼星石が必要だった。
「生きてろ…死んでんなよ・・蒼星石…俺が戻るまで…待ってろって…!!」
戸を叩いても 何も反応がない。 そっと扉を開けた。
――
―ガチャリ。
「…あ……あ…蒼星石……。」
そこには
血を胸からたらしていたのだろう
乾いた血が服を覆う
最愛の人の姿が。
―――――
「とまぁ、こうなったんだけど。」
蒼星石がパソコンでのプレイヤーを止める。
「いいんじゃないか?」
2次元での絵はとても綺麗に生えている。
部活動の一部として作ったらしい。
「よかった。最初にジュン君に見てもらいたくってさ!」
「そうか。…どうする?もう帰るんだろ?」
嬉しそうな表情を見て少し落ち着いてから、再度たずねた。
「うん。一緒に帰ろう。」
二人の後ろには 二つの影がいつまでも。
―アカイスズ―
―Fin―
ある朝 彼は死んだと聞いた
「お前は僕がいなくても大丈夫か?」
そんな言葉がキコエル気がする
「そん…な……の
だ、大丈夫なワケねーです!!」
吐き出される恋われた笑い
繰り返される壊れた笑い
聞こえぬ声に応えるその顔はいつもの自信も美しさも見られなかった。
りんりりぃん
2人の鈴は静かになった
死神の声が静かに響く
不気味な笑いが僕を包む
奴は
ペロリと
舌を出
しなが
ら
護るものを見失った集まりの中
僕だけでもあの娘を護ると
少年と操人形たちは歩き出した・・・
なんど願っただろうか…
あの夕暮れをもう一度
あの鈴の音をもう一度
戻らぬ時を願い少年は進む
眼を瞑ると思い出す世界を希望に
待っているあの娘を希望に
死神の声も届かない
護る者があるのだから・・・
「チビどもがうるせーです!!
いい加減にしないと舌を引っこ抜くです!!!」
叫ぶ相手が最愛の姉妹たちでも
彼女には見えなかった
温かい言葉も悲しむ声も
彼女には届かない
「もう…
耐えられない…」
時だけが鈴の音だけが過ぎていった
「 も ど っ て き て よ 」
そうして彼女は時を止めた
あの時間のつづきの為に
あの音色を聞くために
瞼を閉じるたびに思い出す
あの日の色を
あの日の匂いを
あの日の願いを
夕焼け空に彼女の影は伸びなくなった
「僕は帰ってきたよ」
あの日によく似た夕焼け空
懐かしい声が響く
なにを話そう
なにを伝えよう
あの日の続きをミる為に
期待の溢れる手で扉を開く
「 ただいま 」
鳴らない鈴が成れない鈴が
彼を
静かに
抱きしめた