三年・12月初め
塾の帰り道
蒼「何かあっという間に冬だね…ついこの間まで体育祭~とか言ってた気がするけど…」
J「本当だな…あー…息が白い…あー…もう受験か……冬休みとか休みじゃないよな…」
蒼「あはは…ず~っと塾だもんね。でも仕方ないよ。」
J「でもクリスマスパーティーはクラスでするっぽいよ、金糸雀が秘密に計画してたみたいだけど、何か眠りながら書いてたから丸見えだった。」
蒼「パーティーか…皆結構余裕だね……僕はクリスマスから冬特訓開始だ…」
J「まぁうちの学校の奴らは薔薇学行く奴多いしな…そんなに気張らなくても良いんだろ…」
蒼「うん…そういう訳でもないと思うけどなぁ……まぁ皆で楽しめたらちょっとした息抜きにもなるよね。楽しんできなよ」
J「お前は来れない…か……勉強頑張れよ。」
蒼「うん。ありがとう…おやすみなさい……」
J「おやすみ……」(クラスの皆と…いや蒼星石と一緒に居たかったけど……)
クリスマスの夜
蒼(あー…やっと塾終わった…疲れた……って今日は桜田君いないんだっけ……)
てくてくてくてく
蒼(あれ……?一人で帰るのって…こんなに寂しかったかな……?)
J「蒼星石っ!!」
蒼「……えっ?」
J「…迎えに……来たぞ!!」
蒼「どうして…?クリスマス会行ってきたんじゃないの?」
J「行ってきたけど…途中で抜けてきた…前に言っただろ…途中で投げ出したくない、最後までやり遂げたいって…」
蒼「でも……悪いよ……その…僕の為に…ごめん…ね…」
J「僕がしたくてしてるんだから、気にするなよ…」
蒼「うん……」
家の前
J「あ……これ渡しとかなきゃ…はい…」(大きな包みを渡す)
蒼「…?これ…何?」
J「クラスの皆から。蒼星石来れないって言ったらじゃあ皆でプレゼントと手紙でも渡そうかってなって…」
蒼「え………本当?」
J「うん。珍しいだろ?エセ策士の金糸雀がバレずにやり切るなんて…」
蒼「……本当だね…皆……僕のために…わざわざ気を遣ってくれて…」
J「…気にするなよ…そ、それと……これは…僕から…」(若干震える手で蒼星石の手をとると、小さな袋を無理やり蒼星石の手に押し込む)
蒼「……え?」
J「お守り……上手くいきますようにって…」(でも…上手くいったら……)
蒼「うん…わざわざ買ってきてくれた…の…?」
J「うん……でも…今日…皆と…クリスマス会してて…思った…皆とずっと一緒にいたいって…」
蒼「…そう…だね…」
J「でもそれは…蒼星石も…一緒だから……蒼星石がいないクラスなんて…考えられない……から」
蒼「……え?」
J「…一緒の高校…行きたい…んだ…」
蒼「そ…それって……?…」
J「…女子高にしか行きたくないなんて…言うなよ…どんだけ勉強お前の為に頑張っても…
絶対絶対一緒の高校行けないなんて……そんなのひど過ぎるよ…」
蒼「………だって…」
J「このまま終わるなんて嫌だ…こんな事急に言われても困るってのは分かってる…
それに…お前がどういう理由で女子高に拘るのかも…
みんなみんな知ってる………けど……好きなんだ……僕の事…ただの友達だなんて
…思っていて欲しくない…」
蒼「……止めて…僕は……」
J「分かってる…分かってる…この大事な時期に…困らせてごめん…でも…何かの答えは欲しいんだ……」
蒼「そんな事言われても…」
J「………ごめん……変な事ばっかり言って本当にごめん…もう帰るよ……おやすみ…」
蒼「………」
RRRRRR…
蒼「水銀燈?今…ちょっと話しても良いかな?」
銀「良いわよぉ…なぁに……?」
蒼「…桜田君に…好きって…一緒の高校行きたいって言われた……」
銀「あらぁ…で?」(GJよぉ!ジュン!!)
蒼「正直…どうしたら良いか分からない…今まで桜田君が友達のフリしてたってのが…怖くて……」
銀「…う~ん…でもぉ…ジュンはそれでも凄く誠実だったと思うけどぉ……」
蒼「……分からない…僕はどうしたら良いのかな…?僕は…桜田君とだけは…仲の良い友達でいられると思ってたのに…」
銀「…で?蒼星石は、ジュンの事好きなの?嫌いなの…?」
蒼「…最初は凄く嫌いだった…でも今は嫌いじゃない……でも恋愛感情の好きかなんて…分からない…」
銀「その…前に付き合った人に対する…気持ちと比べてみたら…?」
蒼「分からない…あの人に対して…僕は…そういう気持ち……無かったかもしれない……」
銀「じゃあ……もしこの先ジュンが、蒼星石以外の女の子を…送り迎えとかしたら…どう思う?」
蒼「………分からない…ちょっと…嫌かもしれない…でも……でも……」
銀「じゃあ、一緒にいたい…とか思わない…?ねぇ……私も…蒼星石とずっと一緒にいたい…のよぉ…」
蒼「…………」
銀「私も、蒼星石みたいな友達できたのはじめてだしぃ…それに男が怖いなら、私達が守ってあげるから…一緒の…高校…行かない?」
蒼「……でも今更……」
銀「もう一度よく考えてみて欲しいの…まだ時間はあるし……」
蒼「………………」
蒼「……」(僕……どうなんだろ…皆と一緒にいたいのかな…?桜田君の事…好きなのかな…
他の女の子と桜田君が仲良くしてたら…どうなんだろ…?)
2月・放課後の教室
J(…あれからも蒼星石と…塾は一緒に帰ったりしたけど…会話らしい会話なんて…この頃全然してない…
結局蒼星石がどこの学校を受けるのかも…聞けないままだ……)
蒼「桜田君…ここに居たの…?」
J「うん……」
蒼「今日…薔薇学園の合格通知来たって…本当?」
J「うん…合格…してたよ……」
蒼「……そっか…良かったね…」
J「蒼星石は…?」
蒼「僕も……来たよ…薔薇学園……」
J「えっ……?!それ…本当…?」
蒼「うん…塾の先生にも、学校の先生にも…凄く色々言われたけど…
僕が何をしたいのかって考えたら…やっぱり皆で一緒にいたい…って思って…」
J「…………」(ぽかんと口を開けたまま…)
蒼「クリスマスの時の答えが…それじゃ…駄目かな…?」
J「それって…」
蒼「僕なりに…この三年間振り返ってみたら…桜田君がいつ近くにいて…酷い事も一杯されて…でも……
辛いとき…傍にいてくれて…それを桜田君が…他の子にもするって考えたら…嫌だなぁって思ったんだ…」
J「…本当……?」
蒼「うん…だからこれからも三年間…よろしく…」
J「……うん…僕も…よろしく…あ…じゃあこれからは…出来れば…下の名前で呼んで欲しい…あ、ごめん…ちょっと先走っちゃって…」
蒼「ううん…いいよ…分かった。じゃあちょっと呼んでみるね。ジュ…ン…くん…で良いのかな?おかしくない?」
J「うん…おかしくないよ……」
蒼「まだ慣れるまで時間かかると思うけど…ゆっくり待ってくれると嬉しいかな…?」
J「うん。待ってる。いつまでも待ってるから…ありがとう…」
現在・再び学校の屋上
蒼「あー何か改めて思い出したら…かなり恥ずかしい…ね…」
J「そうだなー…あの時は蒼星石がこんなに激しい子だとは思ってなかったからな…」
蒼「う……それはその……な人の前だけだから……」
J「…どんな人……?…ほらほら…言ってみろよ…」
蒼「…好きな……人…だよ…」(今日は何かジュン君の方がいじわるだ…)
J「はい、よく出来ました~」なでなで
J「でも昔は……僕本当に子供っぽくて…ごめんな…」
蒼「うぅん……もう良いんだ…でもあの時は本当に悲しかったな…ジュン君と話するのも嫌だった…」
J「…………ごめんなさい…本当に配慮が足りませんでした」
蒼「特にバレンタインは辛かったなぁ…ね?」
J「…………返す言葉もございません。未だにアレは僕にとってもトラウマです…」
蒼「……分かってるよ…じゃあお願い聞いてくれたらもう許してあげる。それとこの話もしない。どう?」
J「う……何?」(とんでもないものだったらどうしよう…)
蒼「あのね……もしジュン君さえ良ければ…ずっとずっと…一緒に居て欲しい…な」
終わり!!