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憤怒の離反

(投稿者:エアロ)

誕生は誰からも祝福された。


彼は期待されて新たな生を受けた。


史上最高といわれた「最初の一人」に教えを受けた。

友もいた・・・

しかし、彼の生来の気の大きさは、彼を変えた。

傲慢で、場を読まない男に・・・




「ったく、これで何度目の失敗だ?」
将校がぼやく中で、一人の男はうな垂れていた。

彼の名はバイパー。
アルトメリア軍のメールである。
現在彼は実験部隊で施策された武器の試射を担当していた。
「はぁ・・・メイやジュリアは華々しく活躍してんのに、おれぁ言ったい何してんだ・・・」
彼が今実験しているのは冷凍銃である。

Gを撃退する為の通常兵器の開発。
豊富な資金と資源、技術力と生産力を併せ持つアルトメリアは特化兵器としてメードを作るのと同時に、
兵士に持たせるための対G兵器を開発していた。
中にはとても兵器とはいえないような代物も日々開発されてはスクラップにされていった。
冷凍銃はそんな中で殺虫スプレーをヒントに開発が進行していた。
しかし、気体に墳進性を持たせるのが難しく開発は難航、日々失敗試作の山ができていた。

バイパーも、もともと素性は悪くなかった。
アルトメリア最初のメード・ジョアンナのメード育成施設「メードヘブン」の2期卒業生であり、
先輩にはメイ・ガウリンにジュリア・ジ・ラストがいた。
彼女らに追いつき追い越せと西部戦線にて戦跡をつんだ彼であったが・・・

      • たった一度の上官への反抗。

それだけで彼は花形のG戦線担当を外され、実験部署という日陰の仕事に回されてしまったのである。
だが日陰でも武器が着目されればまだ彼も救いようがあった。
しかし、なぜか彼と組まされた技術陣は失敗作ばかり押し付け、
その結果彼は「失敗作担当」のレッテルを貼られ、からかいややっかみの対象となったのである。

  • あいつの担当武器はいつも壊れる-
  • やくたたずね-
  • Gを倒すこともできないヘタレだなあいつ-
  • 弱虫-

そんなやっかみを聞いてかきかずか、彼はだんだん言動もひねくれていった。
「それが上官に対する態度かぁ?メールの癖に・・・」
「なんだとてめぇ、これでもまだ言うか?」
と、バイパーは上官にファッキンサインを送るのが常であった。

そんな中で彼は驚愕の話を耳にする。


冷凍銃開発計画の一時凍結。

「なぜだ!これほどGに有効な兵器もないんだぞ!」
バイパーは上官に掛け合ったが無駄であった。
「バイパー、これはすでに議会で決まったことだ。私だってこんな命令はしたくはない。
しかし軍人は政府に従わなければならない、これは民主主義国家の決まり事なのだよ」


バイパーの中の何かかが燃えていた。
(・・・ふざけるな!この銃が採用されれば俺は返り咲けるんだ、それを奪われてたまるか!)
そしてバイパーは実行する・・・冷凍銃の奪取と、軍からの離反を・・・


計画の破棄により器材が捨てられる前夜。
バイパーは計画を実行に移した。
「やっぱりな、ここにしまってあったか」
保管場所の鍵をくすねていたバイパーはあっさりと進入し、一番進行していた試作タイプ「フロスティ」を手にとったのだ。

そしてあとは脱走するだけだったが・・・
「おい貴様!何をしている!」
MPに見つかってしまった、とはいえもう逃げられはしない。
「邪魔するな!」
バイパーはMPを殴り倒し、拳銃とマシンガンをくすねその場から去った。

直ちに基地に警報が鳴り響き、兵士やメード立ちが置き出してきた。
(どうすんだ、おい・・・だがままよ、俺は俺の道を生きる!)
バイパーはマシンガンを撃ちまくり、兵士を殴り倒し、メードすら撃った。

「バイパー!早まるな!おまえはやっかみで軍を捨てるのか!」
一人のメールが立ちはだかったが・・・
「うるせぇ!もう俺は忠誠なんて捨てたんだよ!」
言うや否やマシンガンを乱射し、そのメールは膝を付く。

しばらくの間暴れた後、バイパーはジープを飛ばし、基地を後にした・・・



      • もう何時間歩いただろうか・・・ジープはすでにガソリン切れで捨てた。
追っ手はもう追ってはこないだろうが、ここはどこだ・・・・?
もう次の週との境目だろうか、だがおそらく州境には州兵が詰めているだろう。
「畜生、もはやこれまでか・・・」
バイパーは膝を尽き、星空を見上げた。

そのとき、彼の瞳を覗き込むものが現れた。
「・・・ひっ、おまえ誰だ!」
とっさに銃を構えるバイパー。

「あたし?あたしはレジーナって言うのよ、メールさん」
レジーナと名乗るメードは、ぴちぴちした異様な格好をしていた。
「おまえ、アルトメリア軍じゃないな・・・マッド・ジョンの黒旗か?」
「や~だ、あんな真面目が服着て歩いてるような奴らと一緒にしないでほしいにゃ」
レジーナは人を食ったような口調ではやし立てる。
「あたしは、偉大なるボス・ヴィナンシェ・ヴェードヴァラム様に使えるV4師団のメードにゃ」
V4師団など聞いたことがないバイパーはきょとんとしていた。
「どんなことするんだ?G撃破か?」
「そんなちんけなことじゃないにゃ、世界SEIFUKUにゃ!」

世 界 征 服 。

その言葉でバイパーは何かが弾けた。

「よし、レジーナさんよ、あんたのボスに会わせてもらえないか・・・」
「決まりにゃ、じゃあ戦闘員さんあとはよろしく~」
という台詞と共に黒服の男たちがバイパーを抱えあげ、トラックの荷台に放り込んだのだった・・・


目がさめるとそこは広間だった。
大理石張りの、壮麗な居間。
ぱちぱちと燃える暖炉。
そしてその向かいがわの机の奥にいたのが・・・

「まっふっふっふ、ようこそバイパー君。私がヴェードヴァラムだ・・・」
そこにいたのはオペラの俳優かと見まごうほど煌びやかな衣装を来た男であった。
彼こそがヴェードヴァラム師団総帥・ヴィナンシェ・ヴェードヴァラムだった。
「君が不遇な境遇にいたのは実に悲しいことだ・・・アルトメリアの上層部は君をねたんであんな窓際に飛ばしたのだよ、
むっふっふ」
ワイングラスを傾けながらヴェードヴァラムは力説する。
傍らの寝椅子にはレジーナが横たわる。
「私は君を高く買っているのだ、ここをSEIFUKUした暁には、君をホワイトハウスに座らせよう・・・」
「乗った!俺を捨てた国に復讐するにはあんたについたほうがいいな!
 マッド・ジョンもどうせ自分が大統領になりたいだけだろうし、あんたにつくぜ!」
と、バイパーは身を乗り出して承諾した。
「ケル・ヴォン・シュ・ゼーヴェ、今から君はただのバイパーではない・・・」


&rudy(ナイト・ロウ)夜の法律・バイパー


「と、なるのだ・・・夜をつかさどる毒蛇、これほど合う名前もあるまい・・・それと・・・」
と、ヴェードヴァラムが指を鳴らすと、壁がせり出し、数々のヘルメットが現れた。
「君の顔は普通すぎて個性に欠ける・・・この中から好きなものを選びたまえ・・・
仮面は男をさらに魅力的にし、強さを印象付ける・・・何より悪役には必須だ」
バイパーは品定めしたあと、灰色の外装で、V4マークが入ったヘルメットを選んだ。
「これがいい・・・」
そしてバイパーはそれをかぶった・・・
「うーん、ジュテーム 素晴らしい。君の武器は解析させてもらった。我々のほうで量産も検討したい」
と、ヴェードヴァラムは満足げにつぶやく。
「・・・ああ、いいぜ。あんたの言う世界征服の野望に、俺もかけてやるさ」
と、静かに言うとバイパーは部屋を後にする。

  • 俺は手に入れた 未来を-

  • 俺は捨てた 過去を-


「アルトメリアのメール・バイパーは死んだ・・・今の俺はV4師団のメール・・・」


Night Law Viper だ!
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