毎日新聞謝罪記事の問題点

2008年7月20日(日)に掲載された謝罪記事に関するページです。

そもそもこの謝罪記事は何?

waiwaiの猥褻記事問題についての調査と処分に関する発表と
それに対する「開かれた新聞」委員会のコメントを記事にしたものです。

「開かれた新聞」委員会とは?

開かれた新聞」委員会は
(1)当事者から人権侵害の苦情や意見が寄せられた際、社の対応に対する見解を示し、読者に公表する
(2)報道に問題があると考えた場合、意見を表明する
(3)よりよい報道を目指すための課題について提言する
――という三つの役割を担っています。
                           (2008年7月20日(日)毎日新聞より引用)

なお、「『開かれた新聞』委員会」は1~2カ月に一度開催されているものであり、
英文サイト事件のために特設されたものではありません。メンバーは以下の4名です。

  • 柳田 邦男 (作家)
  • 玉木 明(フリージャーナリスト)
  • 田島 泰彦(上智大教授)
  • 吉永 みち子 (ノンフィクション作家)

「開かれた新聞」委員会の問題点

「開かれた新聞」委員会は形式上は第三者団体ではありますが、毎日新聞社が社外の有識者で組織した団体です。
委員会にはメンバーではありませんが、毎日新聞東京本社編集局長・局次長、
毎日新聞政治部長・経済部長・社会部長・地方部長・写真部長・外信部長・西部本社報道部長など、
今回の問題で処分された人を2名を含め毎日新聞関係の人間が14名参加しています。
端的に言いますと、実質的には第三者機関ではありません。

メンバーに関してもインターネット上の批判を封じるのに有利な発言をするであろう人物が選ばれている節があります。

今回の謝罪記事の問題点

「新聞の見開きまで使って謝罪したからもう良いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは最低限行うべき当然のことであり、特に感心すべきことではありません。
謝罪を行えば問題が解決する訳ではありませんし、この件に明るい人からしてみれば今回の謝罪は到底誠意のあるものとは思えません。
以下がその理由になります。

問題として扱っており事件として認識していない

毎日新聞社は、英文サイト「毎日デイリーニューズ」(MDN)上のコラム「WaiWai」に不適切な記事が掲載された問題で
毎日新聞社にとって、これはあくまでも「問題」であって、「事件」ではないのです。
多くの方が類似事例としてあげる、他の社と事例の取扱いと比較すれば明白です。
  • 「ミートホープ牛肉偽装事件」
  • 「雪印集団食中毒事件」
  • 「不二家消費期限改ざん事件」
  • 「船場吉兆食品偽装事件」
  • 「朝日珊瑚捏造事件」…。
いずれも「事件」であり「問題」ではありません。
これが毎日新聞社のこの件に関する、基本スタンスです。
このスタンスが、社内処分の内容に現れています。
  • 裁判所の「最高裁まで争う必要有り」との判断で、7/7簡易→地方裁判所に移送。事件性有りと言える。
(神戸地方裁判所事件番号 神戸地裁平成20年(ワ)2007号事件)

謝罪する相手と媒体がマッチしていない

謝罪する相手について、今回の謝罪文面のどこを探しても「多くの方々に」としか記されていません。
謝罪は自社紙上と毎日jpサイトという自前の媒体だけを使ってなされました。
これでは、購読者とスポンサー関係者に対してしか伝える意志がないことになります。
本当に迷惑をかけた国内外にいる「多くの人びとに」伝える意志があるのなら、記者会見を開き、積極的に国内外の各紙やTV報道局に協力を仰ぐべきです。

海外邦人への謝罪や今後の対応が見当たらない

この件に関して最も被害を受けているのは海外邦人でしょう。
この記事を鵜呑みにした外国人が日本人に対し偏見を持つことは充分あり得ます。
特に「日本人はエクアドルで子供狩りをする」などと書かれたエクアドル在住の邦人に到っては、
殺人者の汚名を着せられ、生活が脅かされることも充分考えられます。
また女性の場合は、waiwaiの記事によってレイプなどの暴力を受ける可能性もあります。

毎日新聞社が具体的に記事を指定し「この記事は誤りである」と広報しない限り、これらの危険は存在し続けます。
海外在住邦人への謝罪と問題の収拾は行うべきです。

上記はあくまで可能性の問題でしかないと考える方もいるかもしれません。
こちらの エクアドル在住日本人の方の意見 もあわせてご覧下さい。


「何が誤りだったのか」説明していない

記事の削除の理由を、一貫して「不快感を与えるものであるため」「内容そのものが不適切であるため」としています。
「何が誤りだったのか」説明する気はないようです。
毎日新聞社は、「不快感を与えるもの」「内容が不適切」という趣旨の批判に対して、記事に内容の正誤にかかわらず、記事削除で応える報道機関だということです。

記事の訂正をする気がない

この謝罪記事では、どのような記事を配信したか、管理体制にどのような問題があったか、どのような処分を下したか
などについては曖昧な表現や内容の意図的な選択を含みながらも記述してはあります。
しかし、記事を配信したことに伴う問題の収拾については一切書かれておりません。

つまり、「謝罪は行うが、記事を訂正する気はない」というスタンスなわけです。

実際、waiwai閉鎖に関する英語サイトのお知らせは閉鎖した経緯が書かれているに留まります。
過去にどのような記事があり、その記事がどのように誤っていたかという事実を周知させようという内容は見られません。
何が誤りで何が正しいのかすら検証しない、怠惰で無責任な態度こそが問題です。

ほとんどの問題記事について触れていない

紙面で紹介しているのはほんのわずかな記事のみで、
「南京大虐殺とパールハーバーの後継である防衛省は‘ロリータ’マンガキャラクターを使って内部を明らかにする」
「看護士のほとんどは仕事中バイブレーターを挿入している」
といった他の多くの問題記事について全く触れていません。

責任放棄について述べていない

記事を一斉に削除したことによる責任放棄 をまったく無視しています。

記事を一斉に削除したため、読者は、今まで配信された情報をどのように取り扱ってよいかがわかりません。
これは、今まで「毎日デイリーニューズ」を信頼し、記事を読んできた読者に対する大きな裏切り行為です。

ニュースや新聞紙・雑誌などでは普通、誤った情報を載せてしまった場合は、元情報を記載した上で訂正情報を記載します。
またインターネット上では、個人サイトやアマチュアサイトですら、誤報を流してしまった場合にそれを訂正するモラルを持っています。
問題が発生したサイトの内容を注釈もなく削除する行為は、最低の「隠蔽行為」とされています。

毎日新聞は、配信されたそれぞれの記事に対して、嘘か本当かも告げることなく内容を削除し、「何もなかったことにしろ」と言っているのです。
このままの状態が続くのであれば、毎日デイリーニューズは、報道機関として最低限のルールやモラルを持っていないことになります。

また、記事の削除の理由を「不快感を与えるものであるため」「内容そのものが不適切であるため」としていますが、
この理由を掲げる限り、自社記事の削除は「言論の自由」「表現の自由」の放棄です。
これらは報道機関の言動とは思えません。

実質的な証拠隠滅行為

「WaiWai」は既に閉鎖しておりますが、過去の記事を転載しているサイトなどが判明すれば、事情を説明し、訂正や削除の要請を続けていきたいと思います。
前述した通り、毎日新聞は「自分たちで記事を訂正する」気はありません。
しかし、誤情報を引用しているサイトなどがある場合には、「相手に訂正を求める、或いは削除させる」ようです。

つまり、今回の問題となった記事について、ネット上から証拠を隠滅するということです。
今後、毎日新聞が今回の事件について言及された場合、無かったことように振る舞うでしょう。
将来的に今回の騒動で海外で被害を受けた場合、毎日新聞は一切責任を取らなくて済むことになります。
これらの「要請」は、結果的に「言論の自由」を奪ってしまう「言論弾圧」でしかありません。

今後の対応に具体性・実現可能性が欠けている

「WaiWai」は既に閉鎖しておりますが、過去の記事を転載しているサイトなどが判明すれば、事情を説明し、訂正や削除の要請を続けていきたいと思います。
ネットの向こうに広まった膨大な記事は今や英語圏だけにとどまりません。
広くネットユーザーからの情報や指摘を募る、開かれた対策本部を即座に立ち上げる等、具体的なプランが何もありません。
また、この案では、連絡先などが分からず「事情を説明できない」サイトについては対処ができません。
最後の一記事まで責任を持って誤報を確認訂正する社の姿勢を、目に見える形で提示しなければ、多くの人は納得しません。

過去の記事を転載しているサイトに関しては、「記事が及ぼした影響」もご覧ください。
特に多くの記事を転載しているサイト例はこちらです。
2008/9末現在、訂正もしくは削除された形跡はありません。

初期対応に関して虚偽とみられる記述を行っている

初期の有志による抗議に対して、毎日新聞は「記事の責任を負わないと明言し、ただの翻訳なんだと開き直って」いました。
この謝罪記事ではいい加減な対応を取っていたことを隠し、「メールに気がつかなかった」などという白々しい言葉を並べています。
問題が表面化する以前の問い合わせに関しても、件数があまりにも少ないことから虚偽の内容ではないかと疑わざるを得ません。

waiwai記事に関しての記述が曖昧である

waiwaiの記事を幾つか例示していますが、この問題を知らない人が読んでもよく分からないものとなっております。
今回の謝罪記事の表現 実際のwaiwaiの記事の内容
エクアドルやベラルーシなど外国で日本人観光客が違法ツアーに参加している 日本人がセックス、奴隷の購入、野蛮行為を行なう違法ツアーのため海外旅行をしている。エクアドルでは日本人が銃で子供を狩っている。
「料理、獣、悪徳とその愛好者」というタイトルで異常な性的嗜好の話を取り上げた タイトルは正確だが、内容は六本木のあるレストランでは食材の獣とSEXしてから調理するというもの。それも、元の記事では「都市伝説」となっていたものを、さも実話であるように引用し、捏造している。
「古くから伝わる米の祭りでは、お肌に効果がある洗顔クリームが評判を呼んでいる」というタイトルで日本の伝統的な祭りを性的な話題に結びつけた タイトルは正しいが、内容は福岡のおしろい祭りが日本のアダルトビデオのファンたちの間で人気であり、AV業界が祭りをバックアップしている、日本では古来から農業とセックスを結びつける伝統がある、奈良県のおんだ祭は天狗が酒を物見人にかけるという射精を意図したものである、おしろい(米の白濁液)は精液を意識している、などというもの。

元のwaiwaiの記事を知らない多くの読者には、何が問題なのかが非常に伝わりにくいです。
これは新聞に載せられないような内容の記事を配信していたためです。
毎日新聞社自身はかつて配信した問題記事の全てを削除し、直接閲覧できないようにしています。
この現状において、読者への説明が不足していると言わざるを得ません。

メタタグの内部調査について、徹底した調査ができていない

MDNの外国人スタッフが昨年8月、これらの単語をキーワードに指定して技術スタッフに伝えたメールが残ってい
る。昨年10月の毎日新聞サイトのリニューアルに伴うものだった。
「hentai」を含むメタタグについては、有志の調査で少なくとも2006年8月11日には存在していることがわかっています。
更にその以前の別のメタタグにも重大な問題があったことが判明していますが、まったく触れられていません。
内部調査の質そのものについても疑問が残ります。

METAタグ事件 の解説はこちら。

メタタグの選定理由が説明不足である

この外国人スタッフによると、「hentai」はここ5年ぐらい、英語圏ではアダルト系漫画・アニメを指す英単語として
浸透していると解釈していた。
なぜ理解しながらこのように行為に及んだか、説明がなされていません。

関係者処分に関する記述

関係者が役員報酬の一部返上、休職などの処分を受けたことに関して記述してありますが、
処分を受けた朝比奈 豊 常務取締役、長谷川 篤 常務執行役員、磯野 彰彦 デジタルメディア局次長の3名が
処分の直前に、それぞれ代表取締役、取締役デジタルメディア担当、デジタルメディア局長に昇進したという事実が書かれていません。

また、処分の内容も極めて甘く、記事を書いた人間ですら免職処分になっておりません。
他分野の企業における処分と比較すれば、これが如何に甘い処分であるかは明白でしょう。

内規に従い厳正な処分をしたという記述がありますが、一人も免職させることなく関係者の一部は昇進という
あまりにも軽過ぎる処分が現実です。


記事を意図的に捏造したことを軽視している

「根拠の不確かな数字」や、「記者の個人的な考え」を書いたことは認めていますが、
それらの捏造した情報を発信したことに対して発生した問題について検証されていません。

著作権を軽視している

サイゾーの記事 など、幾つかの「 出典元の文章を勝手に改変する捏造行為 」が指摘されていますが、これに関しては
 一方、著作権について、担当記者は知識も理解も十分ではなかった。
元の雑誌記事にない個人的な解釈を盛り込むケースもあった。
具体的に「どの出典をどのように改変したか」「それがどう問題なのか」という説明も出典元への謝罪などもありません。

 著作物の翻訳や要約については、現在、発行元の出版社と対応を協議している。
この協議内容は、今まで「毎日デイリーニューズ」を信頼し、記事を読んでいた読者にとっても重要な意味を持っています。
読者に対して、協議内容は公表されるべきです。

「女性の視点欠如」とひとくくりにする。

「女性の視点が欠如」していることを問題の起きた理由に挙げています。
つまり、あくまで「男性の視点のみだったから問題」としているわけですが、実際には女性のみでなく日本男性に関しても多くの性的な歪曲報道がされています。
にもかかわらず、記者が日本(人)に対して偏見を持っている、という検証はされず、あくまで「男性視点のせい」としています。

柳田邦夫氏のコメントの異常性

柳田邦夫氏はなぜか、今回の問題により「ネット・アジテーションによる暴動」が起きていると書いて、これを問題視しています。

この問題は、毎日新聞が日本に関して誤った情報を英語版に発信していたことを、ネットユーザーが追求したために起きた問題で、
そもそもの原因となる情報を発信した毎日新聞側に全責任があります。
が、柳田氏はそのことには一切触れず、あくまでこの問題を「毎日新聞に対しネットによる暴動が起きた」という図式のみで説明しようとしています。

(毎日新聞が「 無関係な社員への誹謗中傷に法的措置を取る 」と発言していますが、
誹謗中傷とアジテーションや暴動とは全く意味合いが異なるため、このこととは無関係だと思われます)


webでは「英文サイト出直します」という「宣伝」が冒頭にある。

8月1日付で「毎日デイリーニューズ」を新体制に組み替え、新編集長の下で9月1日からニュース中心のサイトに
刷新します。
これでは事情を知らない読者からは、一見して「宣伝」のように見えます。少なくとも謝罪記事とは思われないでしょう。

「出直します」と書いた翌日から、旧体制のまま記事を発信している

8月1日付で「毎日デイリーニューズ」を新体制に組み替え、
新編集長の下で9月1日からニュース中心のサイトに刷新します。
体制に問題があったと認め、編集長を交代させて9月1日から「毎日デイリーニューズ」を刷新しますと宣言しました。
現編集長は社内処分中であり、元々問題とされたチェック機能は、更に弱くなっているはずです。

しかし、毎日デイリーニューズは 7/21 からも旧体制のまま記事を配信し続けています。
重大な問題があると認め、刷新して出直すと約束した工場が、「改善する前に」操業をしている状態です。

「既に閉鎖した『WAIWAI』コーナーの問題に過ぎない」と考えている毎日新聞社の本音が伺えます。


謝罪記事についての報道




追記・訂正など宜しくお願いします

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最終更新:2009年11月12日 19:34
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