CALLING~黒き着信~

CALLING~黒き着信~
>>65-498~514・516・520 >>66-5~11
当Wiki連絡用掲示板内「差し替え・追加スレッド」-566~577



498 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 20:23:33.16 ID:n75VIYnv0

「CALLING~黒き着信~」
未解決一覧にあったので書く。あと、なぜか顔文字がメモ帳で?になるので、ならないように変更したから何かおかしい。
2009年発売の、ハドソンのWii用ホラーゲー。
恐怖メーターがあり、幽霊に捕まると上がっていき上がりすぎるとゲームオーバー。早く振りはらわないとならない。
またすぐには回復しないので何度も幽霊に襲われると、どんどん上がっていく。

登場人物
神楽凛:ハンドルネーム「リン」。主人公。女子大学生。6年前に会う約束をしていた少女を探して、黒のベージへ。
岸部千代:ハンドルネーム「ミー」。高齢の女性ながら顔文字を使いこなす。死者と会える場所の話を聞いて、黒のページへ。
白江真:ハンドルネーム「名無し」。34才の男性で雑誌記者。行方不明の同僚を探して黒のページへ。
涼谷しんいち:ハンドルネーム「マコ」。メガネをかけたオタクの男性。オカルト雑誌で黒のページを知り、興味本位でアクセスした。

朝霧麗子:黒のページを生みだした少女の幽霊。黒猫のぬいぐるみを抱き、ピンク色の服を着ている。
天野貞夫:白江が探している同僚の男性、幽霊。白江を導く。
岸辺道人:岸部千代の夫。故人。若い時の姿で千代の前に現れる。
日比野鏡子:黒宮病院の看護婦の幽霊。麗子と道人の担当をしていた。
朝霧夕子:麗子の母親の幽霊。入院費の支払いのために働く毎日にノイローゼになり逃げ出した。懺悔し続けている。
近藤淳二:老人の幽霊。子供を亡くしてから人形集めに没頭していた。
細川美咲:女子高生の幽霊。三人組のいじめっ子の一人でリーダー格。背が高い。
太田久美子:女子高生の幽霊。三人組のいじめっ子の一人。太っている。
小倉舞:女子高生の幽霊。三人組のいじめっ子の一人。小柄。
黒宮芳夫:黒宮病院の院長の幽霊。
日高日名子:黒宮病院の看護婦の幽霊。
根岸克也:ネットカフェに出てくる幽霊。
加藤美野里:美容室で働く女性の幽霊。
東海林恵子:ホテルに出てくる女性の幽霊。
赤い女:おそらく幽霊。何度も突然あらわれてはメールを送ってプレイヤーを驚かす、ストーリーには関係ない。



499 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 20:27:26.01 ID:n75VIYnv0

『黒のページ』
ネット上にある、真っ黒な画面にカウンターだけのチャット用のページ。
このページにはある噂が流れていた。

〈名無し〉が入室しました。
名無し〉こんばんは 〉ALL
マコ〉コンバンワ! 〉名無しさん
ミー〉名無しさん、こんばんわぁ♪!!(^0^)
リン〉こんばんわ 名無しさん
名無し〉結構にぎわってますねぇ(笑 こんなに人がいるとは思わなかった。
マコ〉ここへ来たって事は、イロイロ噂を聞いてきたんでしょ?
名無し〉まぁ、そんな感じです(笑
名無し〉みなさんはどうしてここに?
リン〉けっこうウワサになってるし、ちょっと気になる事があったから?
ミー〉死者と話ができるってウワサ聞いたけど、ホントかなぁ~('3')
マコ〉それってアレ、『サムサラ』って雑誌の記事でしょ?〉ミーさん
名無し〉あ、その雑誌、オレも知ってるよ。
リン〉え? なになにソレ?
マコ〉すっごくマイナーなオカルト雑誌だよ! オレの愛読書だけどねっ!ww
ミー〉wwウケル~~ww!! 〉愛読書(ノ▽<★)
名無し〉そうそう。『サムサラ』によると、少し前の女子高生の事件も関係あるとか。
リン〉もしかして、3人の女子高生が死んだってニュース?
マコ〉あぁ。あの事件ね。『サムサラ』に特集あったけど、続きが載らないんだよねぇ。
ミー〉いろいろウワサあるから来てみたけど、フツーのチャットサイトだねー(`_>`)
リン〉雰囲気はブキミだけどね。
名無し〉他になんか噂とか知ってます? 〉ALL
マコ〉『サムサラ』以上の情報は持ってないなぁ~。
ミー〉いや、じゅうぶん詳しいから!(^m^*) 〉マコ

〈黒猫〉さんが入室しました。

マコ〉またウワサに釣られた人かな?ww コンバンワ! 〉黒猫さん
黒猫〉こんばんは。みなさん。
 黒のページにチャットしている人達、全員の電話が鳴る。自室で携帯電話を取る神楽凛、その背後に少女が立っていた。



500 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 20:41:37.45 ID:n75VIYnv0

「近藤さん、かなり気を落としているみたいね……」「突然だったから。旦那さん亡くなったの。」
「お子さんもいないし、1人っきりになったから、尚更かもしれないわね……」
「でも……、あそこの旦那さん、ちょっと気味悪くなかった?」「趣味が人形だったりとかねぇ」
「そうそう。結構な数なのよ。」「最近じゃあ、自分で作ったりしてたみたいだし。」
「人形に取り憑かれた様だったって……」「旦那さんの人形集め、お子さんが亡くなってからって話よ。」
「あら? 近藤さんち、お子さんいたの?」「もうかれこれ10年くらい前の話よ。お子さん亡くなったの……」

●憑ノ章 ヒョウノショウ  操作キャラ:涼谷しんいち 

 朦朧とした意識の涼谷、ベッドの横の台で鳴り続ける携帯電話を止めた。
涼谷「ここは……どこだ?」
 見知らぬ場所のベッドの上。点滅する電灯の下、古いタンスやテレビが目に入る。
 窓の外は真っ暗で何も見えない。唯一の扉を動かしてみるが、ボロボロの扉は開かない。
 辺りを探してみるがこれといったものはない。突然、電灯の光が消える。
涼谷「て、停電!?」
 心臓が高鳴る。薄暗い部屋の中、涼谷は辺りを見回す。ベッド横の台の黒電話の横の携帯電話が鳴る。
涼谷「な、なんだ携帯か。誰のか知らないけど、出た方がいいかな……」
 携帯を手に取り通話。年老いた男性の声(近藤淳二)で語りかけてきた。
近藤『生きていなくとも、魂はあるのだ……』
 扉が開く。涼谷は携帯を持って出る。外は薄暗い汚れた廊下、右はトイレで行き止まり。左に行くと扉だが開かない。
近藤「そこに入るな…」
 さきほどの電話の声が後ろから聞こえ、振り向く。廊下を戻ると老人の霊(近藤淳二)が襲いかかってくる。
涼谷「ここでも!? な、なんで……?」
 最初の部屋に戻ると着信。携帯を開いて通話。先ほどの老人の声。
近藤『この子たちは裏切らない……そう、決して裏切らないのだ……』
 床にたくさんの日本人形が涼谷を見上げて笑っている。しかし幻らしく、すぐに消える。
 廊下に出て、さきほど開かなかった扉が少しだけ開いていたので、開けて通る。
 部屋は荷物置き場の様で見渡す限り箱が積み上げられている。懐中電灯が落ちていたので拾う。
涼谷「良かった……これで少しは安心できる。」
 光を頼りに近くにあった市松人形を手に取る。足裏に名前があり、近藤淳二という男の作品らしい。
 箱の他にタンスや脚立が所狭しと置かれ、人ひとりが通れるだけのスペースしかない。
 部屋の中を先に進み、奥の襖を開こうとした。しかし隙間ほどのサイズしか開かず通れない。
 隙間を覗いて見るとたくさんの人形が飾られた部屋、そこに年老いた女性(岸部千代)が横になっている。
 涼谷が声をあげると背後で音がする、振り向くと人形の首が転がっている。また気配を感じた涼谷は背後の襖に振り向く。
 襖の隙間、上から下までたくさんの日本人形がこちらを覗いている。
 後ずさる涼谷、襖が人形達によって叩かれている。そしてたくさんの人形の毛が襖からこちらへと伸びてきた。
涼谷「に、逃げなきゃ!!」
 人形達の笑い声、涼谷はこの部屋に来た方の扉へと走る。ドアノブを掴み動かすが開かない。
 何度も必死にドアを動かしようやく開く。この家に来たときの部屋へと逃げ込んだ。
涼谷「あいつらは何なんだよ! どうして僕ばっかりこんな目に!」
 部屋にジリリリリンと黒電話が鳴る。黒電話の受話器を手に取る涼谷。通話の声は少女のものだった。
麗子『つかまえた……』
 涼谷は後ろを見る。そこには黒い猫のぬいぐるみを抱いた、ピンク服の少女(朝霧麗子)が立っていた。
 男に手を伸ばす少女。涼谷は逃げるように後ろに下がるが、すぐに背は壁にいきあたる。手が目の前まで来た。

憑ノ章 了



501 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 20:49:06.68 ID:n75VIYnv0

ミミ〉あのウワサ、ホントらしいよ
ヒナ〉ウワサ?
マユ〉あぁ、あの3人の事件?
ミミ〉そうそう。あの3人、例のサイトを見てたんだって
ヒナ〉えぇ~~!!
ミミ〉2年の本谷に聞いたから間違いないよ
マユ〉もしかして、あいつが第1発見者?
ミミ〉そう。職員室で先生に口止めされてたけどね。
ミミ〉3人が倒れているのを発見した時、モニターに映ってたんだって
ヒナ〉ヒェエェェ~!!
マユ〉でも、正直あの3人いなくなってホッとしたー。
ミミ〉そうね。かなり迷惑だったから
ヒナ〉これからフツーに学校いけるね!

●醒ノ章 セイノショウ 神楽凛

 病院のベッド。看護婦(日比野鏡子)。窓に足をかける少女(朝霧麗子)、次の瞬間いなくなる。目の前に迫るトラック。
 手を伸ばして起き上がる神楽。
神楽「夢……? またこの夢だ……しばらく見てなかったのに……」
 周りを見る。薄暗い場所、机や椅子の他、シンバルや木琴、ピアノなどが目に映る。
神楽「学校? どうして、私……」
 神楽凛は先ほどまで家の中でネットをし、黒のページと呼ばれるものでチャットをやっていた。
 しかし今、気付けば学校の中に居た。見知らぬ場所だが、学校の音楽室のようだ。
 窓が横に並んでいるが、どちらも真っ暗で先が見えない。神楽は教室の外へと出る。扉を開くと機械音のメロディ。
神楽「!! なんの音? ……携帯?」
 音が鳴る方へと学校の廊下を進むと、廊下の真ん中に携帯電話が落ちていた。これを拾い、開いて耳を当てる。
太田『それ、私の携帯……今、昇降口にいるの……そこまで取りに行くから……返して!』
 女性の声(太田久美子)。最後に怒鳴り声で言われる。
 廊下を歩くと、また着信。さきほどと同じ女性。一言告げるとまた電話が切れ、すぐに新たに着信が入る。
太田『今、1階の廊下にいるの……』 神楽(この人……、何か様子がおかしい……?)
太田『今、2階の踊り場にいるの……』神楽(だんだん近づいてきている……?)
太田『今、3階の踊り場にいるの……』神楽(……なんだろう、この嫌な感じは……)
 廊下を歩いている途中、何度も入る着信。歩いていると「3-2」の教室が内側から光っている。
 扉は開かない。ドアのひび割れた窓からのぞきこむと二人のセーラー服の人影。そして机の上に光る何かがあった。
神楽(ここの生徒……? なら、ここがどこなのか聞けるかも……!? ……消えた!?)
 セーラー服の二人が消える。そして突然、一人の女子の幽霊(小倉舞)が覗き穴を逆に覗き返してきた。
 驚き後ろに下がって尻もちをつく神楽。ドアとは別方向から、息遣いが聞こえる。
 右を向くと太った女子高生(太田久美子)がこちらを見て、そして襲い掛かってくる。振り払う神楽凛。
神楽「今のは幽霊……!? でも……どうして?」
 さらに襲い掛かってくる幽霊。廊下を走り回り逃げる、階段の防火扉が少し開いていたので逃げ込み、下の3階に行く。
神楽「もう、追いかけてこないみたい……今のは一体なんなの……? ……なんの音?」
 3階についた神楽は、階段すぐの教室から音がしたので、歩いて近寄りドアを開けようとする。
「あれ? ……開かない。誰か、いますか?」
 扉に張られた張り紙を見る。”お願い 使用後は用務員室に鍵を返しましょう。”
 用務員室へと向かう事にする神楽。歩いていると廊下の角で、男(涼谷しんいち)の叫び声が聞こえた。



502 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 20:51:38.95 ID:n75VIYnv0

 書き忘れてた。
 第一章と第二章は時系列で逆。つまりここの涼谷しんいちはこの後、人形屋敷に行く。
 
 セーブポイントは黒猫の人形で、いろんな所に置いてある。

 続く。



503 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 21:32:52.94 ID:n75VIYnv0

 男は叫びながら走り、男子トイレの扉に体当たりして開けて中に入る。凛は角に隠れながらその様子を見ていた。
 追いかけてトイレに入るが、悲鳴が聞こえて扉を開けない。トイレを出て廊下を進むと、ロッカーが揺れて懐中電灯が落ちてくる。
 懐中電灯を手に先に進むと、携帯電話に着信。例の女子高生(太田久美子)のようだ。
太田『新しい遊び相手みーつけたー……、集合ぉー……』
 神楽は廊下の角から伺う。幽霊三人(細川美咲・太田久美子・小倉舞)がいた。男(涼谷しんいち)の悲鳴が響く。
 学校を探索する。2-4の教室に入る、すると扉が勝手にしまる。
「ひどい、よね……」振り向くと、教室の奥に俯く女子高生の霊が現れすぐに消える。そこに向かうと落書きされた机。
 突然、小柄な女子高生の霊(小倉舞)が足元にしがみつき、神楽は振り払う。
 教室を出て1階に下る。黒猫がいて、一声鳴いた後、去っていった。
 靴箱のある玄関から、扉を開けて外に出ようとすると、外は何も見えない真っ暗な場所、むしろ地面がない出られない。
神楽「ここは……一体……、これじゃ……出られない……」
 廊下を進み、用務員室へと行く。鍵を探して探索する。
 壁に張られたカレンダーには22日から28日まで線が引いてある。引き出しのメモに週、日付、合計と書かれていた。
 壁に数字を打ち込める小さな箱があった。22から28まで足した0175を打ち込むと開いて、鍵を入手した。
 3階のパソコン室へ。鍵を開ける。いくつもパソコンが並ぶ中、一台だけ電源が入っていた。
 それは先ほどまで神楽が見ていた黒のページのサイト。スクロールして行くと最後に電話番号が二つ書いてあった。
 997-684-771、997-657-281。
 見終わると、男(涼谷しんいち)が荒い息でパソコン室に入ってくる。扉を閉めて、神楽を見ると驚いて後退する。
 神楽は静かにしてと指でポーズ、外を女子高生の幽霊が通り過ぎていった。安心したように男が話しかけてきた。
涼谷「き、君は生きて……いるんだよね? よ、よかったぁ……生きてる人がいるなんて……。ぼ、ぼくは涼谷しんいち」
神楽「私は神楽、神楽凛。自己紹介はいいけど……どうしてここにいるの……?」
涼谷「どうしてって、そんなのぼくにもわからないよ。気付いたらこの学校にいたんだ!」
涼谷「幽霊がたくさんいて、追いかけてくるし……。外に出ようと思っても、建物の外には何も無いんだよ!」
涼谷「もう、どうなっているんだか……。あれはナニ? 地縛霊なのかな? 幽霊にしては存在感あるし、暴力的だし……」
涼谷「ぼく、このサイト見てたんだ……そしたら、携帯が鳴って…」
神楽「あなたもこのチャットに?」
鈴兄「え……? あなたもって……神楽さんも?」
 チャットに文字が入る。『しらえにつたえないと』。神楽と涼谷の後ろに、メガネの男の幽霊(天野貞夫)がいた。
 悲鳴をあげて逃げる涼谷。驚く神楽を無視して、男の幽霊は去っていく。神楽はそっと幽霊の後を追う。
神楽「なにかを、知らせようとしている……?」
 ゆっくりと追いかけると、美術室へと入っていった。懐中電灯を片手に入る神楽。すると銅像の後ろから男が現れた。
神楽「だ、誰っ!?」
白江「おどろかしてすまない。オレは白江真。弱小出版社で編集者をしている者だ。まあ、座れよ」
 お互いに自己紹介する二人。
神楽「……で、あなたはここが一体どこなのか、知ってるんですか?」
白江「友人はここを『境界』と呼んでいたらしい。わかりやすく言えば、この世とあの世の狭間かな」
神楽「ここは……現実の世界じゃない……って事ですか?」
白江「そう言う事になるな。生きている人間もいれば、死んでしまった人間もいる……」
神楽「そういえばさっき、生きている男の子に会ったわ……」
白江「あぁ、オレも見かけた。取り乱して走っていったがな。あれじゃあ、すぐ取り込まれてしまう。ちょっと心配だな」
神楽「取り込まれる? それってどういう事ですか?」
白江「その辺でウヨウヨしている幽霊どもと、同じになるってことさ……たぶん」
神楽「白江さんは、どうやって、その……『境界』に来たんですか?」
白江「君はどうやって来た?」
神楽「どうやってって……気がついたら、この学校の音楽室にいて……」
白江「ここへ来る前、何かしてたと思うんだが? チャットだろ……? 『黒のページ』で」
神楽「!! あのチャットとここは何か関係があるんですか?」



504 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 21:38:34.01 ID:n75VIYnv0

白江「やはり……、君もあのチャットにいたんだな」
神楽「そういえば涼谷君もいたって……、それじゃあ白江さんも?」
白江「あのチャットが『境界』への入口になっているらしい。それにしても、どうして『黒のページ』なんかに来たんだ?」
神楽「人を探してて。ハンドルネームしか知らない人を探してて……その人が『黒のページ』にいるってウワサを聞いたの」
神楽「私、ずっと謝りたい事があって……でもその人の事、ハンドルネームしか知らなくて……そういう白江さんは?」
白江「死んだ友人のやり残した仕事を調べていたら『黒のページ』に辿り着いたのさ。気付けば、こんな状況だ」
白江「もっとも、オレが気がついた場所はここじゃないがね」
神楽「え? どういう事…? この学校以外の場所があるんですか?」
白江「この学校のような場所がいくつも点在している。おそらく『境界』に取り込まれた人達の記憶や想いが具現化した」
白江 「場所と場所は繋がっていないので、直接の行き来は出来ないが、1つだけ方法がある。これさ」携帯電話を見せる。
神楽「え…? これで…? どうして?」
白江「それはオレにもわからない。でも、君も霊からの着信を受けているだろ?」
白江「『境界』では霊の声を携帯で受け取る事が出来る。それ以外にも電話をかける事で発信先に『転移』出来るのさ」
神楽「そんなのって……」
白江「信じられないだろう? だが、何故かそうなんだよ、ここでは。オレはそうやってここへ『転移』してきたんだ」
白江「逆に考えれば、元の世界へ戻れる番号があるかもしれない……」
神楽「ここから出られるって事?」
白江「入ってこれたんだ。だったら必ず出る事も出来るはずだ……。ただ、自分の携帯にかけてみても無駄だった」
白江「『転移』どころか繋がりもしない……。でも希望を捨てたら即、あいつらの仲間入りだ。そんなのはご免だろう?」
白江「とりあえず電話番号を交換しておこう。『転移』するまでは連絡に使えるからな」
白江「君は帰る方法を探すんだ。ここから出られる番号があるはずだ」
神楽「白江さんは?」
白江「オレには、やらなきゃいけない事がある……。もう一つ教えておくが『境界』には、耳障りな音のする場所がある」
白江「携帯に録音機能があれば録ってみるといい。霊達のささやきが聞けるぞ……」
 白江が驚いた顔をする。神楽が白江の視線の先、自分の背後を見ると、先ほどのメガネの男の幽霊がおり、去って行く。
白江「あ、天野……。すまないが、オレは行くから、何かあったら連絡する。じゃあな」白江の名刺を手に入れた。
神楽「ここから出るための電話番号……一体、どこにあるのかしら……?」
 神楽も探索のため美術室を出ようとする、だが突然、扉が閉められる。
朝霧「ずっとここにいようよ……私と一緒に……」
 黒猫のぬいぐるみを抱いた小さな女の子の幽霊(朝霧麗子)が微笑している。神楽に飛びかかり、その腕を掴む。
 途端、記憶がフラッシュバックする。病院、怪我をする少女、窓に立つ少女、迫るトラック、驚く看護婦。
 少女は手をはなして距離をとり。「……うそつき……」と言って消えた。
神楽「あの子、うそつきって……?」
 一人残された神楽、とりあえず美術室を出ようと扉を開く。開いた瞬間、セーラー服の幽霊(小倉舞)がいた。
小倉「みぃつけたぁー。2人にも教えなきゃあ……」
 消えた幽霊。廊下を進むと、黒猫がいる、黒猫は階段を下って1階へ。黒猫がこちらを待っているので追いかける。
 保健室にたどり着き、入ると、ベッドの向こうで涼谷がしゃがみこんでいた。
涼谷「こ、これは夢だよ……き、きっと夢落ちに……こういう時はきっとそんな展開に……」
神楽「誰…? 誰かいるの? す、涼谷くん?」
涼谷「あ……あぁ、君か。ねぇ……一体どうしたらここから出られるのかなぁ」
涼谷「きっとここは次元の狭間何だと思うんだけど、現実の世界とわずかに次元がずれてて、何かのきっかけでぼく達は」
涼谷「その狭間に落ちてしまったんだ……そうだ! 『黒のページ』に秘密があるんだよ! きっと条件があって……」
涼谷「それを満たせば怨念が解けたり……、出口が見つかったり……。そんなパターンだと思うんだけど……」
涼谷「ねぇ……君、何かヒント知らないかなぁ!」
神楽「あ、あのね、ここでは携帯で電話をかける事で移動ができるって、さっき会った白江という人が言ってたんだ……」
神楽「でも自分の携帯はダメみたいなんだけど……」
涼谷「な、なんだ。自分の携帯じゃダメなのか……!! だったら……!」



505 :CALLING~黒き着信~:2013/08/15(木) 21:43:26.30 ID:n75VIYnv0

神楽「あ、ちょ、ちょっと! 話を最後まで聞いてから!」
 携帯で電話をかける涼谷。すると突然、驚きの声をあげながら、その場で後退し、ベッドの後ろに倒れ込むように落ちた。
 神楽がベッド向こうに行くと誰もいない。携帯電話だけが落ちていた。
神楽「これが……転移……?」携帯電話を入手。「この携帯も、なにかの時に使えるかもしれない……」
 保健室を出る。白江から連絡が入る。
白江『無事みたいだな……、さっきの坊やは見つかったのか?』
涼谷「保健室にいたんだけど、電話を掛けて消えちゃった……」
白江『そうか。君も早くここから『転移』した方がいい。ここの霊は危険だ』
神楽「白江さんは?」
白江『オレはもう少し、調べなきゃいけない事があるんでな。『転移』すると今の携帯を置いていってしまうから』
白江『連絡が取れなくなるかもしれんが……幸運を祈っている』
 廊下を歩く神楽、するとすぐに写真メールが送られる。それは最初の方に見た3-2の教室の扉の写真だった。
 扉は開かないが、下に小さな穴があいている。
神楽「片方の携帯を投げ込めば、もしかしたら……?」 
 穴の中に携帯を滑り込ませ、もう一つの携帯で扉向こうの携帯に電話を掛ける。すると視野がどんどん暗くなっていった。
 気付くと教室の中に居た。落ちていた携帯を拾う。すると穴の向こう、扉外の廊下で幽霊(太田久美子)の声がした。
太田「私の携帯、みぃつけたぁ……」
 こちらに気付かず、携帯を拾って去っていった。
 教室内でノイズが大きい所、教壇の場所で録音機能を使ってみる。完了した後、聞いてみた。
『ねぇ、この記事見てよ。ネットカフェで男性死亡。ゲームのやりすぎで死んだとかいうアレでしょ?』
『あぁ、ニュースで聞いた事があるぅ……でもそれがどうかしたの?』
『ニュースではゲームのやり過ぎっていってるけど、この記事によると「黒のページ」ってサイトに秘密があるらしいよ』
『最近ウワサになってるサイト?』
『そうそう、今度はこれを調べてみない? ひとりかくれんぼも飽きてきたしさー』
 その後、教室内を調べると、机の上に雑誌があり、そこに電話番号が書かれていた。997-494-582。
細川「ここにも遊び相手がいたじゃなぁい……!」
 神楽は三人の女子高生の幽霊に追いつめられる。「早く、ここから逃げなきゃ」
 神楽は三人の攻撃を振り払いながら、教室中を逃げ回り、なんとか先ほどの電話番号を打ち込み、転移に成功した。

醒ノ章 了


512 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 16:10:29.28 ID:lMxsguSO0

続き


闇は身体を包み込むと 心の内側から蝕んだ
身体は粒子となり 電波の流れに押し流され
内側へと落下していく 完全な闇
それは”虚無”だった 永遠とも思える一瞬の後、
私は”虚無”に漂う記憶の形骸の上で 再び結晶化する

●徨ノ章 オウノショウ  神楽凛

 目を覚ました神楽凛。
神楽「ここは……、ネットカフェ……? とりあえず、あの3人組からは逃げられたみたい……」
 扉は開ず狭い個室。パソコンが置かれ、MMORPGのポスターやお客様への注意事項などの張り紙がある。
 色々と置かれた小物の中、床に落ちていた携帯を入手。するとパソコンに向かって何かを打ち込む幽霊が現れる。
 立ち上がるとそのまま消える。消えた場所の椅子を調べるとメモがあり、29と書いてあった。
神楽「何の番号だろう……?」
 床に二桁の数字を入れる箱、そこに29を入れる。中はバラバラのビスクドールで、パーツを一つずつどかしていく。
 すると「藤村儀三郎」という男の名刺があった。書かれた997-818-662を携帯電話に入れる。

 気がつくと、神楽はたくさんの日本人形に囲まれた場所に転移していた。
 畳の上に年老いた女性(岸部千代)が倒れている。 
神楽「幽霊……じゃ……ない?」
 側により、話しかけると、起き上がった。
岸部「わたし、どうしちゃったのかしら……」
神楽「おばあさん、おばあさんはどこからここへ来たんですか……?」
岸部「あぁ……、お人形さんがいっぱいだねぇ……。ほら、あの人形なんて、あの子、れいちゃんによく似ていない……?」
神楽「あの……、おばあさん、聞こえています?」
岸部「ここはどこなんだろうねぇ……、あら、あなた、どこかで見た顔ね。ごめんなさいね、最近すっかり忘れっぽくなって」
岸部「ほんと、年は取りたくないねぇ……」
神楽「!! 携帯? おばあさん、ちょっとここで待ってて……」
 コール音、携帯を探して部屋内を探索する神楽。途中で人形が並ぶ写真があった。



513 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 16:11:30.45 ID:lMxsguSO0

 襖を開けるには畳の上の人形をどかさないといけない、写真の順番にどかす。四回順序を間違えると死ぬ。
 襖を開けると、最初の章で涼谷が迷い込んでいた場所だった。携帯のコールはもっと奥からのようだ。先に進む神楽。
 廊下を歩くと天井から市松人形が落ちてくる、天井を見ると子供の声と共に人形達がさかさまに天井に張り付いていた。
 人形達はすぐに消える。廊下を進んで電話のコールが鳴る部屋の前に行く。最初の章で涼谷がいた黒電話のある部屋。
神楽「!! 何これ!? 何でこんなに髪の毛が……!」
 たくさんの髪の毛が扉の周りに張り付いている。髪の毛は気にせず扉を開けて中に入る神楽。
 部屋の中、携帯を探す。ベッドの下からコール音がするのでしゃがみこみ携帯電話を取る、涼谷の幽霊がベッド下にいた。
 携帯電話を入手。涼谷の幽霊が「助けて、助けて」と言いながら襲い掛かってくる。扉を開けて逃げる神楽。
 追いかけてきて、廊下で何度も襲い掛かってくる涼谷。廊下の他の扉は開かない。
 逃げ回っていると黒電話が鳴り、その音に涼谷の幽霊は苦しみだして消えた。とりあえず部屋に行き、黒電話をとる。
朝霧『約束したのに……、来るって約束したのに……、私の事、もういらないんでしょ』
朝霧『いなくなればイイと思ってるんでしょ。……お母さんのバカァ!!』
 おばあさん(岸部千代)の所に戻ることにした神楽。途中で老人の幽霊(近藤淳二)が「私の人形」と言った後、消える。
 おばさんの所に行くが、どこにもいない。
神楽「あれ……? どこ行っちゃったんだろう?」
 畳の上に番号メモがあった。岸辺道人 997-618-252 黒宮病院204号室。神楽はここに電話をかけた。
 
 気がつくと病院の治療室にいた。携帯電話を入手し、ノイズのある所で録音し、再生した。医者と看護師の声。
『ご免なさいねー。処置しますから、服切りますよー』『脚の他に痛いところある? ここは痛い?』
『…う、ぅう』『ライン確保しました。ご免なさいねー。血圧測りますよー』
『左側の写真撮るからポータブル持ってきて。あと血液、クロスチェックにまわして。バイタルは?』
『脈拍112、血圧54の103』『腹部を診るからエコー持ってきて。念の為に頭部のCTも撮るから、連絡お願い』
『スネの骨が折れてるから。腫れが引いたら手術が必要になるからね』
 部屋を出ると、廊下の先で女看護師がどこかに向かって歩いているので、追いかける。
 二階へと登って行く。病室の前に立って消えたのでその部屋に入る。ノイズがあるので録音して再生。子供と老人の会話。
岸辺道人『おぉ、よく来たね。今日は調子いいのかい?』
朝霧『うん。……ねぇ、聞いてくれる? 最近楽しみをみつけたの』
道人『ほほぅ。それは聞きたいねぇ。何がそんなにれいこちゃんを元気にしてくれたのかな?』
朝霧『ちょっと前にインターネットを始めたの。チャットで友達がたくさん出来て……』
朝霧『入院してから友達がいなかったから、毎日が楽しみで楽しみで』
道人『私だって友達じゃないかい?』
朝霧『おじいちゃんも友達よ。とても大事な。でも年の近い友達が欲しかったの……』
道人『そうか、年の近い友達は大事だからな。ほっほっほっほ……』
 ベッドの上に番号メモがある。岸部千代997-082-196。神楽は電話をかけた。



514 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 16:13:22.67 ID:lMxsguSO0

 岸部さんの家。テーブルの上の携帯電話を入手。二階から足音がする。台所でマッチを入手。階段を上に行く。
 二階に着いた所で懐中電灯が切れる。うす暗い中、襖の隙間から仏壇の前に座る少女(朝霧麗子)の後ろ姿が見えた。
 少女が消える。別の所から部屋に入ろうとすると、上に飾られていた写真が落ちて壊れる。
 仏壇のろうそくを手に取り、マッチで火をつけた。蝋燭の火を明りにし、部屋を探索。岸辺道人の手紙を入手する。
「岸部千代様 
 いつも世話ばかりかかけてすまない。最近は冷え込むようになったから、お前も膝が痛むだろう。
 見舞いも無理してまでくる事はない。先日、かわいい友達ができたよ。上の階に入院している子だ。
 気晴らしに屋上へ出たらその子がいてな、ついつい話し込んでしまった。今では時々病室まで遊びに来てくれる。
 まるで孫がもう一人できたみたいだよ。今度来た時にでも紹介しよう。お前も身体には気をつけて。  岸辺道人」
 側にあった写真立て、それはに人形の所で見たおばあさん(岸部千代)だった。
 下の階から電話が鳴っている。その前に押入れを調べると、木製のピースが手に入った。
 玄関前の黒電話をとると少女(朝霧麗子)の声。
朝霧『どうして死んじゃったの……? 退院したら、いろんな所へ遊びに連れてってくれるって約束したのに……』
朝霧『みんな私をおいていってしまうの……? 私、独りぼっちになっちゃった……』 
 神楽が後ろを振り向くと少女の幽霊(朝霧麗子)が俯いている。ゆっくり神楽に歩み寄り、眼前まで寄ってから消えた。
朝霧『独りぼっちになっちゃった……』
 寝室に行くと老人の幽霊が寝ていた。すぐに消えて木製パズルが残される。ピースを嵌めて完成させる、中に手紙がある。
「岸部千代様
 暑中御見舞い申し上げます。すっかり御無沙汰しております。厳しい暑さが続いておりますが、如何お過ごしでしょうか?
 一度、病院の方にも検診に来ていただけたらと思います。もし、来院に抵抗が御座いましたら、
 私個人宛に連絡をいただいても一向に構いません。以下に連絡先を記しておきます。
 個人の携帯電話ですので、お気軽に御連絡ください。
 997-116-286 くれぐれもお体を大事になさってください。 日比野鏡子」
神楽「日比野鏡子……この名前、どこかで……」

徨ノ章 了


516 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 16:21:19.01 ID:lMxsguSO0

 暫くは、ただぼんやりと今までの人生を思い出すためだけに、時間を費やしていた。
 ぽっかりと開いた胸の穴を持て余していたのだ。それだけにタケシの心遣いはとても嬉しいものだった。
 本当、長生きはしてみるものだと思った。あの人と知り合った頃、何日も手紙を待ち続けた日々が懐かしい。
 もしあの時これがあったら、どんなに便利だったろうと思う。先日、『死者に会える所がある』……そんな噂を目にした。
 最先端の技術にも、昔からある様な迷信は息衝いているものだと悟った。……でも、ちょっと覗いてみようかしら。
 
●還ノ章 カンノショウ  岸部千代

 日本人形の部屋。倒れた所を神楽に起こされたおばあちゃん、岸部千代。
 電話の鳴る音で去っていく神楽を見送った岸部千代が振り向くと、学生服を着た若い男性の幽霊が立っていた。
 神楽が開く事の出来なかった襖が開いて、男は去っていく。
千代「あの人……どこかで……」
 神楽に待っていてと言われていた千代だったが、追いかけざるおえなかった。
 襖の向こうは光り輝く森だった。
 ゆっくりと歩いて進む学生服の男性。走る事の出来ない千代も、ゆっくりと森の中を追いかける。
 森の中は時々、人の大きさの光の影がそこら中にあった。
 どんどん光が強くなっていく。まぶしくて、何も見えないが千代はゆっくりと追いかける。
 気付くと病院に居た。明るい病院の中を進む。
 待合室の椅子に女の子(朝霧麗子)が座っていた。だがすぐに消える。
千代「あら……? あの子……?」
 病院の廊下を進む。するとまたさきほどの女の子がいた。少女は担架で運ばれる別の少女(神楽凛)とすれ違う。
千代「……まぼろし?」
 岸部千代は階段を上る。廊下の向こう側に車いすの老人がいた。
千代「!! あなた……道人さん!」
 老人、岸辺道人は女の子と何かを話して消える。
 廊下を進む。気配に振りかえると黒猫がいて、去っていく。白い影の中、岸部千代は追いかける。
 男性が食堂室の前に立っていた。中に入ると、岸部千代と岸辺道人と女の子、千代と女の子が互いに挨拶している。
千代「あぁ……、私は夢でも見ているのだろうか……、また道人さんに会えるなんて……」
千代「ここが死者に会える場所なのかねぇ……」
 病院を進み、医者の待合室のような所へ。据え置きの電話が鳴っているので取ると、少女の声がした。
朝霧『ここへ来ちゃいけない……、ここへ来たって、おじいちゃんは、いないんだから……』
朝霧『おばあちゃんは、特別だからね……』
 廊下に出ると、最初の若い男性が廊下の向こうへ歩いている。千代は追いかける。
 男性が消えた病室204へ入る。ベッドの上で古ぼけた写真と携帯電話を手に入れる。
千代「あぁ……そう、思い出したわ……、なんて懐かしい……。あら、電話が勝手に……」
 勝手に電話番号が入り、電話がつながる。男の声がした。
道人「なにもこんなところまで来なくても……しょうがないやつだ」
道人「お前にはいろいろ苦労をかけたな……、すまなかった」
道人「……有難う」
 
還ノ章 了



517 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 16:25:42.68 ID:lMxsguSO0

ちょっと説明が不足してた
若い男性は若いころの岸部道人
手に入る古ぼけた写真に写っている

まだ容量大丈夫か? 書き込めるのか?

 


6 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 17:08:23.56 ID:lMxsguSO0

 ほら、ここから入れそうだ。
 待てよ。マジで入るの? これって不法侵入にならない?
 なんだよ。怖いのか?
 バカ。怪我してもしらねぇゾ。
 ちょっと写真撮るだけだって。こんな身近に雰囲気のイイ廃墟があるんだし。取り壊される前に記録しておかないと。
 ここってアレだよな。5年前の……。
 そう。入院患者や病院関係者が連続して死んだあの事件の。
 結局、あの事件で死んだ人の死因ってナゾのままで終ったんじゃ?
 院内感染とか言われてたけど……『呪い』って話もある。
 ウソっ。マジで……?
 
●哭ノ章 コクノショウ  神楽凛

神楽「日比野鏡子……この名前、どこかで……」
 神楽は日比野鏡子のハガキに書いてあった電話番号で、転移する。
 
 病院。手に持っていた蝋燭の火が消える。テレビの下からコール。携帯電話を入手。通話する。
日比野『あの子を……あの子を助けたかった……』
 振り向くと、看護婦の幽霊(日比野鏡子)が部屋から出ていっていた。出ると看護婦が廊下を歩いて行くので追いかける。
 ナースステーションで看護婦が両手で目を覆っている、看護婦が消えた所で日比野の日記を入手。
「4月1日
 担当の患者さんに挨拶してきました。名前は、朝霧麗子ちゃん。
 受け答えはきちんとしてくれたけど、なんだかとても静かで内向的な印象。
 入院してるほかの子供ともうまく馴染めていないみたい。緊張してるのかな。
 麗子ちゃんが毎日楽しく笑って過ごせるようにがんばろう」
 看護婦と麗子が並んで笑顔の写真。今まであった幽霊の少女が、朝霧麗子である事を神楽は知る。
 部屋を出ようとすると自転車に乗ったピエロの人形が走ってきて止まる。
 廊下を歩いていると朝霧麗子が現れる。
朝霧「みんな私をおいて、どこかに言ってしまうの……、暗い闇の中で独りぼっちなの……、寂しいよ……」
 朝霧麗子と戦闘。ただひたすら回避して逃げる。画面が真っ赤な時は一撃死。一定時間逃げると消える。
 204号室で録音再生。岸辺道人と朝霧麗子の会話。
道人「おや、れいこちゃん。今日は顔色がいいねぇ?」
朝霧「さっきね、チャットの友達がここまで来てくれるって約束したの、……まだ先の事なんだけど、待ち遠しいな」
道人「ほう。それは楽しみだ。でも、会う時にはもっと元気にならんとな」
朝霧「うん。じゃあね、おじいちゃん」
 廊下に置いてあった車椅子の上のラジオカセットから、電池を抜き取る。背後に日比野さんが登場。
日比野「あの子を……あの子を助けたかった……」
 その後、202号室で日比野の日記2を入手。
「6月19日
 お見舞いに来ていたお母さんが麗子ちゃんに携帯電話を渡していました。
 この病院では談話室での携帯電話の使用を許可しています。
 このご時世、病院とはいえ携帯くらいは使えないといけないみたいです。
 これから更に仕事が忙しくなるそうで、これまでの様にお見舞いに来れない分、
 せめて声だけでもいつでも届くようにとおっしゃっていました。
 ためしにと電話をかけてお母さんとお話しする麗子ちゃんは、
 びっくりするくらい生き生きとしていて、素敵な笑顔だったな」



7 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 17:09:45.73 ID:lMxsguSO0

 手術室で日比野の日記3を入手。
「9月12日
 麗子ちゃんが楽しそうにしているのを見ました。
 何かあったのかなと思って聞いてみたら携帯でチャットしているみたい。
 なんでも待合室においてある雑誌にそういった記事があったとか。
 解放された談話室から鼻歌が聞こえてくるくらい。
 ふと気付くと、私の携帯にメールが届いていました。麗子ちゃんからでした。
 近くにいるのにわざわざメールしてくるなんて。よっぽど携帯が気に入ったのかな。
 今の麗子ちゃんにとっては、唯一、外の世界と繋がる事のできる手段なのかもしれない」
 204号室で日比野の日記4を入手。
「11月17日
 今日、病室に行くとひびの入った携帯電話が床に転がっていました。
 このところ、お母さんに電話をしても留守番電話が多く、たまに繋がっても結局その事で言い争いになって、
 つい頭にきて携帯電話を床に投げつけちゃったみたい。
 でも、きっと麗子ちゃんは後悔してる。お母さんは仕事で忙しいんだって、ちゃんとわかってるから。
 麗子ちゃんに病院の固定電話を使わせてあげられないか師長に相談してみると、快く了承してくれました。
 さすがにいつでも、というわけにはいかないので、消灯時間前の20分という条件付き。
 チャットは談話室のパソコンでも出来るから、明日にでも使い方を教えてあげよう」
神楽「この子……一体どのくらい入院していたのだろう。長い入院の末に……やっぱり……」
 食堂で日比野の日記5を入手。
「12月19日
 相変わらず、麗子ちゃんのお母さんから電話はほとんどありません。
 こちらからかけても、めったに出る事はないみたい。いつも留守番電話ばかり。
 倒れたりしていなければいいけれど。
 お母さんからの電話が来ているときは麗子ちゃんの体調も安定して、
 外科手術に取り掛かれるほどになるかもしれないと期待されていたのに。
 最近はずっと沈みっぱなしでまるで初めて会った時のよう。
 時間があくたびに麗子ちゃんの所へ行くけれど、やっぱり寂しそう。
 なんとか元気にしてあげたいのにな。」
神楽「あの看護師さん、ずっとあの子を見守ってきたんだ……霊になってもまだ、その気持ちを持ち続けているんだ……」
 食堂でノイズを録音、再生する。
道人「あぁれいこちゃん。こっちにおいで。」
朝霧「……岸辺のおじいちゃん。」
道人「紹介しようか……私の奥さんだ。」
朝霧「こんにちは。朝霧麗子です。」
千代「こんにちは。岸部千代です。いろいろ話はきいてるわよ……」
道人「れいこちゃんはスゴイんだ。私のパソコンの先生だぞ。」
千代「あら、そうなの……? 私も教えてもらおうかな。」
道人「何を図々しく……お前はタケシに教えてもらえばいいじゃないか。」
朝霧「隣の談話室にパソコンあるの。メールとかチャットができるから遠くの友達ともお話ができて楽しいの。」



8 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 17:10:50.16 ID:lMxsguSO0

 301号室で日比野の日記6を入手。
「3月14日
 麗子ちゃんの手術から1週間。経過が思わしくない。
 手術自体には問題はなかったはず。なのに症状の改善は全く見られない。
 むしろ、手術で体力を消耗してしまい術前より悪い状態だ。
 情緒不安定になりがちで食事も受け付けないようになってしまっている。
 ついさっきまで私に顔を押し付けて1時間も泣きじゃくっていた。
 いまは静かに寝ているけれど少し腫れているまぶたが痛ましい。なだめる事しかできないなんて歯がゆくて仕方ない。
 最近はチャットを見に行く回数も減っているみたい。
 どうしたんだろう。今度、時間がある時に私ものぞいてみようかな。」
神楽「日記を読むと、あの看護師さんの想いが流れ込んでくる。私に、何かを伝えようとしてる……」
 黒猫がいたので着いて行くと302号室に入って行ったので、開けると境界の狭間に落ちそうになる。
 ナースステーションの黒電話が鳴る。
「救急隊からの受け容れ要請あり。受け入れる事になりました。1階で受け容れ準備お願いします。」
神楽「1階? 1階に行く必要性が……? でもどうやって……」1階への道は閉じられていて、行く事が出来ない。
 すると日比野鏡子の幽霊が後ろに立っていて、消える。足元に名刺が落ちていた。
 黒宮病院院長 黒宮芳夫 997-447-619。
 電話して院長室に飛ぶ。机の引き出しを引いて携帯電話を取ると、院長の霊が襲い掛かってきて退ける。
 廊下への扉が開いたので廊下に出る。処置室の前でノイズがあり録音して聞く。
「左下肢、骨折の可能性大です。左脇腹に打撲痕。痛みがある様です。頭も強打している様ですが意識はあります。」
「しっかりしてください! 私の声、聞こえますか!」
 そして神楽凛は子供のころを思い出す。トラックにはねられて、運ばれた病院。
神楽「この病院……そうか、あの交通事故の時、運び込まれたのはここだったんだ……」

 過去の看護師の日比野と、病床で横になる神楽。
日比野「今日は、顔色良いね。元気になってきた?」
神楽「……うん。あ、あの……ちょっと聞いてもいいですか?」
日比野「なあに?」
神楽「事故にあった日……私……、この病院で人と会う約束してたの……。でも、ハンドルネームしか知らなくて……」
神楽「ここに入院している人だと思うんですけど……。『黒猫』ってハンドルネームの人なんですけど、知りませんか?」
日比野「……知ってるわ。……つい先日、元気に退院していったの。」
神楽「ホントですか!?」
日比野「でも、ごめんなさい……、病院の規則でこれ以上患者さんの情報は教えられないの。」
神楽「そう……ですか。」



9 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 17:11:54.97 ID:lMxsguSO0

神楽「そうだ、日比野さんだ。私を担当してくれた看護師さん……。でも、どうして日比野さんが霊に……?」
 持っていた電話が鳴る。相手は白江だった。
神楽「あれ? も、もしもし?」
白江「その声は……? まさか君が出るとはな……。そこは黒宮病院だな?」
神楽「ええ、どうして白江さんが……?」
白江「病院へ『転移』しようと思ったんだが……、ま、それはいい。それより、よく聞くんだ。」
白江「『境界』にはいろんな場所が点在するが、これらが発生した事の発端は、その黒宮病院にはるはずだ……」
神楽「それって、どういう事……?」
白江「平たく言えば、『黒のページ』を使って我々を『境界』に引きずり込んだ犯人がいる……!! う、うわっ!!」
神楽「!? 白江さん!? もしもし!! 白江さん!!」
 電話が切れる。
神楽「私達を『境界』に引きずり込んだ犯人って……?」
 そして霊の気配、辺りを見回すと朝霧麗子が出てくる。
朝霧「独りぼっちはつらい……寂しい……だから、みんなを呼んだの……。あなたも……あなたも、ここの一部になるの」
 朝霧麗子、以前と同じで一撃死を注意して回避を何度もする。時間が経つと消える。
 院長室に行き、また日比野の幽霊が立っていた棚を調べると、日比野の日記8を入手。
「7月14日
 午後3時50分、岸部さんがこの世を去りました。
 新しく孫ができたみたいだよ、と笑っていた顔が頭に焼きついて離れない。
 看護師になってから、幾人かの患者さんを見届けて、そのたびに泣いてしまっていたけれど、
 こんなに大泣きしてしまったのは初めてだ。先輩に背中をさすられてしまうなんて看護師としては恥ずかしい事。
 でも我慢できなかった。岸部さんのベッドにしがみついて泣き叫ぶ麗子ちゃんを見たら、とても耐えられなかった。」
神楽「!! 岸部さんって! 看護師さんも岸部さんもみんな、あの子に繋がっている……?」
 待合室のカウンターに行くと日比野の幽霊。調べると日比野の日記9を入手。
「7月26日
 麗子ちゃんの状態は深刻だ。
 身体は日に日に痩せていて、食事はほとんど食べなくなってしまった。何度促してみても食欲が無いという。
 最近、まったくお母さんと連絡が取れなくなってしまった事も原因の一つになっていると思う。
 実は先月分の入院費の払い込みがなく経理では困っているらしい。お母さんも、ずっと苦労をしているので心配だ。
 さっき麗子ちゃんの様子を見に行ったら、放っておいてと言われた。
 でも黙って頭を撫でてあげたら少しだけ甘えてくれた。
 やっぱり意地を張ってるだけなんだ。本当は寂しくて辛いんだよね。
 来週ネットの友達が会いに来てくれるという事になったみたい。
 麗子ちゃんにとって、ここしばらくで唯一のうれしい出来事のようだ。
 これをきっかけに少しでも前向きになって欲しいと思う。」
神楽「!! ネットの友達が会いに……?」
 玄関でノイズを録音し、再生する。
朝霧「もう1時間か……。こないのかな……今日の約束は、ウソだったのかな……。他の人と同じだったのかな……。」
朝霧「うわべだけで、私の事なんか何とも思ってなかったのかな……。……信じていたのに……」



10 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 17:15:47.66 ID:lMxsguSO0

 処置室に行くと日比野の幽霊がいて消える。日比野の日記10を入手。
「8月1日
 困った事になった……。
 今日、同僚の日高さんの愚痴を聞いていた。最近の麗子ちゃんについてだ。
 病状も良くないのだけど、精神的にもかなりネガティブになってきている。
 それで身近な私たち看護師にあたる事も多くなっている。私たちにとっても、とても辛い状況だ。
 日高さんもストレスを溜めていた様なので少し口を聞いていたのだ。
 その話の内容を麗子ちゃんに聞かれてしまったのだ……。うっかりしてた……本当に……。
 それから口を一切聞いてくれない。食事も投げ散らかすようになってしまった。
 あんなになついてくれていたのに……。もう一度、元の関係に戻れるか自信が無い……。」
 日比野の声が聞こえた。
「私は……あの時……、麗子ちゃんを独りにしてしまった……。一番支えが必要な時に孤独にしてしまったの……」
神楽「日比野さん……『黒猫』さんは元気に退院したって……、もしかして、あれはウソだったの……?」
 廊下を歩いていると、日比野の幽霊がエレベーターに入って行った。エレベーターの前に、鍵が落ちていて入手。
 日比野の携帯電話にかけて転移。落ちていた携帯電話を入手。
 2階ナースステーションの扉の鍵を開けて、日比野の日記7を入手。
「4月10日
 インターネットの掲示板やチャットが荒れているという話は聞いた事があったけど、実際に目の当たりにするとかなりショックだ。
 ましてや身近な人がその標的になっているなら、なおさらだ。
 なんであんなにひどい事を書き込めるんだろう。
 入院生活の長い麗子ちゃんにとって病院も病気も日常だ。
 だから、そんな話題が多くなるのは当然の事なのに……。
 それを、うるさがったり面白半分に茶々を入れたり……、彼らは麗子ちゃんの送ってきた生活も家族の疎遠も知らない。
 知らなければ何を言ってもいいの? そんなの悲しすぎる。」
神楽「あ、荒れているチャットって……も、もしかして……」
 目の前のパソコンが起動する。
 チャットで病院の話をする黒猫を煙たがっている三人と、酷い事を書かないでと書くリン。
 三人が退室した後に入室してリンに礼を言う黒猫。
神楽「!! これは私が参加してたチャットサイトだ……。どうして、これが……。『黒猫』さんって…………」
 背後に朝霧麗子の幽霊が出るが、振り向くと消える。
 部屋を出ると日比野の幽霊が歩いているので、ついて行く。パソコン談話室の前で消えるので、続いて入る。

 過去の映像が流れる。日比野と朝霧麗子。
日比野「……麗子ちゃん、今日はここにいたの? そう……少し顔色もいいみたいね」
日比野「……さ、そろそろ検査の時間よ。1階で先生が待ってるわ。」
 立ち去る朝霧。日比野がチャットルームを見ると、落ち込んでいる黒猫にリンが会う約束をしていた。

神楽「やっぱり……。あの時、会う約束をした『黒猫』さんがここに入院していた朝霧麗子……。そして、私は……」
神楽「会う約束をしていたのに……事故にあって。」
 神楽は入院していたころの記憶を思い出す。



11 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 17:18:45.35 ID:lMxsguSO0

 朦朧とした意識で、窓を見る病床の神楽。
 窓際に立つ少女。
 扉を開けて驚いた顔で、止めようと走り出す日比野。
 
神楽「うそっ……!! 夢だと思っていたのは入院の時の記憶……。……『黒猫』さん。……あれは『黒猫』さん!?」
 頭を押さえて首を振る神楽。振り向くと日比野の幽霊が居て、目があう。
日比野「麗子ちゃんは、心のどこかでまだ待っているはず……。あの子をいま救えるのは……、きっとあなただけ……。」
神楽「待ってる……? 黒猫さんが……いまでも?」
 消える日比野。黒宮の携帯電話にかけて転移。携帯電話を入手した後、1階の玄関で座って待つ朝霧に歩み寄る神楽。
神楽「あなたが……『黒猫』さんだったのね。」
神楽「聞いてくれる。……私、約束をやぶったわけじゃないの。あの日、ここへ向かっていたのよ。本当に……。」
神楽「でも、途中で交通事故にあって。そしてここに運びこまれて……。」
神楽「偶然だけど、隣のベッドにいたんだよ。もし、私が目を覚ますのが、もう少し早ければ……」
神楽「これは言い訳だよね……約束守れなかったのは事実だから。」
神楽「ごめんなさい……ごめんなさいって、今更だよね。もう、取り返しつかないよね……」
神楽「もう、私がここの住人になるのも、時間の問題だと思うの……。そうなったら『黒猫』さんと一緒にいるよ、私。」
神楽「なら、もう寂しくないよね……? 辛かった事も、それで忘れられる……?」

 歩きだして神楽の横を通り過ぎる朝霧麗子。そのままどこかに歩いて行くので、追いかける。
 画像が全体的に暗い。時間でどんどん恐怖メーターが上がっていくので、早く追いかけないとゲームオーバー。
 302号室、朝霧麗子の病室に入る。すると窓際に少女の幽霊が立っている。
神楽「ダメェエエ!!!!!!」
 走り出し、朝霧麗子を抱き止めようとする神楽凛。 
 しかし幽霊には触れられず、その勢いのまま窓の外へ。朝霧麗子を通り過ぎて、神楽は境界の狭間へと落ちていった。
 その後、朝霧麗子は生きていたときのように窓から飛び降り自殺をした。
 


 岸部千代が病室のベッドで目を覚ます。横に座っていた男が岸部千代に気付いて立ちあがり、話しかけてくる。
「あ、ばあちゃん!? 分かる!? オレ、タケシだよ!」
「良かった……! ま、待ってて。みんなを呼んでくるから……!」
「とうさん! かあさん! ばあちゃんが! ばあちゃんの意識が戻ったよ!!」
 立ちさるタケシ。岸部千代は体を起こし、側にあった携帯電話を手に取る。
 そこには岸部道人からの着信履歴があった。

 


「隠された章を受信しました」


1週目は必ずバッドエンドで終わり。


 

 


520 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 22:04:33.25 ID:lMxsguSO0

使いきるって書いてました、本当にすいません、次スレの>>11の続き

2週目、ここから白江真が主人公の章が入る。

●界ノ章 カイノショウ 白江真

 白江真が、部屋の床で目を覚ました。「なんだ……この部屋。どうして……こんなところに……」
 アニメの女の子のフィギュアやポスターが並ぶ部屋主はオタク(涼谷しんいち)だと思われる部屋。
白江「同僚の天野が、突然倒れて意識不明になり、数日後、原因不明のままこの世を去った。」
白江「ヤツが調べていた事件と同じように、だ。きっとヤツの事だから、一連の事件の真相に近付いたに違いない。」
 天野の取材ノート1を見る。
「次号で『黒のページ』についての特集を組む予定でいる。その準備のためにまず『黒のページ』について、
 まとめてみようと思う。正直よくわからない事だらけだ。いまわかっている事はこの2点。
 1:『黒のページ』というサイトがある。
 2:そこからチャットに繋がる事がある。
 『黒のページ』自体は誰でも閲覧する事ができる。オカルトを取り扱った掲示板などによく張り付けられているからだ。
 しかし、実際に見ても問題のチャットに飛ぶ事は無かった。何か条件があるようだがわからない。
 そこでまず『黒のページ』が原因だと言われている事件を追う事にする。」
白江「ヤツの机の中に、これを見つけた。これを手掛かりに『黒のページ』を見つけ、」
白江「チャットルームに繋がったと思ったら……。一体、オレはどうなってしまったんだ?」
 ベッドを調べると目覚ましが鳴るので止める。枕の下から携帯電話を入手。所持しているメモ帳にそれの電話番号をメモ。
 本棚はアニメなどの他に心霊現象もの本やポスターもある。フィギュアやポスターは武装戦士MAKOというらしい。
 パソコンを開く、ユーザ名に「ARMED SOLDER」と入っている。パスワードに「MAKO」といれる。
 最初の黒のページのチャットが開く。最後に997-684-771と書かれていた。電話をかける。
 気付くと白江真は見知らぬ、薄暗い部屋にいた。手にあった携帯電話が無くなっている。
白江「どういうことだ? 電話を掛けただけのはずなんだが……」
 部屋の電気をつけると棚のマネキンの頭が落ちる。どうやらここは美容室のスタッフルームらしい。
 床に落ちていたメモ用紙、天野の走り書き1を手に入れる。
「こうなるだろうとは思っていたが、実際に来てみると信じられないものがある。
 ここは最初に取材に行った美容院にそっくりだが同じ場所ではないようだ。出口が無い。いや、正確にはドアはある。
 しかしその先が無い。出口の先には地面も空も何も無い空間がぽっかりと口を開いている。
 ためしに置いてあったファッション誌を投げ込んでみたが音も立てずに視界から消えてしまった。
 安全である保証が無い以上はここに飛び込むのはリスクが高いだろう。
 意識を失った人たちが数時間の間は生きていたというのはまさに今の俺のような状況だったのではないか。
 たとえるなら生と死の境目、仮に『境界』と呼ぶ事にする。」
白江「! これは、天野の字!」
 明るくなった部屋を見るといくつものかつらを付けたマネキンなどがある。机の上の携帯電話を入手。
 部屋隅のロッカーを開くと放浪者のメモ9を入手する。一つロッカーが鍵がかかって開かない。
「ひとまず状況を紙に書いて落ち着こう。ついさっきまで、私は部屋でインターネットをしていた。
 急に変なチャットルームに飛ばされて、戻る事もブラウザを閉じる事もできないから、
 しかたなく入場して彼らの話をきいていた。しばらくしてから『黒猫』ってハンドルネームの人が入場してきて、
 そのあとすぐに電話がかかってきた。その電話に出た後の記憶が無い。あの電話が原因なのは間違いないだろう。
 でも、あのチャットルームも気になるところだわ。」



13 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 22:12:41.45 ID:lMxsguSO0

 隣への扉を開き、鏡の並んだ美容室の部屋へと移動する。放浪者のメモ10がすぐに落ちていた。
「スタッフルームと繋がるドアに鍵がかかっていなかった。夜に人が出払った後だとすれば無用心過ぎるわね。
 やっぱり何か変。それにさっきから妙な視線を感じる……、長居はしたくないわね。」
 外へつながる扉を開く。天野のメモの通り、何も無い空間があった。
白江「!! 何だこれは……! 一体どうなっている!?」
 美容室を探すと、一番奥の物置にロッカーの鍵があり入手。「この鍵を使えばロッカーを開けられそうだ。」
 突然、気配に後ろを振り向くと美容師と思われる女性の幽霊が、誰も座って無い椅子に向かって髪を切っていた。
 消えると同時に部屋全体が暗くなる、電灯も点かない。ロッカーに行き鍵を開けると懐中電灯を手に入れる。
 懐中電灯で照らし美容室の方に行くと、客が待つためのソファーに天野貞夫の幽霊が俯いて座っていたが、消える。
白江「! ……今のは、まさか?」天野が座っていた場所に、天野の取材ノート2が落ちていた入手する。
「まず、美容室hの女性美容師死亡事件。
 死亡した美容師は加藤美野里、20歳。その年の春から働き始めた新人美容師だった。
 店長の話によると、その日は片付けを彼女に任せて先に帰宅した。翌日、出勤してみると、
 彼女は床に倒れており既に冷たくなっていたという。前日の彼女は普段どおりで特別変わった様子は無かったそうだ。
 店内には荒らされた様子も無く、また彼女の財布などもそのままバッグの中にあり、
 携帯電話は彼女自身が握り締めていたという。いちおう確認をとってみたが、店内にパソコンは無いという。
 『黒のページ』の手がかりは無いか。しかし不可解な点が多いので関係ないとは言い切れないな。」
 白江が音に振り向くと天野の幽霊がスタッフルームに入って行った。「……間違いない! 天野!」
 追いかけてスタッフルームに入るとマネキンの頭が全部おちている。部屋の奥まで行くと女性の幽霊が一瞬、出てくる。
 振り向くと倒れていたマネキンの頭達が全て起き上がって、ロッカーとは逆の隅の冷蔵庫を見ている。
 冷蔵庫を調べると、下に天野の走り書き2が落ちていて入手する。
「しばらく店内を探索したがたいしたものはなかった。使えそうなのは女性のものと思われる携帯電話くらいだ。
 この電話……繋がるんだろうか。物の試しに、取材で使った電話帳から適当にかけてみる事にする。
 997-118-029 997-494-582」
 とりあえず携帯電話に入力する。すると見知らぬ部屋にいた。ホテルの一室のようだ。
白江「どうやら本当に移動できるようだな……」
 バスルームを開けるとカーテンの向こう側で女性がシャワーを浴びている影が映る。カーテンを開くと誰もいない。
 浴槽に天野の取材ノート3が落ちているので入手。
「次はあるホテルで起きた死亡事件。思慕したのは出張中だった会社員の女性、名前は東海林恵子。32歳。
 チェックアウトの時間を過ぎてもフロントに現れない事を不審に思った従業員が鍵を開けると、
 彼女はイスに座った死んでいたそうだ。テーブルには一台のノートパソコン。右手には携帯電話が握られていた。
 彼女の上司が前日の午後10時頃に彼女とメールのやり取りをしている事から、死亡したのはそれ以降という事になる。
 しかし電話はしていないという。室内に荒らされた形跡は無く、
 完全な密室であった事から警察は事件性は無いと判断したようだ。しかし死因は公開されていない。」
 風呂を出ようとすると扉が開かない、何度も前後させて開けると東海林恵子の幽霊がいて襲ってくる、振り払う。
 部屋の棚を調べると天野の走り書き3を入手。
「こいつは驚いた。まさか携帯電話で移動できるとは。
 どういう原理なのかはさっぱりわからないがコールした向こう側の携帯電話の場所まで移動できるらしい。
 しかしどういうわけか自分の携帯電話にかけても通じない。真っ先に思い浮かんだ番号なのだが……。
 事はそう上手くはいかないようだ。」
 ベッドの上にホテルのメモ「369」。スーツケースに369と数字を入れ開ける。中には携帯電話が入っていた。



14 :CALLING~黒き着信~:2013/08/18(日) 22:13:41.31 ID:lMxsguSO0

 突然、ノイズが聞こえるので録音して再生する。
東海林『来月から社内の配置転換で担当が変わるの……そう。月イチで出張して来れなくなるわ。』
東海林『しょうがないじゃない……、自腹でここまで来れるほど、いい給料は貰ってないの。』
東海林『これからはあなたが来てくれる? ……ほぉら、やっぱりダメじゃない……。』
東海林『だったら、もうこれっきりの方が良いと思うの……』
 白江はもう一つ天野の走り書きにあった電話番号にかける。転移する。
白江「……移動はできても、携帯電話は置いてきてしまうようだな……」
 そこはネットカフェの個室。扉は開かないので外には出れない。携帯電話を拾い入手。
 天井の棚に、天野の取材ノート4を見つけて入手。
「次はキャラバンというネットカフェで起きたフリーターの死亡事件。利用者の男性が突然意識を失ったというもので、
 死亡した男性は根岸克也。29歳。当時、店内には客が複数入っていたがこれといって不審な人物は見当たらず、
 男性の知人などもいなかったため過労による心臓麻痺と処理された。残っていたチャットのログを調べたところ、
 『黒猫』というハンドルネームの人物の書き込みで終わっていた。『黒猫』とはいったい……?」
 携帯電話にメールが入る。そこに最初の部屋(涼谷の部屋)の写メが写っていた。ノイズが入るので録音再生。
根岸『あ、電話……、一体誰からだぁ……? あー……もしもしぃ? ……あ! あぁ、藤村さんですか……。』 
根岸『……。でですねぇ……代金のほう、もうすこし待ってくれませんか……、実はバイト、リストラされちゃって……、』
根岸『あてにした給料が入らなくなっちゃったんで……、ホント、スミマセン……、ちゃんと払いますから……』
 パソコンの電源が入り、根岸の幽霊が座ってキーボードを打っている。立ち上がると襲ってくるので振り払う。
 さっきの写メールの部屋に行くために、携帯電話で番号を打つ。涼谷の部屋に転移する。
 携帯電話を入手。パソコンを調べると黒のページの一番下に新たな番号が増えている。997-657-281。
白江「新たな番号が……これもアイツなのか?」天野がいれたとおもわれる電話番号をいれて転移する。
 転移した場所は学校の4回女子トイレ。女子高生の幽霊(小倉舞)が白江を見て驚き、手にメモ帳を去って行く。
白江「!? ……あれはオレのメモ帳! いままでの転移先の番号が書かれているのに……! 取り返さなければ……!」
 懐中電灯を付けて、脇に置いてあった携帯電話を入手。トイレから出ると美術室と思われる写メールが届く。
 305の教室に入り、放浪者のメモ1を入手。
「暗くて怖い。なんだよここ。気がついたら知らない場所にいるなんておかしい。そうだよ、これは夢だ!
 そうに決まってる! で、でもなんだか妙な音が聞こえる。なんだか不気味だ。背筋がぞっとする。
 それにこんなに暗くちゃなにもできない。何か明かりになるものはないかな……」
 ロッカーから天野の走り書き4を入手。
「一通り手元にある番号にかけてみたがそのうちのいくつかの番号は受話されてしまい『転移』はできなかった。
 内容は無言電話がほとんどだったが、妙な声が聞こえてくるものもあった。
 聞くだけで不安を掻きたてられるような不気味な声だった。死んだ人たちだろうか。」
 3階を歩くと男(涼谷しんいち)が悲鳴をあげながら走り、三人の女子高生の幽霊に追いかけられているのを目撃する。
白江「! まだ霊になってない人間がいるのか!? 見込まれてしまっているな……、うまく逃げ切れれば良いが……」
 2階の美術室へと入り探索。天野の取材ノート5を入手する。写メールを送ったのは天野の様だ。
「そして、一ヶ月前に私立昭成高等学校で起こった女子生徒死亡事件。同じ学校の人間が3人も立て続けに死亡した事で、
 話題になっていた。死亡した3人は学校では有名な問題時で評判は良くなかったらしい。意識を失った3人が、
 発見されたのは放課後のパソコン室。その後、病院へと運ばれるが、それぞれ数時間後に心肺停止。
 第一発見者は同校2年の男子生徒で、歴史の課題の資料を探すためにパソコン室へと立ち寄ったらしい。」
 白江がノートを呼んでいると、神楽凛が美術室に入ってくる。
白江「幽霊かと思いきや、生きているお嬢さんの登場とは……」
神楽「だ、誰っ!?」
白江「おどかしてすまない。オレは白江真。弱小出版社で編集者をしている者だ。」

 界ノ章 了
 この後、醒ノ章。憑ノ章を挟む。


567 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:37:33 ID:???

●痕ノ章 コンノショウ 白江真

 天野の幽霊の登場に驚く神楽、白江は驚き立ち上がる。天野は立ちさる。
白江「あ、天野……。すまないが、オレは行くから。何かあったら連絡する。じゃあな。」
 天野の幽霊を追いかけて一階の図書室へ。写メールは校長室。図書室にノイズ録音再生。
太田『マイ! こんなところでナニしてんの?』
小倉『あ……うん。ちょっと本読んでたの。』
太田『メロンパンと焼そばパン、買ってきてって言ったでしょ!』
小倉『次の休み時間に行こうと思って……、あ……今から買ってくるね。』
太田『頼んだよ!』
小倉『すぐ買ってくるね……』
 図書館を出て廊下の突き当たりでノイズ、録音再生。
小倉『体育館倉庫に呼びだしたよ……』
太田『どうやってシメる~?』
細川『いちいち余計な事をチクってばかりいるからね……! ちょっとは後悔させないと。』
太田『さっさとカネまきあげて、ウマいモンでも食いに行こうぜー。ハラへってイライラしてきたよー。』
細川『クミは食い気ばっかだな。さぁ、行くよ!』
 校長室に行き、棚を調べると天野の取材ノート6を入手。
「意識不明の末、死亡した女子高生3人について、校長に取材した。
 3人の問題行動に関しては、指導部だけでは解決しなかったため、養護教諭の清水先生が3人のカウンセリングに、
 あたっていたらしい。3人の行動に関しては、保健室で清水先生にカルテを見せてもらう必要がありそうだ。」
白江「保健室……、探ってみる価値はありそうだな。」
 校長室を出ると細川と小倉の霊が向こうを歩いている。気付かれないように立ち去ろうとするが、扉が音をたてる。
 細川の霊が上から、次に小倉の霊も下から攻撃してくる。なんとか3階まで逃げると追ってこない。
 ここの幽霊は攻撃的で、神楽の事が心配になり電話をかけてみる。
白江「無事みたいだな……、さっきの坊やはみつかったのか?」
神楽「保健室にいたんだけど、電話を掛けて消えちゃった……」
 神楽に早く転移するように促し、自分は調査を続行する。
 天野の幽霊がパソコン室の前で消える。中に入るとノイズが聞こえ録音再生。
細川『ナニ……? これ……』
太田『カウンター…だけ??』
細川『ウワサのサイトっていうから期待してたのに、これだけ~?』
小倉『なんかぁ、どっかにリンクが隠してあるんじゃない?』
細川『……別に何も無さげだけど……』
太田『がっかりぃー。もう、ハラ減ってきちゃったー。パフェでも食べに行こうかー。』
細川『なんで、こんなサイトがウワサになってんのかなぁ。ちょっとは退屈しのぎになると思ったのに、つまんない……』
小倉『……! あ! 見て……! 勝手に画面変わったよ……』


568 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:38:32 ID:???

 白江が電源の入ったパソコンを見る、黒のページが開いている。
 「しらえにつたえないと」と書かれた文字の下に、「何を伝えたいんだ?」と打ちこんだ。
 待ってもレスは無いのでパソコン室を去ろうとすると、天野の幽霊がパソコン前にいて消える。戻ると名刺があった。
 「天野貞夫 993 754 862」。白江は携帯電話にいれるが、繋がらない。とりあえず保健室へと行く。
 保健室に入り、懐中電灯で照らしながら中を探ると、棚の上から段ボールなどが落ちてきて白江は倒れる。
 倒れた時に音いた携帯電話を「私の携帯、見つけた」と細川が拾って消える。手帳に続いて携帯電話をとられた。
 保健室内を探る。中に三枚のカルテがあった。
「2年4組 小倉舞
 家庭環境は、両親共働きで小学生の頃から夕方まで1人ぼっちで過ごす事が多かったようだ。
 短期間であるが、同級生からのいじめによる登校拒否歴がある。
 上級生である細川、太田との付き合いが始まってから、同級生によるいじめは無くなっている模様。
 小倉にとって細川、太田と行動を共にするという事は、いじめを回避する手段に他ならない。
 気は弱いがもともと大きな問題のある子ではなかったので、細川、太田から引き離す事が、
 小倉の問題行動をなくす為の最も早い方法であるが、いじめが再発する危険を伴うので、安易には決められない。
 3人の中では下級生なので使い走り的な役回りが多く、本人としても本望ではない様子。
 いじめを回避するために背に腹は変えられないのだろう。
 主な趣味はゲーム、インターネット。ここ最近は『黒のページ』と言うオカルト系サイトにはまっているらしい。」
「3年2組 太田久美子
 3年前両親は離婚しており、現在は母親と暮らしている。思春期に両親の離婚を目の当たりにした為か、
 物事を斜めに構えてみる傾向があり、その頃からストレスによる過食が始まった模様。
 攻撃的な問題行動はほとんど無いが、物を盗んだり隠したりして他人が困っている様子をみるのが楽しい様である。
 問題行動を改善するには、家庭環境からの改善が必要と思われる。一度、母親との話し合いの機会をしっかり持つべき。」
「3年6組 細川美咲
 父親が地元大手流通会社の役員、母親が元教職員という、しつけの厳しい環境だったようだ。
 中学2年の頃に芽生えた両親への反発心によって、問題行動を起こすようになったようだ。
 持ち前の体格を活かしバレーを始めたのをきっかけに問題行動は減少傾向になり、本校に入学しバレー部に入った時も、
 エースアタッカー候補として期待を掛けられていたが、2年の秋、部活内での恐喝行為が発覚し、停学処分となる。
 復帰以降もチームメイトとのいさかいが絶えず、2ヵ月後に退部。退部後は問題行動が増加の一途をたどっている。
 細川が問題行動を起こすようになって、両親からは腫れ物に触るような扱いになっている模様。
 幼い頃の厳しさとの余りの変わり様に細川本人が苛立ちを覚えている。一度、両親と話し合いを持ち、
 子供との適切な接し方をしっかりと考えるべきである。」
 黒のページや境界に関する情報、他の犠牲者との共通点は無い。白江は早く他に転移するべきだと考えた。
 保健室のベッドの奥(涼谷しんいちが転移した場所)でメモを拾う。「近藤淳二 997-894-516」。
 保健室を出ると細川の幽霊の後ろ姿を見つけ、携帯電話の入手のためにあとを付ける。近づきすぎると襲われる。
 4階までのぼり3-2に着く。扉の割れたガラスから中を覗くと小倉の幽霊の後ろ姿、携帯電話がなっている。
 開かない扉をこじ開け、無理矢理に携帯電話を入手しようとするが逃げられる。しかしメモ帳は落としていった。


569 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:39:09 ID:???

 メモ帳を入手。あと机の上に広げられたサムサラの雑誌を入手。白江と天野はこの雑誌の編集らしい。
 音楽室から音がするので懐中電灯を切り中を除くと、太田がピアノを弾いている。ピアノの上に携帯電話がある。
 だるまさんが転んだの形式で、音が鳴っている間近づき、音が止まりこっちを見ている時は屈んで隠れる。
 近寄り携帯電話を入手。すると幽霊三人が怒って攻撃してくるので、3階まで逃げる。
 携帯電話に近藤淳二のメモの番号を入れて、転移する。

 近藤淳二の人形屋敷。その物置に転移した白江。振り向くと襖からたくさんの人形が覗いているが、すぐに襖が閉じる。
 携帯電話を拾って、物置を出る。男(涼谷しんいち)の悲鳴が聞こえた。廊下先のトイレで天野の走り書き5入手。
「『境界』で見つけた番号でも『転移』する事が出来た。以前に自分が訪れた場所である必要は無いらしい。
 何かしら法則があるという事か? これは推測に過ぎないが、ここは俺以外の誰かが記憶している場所という事か。」
 廊下を歩いていると、大量の髪の毛が部屋を封鎖している場所があった。以前の美容室にハサミがあったので、転移する。

 美容院のスタッフルームに転移する。携帯電話を入手し、扉を開けて美容室へ行く。
 以前あったと思われる場所にハサミが置いてない、するとハサミで髪を切る音が聞こえた。
 見ると鏡の向こうに美容師の女(加藤美野里)がハサミを持っていて、こちらに気付くと鏡の向こうから出てくる。
 笑いながらゆっくりとこちらに近づく、つかまるとハサミで突き刺され一撃死。
 こちらの視線の先にワープするので、後退するようにスタッフルームに逃げ込み扉を閉める。幽霊が扉を何度も叩く。
 音がしなくなってから扉を開けると幽霊がいなくなっている。美容室側の扉が切り刻まれていた。
 扉にハサミが突き刺さっているので入手。携帯電話でもう一度、人形屋敷に転移。

 携帯電話を入手し、扉の髪の毛をハサミで切る。(涼谷しんいちが最初の章でいた部屋)。
 中に入ると天野の取材ノート8があった。ちなみに床に落ちたメガネを拾おうとする涼谷しんいちの霊が襲ってくる。
「次は人形コレクター死亡事件。
 死亡した男性は近藤淳二。58歳。第一発見者は奥さんで、昼食を作り終えてご主人を呼んだが、
 いつまでたっても来なかったため、部屋へ行ったところ倒れているご主人を発見。
 あわてて抱きかかえたが呼吸をしており普通に寝ているだけと判断。
 しかしどんなに揺すっても叩いても起きないため不審に思い病院に連絡をしたとの事。
 その日の夜に突然心肺停止状態となりご主人は、帰らぬ人となった。死因は急性心不全として片付けられた。
 持病や過剰な薬物摂取の形跡はない。意識不明状態の時の検査でも、何も以上は無かったそうだ。
 ご主人は日本人形のコレクターで、ついこの間も有名な人形師の作業場を見学する機会があり、
 家に帰ってきてからも嬉しそうに語っていたという事だ。」
 ノートに名刺があった。「黒宮病院院長 黒宮芳夫 997-447-619」。白江は転移する。

痕ノ章 了
このあと徨ノ章、環ノ章を挟む。


570 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:40:10 ID:???

●繋ノ章 ケイノショウ 白江真

 黒宮病院の院長室へと転移。机の上の携帯電話を入手する。院長室を出た所で、懐中電灯が切れる。
白江「おいおい……、こんなところで……」
 2階に上がると携帯電話に写メール。3階に上がり301号室に行くと、オルゴールが鳴っている。
 猫に光が当てられているオルゴール、下から電池を抜き取り懐中電灯に入れる。近くに日比野の日記14があり入手。
「8月6日
 なんて偶然……。
 麗子ちゃんが会う約束をしていたのは事故で運び込まれた神楽さんだったみたい。
 思わず、退院したってウソをういてしまった。だって、本当の事なんて言える筈が無い……。」
 部屋を出ていこうとするとオルゴールがちょっと動いた。パソコン室に行く日比野の日記13を入手。
「8月4日
 病室の後片付けを始めた。患者さんは麗子ちゃんだけじゃないんだから気持ちを切り替えよう。
 今すぐには無理だけど、このままふさぎこんでたって誰も救われない。
 そういえばご両親に連絡が取れないのはなぜだろう。
 こちらから連絡したのはもちろんだけど、警察だって調べてるはずなのに。
 この胸騒ぎ……、なんだか嫌な予感がする。」
 手術室の棚から日比野の日記12を入手。
「8月3日
 麗子ち ゃ  ん   が
      飛       
          び   
   降          
         り   
 た。           

 信じられない。信じたくない。すぐそこにいたのに止められなかった。手を伸ばしたけど届かなかった。
 その先は思い出したくない。思い出したくないよ。あんな、
 赤い……

 警察の人が来ていろいろと話を聞かれたはずだけどよく覚えていない。
 麗子ちゃんのお母さんは連絡がつかないままだけど、もし出来たとしてもどんな言葉をかけたらいいんだろう。
 支えてあげようと決めたのに結果はこんな……、こんな。
 今は一人になって頭を冷やしたい。そうしないとおかしくなってしま  いそ    う。」


571 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:41:07 ID:???

 奥に行くと看護婦の幽霊(日高日名子)に襲われる、さらに扉が何度も揺らさないと開かない。
 ナースステーションに行き、病院関係者連絡網を手に入れる、しかし前半部分がかすれている。
 手に入れてすぐ、またも看護婦の幽霊(日高日名子)に襲われる。外に出ると扉が閉まって中に入れない。
 階段で院長の幽霊が消えた場所に、鍵が落ちていて入手。院長室へと行く。
 院長室の棚を調べると天野の取材ノート9を入手。
「そして5年前に起きた黒宮病院関係者連続死亡事件。
 これは当時かなり大きな話題となり、多くのマスコミが騒いでいた。オレも聞いた事はあったが、
 興味がなかったので詳細までは知らなかった。死亡した5人は看護師、医師、患者と年齢も性別もバラバラで
 当時は薬品による連続殺人説やウィルスによる院内感染説などの憶測が飛び交っていたようだ。状況を調べると、
 今回取材している一連の事件と類似しているのに気付いた。もしかしたら今回の事件と
 何らかの関係があるかもしれない。ただ病院はすでに閉鎖されており、どこまで事件の資料が残っているかは不明。」
 鍵を使って、院長の机の棚を開く。中に院長のメモが2枚あった。
 一枚は死亡報告書は地下にある、もう一枚は看護婦の日高日名子が死亡したための連絡先。電話番号の後半が読めない。
 部屋を出ようとすると院長が襲い掛かってくる。「ワシの病院が……どんな思いで育てたのかわかるか……!」
 前回の連絡網と合わせて、日高日名子の電話番号が判明。携帯電話で掛けて転移する。
 転移先は鍵を掛けられたナースステーション。そこで携帯電話を拾い、さらにさっきまで所持していた携帯も拾いに行く。
 写メールが送られ、ダストシュートが写っている。どうやら地下に繋がっているらしい。
 手術室の医療用包帯と、診察室の医療用コットンで携帯電話の一つをぐるぐる巻きにする。
 携帯電話をダストシュートに投げ込む。もう一つの携帯電話で、落ちた携帯電話に電話を掛け転移した。

 病院の地下の洗濯室で、包帯で包んだ携帯電話を入手。
 地下の霊安室に行くと少女の遺体と、側に立つ看護婦の幽霊。看護婦が消えて、遺体に近づくと朝霧麗子が出てくる。
 廊下に出ても追いかけてくる。一撃死攻撃などを逃げ切ると、消える。地下資料室へと行く。
 報告書1 8月3日に朝霧麗子が飛びおり自殺。
 報告書2 8月10日に日比野看護師が深夜に死亡。死因は不明。死ぬ前にノートパソコンでチャットルームを見ていた。
 報告書3 9月22日 201号室の患者が急に意識不明となり、2時間後に死亡。日比野に死因が似ている。
 報告書4 4人目の死亡、マスコミの取材が厳しくなる。
 報告書5 3月26日 3月に病院の営業を停止。5人目の死亡とその責任を問われて。
 資料室を出ようとすると、看護婦(日比野)の声。「あの子を……あの子を助けたかった……」
 後ろを振り向くと看護婦の幽霊。資料室の奥へと行くので追いかけると、連絡所2が落ちていたので入手。
「朝霧麗子の遺体は当面、霊安室で預かる予定。保護者連絡先 朝霧夕子 997-674-681」。
白江「母親にも連絡が取れていないとは……、母親にも何かあったのか……?」朝霧夕子の電話番号にかける。

繋ノ章 了
この後、哭ノ章の途中までを挟む。


572 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:42:20 ID:???

●怨ノ章 オンノショウ 白江真

 転移した先はどこかの狭いアパート。
白江「朝霧の母も『境界』に取り込まれてしまったのか……。」
 床に落ちていたレトロなロボットのおもちゃを拾う、足が回転するので動かしてみる。フラッシュメモリ入手。
白江「これは!? 天野のフラッシュメモリだ……。しかし、パソコンが無いと中の確認が……。」
 机の上の携帯電話を入手。
 テレビの下から朝霧夕子の日記1を入手。
「10月28日
 最近、ずっと忙しい日々が続いている。昼間の工務店の事務だけでは、麗子の入院費を払えない。
 先週から夜間のコンビニのバイトを入れたので帰宅は毎日午前様。
 11月17日
 ひさしぶりに麗子と話した。先日、会いに行く約束を破った事を責められた。バイトの子が急病で休んだので
 ローテーションが変わり、仕方なかったのだが、それを子供に理解しろというのは、酷な事かもしれない。
 2月7日
 あの人と別れる時、麗子は私が守ると誓ったけれど、もう自身が無い……、働いてもお金は出て行くばかり……、
 麗子のためだけど、いつまで続けられるか分からない。未払いのため、電話を止められた。支払う余裕はない。
 4月24日
 突然めまいがして寝込む事がしばしばある。コンビニのバイトは続けられなくなり辞める事にした。
 でも工務店の仕事だけでは、どうしようもない……、一体どうすれば……。
 5月9日
 限界……生きるのが辛い……。
 6月17日
 自殺をしようと思い、山陰に来た。崖の上から日本海を見たら、脚がすくんでしまった。
 死ぬのが嫌だとまだ思えるなんて。麗子を置いてきてしまったのに。
 7月6日
 いまだに死ねずにいる……。偽名をつかって転々と生活してる。先月の入院費を払い込んでいないので、
 病院の方では私を探し始めているかもしれない。麗子……ごめんなさい。
 7月21日
 偽りの生活を続けている。1人ならバイトだけでしのげる……。ふと、忙しかった日々が夢の様に思い出される。
 でもおそらく今の生活の方が夢……、麗子の事が頭をよぎるが今更戻れない……。でも、携帯だけは捨てられない。
 麗子から電話がかかってくるのが恐くて電源は切ったままなのに……。」
 棚のパズル鍵を開いて、中から朝霧夕子の日記2を入手。
「8月4日
 麗子が自殺した。テレビで娘の自殺を知るなんて……。
 麗子、麗子、麗子、麗子、麗子、麗子、
 麗子、麗子、麗子、麗子、麗子、麗子、
 れいこれいこれいこれいこれいこれいこ
 レイコレイコレイコレイコレイコレイコ
 麗子! 悪い母親でごめんなさい……。
 8月5日
 今更、自分が母親だと、病院に名乗りでる勇気がない……。
 入院費も払っていないし、葬儀を出す余裕なんかない……。
 2ヶ月も失踪した母親が突然現れたら、それこそ何を言われるか……。
 麗子がいなくなった今、もう私は今までの私を捨てるしかない……。
 8月7日
 私は頭がおかしくなってしまったのだろうか。電源を切ってある携帯から声がした。あの声は麗子だ。
 私を責めている……死んでもなお、会いに行かない私を責めている……麗子、ごめんなさい、
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめ   (以下白紙)」


573 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:43:09 ID:???

白江「朝霧麗子は……母親に捨てられた。こんな母親を恨んでいたのか……」
白江「……」
白江「朝霧麗子の霊がこの『境界』の発端とすると、病院のどこかにいるはずだ……」
白江「もし、朝霧麗子の恨みを晴らしたら、『境界』を消す事が出来るのか……? しかし、どうやって……」
白江「ん? 日記から何か落ちたぞ。」
 日比野の手紙2を入手。誰か女性の泣き声が部屋に響く。
「朝霧夕子様
 黒宮病院の看護師の日比野です。忙しい事と重々承知しておりますが、
 出来るだけ麗子ちゃんに会いに来てあげてください。
 お母さんが会いに来た時の麗子ちゃんの笑顔はとても素敵です。
 私でお力になれる事がありましたら、遠慮なくおっしゃってください。日比野鏡子」
白江「黒宮病院、もう一度、調べる価値がありそうだな……」
 転移するために黒宮院長の電話にかける。すると神楽が電話に出る。
白江「あれ? も、もしもし?」
神楽『? ……もしもし?』
白江「その声は……? まさか君が出るとはな……。そこは黒宮病院だな?」
神楽『えぇ。どうして白江さんが……?』
白江「病院へ『転移』しようと思ったんだが……。ま、それはいい。それより、よく聞くんだ。」
白江「『境界』にはいろんな場所が点在するが、これらが発生した事の発端は、その黒宮病院にはるはずだ……」
神楽『それって、どういう事……?』
白江「平たく言えば、『黒のページ』を使って我々を『境界』に引きずり込んだ犯人がいる……」
 朝霧夕子の幽霊が現れ、襲い掛かってくる。
白江「!! う、うわっ!!」
神楽『!? 白江さん!? もしもし!! 白江さん!!』
 なんとか朝霧夕子の幽霊を振り払い続けると、消える。
 白江は携帯電話を拾う。すると勝手に電話番号が入り、強制的に転移させられた。

白江「さっき、番号がひとりでに……? 一体、ここはどこだ……?」
 どこかのワンルームに転移した白江。携帯電話を拾うが壊れている。
 本棚にあった写真立ての親子の写真に、天野が写っていた。電源の入ったパソコンに近づく。
白江「パソコンが……! これなら、さっき拾ったフラッシュメモリを読めるかもしれない。」
 パスワードに天野から貰った名刺に書いてあった番号を入れる。メモリが読める。


574 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:43:48 ID:???

「『黒のページ』に関しては随分深入りが過ぎた様だ。結局、自分自身が『境界』に取り込まれてしまった。
 にも関わらず、『境界』に来てまで尚、真相に迫るため取材の真似事を続けている。読者なんていないのに。
 それでもこれが性分だから仕方が無い。せめて、完全に取り込まれる前に、調べた事をまとめておく。
 もし、これを読んでくれる人がいて、『境界』からの脱出の手掛かりになれば幸いだ。
 美容師、ホテルの会社員、ネットカフェの利用者、女子高生3人、人形コレクター、いずれも『黒のページ』を
 見ていた以外の共通項は全くなかった。つまり、『黒のページ』にアクセスした人を無差別的に取り込んでいると
 考えられる。
 逆に、5年前の黒宮病院の患者および関係者の連続死亡事件に関しては、その全員が入院患者・朝霧麗子に
 関係していた人間である。朝霧麗子は長期にわたる入院患者なので、病院関係者や他の入院患者と接点が
 あるのは当然だが、担当看護師をはじめ、接点が多い人がほとんどを占めている。そして、朝霧麗子の
 飛び降り自殺以降に事件が続いている事は、見逃せない事実である。きっかけは朝霧麗子の自殺にある。
 と言って良いと思われる。
 『境界』に点在する空間は、『境界』に取り込まれた人の記憶・思念といったものから作られている様に思う。
 現に、私がここへ取り込まれてからも、空間が増えているのが確認できた。ここに取り込まれた人間はしばらくの間、
 生きている時の延長戦にいる、見た目も記憶も引き継いでいるのだ。おそらく、この間、現実世界の身体は、
 意識不明の状態で生きているのだろう。そして『境界』に長時間いる。または霊との接触を繰り返す事により、
 霊となっていく様である。完全に霊になってしまった時、現実世界の身体は死んでしまうのだろう。
 現実世界の身体が生きている内に、『境界』から脱出する手段を見つけられたなら、きっと、生還できるのだと思うが、
 まだそれは見つけられていない。
 話を朝霧麗子に戻そう。ここからは推論である。看護師の日記から読み取れる様に、朝霧麗子は絶望の末、
 自殺したと思われる。自分を捨てた母親に対する恨み、誹謗中傷されたチャットでの恨み、『黒のページ』は
 自分を苦しめたチャット、ひいてはネット上の無秩序に対する怒りの様に思える。
 その反面、見捨てられる事への恐怖感・空虚感を埋めようとしている様に思える。
 それが初期の病院関係者一連の事件と考える。『境界』の拡大は、病院から出たかった少女の願いに
 他ならないのではないか。
 では、それを止めるには、どうしたら良いのか? その術は結局分からなかった。
 ただ、今、手元に母親である朝霧夕子の部屋に『転移』した時に見つけたメモがある。
 娘に買い与えた携帯電話の番号が書かれたメモだ。霊は電話を通じてのみ、思いを伝えてくる。
 という事は、その逆もまた可能ではないか。つまり霊を「説得」出来ないか、である。

 俺に残 さ   れた 時間で
                   アトで  きそウな
 事は
            そ れ  位シ      か   
                    残 っ

        ていナいのだあああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ(以下、無茶苦茶な記号)

 

 997-600-184」


575 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:45:01 ID:???

白江「これは朝霧麗子の携帯の番号!」
天野「白江……やっとここまで来たか……」
 白江が振り向くと、天野の幽霊が机に腰かけ座っていた。
白江「!! 天野……」
天野「きっと、白江なら……、ここまで来てくれると信じてたよ……」
白江「天野。オレはお前の足取りを追って、ここまで来た……、そして、この『境界』に関して」
白江「お前が調べてきた事も理解した……。でも、これを通じて、お前は何をオレに伝えたかったんだ……?」
天野「取材してきた事をお前に知って欲しかった……、ただ、それだけだ……」
白江「どういう事だ……?」
天野「記者や編集者に物事を変えたり、解決したりする力はない……」
白江「あぁ。そんな話は何度もお前としたよな。でも、多くの人に記事によって伝える事が、そのきっかけになる……」
白江「お前の信条だろ?」
天野「フッ……、信条というか性だな。記者の性だ……。白江に呼んでもらえて、嬉しかったよ……」
白江「しかし、もうどうする事も出来ないのか? 『境界』の拡大や、朝霧を止める手立てはないのか?」
天野「無い……いや、もしかしたら、あるのかもしれない……」
天野「でも、そんな事、もうどうでもいいじゃないか……」
白江「天野……?」
 天野の唇が笑みを浮かべる。ゆっくりと立ち上がった。
天野「白江……ここの世界はまだ謎に包まれている……。実に興味深いと思わないか……?」
 天野が白江にゆっくりと歩み寄って行く。
天野「俺は白江に来てほしかったんだ……、ここでコンビを組もうじゃないか……!」
白江「くっ……! あ、天野っ!? う……ぅうわぁあああぁぁぁ……!!」
 白江が後ずさる。天野が白江に向かって両手を伸ばした。

怨ノ章 了


576 :CALLING~黒き着信~:2013/08/21(水) 00:46:33 ID:???

●絆ノ章 キズナノショウ 神楽凛

 哭ノ章の途中。一週目の本スレの>>10から。

神楽「うそっ……!! 夢だと思っていたのは入院の時の記憶……。……『黒猫』さん。……あれは『黒猫』さん!?」
 部屋を出た所で携帯電話に着信が入る。白江からだった。声に力が無い。
白江『朝霧麗子だ……、朝霧麗子が『境界』の根源のはずだ……。霊とは、電話を通じてのみ……、対話が出来る……』
白江『朝霧麗子を止められるのは……、もう、君しかいない……』
 電話が切れると幽霊の気配。廊下の向こうから幽霊の白江が歩いてきて消える。
神楽「ウソッ!? そ……そんな、白江さんまで……!」
 白江が消えた所に、番号メモ4。「ア サ  ギ リ レイ コ 9 9 7 - 6 0 0 ー1 8  4」。
神楽「これ!? まさか、朝霧麗子の? 白江さん……このために……」
 白江の幽霊を追ってロビーまでついて行く。1階の玄関で座って待つ朝霧に歩み寄る神楽。
 朝霧麗子のそばで電話に番号を入れる神楽、すると朝霧麗子も持っている携帯に出る。朝霧が立ち上がり向かい合う二人。
神楽「あなたが……『黒猫』さんだったのね。」
神楽「聞いてくれる。……私、約束をやぶったわけじゃないの。あの日、ここへ向かっていたのよ。本当に……。」
神楽「でも、途中で交通事故にあって。そしてここに運びこまれて……。」
神楽「偶然だけど、隣のベッドにいたんだよ。もし、私が目を覚ますのが、もう少し早ければ……」
神楽「これは言い訳だよね……約束守れなかったのは事実だから。」
神楽「ごめんなさい……ごめんなさいって、今更だよね。もう、取り返しつかないよね……」
神楽「もう、私がここの住人になるのも、時間の問題だと思うの……。そうなったら『黒猫』さんと一緒にいるよ、私。」
神楽「なら、もう寂しくないよね……? 辛かった事も、それで忘れられる……?」

 電話が終わり、神楽の横を通り過ぎてい立ちさる朝霧麗子。
 白く光り輝く病院の中、朝霧麗子を追いかける。遅いとゲームオーバー。
 そして302号室に入る。
 扉を開ける神楽、過去で扉を開ける日比野。
 窓に立つ朝霧麗子。過去でも窓に立つ朝霧麗子。
神楽・日比野「ダメェエエ!!!!」
 叫びながら走り寄る。そして落ちるより早く、神楽と日比野はそれぞれ朝霧を抱きしめた。
 だが神楽凛と朝霧麗子は狭間に落ちていった。神楽は強く抱きしめなおした。
 朝霧麗子の過去のムービー。事故に会う神楽、挨拶する岸部夫婦、そして母親から携帯をもらい笑顔になる朝霧麗子。
 二人、落下しながらスタッフロール。

 
 白い画面の中、携帯電話が鳴る。とると「ありがとう」と朝霧麗子が言った。
 自室のベッドで目を覚ました神楽。外はもう朝日が照っている。
「あ……私の……部屋? 私……生きている?」
 部屋を見渡すと、自分の足元に朝霧麗子の黒猫の人形が置いてあった。
 神楽は黒猫の人形を抱きしめた。


終わり


577 :名無しさん:2013/08/21(水) 00:47:14 ID:???
CALLING~黒き着信~の投下終了。赤い女とかは関係ないから別にいいか

 

最終更新:2013年09月01日 01:03