幻世虚構 精霊機導弾

幻世虚構 精霊機導弾

>>13-49


49幻世虚構 精霊機動弾sage05/03/04 07:07:25 ID:hq3+lwYV
「王国」に暮らす3つの民族。
先住民族スルナカンと、侵略者オード、そして混血のスキカ。
かつて魔法帝国を築いたスルナカンに対し、その魔力に畏怖したオードは
スルナカンと混血であるスキカの2つを迫害し、支配していた。

王国の王子ベルカインは、実はスルナカンの母とオードの父・国王ジャブグールⅡ世との間に
生まれたスキカの子である。後にスルナカンの母は父に迫害され死に至らしめられ、
ベルカインは実父への復讐を胸に、オードの王子として生きていくことを誓った。

幼い頃、ベルカインは城を抜け出してスキカの生活区域に潜り込み
そこでネルという少女と出会う。二人は友情、そして愛情で結ばれ
ベルカインはネルに母の形見であるペンダントの半分を贈る。そして再会と約束をする。
だが、ネルはベルカインが身分を偽っていた事を誤解し、約束を反故にする。
一方、ネルを待っていたベルカインは、何かトラブルがあったのかと心配をするが
刻限が来てしまい、王宮へ帰っていく。
「オードもスキカもスルナカンもない、新しい世界を作ったら、必ず迎えにいく」と誓って。

そして時は流れ、現在。
あらゆる国政問題に対し正しい<解>を導出するために開発された
人間の脳を利用した議論形式の問題解決型コンピュータシステム「ネットワーク」。
システムといえども人間の脳である。残された「心」は、戦にあっては他人を殺し
政にあっては民草を殺すという自己の存在に絶望していた。

そんな時、何者かがネットに2丁の聖銃を与える。
戦闘手段を手に入れたネットは、<聖銃による自己破壊>という自殺に等しい<解>を導き出す。
ネットは、2丁の聖銃を二人のスキカに寄生させる。
そう、自分たちと同様ネットの一部品となるべく、下層階級であるというただそれだけのために殺された
スキカの姉妹、ネルとシーナの死体に。

培養液に浸され、街道を引き回されながら運ばれるネルとシーナの死体。
そこに聖銃が飛来し、爆発。二人は全身を戦闘兵器に改造され、48時間という短い生を与えられた。
限りある命を、目的の遂行ただ一つに費やすため、二人は王都へと進攻する。

軍警察や生物兵器、巨大戦艦が立ちはだかるが、聖銃は恐るべき破壊力を持ってこれを退け
戦闘生物プラント、遺跡発掘現場などを攻略し、着実に王都へと接近する。
時を同じくして、ベルカインはクーデターを起こし、ジャブグールⅡ世を射殺。
その場で王位を宣言すると、積年の念願「アルスマグナ計画」の発動と共に聖銃を迎え撃つ。

ついに王都・浮遊都市に侵入した聖銃。都一つを犠牲にした作戦で浮遊都市もろとも墜落させられるが
ダメージをものともせず、空間転移によって脱出したベルカインを猛追する。
王都を失い、兄を失い、全てを失ったベルカインは、太古の遺産を用いて
自らを聖銃に近しい存在に変え、決戦に臨む。

全ての決着がついた。もはや視力も失ったベルカインに静かに近づく聖銃。
その時、ベルカインの頬に聖銃(ネル)が持っていたペンダントが触れる。
かつて短い逢瀬を交わした少女を思い出し、ベルカインは「ああ、君か」と穏やかに微笑んで力尽きる。
聖銃(ネル)の頬の精霊回路が一筋の光を流す。ベルカインの死に涙するように。
そして、ベルカインの亡骸を抱いた聖銃はネットを破壊。
目的の達成、そして活動限界に到達した聖銃の肉体は光を放ち、崩壊する。

事件後、嘆きの平原に、雪のように降り注ぐ精霊たち。
精霊に触れたものたちはオードもスルナカンも皆一様に、スキカへと変貌する。
これこそがベルカインのアルスマグナ計画の真実だったのだ。

「オードもスキカもスルナカンもない、新しい世界を作るんだ……!」
幼い頃のベルカインの言葉が、大地に木霊する。

※不要と思われるアルファシステム作品群のリンク部は省略。『精霊機動弾』のストーリーに焦点。
最終更新:2009年03月16日 22:16