クロス探偵物語 第1話


黒須剣(くろすけん):主人公。洞察力など探偵としての素質を持っている。18歳。
西山友子(にしやまともこ):冴木探偵事務所の事務員。19歳。
冴木達彦(さえきたつひこ):冴木探偵事務所の所長。剣があこがれる名探偵。46歳。
             未見の剣のイメージ図では刈上げ頭の偉丈夫で、誰かに似ている気もする。
美樹夏子:生前の剣の父の知り合いだったという女性。29歳。
川崎亜紀(かわさきあき):第1話の依頼人。20歳。
小林靖彦(こばやしやすひこ):不動産屋でマンションの仲介人をしている。40歳。
三橋節子(みはしせつこ):マンションのオーナー。60歳。
加藤晶二(かとうしょうじ):亜紀の元ボーイフレンド。21歳。焼けた肌をしている。
石井健一(いしいけんいち):亜紀の元ボーイフレンド。20歳。貧相なタイプ。

第1話 名探偵誕生
 剣は7年前に亡くなった父親の墓参りにきていた。
 墓前で大学進学をやめ探偵になること、優秀と言われる冴木達彦という名探偵に弟子入りを頼むつもりであることを伝える。
 己が7年前から成長をしたことを伝え、最後にしばらく来れないことを告げて立ち去ろうとする。
 そこに剣のことを知っているという女性が声をかけてきた。
素性を尋ねると彼女は美樹夏子といい父の知り合いだったのだという。
「親父の?」「そう、七年前に殺されたあなたのお父さんの」
父は事故死だったはず。
「まあこれから探偵になろうって人がお父さんの死を疑わないなんてお笑いね」
 信じられなかったが、当時父は35歳でありながら巨額の保険金をかけていた。 自分が死ぬことを予期していたかのごとく。しかも亡くなる三ヶ月前だ。
 そのことを衝かれ動揺する剣。たしかにそのおかげで剣は金銭面で不自由することなく暮らしてこれたのだ。
「探偵ごっこも結構だけど、もう少しあの当時のことも思い出したほうがよさそうね」
彼女はそう言い残して去っていった。 父の死に疑念を抱く剣。
 剣の母親は彼を生むと同時に亡くなり、彼は父親に育てられた。
刑事だった父を誇りに思い、自分も同じ道を歩もうと思っていた。しかしある日父は交通事故で亡くなってしまう。
 そんな彼に親戚の者達は同情すらもなく、醜い本音をだだ漏らしにした。
「まったく、 あいつもやっかいなガキ残してくれたよ。誰があの子の面倒をみるんだい。
 あたしゃやだよ うちだけで精いっぱいなんだ」
「うちだって ダメだよ」
「に 2億……」
「ううちで引き取るよ。姉さん達 嫌がってたろ」
「バカ言っちゃいけないよ。お前 保険金が目当てなんだろ。だったらうちで・・・」
「姉さんこそ……」
剣「いい加減にしろ!誰がお前らなんかの世話になるもんか。
  オレは父ちゃんと暮らしてきたこの家で1人で暮らすんだ。出てけ! 二度と来るな!!」
「ま まあ、なんて可愛げの無い……」
「こんなガキほっとこう。どうせ泣きついてくるさ」
あれから7年。住んでいたアパートの大家さんの助けもあって何とか1人で暮らしてこれたのだ。
 父の死には謎が多すぎた。35歳にしては多額の保険金、用心深かった父の交通事故死。
 しかし警察も調べ運転手も捕まったはずだ。そこで思い出す。7年前、父の亡骸に飛びついた部下の大川が自分がカタキを取ると言っていたことを。
不審に思った剣はこの件について調べてみることを決める。

 冴木探偵事務所を訪れた剣。
「またあなたなの。いいかげんにしなさいよね。先生は弟子を取らないって言ったでしょ」
 食い下がる剣をあしらう友子。剣は冴木に会えるまで待たせてもらうことを宣言し、友子は勝手にしろと放置する。
 しばらく待っていた剣は友子に姉は元気かと声をかける。
友子は元気だと気の無い返事をしてから何故姉のことを知っているのか聞き返した。まさか調べたのか?
 しかしそれは違った。剣の推理によるものだ。
彼女の着ていたブラウスは十万円はする高級品だ。しかしサイズがあっていない。高価な買い物をするのなら自分のサイズに合ったものを買うはずだ。
つまりそれは借り物であり、彼女の若さを考えると貸し借りの相手は妹よりも姉のほうが自然だ。
剣「でもそのブラウス Bカップの友子ちゃんにはやっぱり大きすぎるよ」
友子「失礼ね!Cカップよ!!」
剣「そうかCカップか……」
友子「…………ハメたわね……」
 そこに女性がやってきた。
依頼人だという彼女は不在の冴木にさっさと会わせろと高圧的な態度で友子をなじり友子と険悪な雰囲気を作ってしまうが、そこに剣が割って入った。
容姿を褒め称え友子を卑下し下手に出た剣は彼女に自らを冴木探偵事務所のエースと売り込んで依頼を聞きだし始める。
 彼女は誰かに狙われているらしい。
「私「川崎亜紀」(かわさき あき) ハタチ。青山大学 英文科 2年生。今は渋谷のマンションに1人暮らしよ」
 彼女の話はこうだ。昨夜2時頃家のベッドで寝ていたところ、帽子を目深にかぶった男に襲われた。
驚いた彼女が無我夢中で枕元にあった目覚まし時計をそいつに向かって力いっぱい投げつけた。その時計は真鍮性で重量のあるものであり、それは男の股間にヒットした。男は悶えながら這うように逃げていった。
 彼女は警察には話していなかった。
警察に話すと親に連絡がいき一人暮らしさせてもらえなくなり横浜の実家から通わされることになるだろうと。
だから内緒で解決したがっていた。
 剣は調査して手に負えないと判断したら警察に連絡するということを彼女と取り決め依頼を受ける。
 話を整理すると、事件があった時間は2時5分。
暗がりで帽子を深く被っていた犯人を男と判断したのは彼女を襲いにきたことと股間にものが当たって悶えたことから彼女が判断したことだ。
『男と決めつけるには ちょっと弱いかな……』
犯人に心当たりは無く人に恨みを買うこともないという。
しかし彼女の身の周りの品がちょくちょくなくなっているらしい。
下着や写真などだ。無くなった写真は男と一緒に写っている写真だけらしい。 金銭や貴金属はなくなっていないとのこと。
『どうやら物取りの犯行じゃないな』

 実際に彼女のマンションに行ってみる。
 ・下着は干してあったものではなく、しまっていたものや洗濯機に入れていたものがなくなったのだそうだ。
 ・窓の鍵はいつも閉めていて昨夜も閉まっていた。そもそもここは8階である。ガラスを外した形跡もない。
 ・ドアは頑丈であり鍵がかかっていた。
 ・ドアチェーンは壊れており、彼女が三ヶ月前に越してきた時からで不動産屋の対応が鈍くそのままだそうだ。
 ・もしやと思った剣が電話の受話器を解体してみると中から盗聴器が出てきた。
電話の音を電波にして飛ばすタイプであり半径200mくらいの受信が可能な代物だ。
 ・コンセントからも盗聴器が出てきた。やはり電力供給による半永久稼動タイプだ。
『どうやら犯人は たびたびこの部屋に侵入してるな。これだけ徹底的にやってるところを見るとストーカーか……。
オートロックのこのマンションにこれだけ自由に出入りしているってことは犯人は合鍵を持ってる……』
 合鍵をもっていなければこうも何度も部屋に侵入できなかっただろう。
合鍵を持っているのは彼女のボーイフレンドの晶二(しょうじ)と健一(けんいち)だけだという。
引越しの際に鍵を取り替えたので前の住人がもっていることはないそうだ。
このマンションは管理人ではなく不動産屋が管理しており、担当は小林という男だそうだ。ならば彼も持っているだろう。
 とりあえず鍵の取替えを提案し、不動産屋に許可をもらいに行く。盗聴器の件は他言しないように注意した。

 襲われたことを話すと小林はオーナーに連絡をとり許可を取った。
「実はここに来る途中、鍵屋に寄って取り替えてもらうように頼んできたんです。明日の夕方にはやってくれるそうです」
 何故か剣がそんな嘘をついた。不動産管理としては当然か、鍵のうち一本を預けることになった。
ドアチェーンのことも催促するが、オーナーが忙しい方だからと濁される。

  帰りに喫茶WORKJAMで話をした。
 ・彼女はオーナーに会ったことはないが、契約書にあった住所と名前をメモしていた。「三橋節子」(みつはしせつこ)。
 ・晶二と健一とは既に別れておりただのボーイフレンドだったそうだ。その住所も教えてもらう。
 ・加藤晶二とはクラブで知り合い、石井健一は同じ大学の人間だそうだ。


 小林に話を聞いてみる。
 ・加藤と石井のことは知らないそうだ。
 オーナーに会った後でドアチェーンのことを話すとオーナーは資産家なのだがものすごくケチと評判で、平気でウソをつくらしい、 責任を問われるのがイヤで聞いてないフリをしているのではないかと洩らし剣に口止めする。

 三橋節子に会ってみる。彼女は庭弄りを楽しみとする上品な老年の女性だった。
 ・亜紀を含むマンション関係のことは不動産屋任せで知らないとのこと。
 ・管理をしている小林はまじめでいい人と思っている。
 ・合鍵は金庫にしまっている。取り替えることに依存はないらしい。
 ドアチェーンのことは小林から何も聞いていないらしい。

 加藤晶二の部屋。
 亜紀とはすでに別れたと主張しており真由美という女性が彼の部屋を訪ねてきていた。
 ・亜紀とは渋谷のクラブでナンパして知り合った。
 ・さんざん貢がされた挙句「私好きな人ができたの」ときたそうだ。 死ぬほどバイトした挙句ヤラせてもらえなかったという。
 ・真由美は亜紀と違って気立てのいい女性だという。
 ・昨夜二時は駅前のビデオや屋に真由美とビデオを借りに行っていたという。
 ・合鍵を返してくれるように言うととっくに捨てたらしい。 明日付け替えるからまあいいと言うと「明日つけかえる……?」。

 石井健一の部屋。
 留守だったがインターホンを鳴らしていたところに彼が帰ってくる。
 ・亜紀のことを女神と崇めており生きる希望なのだとか。
 ・亜紀にかなり貢いでおり入学祝に両親に買ってもらったロレックスも売ってしまったという。
 ・亜紀にはいきなり別れ話を切り出されたのだという。自分に何か至らない点があったのだと主張している。
 ・昨夜は亜紀も知っている同じ大学の山田という友人と1時から2時まで電話で話をしていた。
ここから亜紀の部屋までは車で30分かかる。山田の家はここから五分で12:50まで山田はここにいたらしい。
 ・合鍵の返却を求めると持ち歩いていた鍵をあっさり返してきた。 付け替えることを話すと「明日……そうですか」

 再び喫茶店で亜紀と。今までの行動の成果を話す。
 ・加藤のアリバイは成立していた。剣が店員に確認済みだ。
 ・石井にもアリバイはあった。彼が今でも彼女を愛していると伝えると「げー気持ち悪い」。
付き合った理由と別れた理由が丸解かりだ。
亜紀「でも鍵を返したってことは犯人じゃないわね」
剣「いや……」 そこに謎のオヤジが寄ってきた。
オヤジ「合い鍵の合い鍵を作っていたかもしれんぞ」
追い払うとオヤジは去っていった。気を取り直す。オヤジの言うとおり鍵を返してもらったが安心はできない。
 ・節子は寝ていたという。
 山田のことを亜紀に電話で確認してもらうと確かに12:50に石井の家を出て家に着いた途端に石井から電話があったそうだ。
それから一時間ばかり電話をつけっぱなしだったが、電話の向こうからは車のエンジン音がしていて、理由を問うとテレビでF1を観ていたと返ってきたという。
 石井が携帯電話を持っていることを亜紀が記憶していた。
それなら石井に犯行は可能だがテレビでF1をやっていたのも事実だ。石井の携帯電話は駅前でただでもらったものでデータ転送が早いと自慢していた32なんとかというものだそうだ。

 ここでひとまず調査を打ち切り亜紀には帰ってもらうことにする。
 あの部屋に戻ることに文句を並べる亜紀だったが、自信ありげな剣を見て戻ることにした。
 剣は亜紀にやってもらいたいことがあると彼女に話す。

 亜紀が電話をしている。
「ええ そうなの。だから明日部屋の鍵を交換することにしたの。え 今日?もちろん1人よ。
 大丈夫。昨日来たばっかりで今日も来るってコトはないでしょ。  うんそう。今日は眠れそうにないからさっき睡眠薬飲んだの。強力なヤツよ。 朝まで何があったって起きないわ……。ふぁぁ……もうダメ……。
 眠くなってきちゃった……。私寝るわ。おやすみ……」
 亜紀は電話を切り、明かりを消した。
 彼女に忍び寄る影。しかしそこで明かりが点き、剣が現れる。
「おとなしくしろ!お前はもう袋のねずみだ!」
 スタンガンをもっていると脅しをかける。犯人に素性を問う亜紀だが、剣には犯人の見当がついていた。
 犯人は不動産屋の小林だった。
 マンションを探しにきた亜紀に一目惚れをし、条件のいい物件を紹介して亜紀に借りさせ、彼女が引っ越してくる前にドアチェーンを壊しておいたのだ。
オーナーは暇をもてあました老人なので直さないとは思えなかった。
オーナーが対応しないというのは小林が自由に出入りするためのウソだったのだ。
小林は亜紀が留守の間に忍び込んでいるうちにさらに想いが強くなり、写真の男にまでヤキモチを焼くようになり、ついには下着や写真では満足できなくなり……。
 しかしそこで小林は声を上げ否定した。彼女を傷つけるつもりはなく、 ただ寝顔を見たかっただけなのだという。
剣「多分本当だよ」
亜紀「…………」
剣「どうする?警察につき出すかい?」
亜紀「ううんいいの。私、小林さんを許してあげる。きっと小林さんつらかったと思うの……」
小林「ううううううう」 

 過日、亜紀が事務所に報酬をもってきた。そこで何故犯人が小林だとわかったのかを問われる。
 答えは消去法で導き出された。犯人が合い鍵を持っていることは間違いないだろうと思われた。
 三橋節子は老人で女、しかも面識も動機もないのでまずない。
 加藤晶二には完璧なアリバイがある。しかも新しい彼女がいて幸せいっぱいだ。
 石井健一は少し怪しかった。しかし彼の携帯電話というのはおそらくPHSだ。 データ速度が32kでただというのだからまず間違いないだろう。
PHSでは高速での移動通話はできないからそれを使った工作もできない。しかも亜紀を女神扱いまでしていた。
 しかし実際は小林の顔を見るまでは確信はなかった。石井がPHSではない携帯電話をもっていたかもしれない、加藤とビデオ屋がグルだったかもしれない。
が、現行犯で捕まえてしまえばその前に特定する必要はないのだ。だからあの時点まではわからなくてもよかった。
 小林は新しい鍵を使って入ったら古い鍵も使えた自分が一番疑われるだろうことを知っていたからあのタイミングを逃すわけにはいかなかったのだ。
 剣はあの時見つけた盗聴器を電話に戻しており亜紀にウソをつかせていた。
ストーカーである犯人はその後を知りたくて盗聴するだろうし、 亜紀が睡眠薬を飲んで寝ていると聞いたらじっとしていられないと踏んでいたのだ。
 ちなみに亜紀は今回の報酬を小林に出させたそうだ。しかも小林は40で独身、結構貯金しているらしく、亜紀がよそに引っ越すと言うと家賃を自分で出すと言ったそうで、亜紀は小林を使えると見ているようだ。
「じゃ じゃあ あのマンション……」
「ええ 小林さんに借りてもらうことにしたわ」
「な 何てこと……」
「月に一度くらいはデートしてあげてもいいかな。もちろんHなしよ」
「ああ かわいそうな小林さん……」
亜紀は帰っていった。
 いまだに剣が事務所にいることに不平をたれる友子。
剣は報酬を見せびらかすが友子に没収され、規定に基づいた取り分を渡すと言われる。
 一時落ち込んだが、これで一員と認められたのだと開き直る。
 しかし
「それと これとは別。あなたを雇うなんて誰も言ってないわ」
つれない返事が返ってくるばかりだ。
 そこにFAXが入る。意味がわからず首をかしげる友子。
「なに?どうした?」
「あんたには関係ないの」
「まあそう言わずに……あっ 空飛ぶオニ嫁!!」
「えっ! どこどこ!」
「ちょっと 見せてね」
「ううっ……つられた自分が情けない……」
紙にはこう書かれていた。



10万分の1の大きさの
大きな卵から
マッチ棒程度の距離を
おいたところに
遠くが見えない鳥がいる
その駅に至急来てもらいたい
       冴木達彦


これは単純に近場の駅に来てほしいということだろう。
事務所で地図を発見する。10万分の1というのは地図の縮尺のことだろう。
大きな卵と言えばそのままの名称をもつ建物、そこから地図上でマッチ棒一本の距離の駅ということだ。
テーブルの上のマッチで一つの円を描き、その辺りの駅から探すことにする。
これは冴木が彼らのために用意したものだろう。長さの違うマッチ棒を使われては意味がないからだ。
つまりこの地図にない駅は除外していいだろう。
となると駅は以下の12まで絞られる。
南千住、大久保、浜松町、代々木、南新宿、押上、北池袋、町屋、錦糸町、業平橋、王子、上中里。
これで目的地はわかった。しかし何故こんなことをするのか。
そこで友子は冴木が悪人に捕まっている可能性に思い至る。いざというときのためだとでもいうのか。
助けに行こうとする友子だが、剣は女性一人だと危険だと指摘する。踏みとどまる友子。
警察に連絡してはと提案する友子に、それも危険だと指摘する。
もし捕まっているのなら逆上した犯人に冴木が何をされるかわからないからと。
剣は自信ありげに自分が冴木探偵事務所に入ることに賛成し協力してくれるのなら自分が冴木を無傷で連れ帰ると取引を持ちかける。
友子は渋々承諾した。

二人が駅に行くと喫茶店で会ったあのオヤジが近づいてきた。
「先生!」
友子がオヤジに駆け寄る。
「こんな感じだと思っていたのに……」
剣がイメージしていたハードボイルドな男の画像。
刈り上げた髪をした精悍な顔つきの男がタバコを燻らせていた。まるで神宮…。
「それが……」
ふくよかな笑いを浮かべた恵比寿のようなオヤジ顔。
「……わかった!変装してるんですね」
冴木の顔を両手で掴む。
剣「このじじいの面をはがすと中身は……」
冴木「いててて。何をする 顔の皮ハガす気か!」
剣「ガーン 本皮だ……」
友子「ちょっと待ってよ!どういうこと?先生は捕まっているんじゃなかったの?」
捕まっているわけがない。どんな軟禁状態ならあんな都合よくFAXを送れるというのだ。
これは剣を試すためのテストだったのだ。
洞察力と推理力、行動力は認められた。しかし冴木が言うには他に協調性も必要だという。
そこで例の約束を使って友子と協力関係にあることをアピールすると、冴木は剣を冴木探偵事務所の一員とすることを認めた。
このまま剣の入社祝いに繰り出すことに。ちなみにこの駅を指定したのはいい店を見つけたからだった。
友子「だから錦糸町まで呼びつけたんですね」
冴木「その通り!」
友子「……あきれた」
冴木「ワシのとっておきの芸を披露するぞ」
友子「またハダカ踊りでしょう?」
冴木「その通り!よしっ 出発だあ!!」
剣「ヤッホー!」

最終更新:2022年10月13日 14:20