かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相(Part3/3) ページ容量上限の都合で3分割されています。
part31-239~247
- 240 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
14:55:23 ID:FHLUr8880
- (香山編終了から続き)
エピローグ
香山は村上はもう悪さはしないと皆を説得し、縄を解いてやった。
春子に手当てをしてもらいながら香山は伊右衛門との死闘について簡単に要約し、1時間半ほど語った。
全員半信半疑の様子だったが、自分を殴った犯人が村上だということと春子がそれに協力していたことを
知っていると告げると、春子は青ざめてわっと泣きはじめた。
香山は春子に対し全部呪いのせいだったから春子も村上も恨んでいないと告げる。
美樹本はまったく香山の話を信用してはおらず、村上に殴られたことは知ってて当然で、そこから春子が
手引きしたと気付いただけかもしれないと言う。
香山はならばどうして地下水路への扉を3バカが開けたのを知っていたのかと問うが、無意識でも自分たちの
話を聞いていたのではと無理矢理こじつけられた。
でも何だか館の空気が変わったような気がする、と啓子。何だか悪い夢から醒めた気がする、と。
香山の話どおり泉の底に財宝のある隠し部屋があったら今の話はほんとだろうと透が言い、言われるまでもなく
確認するつもりでいた香山は中庭の水が抜けるのを待って全員を連れ立ち地下へと降りていった。
地下通路からは亡霊が一掃されたせいか不気味な雰囲気はもう消え失せている。
扉を開けて水路に出ると、香山は生身では初めて来たのにも関わらずに先程見た光景と同じものが広がって
いるのをみて確信を抱き、美樹本がツルハシで柵を壊して更に奥へと向かっていく。
そして水路の突き当たり、ちょうど泉の下で美樹本がツルハシを振るうと、何十回目かで深い穴の向こうに
ツルハシが突き抜けた。
ツルハシを抜いて出来た穴を懐中電灯を持っていた俊夫がおそるおそる照らすと、そこには財宝の数々が。
しかし伊右衛門の頭蓋骨や台座だけは最初からなかったかのようにそこから消えていた。
- 241 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
14:57:08 ID:FHLUr8880
- 自室に戻り夜を過ごした俊夫は、みどりのことを考えていた。
全ては呪い。だが、みどりのことだけは純然たる事故で三日月館とは何の関わりもない。
俊夫はここで結論を出そうと持ってきていた紙切れ、みどりの名前だけが書かれた離婚届を見つめ、
そこに自分の名前を書き込んだ。みどりが望むのならそうするのが1番だと。
朝になり、迎えの船に全員が乗り込んだ。財宝を見つけた香山はもちろん、啓子までいつになく穏やかな笑みを
浮かべる中、俊夫はそんな彼らを見るのが辛くて1人背を向ける。
そんな俊夫に真理が声をかけた。みどりと別れるつもりなのか、と。
みどりから今まで何度も相談を受けていた真理は、みどりのために別れようとする俊夫を引き止める。
そして、真理は告げた。みどりが刑務所の中で子供を産んでいたという事実を。
服役した後で妊娠が発覚し、それが俊夫にばれないように面会を拒否していたのだ。
もし子供が出来たなんて知ったら、ますます俊夫は離婚に同意しなくなる。そう思ったからだ。
みどりはすべてを自分一人で背負って生きていくつもりだったのだ。
真理はそんなのは間違っていると何度も言ったが、みどりの気持ちは変わらない。
みどりの気持ちを変えられるのは、もう俊夫しかいないのだ。
もし本当にみどりが俊夫と別れたがっているのなら、子供を産まない選択だってあった。
でもみどりは、俊夫を愛しているから、俊夫との子供が欲しかったのだ。
うつむいた俊夫の目から涙が零れ落ち、甲板に雨のような染みを作る。
何も知らないでいた自分が悔しく、そんな大事なことを教えてくれなかったみどりが憎く、
全てを自分一人で背負おうとしたみどりの気持ちが切なかった。
――俺はあいつの全てを愛している。
単純だが、それが唯一の答だ。
俊夫は離婚届を細かく引き裂いて風に投げた。
- 242 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
14:58:34 ID:FHLUr8880
- 真理が俊夫を心配していたのは気があったからじゃなかった。
まったく何て馬鹿な誤解を、と透は自分を責める。真理はそんな女じゃないのに。
みんなと別れて「シュプール」へと戻る途中、透は真理に謝った。
俊夫に「シュプール」で働かないかと言ったことの意味を誤解していたことを。
が、何でそのことを知っているのか、立ち聞きしたのかと言われてしまった。やぶへびだ。
それで焼き餅を焼いたのかと言われて否定するも、結局は焼き餅だと認めさせられてしまった。
今回は許してあげるが「シュプール」に戻ったらレイコにバシバシ鍛えてもらう、と真理。
シュプールにレイコ、たった一日なのに何だかとても懐かしい。
そういえば、と真理は島に着いたときに小林夫妻に何を伝えたのかと透に問う。
言いかけて透は口をつぐみ、あれは内緒だと言い張った。
透は海の底に眠る小林夫妻に、こう報告していたのだ。
真理は「シュプール」を継いで一生懸命頑張っています。僕も今はまだ半人前だけど、必ず立派な料理人に
なって彼女を助けていきたい。そして必ず彼女を幸せにします。
祝福して、くれますよね? もっとも彼女がどう思っているか、まだよくわからないんですけどね。
1ヵ月後、啓子は会社を辞めた。自分の本当にやりたいことが見つかったからだ。
レストランなどに行くたびに書き溜めていたグルメノートを女性誌の編集部に持ち込んだところ、
とりあえず1年間グルメレポートを連載してみないかと言われたのである。
それは啓子にとっては天職と言ってもいい仕事で、他の雑誌からも次々とオファーが来た。
そんな中、「シュプール」に凄腕シェフがいると聞いた啓子は取材に赴く。
そこでオカマシェフ・姫宮麗子に出会った啓子は、麗子に様々な質問をぶつけ、普通はそこまで気付かないと
麗子に気に入られ、秘密の食材を教えてもらった。
それを聞いた啓子はその発想に驚き、やはり人はみかけじゃないと思った。
見かけがどうだって、性的嗜好がちょっと人と違ってたって、才能を磨けば認められるのだと。
――あたしも頑張るぞ。
- 243 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
14:59:56 ID:FHLUr8880
- 1年後、香山は再び三日月島の土を踏んだ。
1年前に見つけた財宝は全て売り飛ばして金に換え、その金を使って三日月館を取り壊した。
もうすでに死者はみな成仏したはずだが、忌まわしい建物はない方がいい。みんなもそれに同意した。
巨大な建物だっただけに完全に更地にするのには財宝の金を全て使い切ってしまった。
財宝といっても手入れをしていない美術品はそう値打ちもなかったということだ。
更地になった土地に香山は夏美の好きだった桔梗の花を手向けた。それがどうや――
(一輪だけの桔梗の花から画面が引き、奥に一面に広がる桔梗畑が映る)
夏美。わしは元気でやっとるで。
「浪速のど根性焼き」も順調で、今や428店目がオープンしたとこや。
見てるか? わし、当分そっち行かへんで。淋しないんか?
もうおまえが夢に出てくることはなくなったけど、またなんか困ったことがあったらいつでも言いや。
(桔梗畑がアップになり、風で桔梗が揺れる)
風が吹き抜けて、桔梗が一斉に揺れた。
夏美が笑うてる――
わしにはそんな風に見えた。
(最初はここでスタッフロール)
- 244 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
15:01:33 ID:FHLUr8880
- (金のしおり後、スタッフロールはなくこれが追加される)
(麗子に教わり魚をさばく透)
「えーっと、三枚におろすには……」
(シュプールの台所にて透の料理の味見をする真理)
「おいしい! やるじゃない、透!」
(シュプールの看板の前に立つ透)
「……これでよし」
(看板には「Pension Spur」の文字の下にowner小林真理・chef矢島透の文字)
「シェフ……いい響きだ」
(料理雑誌に掲載される透のの料理)
「透の料理、啓子ちゃんほめてるわよ」
(客に透を紹介する真理)
「ご紹介します、シェフの矢島です」
(再度シュプールの看板の前に立つ透)
「……これでよし」
(看板のオーナー名が「小林真理・透」になっている)
「小林……悪くないかも」
(横断歩道を渡る啓子)
「いそげいそげ」
(とあるレストランに入る啓子)
「こんにちはー、取材をお願いした北野です」
(メモを取りながら話す啓子)
「ついにオーナーシェフですね、麗子さん」
(啓子の取材に答える麗子)
「そうなのよ。やっと念願叶ったわ!」
(店の外に出る2人)
「お忙しいところ、ありがとうございました」
(レストランから去ろうとして立ち止まる啓子と見送る麗子)
「あ、忘れてた!」
(麗子に雑誌を差し出す啓子)
「これ、よかったらもらって下さい」
(「おいしいお店」関東版。著者は啓子)
「……啓子ちゃん、すごいじゃない!」
- 245 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
15:02:51 ID:FHLUr8880
- (従業員に演説する香山)
「ええか、商いっちゅうもんはな……」
(お好み焼きの店内、かまいたちメンバーが勢ぞろいし)
「え、半額ですか!」
(皿洗いさせられる透)
「そういうことか……」
(企画会議にて)
「夢はでっかく、10000店舗や!」
(『浪速のど根性焼き』アメリカ支店)
「よっしゃ! 3000店舗や!」
(『浪速のど根性焼き』中国支店)
「5000店舗、いったで!」
(『浪速のど根性焼き』アフリカ支店)
「9000店舗や! まだまだいける!」
(『浪速のど根性焼き』南極支店前で万歳する香山)
「10000店舗や!!!」
(刑務所から出所してきたみどり)
「……お世話になりました」
(出迎えるかまいたちメンバー)
「みどりさん、おかえりなさい!」
(赤ん坊を抱えて出迎える俊夫)
「……おかえり、みどり」
(赤ん坊を抱えるみどり、周りに集まる他の皆)
「ほら……ママが帰ってきたぞ」
(眠る赤ん坊)
「こんなにたくさん寝るものなのか……」
(みどりの傍で立とうとする赤ん坊、手前に俊夫の手)
「ねえ、立とうとしてるんじゃない?」
(子供にたかいたかいをする俊夫)
「ほーら、たかいたかーい」
俊夫、みどり、その間に2人の間の子供の写真におしまい、の文字
- 246 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
15:04:06 ID:FHLUr8880
- 1レスでわかるかま3。
死んでも己の財宝は渡さないと執念を燃やした岸猿伊右衛門の呪いにより、三日月島に入った者は
死んで島に魂を閉じ込められるか生還しても不幸になるようになってしまう。
かま2及びかま3の事件は伊右衛門の呪いで殺意や憎悪、欲望などが増幅されてしまった結果発生したもの。
かま2で死んだ夏美はそれを何とかすべく香山に助けを求め、伊右衛門はそれを阻止すべく子孫の村上を操って
香山を殺害させようとするが、夏美の力で殺害には至らず、むしろ香山が死者にならず幽体離脱状態になった
ことで伊右衛門の影響をあまり受けなくなり、小林夫妻やキヨ、正岡らの助けも借りつつ伊右衛門を討伐する。
呪いが消えたことで死者は成仏し、全員がそれまでの不幸の分以上に幸せになるのだった。めでたしめでたし。
- 247 :かまいたちの夜×3◆l1l6Ur354A:2007/06/30(土)
15:07:46 ID:FHLUr8880
- 補足。
・透は婿養子
・俊夫とみどりの子は女の子っぽい(ベビー用品やら最後の写真でポニテなことから)
・主人公4人とその相手以外は後日談が語られないので、美樹本・可奈子と村上・春子がどうなったかは不明
・スタッフロールは金のしおり前限定
・かま3は主人公は俊夫で影の主役が香山、裏の主人公が啓子。透は非常に脇っぽい。
以上でかま3終了です。
今まで長々とお付き合いいただきありがとうございました。
最終更新:2020年02月23日 20:35