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*《鬼哭啾啾》間桐桜&キャスター ◆7q1uGo5q1A   始まりの刑罰は五種、生命刑、身体刑、自由刑、名誉刑、財産刑、様々な罪と泥と闇と悪意が回り周り続ける刑罰を与えよ『断首、追放、去勢による人権排除』『肉体を呵責し嗜虐する事の溜飲降下』『名誉栄誉を没収する群体総意による抹殺』『資産財産を凍結する我欲と裁決による嘲笑』死刑懲役禁固聞拘留罰金科料、私怨による罪、私欲による罪、無意識を被る罪、自意識を謳う罪、内乱、勧聞い誘、詐称、窃盗、強盗、誘拐、自傷、強聞い姦、放火、爆破、侵害、過失致死、集団暴力、業務致死、過信による事故、誤診に聞いてよる事故、隠蔽。益を得る為に犯す。己を得る為に犯す。愛を聞いて得る為に犯す。徳を得る為に犯す 自分の為に聞いてす。窃盗罪横領罪詐欺罪隠蔽罪殺人罪器物聞いて犯罪犯罪犯罪聞いて私怨による攻撃攻撃攻撃攻撃汚い汚聞いてい汚い聞いて汚いおまえは汚い償え償え償え償え償え聞いて聞いて聞いて聞いて―――― 「聞いて、お姉ちゃん」  唐突に間桐桜の視界は開けた。  どこまでも続く暗闇の中、地が髑髏に埋め尽くされた世界。  そこで吹く風は、声となって桜に聞こえてくる。 「お父さんも、お母さんも死んじゃったのは、みんな大江山で帝を僭称している男のせいだって言われたの。  だからあたしは刀で刺したの。お役目を果たしたのに、それを告げたら、胸を突かれて――」    一筋の風が桜に吹くと、また異なる声が聞こえてくる。 「聞いて。僕はひもじくてひもじくて、だけど妹だけは助けてあげたくて稲わらを盗んだんだ。  そしたら首を――」  風が逆巻き、桜に集まる。  風がきいきいと哭く。風の一筋は亡者の叫び。  怨念、無念、悪念、残念。  人の恨み、天の恨み。そして何より――己への恨み。  だが、例え怒りのままに人を、己を切り裂こうとも、虚しさは胸から去らない。  最早怒りをぶつける相手はどこにもいないのだから。  だからこそ、人を恨み、天を憎み、何より己を憎み、魑魅魍魎は哭くのだ。  ……あの女さえいなければ。あいつが憎い。痛いよ。熱いよ。もう嫌だ。死にたくない。殺してやる。助けてくれ。あの子だけは。  ねえ、聞いてくれ。この痛みを。苦しみを。つらさを。無念を。聞いてくれ。聞いてくれ。聞いてくれ!  その声に耐えきれず、桜は悲鳴を上げた。 ◇◇◇ ◇◇◇  ――――悲鳴と同時に、桜に映る景色が変わる。  暗闇の奥、さらに暗い部分には――蟲など一匹もいなかった。    床が垂直になっている事から、桜はようやく自分が倒れたという事に気が付いた。  同時に、なぜこんなところで倒れ伏しているのか、その理由も。    間桐桜はアーカムで穏やかな日々を過ごす最中、常に何か急き立てられるような感覚に襲われていた。  何かが欠けている。そう思いながらハイスクールに通い、兄とやや呆け気味の祖父の世話をしながら、違和感が薄れることは無く、むしろ増していった。  だが、何かが違う。何かが足りない。  いや、何かじゃない。誰か、が――!?  ある時、その喪失感に気づいてしまった。  ――衛宮士郎の存在に。  必死になって元の生活の痕跡を探し、存在しない衛宮邸を探し、知人を探し、桜にとって悪夢そのものである、間桐邸の地下修練場まで探しても何もないと知って。  絶望のあまり気を失ってしまったのだ。 「……帰りたい。帰らないと……」  桜は身を起こしながら呟いた。  桜に願いがあるとすればただ一つ、衛宮士郎との生活を続ける事だけだ。 「――たとえそれが家族ごっこだとしても?」    後ろから投げかけられた言葉に、桜は驚き振り向いた。 「あは、こんちわ!」    戸惑う桜と違い、彼は明るい笑顔で挨拶をした。  衣装は日本の貴族が着る直衣というものだろうか。紫というよりピンク色の着物を着ている。  下には袴を付けず、艶めかしい足が裾から覗いていた。  桜は流れる魔力から、ようやく彼がどのような存在なのか理解し、声をかけた。 「貴方が私のサーヴァント?」 「そ。ボクはキャスター。真名は『キツト』。  黄色の黄、三本線の川と、人間の人で『黄川人』さ。よろしく、マスター」  そう言ってキャスター、黄川人は桜に対し礼をした。 「私は……聖杯なんて必要じゃない。ただ、元の生活に戻りたい。  ……貴方はどうするの?」  黄川人からこの聖杯戦争について教わった桜は、黄川人に尋ねた。  それは単なる疑問ではなく、聖杯を求めないマスターをどうするか、という問いかけだ。  サーヴァントは叶えたい願いがあるからこそ召喚に応じる。  よって聖杯に無関心なマスターは、切り捨てられる可能性が大だ。  その時は令呪を使う必要があると、桜は理解していたのだが。 「いいよ、別にボクには聖杯に叶えてもらうような願いなんてないし。  こうして肉体を持って、現世を謳歌出来るだけで満足さ」  黄川人はくるりと一回りし、桜に向かい微笑んだ。 「大体さァ、あらゆる願いが叶う聖杯なんてうさん臭いよねェ。  そんな海のものとも山のものとも知れない代物に願おうなんて奴は考え知らずの馬鹿か、さもなくば追い詰められて都合の良い奇跡にすがる奴くらいだぜ。  あれ、じゃあやっぱり馬鹿しかいないってことじゃないか。アハハハ……」  何がおかしいのか、黄川人はけらけらと笑った。 「……他のマスターがどこに居るか分かる?」  桜が黄川人に尋ねると、黄川人は呪を唱えた。 「白鏡、黒鏡。この地と怨敵を映せ」  すると桜の視界の隅に、この町の地図が映し出された。地図の上には、動き回る黒い点がある。 「その点がボク達の敵、つまりマスターとサーヴァント、それと使い魔その他魔力を持った奴の位置だから。  それにしても……いきなりマスターの位置を尋ねるなんて、殺る気満々だね」 「違うわ。ただ私は戦いに巻き込まれたくないだけ。その前にこの町から出たいの」 「ふうん。だけどさ、アサシンのような気配遮断ができる相手だと、この術も通用するかどうか分からないよ。  いきなり襲われる事もあるだろうけど、その時はどうする?」  その時は。桜はそう言いかけて口ごもった。 「ま、その時はサーヴァントのボクの出番だけどね。おっ払うくらいはできると思うよ」  そう言って桜に対し無邪気な笑みを見せた。 「じゃあ、行きましょう」  と言って桜は地下から出る階段を登って。 「あ。そうそう、一つ頼みがあるんだけど……君の事を、マスターじゃなく“姉さん”って、呼んでいいかな?」  桜は歩みを止めた。 「ボクには赤ん坊の頃、生き別れた姉がいたらしいんだ。結局死ぬまで会えなかったんだけどね」  その言葉は、桜の脳裏にある光景を思い出させる。家族がそろっていたあの時の情景を。 「もし君のような人がボクの姉さんだったらうれしいんだけど……だめかな?」  思い出させないでほしい。    あの日々を思い出してしまったら、全てを諦める事でやっと手に入れた幸せが崩れてしまう。 「やめて、キャスター」  喉から悲鳴の様にかろうじて絞り出された声。桜にはそれを言うのが精一杯であった。 「ああ、わかったよ。桜」  黄川人はあっさりと受け入れ、さりげなく名前で呼んだ。  桜は震えそうになる身体を押さえ、階段を登って行った。  その姿を見る黄川人は、桜の前では見せなかった、歪んだ笑みを浮かべた。  黄川人が持つスキルの「千里眼」。それは単に視力の良さのみならず、物や人の過去を見通す。  先程の頼みも、桜の過去を覗いたからだ。  このマスターは面白い。鎖で縛られ、鎧で固められた精神の内で、素晴らしい怪物を育てている。  さあ、戦いを始めよう。聖杯なんてどうでもいい。彼女の内にある憎悪と嫉妬、そして『この世、全ての悪』を解き放ってやろう。  そしてマスターもサーヴァントも殺し、さらにあの自惚れ屋の神々を殺しつくし、海を埋め立て地を平らにし、この世を一からやり直そうじゃないか。  何だってできるさ。桜とボクが一緒なら……。 【マスター】 間桐桜@Fate/stay night 【マスターとしての願い】  早く元の生活に戻りたい。 【weapon】  無し。 【能力・技能】 架空元素・虚数  魔術師として極めてまれな属性だが、現在は上手く扱えない。 この世、全ての悪(アンリ・マユ)  人類60億全てに悪であれと望まれた呪い。  桜が元居る世界の聖杯の中で、誕生する時を待っている。  本来ならば桜は聖杯としての機能は覚醒しないが、繋がる可能性はある。  この聖杯戦争の聖杯(つまり邪神)とつながっているかは不明。 【人物背景】 遠坂凛の実妹。遠坂家の次女として生まれたが、間桐の家に養子に出された。 表向きは遠坂と間桐の同盟が続いていることの証。裏では、間桐臓硯にとっては断絶寸前だった家系を存続させるために、魔術の才能がある子供(というよりは胎盤)を求めていたという事情があった。 また遠坂時臣にとっては一子相伝である魔道の家において二人目の子供には魔術を伝えられず、そして凛と桜の姉妹は共に魔道の家門の庇護が不可欠であるほど希少な才能を生まれ持っていたため、双方の未来を救うための方策でもあった。 間桐家に入って以後は、遠坂との接触は原則的に禁じられる。 しかしながら「間桐の後継者」の実態は間桐臓硯の手駒であり、桜の素質に合わない魔術修行や体質改変を目的とした肉体的苦痛を伴う調整、義理の兄である慎二からの虐待を受けて育つ。 だがある頃に、士郎の懸命な姿を見て彼に憧れを抱く。 【方針】  聖杯戦争からの脱出、ではあるがその方法が見つからないならどうするか不明。 559 :《鬼哭啾啾》間桐桜&キャスター ◆7q1uGo5q1A:2015/05/06(水) 22:08:29 ID:bBsZqS2E0 【クラス】 キャスター 【真名】 黄川人@俺の屍を越えてゆけ 【パラメーター】 筋力C 耐久C+ 敏捷C 魔力A+ 幸運B 宝具B 【属性】 混沌・悪 【クラス別能力】 陣地作成:A+  魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。  “工房”を上回る“神殿”を複数形成することが可能。 道具作成:A  魔力を帯びた器具を作成できる。  恨みの念から、鬼を形成できる。元になった人間の怨念が強ければ強い程、サーヴァントにも匹敵する怪物となる。 【保有スキル】 呪歌:A+  黄川人の世界の神々が編み出した魔術体系。  攻撃、防御、属性付与は重ね掛けが可能で、攻撃の術は併せることで、人数×2倍の威力を発揮する。  キャスターとして召喚された影響で全ての術、さらに短命種絶の呪いや空間移動等を使用できる。 千里眼:A  視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。  さらに遠隔透視、過去視を可能とする。 自己改造:A+  自身の肉体に、まったく別の肉体を付属・融合させる適性。  このランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。  他人の身体に潜り込み、相手の意識はそのままに身体を操る。  また、この状態だと同ランクの気配遮断の効果を持つ。 神性:E-(A)  神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。  本来は最高の神性適性を持つが、本人が神を嫌っている上、鬼に貶められている。 【宝具】 『八つ髪(やつがみ)』 ランク:B 種別:召喚宝具 レンジ:― 最大補足:―  黄川人の八本の髪の毛から生み出される、竜種を模した鬼。  各々の髪は自己の意志で動き、術を行使し、倒されても魔力を注げば復活する。  陣地作成と合わせれば、召喚、運用、復活に本人の魔力を必要としなくなる。 『朱ノ首輪(しゅのくびわ)』 ランク:A 種別:対神宝具 レンジ:― 最大捕捉:1柱  神、もしくは神性スキルを持つ相手にのみ通用する宝具。  枷をはめられた敵の能力と理性を封印し、獣に貶める(イメージとしてはプリズマイリヤの黒化英霊を参考に)。  この宝具は術として唱える型と、首輪を実体化させる型の二種類がある。  術の場合、以下の呪文を唱える。  「風祭り、火祭り、水祭り、土祭り、滄溟を探りたもうた天の瓊矛の滴よ、ここに集いて禍事を為せ」  首輪の場合、道具作成スキルで製造する。こちらは填めることさえできれば誰にでも使用でき、黄川人本人にも通用する。 『阿朱羅(あしゅら)』 ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1人  黄川人の道具作成、自己改造スキルを自分自身に用い、異形の鬼へと変化する。  ステータスは以下の通り。 筋力A 耐久A+ 敏捷A 魔力A+ 幸運D 宝具B  無論この状態でも、全スキル、宝具は使用可能。だが、常時莫大な魔力を消費し続ける。  もし魔術回路を持つ者と一体化できたなら、自力で魔力を生成し、生前の力を完全に発揮できるだろう。 【サーヴァントとしての願い】  桜に『復讐』の思いを自覚させ『この世、全ての悪』を使い世界をやり直す。 【人物背景】  打倒朱点童子を目指す主人公一族の前に現れる水先案内人。  天真爛漫な性格で様々な情報を知らせてくれるが、セリフの端々に皮肉が混ざっている。  正体は主人公に呪いをかけた朱点童子本人。  下天した神、片羽ノお業と人間の間に生まれる。これを機に神は下界に介入し、黄川人を皇子として従うように下知する。  神の起こす奇跡により信仰は広まり、都が造られるまでに至るが、時の帝の命により、黄川人のいる都は焼き討ちされ、皆殺しの目に合う。  赤子だった黄川人は殺戮から逃れ、お紺という女性に拾われるが、黄川人が能力で富籤を連続で当てさせた結果、お紺の家庭は崩壊し、無理心中を図られる。  その後は氷ノ皇子の元に辿り着き、彼の血を啜り生き延び、術を教わる。  ある時、流れ着いた敦賀ノ真名姫の死によって身の内に溜まった復讐心が爆発し、怨念は地上天界を揺るがした。  それを鎮める為討伐に来た神々諸共、神へと転生した姉の昼子に鬼の身体へ封じ込められる。  それでも尚黄川人の意識は残り、鬼の自我はそのままに意志を操り京を荒らし続けた。  これに対し自分を倒すため、もう一人の神との混血『朱点童子』を作る計画を聞きつけた事で、封印を解く計画を思いつく。  鬼の身体を倒しにきたお輪を人質にして、まだ赤子の主人公に短命の呪いをかけた。  自分を封印から解き放つ動機を持たせ、封印を解く程度で実力を抑えるように。  そしてその赤子が神の力を借り、朱点童子討伐に乗り出すところから物語は始まる。 【方針】  戦闘やトラウマを抉り出す言葉責めで桜のSAN値を削り、桜が黒化した後で勝負に出る。  それまでは陣地を作り、待ちの戦術でいく。 【基本戦術、運用法】  戦法はまず陣地を作り、八つ髪を配置するというキャスタークラスの基本戦略に沿う形になる。  暗殺も一応は可能だが、やはり八つ髪と術の併せを用いた方が良いだろう。  主従関係について補足しておくと、黄川人は桜を利用しても、裏切る気は全くない。  サディスティックに責めたてても、それは桜に復讐心を自覚させるためである。
*《鬼哭啾啾》間桐桜&キャスター ◆7q1uGo5q1A   始まりの刑罰は五種、生命刑、身体刑、自由刑、名誉刑、財産刑、様々な罪と泥と闇と悪意が回り周り続ける刑罰を与えよ『断首、追放、去勢による人権排除』『肉体を呵責し嗜虐する事の溜飲降下』『名誉栄誉を没収する群体総意による抹殺』『資産財産を凍結する我欲と裁決による嘲笑』死刑懲役禁固聞拘留罰金科料、私怨による罪、私欲による罪、無意識を被る罪、自意識を謳う罪、内乱、勧聞い誘、詐称、窃盗、強盗、誘拐、自傷、強聞い姦、放火、爆破、侵害、過失致死、集団暴力、業務致死、過信による事故、誤診に聞いてよる事故、隠蔽。益を得る為に犯す。己を得る為に犯す。愛を聞いて得る為に犯す。徳を得る為に犯す 自分の為に聞いてす。窃盗罪横領罪詐欺罪隠蔽罪殺人罪器物聞いて犯罪犯罪犯罪聞いて私怨による攻撃攻撃攻撃攻撃汚い汚聞いてい汚い聞いて汚いおまえは汚い償え償え償え償え償え聞いて聞いて聞いて聞いて―――― 「聞いて、お姉ちゃん」  唐突に間桐桜の視界は開けた。  どこまでも続く暗闇の中、地が髑髏に埋め尽くされた世界。  そこで吹く風は、声となって桜に聞こえてくる。 「お父さんも、お母さんも死んじゃったのは、みんな大江山で帝を僭称している男のせいだって言われたの。  だからあたしは刀で刺したの。お役目を果たしたのに、それを告げたら、胸を突かれて――」    一筋の風が桜に吹くと、また異なる声が聞こえてくる。 「聞いて。僕はひもじくてひもじくて、だけど妹だけは助けてあげたくて稲わらを盗んだんだ。  そしたら首を――」  風が逆巻き、桜に集まる。  風がきいきいと哭く。風の一筋は亡者の叫び。  怨念、無念、悪念、残念。  人の恨み、天の恨み。そして何より――己への恨み。  だが、例え怒りのままに人を、己を切り裂こうとも、虚しさは胸から去らない。  最早怒りをぶつける相手はどこにもいないのだから。  だからこそ、人を恨み、天を憎み、何より己を憎み、魑魅魍魎は哭くのだ。  ……あの女さえいなければ。あいつが憎い。痛いよ。熱いよ。もう嫌だ。死にたくない。殺してやる。助けてくれ。あの子だけは。  ねえ、聞いてくれ。この痛みを。苦しみを。つらさを。無念を。聞いてくれ。聞いてくれ。聞いてくれ!  その声に耐えきれず、桜は悲鳴を上げた。 ◇◇◇ ◇◇◇  ――――悲鳴と同時に、桜に映る景色が変わる。  暗闇の奥、さらに暗い部分には――蟲など一匹もいなかった。    床が垂直になっている事から、桜はようやく自分が倒れたという事に気が付いた。  同時に、なぜこんなところで倒れ伏しているのか、その理由も。    間桐桜はアーカムで穏やかな日々を過ごす最中、常に何か急き立てられるような感覚に襲われていた。  何かが欠けている。そう思いながらハイスクールに通い、兄とやや呆け気味の祖父の世話をしながら、違和感が薄れることは無く、むしろ増していった。  だが、何かが違う。何かが足りない。  いや、何かじゃない。誰か、が――!?  ある時、その喪失感に気づいてしまった。  ――衛宮士郎の存在に。  必死になって元の生活の痕跡を探し、存在しない衛宮邸を探し、知人を探し、桜にとって悪夢そのものである、間桐邸の地下修練場まで探しても何もないと知って。  絶望のあまり気を失ってしまったのだ。 「……帰りたい。帰らないと……」  桜は身を起こしながら呟いた。  桜に願いがあるとすればただ一つ、衛宮士郎との生活を続ける事だけだ。 「――たとえそれが家族ごっこだとしても?」    後ろから投げかけられた言葉に、桜は驚き振り向いた。 「あは、こんちわ!」    戸惑う桜と違い、彼は明るい笑顔で挨拶をした。  衣装は日本の貴族が着る直衣というものだろうか。紫というよりピンク色の着物を着ている。  下には袴を付けず、艶めかしい足が裾から覗いていた。  桜は流れる魔力から、ようやく彼がどのような存在なのか理解し、声をかけた。 「貴方が私のサーヴァント?」 「そ。ボクはキャスター。真名は『キツト』。  黄色の黄、三本線の川と、人間の人で『黄川人』さ。よろしく、マスター」  そう言ってキャスター、黄川人は桜に対し礼をした。 「私は……聖杯なんて必要じゃない。ただ、元の生活に戻りたい。  ……貴方はどうするの?」  黄川人からこの聖杯戦争について教わった桜は、黄川人に尋ねた。  それは単なる疑問ではなく、聖杯を求めないマスターをどうするか、という問いかけだ。  サーヴァントは叶えたい願いがあるからこそ召喚に応じる。  よって聖杯に無関心なマスターは、切り捨てられる可能性が大だ。  その時は令呪を使う必要があると、桜は理解していたのだが。 「いいよ、別にボクには聖杯に叶えてもらうような願いなんてないし。  こうして肉体を持って、現世を謳歌出来るだけで満足さ」  黄川人はくるりと一回りし、桜に向かい微笑んだ。 「大体さァ、あらゆる願いが叶う聖杯なんてうさん臭いよねェ。  そんな海のものとも山のものとも知れない代物に願おうなんて奴は考え知らずの馬鹿か、さもなくば追い詰められて都合の良い奇跡にすがる奴くらいだぜ。  あれ、じゃあやっぱり馬鹿しかいないってことじゃないか。アハハハ……」  何がおかしいのか、黄川人はけらけらと笑った。 「……他のマスターがどこに居るか分かる?」  桜が黄川人に尋ねると、黄川人は呪を唱えた。 「白鏡、黒鏡。この地と怨敵を映せ」  すると桜の視界の隅に、この町の地図が映し出された。地図の上には、動き回る黒い点がある。 「その点がボク達の敵、つまりマスターとサーヴァント、それと使い魔その他魔力を持った奴の位置だから。  それにしても……いきなりマスターの位置を尋ねるなんて、殺る気満々だね」 「違うわ。ただ私は戦いに巻き込まれたくないだけ。その前にこの町から出たいの」 「ふうん。だけどさ、アサシンのような気配遮断ができる相手だと、この術も通用するかどうか分からないよ。  いきなり襲われる事もあるだろうけど、その時はどうする?」  その時は。桜はそう言いかけて口ごもった。 「ま、その時はサーヴァントのボクの出番だけどね。おっ払うくらいはできると思うよ」  そう言って桜に対し無邪気な笑みを見せた。 「じゃあ、行きましょう」  と言って桜は地下から出る階段を登って。 「あ。そうそう、一つ頼みがあるんだけど……君の事を、マスターじゃなく“姉さん”って、呼んでいいかな?」  桜は歩みを止めた。 「ボクには赤ん坊の頃、生き別れた姉がいたらしいんだ。結局死ぬまで会えなかったんだけどね」  その言葉は、桜の脳裏にある光景を思い出させる。家族がそろっていたあの時の情景を。 「もし君のような人がボクの姉さんだったらうれしいんだけど……だめかな?」  思い出させないでほしい。    あの日々を思い出してしまったら、全てを諦める事でやっと手に入れた幸せが崩れてしまう。 「やめて、キャスター」  喉から悲鳴の様にかろうじて絞り出された声。桜にはそれを言うのが精一杯であった。 「ああ、わかったよ。桜」  黄川人はあっさりと受け入れ、さりげなく名前で呼んだ。  桜は震えそうになる身体を押さえ、階段を登って行った。  その姿を見る黄川人は、桜の前では見せなかった、歪んだ笑みを浮かべた。  黄川人が持つスキルの「千里眼」。それは単に視力の良さのみならず、物や人の過去を見通す。  先程の頼みも、桜の過去を覗いたからだ。  このマスターは面白い。鎖で縛られ、鎧で固められた精神の内で、素晴らしい怪物を育てている。  さあ、戦いを始めよう。聖杯なんてどうでもいい。彼女の内にある憎悪と嫉妬、そして『この世、全ての悪』を解き放ってやろう。  そしてマスターもサーヴァントも殺し、さらにあの自惚れ屋の神々を殺しつくし、海を埋め立て地を平らにし、この世を一からやり直そうじゃないか。  何だってできるさ。桜とボクが一緒なら……。 【マスター】 間桐桜@Fate/stay night 【マスターとしての願い】  早く元の生活に戻りたい。 【weapon】  無し。 【能力・技能】 架空元素・虚数  魔術師として極めてまれな属性だが、現在は上手く扱えない。 この世、全ての悪(アンリ・マユ)  人類60億全てに悪であれと望まれた呪い。  桜が元居る世界の聖杯の中で、誕生する時を待っている。  本来ならば桜は聖杯としての機能は覚醒しないが、繋がる可能性はある。  この聖杯戦争の聖杯(つまり邪神)とつながっているかは不明。 【人物背景】 遠坂凛の実妹。遠坂家の次女として生まれたが、間桐の家に養子に出された。 表向きは遠坂と間桐の同盟が続いていることの証。裏では、間桐臓硯にとっては断絶寸前だった家系を存続させるために、魔術の才能がある子供(というよりは胎盤)を求めていたという事情があった。 また遠坂時臣にとっては一子相伝である魔道の家において二人目の子供には魔術を伝えられず、そして凛と桜の姉妹は共に魔道の家門の庇護が不可欠であるほど希少な才能を生まれ持っていたため、双方の未来を救うための方策でもあった。 間桐家に入って以後は、遠坂との接触は原則的に禁じられる。 しかしながら「間桐の後継者」の実態は間桐臓硯の手駒であり、桜の素質に合わない魔術修行や体質改変を目的とした肉体的苦痛を伴う調整、義理の兄である慎二からの虐待を受けて育つ。 だがある頃に、士郎の懸命な姿を見て彼に憧れを抱く。 【方針】  聖杯戦争からの脱出、ではあるがその方法が見つからないならどうするか不明。 【クラス】 キャスター 【真名】 黄川人@俺の屍を越えてゆけ 【パラメーター】 筋力C 耐久C+ 敏捷C 魔力A+ 幸運B 宝具B 【属性】 混沌・悪 【クラス別能力】 陣地作成:A+  魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。  “工房”を上回る“神殿”を複数形成することが可能。 道具作成:A  魔力を帯びた器具を作成できる。  恨みの念から、鬼を形成できる。元になった人間の怨念が強ければ強い程、サーヴァントにも匹敵する怪物となる。 【保有スキル】 呪歌:A+  黄川人の世界の神々が編み出した魔術体系。  攻撃、防御、属性付与は重ね掛けが可能で、攻撃の術は併せることで、人数×2倍の威力を発揮する。  キャスターとして召喚された影響で全ての術、さらに短命種絶の呪いや空間移動等を使用できる。 千里眼:A  視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。  さらに遠隔透視、過去視を可能とする。 自己改造:A+  自身の肉体に、まったく別の肉体を付属・融合させる適性。  このランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。  他人の身体に潜り込み、相手の意識はそのままに身体を操る。  また、この状態だと同ランクの気配遮断の効果を持つ。 神性:E-(A)  神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。  本来は最高の神性適性を持つが、本人が神を嫌っている上、鬼に貶められている。 【宝具】 『八つ髪(やつがみ)』 ランク:B 種別:召喚宝具 レンジ:― 最大補足:―  黄川人の八本の髪の毛から生み出される、竜種を模した鬼。  各々の髪は自己の意志で動き、術を行使し、倒されても魔力を注げば復活する。  陣地作成と合わせれば、召喚、運用、復活に本人の魔力を必要としなくなる。 『朱ノ首輪(しゅのくびわ)』 ランク:A 種別:対神宝具 レンジ:― 最大捕捉:1柱  神、もしくは神性スキルを持つ相手にのみ通用する宝具。  枷をはめられた敵の能力と理性を封印し、獣に貶める(イメージとしてはプリズマイリヤの黒化英霊を参考に)。  この宝具は術として唱える型と、首輪を実体化させる型の二種類がある。  術の場合、以下の呪文を唱える。  「風祭り、火祭り、水祭り、土祭り、滄溟を探りたもうた天の瓊矛の滴よ、ここに集いて禍事を為せ」  首輪の場合、道具作成スキルで製造する。こちらは填めることさえできれば誰にでも使用でき、黄川人本人にも通用する。 『阿朱羅(あしゅら)』 ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1人  黄川人の道具作成、自己改造スキルを自分自身に用い、異形の鬼へと変化する。  ステータスは以下の通り。 筋力A 耐久A+ 敏捷A 魔力A+ 幸運D 宝具B  無論この状態でも、全スキル、宝具は使用可能。だが、常時莫大な魔力を消費し続ける。  もし魔術回路を持つ者と一体化できたなら、自力で魔力を生成し、生前の力を完全に発揮できるだろう。 【サーヴァントとしての願い】  桜に『復讐』の思いを自覚させ『この世、全ての悪』を使い世界をやり直す。 【人物背景】  打倒朱点童子を目指す主人公一族の前に現れる水先案内人。  天真爛漫な性格で様々な情報を知らせてくれるが、セリフの端々に皮肉が混ざっている。  正体は主人公に呪いをかけた朱点童子本人。  下天した神、片羽ノお業と人間の間に生まれる。これを機に神は下界に介入し、黄川人を皇子として従うように下知する。  神の起こす奇跡により信仰は広まり、都が造られるまでに至るが、時の帝の命により、黄川人のいる都は焼き討ちされ、皆殺しの目に合う。  赤子だった黄川人は殺戮から逃れ、お紺という女性に拾われるが、黄川人が能力で富籤を連続で当てさせた結果、お紺の家庭は崩壊し、無理心中を図られる。  その後は氷ノ皇子の元に辿り着き、彼の血を啜り生き延び、術を教わる。  ある時、流れ着いた敦賀ノ真名姫の死によって身の内に溜まった復讐心が爆発し、怨念は地上天界を揺るがした。  それを鎮める為討伐に来た神々諸共、神へと転生した姉の昼子に鬼の身体へ封じ込められる。  それでも尚黄川人の意識は残り、鬼の自我はそのままに意志を操り京を荒らし続けた。  これに対し自分を倒すため、もう一人の神との混血『朱点童子』を作る計画を聞きつけた事で、封印を解く計画を思いつく。  鬼の身体を倒しにきたお輪を人質にして、まだ赤子の主人公に短命の呪いをかけた。  自分を封印から解き放つ動機を持たせ、封印を解く程度で実力を抑えるように。  そしてその赤子が神の力を借り、朱点童子討伐に乗り出すところから物語は始まる。 【方針】  戦闘やトラウマを抉り出す言葉責めで桜のSAN値を削り、桜が黒化した後で勝負に出る。  それまでは陣地を作り、待ちの戦術でいく。 【基本戦術、運用法】  戦法はまず陣地を作り、八つ髪を配置するというキャスタークラスの基本戦略に沿う形になる。  暗殺も一応は可能だが、やはり八つ髪と術の併せを用いた方が良いだろう。  主従関係について補足しておくと、黄川人は桜を利用しても、裏切る気は全くない。  サディスティックに責めたてても、それは桜に復讐心を自覚させるためである。

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