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《伝道者》師匠&アサシン」(2016/04/28 (木) 01:37:49) の最新版変更点

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*《伝道者》師匠&アサシン ◆B/nQCom9e.  こんな話がある。    だれもいない森の奥で、木が倒れた。さて、そのとき音はしたのか、しなかったのか。 ●  ◯    「くだらないお話ですね」  ぼくは彼の命題に、呆れたようなトーンでそう返す。  話の当事者であるぼくが言うのも妙な話だけれど、実に奇妙な光景だった。  アーカム・キャンパスの一角にある辺鄙な学生寮の一角で、凡そ地元の人間とは思えない東洋系の出で立ちをした人間二人が語り合っている。無感動な灯りの照らす室内。男の「つれないね」という返し言葉がやけに深く響く。    「これでも僕の知る限りじゃ、そこそこ評判の知れた命題なんだけどね。   万物の観察者である人間を介さずに、木が倒れるという《現象》が発生する。当然無人の空間に、それを観測する人間は誰も居ない。なら、《現象》へ付随する音は果たして存在しうるのか」  「あなたの理屈なら事のあらましを見届ける者が最初から存在しない以上、木が倒れたという部分からして疑ってかからなくてはいけません。そこをひとつの前提としている以上、音だってちゃんと鳴ったはずです」  「グッド。オーソドックスだが、悪くない答えだよ。   もっともこの場合、《音》というワードをどのようにして捉えるかで考え方は多少違ってくるだろうけど、音はしたっていうのが、ほとんどの人の回答だろう」  部屋には鏡があった。  学生が化粧なり顔の手入れを行いやすいようにと配慮された結果であろう常世の写し身。  今まさに僕らがいる、朧気で無感動な灯りだけが照らすコンクリの箱。  外側からは決して中身を窺い知ることのできない猫箱の内側を憚ることもなくそのからだへ写し、反射させ、閉じ込められたぼくらへ見せつけてくる――そう考えると、少し厭味だと感じないこともない。    彼は鏡に手を伸ばして、裏面を少し押し回転させた。  鏡面がこちらへ向いた状態でそれを止める。  薄暗い、暗澹とした灯火の支配する箱の中で、彼は悪戯っ子のような笑みを浮かべてまた問う。    だれもいない森の奥で木が倒れた。  その木の前には鏡が置かれていた。  その鏡に、倒れる瞬間は映っているかどうか。  「――――映っている」  「へえ」  数秒の時間こそ要したが、僕ははっきりと答えてやった。  森の奥にある、年月の経過し傷んだ朽ちかけの樹木。  何故かそれを映し続ける煤けた鏡台。  やがて木が崩折れて、ゆっくりその身を横たえんとしていき、その光景を――鏡は、問題なく、映す。  「命題の形を変えて誤魔化したつもりかもしれませんが、理屈はさっきと同じでしょう。《現象》が発生したのを前提条件としている以上、誰が見ていようが見ていまいが、映っていると考えるのが自然です」  それを聞いた彼はニヤリと笑う。  笑う――いや、これはひょっとして、嗤っているのか。  次に彼は、どこから工面してきたのだろうか、ちょうどぼくの小指より少し小さいくらいの駒を取り出した。  男。女。蛇男。……最後だけ些かまともでない気がするが、気にしたら負けな気がした。  「TRPG(テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム)用に売られているコマだ。なんでもどっかの貴族の館の焼け跡から見つかった代物らしいけど、安かったから記念に買ってきた」  「何の記念だよ」  「ヒトとの出会いだけが一期一会なわけじゃない。機会は大事にしないとね」  どこからどう聞いても曰く付きである代物を片手で弄び、男……戦士、だろうか?  そのコマを、彼は鏡の前に置いた。  「なにが映っている」  「戦士のコマですね」  「そうだね。実につまらん」  そう言って、彼は戦士を軽く指で弾き、倒してしまう。  もちろん鏡の中の戦士も倒れる。呆気なく。情けなすぎるくらいにあっさりと。  彼は次に、ちょっとずれてみろという風なジェスチャーをしてみせた。  言われるがまま、腰を少しだけ浮かせて姿勢をずらす。  鏡の正面から、五十センチくらい右に移動したことになる。  いつのまに置いたのか、左手の方に別の人形が立っていてそれが鏡の中に映っている。  次に鏡へ映っているのは女のコマ――多分、修道女、だろう。  「今度は、なんだ」  「女。修道女です」  「じゃあ、もっとこっちへ来てみろ」  更に座る位置をスライドさせる。  今度はかなり角度がきつくて見にくくなっているが、蛇男のコマが映っているのがわかった。  「蛇男」  そう答えた途端、ぼくは不思議な空間へ踏み出してしまったような錯覚を感じる。  何度も味わった感覚。  幾度。幾百度。幾千度と味わっても慣れる事のない、変質した世界。壊れた、日常がすぐそばに隣接している気配。  あの天才の館でも。あの連続殺人でも。彼女とはじめて出会ったあの学園でも。  害悪の細菌と邂逅した件の事件でも。彼女と別れ、彼と出会った魔法みたいな殺人の時にも。  ――そして、《物語》の完結した、狐面の男との戦いの時にも。  何度も感じたそれが、今すぐそこにある。  たったひとり。  彼らのように化け物めいた性質など何ら持たない男ひとりに、呼び起こされている。  どうして蛇男が映っていていいんだろう。  何度見ても確かに、鏡に映っているあたりに蛇男のコマが置かれている。  それは紛れもない事実なのに、奇妙な違和感が身体の内側から這い出てきた。  ぽんと肩へ手が置かれる。部屋の隅まで移動するようにと彼は言う。  彼の声が、昏いトーンを帯びる。  「さあ、なにが映ってる」  鏡の角度がなくなり、今ぼくはほとんど真横と言っていい位置にいる。  鏡面は平面というより線分に近づき、暗い金属色だけが見てとれる。   戦士も修道女も、もちろん蛇男も映っていない。  「さあ部屋を出ようか」  彼は言葉だけで誘う。  目を開けたまま幽体離脱したように、俺は師匠に連れられて部屋を出る。身体は部屋に残したまま。  街の中を彼はどんどんと歩く。ぼくはついていく。  立ち止まるたびに彼はぼくに訊く。  「なにが映ってる」    答えられない。  学生寮のドアしか見えない。  「なにが映ってる」  答えられない。  すべての始まりになった学生寮さえもう見えない。  「なにが映ってる」  やっぱり答えられなかった。  やがてぼくらは森の中に入り、だれもいないその奥で、朽ちた木の前に立つ。  木の前には鏡が置かれている。木の方に向けられた鏡。  彼は訊く。その鏡の真後ろに立って。  「なにが映っている」    鏡の背は真っ黒で、なにも見えはしない。  「さあ、なにが映っているんだ」    分からない。分からない。  ぼくの目は鏡の背中に釘づけられている。  その向こうにひっそりと立っている朽ちかけた木も、視界には入っているのに、  鏡の黒い背中、その裏側に映っているものをイメージできないでいる。  分からない、分からない、分からない。  頭の中が掻き混ぜられるようで、ひどく気分が悪いような、心地良いような……  狂気の片鱗へ触れたような感覚を覚えながら、ぽんと肩を叩かれる感覚によって、置き去りにされていた体へ自分の意識が帰ってくる。離魂病徒が現実を見る。盧生が目を覚ます。  「もう一度訊く」  一瞬で、最初の学生寮に帰ってきていた。  自分が壁際に座ったままだったことを再認識する。  「だれもいない森の奥で木が倒れた。その木の前に置かれていた鏡に、倒れる瞬間は映っているかどうか」  さっきとまったく同じ問いなのに、その肌触りは奇妙に捩れている。  鏡の前には戦士が、さっきと同じ恰好で倒れている。    焼き直しのようなその状況。  彼も同じものを感じているのか、そのにやついた表情の奥にはどこか期待するような色が見て取れる。  変わり者。そう呼ばれる人種は星の数くらい見てきた。  彼もその一人。ぼくというちっぽけな戯言遣いに与えられた余生の中で出会った、現実離れした一人の人間。  ただしこの彼は、あの鏡写しのように殺人鬼ではないし、あの狐のように人類最悪でもない。《物語》という大層な概念を唱えることもない。このアーカムに招かれた意味すら不真面目に受け取っている始末。  ぼくは一分で理解した。   頭の悪いぼくでこれなのだから、普通ならもっと速く気付くだろう。  この男には死相が付き纏っている。  ミステリ小説に喩えるなら、精々が第一の被害者。前振りだけをさんざ仰々しくやり通した挙句、当の本人は呆気なく死んで、奇怪な伏線ばかりを残し読者と探偵を悩ませる役割だ。    死相に彩られた手相を窶した右手が熱を持つ。  有名な猫箱をもじった命題。    初めの問い。  音の場合は、《音》という概念を振動として捉えるのか、感覚として捉えるかの余地があった。与えられていた。  対して、二番目の問い。  鏡に映るという状態は、反射した光を観察者が認識するというところまでを含んでいる。  だから、音と同じようには考えられない。  理屈で考えればこうだ。  これをわざわざぼくへ突きつけた理由はとんと分からない。分かる気もしないし、その行動にきっと意味はない。    「さ、答えてみろよ。詐欺師」    急かす彼に文句は言わない。  文句の代わりに、言ってやった。  「――――――――倒れる瞬間は」    その回答に、このアーカムを舞台とする狂気の宴の深淵に待ち受ける底知れない闇の存在を感じながら。  さながら断崖に立たされた自殺者のように、ある種悟りの境地へ踏み込んだような無感情で容貌を彩りつつ。  「映っている」  「ご名答だ」  ぼくが返したその答えに、ニヤリと彼は笑ってみせた。 ◯  ●  大学二回生の秋の始まりだった。  俺がオカルト道の師匠と仰ぐ人物が、ある日突然失踪した。  師匠の家庭は複雑だったらしく、大学から連絡がいって、叔母とかいう人がアパートを整理しに来た。  すごい感じ悪いババアで、親友だったと言ってもすぐ追い出された。師匠の失踪前の様子くらい聞くだろうに。  結局それっきり。  しかし、俺なりに思うところがある。    小さく、辺鄙なアパートの一室。  師匠が消えてからなんとなく熱が失せ、馴染みのオカルトフォーラムへの顔出しも控えめになってきてしまった今日このごろを日々自堕落に謳歌している、部屋というより箱に等しい空間の中に異物があった。  あった、というのは少しズルい表現だ。  これをここまで持ってきたのは俺だからだ。  師匠の叔母へ追い出される時、荷物の散らかった部屋の中から掠め取ってきた。  何故そんな行動に出たのかは自分でもわからない。だが敢えて理由を定義するなら、師匠がいつか言っていたとある言葉に帰結するのだと思う。    『 ――ヒトという生き物は、そこにあってはならない違和感を見咎めたなら、もう二度と忘却することは出来ない 』  俺は一目で気がついた。  それがそこにあることは大した理由ではなかった。  問題なのは、それの状態だったのだ。  安物の木製テーブルの上に置かれているのは、表面に錆の浮いた金属製の箱である。  大きさはトイレットペーパーくらいの円筒形。  箱からは小さなボタンのようなでっぱりが全面に出ていて、円筒の上部には鍵穴のようなものもある。  この手の品の例に漏れずボタンを正しい順序で打ち込まなければ開かない仕組みになっている。    それだけならありがちなおもちゃだ。  歴史が古かろうが浅かろうが、所詮は同じことでしかない。  この箱にまつわる最大の問題は、師匠が俺へ語ったとある曰くにあった。  開けると死ぬ。  それ以外に長ったらしい逸話があるのかどうかは知らない。  それを唯一知っていたかもしれない師匠が空蝉してしまった以上、もう知る由もないことだ。  箱のパズル相手に悪戦苦闘する師匠にきつい悪戯をかまされたことも記憶に新しいが、ここでは割愛しておく。  きっとそれは重要な事じゃない。  何より重要なファクターが、まさに目の前で口を開けている。  「師匠」  呟く。  返事のある筈がない言葉を呟く。  きっと、二度と戻っては来ないだろう人物の呼名を。 84 :《伝道者》師匠&アサシン ◆B/nQCom9e.:2015/03/21(土) 13:09:51 ID:VDvHM5gA0  「あなたは」  箱は、開いていた。  中は伽藍の洞。  けれど、中に何が入っていたのかはその型から容易に推察できた。  きっと、鍵だ。  それが収まるように作られた凹み部分の汚れ方を見るに、材質は多分銀だろう。  夢の中で拾った鍵の話。  俺をからかう目的で話したのだとばかり思っていた、夏休みのそんな記憶が蘇る。  あの時、既に彼は気付いていたのかもしれない。    箱の中にあるものを。  それを開けた時に訪れる、ともすれば死すら生易しく思えるような狂気の片鱗を。  あの並外れた天運でもって察していたのかもしれない。  ともかく。これでいよいよ俺にもはっきりと諦めがついた。  師匠は、夢の中で鍵を開けてしまったのだ。  銀の鍵を手に、この街へ巣食う悪意よりも尚大きな闇の領域へと進んでいってしまったのだ。  俺が彼の物語に干渉することも、彼が俺の人生に影響を与えてくることも、こうなった以上はもう二度とないだろう。    ちっぽけな鍵によって隔てられた壁は絶対のものとなって、明確に線引きをしていった。    箱を無造作に部屋の隅へ擲ち、ごろりと絨毯へ横になる。  すると、ぴんぽん、と軽い音がした。  ああ、そういえば約束をしていた。  思い出したように腰を上げると欠伸をし、俺は俺の人生へと歩き出す。  一年ほどの間、僕が師匠と呼んだ人物との記憶へ背を向けながら。 【クラス】  アサシン 【真名】  “ぼく”@戯言シリーズ 【パラメーター】  筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:A 宝具:EX 【属性】  中立・混沌 【クラススキル】  気配遮断:E  サーヴァントとしての気配を絶つ。人混みに紛れるのに適している。  暗殺者のクラスにあるまじき低さを誇る。 【保有スキル】  単独行動:C  マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。  ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。  戯言遣い:A  彼という存在が物語る、戯言を遣うという才能。  名前の存在しないモノが相手でない限り、万人へと彼の戯言は通用する。  探偵役:A  殺人事件の現場に遭遇し易い。  聖杯戦争の場においてはサーヴァント戦の爪痕の発見などの形でその才能は発揮されるだろう。 【宝具】 『無為式』  ランク:EX 種別:概念宝具 レンジ:- 最大補足:∞  無為式、なるようにならない最悪(If Nothing Is Bad)。  事故頻発性体質並びに優秀変質者誘因体質、所謂トラブルメーカーという体質のことを指す。  本人の悪意の有無に関わらず、彼の周囲の存在は意図せず勝手に狂い出す。  故に彼の周りではいつだって異常事態が巻き起こり、彼の周りではいつだって奇矯な人間ばかりが集まる。  この宝具において問題なのは、彼にとっては何の目的もなく、また何の意味もないということ。聖杯戦争的に言えばオンオフの切り替えが不可能で、更に概念武装であるため破壊するにはアサシン本体を消滅させなくてはならない。  アサシンの存在は、必然的に殺人を起こし、愛憎に壊れ、友情に苦しみ、状況に狂う人間を作り出す。元から壊れた人間も寄ってくる。  要するに無為式の根幹にあるのは《欠点》。観測するものと欠けている形が似ているから、自分の欠点を指摘された気分になり、心が揺れる。それを恋心と判断するか敵意と判断するかは扠置き前者は傷の舐め合い、後者は同属嫌悪であるが、彼の場合はそのハイエンド級である。  無個性で誰とも似ていないけれどが、彼には欠けている部分があまりに多過ぎる。だから誰にでも似ている。それが他人の無意識を刺激する、ゆえに無為式。  そして、彼はその上でうまく立ち回る。受けて立たずに受け流し迎え討たずに迎合する。他人をやり過ごしひらひら躱し避けいなす。戯言を弄して他人から逃げる逃れる逃亡する。  そこにいられると落ち着かないのに、周囲の誰も彼に触れることかできない。幽霊か悪魔がそばにいるのと対して変わらない。だから、彼の周囲では歯車が狂い、誰かのスイッチが自然に入ってしまう。  彼は本来暗殺者ではない。だが、彼が存在するだけで、周囲は捻れ狂う。  だからこそ、聖杯は彼へ暗殺者のクラスをあてがった。  ――狂気に満ちたこの聖杯戦争に於いては、限りなく最悪の類である宝具といえよう。 【weapon】  錠開け専用鉄具:  アンチロックブレード。  推理小説殺しと呼んでもいい道具で、鍵ならば大抵これ一つで開けてしまう。  ジェリコ941:  斜道郷壱郎研究施設で宇瀬美幸が所持していたものを紆余曲折の末に手に入れたもの。  殺傷能力は高くこそないものの、戦闘能力皆無と言ってもいいアサシンが持つ武装の中では唯一サーヴァントを殺傷できる代物である。 【人物背景】  主人公にして語り部。本名不明。《人類最弱》・「戯言遣い」。  愛称は「いーちゃん」、「いーたん」、「いっくん」等多数。3月生まれ。『クビツリハイスクール』で萩原子荻と名前当てクイズをするが、様々な回答案がある上に、このクイズの答えが本名である保証もない為、正確な名前は判別不能。萩原子荻曰く「変わった名前」らしく、作者曰く「いい名前」らしい。但し、本人曰く「今までにぼくを本名で呼んだ人間が3人いるけど、生きている奴は誰もいない」。零崎人識に「欠陥製品」という異名をつけられる、人識の対偶的存在。19歳。神戸出身。血液型はAB型のRhマイナス。  中学2年から5年間ER3システムに在籍していたが、親友の死を機に中退。現在は骨董アパートの2階の部屋を借り、京都の鹿鳴館大学に通っている。意外と女好きで惚れっぽい反面、男に淡白。年上が好みだが、年下の娘によくモテる。他にも日本地理に詳しくない、メイドマニア、華奢で女装が似合う、自己評価が極端に低い、よく病院送りになる、記憶力が悪い、人恋しがりの孤独主義者、アホ毛があるなどの特徴を持つ。欠けている部分が多すぎるため、他人を落ち着かせない才能の持ち主である。一般人としては戦闘能力はそれなりにあるらしい。 【サーヴァントとしての願い】  形の定まった願いは持たない。が、犬死にをする気は一応、ない。 【基本戦術、方針、運用法】  ――さあ、どうしようね。 【マスター】  師匠@師匠シリーズ 【マスターとしての願い】  聖杯戦争の深淵へ辿り着く。聖杯? 犬にでも喰わせとけ。 【weapon】  なし 【能力・技能】  怪談への深い知識と実体験で培った経験。  話術にも強く、推理力も非常に高い人物。 【人物背景】  師匠シリーズと題される一連のシリーズにて、投稿者(ウニ)から「師匠」と呼ばれる男。  ある種享楽的ともいえる性質の持ち主で、道祖神の祠を破壊するなど罰当たりな言動にも憚りがない傍若無人な人物。  だがオカルト面における見識の深さと度胸は間違いなく本物で、怖いもの知らずという点でも間違いなくまともではない。彼にも師匠と仰いでいた人物が居るが、ウニと出会う前に死別してしまっている。  先代の師匠の名は「加奈子」。  彼よりも高い霊能力の資質を有した女性で、探偵事務所のような事務所のアルバイトを行っていた。彼もそれを手伝う内に様々な人物と出会い、また怪異の世界へ逃れられぬほどに浸かっていく。  参戦時間軸はウニ編、大学二回生の秋の始まり、『葬式』前後からとする。 【方針】  聖杯戦争そのものには興味がない。  誉れ高い英雄サマのご威光を仰いでどうするんだい?  僕が見たいのはただ一つ、この悪趣味な儀式を糸引く誰かさんのお顔さ、断じて胡乱げな願望器なんぞじゃない。  ――きっとそれを見た暁には無事では済まないだろうけど、それでも好奇心には勝てないな。
*《伝道者》師匠&アサシン ◆B/nQCom9e.  こんな話がある。    だれもいない森の奥で、木が倒れた。さて、そのとき音はしたのか、しなかったのか。 ●  ◯    「くだらないお話ですね」  ぼくは彼の命題に、呆れたようなトーンでそう返す。  話の当事者であるぼくが言うのも妙な話だけれど、実に奇妙な光景だった。  アーカム・キャンパスの一角にある辺鄙な学生寮の一角で、凡そ地元の人間とは思えない東洋系の出で立ちをした人間二人が語り合っている。無感動な灯りの照らす室内。男の「つれないね」という返し言葉がやけに深く響く。    「これでも僕の知る限りじゃ、そこそこ評判の知れた命題なんだけどね。   万物の観察者である人間を介さずに、木が倒れるという《現象》が発生する。当然無人の空間に、それを観測する人間は誰も居ない。なら、《現象》へ付随する音は果たして存在しうるのか」  「あなたの理屈なら事のあらましを見届ける者が最初から存在しない以上、木が倒れたという部分からして疑ってかからなくてはいけません。そこをひとつの前提としている以上、音だってちゃんと鳴ったはずです」  「グッド。オーソドックスだが、悪くない答えだよ。   もっともこの場合、《音》というワードをどのようにして捉えるかで考え方は多少違ってくるだろうけど、音はしたっていうのが、ほとんどの人の回答だろう」  部屋には鏡があった。  学生が化粧なり顔の手入れを行いやすいようにと配慮された結果であろう常世の写し身。  今まさに僕らがいる、朧気で無感動な灯りだけが照らすコンクリの箱。  外側からは決して中身を窺い知ることのできない猫箱の内側を憚ることもなくそのからだへ写し、反射させ、閉じ込められたぼくらへ見せつけてくる――そう考えると、少し厭味だと感じないこともない。    彼は鏡に手を伸ばして、裏面を少し押し回転させた。  鏡面がこちらへ向いた状態でそれを止める。  薄暗い、暗澹とした灯火の支配する箱の中で、彼は悪戯っ子のような笑みを浮かべてまた問う。    だれもいない森の奥で木が倒れた。  その木の前には鏡が置かれていた。  その鏡に、倒れる瞬間は映っているかどうか。  「――――映っている」  「へえ」  数秒の時間こそ要したが、僕ははっきりと答えてやった。  森の奥にある、年月の経過し傷んだ朽ちかけの樹木。  何故かそれを映し続ける煤けた鏡台。  やがて木が崩折れて、ゆっくりその身を横たえんとしていき、その光景を――鏡は、問題なく、映す。  「命題の形を変えて誤魔化したつもりかもしれませんが、理屈はさっきと同じでしょう。《現象》が発生したのを前提条件としている以上、誰が見ていようが見ていまいが、映っていると考えるのが自然です」  それを聞いた彼はニヤリと笑う。  笑う――いや、これはひょっとして、嗤っているのか。  次に彼は、どこから工面してきたのだろうか、ちょうどぼくの小指より少し小さいくらいの駒を取り出した。  男。女。蛇男。……最後だけ些かまともでない気がするが、気にしたら負けな気がした。  「TRPG(テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム)用に売られているコマだ。なんでもどっかの貴族の館の焼け跡から見つかった代物らしいけど、安かったから記念に買ってきた」  「何の記念だよ」  「ヒトとの出会いだけが一期一会なわけじゃない。機会は大事にしないとね」  どこからどう聞いても曰く付きである代物を片手で弄び、男……戦士、だろうか?  そのコマを、彼は鏡の前に置いた。  「なにが映っている」  「戦士のコマですね」  「そうだね。実につまらん」  そう言って、彼は戦士を軽く指で弾き、倒してしまう。  もちろん鏡の中の戦士も倒れる。呆気なく。情けなすぎるくらいにあっさりと。  彼は次に、ちょっとずれてみろという風なジェスチャーをしてみせた。  言われるがまま、腰を少しだけ浮かせて姿勢をずらす。  鏡の正面から、五十センチくらい右に移動したことになる。  いつのまに置いたのか、左手の方に別の人形が立っていてそれが鏡の中に映っている。  次に鏡へ映っているのは女のコマ――多分、修道女、だろう。  「今度は、なんだ」  「女。修道女です」  「じゃあ、もっとこっちへ来てみろ」  更に座る位置をスライドさせる。  今度はかなり角度がきつくて見にくくなっているが、蛇男のコマが映っているのがわかった。  「蛇男」  そう答えた途端、ぼくは不思議な空間へ踏み出してしまったような錯覚を感じる。  何度も味わった感覚。  幾度。幾百度。幾千度と味わっても慣れる事のない、変質した世界。壊れた、日常がすぐそばに隣接している気配。  あの天才の館でも。あの連続殺人でも。彼女とはじめて出会ったあの学園でも。  害悪の細菌と邂逅した件の事件でも。彼女と別れ、彼と出会った魔法みたいな殺人の時にも。  ――そして、《物語》の完結した、狐面の男との戦いの時にも。  何度も感じたそれが、今すぐそこにある。  たったひとり。  彼らのように化け物めいた性質など何ら持たない男ひとりに、呼び起こされている。  どうして蛇男が映っていていいんだろう。  何度見ても確かに、鏡に映っているあたりに蛇男のコマが置かれている。  それは紛れもない事実なのに、奇妙な違和感が身体の内側から這い出てきた。  ぽんと肩へ手が置かれる。部屋の隅まで移動するようにと彼は言う。  彼の声が、昏いトーンを帯びる。  「さあ、なにが映ってる」  鏡の角度がなくなり、今ぼくはほとんど真横と言っていい位置にいる。  鏡面は平面というより線分に近づき、暗い金属色だけが見てとれる。   戦士も修道女も、もちろん蛇男も映っていない。  「さあ部屋を出ようか」  彼は言葉だけで誘う。  目を開けたまま幽体離脱したように、俺は師匠に連れられて部屋を出る。身体は部屋に残したまま。  街の中を彼はどんどんと歩く。ぼくはついていく。  立ち止まるたびに彼はぼくに訊く。  「なにが映ってる」    答えられない。  学生寮のドアしか見えない。  「なにが映ってる」  答えられない。  すべての始まりになった学生寮さえもう見えない。  「なにが映ってる」  やっぱり答えられなかった。  やがてぼくらは森の中に入り、だれもいないその奥で、朽ちた木の前に立つ。  木の前には鏡が置かれている。木の方に向けられた鏡。  彼は訊く。その鏡の真後ろに立って。  「なにが映っている」    鏡の背は真っ黒で、なにも見えはしない。  「さあ、なにが映っているんだ」    分からない。分からない。  ぼくの目は鏡の背中に釘づけられている。  その向こうにひっそりと立っている朽ちかけた木も、視界には入っているのに、  鏡の黒い背中、その裏側に映っているものをイメージできないでいる。  分からない、分からない、分からない。  頭の中が掻き混ぜられるようで、ひどく気分が悪いような、心地良いような……  狂気の片鱗へ触れたような感覚を覚えながら、ぽんと肩を叩かれる感覚によって、置き去りにされていた体へ自分の意識が帰ってくる。離魂病徒が現実を見る。盧生が目を覚ます。  「もう一度訊く」  一瞬で、最初の学生寮に帰ってきていた。  自分が壁際に座ったままだったことを再認識する。  「だれもいない森の奥で木が倒れた。その木の前に置かれていた鏡に、倒れる瞬間は映っているかどうか」  さっきとまったく同じ問いなのに、その肌触りは奇妙に捩れている。  鏡の前には戦士が、さっきと同じ恰好で倒れている。    焼き直しのようなその状況。  彼も同じものを感じているのか、そのにやついた表情の奥にはどこか期待するような色が見て取れる。  変わり者。そう呼ばれる人種は星の数くらい見てきた。  彼もその一人。ぼくというちっぽけな戯言遣いに与えられた余生の中で出会った、現実離れした一人の人間。  ただしこの彼は、あの鏡写しのように殺人鬼ではないし、あの狐のように人類最悪でもない。《物語》という大層な概念を唱えることもない。このアーカムに招かれた意味すら不真面目に受け取っている始末。  ぼくは一分で理解した。   頭の悪いぼくでこれなのだから、普通ならもっと速く気付くだろう。  この男には死相が付き纏っている。  ミステリ小説に喩えるなら、精々が第一の被害者。前振りだけをさんざ仰々しくやり通した挙句、当の本人は呆気なく死んで、奇怪な伏線ばかりを残し読者と探偵を悩ませる役割だ。    死相に彩られた手相を窶した右手が熱を持つ。  有名な猫箱をもじった命題。    初めの問い。  音の場合は、《音》という概念を振動として捉えるのか、感覚として捉えるかの余地があった。与えられていた。  対して、二番目の問い。  鏡に映るという状態は、反射した光を観察者が認識するというところまでを含んでいる。  だから、音と同じようには考えられない。  理屈で考えればこうだ。  これをわざわざぼくへ突きつけた理由はとんと分からない。分かる気もしないし、その行動にきっと意味はない。    「さ、答えてみろよ。詐欺師」    急かす彼に文句は言わない。  文句の代わりに、言ってやった。  「――――――――倒れる瞬間は」    その回答に、このアーカムを舞台とする狂気の宴の深淵に待ち受ける底知れない闇の存在を感じながら。  さながら断崖に立たされた自殺者のように、ある種悟りの境地へ踏み込んだような無感情で容貌を彩りつつ。  「映っている」  「ご名答だ」  ぼくが返したその答えに、ニヤリと彼は笑ってみせた。 ◯  ●  大学二回生の秋の始まりだった。  俺がオカルト道の師匠と仰ぐ人物が、ある日突然失踪した。  師匠の家庭は複雑だったらしく、大学から連絡がいって、叔母とかいう人がアパートを整理しに来た。  すごい感じ悪いババアで、親友だったと言ってもすぐ追い出された。師匠の失踪前の様子くらい聞くだろうに。  結局それっきり。  しかし、俺なりに思うところがある。    小さく、辺鄙なアパートの一室。  師匠が消えてからなんとなく熱が失せ、馴染みのオカルトフォーラムへの顔出しも控えめになってきてしまった今日このごろを日々自堕落に謳歌している、部屋というより箱に等しい空間の中に異物があった。  あった、というのは少しズルい表現だ。  これをここまで持ってきたのは俺だからだ。  師匠の叔母へ追い出される時、荷物の散らかった部屋の中から掠め取ってきた。  何故そんな行動に出たのかは自分でもわからない。だが敢えて理由を定義するなら、師匠がいつか言っていたとある言葉に帰結するのだと思う。    『 ――ヒトという生き物は、そこにあってはならない違和感を見咎めたなら、もう二度と忘却することは出来ない 』  俺は一目で気がついた。  それがそこにあることは大した理由ではなかった。  問題なのは、それの状態だったのだ。  安物の木製テーブルの上に置かれているのは、表面に錆の浮いた金属製の箱である。  大きさはトイレットペーパーくらいの円筒形。  箱からは小さなボタンのようなでっぱりが全面に出ていて、円筒の上部には鍵穴のようなものもある。  この手の品の例に漏れずボタンを正しい順序で打ち込まなければ開かない仕組みになっている。    それだけならありがちなおもちゃだ。  歴史が古かろうが浅かろうが、所詮は同じことでしかない。  この箱にまつわる最大の問題は、師匠が俺へ語ったとある曰くにあった。  開けると死ぬ。  それ以外に長ったらしい逸話があるのかどうかは知らない。  それを唯一知っていたかもしれない師匠が空蝉してしまった以上、もう知る由もないことだ。  箱のパズル相手に悪戦苦闘する師匠にきつい悪戯をかまされたことも記憶に新しいが、ここでは割愛しておく。  きっとそれは重要な事じゃない。  何より重要なファクターが、まさに目の前で口を開けている。  「師匠」  呟く。  返事のある筈がない言葉を呟く。  きっと、二度と戻っては来ないだろう人物の呼名を。  「あなたは」  箱は、開いていた。  中は伽藍の洞。  けれど、中に何が入っていたのかはその型から容易に推察できた。  きっと、鍵だ。  それが収まるように作られた凹み部分の汚れ方を見るに、材質は多分銀だろう。  夢の中で拾った鍵の話。  俺をからかう目的で話したのだとばかり思っていた、夏休みのそんな記憶が蘇る。  あの時、既に彼は気付いていたのかもしれない。    箱の中にあるものを。  それを開けた時に訪れる、ともすれば死すら生易しく思えるような狂気の片鱗を。  あの並外れた天運でもって察していたのかもしれない。  ともかく。これでいよいよ俺にもはっきりと諦めがついた。  師匠は、夢の中で鍵を開けてしまったのだ。  銀の鍵を手に、この街へ巣食う悪意よりも尚大きな闇の領域へと進んでいってしまったのだ。  俺が彼の物語に干渉することも、彼が俺の人生に影響を与えてくることも、こうなった以上はもう二度とないだろう。    ちっぽけな鍵によって隔てられた壁は絶対のものとなって、明確に線引きをしていった。    箱を無造作に部屋の隅へ擲ち、ごろりと絨毯へ横になる。  すると、ぴんぽん、と軽い音がした。  ああ、そういえば約束をしていた。  思い出したように腰を上げると欠伸をし、俺は俺の人生へと歩き出す。  一年ほどの間、僕が師匠と呼んだ人物との記憶へ背を向けながら。 【クラス】  アサシン 【真名】  “ぼく”@戯言シリーズ 【パラメーター】  筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:A 宝具:EX 【属性】  中立・混沌 【クラススキル】  気配遮断:E  サーヴァントとしての気配を絶つ。人混みに紛れるのに適している。  暗殺者のクラスにあるまじき低さを誇る。 【保有スキル】  単独行動:C  マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。  ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。  戯言遣い:A  彼という存在が物語る、戯言を遣うという才能。  名前の存在しないモノが相手でない限り、万人へと彼の戯言は通用する。  探偵役:A  殺人事件の現場に遭遇し易い。  聖杯戦争の場においてはサーヴァント戦の爪痕の発見などの形でその才能は発揮されるだろう。 【宝具】 『無為式』  ランク:EX 種別:概念宝具 レンジ:- 最大補足:∞  無為式、なるようにならない最悪(If Nothing Is Bad)。  事故頻発性体質並びに優秀変質者誘因体質、所謂トラブルメーカーという体質のことを指す。  本人の悪意の有無に関わらず、彼の周囲の存在は意図せず勝手に狂い出す。  故に彼の周りではいつだって異常事態が巻き起こり、彼の周りではいつだって奇矯な人間ばかりが集まる。  この宝具において問題なのは、彼にとっては何の目的もなく、また何の意味もないということ。聖杯戦争的に言えばオンオフの切り替えが不可能で、更に概念武装であるため破壊するにはアサシン本体を消滅させなくてはならない。  アサシンの存在は、必然的に殺人を起こし、愛憎に壊れ、友情に苦しみ、状況に狂う人間を作り出す。元から壊れた人間も寄ってくる。  要するに無為式の根幹にあるのは《欠点》。観測するものと欠けている形が似ているから、自分の欠点を指摘された気分になり、心が揺れる。それを恋心と判断するか敵意と判断するかは扠置き前者は傷の舐め合い、後者は同属嫌悪であるが、彼の場合はそのハイエンド級である。  無個性で誰とも似ていないけれどが、彼には欠けている部分があまりに多過ぎる。だから誰にでも似ている。それが他人の無意識を刺激する、ゆえに無為式。  そして、彼はその上でうまく立ち回る。受けて立たずに受け流し迎え討たずに迎合する。他人をやり過ごしひらひら躱し避けいなす。戯言を弄して他人から逃げる逃れる逃亡する。  そこにいられると落ち着かないのに、周囲の誰も彼に触れることかできない。幽霊か悪魔がそばにいるのと対して変わらない。だから、彼の周囲では歯車が狂い、誰かのスイッチが自然に入ってしまう。  彼は本来暗殺者ではない。だが、彼が存在するだけで、周囲は捻れ狂う。  だからこそ、聖杯は彼へ暗殺者のクラスをあてがった。  ――狂気に満ちたこの聖杯戦争に於いては、限りなく最悪の類である宝具といえよう。 【weapon】  錠開け専用鉄具:  アンチロックブレード。  推理小説殺しと呼んでもいい道具で、鍵ならば大抵これ一つで開けてしまう。  ジェリコ941:  斜道郷壱郎研究施設で宇瀬美幸が所持していたものを紆余曲折の末に手に入れたもの。  殺傷能力は高くこそないものの、戦闘能力皆無と言ってもいいアサシンが持つ武装の中では唯一サーヴァントを殺傷できる代物である。 【人物背景】  主人公にして語り部。本名不明。《人類最弱》・「戯言遣い」。  愛称は「いーちゃん」、「いーたん」、「いっくん」等多数。3月生まれ。『クビツリハイスクール』で萩原子荻と名前当てクイズをするが、様々な回答案がある上に、このクイズの答えが本名である保証もない為、正確な名前は判別不能。萩原子荻曰く「変わった名前」らしく、作者曰く「いい名前」らしい。但し、本人曰く「今までにぼくを本名で呼んだ人間が3人いるけど、生きている奴は誰もいない」。零崎人識に「欠陥製品」という異名をつけられる、人識の対偶的存在。19歳。神戸出身。血液型はAB型のRhマイナス。  中学2年から5年間ER3システムに在籍していたが、親友の死を機に中退。現在は骨董アパートの2階の部屋を借り、京都の鹿鳴館大学に通っている。意外と女好きで惚れっぽい反面、男に淡白。年上が好みだが、年下の娘によくモテる。他にも日本地理に詳しくない、メイドマニア、華奢で女装が似合う、自己評価が極端に低い、よく病院送りになる、記憶力が悪い、人恋しがりの孤独主義者、アホ毛があるなどの特徴を持つ。欠けている部分が多すぎるため、他人を落ち着かせない才能の持ち主である。一般人としては戦闘能力はそれなりにあるらしい。 【サーヴァントとしての願い】  形の定まった願いは持たない。が、犬死にをする気は一応、ない。 【基本戦術、方針、運用法】  ――さあ、どうしようね。 【マスター】  師匠@師匠シリーズ 【マスターとしての願い】  聖杯戦争の深淵へ辿り着く。聖杯? 犬にでも喰わせとけ。 【weapon】  なし 【能力・技能】  怪談への深い知識と実体験で培った経験。  話術にも強く、推理力も非常に高い人物。 【人物背景】  師匠シリーズと題される一連のシリーズにて、投稿者(ウニ)から「師匠」と呼ばれる男。  ある種享楽的ともいえる性質の持ち主で、道祖神の祠を破壊するなど罰当たりな言動にも憚りがない傍若無人な人物。  だがオカルト面における見識の深さと度胸は間違いなく本物で、怖いもの知らずという点でも間違いなくまともではない。彼にも師匠と仰いでいた人物が居るが、ウニと出会う前に死別してしまっている。  先代の師匠の名は「加奈子」。  彼よりも高い霊能力の資質を有した女性で、探偵事務所のような事務所のアルバイトを行っていた。彼もそれを手伝う内に様々な人物と出会い、また怪異の世界へ逃れられぬほどに浸かっていく。  参戦時間軸はウニ編、大学二回生の秋の始まり、『葬式』前後からとする。 【方針】  聖杯戦争そのものには興味がない。  誉れ高い英雄サマのご威光を仰いでどうするんだい?  僕が見たいのはただ一つ、この悪趣味な儀式を糸引く誰かさんのお顔さ、断じて胡乱げな願望器なんぞじゃない。  ――きっとそれを見た暁には無事では済まないだろうけど、それでも好奇心には勝てないな。

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