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《機械技術》ニコラス・ハルトゼーカー&ローグ」(2015/10/07 (水) 03:07:02) の最新版変更点

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*《機械技術》ニコラス・ハルトゼーカー&ローグ ◆ACfa2i33Dc  アーカム市・リバータウン。  『アーカムの下町』とも呼ばれる、歴史ある――あえて言えば、古臭い――建物が並ぶ地区。  立ち並ぶ家々は質素だが、それは静かさを意味しない。  むしろ、雑多な人種や、個性様々な職人たちの行き交うこの地区は、賑やかと言っていい。  そのリバータウン地区の、技師や職人の個人工房が並ぶ通り。そこに建っている工房のひとつ。  機械義肢や時計、空繰の置かれた店内に、男がいた。  鉄色の瞳をした男。顔の左半分を、できそこないのヘルメットのような機械――おそらくはゴーグル――で覆った男。  今はジャンプスーツをきっちりと着込んだ男は、商品の義手を整備しながら、人を待っていた。  だが、男が玄関口に目を遣ることはない。無駄だから。待つ相手が玄関からはやってこないだろう事を、男は知っていた。 「……よ、っと。頼まれ事は終わったよ」  男の背後。入口から見れば影となる位置に、いつの間にか。一人の男が立っていた。  警官の制服を纏った男。知っている者が見れば、その風貌はアーカムの警察署長そのものだとわかるかもしれない。  だが、真実はそうではない。本物のアーカム警察署長は、今頃ノースサイドで会食を楽しんでいる筈だ。  ならば、この男は誰なのか。 「そうか。収穫は?」 「特になし。巡回の情報や死体の記録も漁ってみたけど、これは、ってのはなかったよ。……ただ、不審な死は増えてたかな。  まあ、サーヴァントやマスターの情報に繋がりそうなのはなかった」 「そうか……。ところでローグ。お前いつまでその格好のつもりだ?」 「うん? ああ、そういや警察署の署長の格好のままだっけ」  そう言って。ローグと呼ばれた、警察署長の姿をした男の姿が、“歪んだ”。  ――顔が溶ける。  ――腕が軋む。  ――胴が歪み、人間の体が『変化』する。  冒涜的な変身過程に、ゴーグルの男が僅かに顔を歪めた。  ……ややあって。先程まで警察署長の姿をしていた男は、完全にその姿を別人へと変じていた。  性別は判然としない。線の細い中性的な顔立ちと、細身の体が合わさって外から判別するのは困難だ。ゴーグルの男も、聞いた事はない。  警官の制服もいつの間にか脱ぎ棄てられている。今着ているのは、白い、無地の上下だ。  ――人間離れした『変化』を見せたその存在。  ――『ローグ(ならず者、或いは盗賊)』と呼ばれた彼は、人間ではない。  アーカムで夜な夜な繰り広げられる、聖杯を賭けた、血みどろの争奪戦。聖杯戦争――  その魔術儀式によって呼び出される、サーヴァント。  ――怪盗Xi(サイ)。  ――ゴーグルの男に呼び出された彼は、そう名乗った。 「ねえ、ニコラス」  怪盗Xi――ローグに名を呼ばれて。  ゴーグルの男――ニコラス・ハルトゼーカーは振り返る。 「どうした」 「生きてた頃もこういうのはやってたから、そこはいいんだけどさ。  そういう事をしてた身から言わせてもらえば、化ける相手は予め殺しといた方が楽だよ」 「サーヴァント以外の殺しは無し(ノー)だ。契約した時にもそう話した筈だろ」 「マスター相手に殺すのが憚られる、ってのはまだわかるよ。俺はマスターでも殺した方が楽だと思ってるけどさ。  でもさぁ。NPCまで殺さないで済ませるのは面倒だし、意味がないと思うよ」 「だとしてもだ。サーヴァント以外の、殺しは、しない。  ……俺は人間だ。兵器なんかじゃない。だから、殺しはできるだけしない」 「……ふうん」  なにかを考えるかのように、ローグは言葉を切った。  口を何事かもごつかせて。その『何事か』を、口の中に押し込め。別の内容を吐き出す。 「……もう一度確認させてくれよ。ニコラス、あんたが聖杯を手に入れて願いたい事を」 「なんでまた? 仕事してるのはわかるだろ」 「いいからさ」 「……まあ、いいか」  観念したように、ニコラスは義手を整備する手を止める。  そして、ジャンプスーツの上半身を脱いだ。 「この前も見せたな。……俺が聖杯を求めるのは、これの理由を知るためだ」  ――鋼の軋む音。  ――上半身裸のニコラス。その左半身は、金属に覆われていた。  左腕は、肩から指先まで、全てが機械部品で構成された義手。  左胸から脇腹にかけてまでも、金属部品が鈍く光る。ところどころの隙間から、歯車やピストンが見え隠れしている。その位置は、本来なら内臓や骨格があるべき場所だった。  ジャンプスーツに隠れた左脚も――機械化された義足である事を、ローグは既に知っている。 「俺には記憶がない。気がついたら倉庫で寝ていて、とある組織に備品として扱われていた。そして誰も俺の身の上を教えてくれないまま、奴らは消えた。  だから俺達は奴らを追っている。俺が被害者なのか、加害者だったのかを知るために。俺が人間であるために」 「……人間であるために、ね」 「人は、『喪失』を『喪失』したままじゃいられない。なにかを失って、それを何故失ったのかも知らずに生きるのは、つらいもんだろ?  だから俺は、それを知りたい」 「……一つ質問なんだけどさ」  なにかを回想するように。ローグは――X(サイ)は、言った。 「もし、その理由を知る機会があったとして――『お前はただの実験動物で、血も涙もない殺戮機械兵器だ。探すような過去も、元々存在しないのさ』って言われたら、どうする?」 「……だとしても、俺は人間であることをあきらめたりはしない」  いくらか傷ついたような表情で、ニコラスは、そう答えた。 「そっか」  その返答に、ローグはただ、そう返して。  少しの静寂が、工房の中を包む。  数分の後。ニコラスは、静寂に耐えかねたかのように口を開いた。 「……ああ、そうだ。アイはどうした?」 「あんたの頼み通りに、『調達』に行ってるよ。【重蒸気(ヘビィスチーム)】……だっけ? それの」 「オーケー。……にしても、凄いもんだな。この都市にはミアズマはないってのに」 「まあね。二人で一人の『怪盗Xi』だ。その辺は期待しといていいよ」  まるで自分の事のように、ローグは自分の相棒を自慢する。 「……そういやさっき、『俺達』って言ってたよね。あんたにも、相方とかいたの?」 「いるぜ。一緒に誕生日を祝うような仲のが」 「誕生日って、あんた自分の誕生日わかんないんでしょ?」 「ま、そうなんだけどな」  冗談めかすように、ニコラスは笑った。 「相棒と俺で、二人で一人の『道化師(バスカーズ)』だ。演じる物語は、怪人(フリークス)の復讐劇(リベンジプレイ)。  ……俺にとっては、名前をくれて、機械から人間に戻してくれた恩人だよ」 「……ふう、ん」  気のないように。そんな風を装って、ローグは霊体化し、ニコラスの視界から消えた。  ……怪盗、『怪物強盗』Xi。  元は『絶対悪』に作られた生物兵器である、彼。  何人もの犠牲者を出した怪人である、彼。  そんな彼が、何故、聖杯戦争という場であるとはいえ。  令呪によって縛られている立場であるとはいえ。  ニコラス・ハルトゼーカーに従っているのか。  その理由は、彼を知っている者ならば――例えば、生前の彼の『中身』を見抜いた探偵ならば――明らかな、話だった。  ――それが『共感』であるとなど、彼は口にはしないのだが。 --- 【クラス】ローグ 【真名】怪盗Xi@魔人探偵脳噛ネウロ 【パラメーター】 筋力C 耐久B 敏捷B 魔力D 幸運D 宝具E 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 盗用:C 盗み。 戦闘終了後、敵サーヴァントもしくはマスターの『なにか』を盗むことがある。 盗む可能性があるのはサーヴァントに付随する武具や所持品、あるいは情報など。武具や所持品を盗んだ場合は、自らの魔力を消費することでサーヴァント消滅後も盗んだ品の現界を維持できる。 【保有スキル】 変化:A 文字通り、『変身』する。 全身の体細胞を変異させて、どのような人物にもほぼ変身することができる。 変身中は『正体隠蔽:D(サーヴァントとしての気配を断つ。変身中は同ランク以上の感知系スキルを持つサーヴァントでないとサーヴァントだと感知されない。攻撃に移ると解除される)』を得る。 体の一部分だけを変化させ、武器として扱うことも可能。 ――また、その冒涜的な変異の過程を目の当たりにした者(NPC、マスター)は、精神にダメージを受ける可能性がある。 怪力:B 一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。 使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。 魔眼(偽):C 脳内変異とプログラムによる偽の魔眼。 他人の顔を見ただけでその脳内に流れる電流(記憶)を読み取れる。 また、劣化電子ドラッグにより他人の脳内を掻き回すこともできる。 NPCに対しては洗脳、マスターに対しては正気度ロールを行わせる事が可能。サーヴァントには通用しない。 再生:C 細胞変異による急速再生。 たとえ戦闘中であってもダメージを再生し、超スピードで回復する。また、待機中のダメージ回復速度を速め、消費する魔力を低減する。 ただし、戦闘中の再生は魔力の消耗を招く。 人間観察:C 人々を観察し、理解する技術。 自分を知るために人間を解体し、人間を解体してきた怪盗Xは、人間について肉体的にも内面的にもよく知っている。 このスキルと『変化』の組み合わせで、他人に成りすます精度を上昇させる事が可能。 芸術審美:D 芸術作品、美術品への執着心。 芸能面における逸話を持つ宝具を目にした場合、低い確率で真名を看破することができる。 【宝具】 『あなたの隣に(アイ)』 ランク:E 種別:対X宝具 レンジ:- 最大補足:一人 もう一人の『怪盗Xi』、相棒のアイ。 戦闘能力は持たないが、かつて怪盗Xをサポートした逸話から派生し、マスターの魔力を消費することにより『物品の調達』を行える。 この『物品の調達』は世界観を問わず、マスターが(あるいはXが)正確に知っている品ならば調達が可能。 ただし、物品によって魔力の消耗は比例する。 戦闘に役立つ事も無く、精神的なダメージを与える事もない。けれど『怪盗Xi』が『怪盗Xi』であるために、もっとも必要な宝具。 【weapon】 『変化』する自らの肉体。 【人物背景】 記憶を持たない、最後に自分を見つけた怪盗。 【サーヴァントとしての願い】 願いくらいはもちろんある。が、生前やりたい事は大体やったし、ニコラスに共感する部分もあるので契約には従う。 【マスター】 ニコラス・ハルトゼーカー@スチームヘヴン・フリークス 【マスターとしての願い】 自分の過去を知る。 【weapon】 幾つもの武器を隠し持っている。 小口径の実弾銃や、出力の低い重蒸気を発射するパルス銃などを主に使用する。 火球を発射する火炎放射器なども持っているが、本人は殺傷性の高い武器を使う事を嫌う。 【能力・技能】 《人とクラフトの融合》 左半身が、《クラフト》と呼ばれる《重蒸気(ヘビィスチーム)》で動作する機械に改造されている。 左腕に仕込まれた《蒸気圧縮砲(スチームレイ)》は生半可な機械ならばスクラップにする火力を持つ。 が、《蒸気圧縮砲(スチームレイ)》で弾丸とする《重蒸気(ヘビィスチーム)》は左胸の人工心肺の動力と共用されており、《蒸気圧縮砲(スチームレイ)》の連射は人工心肺の動作不全を引き起こす。 また、容易く人を殺す《蒸気圧縮砲(スチームレイ)》をニコラスは人に向かって撃つのを嫌う。 機械関連の知識や技術もそれなりに豊富。 【人物背景】 記憶を持たない、自分を探す怪人。 【方針】 聖杯を手に入れる。 サーヴァント以外の殺しは、極力行わない。

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