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《芸術/悪 小関麗奈&アサシン》 ◆GOn9rNo1ts



「オラ!てめえら動くんじゃねえぞ!」


ドスの効いた声が、アーカム市内を走るバスの中に響き渡った。
声の主は真っ黒なマスクを被り、手にサブマシンガンを抱えている。
その横には仲間だろうか、財布などを回収するための袋を持った別の覆面男が控えていた。
彼らの背後には、ゴルフバッグに偽装された銃のケースが、空っぽな口を間抜けに開けている。
どう見ても、バスのハイジャック犯だった。それもコッテコテの。

「へっへっへ、早く金目のもんを出しな。隠してると殺すからなあ?」

下卑た笑い声を挙げ、小物そのものな台詞を吐き出す覆面男。
これが日曜朝8時5分くらいならば、覆面姿の正義の味方が颯爽と登場するようなシチュエーションだ。
もしくは、金曜夜9時15分くらいならば、客の中に潜んだ元軍人のスーパーおっさんがハイジャック犯を制圧しているところだろう。

だが、今は白昼12時正午の時間。
つい最近まではグラサンをかけたおっさんが「いいとも~」などと抜けた声を出していた、平和そのものな時間帯だった。
そんな時間に突如として現れた『異物』たちは、我が物顔で車内を歩き回りながら財布などを物色し始める。
周りの乗客たちも下手に抵抗すれば危ないということを理解しているのか、比較的すんなりと財布などを覆面男の差し出した袋に入れていく。
ここまでは、ハイジャック犯たちの計画通りだといっても、差支えはないだろう。

「おい、おめえ、その『薬指』にはめた指輪を渡しな」

「え、でも、これは夫が数年間頑張って働いて……」

「でも、じゃねえよ。だから、だろうがよぉ。そんな上物もらってやらねえわけにはいかねえなあ?」

「す、すみません!これだけは!これだけはご勘弁を!」

「ごちゃごちゃうるせえんだよ!なんなら今ここで愛しのダーリンと永遠にお別れするかあ!?」

そう、ここまでは。
女性が愛する男性に送られた婚約指輪を奪おうとする、下衆の後ろで。
パァン!という破裂音が、響くまでは。

「うおっ!?なんだ!?」

「アーッハッハッハッハ!」

すわ銃声かとびくつきながら思わず身をかがめるハイジャック犯たち。
自分たちの身体に穴は開いていないことをほっと一安心し、いやいやそうじゃないと慌てて後ろを振り向いた。
彼らの後ろでやけに幼い高笑いが聞こえることが、今の音は自然現象ではないことの証左だ。
下手人がいる。もたつきながらなんとかサブマシンガンを構え直し、声のする方に向けると、そこには

「げっほげっほ」

と咽る、格好のつかない登場シーンを披露した東洋人の少女がいた。
涙目になりながら男たちを睨む彼女の手には、クラッカーのようなものが握られている。

「なーるほど、つまんねえ邪魔してくれるじゃねえか、嬢ちゃん」

相手がイタズラに使う程度のオモチャしか持っていないことを確認し、覆面は余裕を取り戻す。
わざとゆっくり、全身を舐め回すようにしながら銃口を少女の身体に定めた。
もう一人のハイジャック犯も、サブマシンガンの射線に入らないように気を付けながら、指をパキパキする姿を見せつける。

「お兄さんたちのお仕事の邪魔をしないでくれねえかなあ」

「つまんないのはあんたたちの方よ、クソ野郎の『おっさん』ども」

少女は、引かなかった。

「んだと?」

「悪人には悪人の美学ってやつがあるの。あんたたちにはそれが全然感じられないって言ってんのよ。わかった?お・じ・さ・ん?」

男は覆面の下でこめかみを引き付かせる。人の顔も見てねえくせに。俺はまだお兄さんと自称しても問題ない、はずだ。
いや、そんなことよりも、彼女は先ほど自分たちに財布をあっさり渡していた。何故、今更、急に?
そこで、男たちは気付く。
少女がちらっちらっと、自分たちの後ろ、婚約指輪をはめた女性を見ていることを。

「クック……ハッハッハッハッハッハ!正義の味方ってか!」

「ヒャヒャヒャヒャ!若いねえ!お兄さんそういうの嫌いじゃないよ!」

馬鹿にしているようにしか見えない、いや、実際に馬鹿にしながら大笑いをする男たち。
覆面越しからも分かる彼らの嘲りを受けながらも、少女はやはり引かなかった。
ただ、前を向き、少し青ざめながら、それでも、銃という名の『ヒトゴロシの道具』をこちらに向けるクズを睨みつける。
負けたくない。こんな『悪』の風下にさえ置けないやつらには。

「そんなんじゃない」

「あ?」

「正義なんてクソくらえよ。ただ、私はあんたたちが気に喰わない」

「ほぉ~そうかぁ~それでぇ~?」

「お嬢ちゃんはそのクラッカーモドキで今から俺たちをぶっとばすのかなぁ~?」

覆面男の手が、引き金にかかった。知るか。

「ま、そっちは全部回収したし問題ねえだろ」

足が震える。武者震いに違いない。

「一人くらい殺っとけば見せしめとしては丁度いいしな」

唾をごくりと飲み込む。一緒に弱気も飲み込んでしまえ。

「下手すりゃ近くの何人かも一緒に死ぬだろうが、仕方ねえ。この嬢ちゃんを呪いながらくたばりな」


これは……涙?


「全く、馬鹿なガキだ」




美学ある誇り高き悪に――――涙なんて必要ない!




「ああ、馬鹿だな」




その瞬間だった。
男たちには聞き覚えのない声と共に空間が歪み、ソレは現れた。
腰を抜かしてしまったのか、へたり込んだ少女の目の前に。

『もう一人の覆面男』がいた。

いつから?どこから?誰だ?俺たちは二人組だったはずだ。
男たちの脳裏に疑問符が幾つも上がる。結論、分からない。

分からないが、既にサブマシンガンの引き金は最後まで絞られていた。

「とりあえず死ね!」

少女――小関麗奈は目をつむる。
頭を抱え、ガクガクと震えながら。
美学も、誇りも、そんなものでは銃弾は止められない。分かっていた。
分かっていたが、それでも許せなかった。
『悪』として、やってはいけないラインを超えた男たちの暴挙が。
そして……結局は自らのサーヴァントに頼ってしまう、己の不甲斐なさが。


撃ち放たれた銃弾の雨は、一粒残らず『覆面男』によって『掴み取られていた』


「…………は?」


それは、誰の言葉だったろうか。
サブマシンガンを撃ったバスジャック犯の声だったろうか。
恐る恐る目を開けた小関麗奈の声だったろうか。
巻き添えで死を覚悟した、他の乗客たちの声だったろうか。

とりあえず、分かることは2つある。
狭いバス内でサブマシンガンが乱射されたにもかかわらず、誰も死なず、傷つきもしなかったこと。
そして、それを成し遂げた『規格外な方の覆面男』を敵に回した普通の覆面男たちには、ロクな結末が待っていないことだ。


■ ■ ■



「どうして最初から俺に頼らなかった?」



あれから。
見事バスジャック犯を撃退した『ことになっている』勇気ある一般市民の男性が記者に取り囲まれる光景を遠目に見ながら、小関麗奈は家路についていた。
事情聴取のために警察署に拘束されて数時間。ようやくの帰宅である。

「そもそも、大人しくしとけば解放されたかもしれないだろうに」

「うっさいわね」

少し赤くなった目元を見せないように、少女は霊体化した気配の前へ前へ歩いていく。

「ムカついたんなら帰ってからお部屋のクマちゃんでも殴っていれば良い。
わざわざ、他のマスターやサーヴァントに気付かれるような危険性は犯すべきじゃないって分かるだろ?」

ムスッとした顔をしながら、だけど麗奈は口を開かない。
自らのサーヴァントが言っていることは正しいと理解しているから。
それを良いことに『戦隊ものにいるような雑魚戦闘員』の格好をした『アサシン』のサーヴァントは更に言う。

「そもそも、外出なんてしなきゃいいんだ。俺の『宝具』の性能は覚えてるだろ?」

「それはイヤよ」

「なんでだよ。年頃の娘が急に引き籠りになったくらいじゃ、今時は特別不審にゃ思わねえさ」

「そういう問題じゃなくて!」


違うのだ。
不審に思われるとか、引き籠りが嫌だとか、そうじゃなくて。
この男の宝具のせいで、自分が今現在とびきり不幸になっていることも、今は問題ではなくて。

「そしたらアンタ、一人でサーヴァントっていうのを、その……殺しに、行くんでしょ」

「…………ま、それはな。聖杯戦争ってのはそんなもんだ」

マスターも、サーヴァントも、皆が命の奪い合いをする、聖杯戦争という悪夢の中で。
自分だけが蚊帳の外で、サーヴァントにすべて任せきりというのは、駄目だ。
そんなのは、ズルい。全く面白くもないズルさだ。

「あんたに任せて高みの見物なんて、クソ喰らえよ」


レイナサマの、美学に反する。


「それに」


それに。


『……俺は、怖いんだよ』


夢で見た、この強すぎる男は。


『俺は人を殺すのが怖いんだよ!』


悲しすぎるくらいに。


『殺せなんて命令しないでくれ。俺を、これ以上弱くしないでくれ。俺だけを……俺だけを』




『弱虫にしないでくれ』




弱虫だったから。




『みんなを守れと命令してくれ!俺に生きる理由をくれ!』


それでも私のために戦ってくれる、この人のために。


『悪の秘密結社の総統なんだろう!お前は!』



私が――レイナサマが傍で支えてあげないと。


「それに?なんだよ?」

「あの子の名前はクマちゃんじゃなくてアルセーヌ!」

赤く染まった頬を誤魔化すために、麗奈は暗い暗い道の方へとすたすたと歩きだす。
そうだ、自分も負けてはいられない。巻き込まれてしまった以上、覚悟を決めねばならない。
今日の一件も、自分だって頑張れるということを示したかったのに結局は彼に頼ってしまった。
こんなザマじゃ駄目だ。銃を向けられたくらいでビビっては駄目だ。もっともっと、強くならないと。


一方、覆面の『アサシン』――『No.37564』というコードネームで呼ばれた男は、訳の分からないという顔を覆面に隠しながら、そっと麗奈との距離を一歩詰めた。
何が起こっても彼女は自分が守らなければならぬし、何より、このままだとレイナサマは、何故か折れ曲がって丁度良い位置にまで下がってしまっている標識に顔面アタックな運命だ。
標識の方をささっとどうにかするか、我が麗しの総統閣下にご忠告申し上げるか、どちらの方が彼女のプライドは傷つかずに済むのだろう。
難しい。組織の上司である『ワン・デイ・タイラント』様もそうだったが、この年頃の子供はどうにも扱い方が分からない。


お互いにお互い、悩みながら、苦しみながら。
弱虫な『悪人』たちは、底の見えない闇の中へと消えていく。


【マスター】
小関麗奈@アイドルマスターシンデレラガールズ

【マスターとしての願い】
このレイナサマの威光を全世界に見せつけてやるのよ!アーッハッハゲホゲホ。


……死にたくない。
けど、帰る方法なんて見当もつかないから聖杯戦争に勝ち残る。

【weapon】
『ウルトラレイナ様砲』という名の相手を驚かせるための巨大クラッカーを持参。現在は自室に置いてある。
また、ほかにも色々イタズラグッズをバッグや懐に仕込んでいる。

【能力・技能】
アイドルとしてダンス、歌、演技はそれなりに出来る。
イタズラが好きなので、普通の子よりも機転は利くかもしれない。

【人物背景】
イタズラが大好きで女王様のようにふるまうが、言動がいちいち小物っぽくヘタレ臭が漂う残念系ロリアイドル。
様々なイタズラを引き起こし『悪者』を気取ってはいるが意外と面倒見が良く、根は良い子。
本人は絶対に認めないだろうが。

【方針】
聖杯戦争に勝利し元の世界に帰る。しかし未だ覚悟不足。
誰かを殺すという罪を『アサシン』だけに背負わせたくはないため、出来る限り前線に出張りたい。

【クラス】
アサシン

【真名】
No.37564@世界の中心、針山さん②

【パラメーター】
筋力:A 耐久:A 敏捷:A 魔力:A 運:EX 宝具:EX

【属性】
混沌・善

【クラススキル】
気配遮断:E
アサシンとしては異例の低さ。腕の悪い現代の魔術師相手までならサーヴァントとしての気配を気取らせない程度。
気配を消すというよりも「あ、テレビで見たことあるような雑魚戦闘員だ」と他者に思わせ油断させる力量偽装の面が強い。

【保有スキル】

対毒:EX
彼に毒の類は絶対に通用しない。
酸もウィルスも何もかも何故か効かない。一酸化炭素に満ちた部屋に閉じ込めようとも顔色一つ変えない。

彼は、健常健在でしかいられない。

対洗脳:EX
彼に洗脳の類は絶対に通用しない。
服従も魅了も何もかも何故か効かない。当然、彼が拒めば令呪も効かない。

彼は、自分自身の意志でしか行動することができない。

対概念:EX
彼に概念系攻撃の類は絶対に通用しない。
時間という概念さえ存在しない『虚無』の空間に閉じ込められようとも、神様にアカシックレコードを書き換えられ存在自体を消去されようとも、何故か絶対に死なず、生還する。

彼は、彼の世界で生きていくことしかできない。


【宝具】
『常敗』
ランク:EX 種別:対主宝具 レンジ:- 最大補足:1
『アサシン』のマスターは強制的に運を最低値にまで引き下げられる。常時発動型の宝具。
あらゆる判定が当たり前のようにファンブルになりかねず、一般的な平和な生活を送ることさえも困難になる可能性がある。
『アサシン』は苦戦もせず敗北もせず、そもそも彼と戦える『敵』となる相手さえも存在しなかったが
その代わりといわんばかりに、彼の仲間である『悪の組織』はほぼ壊滅した。
運命は彼を、『悪の組織の雑魚戦闘員』を勝者になど、させはしない。

『無敵』
ランク:EX 種別:対運宝具 レンジ:- 最大補足:1
『アサシン』が死亡判定を受けた場合、その因果を覆し、何故か生存する。死亡という運命に対して発動する宝具。
加えて、彼を殺した原因を乗り越える力を強制的に付与されてしまう。
絶対に死なず、絶対に負けず、最終的に強制的に勝利する。
運命は彼を、『全ての敗北の反動である存在』を敗者になど、させはしない。

因果を改変するその圧倒的な力は凄まじき燃費の悪さを誇る。
そのため、英霊『キャスター』クラスの魔力を持ち合わせていない場合は発動した時点で魔力不足によるマスターの死亡、ならびに『アサシン』の消滅が確定する。

【weapon】
徒手空拳。彼に武器は必要ない。
数十メートルはある巨大ロボットをローキック一発でレゴブロックのようにバラバラに出来るくらいには強い。
但し聖杯戦争においてはサーヴァントという枠にはめられているため、サーヴァントが出来る上限レベルの力しか発揮できないものとする。

【人物背景】
見た目は『悪の組織の雑魚戦闘員』
その実態は、幾つもの『悪の組織』に改造されまくった結果、化学反応により誕生してしまった化け物。
上記能力を見てもらえばわかるように、馬鹿みたいに強い。公認チート。
しかし、その強さは自分自身の力で得たものではないため、あまり自信は持てない男。
本来ならばマスクの下に優しそうな好青年としての人間の顔があるが、人前では滅多にマスクを脱ぐことはない。

【サーヴァントとしての願い】
なし。自分の組織を思い出す『悪』なレイナサマを守ってやる。

【基本戦術、方針、運用法】
様々な困難からマスターを守りながら、圧倒的な力を用いて相手サーヴァントを撃破する。
少しでもマスターから目を離せば何が起こるか分からないため、出来る限り短期決戦。