※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

LETTER FROM SILENT HEAVEN  ◆S8pgx99zVs



 語 れ。

 我 は 真 紅 の も の で あ る。

 嘘 と 霧 は、 彼 ら で は な く、 ま た 我 で も あ る。

 汝 ら は 我 が 一 人 で あ る こ と を 知 っ て い る。

 そ う、 一 人 は 我 で あ る。

 お お、 信 じ る 者 よ。

 四 百 の 僕、 七 千 の 獣 と 共 に 言 葉 を 聞 き、そ し て 語 れ。

 太 陽 の 下 に あ っ て も、 そ れ は 忘 れ て は な ら な い。

 無 限 の 盲 目 と 降 り 注 が れ る 矢。

 そ れ は 我 の 復 讐 で あ る。

 枯 れ 行 く 花 の 輝 き と 否 定 さ れ る 死 者、 そ れ は 我 の 祝 福 で あ る。

 汝 ら は 我 と 我 の 誇 る 全 て を 沈 黙 の う ち に 称 え よ。

 赤 き 心 臓 の 四 方 へ 放 つ 誇 り 高 き 香 り よ。

 白 き 酒 を 満 た す 杯、 全 て は そ れ に 始 ま る。


 ――『赤の祭祀』





.



 □ □ □ □ □ □ □ □ □


足元には死体があった。
こいつが悪い。浮浪者か酔っ払いか、街に来て最初の出会ったのがこいつだった。



 ジェイムス・サンダーランドは何かに引き寄せられるようにこの街へとやってきた。
 それは永遠の水底を辿り、ようやく見つけ出した黄金の輝きだった。



車を駐車場に停める。いつもと変わらないくすんだ水色の車で、濡れたタイヤがアスファルトに黒い線を引いていた。
それが何時何分のことだったのかはわからない。しかし早朝だったのは確かだ。
眠気を覚ますために車を降りる。
そしてすぐ傍の公衆便所へと入るとじっとりとした湿気に包まれた。水垢に塗れた鏡の中に映る顔は灰色で、まるで死人の顔だった。

床にこびりついた赤錆を靴底で削りながら外に出ると自分の車を誰かが覗き込んでいることに気づく。
ゆっくりと近づき穏やかな口調で声をかけた。しかし、その化物の答えは要領を得ない。
腹が立ったので落ちていた鉄パイプで殴りつけると黄色と赤が斑模様のゲロを吐いた。無性に腹が立ったので何度も何度も殴りつけた。

気づけば化物は死んでいた。ぐったりと、海の生き物のように青黒く柔らかい身体を地面に横たえ、ぴくりとも動かなくなっていた。



何か盗まれていないだろうか? 心配になったので車の中を覗き込む。
地図は無事だ。ラジオも盗まれていない。愛する妻であるメアリーの写真もいつもと変わらない場所にあった。
大切なものがなくなっていないか、今度は車の後ろに回りトランクを開ける。そこには何も入っていない。

ほっと胸を撫で下ろすと、車を離れまだ静かな街をゆっくりと歩くことした。赤い足跡が追ってくるが、しばらくすると消えた。
真っ白に霧のかかった街は少しだけ肌寒く、温かいコーヒーが欲しくなる。
どこか店が開いていればいいが、どうだろう。

地図によればアーカムと言うらしいこの街はそれなりの都市のようだが、しかし一見してみた限りではゴーストタウンでしかない。
人気も感じられず、誰かに会えるかというところからして不安だ。こんな光景は慣れているが、それでも不安になる。
思わず、「誰かいないのか!」と声を上げてしまう。けれど返ってくるのは獣の鳴き声ばかり。



しばらく歩くと公園があったのでそこで休むことにする。ベンチに座ると遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。
上着のポケットから封筒を取り出す。持っているものはとても少ない。封筒の中には鍵がひとつ、そして手紙が一枚。
3年前に亡くなった妻からの手紙。つい先日届いたばかりのそれを何度も読み返すことが習慣になっていた。
病床の中で書いただろう手紙の文字はか細く、けれど紙一面にその時の彼女の想いと願いが書き込まれており読む度に胸を打つ。

 『 い つ か あ な た が 来 て く れ る の を 待 っ て い る 』

もうそれだけしか書かれていない。彼女はどこで待っているというのだろうか。それをずっと長い間探し続けている。
しかしそれもようやく突き止めた。

簡単なことだった。銀色の鍵。トランクの鍵。こんなところに彼女はいた。最初からいたのだ、このアーカムという都市に。
『聖杯』――ずっと探していたものがここにある。
彼女に会う為に探していた四つの内のひとつ。それが揃えばもう一度メアリーに会える。その為に私はずっと探していたんだ。



また、化物だ。今度は二人。ふとっちょとガリガリのコンビ。何かを喚きながらこっちへと向かってくる。
ベンチから立ち上がるとふとっちょのほうが拳銃をこちらへと向けた。
ラジオから発せられるノイズに頭の中を掻き毟られる。



そうだ、メアリーは私のことを怒りっぽいと言っていた。けれどそれはお互い様じゃないか。メアリーのほうこそ何度も私を罵ったじゃないか。
しかしそれも、もういい。君が戻ってきてくれさえすれば、死から君を取り戻せば何もかもがまたうまく行くに違いない。
そしたらまた旅行をしよう。静かでなにもない場所で、なにをするでもない時間をすごそう。
水底のように静かな場所で、今度こそ、それを二人の永遠にしよう。



足元には化物の死体が二つ。ふとっちょとガリガリのコンビ。血塗れでもう動かない。





.


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ※ジェイムス・サンダーランドは己のマスターであり、己のサーヴァントである。

【クラス】
 マッドマン

【真名】
 ジェイムス・サンダーランド@SILENT HILL 2

【ステータス】
 筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:E 宝具:A

【属性】
 秩序・善

【クラススキル】
 狂気:A
 狂気に浸りきっており、狂気から生み出された世界観で自らと世界全てを覆い、その狂気の中だけで行動する。

【宝具】
 『水底(The Darkness That Lurks In Our Minds)』
 ランク:A 種別:固有結界 レンジ:100 最大捕捉:無制限
 罪悪感を心に抱える者を『裏世界』へと誘う。
 これはジェイムス・サンダーランドが顕在している間、常時発動され続ける固有結界である。
 現実の世界を元に、霧と湿気、石と灰と朽ちた物で構成され、汚水と汚物に塗れた心象風景を作り出し、対象を狂気に陥らせる。

 対象とは心の中に強い後ろめたさや罪悪感などを持った者であり、そうでない者はこれの影響を受けることはない。
 また取り込まれた後に再び精神抵抗に失敗すれば、その度に狂気は進行していくこととなり、最終的には発狂するか死亡する。
 ジェイムス・サンダーランド自身も常にこの結界の中におり、彼の世界で狂気を膨らませ続けている。

【weapon】
 『鉄パイプ』
 赤錆びた鉄パイプ。滅多打ちにする。

【人物背景】
 サイレントヒルで自殺し、ゴースト(悪霊)となってトルーカ湖の底を永遠に彷徨うこととなったジェイムス・サンダーランド。

 生前、彼にはメアリーという愛し合う妻がいた。
 しかし幸せの最中、その妻は重い難病を患ってしまい、以後入院生活を強いられることになる。
 病状は日に日に悪化するばかりで、迫りくる死の恐怖と、薬の副作用で醜くなる容姿に、彼女の心は弱り荒んでゆくばかりであった。
 ジェイムスはそんな彼女に対し献身的につきあうのだが、互いに思う心は変わらないのにも関わらず、病気は二人の関係すらも蝕んだ。

 ある日、メアリーは遺言を認めるとそれを病院に預け、最後の機会だと退院許可を得て夫の待つ家へと帰る。
 そして彼女を迎えたジェイムスは、その手で醜く衰えた妻を殺害した。

 その後、狂気に陥ったジェイムスは、メアリーを蘇らせる儀式を行う為に車に彼女の死体を乗せサイレントヒルへと向かう。
 到着したところで自分が妻を殺害した記憶を封印してしまったジェイムスは、妻の残した遺言を頼りに街を彷徨うこととなり、
 最終的には全ての記憶を取り戻し、罪悪感に押し潰されて妻の死体といっしょにトルーカ湖へと車で入水自殺した。

 サイレントヒルの霊場に捉えられたジェイムスはゴースト(悪霊)となり、冷たい水底で死後も狂気に囚われ続ける。
 今の彼には断片的な記憶と思考、妻を蘇らせるという目的意識しかない。

【サーヴァントとしての願い】
 病気で死んだメアリーを儀式で蘇らせる。