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《植物学》芳乃さくら&セイバー◆MQZCGutBfo


また、初音島で事故が起こった。
ギリギリだったけれど、なんとか怪我人は出なかった。


―――枯れない桜は、良い夢も悪い夢も叶えてしまう。


ボクは願いの桜の外付けフィルターとして、他者を傷つけるような夢をカットしてきた。
でも、今までは騙し騙しやってきたけれど、もう処理が追いつかなくなってきている。

方法は、二つしかない。
一つは、桜の木を枯らしてしまうこと。
そうすれば、叶える願い自体全てストップできる。
でもそうしたら、義之くんは……。

もう一つは、桜の木と一体化して、ボクが内部から制御すること。
こちらを選べば、もうボクは人間として、みんなに、義之くんに会うことができなくなってしまう。
それだけならまだいい。もしも制御に失敗したら……。


ボクは駄目元で、もう何度見たか分からない、おばあちゃんが残した魔道書を片っ端から読み漁った。

四つ目の魔道書を開いた時、本の間から数枚の頁が落ちた。
その魔道書の文体とは明らかに違う、英語ではあるけれど、まるで元のある文章を英語に直したようなものが書かれている、数枚の紙。

今まで見落としていた……?
ううん、何度も何度も読み返したんだ。こんな頁はなかったはずだ。

それでもボクは、藁にも縋る気持ちで、その紙を読んでみた。


そこには、『聖杯戦争』について記されていた。
魔術師同士が競い合い、英霊を使役し戦わせ、万能の願望器である聖杯を降臨させる、という儀式魔術。

おばあちゃんが教えていたロンドンの王立魔法学園では、魔術師が沢山いたという。
もしも、聖杯戦争に参加すれば。
例えば、友人であるアイシアのような。他の魔術師を傷つけなければならない。


それでも、願いの桜を制御するためには。
きっと神さまのような力が、聖杯が必要なんだ。

ボクは、どうなったっていい。
どうしても、義之くんを助けたい。


だって、義之くんは。
―――ボクの大切な、子供なんだから。




ボクは桜の力を使って、鍵を呼び寄せた。
桜の葉っぱを模したような、銀色の鍵。

仮に、聖杯で願いが叶うとしても。
代償として、ボクがこの地に戻ってくることは。きっともう無いのだろう。


みんなに書き置きは残した。
音姫ちゃんには一番負担をかけて申し訳ないけれど。
ある日時が来て桜の様子が変わっていなければ、桜を枯らすように頼んである。

持ってきた重たいカバンとリュックサックは、どちらもパンパンに膨れ上がっている。
これは、聖杯戦争に勝つための準備。


最後に、お兄ちゃんに会ってきた。

優しい顔で、どこか冒険にでも行くのかい、なんて。
桜餅を手に出しながら、言っていた。
あんこが沢山詰まった、甘くて美味しい桜餅。
きっと、最後の味。

決意が鈍らないように、自慢の長い髪を、切ってもらった。
かったるいなあ、なんて。
久しぶりに聞いた台詞を言いながら、お兄ちゃんは切ってくれた。


もう、思い残すことは。………………………………ない。


両手で、パン、と頬を叩いた。

「―――さあ、始めようか!」

黒いコートを翻し。

ボクは桜の幹にある扉に鍵を挿して。
勢いよく、扉を開いた。




マサチューセッツ州。

ボクが研究のためにずっと住んでいた土地。
当然アーカム、なんて都市は無かったけれど。

年代も、30年くらい前。
ちょうど、ボクが住んでいた頃だ。
街並みの雰囲気は、その頃の雰囲気とよく似てる。

土地勘があるのは、きっとアドバンテージ。
活かせるようにしないと。


大学から、ボクの家へと帰ってきた。

ミスカトニック大学の植物学科教授。
それがアーカムで与えられたボクの職業。
大学教授は、アメリカで職業ストレスの少なさナンバーワンなのだ。
研究と称して時間を好きに利用できるのだから。

今日は、ボクの魔力が最も高まる日。
サーヴァント召喚を行う日だ。

シャワーを浴びて。レトルトのご飯をしっかり食べて。
……もう義之くんの美味しいご飯は食べられないんだ、
なんて弱い心が出そうになった口を、スープで流しこむ。

「……ごちそうさまでした」

カップを洗って、テーブルを拭いて。
黒のコートを羽織って、いざ地下室へ。


地下室の部屋の地面には、既に魔方陣を描いてある。
その上に、拾って詰めて持ってきた、枯れない桜の花びらを撒いていく。
効力なんてもうないけれど。おまじないみたいなものだ。

狙うのは勿論、最優のサーヴァント。セイバー。
そしてセイバーの中で、ボクが一番強いと思う人。

そんなの決まってる。
セイバーであるならば、ただ一人だ。
魔術知識については、ボクが補えばいい。


その人が倒した敵の数、約二万九千人。
いっぺんに纏めてどかーん! とかじゃない。
その人が、自らの手で一人一人倒した人数だ。

それもどこにでもあるような、誇張の入った伝記ではない。
誰もが、その現実を。伝説を。その目で確かめることが出来る。

呼び出すのは、現実の人でなくてもいい。
人の幻想の上に立つ、英雄でもいいんだ。



ボクはビデオテープの山を、どすん、と魔方陣の上に置いた。


「―――素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師グリーンウッド」

召喚の詠唱を始め、魔方陣から光が溢れて、無から風が生じ始める。
それと共に配置した桜の花びらが宙を舞い、部屋を桜色に染めてゆく。

「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

光が弾け、魔方陣からサーヴァントが現れる。


大小の刀を腰に差し。
白の紋付羽織。黒字に黄金模様の袴。
その御紋は勿論、三つ葉葵。


「―――剣のサーヴァント、セイバー。召喚に従い参上した」


自分でも目が輝くのが分かる。
本物だ!本物の!

「……新さん!!」
「はて、いきなり徳田新之助の名で呼ぶとは。もしや、以前もどこかで会っただろうか、我が主よ」

ボクは勢いよくぶるんぶるんと首を振って。
ハッと気が付いたように土下座する。

「ははー。い、いえ、初めてお目見えさせていただいいただきそうらえばまして」

動転しておかしな言葉使いになっっちゃってる!

「そう畏まらなくていい。先程のように新さん、と呼んでくれれば良いのだ」

ボクは今度はピーンと棒のように立ち上がって。

「は、はい。……えっと……新さん。
 残念ながら、直接お会いしたことはないんです。
 でもいつも、いつも、毎日貴方の伝記を見ていましたっ!」
「はっはっは、それは面映ゆい。
 して、主の名前を伺っても良いだろうか」

新さんは優しく微笑んで、ボクに尋ねた。

「はっ、はい。えっと、ボクは芳乃さくらと言います」


立ったままでは失礼なので、一階に連れていき、応接間のソファーに座ってもらった。
そこで、ボクの願いをしっかりと伝えた。

ボクが魔術師であること。
桜の木を個人的理由で使い、暴走させてしまったこと。
それでも、ボクの子供を救いたい、ということ。

新さんはひとつひとつ頷き、真摯に聞いてくれた。


「―――成程。子を思う親の気持ち。
 それはいつの時代で合っても、変わらぬ大切な願いだ。
 さくら、我が主よ。
 この徳田新之助が。いや。徳川吉宗が。そなたの力となろう」
「は、はいっ! よろしくお願いしますっ!」


―――こうして、ボクの聖杯戦争は、はじまりを告げたんだ。



【マスター】
芳乃さくら@D.C.II ―ダ・カーポII―

【マスターとしての願い】
願いの桜の制御方法を知る

【weapon】
なし

【能力・技能】
『願いの桜の魔法使い』
 優れた魔法使いであった祖母の血を強く引いており、本人の魔力も高い。
 不老の魔術が掛けられており、実年齢は70歳近くだが、身体成長は小学校高学年程度で止まっている。
 (成長が止まっている間寿命も延び、不老の魔術が解除された時点から普通通りの成長が進行する。)

 実戦型ではなく研究型の魔術師であり、数十年『願いの桜』を完成させるため、古今東西の魔術を研究していた。
 不完全ながらも『願望機』としての『願いの桜』の作成自体は成功したことから、魔術知識についてはかなり豊富である。
 攻撃魔術を使用している描写はないが、心を読む力を魔術で防いでいる描写はあるため、
 対魔力については(現代の魔術師レベルで)持っているものとする。

『植物学』
 少女時代、アメリカの大学で植物学の博士号を取得している。
 枯れない桜を作るため、植物学の面からもアプローチをかけていた。

【人物背景】
 風見学園の学園長。年齢65~70歳程度。
 明るく感情表現が豊かで子供っぽい部分もあるが、年相応の分別と母性が強くなっている。
 趣味は時代劇や任侠映画を見ること。

 中学生時代、戻ってきた初音島に別れを告げ、アメリカで長い年月、枯れない桜の研究を続けていた。
 ふと気が付いた時、自分一人の見た目が変わらないまま、親しい人間が老いていき、孤独になっていくことに不安を抱いた。
 研究の末に枯れない桜のレプリカを作り上げ、初音島に持ち帰った。
 その桜に「あったかもしれない現在の可能性」を望み、自分と想い人の子供のコピーにあたる『桜内義之』をこの世に生み出した。
 義之という念願の家族を得て、さくらは『家族の温かさ』を感じながら暮らせるようになった。

 しかし、願いの桜には人々の真摯な願いだけでなく、他者を傷つける歪んだ願いまでも叶えてしまうという不具合があり、
 桜を枯らし義之を消すのか、自らが桜に取り込まれ内側から制御するのか、の二択に迫られることとなった。

【方針】
 神の願望機たる聖杯を出現させ、願いの桜に足りない力、制御方法を見つける。


【クラス】
セイバー

【真名】
徳川吉宗@暴れん坊将軍

【パラメーター】
筋力A 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運A 宝具A+

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:B
 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
正体偽装:C
 素性を偽装するスキル。
 契約者以外からは貧乏旗本の三男坊『徳田新之助』としてステータス・スキルを偽装できる。
 また同スキルが発動している間、他者に与える本能的な畏れは抑制される。

無形の位:A
 相手に応じて円転自在の剣を扱うスキル。新陰流の転(まろばし)。刀をだらりと提げて構えを取らない。
 活人剣。相手を活かして、つまりは「相手を思う通りに動かせて」斬る技法。
 尚、吉宗は基本峰打ちで戦うが、決して不殺の剣ではなく、彼自らの手で度々斬り殺してもいる。

無窮の武練:A+
 ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。吉宗が重ねた実績はまさに無双と呼ぶに値する。
 心技体の完全な合一により、いかなる地形・戦術状況・精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

宗和の心得:A
 同じ相手に同じ技を何度使用しても命中精度が下がらない特殊な技能。攻撃が見切られなくなる。
 数百回同様の行動を行っても、それを目撃した者に全く同様の爽快さを与え続けたことに由来したスキル。

見得:C
 戦闘中に一瞬動きを止め相手を睨むことで、対象に精神的ダメージを与え、怯ませることができる。
 同一戦闘中に使用を重ねることで効果は上がっていく。
 基本的には敵の頭領、聖杯戦争においては敵マスターに使用するスキルである。


【宝具】

『天下に轟く暴れん坊の威光(余の顔を見忘れたか)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:300人
 八代将軍徳川吉宗の威風を対象に叩きつける宝具。
 この真名を聞いた者は、その威風、その威光に大きく畏れを抱き、精神的ダメージを与えられる。
 『正体偽装』スキルが発動していることが宝具開放の条件。使用に際し、『正体偽装』スキルは解除される。


『成敗』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~3 最大捕捉:1人
 悪を成す者、混沌を呼ぶ者を数え切れぬ程に退治してきた言霊。
 吉宗による声、吉宗による言葉によりこの真名を聞いた者は、対象者の死を想起せずにはいられない唯一無二の真言。
 斬撃による強力な一撃を放つ宝具である。
 なお、レンジ内の[悪]属性または[混沌]属性を持つ者に対して発動した場合、『成敗する』という因果が確定し、必中必殺となる。

【weapon】
  • 主水正正清
 吉宗の佩刀。薩摩の刀工・正清が将軍御前で作刀した、新刀の最上作大業物。
 江戸時代中期は刀の需要が少なく、刀工不遇の時代だった。
 これを憂いた吉宗は武芸奨励策として、全国の優秀な刀工を集め作刀競技を開催。その中で名人に選ばれた一人が正清である。

  • 扇子
 吉宗唯一の飛び道具。「正義」と記された扇子を投げ、対象者の他者へ攻撃を封じる際に使用する。

  • 白馬
 吉宗の愛馬。牝馬ながら馬力が強く、体当たりで怪人を弾き飛ばす威力がある。
 またバイクのエンジン音が隣で鳴り響こうとも、構わずに疾走することができる精神的にもタフな馬。

【人物背景】
 江戸幕府第八代将軍。
 町火消“め組”に居候する貧乏旗本の三男坊・徳田新之助に姿を変え、市井へ出て江戸町民と交流しながら、世にはびこる悪を斬る。

 剣術の腕は天下無双だが、剣術以外にも琉球空手や伊賀忍術、南蛮のガトリング砲、アームストロング砲等の西洋兵器などにも詳しい。
 また、相撲好きでも知られ、相撲取りを軽く投げ飛ばす程膂力が強く、四股名『徳田川』として素手で悪人相手に大暴れしたエピソードもある。

【サーヴァントとしての願い】
 主の願いを叶えてやりたい。


【基本戦術、方針、運用法】
 『最優』のサーヴァントの名に恥じない能力を持つ吉宗。
 真っ向勝負において相手に引けを取ることはほぼないだろう。
 『余の顔を見忘れたか』、『見得』切り、『成敗』の必勝パターンに持ち込めば、きっと脳内でBGMも流れ勝ち筋も見えてくる。

 戦闘における弱点はリーチの短さであろうか。
 アウトレンジからの攻撃については、騎乗スキルを駆使して白馬で接近するか、潔く白馬で退くかで対処すべき。
 魔力運用については魔力タンクのさくらがいるため、こちらも問題ない。存分に刀を振るおう。

 注意すべきはやはりマスター狙いだろう。
 マスターであるさくらは精神は老成しており、永遠の死(桜の中に入り制御し続ける)を受け入れる覚悟も持っているが、身体能力は子供そのものである。
 また吉宗は存命時、守るべき女性を守りきれず死なせてしまうケースも多かったため、特に注意が必要。
 吉宗は『無窮の武練』スキルによって、他者の精神世界においても問題なく戦えるため、戦闘では少しでもマスターが精神ダメージを負わないよう立ち回る必要があるだろう。



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