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《生物学》Dr.ネクロ&バーサーカー◆q4eJ67HsvU



 ――世界は、歪んでしまった。


 元より、触れるべきではなかったのだ。
 在るがままにしておかねばならないものだったのだ。
 ましてや、人の手を加えるなど、けして許されることなどでは。

 人の体には、全ての生命の神秘が宿る扉がある。
 いや、人だけではない。
 獣の、鳥の、爬虫の、魚の、虫の、樹木の、草花の、細菌の、あるいはそれらに含まれぬものたち。
 あらゆる命は、世界の最奥でひとつに結びついている。
 それら全ての進化の神秘が宿る場所。生命の拠り所を示す地図。
 魔術師が世界の最奥を『根源』と呼ぶのに喩えれば、あの場所は生命にとっての『根源』だ。

 ――『二重螺旋の世界』。あの日、彼女は確かにそれに触れた。

 進化を意のままとし、生物の長所だけを掛け合わせた存在――キーマンの創造には確かに成功した。
 しかし代償は大きすぎた。ヒトという種は根本から書き換えられてしまった。
 交じるはずのない鳥獣の血がヒトに交じり、獣人がこの世に誕生した。
 謂れなき差別。謂れなき迫害。異なる生物種の血を持つ者達は、その異形と人外の力ゆえに排斥された。
 本来は流れるはずのない血であり、涙であり、命であった。
 世界は彼女のエゴによって、もはやかつての姿ではなくなってしまったのだ。

 ならば、その罪科は償われなければならない。

 世界を歪めてまで世に放たれた超人キーマン。
 再び二重螺旋の世界への扉を開き得る鍵となる者……この世界に害をなす存在。
 それら全て、この地上から抹殺する。

 そのためには、鍵が必要だ。
 キーマンの鍵ではない。二重螺旋の世界へと繋がる鍵ではない。
 窮極の門を拓き、世界の真実へ到達するための鍵が。

 架空都市アーカム。そして聖杯戦争。
 生命の根源に至った故に生まれた過ちは、世界の根源に至り得る儀式でもって正す。
 この『銀の鍵』で拓くのだ。もうひとつの扉を。
 世界をもう一度変革しうる、窮極の門を。



   ▼  ▼  ▼



 その華奢な体を不釣り合いなロングコートで包み、夕暮れに沈むダウンタウンのストリートを少女は歩く。
 その流れる黒髪と整った顔立ちは僅かに人目を惹くが、それでも街の人々は彼女を記憶に留めるでもなく行き交ってゆく。
 コートの襟を立て、その愛らしいはずの顔に影の落ちた表情を浮かべながら、少女はうつむいて足を進めた。

(このアーカムはロックヴィルより50年は未来の街のはずだが……いかに技術が進歩しても、人の世は変わらないな)

 まるで少女には似つかわしくない感想を抱く彼女は、事実、外見通りの少女ではない。
 百年以上の時を生きる魔術師デボネア・ヴァイオレット――彼女を知る者からは『Dr.ネクロ』と呼ばれている。
 ロンドンの「黄金の夜明け団」であらゆる魔術を研究し、遂には生命の禁忌に踏み込んだ魔女。
 その彼女も、この架空都市アーカムにおいては身寄りのない一人の少女なのだ……少なくとも表面上は。

 憂いを湛えた瞳でネクロはアーカムの町並みを眺め、行き交う人々を眺め、それからくすんだ曇り空を眺めた。
 ダウンタウンはアーカムにおいて標準的な地区だ。ノースサイドほど活気があるわけでも、貧民街ほど荒んでいるわけでもない。
 一般的な中流市民が贅沢も困窮もせずにただ当たり前のように暮らしている。
 そしてその人々の中には、当然鳥獣の遺伝子の混じった者……獣人はいない。
 二重螺旋の世界への干渉で歪められていない世界。本来こうあるべきだった世界。
 この地区はアーカムの標準であり、それと同時にネクロにとっては自身が歪めた世界の元の姿に見えた。

(だが、ここは既に、魔術師どもにとっては戦場だ。私自身にとっても例外ではなく)

 ネクロの表情が一層険しくなる。
 魔術師という人種がいかに利己的な存在であるのかは、他ならぬネクロ自身が誰よりも知っている。
 自身の目的やエゴのためなら、無関係の人間に対してはあらゆる犠牲を強いて恥じることはしない。
 それが魔術師だ。ネクロがかつてそうであり、もしかしたら今もそうであるように。
 このアーカムの市民たちも、聖杯戦争のマスターにとっては餌か生け贄に過ぎないに違いない。
 いつまでこの平穏が保たれるのか。それはマスター達がこの街に集結しつつある今、もはや誰にも分かるまい。

(……"シン")

 ネクロは、己が従えるサーヴァントの名を呼んだ。
 魔力パスにより、だいたいの位置は分かる。この大通りから僅かに離れた屋根から屋根へ飛び移っているようだ。

("シン・カザマツリ"。我が英霊『バーサーカー』よ。路地裏で落ち合う。戻ってこい)

 表情ひとつ変えずに念話で支持を出し、そのまま次の建物の角を曲がって人目につかない暗がりに身を隠す。
 果たしてその数十秒後、夕闇を裂くようにひとつの影がビルの狭間へと降り立った。

 ネクロは今さらその姿を見て驚きなどしないが、普通の人間なら驚いて腰を抜かすぐらいはするかもしれない。
 それくらいに、バーサーカーの姿は異質だった。ほとんど異形であると言ってもいい。
 姿そのものが、見方によっては進化への、あるいは生命自体への冒?を象徴していた。
 ネクロがかつて犯した罪を浮き彫りにするかのように。


 風祭真――バーサーカー、『仮面ライダーシン』。
 後天的にバッタの遺伝子を移植され強化された改造兵士(サイボーグソルジャー)。
 その緑色の体は、文字通り人間とバッタが混じり合ったような、おぞましい姿をしていた。
 ヒーローではなく怪物。誰もがそう呼ぶだろう。彼の存在に、誰もが恐怖を感じるだろう。
 ネクロの世界における獣人がそうであるように――人外の遺伝子を持つ彼は、その姿ゆえに排斥される。
 その魂の在り方とは、まったく無関係にだ。
 ネクロはその姿を見るたびに、自分自身の罪を鏡で見せられるような気持ちを味わっていた。

「■■■■■■■■■――!!!」

 バーサーカーが呻き声を上げる。
 シンはその出自ゆえ、変身により狂化ランクを切り替えることが出来るという狂戦士としては稀少な特性を持つ。
 しかしながらその変身のキーとなるのが感情の昂ぶりであるため、思うように運用するのは難しそうだ。
 自身を制御できずに吠えるバーサーカーを見、ネクロはそう結論づけた。

「それでどうだ、バーサーカー。なにか見えたか」

 あえて戦闘でもないのに魔力消費量の多いバーサーカーを実体化させたのは、その鋭敏な感覚器官に期待してのことだ。
 バーサーカーから明確な返事が返ってくるわけもないが、それでも彼が得た情報のある程度はマスターにも伝わってきた。
 このダウンタウン地区にも明らかに魔力の痕跡があるようだ。敵は既にアーカムに存在する。間違いなく。
 聖杯戦争は、既に始まっているようなものだ。

 そして、彼女のサーヴァントは明らかに異形の存在である。
 それを実体化させれば、勘のいいマスターならばその存在に気付く。
 いわば撒き餌だ。ネクロが他のマスターと接触するための。
 接触して打倒するのか、あるいは協力関係を築くのか、そればかりは実際に会ってみないと分からないが。
 それくらいの危ない橋は渡る。ロックヴィルで、サーヴァントではなく怪人ファントムを従えていた時のように。

「■■■■――……」

 ふと、バーサーカーの様子が変わったのにネクロは気付いた。
 おぞましいバッタ人間と化していた姿が、逆回しのように人へと戻ってゆく。
 その顔が、険のある目つきが印象的な普通の青年のものへと戻った頃には、ネクロが感じていた魔力的負担もまた遥かに軽くなっていた。
 人間に戻ったバーサーカーは、やはりどこにでもいる男にしか見えない。
 異形の宿命を背負うものだとは、到底思えはしない。それが一層、彼の悲劇性を高めているのかもしれなかった。
 ネクロは、少女の体にとってはなお高い彼の顔を上目遣いで見上げた。
 彼は怒りを押し殺したような表情をしていた。狂化の影響なのか、それとも生前からの性なのか。

「……敵は、倒す……命をもてあそぶ者は、必ず……」

 バーサーカーが呻くように漏らした言葉が、ネクロの胸を抉った。
 狂化したサーヴァントの言うことだ。言語能力を完全に失っているわけではないとはいえ、ネクロに対する皮肉ではあるまい。
 それでも、命を冒?した咎を背負い続けているネクロにとっては、その言葉は刃だった。
 彼女は一瞬だけ虚を突かれたような顔をし、それから僅かに目を伏せ、そしてどこか自嘲するように微笑んだ。

「……ああ、その通りだ。だからこそ、私達は勝たねばならない。頼むぞ、シン」

 曖昧な表現で答え、ネクロは霊体化したバーサーカーを引き連れた夜の深さを増した大通りへと歩み出した。
 百余年の人生は心を隠す術を学ぶには十分過ぎた。ネクロは再びただの少女として、アーカムの夕闇に溶け込んでゆく。
 生命の象徴たる『二重螺旋』の刻印を持つ『銀の鍵』が、ふさわしい鍵穴を探すように彼女のポケットの中で躍っていた。



【クラス】
 バーサーカー

【真名】
 仮面ライダーシン(風祭真)@真・仮面ライダー序章

【ステータス】
 筋力B 耐久B 敏捷B 魔力D 幸運E 宝具B(変身時)
 筋力C 耐久D 敏捷C 魔力E 幸運E 宝具E(非変身時)

【属性】
 混沌・狂


【クラススキル】
狂化:D-(B-)
 理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
 通常時はD-ランクであり、筋力と敏捷が上昇するが言語機能が単純化し、更に感情の制御が利かなくなる。
 変身時はB-ランクへと変化し、幸運以外の全ステータスが上昇するが理性の大半を奪われる。
 なおこのスキルを所持するために、バーサーカーは意識的な変身および解除が不可能になっている。

【保有スキル】
変身:A-
 感情の高ぶりに呼応して、人間の姿から改造兵士レベル3の姿へと変化する。
 しかし狂化によって感情を制御出来ないため、感情が昂ぶると勝手に変身し狂化ランクを上昇させてしまう。
 またそのグロテスクな変身過程は目撃者に精神的なダメージを与える。

自己再生:B
 通常の人間の5000倍の細胞増殖により、肉体の大半を失っても瞬く間に再生する。
 自身の宝具を発動させると同時に魔力で肉体を再構成するため、マスターには相応の負担を強いる。

念力:C
 サイコキネシス。直接触れずに物を動かす超能力。
 記録には残されていないが、このバーサーカーには触れずして相手を粉砕する攻撃手段があるとされる。
 複雑な技術を必要としないため、狂化していても使用可能。

情報抹消:D
 対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から、能力・真名・外見特徴などの情報のうちの一部が消失する。
 これに対抗するには、現場に残った証拠から論理と分析により正体を導きださねばならない。
 彼の孤独な戦いはほとんど記録に残っておらず、誰にも知られてはいない。その事実が結晶化したスキル。


【宝具】
『真・序章(プロローグ)』
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:自身
 変身時における常時発動型宝具。改造兵士レベル3としての肉体が持つ驚異的な成長能力。
 変身時に限り、バーサーカーへ与えられるほぼ全ての攻撃はダメージが半減以下へと抑えられ、更にそのエネルギーを蓄積できる。
 そして蓄積したエネルギーが一定値を超えるたびステータスが成長し、筋力・耐久・敏捷のいずれかに「+」が付与される。
 理論上は筋力・耐久・敏捷のそれぞれが最大「B+++」まで上昇する。一度上がったステータスが戦闘終了時に元に戻ることはない。
 なお、炎や熱によるダメージだけはダメージ軽減の対象外である(エネルギーの蓄積自体は可能)。
 仮面ライダーシンの僅かな伝承はあくまでその全貌の序章に過ぎない、その概念を示す宝具。



【weapon】
 無し。
 シンはその鋭い爪や牙など、己の肉体と能力のみを駆使して戦う。


【人物背景】
 仮面ライダーシンに物語はない。
 彼が持つのは僅かな序章だけである。
 父親の研究に協力する過程で密かに生体兵器へと改造された男、風祭真。
 彼は愛する者を失いながらも戦い、そして復讐を果たし何処かへと去った。
 シンの伝承はそれが全てであり、その後彼が送った戦いの日々など誰も知らない。


【サーヴァントとしての願い】
 不明。


【マスター】
 Dr.ネクロ(デボネア・ヴァイオレット)@KEYMAN -THE HAND OF JUDGMENT-

【マスターとしての願い】
 全てのキーマンを殺す。

【能力・技能】
 百年以上の時を生きる一流の魔術師。
 エクトプラズムを使った幻影魔法や使い魔の召喚などの魔術を用い、魔力量もそれなりに豊富。
 しかし一方で「魔術師のヌケガラ」とも評されており、全盛期ほどの能力は無いようである。
 また魔術師となる前は医者であり、医術に関しても精通している。

 なお既に魔術の禁忌に深く触れているため、正気度ダメージによる深刻な一時的発狂を起こしにくい。
 もっともこのアーカムにおいては、そのリスクを完全にゼロにすることなど出来ないが。

【人物背景】
 1950年代のアメリカ、ロックヴィル市に現れた謎の少女。
 自身を魔女と称する彼女とティラノサウルスの獣人アレックス・レックスの出会いにより、物語の幕は上がる。
 街を守っていたヒーロー・キーマンの殺害、暗躍する魔術師達、そして更なる超人の台頭。
 ロックヴィルを覆う陰謀……その根源に携わっているのが彼女、Dr.ネクロである。

【方針】
 聖杯狙い。
 慎重に立ち回り、場合によっては他の主従との共闘も視野に入れる。


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