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ライブドアー事件

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ライブドア事件の本質を探る(上)

IRと会計専門の早稲田大学の花堂靖仁教授に聞く
【ライブドア・ニュース 01月25日】− ライブドア<4753> グループをめぐる証券取引法違反容疑事件で、東京地検特捜部がライブドア社長の堀江貴文容疑者(33)ら幹部4人を逮捕したのを受け、東京証券取引所(東 証)の今後の動きや株式市場への影響などについて、IR(投資家向け広報)と会計が専門の早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の花堂靖仁教授に考えを聞い た。(インタビューは24日午前。役職などは当時のまま)
——堀江社長ら逮捕された4人の容疑について。
 グレーゾーンだったとは思うが、全体をつきあわせてみたときの本当の意図は、今回訴追されるポイントから見て、偽計取引だったのだろう。株式市場は噂の世界。いろいろな噂が流れているとき、事実は1つしかないとすれば、ほかは全部嘘ということになる。ポイントは、事実ではないことを市場に流して、利益をあげたかどうか。一連のスキームで、結果として利益を得たことがひっかかった。
 スキームを宮内取締役が考え、その実行については、宮内取締役が言うように、堀江社長に伺いを立てて、承認を受けている。検察はその段階で「偽計」の意図があったとみた。スキームについては、早い段階からわかっていたと思う。
——偽計取引に至った、具体的な意図は?
 今回の場合、単純にお金がほしいというより、(決算上の)利益を作りたかったということではないか。 一般によく言われるのは、近鉄バファローズを買収したいとプロ野球機構にオファーしたとき、ライブドアが「長期安定的にプロ野球球団を運営していくだけの 基盤」をもっているかどうか、疑問視された。世の中では決算書でしか見ない。皮肉なことに、特にライブドアのような事業体では、決算書で表されている企業 価値は現在、本当にわずか。それでも、世の中は従来型の財務諸表でしか見ないので、いくら時価総額が高くてもダメだという、彼らが考えていなかった壁にぶ つかった。そこで、利益を作るためにそのスキームを作ったのではないか。
 このような意図を実現するために、さまざまな取引を組みあわせた結果として、市場や、投資家、社会を欺いた。これは証券市場が最も嫌うこと。したがって偽計取引という形で押さえにかかった。
——今後、東証はどう対応するか?
  ライブドアには桁違いの株主がいる。東証も、これだけの株主がいると上場廃止ができないかもしれない。結果論から言うと、東証はライブドアの株式分割を見 逃してきたとも言える。しかし、実際に監理ポストに入り、上場廃止になる手続きを取る過程で、大量の株主をさばききるのは大変な話になる。
  私が東証の立場なら、きちんと経営できると見極められれば、上場廃止には進めたくないというのが本音だ。誰が責任を取り、誰と誰がグループ経営を分担する か、新たな執行機能が速やかに再構築できるか。執行体制を担う人たちが、信用があり、執行能力を備えているか、などなど。東証は狼狽売りを抑えたいし、株券が本当のクズになってしまうのは好まない。
——事件は企業や経営者に何を問うているか?
 教科書的な話になるが、資本主義というのは倫理とつながる。自由裁量の幅を広げるということはグレーゾーンが非常に大きい。ぎりぎりのところで経営者を支えるのが倫理観。
 単に形式だけを追いかけ、「一つひとつは問題ないのだから全体もいいじゃないか」と言うと、最後の意図のところで自分のためとなってしまうことがある。社会や株主のためという「錦の御旗」が立っていれば問題ないが。
 法律家は企業経営を、法律を判断基準に黒か白かでしか見ない。しかし、実際には経済にはグレーゾーンがあり、それに組織的に対応しようとするのがコーポレートガバナンスで、今回はコーポレートガバナンスが全く利かなかった一例。
  堀江社長は、ものごころついた頃がバブルで、世の中が浮ついてきた時期だった。家庭環境、育ち方は分からないが、彼自身は主観的に倫理観を持っているかも しれないけれど、彼自身の中で、社会的に許容された枠の中で何かをするという感覚を十分持っていなかったのではないか。倫理観がないと資本主義社会はガタ ガタになる。
 社会がこのような倫理観を与えてこなかったとすれば、強制力を持ってモニタリングし、おかしいことをしそうな場合には、警察権を行使して、摘発・処罰できる証券取引委員会をアメリカのように作ろうという議論になる。
  個人的には(証券取引委員会のような)アングロサクソン的なやり方がいいとは思わない。アングロサクソン的な考えを機械的に導入しても、うまく行かないこ とが日本ではたくさんある。日本の経営は世の中を一つの鏡とし、「お天道様に顔向けできないことはしちゃいかん」という基準で、組織も企業も動いていた。
  今回の事件を反省材料に、企業や経営者の倫理観がきちんと見直されてほしい。情報化社会が進み、組織がフラットになってきている。従来は下は上の言うとお り仕事をすればよかったので、上だけが責任とるべきだったが、今はそうではない。資本市場は自由裁量を大きくすることで発展することを理解し、法律で定め ていることを超えないという倫理観を、企業で仕事する人すべてが持ち、自己規律していくべきだ。もちろん、隙間をぬって出し抜こうという人は、どんな時代 にも必ずいる。それは司直の手に任せるしかない。
——株式市場はどんな影響を受けるか?
 短期的には影響がある。昨年夏以降増えた一般投資家が株価を上昇させてきたが、しばらく様子見するだろうし、すでに痛手を受けたデイトレーダーや、ライブドアよりも東証のシステムなどに関心の高い外国人投資家も同じと思うだろうからだ。しかし、バブル気味だった市場が本来の水準に来たと見れば、基本は成長基調だから徐々に買いに入ってくるだろう。国内の機関投資家が早く動き出せば、回復も早いと思う。
——ライブドアが取るべき対応は?
 ライブドアは残すもの、捨てるものの線引きをはっきりすべきだ。急成長した会社にはありがちだが、ライブドアの事業内容がはっきりしていない。どこに焦点を当てるか考えるべき。堀江社長らの容疑などについては、事実関係やそもそもの動機が何だったのかは、これからはっきり出てくるわけだから、今憶測しても始まらない。【了】

ライブドア・ニュース 佐谷恭 blog
この記事に関するお問い合わせ先:newscenter@livedoor.net
2006年01月25日11時01分
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