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暁の水平線に何を刻むのか?」(2015/05/06 (水) 16:53:20) の最新版変更点

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*暁の水平線に何を刻むのか? ◆FnPM52EPHI 人は自分の許容範囲を越える状況に置かれると現実から逃避する事がある。 それは精神的に未成熟なものほど陥りやすい。 そしてそれは艦娘も変わらない。 「核爆弾なんて、本当なんですか、 長門さん!?」 特型駆逐艦の1番艦、吹雪。 この時点で現状は吹雪の理解の範疇を越えていた。 まず謎の金属製の球体に閉じ込められているかと思いきや、いきなり放射線や核爆弾などの通信による説明。 しかもその通信してきた声が秘書艦の長門であった点も吹雪の混乱に拍車を掛けた。 いや逆に合点がいったのかもしれない。 つい数日前、憧れの赤城や仲の良い睦月が長門と共に極秘任務に赴いた。 その内容を聞いてみたいと思ったが結局睦月に聞いても答えてくれる事はなかった。 (もしかしてこれが極秘任務……ん、なんだろう、これ? デイパック?) ふと足元に置いてあったデイパックを調べてみると水や食料や方位磁石などサバイバルに役立つ物が入っていた。 さらに生存者の詳細を記したと思われる名簿や首輪を探知するレーダーや自分の艦装も入っていた。 (とりあえず他に誰がいるか確認した方が……あれ、あそこに誰か、倒れている!?) 吹雪の視線の先にある灯台。 月明かりに照らされたその下に誰か倒れているのが見えた。 急いで駆け寄って、そこで吹雪は頭が真っ白になった。 「え、睦月、ちゃん……」 それは見るも無残な姿と化した睦月の死体であった。 灯台から落下したせいか首はへし曲がり、身体も所々通常ではありえない方向に曲がっている。 さらに衣服は乱暴に引き裂かれ、その身体は酷く汚れている。 睦月に何があったかは一目瞭然だった。 「い、いやああああああああああ!!!!!!!!!!」 そしてその光景を目の当たりにした吹雪は踵を返してその場から逃げた。 まるで今目にした光景が何か悪い夢であってほしいと願うように。 悪夢を振り払うかのように一心不乱に目の前に伸びる森の中の道を走り続けた。 「はぁ、はぁ、は――きゃ!?」 どれだけ走っただろうか。 吹雪の逃走は足元に倒れた何かに躓くという形で終わりを迎えた。 そして自分が何に躓いたのか確認するために吹雪はそこで振り向いて、絶望した。 「お、大井さんッ!?」 そこにあったのは胸に風穴を空けて転がっている大井の死体だった。 そこで吹雪は気付いていしまった。 大井の近くには陸奥を初め多くの死体が転がっている事に。 「そんな、赤城さん、そんな、うそだああああああああああ!!!!!!!!!!」 そしてその中には吹雪が憧れている赤城の姿もあった。 「い、いやああああああああああ!!!!!!!!!!」 吹雪はまた走った。 今見た悪夢が現実でないと願って。 走って走って走って。   「えっ」   吹雪は気付いていなかった。 いつのまにか廃村を抜けて墓地も通り抜けて裏手の崖まで来ていた事に。 そして我武者羅に走ってきた吹雪がそれに気付いてももう自分で止まる術はなかった。 吹雪は死を覚悟した。   「ブッキィィィィィイイイイイ!!!!!」    ▼   金剛が吹雪の危機に気付いたのは偶然だった。 吹雪と同じくこの地に降り立った金剛だったが、そこは吹雪と重ねてきた経験の違いで幾分落ち着いていた。 ともかく誰か他の生存者と出会えないか移動している最中に吹雪の悲鳴を聞きつけて追いついたのだ。 だが残念ながら追いつけたが間に合わなかった。 かなりの勢いで崖へと走っていた吹雪を止める事は不可能で、結果金剛は吹雪諸共崖下に落ちる事になった。 しかも崖下には岩肌が見えていて、このままでは二人とも即死確実だ。 デイパックの中に自分の艦装があったが、もう展開している余裕はない。 だから金剛はとっさに吹雪を抱えて自分が先に落ちるように身体を捻った。   (提督、ブッキー…どうか武運長久を…私…ヴァルハラから見ているネ…)    ▼   (睦月ちゃん、陸奥さん、赤城さん、金剛さん、みんな死んじゃった……)   吹雪の行く先々で仲間の艦娘が死んでいった。 まるで吹雪が死神であると呪われているかのように。 しかも睦月に赤城に金剛と吹雪と特に関係が深かった艦娘の死を短時間で目にしたのだ。 もう吹雪に生きる気力は残っていなかった。 合計8kg以上の重量となる2つのデイパックは吹雪を深海へと誘って行った。   (そうだよ、このまま死んじゃった方が……)   そして吹雪の意識は静かに深い海の中に消えていった。   (提督、あの時の言葉嬉しかったです。私も、提督を――)   最期に吹雪の脳裏に浮かんだ光景。 それは真っ白なドレスに身を包んだ自分と提督。 それはまるで今までの事は嘘のようにただただ幸せな光景だった。   【I-2/沖合/一日目/黎明】   &color(red){【金剛@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】} &color(red){【吹雪@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】} *時系列順で読む Back:[[]] Next:[[]] *投下順で読む Back:[[オリンピックにゃまだ早い]] Next:[[無題03]] |&color(red){吹雪}|&color(red){GAME OVER}| |&color(red){金剛}|&color(red){GAME OVER}| ----
*暁の水平線に何を刻むのか? ◆FnPM52EPHI 人は自分の許容範囲を越える状況に置かれると現実から逃避する事がある。 それは精神的に未成熟なものほど陥りやすい。 そしてそれは艦娘も変わらない。 「核爆弾なんて、本当なんですか、 長門さん!?」 特型駆逐艦の1番艦、吹雪。 この時点で現状は吹雪の理解の範疇を越えていた。 まず謎の金属製の球体に閉じ込められているかと思いきや、いきなり放射線や核爆弾などの通信による説明。 しかもその通信してきた声が秘書艦の長門であった点も吹雪の混乱に拍車を掛けた。 いや逆に合点がいったのかもしれない。 つい数日前、憧れの赤城や仲の良い睦月が長門と共に極秘任務に赴いた。 その内容を聞いてみたいと思ったが結局睦月に聞いても答えてくれる事はなかった。 (もしかしてこれが極秘任務……ん、なんだろう、これ? デイパック?) ふと足元に置いてあったデイパックを調べてみると水や食料や方位磁石などサバイバルに役立つ物が入っていた。 さらに生存者の詳細を記したと思われる名簿や首輪を探知するレーダーや自分の艦装も入っていた。 (とりあえず他に誰がいるか確認した方が……あれ、あそこに誰か、倒れている!?) 吹雪の視線の先にある灯台。 月明かりに照らされたその下に誰か倒れているのが見えた。 急いで駆け寄って、そこで吹雪は頭が真っ白になった。 「え、睦月、ちゃん……」 それは見るも無残な姿と化した睦月の死体であった。 灯台から落下したせいか首はへし曲がり、身体も所々通常ではありえない方向に曲がっている。 さらに衣服は乱暴に引き裂かれ、その身体は酷く汚れている。 睦月に何があったかは一目瞭然だった。 「い、いやああああああああああ!!!!!!!!!!」 そしてその光景を目の当たりにした吹雪は踵を返してその場から逃げた。 まるで今目にした光景が何か悪い夢であってほしいと願うように。 悪夢を振り払うかのように一心不乱に目の前に伸びる森の中の道を走り続けた。 「はぁ、はぁ、は――きゃ!?」 どれだけ走っただろうか。 吹雪の逃走は足元に倒れた何かに躓くという形で終わりを迎えた。 そして自分が何に躓いたのか確認するために吹雪はそこで振り向いて、絶望した。 「お、大井さんッ!?」 そこにあったのは胸に風穴を空けて転がっている大井の死体だった。 そこで吹雪は気付いていしまった。 大井の近くには陸奥を初め多くの死体が転がっている事に。 「そんな、赤城さん、そんな、うそだああああああああああ!!!!!!!!!!」 そしてその中には吹雪が憧れている赤城の姿もあった。 「い、いやああああああああああ!!!!!!!!!!」 吹雪はまた走った。 今見た悪夢が現実でないと願って。 走って走って走って。   「えっ」   吹雪は気付いていなかった。 いつのまにか廃村を抜けて墓地も通り抜けて裏手の崖まで来ていた事に。 そして我武者羅に走ってきた吹雪がそれに気付いてももう自分で止まる術はなかった。 吹雪は死を覚悟した。   「ブッキィィィィィイイイイイ!!!!!」    ▼   金剛が吹雪の危機に気付いたのは偶然だった。 吹雪と同じくこの地に降り立った金剛だったが、そこは吹雪と重ねてきた経験の違いで幾分落ち着いていた。 ともかく誰か他の生存者と出会えないか移動している最中に吹雪の悲鳴を聞きつけて追いついたのだ。 だが残念ながら追いつけたが間に合わなかった。 かなりの勢いで崖へと走っていた吹雪を止める事は不可能で、結果金剛は吹雪諸共崖下に落ちる事になった。 しかも崖下には岩肌が見えていて、このままでは二人とも即死確実だ。 デイパックの中に自分の艦装があったが、もう展開している余裕はない。 だから金剛はとっさに吹雪を抱えて自分が先に落ちるように身体を捻った。   (提督、ブッキー…どうか武運長久を…私…ヴァルハラから見ているネ…)    ▼   (睦月ちゃん、陸奥さん、赤城さん、金剛さん、みんな死んじゃった……)   吹雪の行く先々で仲間の艦娘が死んでいった。 まるで吹雪が死神であると呪われているかのように。 しかも睦月に赤城に金剛と吹雪と特に関係が深かった艦娘の死を短時間で目にしたのだ。 もう吹雪に生きる気力は残っていなかった。 合計8kg以上の重量となる2つのデイパックは吹雪を深海へと誘って行った。   (そうだよ、このまま死んじゃった方が……)   そして吹雪の意識は静かに深い海の中に消えていった。   (提督、あの時の言葉嬉しかったです。私も、提督を――)   最期に吹雪の脳裏に浮かんだ光景。 それは真っ白なドレスに身を包んだ自分と提督。 それはまるで今までの事は嘘のようにただただ幸せな光景だった。   【I-2/沖合/一日目/黎明】   &color(red){【金剛@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】} &color(red){【吹雪@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】} *時系列順で読む Back:[[]] Next:[[蘇生率Zero]] *投下順で読む Back:[[オリンピックにゃまだ早い]] Next:[[無題03]] |&color(red){吹雪}|&color(red){GAME OVER}| |&color(red){金剛}|&color(red){GAME OVER}| ----

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