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無題01 ◆/ebAZhNPSM



○月○日

この日、鎮守府に極秘任務が下された。
軍上層部はある島において、何者かによる不穏な実験がされているという情報を掴んだ。
どうやら核を用いた実験をしているらしく核実験を止めさせ、解体して無力化するが我々に与えられた。
メンバーは機械工作に長けた技術者16名、護衛の海軍中隊24名
深海凄艦の出現に備えて長門、陸奥、大井、北上、赤城、睦月の小隊6名
それを指揮する役割として選ばれた提督、合わせて47名が目的の島に向け旅立つことになった。
場所は艦娘の燃料では到底たどり着くことの出来ない場所にあるため
長距離移動用の大型船を用いて移動する。
非常時に備えて水や食料、補給用の燃料や弾薬は多めに用意された。


○月×日

出発してから二週間後、目的地である島に到着した。
報告者の通り、大気は放射能によって汚染されていたので、防護服を装備して上陸した。
艦装を外すことになるが、それでも軍人として勤めを果たすために艦娘の同行も許可された。
島を探索している内に、戦闘が起こったと思われる形跡が至る所に発見する。

民宿を発見した我々は内部への調査を始めた。
そこでも戦闘の傷跡が残されており、窓ガラスがいくつも割れ、一部の壁が破壊されていた。
一室にて白骨死体を発見、胸元に銃創の痕あり。
衣類はぼろきれのように朽ちており、死後から相当の年月が経っていると推測される。
遺体の傍で落ちていたバッグからは何かの名簿と地図が記されていた。
両方とも風化が進んでおり、名簿は読み取れなかったが地図はこの島の物であることが分かった。

民宿での調査を終えた頃、日が沈みかけていたので今日の調査は中断し船に帰還した。
明日から地図の情報を頼りに他の施設の調査を進める。
銃殺された死体を見たせいか、同行者の中に不安の声を出す者もいる。
迅速に調査を終える必要があるだろう。
この島に来てからというもの、なんだか空気が非常に重苦しい。


○月△日

廃村へ調査を行った所、白骨死体が三つも発見された。
一つはナイフを持った死体、もう一つは拳銃を持った死体、最後は首を吊って自殺した死体。
自殺した死体の近くで放置されていたバッグにはメモ帳が発見された。
『ころすのもころされるのもぼくはいやだ さきにあのよへいってきます みなさんさよなら』と書かれていた。
もしや、この島で人間同士の殺し合いを強要されていたのだろうか?

次々と死体を見たショックで睦月と軍人二人がホームシックにかかった。
睦月はまだ幼く、軍人二人もまだ10代の若い人間である。
凄惨な光景を見て、不安で心が押しつぶされたのだろう。
提督の配慮により、三人は調査が終わるまで船内での休息を命じられた。

島にいくつも点在しているアンテナを調査した所、恐るべき事が分かった。
アンテナには核が仕込まれていた。
もし島に点在するアンテナ全てに核が仕掛けられているとしたらかなりの数である。
我々はいつ爆発するかも分からない核の排除を迅速に進めた。

一つめの核は無事に無力化出来た。
解除した技術者の話では設置した人物の技術不足か、それとも急いで設置したのか。
非常にシンプルな構造であり、それほど時間を労せずして解除が可能だという。

核の解除は技術者と軍人達に任せ、提督と艦娘は島の謎を解き明かすための調査をする事になった。
技術的知識の無い艦娘は未探索エリアの調査に回した方が効率が良いとの提督の考えだ。
その案に隊員達は納得し、二手に分かれて行動することになった。


○月□日

船で待機している三人の容体はまだ安定していない。
本人達は大丈夫だと言って皆を心配させないよう振る舞っているが
ろくに眠っていないのか目の下にくまが出来ており、若干やつれ気味だ。

島の中央にある防災試験センターへの調査を開始した我々は
電子機器が生きており、使用できる事に気が付いた。
この島で何が起きていたか残されているデータを一つ一つ読み上げた。

『第1回バトルロワイアル 参加者72名 優勝者○○○○○ 一族の永遠の繁栄を願いとし帰還する』
『第2回バトルロワイアル 参加者68名 優勝者無し 最後に生き残った一人が隠し持った爆弾を使い主催者を道連れに自爆』
『第3回バトルロワイアル 参加者56名 優勝者○○○○ この技術力を全て自分の物にしたいと願い、次の企画の主催者となる』
『第4回バトルロワイアル―――』

『バトルロワイアル』という単語がデータの中にいくつも浮かび上がった。
このバトルロワイアルによって島の中で殺し合いを続けられていたのだ、それも何度も繰り返されて。
ページを進めていくと、最後に作成された項目に『この島に連れてこられた者たちへ』と書かれたファイルを見つけた。
そのファイルを開くと殺し合いで生き残った人間らしき者のメッセージが記されていた。

『俺たちはバトルロワイアルという糞ったれな殺し合いゲームに巻き込まれた人間だ。
 みんなで力を合わせて、殺し合いを企てた連中を何とか打倒する事に成功した。
 だけどそれだけではバトルロワイアルは止まらないんだ。よく聞いてほしい』

『この島にはバトルロワイアルを繰り返してきた歴史がある。
 その歴史は運命による力で強制されていたんだ。
 突拍子も無い話で信じられないかもしれない。
 それでもバトルロワイアルを繰り返させようとする力は確実に働いているんだ』

『主催者を殺害してバトルロワイアルは一度終了させた。
 俺たちは10人生き残った。そして脱出するための算段も付いた。その時だ
 この島に眠る超技術を見つけた仲間の一人が突然狂いだして、他の仲間たちを殺しまわった。
 島はバトルロワイアルの破壊を許さなかった。生き残った10人で再び殺し合わせようとした』

『……結局生き残ったのは俺一人だ。
 この異常な技術を使って、逆に殺し合いを妨害してやる。それが俺に出来る運命に対する復讐だ。
 超技術を使い核を作り出した俺は島全土を放射能で覆った。
 参加者同士の殺し合いがお望みなら、参加者以外によって死をもたらされる環境に変えてしまうんだ。
 こんな発想が思いついて実行してしまう時点でもう俺の正気は失っているのかもしれないな』

『いいか?この島に来た人間は一刻も早く立ち去るんだ。
 核が残っている限り、殺し合わせようとする修正力は弱いはずだ。
 殺し合いを望む運命は核の脅威を取り除くために修正が働く。
 体内の免疫が進入した病原菌を除去しようと活動するようにね。
 もし、核の脅威が全て取り除かれたらその時、再びバトルロワイアルは必ず始まる。
 まるで初めから殺し合いを目論んでいたかのように、誰かがバトルロワイアルを運営するだろう。
 そういう運命を背負わされてしまうんだ』

『俺はもう限界だ……。
 沢山の人間の血が見たい。絶望が見たい。死が見たい。
 そんな心の闇が俺の精神を徐々に蝕んでいくのが分かるんだ。
 俺はそんな悪鬼になりたくない。
 人の命を弄びながら生きる怪物になるぐらいなら俺は人間として死を受け入れることにした。
 どうか、こんな悲劇が二度と起こらないよう祈りを込めながら引き金を引こう。
 さよなら愛する者よ。愛する故郷よ。最期にもう一度会いたかった……』

非常に信じがたい内容であった。
もしや核を解除させないようにと夢物語を並べているのでは?とも思える。
だが妙に信憑性があった。
過去に参加したMI作戦でも歴史通りに繰り返そうとする修正力は確かに感じ取れたからだ。
このバトルロワイアルを繰り返す島の話も本当なのかもしれない。
我々は一通り室内を調べた後、船内にて隊員達にこの情報を伝える事にした。


○月▽日

隊員達を防災試験センターへ集合させた。
実際に彼らにデータを見せることで島の現状をより理解してもらうためだ。
半信半疑だった隊員達も監視カメラによって撮影された過去の殺し合いの映像をモニター越しで目の当たりにして
実際に行われていたことは全員理解できた。
だが歴史の修正力という存在に関しては馬鹿馬鹿しい迷信であると否定する者も少なくなかった。
引き続き核の機能停止を行うべきだと主張する意見と
殺し合いが再び始まる可能性があるから迂闊に解除するべきでないと主張する意見に別れた。

それぞれの意見を聞き入れた提督は、核の無力化を行った後に、回収したデータと共に速やかに本部に帰還する方針を立てた。
軍人として、物理的証拠の無い現状で歴史の修正力を真に受けるわけにはいかない。
仮に歴史の修正力が真実であったとしても素早く撤退すれば、殺し合いが始まるより早く抜け出すことが可能だろう。
きっと提督はそう考えていたのだろう。

倉庫の中にある首輪が発見された。
本来は参加者の首に装着され、中に仕込まれた爆薬で従わない人間を殺害する為に作られていたらしいが
この首輪は爆薬を取り外され、放射能から身を守る力場を発すると説明書に書かれていた。
島に点在するアンテナの一キロ以内にいる限り効力を発揮し、核の機能を解除してもそれは失われないという事が分かった。

これがあれば防護服無しでも活動が可能となり、我々艦娘は艦装を装着する事ができる。
だがもしそれが偽りであった場合、放射能が自らの体を蝕み死が訪れる。
あまりにもリスクが大きい行為であるため、装着を見送ろうとした時
提督は首輪を手に取ると、防護服を外し自らの首へと装着した。
周囲が危険だと静止の声をかけるが、提督は一切迷うことなく地上へと出ていった。
放射能に汚染された大地にその身を晒した提督は大きく深呼吸を数回繰り返す。
軍人達は冷や汗を掻きながら提督の姿を見守った。

数分の時間が流れた、提督の体に一切の変化は見られない。
首輪の効果は真実であった、提督が自ら体を張って真偽を確かめたのだ。
その提督の覚悟に報いるために艦娘達も後に続いて首輪を装着した。
軍人達は最初は拒否を続けたが数十分の時間が流れても
誰一人不調を訴える者がいないと知るや、殆どの人間が首輪を付けての行動を選んだ。
防護服の窮屈さから解放されたのが嬉しいのか、笑顔を取り戻す兵は少なくなかった。
4人ほど警戒を解かず、防護服を徹底して脱ぎたがらない技術者もいたが強要するべきでは無いと彼らの意思を優先させた。


△月○日

それから二日が経ち、島に設置されたアンテナの核全てを無力化する事に成功した。
艦装が装着可能になったことで水上にあるアンテナも
艦娘達の引率により技術者を効率良く運び出せるようになり短時間で核の解除が可能になった。
その甲斐もあって予定より早く任務を終える事ができた。

あとはこの島から脱出し、得られた情報を本部に報告するだけだ。
島から帰れると知ると、ホームシックにかかった軍人二名と睦月は随分と喜んでいた。
それだけ心細い思いをしていたのだろう。

船が動き出し島から遠ざかり始めたその時、激しい爆発音が起きて船が火の海に包まれた。
弾薬庫に積まれた火薬の数々が爆発を起こしたらしい。
船内の破壊や浸水が激しく、船は1時間足らずで海の底へと沈んだ。
決死の救助を行ったが技術者2名、軍人4名が事故により命を落とした。
提督も人命救助のために単独で燃え盛る通路を突き進んだまま行方不明に。

あの提督が死んだとは思えない。
提督がいつでも戻ってこられるよう最善の行動を取り迎え入れられるように。
生き残った我々は島に再上陸して救難信号を出して、救助を待つことになった。

軍人達の精神状態が非常に不安定になっている。
核を解除したせいで自分たちはこの島に閉じ込められた。
バトルロワイアルが始まろうとしているんだと、嘆く者が後を絶たない。
特に帰りを楽しみにしていた睦月と若い軍人二人は涙を流しながら帰りたいと呟いていた。


△月X日

次の日、一人の技術者が案を持ち出した。
核の解除が原因でバトルロワイアルが始まろうとしているなら
もう一度、装置を起動させれば殺し合いが起こらずに済むのではないだろうか?と。
生き残りたい一心で賛同する者と、迷信のために更に危険を犯すべきでないと否定する者に二分された。
提案した技術者は装置の起動を行うのは自分一人でも構わないと話した。

無力化した核の装置を再起動する案は賛同しかねるが
このままでは隊員達の精神はどんどん悪化するのみだ。
彼らの精神の安定を兼ねて脱出の目途が立つまで、エリア一つ分のみの核を再起動する方針で進められた。

不慮の事故が起こった場合を想定して、陸地から離れた海上であるМ1の核を再起動する方向へ話が進められた。
起動を行うのは、先ほど案を考えた技術者1名と目的地へと引率するために北上が自ら立候補を挙げた。
大井は北上の動向を強く反対したが、北上本人による真摯な説得を受け渋々と了承した。

我々は海岸にて待機し目的地であるМ1へ向かう二人を見送った。
船内事故で既に6名の命が失われている。
これ以上の犠牲者が出ないようにと神頼みしている兵達もいた。
息の詰まるような緊張状態の中でひたすら二人の返りを待った。
一瞬、思わず目を覆うほどの眩い光が水上から放たれた。
光の後に続いて轟音が響き渡り、押し寄せてくる大波が海岸を飲み込んだ。

М1で設置されたアンテナが消滅している。
核の起動に失敗し爆発が起こったのだ。
死体を確認するまでもなく既に二人の命が失われたのは明白だった。
大井は北上の名を何度も呼びながら、爆心地へ向かおうとした。
М1のアンテナが消滅した今、あそこへ向かえば首輪の効果が発揮されずに放射能をその身に受けることになる。
我々は大井を押さえつけ、冷静さを取り戻すよう説得をした。
大切なパートナーを失ったのは分かるが、だからこそ今は落ち着いて対処しなければならない。
隊員達も落ち着いて考えようと言葉に出して周りをなだめている。
いや、正確には自分自身に言い聞かせているのだろう。
この場にいる全ての人間が恐怖と不安で押しつぶされそうになっているのだ。

船が沈んだ今、寝泊りする場所を失った我々は、廃村へ向かいそこで寝泊りすることになった。
建築物は古いが雨風を凌げる場所はここが一番近く、心身共に疲弊した状態で遠出するべきではないと判断された。
大井は一人にしてほしい。と小さな一軒家に閉じこもった。
一人で落ち着く時間が必要なのだと考え、我々は彼女の意思を尊重した。
現在の死者は8名、これ以上増やすわけにはいかない。
必ず生きて帰らなければ。


△月□日

黎明まで時間が経った時、次々と銃声が鳴り響き、隊員達が目を覚ました。
外へ出ると何者かが銃を乱射して隊員を一人、また一人と命を刈り取っているのを発見した。
暗闇で顔がよく見えない、誰が撃っているのか。
銃口から放たれる一瞬の火が持ち主の顔を僅かに照らし、その謎を明かした。

それは返り血を浴び、狂気の笑みを宿した大井だった。
彼女は対応の遅れた兵士達を次々と射殺し続けた。
凶行を止めるべく威嚇射撃をして説得しようとするが
大井は高笑いを繰り返し、こちらに向けて銃を放った。

陸奥は私を庇い、銃弾をその身に大量に浴びながら艦砲射撃を放ち
大井の胸に風穴を空け、彼女の行動は停止した。
陸奥は致命傷を受けていた、涙を流す私の手を優しく握ると
自分の分まで長く生きてほしいと言い残して、息を引き取った。

多大な犠牲が起こった。
外では大井に射殺された軍人11名、技術者2名と
大井の泊まっていた一軒家に一番近い家の中には
眠っている状態で射殺された軍人8名の死体が発見された。
大井、陸奥を合わせて23名が闇の中で命を失った。

だがこれで終わりでは無かった。
狂気はまるで流行り病のように伝染していった。
一人の軍人が叫んだ。バトルロワイアルは始まっている。相手を殺さなければ俺たちは殺されると。
銃口を私に向けた。大井の凶行を目の当たりにして、人間よりも力を持った艦娘を恐れたのだ。
赤城は狂乱に満ちた空気を静めるべく説得を始めた。
皆さん運命に負けないで、呪われた歴史を繰り返してはいけない、そう懇願するように叫んだ。

しかし無常にも軍人達の心には届かなかった。
軍人の放った銃弾が赤城の体を撃ち抜いた。
撃たれてもなお赤城は抵抗することなく、説得を続けた。
銃弾が赤城の頭に命中した。脳漿を撒き散らしながら赤城が倒れた。

他の軍人が雄叫びをあげながら赤城を射殺した軍人を撃ち殺した。
それに呼応するように軍人達が次々と銃を構えて無差別な撃ち合いが始まった。
説得が不可能な状態だと察した私は、泣き叫ぶ睦月の腕を掴み逃走しようとすると
一軒家の隅で震えている二人の人間を発見した。
彼らはホームシックにかかった若い軍人達だった。
大井の銃声を聞いてからずっと室内で震えていたのだ。

彼らを見捨てるわけにはいかない。
私が声をかけると最初は警戒していたがなんとか説得に応じて、行動を共にすることが出来た。
二人の若い軍人を連れて廃村から脱出しようとしたところで、背後から銃声が響いた。
廃村で殺し合っていた軍人の一人が私たちを追撃に来たのだ。
このままでは睦月達が危ない。
私が殿として相手を引きつけてる間に、三人は先に逃走するよう指示を出した。
灯台を待ち合わせ場所として伝えた後、威嚇射撃を逃走の合図にして撃ち放った。

威嚇射撃に怯むも軍人は攻撃を止めようとはしなかった。
こちらに戦う意思は無いと伝えるも、全く聞き入れようとしない。
命を奪うしかないのか、決断を迫られた時、軍人が背後からの銃撃で倒れた。
軍人が息絶えるのを確認してから、撃った人物が姿を現した。
彼らは生き残りの技術者だった。
廃村から脱出した技術者の一人が長門を探して追いかけていたのだ。

技術者は、首輪だけでは危険だと言って防護服を渡し着る様に薦められた。
私は技術者の言う通りに艦装を外して防護服を着ると、技術者は伝えたい事があると言って
防災試験センターへと連れてこられた。
睦月達の事も伝えるが技術者が言うには緊急の用事なので最優先して欲しいとのことだった。

防災試験センターのモニターを覗くと新たな事実が発見された。
地上の大気が時間が経つごとに徐々に浄化されていくのがデータで明らかになっていた。
現段階では首輪や防護服が無ければ、すぐに命が奪われる状況だが
そう遠くない未来で放射能の消えた島になるのは確実であった。

だが良い情報ばかりではなかった。
そんな嬉しいニュースを台無しにして絶望を与えるほどのデータも映し出された。

『第○○回 バトルロワイアル 開始予定 参加者 61名』

今まで無かった項目である。
参加者の欄を覗くとそこには吹雪、金剛、加賀の名前があった。
今までの出来事からして情報は偽りでないと分かる。
この三人が次の殺し合いの参加者に選ばれたのは明白であった。
なんとか止める手立ては無いのか。

核を出来るだけ再起動させよう、と技術者が言い出した。
また爆発を起こすかもしれないが、起きないかもしれない。
どの道、脱出が不可能ならやれるだけのことをやってみたい。
技術者は強い意志で私に言い聞かせた。

私もそれに賛同をした。
途中で諦めていては歴史の流れを止める事など絶対に不可能だ。
私はバトルロワイアルの打破に全力を注ぐ。
このレポートを見ている者は絶対に殺し合いに乗らないでほしい。
そして出来れば、この情報を軍に伝えてほしい。
君たちの無事と勝利を願っている。


「レポートの作成はこれで終わりにしよう。あとは生きて帰れたら続きを……ん?」

新たな情報がモニターに表示された。
そこにはこう書かれていた。

『参加者1名 先行投下開始 世界の意思を阻もうとする者を速やかに排除せよ』

「なんだ……これは……?」

不穏な文章が流れると同時に近くから落下音が響いた。
外へ出た長門が目にした者は巨大な球状の金属の塊であった。

(世界の意思を阻もうとする者、それは私達のことか?ならば、あれは……敵)

防護服を脱いだ長門は艦装を取り付けて戦闘態勢に入り様子を伺う。
すると金属の塊の扉らしき物が開かれ、内部が露わになった。
内部には椅子が有り、それに座っている人物がいる。
その者がゆっくりと起き上がると長門を睨みつけて、憎しみに満ちた唸り声をあげた。

「――――――■■■■■■■■■■!!!!」
「これは……!?」

全身から邪気に満ちたオーラを放つその者は、黒いフルプレートを全身に着込んでおり
頭部にある視界を確保するスペースからは赤い光を発していた。
明らかに普通の人間ではない。

「■■■■■!!」

言葉にならない唸り声と共に鎧の男は、大地を蹴り一瞬にて長門の眼前にまで迫る。
右腕を使って思いっきりぶん殴る。それは何の技術も込められてない単純な暴力。
ただ圧倒的な身体能力の差によって長門はその攻撃を防ぎきれない。
辛うじて間に合った両腕でのガードすら弾いて腹部へとめり込ませた。

「ガハッ!……くっ、こんなところで私はァ!!」

戦艦級を遥かに凌駕するパワーを持つ存在。
今まで出会ったことの無い強敵だが諦める訳にはいかない。
この負の連鎖を断ち切るまで絶対に倒れない。
砲撃を鎧の男に向けて撃ち放った。

鎧の男は機敏な動きで砲撃を次々と回避した。
相手は力だけではない。
スピードも圧倒的であった。

砲撃を避けながら鎧の男は、球体へと下がっていった。
逃亡を図ろうとするのかと長門は一瞬思った。
それは間違いであるとすぐに気付いた。

「……ッ!?まずい!!」
「――――■■■■!!!!」

鎧の男が球体から取り出したのはМ202ロケットランチャー。
手に取ったそれは、徐々にどす黒く変色していった。
長門は直感で、黒いロケットランチャーは異常であると理解した。
ロケットランチャーが長門に向けられるよりも速く、森の奥へ向かって駆け出した。
木々に囲まれた場所なら、直撃だけは避けられる、そう判断しての行動だった。
間違った判断では無い、普通のロケットランチャーであればの話だが。

放たれたロケット弾は障害物に当たる事無く、慣性を無視した変則的な動きで
木々を躱しながら長門に向かって突き進む。
その弾道は持ち主の意思によって自在に動き回る。
回避しようとも、目標に当たるまで追い続けるのをやめない。
なぜロケットランチャーにそんな超常的な力が備わっているのか。

全ては鎧の男による能力によってもたらされた力であった。
彼は聖杯戦争によってバーサーカーのクラスで召喚されたサーヴァントである。
サーヴァントには宝具と呼ばれる切り札がある。
このバーサーカーが持つ宝具の一つに『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』がある
その効果は自らが手にした物を、己の宝具として支配する事で通常の武器ですら常軌を逸した力を与えることが出来る。

ロケット弾が木々の隙間を縫うような動きで長門の眼前へと迫った。
直撃は避けられない、と長門が心の中でつぶやいた。
その瞬間、弾頭は空中で爆ぜた。
爆風が長門を包み、衝撃に煽られて彼女の体は吹き飛ばされた。
ロケット弾が長門に直撃することなく、爆発した原因は第三者からによる襲撃だった。

「くたばれぇッ!!!!」

廃村から生き延びた軍人が視界に移ったバーサーカーを敵と見なして銃弾を撃ち放ち
鎧に被弾してバーサーカーの集中力を阻害し、ロケット弾の制御力を奪ったのだ。
軍人は長門支援したのではない。
もし先に見かけたのが長門だったら彼女に銃口を向けていたであろう。

「■■■■■■――!!」

軍人の方へと視線を向けたバーサーカーは攻撃対象を変えた。
銃弾を浴びつつも傷一つ付かないバーサーカーは軍人のいる方向へゆっくりと歩く。

「銃が効かねぇ!?く、くるな化け物ォオオ!!!」

懇願に近い叫び声を挙げながら銃弾をバラめくが、弾薬が空となり
バーサーカーの進行を止める手立ては無くなった。
男は背を向けて逃げようとするがバーサーカーの左手が彼の肩を押さえつけ
強制的にうつ伏せにされる。

「おねがいだぁ……命だけは助けてくれ……殺さないでぎ、ぎゃああああああああ!!!!」

バーサーカーの右腕は軍人の頭部を鷲掴みにして。そのまま上に引き上げた。
頭部は脊髄ごと、胴体から引き抜かれて首から大量の血が噴出した。
右腕に持った頭部を道端に投げ捨てると、長門が逃走した方角を見つめたあと立ち去った。
長門の殺害は後回しにされたようだ。


数時間後……


日が沈み、辺りが薄暗くなっていく中でアンテナに設置された核を再起動している人物がいた。
防災試験センターにて長門と別れて行動していた技術者である。
今の所、核の暴発が起こる事なく一人でいくつもの核の起動に成功していた。

「これで8カ所目か。これでバトルロワイアルを封じる事が出来ればいいが……ん?」
「■■■■■■!!」
「誰だお前は!?来るな……うわああああああああああああ!!!!」

道中で角材を手にしたバーサーカーは技術者の頭部に向かって振り下ろし
頭蓋骨を砕き、肉片を地べたにバラまいた。
バーサーカーは長門よりも核の再起動を進めている技術者の命を優先して狙わせたのだ。
もっともバーサーカー本人からすれば闘争本能に身を任せているだけに過ぎないのだが
この島でバトルロワイアルを繰り返そうとする歴史の修正力が
無意識の内に、バーサーカーを突き動かしていた。

核を暴発させれば汚染の浄化に更に時間を費やす事になり
参加者同士を殺し合わせる時間が長引いてしまう。
それを解決するためのテコ入れとして一足先にバーサーカーをこの島に投入した。
本能で動き回るバーサーカーは、歴史通りに事を進めるのに御しやすく。
不要な行為を働こうとする人間の駆除を優先させた。
自我の無い怪物達が参加者として呼ばれたのも、それが理由となっている。

「■■■■■■」

技術者を殺害したバーサーカーは歩きだす。
残りの邪魔者を始末させようとする歴史の修正力の流れに引きずられて。


その頃、長門は森の中で意識を取り戻した。
ロケット弾の爆発を受けて吹き飛んだ長門は、後頭部を強く打って
数時間ほど眠っていたのだ。

「……くっ、頭が痛い……意識を失っていたのか」

長門が辺りを見渡すと日が沈みかけていた。
周辺には襲撃者の姿は無い。
何とか逃げ切れたのだと理解は出来た。

肉体の負傷状況を確かめる。
中破しているが艦装は正常に働く。
戦闘の続行は可能だ。

「―――!?睦月達が危ない……」

もし、あの襲撃者が灯台に向かえば待機している若い軍人と睦月の命が狙われる。
長門は急ぎ、灯台へと向かった。
無事でいてほしいと心の中で強く願いながら。

「はぁ……はぁ……よかった………無事か……」

息を切らしながらも灯台へと着いた長門は
灯台で戦闘が行われた形跡が一切無い所を見て安心した。
睦月達がロケットランチャーを持った鎧の男と遭遇せずに済んだのは不幸中の幸いだった。

彼らの無事を直接確かめるべく、長門は灯台へと入った。
ドアを開けても三人の姿は見えない。
どこかへ行ったのか?それとも奥の部屋で待機しているのか?

「心配するな長門だ!お前たち無事か!?」

返事は無い。
一階にはいないようだ。上の階へ向かい探す。
室内の明かりが二階の部屋にある隙間から漏れている。
三人はそこにいるのか?長門はドアをゆっくりと押して部屋の中へ入った。

「―――ッ!?お……お前たちぃ!!」

そこは無残な光景が広がっていた。
若い軍人二人は、全裸になって睦月を犯していた。
一人は睦月の膣内に挿入して、ひたすら腰を振り続け
もう一人は自らの陰茎を睦月の口内に向け喉元まで押し当てていた。
睦月の意識は朦朧としていて、セーラー服はビリビリに引き裂かれており
服としての役目を果たしておらず
体中に擦り傷や痣が見られ
陰部には大量の血と精液が溢れた跡が惨たらしく残っていた。

彼らは嫌がる睦月にひたすら暴行を加えて
抵抗する気力を奪ってから強姦を繰り返していた。
その睦月の変わり果てた姿を見て、長門は怒りに震えた。

「お前たちが何をやったか分かっているのかァ!!!!」

長門は二人の軍人を思いっきり殴りつけた。
戦艦級の拳をまともに受けた二人は意識を失って倒れる。
怒りに飲まれながらもぎりぎりの所で理性を残していた長門は
彼らを殺さずに気絶させるだけに留めた。

「すまない睦月……私がもっと速く駆けつけていれば……」
「……………………」

睦月は答えない。
光を失った瞳は、彼らが装備していたアサルトライフルを見つめていた。

「……?何をしている睦月!?」

アサルトライフルを拾い上げた睦月は
気絶している軍人二人に銃口を向けると、そのまま引き金を引いた。
放たれた銃弾は軍人達の体に着弾して命を奪った。

「止めるんだ睦月!!……ぐっ」
「…………うごかないでください」

睦月は牽制するように長門に銃を向けた。
長門に銃を向けたままゆっくりと睦月は部屋を出た。
睦月の後を追う長門、睦月の行き先は灯台の屋上だった。
まさか……と不安がよぎる。
長門は屋上への扉を開けた。
足元にはアサルトライフルが捨ててあった。
睦月は屋上の柵を越えて身を乗り出していた。

「死んでは駄目だッ!!睦月!!!!」
「…………ごめんね………吹雪ちゃん…………」

睦月は柵を握っていた手を放して、身を投げ捨てた。



「………さよ…………なら………」



どさりと命を散らす小さな音が、長門の心に深く大きく突き刺さった。

「うぐっ……うわああああああああああああ!!!!!!!!
 どうして……どうしてこんなことになってしまうんだぁ!!
 私は……私は皆をたすけたかっただけのにぃいいい!!!!」

今まで気丈に振る舞っていた長門だったが、ついに心に限界がきた。
守ろうとしてきた仲間たちが次々と死んでいく地獄のような世界に
長門の精神も崩壊寸前であった。

「たすけて……たすけてください提督………うう……
 ……まだ挫折するわけにはいかない……吹雪たちを助けなければ……」

涙を流し続けたあと、まだ守らなければならない人物がいる事を思い出した長門は
防災試験センターに向かった。



23時30分 バトルロワイアル開始まであと30分


防災試験センターに到着した長門は、新たなメッセージが届いてるのに気づきそれを開いた。

「まさか……これは提督の……」

メッセージの送信者に提督の名があった。
内容は0時00分にバトルロワイアルの参加者がこの島に搬送されてくる。
私は参加者達に指示を与えて、導いてほしいとのこと。
伝える指示は同封されたメッセージの中に記されている。
そのあとは提督が引き続き、私に指令を出すと書かれていた。

「さすが提督だ。我々から離れた所でそこまでの考えを張り巡らしていたとは……」

もうすぐで0時になる。
今度こそ守り抜いて見せる。


0時00分 バトルロワイアル開始


「……ふう、彼らに通信は届いたのだろうか?いや、提督の指示に間違いはない。必ず上手く行くはずだ」

今の長門にとって唯一の心の支えは提督だった。
提督を信じることで、精神のバランスが保っていられる状況だった。
長門はもう己のみの力を全く信じられなくなっていた。

その時、防災センターのゲートが轟音と共に破壊された。

「なにごとだ!?」
「――――■■■■■■!!!!」

ロケット弾を撃ち、ゲートを破壊したバーサーカーが現れた。
歴史の修正力が長門を抹消させようとしていた。

「貴様ぁあああああああああ!!!!」

バーサーカーの姿を見た長門は憎しみを露わにして艦砲射撃を放った。
宝具と化した角材を使って、バーサーカーは砲撃を受け止めるも直撃と共に粉砕され吹き飛ぶ。

「お前さえいなければッ!!睦月は死なずに済んだぁああああああああ!!」

バーサーカーが起き上がる隙も与えずに次々と砲撃を放ち続けた。
長門はこの島で初めて、本気で相手を殺害しようとしている。
殺意を込めた攻撃がバーサーカーの肉体に傷を増やしていく。
このままおめおめと倒されてくれるバーサーカーでは無かった。
ダメージを受けつつも起き上がると、長門へ向け走り出し
長門の喉元へ向けて手刀を放った。

長門は体を反らす事で首を掠める程度に抑え
カウンターでバーサーカーの頭部を殴りつけて怯ませた。
これが原因となり勝敗が決まった。

「ぐぐっ……ごほっ!!」

長門の敗北である。
バーサーカーの手刀が長門の首輪に掠り、機能を停止させたのだ。
目や鼻や口から血が溢れ、零れ落ちる。

その時、新たなメッセージが届いた。
提督からである。
長門は助けを求めるようにコンソールに向かい、メッセージを開いて目を通した。

『長門よ 任務ご苦労 ゆっくりおやすみ』

「‥‥な、なぜ‥‥」

提督は知っていたのか?
私があいつと戦い、命を落とすのも。
そんなはずは無い、提督は私たちを助けるために奮闘しているはずだ。

「‥‥これも‥‥なにか考えが、あっての‥‥そうか!私がこの役目になったのは‥‥」

まさか提督はこのバトルロワイアルの主催者になったのか?
主催者である提督に捨て駒として切り捨てられて殺されたのか……。

 誰に看取られることもなく、悲しみと絶望で凝り固まった鬼の形相で、その少女は息することをやめた。


 コンソールだけが、目に悪い光で彼女を照らしていた。


バーサーカーはゆっくりと長門の死体に近づいた。
長門の体を起こすと、指を長門の胸から体内へと差し込み
ある物を掴み取って引き抜いた。
それは長門の心臓だった。
バーサーカーは長門の心臓を食らい、魔力を補充した。
そして艦装を引き剥がすと、自らの武器として持ち出し
防災試験センターから立ち去った。

【G-5/防災試験センター/1日目/深夜】

【バーサーカー@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(小)、ダメージ(小)
[装備]:М202ロケットランチャー2/4 長門の艦装
[道具]:無し
[思考]
1:本能のままに行動する
※歴史の修正力によって無意識の内に動かされています。
核の脅威が完全に消えない限りは本格的な殺し合いは制限されます。
ただしバトルロワイアルの破綻に関わる行為をした参加者は積極的に狙います。

【主催】

【提督@艦隊これくしょん -艦これ-】

※舞台は『歴史の修正力@艦隊これくしょん -艦これ-』によって殺し合いの歴史を繰り返している島です。
※島には超常的な技術力が眠っており、誰もが主催者になりうる可能性をもっています。
※現在は参加者同士を殺し合わせようとする力は働いていませんが、放射能の汚染が浄化され
島のどこかのエリアにある8カ所の核が全て無力化された時、参加者を殺し合わせようとする修正力が働きます。
※前回バトルロワイアルの参加者及び調査に向かった軍人達の死体が島に放置されています。

  技術者16名 死亡
  海軍中隊24名 死亡

【長門@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【陸奥@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【大井@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【北上@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【赤城@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【睦月@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】


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