「惑星アクア」(2006/01/19 (木) 19:11:52) の最新版変更点
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"2">ここは薔薇学園ではあるが今の時代よりもずっと後。未来のお話。<br>
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惑星アクア<br>
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紅「修学旅行でアクアまでやってきたのだわ」<br>
雛「見て見て真紅ー!アクア、真っ青できれーなのー」<br>
翠「いちいち騒がなくても見えてるです!」<br>
蒼「そんな事言いながら、一番はしゃいでるんじゃないの?」<br>
翠「な、そ、そんな事ねーです!」<br>
金「みんなお子様なのかしらー」<br>
銀「そぉんなこと言っても、窓にしがみ付いてちゃ説得力無いわよぉ?」<br>
薔「・・・・・・」<br>
J「薔薇水晶、さっきから何読んでるんだ?」<br>
薔「アクアの・・・ウンディーネ特集・・・」<br>
巴「わたしも聞いたことがあるわ。アクアでは運河が発達してるからみんな船に乗るんだって」<br>
紅「その運河を使って人を運ぶのが水先案内人【ウンディーネ】のお仕事なのだわ」<br>
J「へぇ・・・詳しいんだな真紅」<br>
紅「何を言ってるのよ。しおりの中にちゃんとかいてあるんだわ」<br>
J「へ?そうだっけ?」<br>
翠「まったく、ちび人間はこれだから世話が焼けるです。その他にもノームとかサラマンダーとかシルフとか色んなお仕事があるです」<br>
J「ふーん」<br>
アナウンス《間も無く当機は大気圏突入体制に入ります。皆様席へとお戻り下さい》<br>
銀「そろそろ到着ね。楽しみだわぁ♪一緒に回りましょうねぇジュン」<br>
蒼「抜け駆けはずるいよ水銀燈。ボクだってジュン君と一緒に回りたいんだから」<br>
銀「早い者勝ちよぉ。うふふ」<br>
J「みんなで回ればいいだろ!」<br>
金「やれやれ、先が思いやられるのかしらー」<br>
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翠「け、結構暑いです・・・これがアクアですか?」<br>
蒼「今は・・・夏みたいだね。アクアの一年はボクたちの居るマンホームの倍あるみたい」<br>
梅「おまえらー!勝手に動かないで、さっさと整列しろー!あと、笹原は立ってろー」<br>
紅「ほら、きょろきょろしないで、早く並ぶわよ!」<br>
雛「うゆ~、真紅引っ張らないでなのー」<br>
梅「今日はこのまま宿泊先のホテルに行って一泊。明日、明後日とネオベネチアを中心に観光した後明々後日はお前らのお楽しみの自主研修だ」<br>
金「明々後日が待ち遠しいかしらー」<br>
梅「自由行動だからと言ってはめを外さないように!あくまで自主研修だからな!」<br>
みんな「「「「「「「はーい!」」」」」」<br>
梅「じゃあこれから各クラス毎に水上バスに乗って移動。列から離れないように注意しろよ!」<br>
<br>
こうして薔薇学のアクア旅行が始まった。<br>
アクア観光は順調に消化されていった。<br>
多少のトラブルはあったものの、ほぼ想定内の出来事だった。<br>
三日目の夜。<br>
明日はいよいよ自由行動(梅岡曰く自主研修)の日だ。<br>
JUMはどこを回ってみようか考えあぐねていた。<br>
夜。同室のベジータ、笹塚は猥談に花を咲かせていた。<br>
JUMはそれに付き合いきれず部屋を抜け出していた。<br>
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夜のアクアを一人で歩く。<br>
夜風が涼しく、運河の流れる音が心を癒す。<br>
遠くの大きな運河で低い汽笛の音が聞こえた。<br>
JUMはアクアにきて始めて汽笛の音を聞いた。<br>
昔の資料を基に造られた合成音であることに代わりは無いのだが、低く、どこか力強いその音にJUMは何故か懐かしさを感じた。<br>
J「明日は・・・何も考えないでアクアを回って見るのもいいかもしれないな」<br>
?「それは良いアイデアね・・・」<br>
いつの間にかJUMの隣に立っていた人影がJUMの呟きに相槌を打った。<br>
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銀「はぁい♪ジュン」<br>
J「水銀燈・・・どうしたんだ?」<br>
銀「窓から外見てたらジュンが歩いてるのが見えてね」<br>
J「そっか・・・眠れないのか?」<br>
銀「別にそんな事無いわよぉ?三日も居ればなれるしね。ジュンは?」<br>
J「僕?僕は夜風に当たりたくて・・・」<br>
銀「マンホームでは《夜風》なんてほとんど感じられないものね・・・」<br>
JUMと水銀燈は黙って運河を見つめていた。<br>
銀「ジュンは明日、どうするの?」<br>
J「・・・まだ決めてない」<br>
銀「じゃ、じゃぁ・・・わたしと一緒に周らなぁい?」<br>
J「水銀燈はどこ行くつもりなんだ?」<br>
銀「・・・わたしも、まだ決めてなかったりして」<br>
J「ぷ。なんだよ、それ」<br>
銀「笑う事無いでしょぉ・・・」<br>
J「――いいよ」<br>
銀「え?」<br>
J「いいよ。いっしょに周ろう」<br>
銀「いいのぉ?――他の女の子と約束あるんじゃないのぉ?」<br>
J「無いよそんなの。僕を誘ってくれたの、水銀燈だけだぜ?」<br>
銀「ほ、ほんとぉ?」<br>
J「うん」<br>
<br>
翌日。<br>
銀「良い天気ねぇ。アクア晴れってやつ?」<br>
J「そんな単語ねえし」<br>
水銀燈とJUMはさっさとホテルを出て二人で歩いていた。<br>
銀(あんまりもたもたしてると他の薔薇乙女(+1)たちに邪魔されちゃうしぃ)<br>
本心は一時でも長くJUMと居たい水銀燈だった。<br>
銀「今日はどこに行きたいか、結局考えてくれたぁ?」<br>
J「うーん・・・別にどこに行きたいとかって無いんだよな~。のんびりと周ろうぜ?」<br>
銀「しょうがないわねぇ、ジュンは」<br>
そういう水銀燈はどこか楽しそうだ。<br>
銀「それなら、ゴンドラに乗りましょうよぉ。のーんびりとね?」<br>
J「ゴンドラかー。よし、行こう!」<br>
二人はウンディーネを探して歩き始めた。<br>
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銀「姫屋って老舗の会社に来てみたけど・・・」<br>
J「真紅たちが居るな」<br>
銀「止めましょぅ。さ、次いくわよぉ!」<br>
J「ちょ、ここでも良いじゃないか」<br>
銀「ダメよぉ。せっかくジュンと二人きりなんだもの・・・邪魔されたくないわぁ」<br>
J「・・・仕方ない。別の会社に行くか」<br>
銀「ジュンのそんなところ、好きよぉ♪」<br>
J「な!?」<br>
<br>
銀「げ、こっちには翠星石と蒼星石がいるわぁ」<br>
J「オレンジぷらねっともダメなのか?」<br>
銀「だめよ!」<br>
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JUMと水銀燈はあてどもなく歩いていた。<br>
行く先々でクラスメイトに遭う。<br>
JUMは気にしていないようなのだが、水銀燈が嫌がった。<br>
しばらく歩いていると、運河に張り出した造りの小さなウンディーネ会社を見つけた。<br>
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銀「ここにしましょうか?」<br>
J「いいけど・・・誰も居ないみたいだぞ?」<br>
カウンターを覗くJUM。<br>
生活臭はするのだが、人の気配が無かった。きっとどこかに出かけているのだろう。<br>
J「それにしても・・・無用心だな」<br>
銀「お休みなのかしら?」<br>
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?「あのー、何か御用でしょうか?」<br>
銀「うひゃぁ!いきなり後ろから声かけないで!びっくりするでしょう!」<br>
?「ありゃりゃ・・・ごめんなさい。それで、何か御用でしょうか?」<br>
銀「あなた、このお店の人?」<br>
?「そうです。わたし、アリアカンパニーの水無灯里と言います。で、こちらはアリア社長」<br>
アリア「ぷいにゅー!」<br>
もみ上げの長い少女は水無灯里と名乗った。<br>
それにしても猫を社長と呼ぶなんて、変わった子だとJUMは思った。<br>
銀「ゴンドラで案内を頼みたいんだけどぉ?」<br>
灯「ありゃま~、困りました」<br>
銀「どうして?ここ、あなたの会社で、あなたはウンディーネなんでしょ?」<br>
灯「そうなんですけど、わたし、まだシングルの半人前なのでわたし一人じゃお客さんを乗せられないんです」<br>
J「それでよく会社なんかやってられるな~」<br>
灯「あ、それはですね――」<br>
?「あらあら、お客様かしら?」<br>
灯里の後ろから金髪の女性がおっとりと現れた。<br>
<br>
灯「アリシアさん!お仕事は?」<br>
アリシア「先方さんの都合でキャンセルになっちゃったわ」<br>
灯「それならちょうど良かったです!お客様です」<br>
アリシア「あらあら。学生さん?」<br>
J「あ、はい、そうです。マンホームの薔薇学から来ました」<br>
アリシア「そうなの。遠路はるばるようこそ、アクアへ」<br>
J「ありがとうございます。へへへ」<br>
銀(何よジュンったらぁ、でれでれしちゃって)<br>
アリシア「それで、今日はどのような御用で?」<br>
銀「わたしたち、ネオベネチアを見て回りたいんですけど、特にあてって無いのよねぇ」<br>
J「それで、お任せで一通り見て回りたいんですが・・・」<br>
銀「代表的なところは大体見て回ったわぁ。隠れスポットみたいな場所が見たいわねぇ」<br>
アリシア「分かりました。それならこの灯里ちゃんが適任でしょう」<br>
灯「はひいいぃぃぃ!?わ、わたしがですか!?アリシアさん!」<br>
銀「ちょっと待ちなさい!その子、半人前なんでしょ!?」<br>
アリシア「灯里ちゃんから説明ありませんでしたか?監督官が同伴ならシングルでもお客さんを乗せれるんですよ?」<br>
銀「それは聞いたけどぉ・・・」<br>
アリシア「それに、ゴンドラ料金も半額なんですよ?」<br>
J「本当ですか?たすかるなぁ」<br>
銀「ちょっとジュン!」<br>
J「大丈夫だろ?アリシアさんも一緒だって言うし」<br>
銀「何であなた、アリシアさんの名前は一発で覚えているのよぉ!」<br>
ゲシッ!<br>
J「いってー!」<br>
アリシア「あらあら、うふふ。仲が良いのね」<br>
銀「だれが!こぉんなやつ」<br>
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銀「気持ち良いわねぇ・・・こうしてのんびり揺られるのも」<br>
J「本当だな・・・」<br>
灯「ゴンドラに乗るのは初めてなんですか?」<br>
J「昨日まで水上バスで観光だったからな・・・」<br>
灯「ほへー、そうなんですか。わたし、水上バスは乗った事無いんですよー」<br>
銀「嘘でしょぉ?ずっとここに住んでるのに?」<br>
灯「はひ。わたし、こっちに来てから一度も乗った事無いんです。移動はずっと自分のゴンドラですし」<br>
J「こっちに来てから?」<br>
灯「あれ?言いませんでしたっけ?わたしもマンホーム出身なんですよ?」<br>
銀「へー、そうなんだぁ」<br>
灯「だから実は薔薇学のことも知ってたりします・・・」<br>
アリシア「あらあら。どんな場所なの?」<br>
銀「ん~、一言で言うとぉ・・・馬鹿ばっかりよね?」<br>
J「そうだな。変な奴多いよな」<br>
アリシア「あらあら」<br>
灯「でも薔薇学って、すっごい偏差値高いんですよ~」<br>
アリシア「あらあら」<br>
灯「あれ?」<br>
銀「どうしたのぉ?」<br>
灯「あれ、藍華ちゃんだ。晃さんも一緒にいる」<br>
J「藍華ちゃん?」<br>
アリシア「灯里ちゃんと同じシングルのウンディーネです。姫屋で働いているのよ」<br>
銀「姫屋・・・やな予感がするわぁ・・・」<br>
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?「あれ?灯里じゃない。仕事中?」<br>
灯「そうだよ。マンホームから来た学生さんなの」<br>
藍「こんにちは。あたしは藍華って言います。アクアへようこそ」<br>
?「すわっ!!お客様を乗せているのにそっちのけとは何事だ!」<br>
藍「ひいいいぃぃ!スイマセン!」<br>
銀「だぁれ、あれ?」<br>
J「怖い人だな・・・」<br>
アリシア「今のは晃ちゃんよ。姫屋のトッププリマなの」<br>
J「へぇー。そうなんですか」<br>
?「あっ!!水銀燈じゃない!!それにジュンも!」<br>
銀「げぇっ!真紅!」<br>
紅「偶然ねえ?こんな所で出会えるなんて・・・」<br>
銀「別にぃ、わたしはあなたになんか会いたくなかったわぁ」<br>
雛「水銀燈ずるいのー!ジュンを独り占めなのー!」<br>
銀「早い者勝ちよ!」<br>
薔(・・・確かに、正論)<br>
J(俺は物か何かかよ)<br>
アリシア(あらあら・・・モテモテね)<br>
アリア「ぷいにゅー!」<br>
ヒメ(ぷい)<br>
アリア「!!!」<br>
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なんだかんだで真紅たちと行動を共にする事になった。<br>
銀「どうして真紅なんかと・・・」<br>
紅「それはこっちの台詞よ」<br>
銀「それならわたしたちの邪魔をしないで頂戴」<br>
アリシア「あんまり怒ってばっかりだと楽しめないですよ?」<br>
灯「そうですよ。楽しい風は怒りんぼさんの周りを避けて吹くんですよ?」<br>
銀「・・・一時休戦よ」<br>
紅「ホテルに帰ったら覚えてらっしゃい」<br>
?「ゴンドラ通りまーす・・・」<br>
?「声が小さいよ、アリスちゃん」<br>
アリス「ごんどらとーりまーす!!」<br>
灯「あの声は・・・」<br>
藍「アリスちゃんだ」<br>
晃「藍華!あたし達も声出せ!」<br>
藍&灯「「ごんどらとーりまーす!!!」」<br>
<br>
灯「やっほー、アリスちゃん。あれ?」<br>
藍「アリスちゃんもお客さん乗せてるみたいね」<br>
アリス「こんにちわ。灯里先輩。藍華先輩」<br>
?「あーーー!何でお前ら一緒にいるです!」<br>
?「しかもジュン君と水銀燈もいるのかしらー!」<br>
?「船で暴れると危ないってば!」<br>
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銀「結局こうなるのねぇ・・・」<br>
翠「抜け駆けしようとしたばちが当たったです!」<br>
蒼「それにしても良かったよ。ちょっと心配したんだよ。姿が見つからなかったから」<br>
J「ああ、ごめんな」<br>
紅「こそこそ企むなんて水銀燈らしくないのだわ。正面から堂々と勝負するのだわ」<br>
雛「まぁくん可愛いのー!」<br>
ま「まぁ!」<br>
金「それにしても風が気持ちいいかしらー」<br>
薔(三大妖精揃い踏みktkr!・・・後でサイン貰おう・・・wktk)<br>
灯「そろそろ目的地ですよ~」<br>
灯里がそう言い終わるや否や、水路がずっと続いていたような退屈な風景が一気に開放され、目の前にネオベネチアの町並が一気に広がった。<br>
灯「とうちゃ~く!」<br>
晃「なかなかいい景色じゃない」<br>
藍「実はここ、三人で練習してる時に水路で迷子になって・・・その時に見つけたんです」<br>
JUMたちにはその言葉など一言も入っていなかった。<br>
ただただネオベネチアの美しさに言葉を奪われていた。<br>
アリシアはそんな8人を見てニコニコと笑っているだけだった。<br>
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帰りの宇宙港ロビーで会話するJUMと水銀燈。<br>
ネオベネチアの思い出話は尽きる事が無かった。<br>
銀「いい思い出ができたわねぇ、ジュン」<br>
J「ああ、ホントだな」<br>
銀「また来たいわね・・・今度は二人だけで」<br>
J「何か言ったか?」<br>
翠「水銀燈ー!ちょっと来るですー!」<br>
銀「翠星石が呼んでるわぁ。また後でねぇ!」<br>
J「あ、おい!」<br>
JUMが呼び止めても水銀燈は気付かず走って行ってしまった。<br>
J「・・・二人だけで、か。それもいいかもな」<br>
<br>
アクアの海はどこまでも青かった。<br>
<br>
~おわり~</font></p>
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