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「閉じた心の扉!開いた心の鍵!」(2006/01/25 (水) 20:46:33) の最新版変更点
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<p> 誰もいないはずの屋上<br>
立ち入り禁止にされている屋上<br>
その扉を拘束するのは安易なダイヤル式の鍵<br>
しかしその扉は開けられていた<br>
扉の向こうには薄暗い雲と町の景色しかないはずだった……<br>
「やっと見つけた、ジュン君」<br>
そう言われた男はフェンス越しに空を眺めていた<br>
「ジュン……君?」<br>
いつもと違う彼の雰囲気に彼女は恐る恐る近づいた<br>
「ジュン君どうかしたの?」<br>
「蒼星石か?」<br>
気付いてはくれた、<br>
でも彼は振り向くことはなくただ空を眺めているだけだった……</p>
<p> なにかが違う気がする<br>
「ジュン君先生が呼んでたよ」<br>
「そうか……」<br>
ただこの景色を眺めているように見える<br>
しかし、普段の彼を知っている彼女にしたら落ち込んでいるように見えた<br>
「何かあったの?」<br>
「実はフラれたんだ」<br>
思ってもいない答えだった<br>
「告白したの?僕の知ってる人?」<br>
こんなことを聞いても意味がないことは分かっていた<br>
「蒼星石の知らない人だよ、告白したらさ……他に好きな人がいるって」<br>
彼は空に向かい呟いた<br>
こんなに近くにいるのに彼の心には彼女の存在は無かった</p>
<p> 僕は彼のことを全然知らなかったんだ<br>
「そうなんだ」<br>
気のきいた言葉は出なかった<br>
「うん」<br>
どうしてだろう<br>
落ち込んでいる彼の横顔が凛々しく見えた<br>
けど、そんな彼は見たくない……<br>
「ジュン……君」<br>
後ろからゆっくりと手を回した<br>
彼の心に僕がいないのが嫌だった<br>
このままだと彼が遠くに行ってしまう気がした<br>
彼を離したくなかった<br>
「僕じゃ……だめかな?」<br>
「蒼星石?」<br>
僕が彼の辛さを消しさりたいと思った</p>
<p> 僕はなんてズルイのだろう<br>
「僕……ずっと前からジュン君のことが」<br>
なんで今なんだろう<br>
「好き……なんだ」<br>
「蒼星石……ゴメン」<br>
彼は優しいからそんな気持でOKが来ないのは分かっていた<br>
「でも、僕は君のそんな辛い姿を見たくない、僕はただ君の笑った顔が見たいんだ」<br>
僕は彼の優しさにつけこんでいる<br>
こんなことを言われると彼は断らない<br>
「……ゴメン」<br>
僕の知っている彼の答えは来なかった……<br>
今まで彼の何を見ていたのだろう<br>
「僕は裏切らないよ」<br>
彼の笑顔が見たいから</p>
<p> 彼に対してはいつもと違う考え方をする<br>
フェアじゃなくてもいい<br>
ただ彼を離したくなかった<br>
「蒼星石……」<br>
彼を見つめゆっくりと瞼を下ろした<br>
「僕は……いいよ」<br>
やっぱり僕は彼の優しさに甘えてしまう<br>
唇に冷たいものがあたる<br>
「雨だ」<br>
雨が邪魔をした<br>
「戻るか」<br>
「そうだね」<br>
優しい彼ならしてくれるという満身はあった<br>
雨がなければ……</p>
<p>ザー……<br>
雨の音が凄い<br>
扉に鍵を閉める音をかき消していた<br>
「これでよしっ」<br>
それでも彼の声だけはしっかりと僕には届いていた</p>
<p> 今度こそ……<br>
「……いいよ」<br>
また瞼を下ろした<br>
今度は邪魔をするものない<br>
「蒼星石……」<br>
唇に暖かいものがあたる<br>
雨の音は聞こえない<br>
高鳴る胸の鼓動だけが響いていた……<br>
「……んっ……」<br>
唇の感触がなくなる<br>
どれくらいの間キスをしていたのだろう<br>
今までで一番、彼と長く入れたような気がした<br>
「ありがとう、蒼星石元気が出たよ」<br>
その言葉が嬉しかった<br>
「よかった」<br>
君の声は僕には届いているよ<br>
僕の声はちゃんと届いているかな?ジュン君</p>
<br>
<p>~fin~</p>
<p><font size="2">誰もいないはずの屋上<br>
立ち入り禁止にされている屋上<br>
その扉を拘束するのは安易なダイヤル式の鍵<br>
しかしその扉は開けられていた<br>
扉の向こうには薄暗い雲と町の景色しかないはずだった……<br>
「やっと見つけた、ジュン君」<br>
そう言われた男はフェンス越しに空を眺めていた<br>
「ジュン……君?」<br>
いつもと違う彼の雰囲気に彼女は恐る恐る近づいた<br>
「ジュン君どうかしたの?」<br>
「蒼星石か?」<br>
気付いてはくれた、<br>
でも彼は振り向くことはなくただ空を眺めているだけだった……<br>
<br>
なにかが違う気がする<br>
「ジュン君先生が呼んでたよ」<br>
「そうか……」<br>
ただこの景色を眺めているように見える<br>
しかし、普段の彼を知っている彼女にしたら落ち込んでいるように見えた<br>
「何かあったの?」<br>
「実はフラれたんだ」<br>
思ってもいない答えだった<br>
「告白したの?僕の知ってる人?」<br>
こんなことを聞いても意味がないことは分かっていた<br>
「蒼星石の知らない人だよ、告白したらさ……他に好きな人がいるって」<br>
彼は空に向かい呟いた<br>
こんなに近くにいるのに彼の心には彼女の存在は無かった<br>
<br>
僕は彼のことを全然知らなかったんだ<br>
「そうなんだ」<br>
気のきいた言葉は出なかった<br>
「うん」<br>
どうしてだろう<br>
落ち込んでいる彼の横顔が凛々しく見えた<br>
けど、そんな彼は見たくない……<br>
「ジュン……君」<br>
後ろからゆっくりと手を回した<br>
彼の心に僕がいないのが嫌だった<br>
このままだと彼が遠くに行ってしまう気がした<br>
彼を離したくなかった<br>
「僕じゃ……だめかな?」<br>
「蒼星石?」<br>
僕が彼の辛さを消しさりたいと思った<br>
<br>
僕はなんてズルイのだろう<br>
「僕……ずっと前からジュン君のことが」<br>
なんで今なんだろう<br>
「好き……なんだ」<br>
「蒼星石……ゴメン」<br>
彼は優しいからそんな気持でOKが来ないのは分かっていた<br>
「でも、僕は君のそんな辛い姿を見たくない、僕はただ君の笑った顔が見たいんだ」<br>
僕は彼の優しさにつけこんでいる<br>
こんなことを言われると彼は断らない<br>
「……ゴメン」<br>
僕の知っている彼の答えは来なかった……<br>
今まで彼の何を見ていたのだろう<br>
「僕は裏切らないよ」<br>
彼の笑顔が見たいから<br>
<br>
彼に対してはいつもと違う考え方をする<br>
フェアじゃなくてもいい<br>
ただ彼を離したくなかった<br>
「蒼星石……」<br>
彼を見つめゆっくりと瞼を下ろした<br>
「僕は……いいよ」<br>
やっぱり僕は彼の優しさに甘えてしまう<br>
唇に冷たいものがあたる<br>
「雨だ」<br>
雨が邪魔をした<br>
「戻るか」<br>
「そうだね」<br>
優しい彼ならしてくれるという満身はあった<br>
雨がなければ……<br>
<br>
ザー……<br>
雨の音が凄い<br>
扉に鍵を閉める音をかき消していた<br>
「これでよしっ」<br>
それでも彼の声だけはしっかりと僕には届いていた<br>
<br>
今度こそ……<br>
「……いいよ」<br>
また瞼を下ろした<br>
今度は邪魔をするものない<br>
「蒼星石……」<br>
唇に暖かいものがあたる<br>
雨の音は聞こえない<br>
高鳴る胸の鼓動だけが響いていた……<br>
「……んっ……」<br>
唇の感触がなくなる<br>
どれくらいの間キスをしていたのだろう<br>
今までで一番、彼と長く入れたような気がした<br>
「ありがとう、蒼星石元気が出たよ」<br>
その言葉が嬉しかった<br>
「よかった」<br>
君の声は僕には届いているよ<br>
僕の声はちゃんと届いているかな?ジュン君<br>
<br>
<br>
<br>
~fin~<br>
<br></font></p>
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