「『summer』」(2009/07/24 (金) 23:58:20) の最新版変更点
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覚えていますか?一生に一度しかない、あの眩い夏の日を…
『summer』
梅岡「よ~し、夏休みになるわけだが、事故など起こさないようにな。それでは解散!」
今日で1学期が終了する。楽しかった高校生活、その最後の夏。
水「ねえねえ真紅ぅ~。旅行に行かない?」
真「…旅行?こんな時期に?」
水「あらぁ!こんな時期だからじゃない!高校生活最後の夏よぉ?」
明らかに怪訝そうな真紅を他所に、勝手に話を盛り上げる水銀燈。
「こんな熱い時期によく旅行だなんて…まあいつもの事ね」と、真紅は呆れていたのだ。
と、調度そこへ…
翠「何を話しているですか?翠星石達も混ぜやがれです!」
蒼星石と翠星石の二人がやって来た。先月で園芸部は引退したらしい。
暇を持て余していた所らしく、案の定、翠星石が話に食いついてきた。
水「ちょうど良かったわ、二人とも!貴方達も行かない?旅行よ旅行!」
蒼「本当!?うん。僕はいいよ。ていうか行きたい。翠星石は?」
翠「う~ん。蒼星石が行くっていうんなら、しゃーねーから行くです。」
真「でも良いの?一応受験を控えているのではないかしら?」
蒼「でも受験といっても、付属の大学に行くだけだからねぇ。成績が悪くなければ大丈夫だよ?」
翠「確か1学期の期末考査が150番以内なら、大丈夫なはずです!この中で危ないのは…」
翠星石は周囲を見回した。
(真紅と蒼星石に関しては、特に何の心配もないです。勿論、翠星石も大丈夫です。
水銀燈は……よくわかんねえですけど、まあ問題なさそうです!ナッスィングディスカ?)
水「いないようね…なら大丈夫ねぇ。」
真「そう…分かったのだわ。で、何処へ行くの?」
水「決めてないわぁ。といより決める必要はないわぁ。」
翠「コリャマタ、ナゼェディスカ?」
水「旅行といったらキャンプよキャンプ!これに決めっ!」
蒼「…え?」
明らかに唖然とする3名。旅行といえば?
真(当然、海外なのだわ!)翠(普通は娯楽施設ですよ!)蒼(やっぱり温泉だよねえ!)と思うはずである。
蒼「キャンプとは…これまた凄い事言うね…」
翠「明らかに常軌を逸しているですう!」
真「まさか“女4人で仲良くサバイバル”とか言うのでは無いでしょうね?」
水「あったりぃ~♪」
3人「ほ、本気なの~?」
異口同音で叫ぶ3人。しかし、もう水銀燈がその気なので、従わざる負えなかったようだ。
~at 水銀燈自宅~
水銀燈は明日のキャンプに控えて荷造りを終え、金糸雀と電話をしている。
明日のキャンプについて話しているらしい。
金『ごめんね…カナは無理かしら。部活があるかしら。』
水「そう。残念ねぇ。ゴメンね、無理言って。」
金『いいのいいの。…ねえ銀ちゃん、頼みごとがあるかしら。真紅の事なの。』
水「銀ちゃんはやめて。何?あの子がどうかしたの?」
金『真紅、最近元気が無いかしら。色々聞いてみて欲しいかしら。』
水「そぉね~。」
金『ね?小学校からの友達でしょ?カナと雛は行けないから、銀ちゃんだけが頼りなのかしら!!』
水「もう!“銀ちゃん”はダメ……分かったわ。何とかしてみる。」
金『ありがとうなのかしら!じゃあ、またね!』
携帯を切り、ベッドに放り投げ、そして寝転がって天井を仰ぐ水銀燈。
さっきの電話の影響なのか、小学校の頃を思い出してクスクスと笑っていた。
いつも元気な雛苺と金糸雀。お高くとまっているけど、本当は友達想いの真紅。そして自由気ままな性格の自分。
多分、馬が合っていたんだろう。4人いつも一緒に行動していた。
水「ふ~ん。真紅が…ねえ。まあ良いか。あの子も羽を伸ばすいい機会だしぃ。」
~at 翠蒼自宅~
ここもキャンプの支度をしている。蒼星石は祖父にキャンプの話をしたところ
自分のワゴンと奥に閉まっておいたキャンプセットを取り出してきた。
爺「そうかそうか、キャンプか。それは思い切った事を考えるもんだねぇ。なあ婆さん。」
婆「そうねぇ。翠ちゃんに蒼ちゃん。思いっきり楽しんで来なさい。」
翠「分かったです!お爺とお婆も、翠星石達がいない間、元気でいるです!」
蒼「じゃあ、車借りるね。でも、キャンプセットも持ってたなんて意外だったなあ…」
蒼星石が車に運んでいるのは、一昔前のキャンプセット。それほど本格的なものではなく、
量的に少ないと言っても、既に車の後部座席が埋まってしまう程だった。
爺「はは。これでも爺さん、昔は色々あったからねえ。かずきもそうだったよなぁ。」
婆「ええ。さっき国際電話で確認したら『うはwww使っていいおwww』って言ってたわ。」
蒼「うん!ありがとう!じゃあ僕たちは準備してくるね。行こっ、翠星石!」
翠「了解です!」
~at 真紅宅~
ここは真紅の家。真紅一人で荷物整理をしていると思いきや、JUMと雛苺を呼び出して
彼らにパッキングを手伝わせている。無論、女の子の荷物な為、JUMは一切てを触れる事も見る事もできない。
(僕、来た意味ないじゃん!)とJUMは憤りを感じたが、今日は真紅の親が仕事で遅くなる為
夕食を作って欲しい、つか作れと命令してきたのだ。
J「でもなんでまたキャンプなんだよ?」(タンタンタンタン…
真「理由は水銀燈に聞いて頂戴。殆ど、成り行きだけど。」
雛「いいなぁ真紅。雛も行きたいけど、生徒会で忙しいの…。がっくしなの~。」
J「そうか。じゃ、虫除けスプレーとか蚊取り線香を持っていったほうがいいな。後で買ってくるよ。」
真「あら、気が利くのね。さすがは私の下僕ね。」
J「あ、あのな。僕がいつお前の下僕になんか!こっちは厚意でやってやるんだぞ!?」
雛「真紅!雛のうにゅ~とカンパンとポン刀持って行くの!気を付けてなの!」
真「あら、あなたも気が利くのね。…って!なんでこんな物持ってるのよ!!!!」
J「おいおい、この刀、本物だぞ!!」
雛「雛の家の物置から持ってきたの!変態さんとがいたら、これでやっつけるの!」
真「全くもう…だめよ雛苺!これは持っていけないわ!第一、かさ張るし。」
雛「うにゅ~。分かったなの~。」
J(キャンプか…ん?確か、あいつらも旅に出るとか何とか…)
出発の朝。集合場所の水銀燈宅前には、すでに翠蒼の二人が来ていた。
そして、水銀燈と真紅の荷物を後部座席に載せると、全ての準備が完了した。
水「これで全部ねぇ。で、貴方達はこの車で行くの?」
蒼「ああ。この前免許とったばかりだけどね。翠星石は卒研に落ちてたけどwふふw」
翠「笑うなです!ちゃんと取れたです!…やっぱり運転は苦手ですが」
真「それで?4人でこの車に乗っていくの?後部座席は埋まってしまったけれど。」
水「ううん。車は二人で乗って。…で、私たちはコレ!」
真「サ、サイドカー…?」
翠「この糞熱いのに、よく乗れるですね!」
水「大丈夫よぉ。かえって風が気持ちいいわぁ。はい真紅。ヘルメットよ。」
蒼「じゃあ、行きますか!翠星石、車に乗って!」
4人を乗せた車とバイクは、目的地…ここから90km西へ行ったところにある
『老善渓谷キャンプ場』へと出発していった。
ス「こちらスネーク。出発を確認。指示をくれ大佐。over」(ダンボールより)
べ「了解した。車とバイクの行き先を確認後尾行を継続。詳細を随時こちらに送信してくれ。over」
笹「うはwww把握したwww尾行コレ最強ww」
蒼「へえ…キャンプっていうからテントかと思ったら、バンガローなんだね。」
翠「う~ん(背伸び)。空気の綺麗なとこです。他の客も結構いるですぅ。あっ!向こうに川があるです!」
真「こんなところ、良く知ってたわね、水銀燈。」
水「まあねぇ。割と好きなのよこういうの。」
目的地へと無事にたどり着いた、水銀燈ご一行様。
キャンプ場は緑に囲まれた、渓谷の林の中に立てられており、50m先はすぐに川となっている。
施設も充実しており、宿泊施設(コテージ)や炊事場、釣竿のレンタルショップ、そして上の方に土産屋が点在している。
蒼「へえ、意外だね。水銀燈のイメージとは全く逆だよ。」
翠「そうですそうです!水銀燈なら『いやよぉ。服が汚れるわぁ。』とか言いそうな感じです!」
水「ぜ~んぜん違うわぁwむしろ服を汚すくらいに楽しい事するのが好きなのよw」
真「そうなの?…で、私たちはこれから何をすればいいの?」
水「そうね…お腹空かない?」
~省略~
【fishing】
真「掛かったのだわ!あっ!結構重たいわ。くっ…魚の分際で、私に歯向かうつもりかしら!」
真「……えいっ!!…や、やったわ!釣り上げたのだわ!」
水「ふふふ…(こんなに楽しそうな真紅、久しぶりに見たわ。)」
真「な、何かしら?私の顔に何か付いてるの?」
水「い~え~、何でもないわぁ。…あっ!また掛かってるわよ!」
真「あらっ!本当なのだわ!…またこの私に釣り上げられたいのかしら!?」
ス「現在、水銀燈、真紅両名が渓流釣りをしている。引き続き、監視をする。over」
笹「了解した。こちらでも確認した。over」
べ「よし!では、俺はその隙に、コテージから彼女らの下着をチェキしてくる!何かあったら連絡しろ!」
【cooking】
真「魚は釣れたわ。捌いて頂戴!」
水「そっちはどお?進んでる?」
蒼「ああ。今カレーを作ってるんだけど…姉さんが…」
真「!! 翠星石がどうしたの!!まさか!!」
蒼「いや、そういう訳では無いんだけどさ…プッ…」
何か様子がおかしい。少し離れた処で翠星石が火を起こしていた。駆け寄る真紅。
真「どうしたの翠星石!?…あっ」
翠「ど、どうしたですか?」
どうも火を起こすのに失敗したようで、翠星石の顔がすすの所為で真っ黒になっていた。
当の本人は少しも気づいていない。
水「どうしたの?…ぷっ…あは、あっはははははwwww!!」
蒼「ダメだよ姉さんwドリフのコントじゃないんだからww」
翠「えっ?ふむふむ(確認中)…ま、真っ黒です!こ、こら、笑うなです!!蒼星石まで…ムキィー!!」
ス「画像をそちらに転送する!over」
笹「おkwww把握ww。over」
べ「百万回保存したwww」
水「ねえ真紅。星が綺麗ね…」
真「そうね。こうして皆で来ると、より一層美しく見えるわ。」
水「来て正解だったでしょう?」
真「ええ。まあ…」
水「実はねぇ、金糸雀から頼まれてたのよぉ。あなたが最近、元気ないってねぇ。」
真「そう…金糸雀がね…」
水「何かあったのぉ?言ってみなさいよぉ。決まりでしょう?」
気に掛けていた事を、水銀燈は尋ねてみた。真紅は、この質問に正直に答えなくてはいけないのだ。
なぜなら、昔から4人(今は2人)の間では隠し事は無し、と決まっていた。
もし、嘘をついたり誤魔化したりしたら、明伝堂のパフェを3人に奢らなくてはならないという
厳しい鉄のルールがあるのだ。
真「そう………私、“このまま”でいいのかって…いつも考えてたのよ。」
水「“このまま”?」
真「そう。何の支障も無く高校生活を送る、それはそれで良かったのよ。友達もいるし、学校も楽しい。」
真「けどね。ふと冷静になって今までの自分を振り返ったの。…なにか味気ないなって…何やっているのだろう私はって。」
水「刺激が欲しかったってこと?」
真「そうね、それもあるのだわ。そして、将来の事を思うと不安になるの。」
真「だって今までは学校に行っていれば、それだけで良かったじゃない。だけど、もうこれからは違う…」
水「そうね。何をするにも自由。大学へ行くも良し。働くも良し。でも…」
真「『何をするのかしたいのか』。それが問題なのよ。」
水「う~ん。そうねぇ…まあ、そんなに考える事でもないわぁ。『なるようになれ』ね。」
真「いいの、それで?」
水「いいのよそれで。深く考えてもしかたないの。だって“答え”なんて幾通りもあるんだから。」
水「“自分”さえ見失わなければ、きっと良い“答え”が見つかるはずだから…私がそう…」
真「………」
しばらく続く沈黙。その間中、向こうでは、翠星石と蒼星石が花火を楽しんでいる。
頭の上には、満天の星空が広がっていて、周囲は虫の音であふれかえっている。
水「…ねえ」
真「…んん…」
…話の口火を切ったのは、水銀燈だった。
水「私ね、真紅。…しばらく貴方達とは会えなくなるわ。まあ、まだ先の話だけど。」
真「! どういう事?」
さすがに驚く真紅。いままで一緒にいたこの子が、水銀燈が、しばらく会えないと言ってきている。
水銀燈のほうも、例の鉄のルールによって、洗いざらい話さなくてはならない。
水「私ね、写真が撮りたいの。こんなにも綺麗な自然をね。」
水「それで、大学1年の後期から休学して、1年くらい海外に行こうかと思っているのよ。」
笹「そんな…銀様が…」
ス「笹塚…ここはもういい。向こうへ行こう…」
笹「スネークさん!でも、俺…俺…。ベジータ!君からも何か言ってよ!」
べ「…いいんだ…いいんだよ、笹塚!二人だけにしよう…」
真「…どうりでアウトドアに詳しいわけね。…でも…その間…会えなくなるわね。」
水「そう…だから今回のキャンプがあなたたちと過ごす“10代最後の夏”なのよ。大切な思い出にしたい。」
真「水銀燈…それが…あなたの“答え”なのね…」
水「そうよ?だから…そんな顔しないで。思い出の中では…ずっと笑顔でいてね?」
顔では一生懸命笑っていても、彼女…水銀燈の目からはうっすらと涙が流れていた。
単なる悲しい時、痛い時の涙ではない。嬉しかったのだろう。素直に自分の事を話した事が。
真紅も今にも泣きそうな表情をしている。
真「分かった…のだわ水銀燈…あなたの夢、確かに心に…刻み込んだのだわ。」
水「真紅…」
真「私がバカだったのだわ。あなたの大切な思い出を、汚すところだった。」
水「…ふふ…そうね…おバカさぁんwあははw」
真「ふふふ…あはは…あはははww」
二人は、輝く星空を見上げながら、泣き、そして笑い、心ゆくまで話し合った。
星たちと虫の音が、まるで彼女たちを祝福しているようでもあった。
向こうでは、翠星石が呼んでいる。
翠「お~い!何、二人して笑ってやがるですかぁ!こっちきて花火するですよぉ!」
『summer』~fin~
『summer』後日談
べ「水銀燈があんなこと考えていたなんてな……いけねっ!目から汗が出てきちまった…」
べ「…でもよ、それとこれとは話が別だ!ばっちり撮れてるぜwwこれを水銀党と蒼の子関連の奴等に売りつければ……」
べ「……一気に金持ち!!!!うはwww俺天才?wwwうえっwww」
薔「…へえ…こんなの撮ってたんだ?」
べ「そうそうwww…って、うえっ!ば、薔薇すぃー!!何で俺の部屋にぃ!!」
薔「私とのデートをキャンセルして…こんな事やってたんだ、べジータ君…」
べ「あの…その…これには…海なんかより深すぎる理由が!」
薔「しかもこれ、お姉さん達じゃない?…私という彼女がいながら、他の女の子の方に興味がいってたんだ…へー…」
べ「ち、ちちちちち、違うんだ誤解だ全くの誤解だ!!!他の女にうつつ抜かしていた訳じゃ(ry」
薔「ボソボソ……ボソボソ……キングクリムゾン…」(ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
べ「だからこの通りです!お許し下さい…って…ば、薔薇すぃー?ちょwwそれww反則ww」
薔「…ベジータッ!あなたにはッ!死んだ事を後悔する時間もッ!あげないッ!!」(ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
べ「…ここからが…本当の…じご…」
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- ベジータもはや変態じゃん -- クイ (2009-05-03 23:24:04)
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覚えていますか?一生に一度しかない、あの眩い夏の日を…
『summer』
梅岡「よ~し、夏休みになるわけだが、事故など起こさないようにな。それでは解散!」
今日で1学期が終了する。楽しかった高校生活、その最後の夏。
水「ねえねえ真紅ぅ~。旅行に行かない?」
真「…旅行?こんな時期に?」
水「あらぁ!こんな時期だからじゃない!高校生活最後の夏よぉ?」
明らかに怪訝そうな真紅を他所に、勝手に話を盛り上げる水銀燈。
「こんな熱い時期によく旅行だなんて…まあいつもの事ね」と、真紅は呆れていたのだ。
と、調度そこへ…
翠「何を話しているですか?翠星石達も混ぜやがれです!」
蒼星石と翠星石の二人がやって来た。先月で園芸部は引退したらしい。
暇を持て余していた所らしく、案の定、翠星石が話に食いついてきた。
水「ちょうど良かったわ、二人とも!貴方達も行かない?旅行よ旅行!」
蒼「本当!?うん。僕はいいよ。ていうか行きたい。翠星石は?」
翠「う~ん。蒼星石が行くっていうんなら、しゃーねーから行くです。」
真「でも良いの?一応受験を控えているのではないかしら?」
蒼「でも受験といっても、付属の大学に行くだけだからねぇ。成績が悪くなければ大丈夫だよ?」
翠「確か1学期の期末考査が150番以内なら、大丈夫なはずです!この中で危ないのは…」
翠星石は周囲を見回した。
(真紅と蒼星石に関しては、特に何の心配もないです。勿論、翠星石も大丈夫です。
水銀燈は……よくわかんねえですけど、まあ問題なさそうです!ナッスィングディスカ?)
水「いないようね…なら大丈夫ねぇ。」
真「そう…分かったのだわ。で、何処へ行くの?」
水「決めてないわぁ。といより決める必要はないわぁ。」
翠「コリャマタ、ナゼェディスカ?」
水「旅行といったらキャンプよキャンプ!これに決めっ!」
蒼「…え?」
明らかに唖然とする3名。旅行といえば?
真(当然、海外なのだわ!)翠(普通は娯楽施設ですよ!)蒼(やっぱり温泉だよねえ!)と思うはずである。
蒼「キャンプとは…これまた凄い事言うね…」
翠「明らかに常軌を逸しているですう!」
真「まさか“女4人で仲良くサバイバル”とか言うのでは無いでしょうね?」
水「あったりぃ~♪」
3人「ほ、本気なの~?」
異口同音で叫ぶ3人。しかし、もう水銀燈がその気なので、従わざる負えなかったようだ。
~at 水銀燈自宅~
水銀燈は明日のキャンプに控えて荷造りを終え、金糸雀と電話をしている。
明日のキャンプについて話しているらしい。
金『ごめんね…カナは無理かしら。部活があるかしら。』
水「そう。残念ねぇ。ゴメンね、無理言って。」
金『いいのいいの。…ねえ銀ちゃん、頼みごとがあるかしら。真紅の事なの。』
水「銀ちゃんはやめて。何?あの子がどうかしたの?」
金『真紅、最近元気が無いかしら。色々聞いてみて欲しいかしら。』
水「そぉね~。」
金『ね?小学校からの友達でしょ?カナと雛は行けないから、銀ちゃんだけが頼りなのかしら!!』
水「もう!“銀ちゃん”はダメ……分かったわ。何とかしてみる。」
金『ありがとうなのかしら!じゃあ、またね!』
携帯を切り、ベッドに放り投げ、そして寝転がって天井を仰ぐ水銀燈。
さっきの電話の影響なのか、小学校の頃を思い出してクスクスと笑っていた。
いつも元気な雛苺と金糸雀。お高くとまっているけど、本当は友達想いの真紅。そして自由気ままな性格の自分。
多分、馬が合っていたんだろう。4人いつも一緒に行動していた。
水「ふ~ん。真紅が…ねえ。まあ良いか。あの子も羽を伸ばすいい機会だしぃ。」
~at 翠蒼自宅~
ここもキャンプの支度をしている。蒼星石は祖父にキャンプの話をしたところ
自分のワゴンと奥に閉まっておいたキャンプセットを取り出してきた。
爺「そうかそうか、キャンプか。それは思い切った事を考えるもんだねぇ。なあ婆さん。」
婆「そうねぇ。翠ちゃんに蒼ちゃん。思いっきり楽しんで来なさい。」
翠「分かったです!お爺とお婆も、翠星石達がいない間、元気でいるです!」
蒼「じゃあ、車借りるね。でも、キャンプセットも持ってたなんて意外だったなあ…」
蒼星石が車に運んでいるのは、一昔前のキャンプセット。それほど本格的なものではなく、
量的に少ないと言っても、既に車の後部座席が埋まってしまう程だった。
爺「はは。これでも爺さん、昔は色々あったからねえ。かずきもそうだったよなぁ。」
婆「ええ。さっき国際電話で確認したら『うはwww使っていいおwww』って言ってたわ。」
蒼「うん!ありがとう!じゃあ僕たちは準備してくるね。行こっ、翠星石!」
翠「了解です!」
~at 真紅宅~
ここは真紅の家。真紅一人で荷物整理をしていると思いきや、JUMと雛苺を呼び出して
彼らにパッキングを手伝わせている。無論、女の子の荷物な為、JUMは一切てを触れる事も見る事もできない。
(僕、来た意味ないじゃん!)とJUMは憤りを感じたが、今日は真紅の親が仕事で遅くなる為
夕食を作って欲しい、つか作れと命令してきたのだ。
J「でもなんでまたキャンプなんだよ?」(タンタンタンタン…
真「理由は水銀燈に聞いて頂戴。殆ど、成り行きだけど。」
雛「いいなぁ真紅。雛も行きたいけど、生徒会で忙しいの…。がっくしなの~。」
J「そうか。じゃ、虫除けスプレーとか蚊取り線香を持っていったほうがいいな。後で買ってくるよ。」
真「あら、気が利くのね。さすがは私の下僕ね。」
J「あ、あのな。僕がいつお前の下僕になんか!こっちは厚意でやってやるんだぞ!?」
雛「真紅!雛のうにゅ~とカンパンとポン刀持って行くの!気を付けてなの!」
真「あら、あなたも気が利くのね。…って!なんでこんな物持ってるのよ!!!!」
J「おいおい、この刀、本物だぞ!!」
雛「雛の家の物置から持ってきたの!変態さんとがいたら、これでやっつけるの!」
真「全くもう…だめよ雛苺!これは持っていけないわ!第一、かさ張るし。」
雛「うにゅ~。分かったなの~。」
J(キャンプか…ん?確か、あいつらも旅に出るとか何とか…)
出発の朝。集合場所の水銀燈宅前には、すでに翠蒼の二人が来ていた。
そして、水銀燈と真紅の荷物を後部座席に載せると、全ての準備が完了した。
水「これで全部ねぇ。で、貴方達はこの車で行くの?」
蒼「ああ。この前免許とったばかりだけどね。翠星石は卒研に落ちてたけどwふふw」
翠「笑うなです!ちゃんと取れたです!…やっぱり運転は苦手ですが」
真「それで?4人でこの車に乗っていくの?後部座席は埋まってしまったけれど。」
水「ううん。車は二人で乗って。…で、私たちはコレ!」
真「サ、サイドカー…?」
翠「この糞熱いのに、よく乗れるですね!」
水「大丈夫よぉ。かえって風が気持ちいいわぁ。はい真紅。ヘルメットよ。」
蒼「じゃあ、行きますか!翠星石、車に乗って!」
4人を乗せた車とバイクは、目的地…ここから90km西へ行ったところにある
『老善渓谷キャンプ場』へと出発していった。
ス「こちらスネーク。出発を確認。指示をくれ大佐。over」(ダンボールより)
べ「了解した。車とバイクの行き先を確認後尾行を継続。詳細を随時こちらに送信してくれ。over」
笹「うはwww把握したwww尾行コレ最強ww」
蒼「へえ…キャンプっていうからテントかと思ったら、バンガローなんだね。」
翠「う~ん(背伸び)。空気の綺麗なとこです。他の客も結構いるですぅ。あっ!向こうに川があるです!」
真「こんなところ、良く知ってたわね、水銀燈。」
水「まあねぇ。割と好きなのよこういうの。」
目的地へと無事にたどり着いた、水銀燈ご一行様。
キャンプ場は緑に囲まれた、渓谷の林の中に立てられており、50m先はすぐに川となっている。
施設も充実しており、宿泊施設(コテージ)や炊事場、釣竿のレンタルショップ、そして上の方に土産屋が点在している。
蒼「へえ、意外だね。水銀燈のイメージとは全く逆だよ。」
翠「そうですそうです!水銀燈なら『いやよぉ。服が汚れるわぁ。』とか言いそうな感じです!」
水「ぜ~んぜん違うわぁwむしろ服を汚すくらいに楽しい事するのが好きなのよw」
真「そうなの?…で、私たちはこれから何をすればいいの?」
水「そうね…お腹空かない?」
~省略~
【fishing】
真「掛かったのだわ!あっ!結構重たいわ。くっ…魚の分際で、私に歯向かうつもりかしら!」
真「……えいっ!!…や、やったわ!釣り上げたのだわ!」
水「ふふふ…(こんなに楽しそうな真紅、久しぶりに見たわ。)」
真「な、何かしら?私の顔に何か付いてるの?」
水「い~え~、何でもないわぁ。…あっ!また掛かってるわよ!」
真「あらっ!本当なのだわ!…またこの私に釣り上げられたいのかしら!?」
ス「現在、水銀燈、真紅両名が渓流釣りをしている。引き続き、監視をする。over」
笹「了解した。こちらでも確認した。over」
べ「よし!では、俺はその隙に、コテージから彼女らの下着をチェキしてくる!何かあったら連絡しろ!」
【cooking】
真「魚は釣れたわ。捌いて頂戴!」
水「そっちはどお?進んでる?」
蒼「ああ。今カレーを作ってるんだけど…姉さんが…」
真「!! 翠星石がどうしたの!!まさか!!」
蒼「いや、そういう訳では無いんだけどさ…プッ…」
何か様子がおかしい。少し離れた処で翠星石が火を起こしていた。駆け寄る真紅。
真「どうしたの翠星石!?…あっ」
翠「ど、どうしたですか?」
どうも火を起こすのに失敗したようで、翠星石の顔がすすの所為で真っ黒になっていた。
当の本人は少しも気づいていない。
水「どうしたの?…ぷっ…あは、あっはははははwwww!!」
蒼「ダメだよ姉さんwドリフのコントじゃないんだからww」
翠「えっ?ふむふむ(確認中)…ま、真っ黒です!こ、こら、笑うなです!!蒼星石まで…ムキィー!!」
ス「画像をそちらに転送する!over」
笹「おkwww把握ww。over」
べ「百万回保存したwww」
水「ねえ真紅。星が綺麗ね…」
真「そうね。こうして皆で来ると、より一層美しく見えるわ。」
水「来て正解だったでしょう?」
真「ええ。まあ…」
水「実はねぇ、金糸雀から頼まれてたのよぉ。あなたが最近、元気ないってねぇ。」
真「そう…金糸雀がね…」
水「何かあったのぉ?言ってみなさいよぉ。決まりでしょう?」
気に掛けていた事を、水銀燈は尋ねてみた。真紅は、この質問に正直に答えなくてはいけないのだ。
なぜなら、昔から4人(今は2人)の間では隠し事は無し、と決まっていた。
もし、嘘をついたり誤魔化したりしたら、明伝堂のパフェを3人に奢らなくてはならないという
厳しい鉄のルールがあるのだ。
真「そう………私、“このまま”でいいのかって…いつも考えてたのよ。」
水「“このまま”?」
真「そう。何の支障も無く高校生活を送る、それはそれで良かったのよ。友達もいるし、学校も楽しい。」
真「けどね。ふと冷静になって今までの自分を振り返ったの。…なにか味気ないなって…何やっているのだろう私はって。」
水「刺激が欲しかったってこと?」
真「そうね、それもあるのだわ。そして、将来の事を思うと不安になるの。」
真「だって今までは学校に行っていれば、それだけで良かったじゃない。だけど、もうこれからは違う…」
水「そうね。何をするにも自由。大学へ行くも良し。働くも良し。でも…」
真「『何をするのかしたいのか』。それが問題なのよ。」
水「う~ん。そうねぇ…まあ、そんなに考える事でもないわぁ。『なるようになれ』ね。」
真「いいの、それで?」
水「いいのよそれで。深く考えてもしかたないの。だって“答え”なんて幾通りもあるんだから。」
水「“自分”さえ見失わなければ、きっと良い“答え”が見つかるはずだから…私がそう…」
真「………」
しばらく続く沈黙。その間中、向こうでは、翠星石と蒼星石が花火を楽しんでいる。
頭の上には、満天の星空が広がっていて、周囲は虫の音であふれかえっている。
水「…ねえ」
真「…んん…」
…話の口火を切ったのは、水銀燈だった。
水「私ね、真紅。…しばらく貴方達とは会えなくなるわ。まあ、まだ先の話だけど。」
真「! どういう事?」
さすがに驚く真紅。いままで一緒にいたこの子が、水銀燈が、しばらく会えないと言ってきている。
水銀燈のほうも、例の鉄のルールによって、洗いざらい話さなくてはならない。
水「私ね、写真が撮りたいの。こんなにも綺麗な自然をね。」
水「それで、大学1年の後期から休学して、1年くらい海外に行こうかと思っているのよ。」
笹「そんな…銀様が…」
ス「笹塚…ここはもういい。向こうへ行こう…」
笹「スネークさん!でも、俺…俺…。ベジータ!君からも何か言ってよ!」
べ「…いいんだ…いいんだよ、笹塚!二人だけにしよう…」
真「…どうりでアウトドアに詳しいわけね。…でも…その間…会えなくなるわね。」
水「そう…だから今回のキャンプがあなたたちと過ごす“10代最後の夏”なのよ。大切な思い出にしたい。」
真「水銀燈…それが…あなたの“答え”なのね…」
水「そうよ?だから…そんな顔しないで。思い出の中では…ずっと笑顔でいてね?」
顔では一生懸命笑っていても、彼女…水銀燈の目からはうっすらと涙が流れていた。
単なる悲しい時、痛い時の涙ではない。嬉しかったのだろう。素直に自分の事を話した事が。
真紅も今にも泣きそうな表情をしている。
真「分かった…のだわ水銀燈…あなたの夢、確かに心に…刻み込んだのだわ。」
水「真紅…」
真「私がバカだったのだわ。あなたの大切な思い出を、汚すところだった。」
水「…ふふ…そうね…おバカさぁんwあははw」
真「ふふふ…あはは…あはははww」
二人は、輝く星空を見上げながら、泣き、そして笑い、心ゆくまで話し合った。
星たちと虫の音が、まるで彼女たちを祝福しているようでもあった。
向こうでは、翠星石が呼んでいる。
翠「お~い!何、二人して笑ってやがるですかぁ!こっちきて花火するですよぉ!」
『summer』~fin~
『summer』後日談
べ「水銀燈があんなこと考えていたなんてな……いけねっ!目から汗が出てきちまった…」
べ「…でもよ、それとこれとは話が別だ!ばっちり撮れてるぜwwこれを水銀党と蒼の子関連の奴等に売りつければ……」
べ「……一気に金持ち!!!!うはwww俺天才?wwwうえっwww」
薔「…へえ…こんなの撮ってたんだ?」
べ「そうそうwww…って、うえっ!ば、薔薇すぃー!!何で俺の部屋にぃ!!」
薔「私とのデートをキャンセルして…こんな事やってたんだ、べジータ君…」
べ「あの…その…これには…海なんかより深すぎる理由が!」
薔「しかもこれ、お姉さん達じゃない?…私という彼女がいながら、他の女の子の方に興味がいってたんだ…へー…」
べ「ち、ちちちちち、違うんだ誤解だ全くの誤解だ!!!他の女にうつつ抜かしていた訳じゃ(ry」
薔「ボソボソ……ボソボソ……キングクリムゾン…」(ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
べ「だからこの通りです!お許し下さい…って…ば、薔薇すぃー?ちょwwそれww反則ww」
薔「…ベジータッ!あなたにはッ!死んだ事を後悔する時間もッ!あげないッ!!」(ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
べ「…ここからが…本当の…じご…」
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- ベジータもはや変態じゃん -- クイ (2009-05-03 23:24:04)
- どうでもいい作品だな -- ジャック (2009-07-24 23:58:20)
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