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翠「え~と・・・中身は何にするですか?」
蒼「無難なところで・・・挽肉と海老?」
翠「そうですね・・・それにするです。」

―十分前
水「今日の晩御飯なににするぅ?」
翠「食えりゃなんでも良いです。適当にきめればいいです。」
雛「花丸ハンバーグがいいの!」
蒼「雛苺・・・昨日もそうだったよね・・・。」
金「なんでもいいのかしら~。」
水「それじゃ、決まらないでしょぉ?」
真「なら、ジャンケンをして勝った人が決めましょう。そのほうが楽で良いわ。」
水「いい加減ねぇ・・・ま、いいわぁ・・・そうしましょう・・・。」
一同 「「じゃ~んけ~ん・・・」」
ぽん!
薔「・・・勝った・・・w」
翠「じゃあ、買い物いってくるですぅ。」
蒼「あ、僕も行くよ。」
薔「え・・・まだ・・・なにも・・・」
翠「薔薇水晶のことだから・・・『シュウマイが良い』とか言うに決まってるです。魂胆見え見えです。」
薔「・・・・・・・・・」
蒼「それじゃ、行って来るよ三十分くらいで戻るから。」
雛「いってらしゃ~い!」

薔「・・・私・・・悪い事した・・・?」
真「さぁ?」


翠「なんで、薔薇水晶はあんなにシュウマイ好きなんですか?」
蒼「さぁ・・・なんでだろうねぇ。」
翠「シュウマイ星人のDNAが入ってるんじゃないですかぁ?」
蒼「何・・・そのシュウマイ星人って・・・。」
翠「朝昼晩、シュウマイばっかり食べてる宇宙人です。あ、海老あったです。」
蒼「どれにしようか・・・。てか・・・やけに品揃えいいよね、このスーパー。」
翠「いったい、誰が買うんです、こんな高いもの。」
蒼「とか言いながら・・・その手に取った車海老はなに?」
翠「こ・・・これは・・・薔薇水晶が・・・味にうるさいから・・・」
蒼「実のところは、少しでも美味しいものを作ってあげたい姉心?」
翠「う・・・うるさいです!///」
蒼「何だかんだ言っても、優しいよね・・・。」
翠「余計な事は言わなくていいです!蒼星石じゃなかったらぶっ飛ばしてるところです!」
蒼「怖い怖い・・・。それで、買うもの揃った?」
翠「ええと・・・揃ってる・・・」
?1「動くな・・・。」
翠「え・・・」
蒼「翠星石!!」
?2「おっと・・・お前もだ。」
スーパーに悲鳴が響いた・・・

水「遅いわねぇ・・・。もう一時間以上たってるわよ?」
真「材料選びで手間取ってるんじゃないの?」
薔「シュウマイなら・・・何でもいいのに・・・。」
金「この間、『海老にこくがない・・・』とか言ってたのかしら~。」
薔「/////////」
水「何をしているのかしらぁ・・・」
真「そんなに心配なら、迎えに行ってあげれば?」
TV〈臨時ニュースです。先ほど、スーパー「enju」で立て篭もり事件が発生しました。〉
水「ここのスーパー・・・」
雛「翠星石と蒼星石が行った所なの~。」
真「静かに・・・聞こえないわ・・・。」
TV〈犯人グループは、店内の客男女合わせて二名人質に取り、残りを追い出し、現在も立て篭もっています。〉
真「男女二名・・・。」
薔「もしかして・・・」
水「確かめた方がいいわね・・・行きましょう!」
雛「うゆ?翠星石も蒼星石も女の子なの、男女じゃないの。」
真「蒼星石・・・知らない人から見て女の子に見えるかしら?」


現場には沢山の警察と野次馬がいた。
警「無駄な抵抗は止めてでて来なさ~い!」

真「まったく・・・あんなので出てきたら苦労しないのだわ。ちょっと・・・。」
警「何だね君たちは?ここは危ないから下がっていなさい。」
水「人質の人達・・・もしかしたら妹かもしれないの・・・詳しく聞かせてくれない?」
警「それは本当かね?確か・・・一人はロングヘアの女の子で、もう一人は男の子・・・。
  店内にいた人によると・・・珍しい事に二人とも双眸異色(ヘテロクロミア)だったから姉弟じゃないかと・・・」
真「間違いないわね・・・。」
水「あの二人が・・・人質に・・・!?」
金「大変なのかしら~!!」
雛「け・・・警察なの~!!」
薔「落ち着いて・・・もう・・・集まってる。」
真「それで・・・犯人は何が目的なの?」
警「それが・・・よう分からんのだ・・・立て篭もったきり見張りを置いて何の反応もない・・・。」
水「二人は・・・二人は無事なの!?」
警「今のところは大丈夫。ただ、踏み込んできたら殺すと言ってきている・・・。」
水「・・・翠星石・・・蒼星石・・・。」

翠「ぎぎぎ・・・何するです!離しやがれです!!」
蒼「あなた達は一体・・・。」
二人は奥の小部屋に連れ込まれ、縛られた状態で座らされていた。
犯1「黙ってろって・・・。殺しはしねぇからよ・・・多分な!」
犯2「全部・・・警察の態度次第だな。」
犯人は全部で四人・・・ここに二人・・・見張りに二人。全員銃で武装している
蒼「いったい・・・何が目的でこんな事を!」
翠「身代金ならびた一文やらねぇです!」
犯1「お嬢ちゃん・・・女の子ならもう少しおしとやかにしとくもんだぜ・・・?」
犯2「そういや・・・どうするか考えてなかったなぁ・・・。」
蒼「・・・?」
犯1「これからどうするよ?とりあえず・・・車要求してこいつら人質に逃げるか?」
犯2「どうせなら、金ももらっていこうぜ?日本の警察・・・人質が第一だからな!」
一体どういうつもりだろう・・・目的が全然見えない
犯1「ま・・・捕まった時はそれでいいんじゃね?どうせ、死刑にはならないし。」
犯2「いやいや、ここで捕まるのは早いだろ・・・。」
翠「はっ・・・無計画な奴らです!とんだお間抜けです・・・」
バシッ!
翠「キャッ・・・何しやがるです!」
犯1「何も分かってないくせに生意気言うんじゃねぇよ・・・俺たちは女を殴る事なんてなんとも思ってねぇからよ?」
男は髪の毛を引っ張り上げ顔を上げさせる。
翠「離すです!髪の毛引っ張るなです!!」
蒼「翠星石を離すんだ!!」
犯2「お前もうるせぇよ。」
ドスッ!
蒼「うぐっ・・・。」
犯2「お前らさ・・・退屈だとおもわねぇ?」
蒼「何がだ・・・。」
犯1「この世界に生きてるとな・・・ほんと・・・何にも起きねぇじゃん?ならどうするか・・・。」
犯2「自分で起こせば良いだろ・・・。まさに・・・事件の主役は俺達・・・。」
翠「それだけの理由ですかぁ?へっ・・・脳みそちゃんと詰まって・・・。」
バシィ!
翠「!!!」
蒼「翠星石・・・!」
犯1「馬鹿言っちゃいけねぇ・・・これは人類全体が思っている事だ・・・。」
犯2「けれど皆我慢してる・・・それがこの社会・・・なら、その社会に一寸だけヒビ入れてやろうって訳よ・・・。」
翠「はんっ!とどのつまり、お前らのやってる事は餓鬼が癇癪起こして我侭言ってるのと変わらんです!」
犯1「・・・・・・」
翠「偉そうに能書き垂れる前に、幼稚園からやり直してくるです・・・!」
蒼「す・・・翠星石!!」
バシィン!!
翠「きゃあああああ!!」
全力で引っ叩かれ、体を床にしたたかにぶつける。
犯1「人が良い気分になってるのに・・・この女・・・。」
犯2「おいおい、殺しちゃまずいんじゃないの?」
犯1「はっ・・・ボコボコにしてやる・・・言ったよなさっき。」
蒼「やめて!翠星石に乱暴をしないで!!」
犯2「お前は黙ってろって・・・。」
男は蒼星石の体を押さえつける
翠「やれるもんならやってみやがれで・・・」
ドグッ!!
翠「・・・!ゲホッ・・・ゲホッ・・・。」
犯1「望みどうりやってやるよ!」
ガスッ! ボスッ! ドガッ!
翠「ひぎっ・・・カフッ・・・くぅ・・・!」
蒼「やめて!やめてよ!!翠星石・・・翠星石!!」
いくら叫んでも、押さえつけられていては身動きが出来ない・・・
犯1「おらっ!おらっ!」
ガスッ! ゲシッ! 
翠「・・・!!・・・ゲホッ・・・!!」
蒼「やめて!お願いだから止めてよぉ!!!!!」
犯1「ふぅ・・・どうだ思い知ったか・・・?」
翠「・・・ケホッ・・・男の癖に・・・その程度ですかぁ・・・?」
犯1「!!この野郎!!」
男の足が大きく振り上げられ、翠星石の腹部に向けて下ろされる。
蒼「やめてぇぇぇぇぇ!!」
ドグゥッ!!
翠「カハッ・・・・・・!!!」
蒼「翠星石ぃぃぃぃいいいいい!!」
ガスッ! ガスッ!
翠「!!!!!!!!!!!!!!!!」
蒼「ああ・・・ああああ・・・!!」
目の前で大事な人がボロボロにされていく・・・
何で自分は女なんだろう・・・なんでこんなに無力なんだろう・・・
犯1「流石に懲りただろう・・・どうだ・・・?」
男は髪を引っ張る・・・
翠「・・・ペッ」
翠星石は唾を男の顔に吐きかけた・・・

蒼「(どうして・・・どうしてそこまで・・・!)」
犯1「完全に頭来た・・・!!」
ゴツッ!
翠「ッ・・・!!」
床に頭を叩きつけられ、一瞬意識が飛ぶ・・・。
犯2「殺すつもりかよ・・・?」
犯1「へっ・・・女に生まれた事を公開させてやる・・・。」
男は翠星石の縄を解き仰向けにする・・・
翠「・・・あう・・・何をする・・・つもりです・・・!」
犯1「流石に抵抗する力はねえな・・・結構良い体してるじゃねぇか・・・。」
蒼「やめてぇ!それ以上・・・それ以上手を出すなぁ!!」
蒼星石は必死に暴れるが、自分より体格のいい男の力には叶わない。
犯1「男を経験した事あるか・・・?ああ?」
翠「ひっ・・・触るなケダモノ・・・です!!」
男は翠星石の体を一通り撫でまわしたあと、ダンボールと一緒においてあった鋏をとった。
翠「やめるです・・・それ以上すると承知しないです!!」
必死に抵抗を試みるが、散々痛めつけられたせいで上手く動かない・・・
蒼「やめて!やめてやめてやめてぇ!!」
犯1「観念しな・・・。」
鋏の冷たい感触が翠星石の肌に触れる
翠「ああ・・・いやです・・・いやですっ・・・!」
無常にも翠星石の服は切り刻まれ、下着があらわになる・・・。
体には幾つも痣が出来ている・・・
犯1「ちょっともったいなかったな・・・。」
翠「いやです・・・!触るなです・・・!・・・そ・・・蒼星石・・・!!」
蒼「・・・翠星石!やめてよ・・・!さっきから言ってるだろ!!」
男の手が翠星石の体に伸びる・・・

ドクン・・・

蒼「翠星石!!」

ドクン・・・ドクン・・・

こっちを見た翠星石の顔は・・・涙と血で汚れ、絶望で彩られている・・・

ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・・

助 け て ・・・

ブツン

蒼「やめろおおおおおおおおおおお!!」
ドガァッ!!
犯1「ぐわぁっ!!」
翠「蒼星石・・・!」
蒼「これ以上、翠星石に手出しするなぁ!!」
どうやったかは分からない・・・押さえつけてる男から逃れもう一人に体当たりをした・・・
蒼星石を押さえつけていた男が状況を把握する前に、鋏を器用に使って縄を切りその呪縛から逃れていた。
犯2「お前・・・どうや・・・」
グサッ!!
犯2「ギャアアアアアアアアアア!!」
鋏を突き刺し・・・そのまま壁に叩きつける。
蒼「よくも・・・よくも翠星石を・・・!!」
翠「蒼・・・星石・・・」
犯3「何だ何だ!!」
犯4「おい、どうなってるんだよ!!」
見張りについていた男が騒動に気付きやってくる
蒼「お前たちも同じ目にあわせてやる!!」
蒼星石は入ってきた男に飛び掛る・・・銃を向けてくるが撃たせる暇なんて与えない・・・。
犯3「がああああっ!」
犯4「ぎひぃいいい!!」
一人の腕・・・動脈を乱暴に断ち切った後、もう一人の腹部に鋏を突立て頭を掴んで壁に打ち付ける
犯1「てめっ!!」
蒼「遅いよ・・・。」
相手が銃を構えるより早く相手に近づくと銃を持ってる手に鋏を突き刺す・・・さらに
蒼「死んでよ。」
ザクッ!!
犯1「ぎゃあああああっ!」
抜いた鋏を今度は腹部に突き刺す・・・
犯1「ゲハッ・・・はあ・・・はぁ・・・。」
蒼「まだ生きてるんだ・・・しぶといね・・・。でも・・・」
腹部に刺さっている鋏を抜くと血が噴出し、蒼星石を返り血で染める
蒼「よくも蒼星石をあんな目に・・・絶対に許さないよ・・・。」
翠「蒼星石!もう止めるです!!もう、充分です!」
蒼「殺してやる・・・殺してやる!」
声が聞こえていない・・・
蒼星石は相手の心臓に向けて鋏を構え、突き出す
翠「蒼星石!!」


蒼「・・・どうして・・・?」
翠「止めるです、蒼星石!!」
鋏は相手の心臓でなく、壁に突き刺さっていた。
蒼「何で邪魔をするんだ!」
翠「もう、こいつらに抵抗する力はないです!!」
蒼「けれど、翠星石をこんな目にあわせたんだ・・・許せるわけがない。」
鋏を構えなおす・・・
翠「蒼星石!止めるです!!」
蒼「どいてよ、殺してやらなきゃ・・・こんなや・・・」
パシッ・・・
蒼「・・・翠星石」
翠「止めるですぅ・・・。」
頬をはたかれたと思ったら、今度は抱き締められている・・・
翠「蒼星石がこんな奴らの為に汚れる必要はないですぅ・・・。」
蒼「けど・・・!」
翠「蒼星石が人殺しなんて・・・我慢ならないですぅ・・・!」
蒼星石を抱き締めたまま、へたりと座り込む・・・体中が痛い・・・
蒼「・・・・・・」
翠「・・・蒼星石にはこんなの似合わないですぅ・・・」
血で汚れた顔をそっと指で拭う・・・
翠「私のためだというのなら・・・もう・・・やめるです・・・。」
翠星石の体に幾つも痣がある・・・
もう少しで・・・女にとって最大の屈辱を受けるところだった・・・
それなのに・・・それなのに・・・
蒼「・・・優しいね・・・君は・・・。」
蒼星石は自分の上着を翠星石にかける
蒼「・・・ありがとう・・・止めてくれて・・・」
翠「姉として・・・当然ですぅ・・・。ほら、さっさと逃げるですぅ・・・」
犯1「このやろぉ・・・!」
蒼「!危ない!翠星石!!」


警「銃声!?全員突撃~!!」


翠「・・・ああ・・・蒼・・・星石・・・?」
蒼「大丈・・・夫?」
蒼星石の体がぐらりと傾く・・・その背中には銃創がある・・・・・・心臓の辺り・・・
翠「蒼星石・・・蒼星石!!」
蒼「よかった・・・無事・・・なんだね・・・ゲホッ・・・。」
翠「なんで、庇ったりなんかしたですぅ!!」
蒼「妹として・・・当然じゃないか・・・。」
警「何があった!?むっ!!」
翠「見ての通りです!蒼星石が・・・蒼星石が・・・!」
警「犯人たちは・・・」
翠「そんな事良いから救急車を呼ぶです!!」

雛「うよ・・・救急車がきたの~。」
真「こっちも出てきたみたいだわ・・・あれは・・・。」
水「蒼星石・・・?嘘・・・嘘でしょ!?」
金「そんな・・・蒼星石が・・・?」
真「翠星石・・・。蒼星石に何があったの・・・!?ああ・・・あなたも酷い怪我・・・。」
翠「真紅ぅ・・・蒼星石が蒼星石が・・・。」
急「どなたか、付き添いで同乗して頂けませんか?」
真「話は後でいいわ・・・とにかく今は行きなさい・・・」
翠星石と蒼星石を乗せた救急車は病院に向かった

―救急車内
翠「うっ・・・えぐっ・・・蒼星石ぃ・・・。」
蒼「翠・・・星石・・・。」
翠「蒼星石!喋ったらダメです!!」
蒼「ごめんね・・・こんな事に・・・なっちゃって・・・」
翠「いいから黙ってるですぅ!」
蒼「傷・・・大丈夫・・・?」
翠「こんなの屁でもないです!蒼星石のほうが重傷ですぅ!!」
蒼「流石に・・・死ぬ・・・かな?」
翠「バカなこと言うなですぅ!ちゃんと助かるです!!」
蒼「・・・・・・そうだと・・・良いね・・・ケホッ・・・ケホッ・・・。」
翠「大丈夫ですぅ!!絶対元気になります!!」
蒼「うん・・・そうだね・・・。」
翠「そうです!!それで、元気になったら皆で遊びに行くです!」
蒼「それは・・・面白そうだね・・・。大丈夫・・・だから泣かないで・・・」
翠「泣いてなんかないです!蒼星石が助かるのは分かりきってますから悲しくなんてないです!!」
蒼「・・・ふふふ・・・ゲホッ・・・」
翠「そ・・・蒼星石・・・!」
蒼星石の手を握る・・・
蒼「翠星石の手・・・暖かいね・・・。」
違う・・・蒼星石の手が冷たいのだ・・・
蒼「でも・・・良かった・・・君を・・・大切な人を・・・守れ・・・」
翠「蒼星石・・・?」
蒼「・・・・・・・・・・・・」
翠「いや・・・いやです・・・目をあけるです・・・!蒼星石・・・蒼星石ぃぃぃぃぃぃ!!」


―病院
医「何とか繋ぎとめましたが・・・今夜辺りが山でしょう・・・もしこれで意識が戻らない時は・・・。」
真「そうですか・・・。」
雛「うえっ・・・蒼星石・・・死んじゃうの・・・?」
金「ひっく・・・そんなの悲しすぎるかしら~・・・」
水「馬鹿言わないで・・・きっと助かるわ・・・。」
薔「翠星石が・・・側にいるから・・・。」


翠「蒼星石・・・聞こえるですか・・・?」
返答はない・・・呼吸器をつけられ横たわる蒼星石は何も言わない・・・
病室にはまだ生きている事を告げる電子音だけが鳴り響く
翠「・・・聞こえてなくても良いです・・・けど・・・これだけは言っておくです・・・。」
そっと蒼星石の手を取る
翠「私を残して・・・死んだりしたら絶対に許さんです・・・だから早く目を覚ますです・・・これは姉としての命令です・・・。」

翠「私を・・・独りにするなですぅ・・・。」

蒼「何処だろうここは・・・。」
水のせせらぎのような音が聞こえる・・・
何処までも続く闇・・・ずいぶん歩いたはずだ・・・
それでも歩くと水音が大きくなり砂利の敷き詰められた場所に出た
蒼「川・・・じゃあここが・・・。」
そのまま歩くと水辺と思しき場所に出た・・・石がゴロゴロと転がっている・・・
蒼「どうやって渡るんだろう・・・。」
ここに来たと言う事は多分自分はもう・・・
思い残した事がない訳じゃないけれど・・・翠星石には皆がいる・・・
蒼「・・・ここで待ってると・・・渡し舟が来るんだっけ・・・?」
遠くに、灯りが見える・・・この川はどれだけ広いのだろう・・・
?「何をしているの・・・?」
蒼「え・・・?」
人の声だ・・・こんなところにどうして人がいるのだろう・・・
?「まだ子どもなのに・・・どうしてこんな所へ・・・?」
暗くてよく見えないが、声からすると自分より十歳ぐらい上だろうか・・・
蒼「あなた・・・何時の人・・・?」
かすかに見えるその姿は・・・教科書で見た・・・そう、平安時代の女性のようだ・・・。
?「ここは・・・沢山の時間が交差しているの・・・ここには時代なんてないわ・・・。」
蒼星石はその場に腰を下ろす・・・すると体中を疲労感が襲う・・・
蒼「(疲れたなぁ・・・)」
?「あなたは・・・こんなところに来るには早すぎるわ・・・。」
蒼「そう言われても・・・来てしまったから・・・。あなたは・・・何をしているの?」
?「私・・・?私は人を待っているの・・・。先にここに来てしまったから・・・せめて渡らないで待ってあげようと思って・・・。」
蒼「・・・なら・・・僕もそうしようかな・・・。」
?「やめておきなさい。」
蒼「なら・・・渡るしかないのかな・・・。」
もう・・・真紅たちに会えない・・・当然・・・翠星石にも・・・
知らず知らずに・・・頬を涙が伝う・・・もう一度・・・会いたい・・・
?「あら・・・やっぱりここに来るには早いみたいね・・・。」
蒼「・・・あ・・・。」
自分の右手がほのかに光を放っている・・・とても暖かい・・・
?「あなたを想っている心・・・今も・・・。それなのに・・・置き去りにするの?」
蒼「・・・翠・・・星石・・・。」
?「綺麗な名前ね・・・早く行ってあげなさい・・・。」
涙が頬を流れる・・・次から次に・・・
蒼「・・・ヒクッ・・・僕・・・は・・・。」
?「立ちなさい・・・背中を押してあげるから・・・。」
立ち上がった蒼星石をの背中をそっと押す・・・水の音が遠のく・・・
右手を包む光が強くなりまっすぐに道を示す
蒼「あなたは・・・誰なの・・・?」
?「・・・私・・・?」

若「若菜・・・というのよ」



真「翠星石・・・入るわ・・・」
蒼「しー・・・翠星石が起きちゃう・・・。」
蒼星石が体を起こしそっと翠星石の頭を撫でている・・・
真「よかった・・・気が付いたのね・・・。」
蒼「うん・・・翠星石のお陰で・・・。」
自分の右手を見る・・・寝てるにも関わらず強く握られている。
蒼「ずっと握ってくれてたんだ・・・だから戻ってくる事ができた。」
真「そう・・・。」
蒼「真紅・・・皆は・・・?」
真「そこにいるわ・・・。」
廊下を見ると水銀燈・・・金糸雀・・・雛苺・・・薔薇水晶が寄り添って眠っている。
半ば枕状態になっている水銀燈が少し可哀想だ・・・
真「あなたも無茶するわ・・・。」
蒼「いいじゃない・・・終わり良ければ全て良しって言うじゃない・・・。」
窓から日の光が差し込む・・・
蒼「・・・朝だね・・・。」
雛「ふゆ~真紅・・・おはよ~なの。」
蒼「おはよう・・・雛苺・・・。」
雛「蒼星石・・・!良かったの~無事なの~!!」
水「・・・ん・・・!やだ・・・寝ちゃってた!!薔薇水晶、金糸雀!」
金「ふわぁ~・・・。」
薔「・・・ネムネム」
蒼「やあ皆・・・おはよう・・・。」
水「蒼星石・・・!」
金「無事・・・なのかしら・・・?」
薔「・・・良かった・・・グス・・・。」

翠「むぅ・・・一体何ですぅ・・・ふわぁ・・・。」

蒼「おはよう・・・翠星石。」

鏡写しの目が自分を見て優しく微笑んでいる・・・。

翠「あ・・・ああ・・・。」
蒼「心配かけたね・・・。」

涙が堰をきったように溢れ出す・・・顔が蒼星石の顔が良く見えない・・・

翠星石「蒼星石・・・信じてた・・・です・・・。」



―数週間後
翠「な~んでまた薔薇水晶が勝つです!?」
蒼「何気にジャンケン強いよね・・・。」
翠「海老と挽肉買ってさっさと帰るですぅ。」

蒼「早く帰らないと、また心配させちゃうね・・・。」
翠「まったく・・・あの時はどうなるかと思ったですぅ。」
蒼「・・・・・・。」
あの時の事ははっきり覚えてない・・・翠星石が酷い目にあって・・・気がつくと相手が血まみれで倒れてて・・・。
撃たれたと思ったら病院だった・・・。
翠「蒼星石・・・?何ボーっとしてるです?」
蒼「え・・・?ああ・・・何でもないよ。」
翠「そりゃ・・・あの事件が私たちの中から消えるにはまだまだ時間がかかります・・・。」
そう・・・撃たれた傷もまだ消えてない・・・それ以上に心の傷は・・・。
翠「けど・・・こうやって二人でいられる・・・それが何よりも幸せですぅ・・・だから・・・」

翠「蒼星石がいれば、全部へっちゃらなのです!」
蒼「翠星石・・・」

どうして君はこんなにも綺麗な顔で笑うんだろう・・・。
とっても・・・とっても・・・まぶしい笑顔・・・。
もしも・・・姉妹じゃなかったら・・・きっと・・・。

翠「だから・・・むっ!!」

一瞬だった・・・気が付くと・・・自分の唇が蒼星石の唇で塞がれている

蒼星石「大好きだよ・・・翠星石・・・。」

蒼星石は翠星石に負けないくらいの笑顔でそう言った。

end

翠「・・・ふぇ?///」
翠星石は顔を真っ赤にして暫く立ち尽くしていた・・・(笑)