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ある学園にとても仲の良い双子の姉妹がいた。
見た目はそっくりであるにも拘らず、性格は似ても似つかない。
ただ一つ、互いを思いあっている事以外は・・・。

蒼(いけない、今日の食事当番が僕だったのすっかり忘れてた・・・)
走る少女、双子の妹の蒼星石は自分の役割を果たすために急いで帰路に着いていた。

― 一方その頃双子の姉である翠星石は・・・ ―
翠「まったく、蒼星石ったら何処で油を売ってやがるですぅ」
当番である蒼星石が帰ってこない事にご立腹のようだ。
翠「しゃーねーから今日の当番は翠星石がやっちまったです、蒼星石が帰ってくるまでテレビでも見てるとするです」
リビングでテレビをつけようとした瞬間、テーブルに見慣れない本があるのを見つけた。
翠「なんです? この本?」
興味本位で本を開く翠星石、その瞬間にドアが開き蒼星石が帰ってきた。

翠「あ、おかえりですぅ」
蒼「ごめん! 翠星石、今すぐ晩御飯作るか・・・」
翠星石の持っていた本を見て蒼星石の言葉が止まる。
蒼「翠星石・・・それ・・・」
翠「え?」
蒼「返してよっ!いくら姉とはいえ勝手に人の日記を見るなんて酷いじゃないか!」
翠「日記・・・?ちょ、ちょっと待つです!」
蒼「言い訳なんて聞きたくないよ!」
状況が分かっていなかった翠星石も、その一言に流石にカチンと来た。
翠「なっ・・・、日記なら何でこんなとこに置いておきやがるですか!そんな大事なものなら自分の部屋に置いとけです!」
蒼「えっ・・・」
そう言われて、昨日の夜うっかりリビングに置きっぱなしにしていた事を思い出す。
蒼「あの・・・」
翠「さ、何時までもくだらない事言ってないでさっさと晩御飯を作りやがれですぅ」

蒼「なっ、くだらないなんて事ないだろう!? 事情はどうあれ君が僕の日記を勝手に見たって事は変わらないんだ!」
翠星石の言葉に反応してしまい、思わず怒鳴ってしまう。
蒼「なのに君は謝りもしないじゃないか!」
翠「それを言うなら蒼星石だって当番サボったじゃないですか!」
蒼「それとこれは関係無いだろう!第一僕は謝ったじゃないか!」
翠「ふ・・・ふん!この件は日記なんかをこんなとこに置いていた蒼星石が悪いんです」
蒼「そうか・・・、そういう態度を改めないならもういいよ!」
そう言い残し自分の部屋に行ってしまう蒼星石。
翠「ちょ・・・ちょっと!晩御飯はどうするです!?」
蒼「知らない! 勝手にすれば良いだろ!」
翠「な、なんですかあの態度は!せっかく待っていてやったのに・・・」
怒りつつも自分の分の夕食を食べる翠星石。結局この日は蒼星石と会話することは無かった。

―翌日―
翠(確かに昨日の事は翠星石もちょっと悪いかもしれないですけど・・・、これはあんまりです・・・!)
朝起きて一番に昨晩の蒼星石の分の食事が捨てられている事に気がついた。
翠「いくら蒼星石とはいえ・・・」
こうして賽は投げられた。

―通学路―
紅「珍しいわね、貴女が一人なんて」
翠「真紅・・・」
紅「蒼星石はどうしたの?」
翠「あんな妹の事なんかしらねーです、勝手に行っちまったですよ」
紅「喧嘩でもしたの?」
翠「何もねーですよ・・・」
紅「そう・・・、そう言うならこれ以上詮索はしないわ」
それっきりこれといった会話も無い時間が続いた。

―数分後の教室内―
銀「あら?今日は早いじゃない」
蒼「まあ・・・、ちょっとね」
銀「何かあったの?」
蒼「別に・・・」
銀「ふぅん・・・、まあいいけどねぇ・・・」
数分後翠星石と真紅が教室に入ってくる。
紅「おはよう」
銀「おはよぉ」
翠「・・・おはようですぅ」
蒼「・・・おはよう」
淡白な反応、それっきりで席に行ってしまう翠星石。
銀「ちょっと真紅ぅ、あの二人何があったのよ」
紅「知らないわよ、でもあんな二人を見るのは初めてだわ」
銀「そうねぇ、あの二人が喧嘩してるとこなんて見たこと無いわ」
紅「とりあえずもう少し様子を見てみましょう」
銀「そうね」

結局午前が終わり昼休みに入っても二人が会話をすることは無かった。
何時も一緒に同じ昼食を取っているのに、この日は別々の弁当で、それぞれ別に食べていた。
紅「これは重症かもしれないわね・・・」
銀「言い争うならまだしもねぇ・・・、会話一つ無いってのは結構な問題かもしれないわね」
紅「当人たちが解決すべき問題なんでしょうけど・・・、友人としては見てられないのだわ」
銀「そうねぇ・・・、蒼星石は私が話をしてみるから、真紅は翠星石をお願いするわ」
紅「わかったわ」

翠星石の方に向かう真紅。
紅「翠星石、ちょっといいかしら?」
翠「・・・何です?」
紅「ここじゃ何だから場所を変えましょう」
ちらりと蒼星石の方を向く翠星石、一瞬だけ互いに目が合ったがすぐに反らしてしまった。
無言で頷く翠星石は真紅と一緒に屋上に向かっていった。
それを確認した水銀燈は蒼星石に話しかける。
銀「蒼星石」
蒼「・・・何だい?水銀燈」
銀「ちょっと話があるんだけれど、いいかしらぁ?」
蒼「別にかまわないけど・・・?」
銀「それじゃあ校舎裏に行きましょう」

―屋上―
紅「朝詮索するつもりは無いって言ったけど、撤回させてもらうわ」
翠「え・・・?」
紅「単刀直入に聞かせてもらうわ、蒼星石と何があったの?」
翠「真紅には・・・、関係ない事です・・・」
紅「あら、そんな事ないのだわ」
翠「何でです・・・?」
紅「簡単な事だわ、私たちは友達じゃない、友達が困ってたら助けるのは当たり前の事ではなくて?」
翠「真紅・・・、ありがとうです・・・」
紅「話してくれるかしら?」
翠星石は静かに頷いた。

―校舎裏―
蒼「で・・・、話って?」
銀「翠星石と何かあったのかなぁ、って」
蒼「朝も言ったじゃないか、何も無いよ」
銀「そうかしらぁ?今日の貴女達、まるで生気のない人形みたいな顔してたわよ」
蒼「・・・・・・」
銀「私に話してみない?悩みは誰かに話してみるだけでも大分違うわよぉ」
その言葉にふっと表情から硬さが抜けていく。
蒼「水銀燈・・・、うん・・・」
銀「ふふっ、最初からそう言えばいいのよ、おばかさぁん」

―屋上―
紅「成る程ね、確かに蒼星石のした事は貴女が怒っても仕方の無い事よ、けれど謝らなかった貴女にも非があるわ」
翠「わかってるです・・・、そんな事は・・・」
紅「でしょうね、貴女はとても優しい子・・・、だからこそ自分の心を上手く表せないのね」
翠「・・・・・・」
紅「これからやらなければいけない事も分かっているんじゃなくて?」
翠「やらなきゃ・・・、いけない事・・・」
答えはすぐに見つかった。彼女の顔に決意が宿る。
翠「私・・・、蒼星石に謝ってくるです・・・!」
紅「それがいいわ、頑張りなさい翠星石、彼女は校舎裏に居るはずよ」
翠「真紅・・・、ありがとうです!」
勢いよく駆け出していく翠星石を真紅は微笑んで見送った。

―校舎裏―
銀「ふぅん・・・、日記ねぇ」
蒼「確かにうっかりしてた僕も悪いと思う・・・、けど翠星石の態度を見たらついカッとなっちゃって・・・」
銀「だからって彼女の料理を捨てたのはやり過ぎじゃない?」
蒼「うん・・・、分かってる・・・」
銀「そこまで分かっててなんで謝れないのぉ?」
蒼「翠星石に・・・、拒絶されたらと思って・・・」
銀「はぁ・・・、貴女本当におばかさんねぇ・・・」
蒼「・・・・・・」

銀「貴女、何年翠星石の妹やってるの?翠星石は貴女を拒絶したりするような子じゃないはずよ」
蒼「・・・!」
はっとした、自分の姉はそんな人間じゃないなんて事は分かっていた。
しかし、それを失念していた事に蒼星石は自分を恥じた。
銀「むしろ、もう許してくれてるんじゃないかしらぁ?」
蒼「僕・・・、翠星石に謝らないと・・・!」
銀「そうと決めたのなら、すぐに屋上に行ってきなさい」
蒼「うん、ありがとう水銀燈!」
目が覚めたかのように翠星石を探しに行く蒼星石。
銀「ちょっと柄じゃない事しちゃったかもねぇ・・・」

―非常階段―
蒼(屋上に行くのならここを使うのが一番早い!)
翠(校舎裏に行くならここを通るのが近道のはずです!)
そして丁度階段の真ん中で姉妹は出会った。
翠「蒼・・・星石」
蒼「翠星石・・・」
翠・蒼「ごめん!(なさい!)」
翠「私・・・、わざとじゃないとはいえ、蒼星石の日記を勝手に読んじゃったり、酷い事言って・・・」
蒼「僕も、折角翠星石が作ってくれたのに・・・、あんな事して・・・」
翠「もう・・・いいですよ、そんな事・・・気にしない・・・です」
蒼「僕も・・・、君が悪くないって事は分かってた、分かってたんだけど・・・っ」
二人の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。

蒼「翠星石・・・、僕を・・・、許してくれる・・・?」
翠「許すも・・・何も・・・最初から怒ってなんか・・・ねーですよ・・・」
蒼「だって・・・」
翠「翠星石も悪かったです・・・、あの時っ、翠星石が謝っていれば・・・」
蒼「そんな事ないよ、僕が頭ごなしにあんな事言ったから・・・」
翠「・・・クスッ、これじゃキリがねーですね」
涙を拭きつつ翠星石が言う。
蒼「・・・フフ、そうだね」
涙を拭きつつ蒼星石が答える。
翠「じゃあ、どっちも悪かったって事で仲直りするです!」
蒼「そうだね、そうしようか」
翠「じゃあ、教室に戻るです」
蒼「うん・・・!」
気が付けば二人の手は繋がれていた。

ある学園にとても仲の良い双子の姉妹がいた。
見た目はそっくりであるにも拘らず、性格は似ても似つかない。
ただ一つ、互いを思いあっている事以外は・・・。

End