薔薇っちとげんしけんの仲間たち『インタビューウィズ真紅咲ちゃんレポート』
昼食時、食堂にて
咲「高坂~、今日もそぼろ丼食べるの~?」
高坂「うん、大好きなんだ♪咲ちゃんもそぼろ丼食べる?」
咲「んじゃ、そうしよっかな。」
高坂がいつもの笑顔で食堂のおばさんと会話している。
それを尻目に辺りを見回すと咲は食堂の端に真紅がいるのを見つけた。
咲「あれは・・・真紅ちゃん・・だっけ?」
真紅の姿を見て、咲は先日の文化祭での事を思いだし、一つの案を思いついた。
「今日は一人だし・・・・ちょっと話でも聞きますか(ニヤリ)」
咲「よっす、真紅ちゃん。」
高坂「こんにちは~♪」
紅「あら、あなたたちは・・・・」
咲「薔薇っちの友達だよ。」
紅「という事は貴女もオタ・・・」
咲「いやいや違う違う、私は高坂の彼女だからあそこにいるだけ。私はただの一般人。
・・・・前、席空いてるからここ座るけど良いよね?」
紅「ええ、構わないわ・・。」
高坂「ごめんね~。」
そう言って真紅の前の席に座る二人。
笑顔で丼を食べている高坂の横で、咲は食事そっちのけで
真紅の顔を見てにやついている。
紅「何かしら・・、私の顔に何か付いてる?」
咲「いや、別にぃ~?」
紅「なら何の用かしら?にやにやされて見られては食事に集中できないわ。」
その言葉を待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべる咲。
咲「いやぁ~、この前の彼、桜田くんだっけ?彼氏とどうなのかな~って♪」
彼氏というワードに身を震わす真紅。名の通りに顔が真っ赤になっていく。
紅「ジ・・・ジュンとは!・・・あの、その・・・・。」
さっきまでの落ち着いた様子が一転、もじもじと恥じらう年頃の少女の物に変わる。
咲「いやあ~文化祭で皆の前で告白もしたしキスもしちゃった訳じゃん?だからさ~・・・」
とどめとばかりに咲は言葉を繋げる。
咲「彼とは一体どこまでやったんですか?♪」
真紅「!!!!!(////////)」
ハンバーグにフォークをさしたまま固まる真紅、顔を真っ赤にして震えるその様子を
楽しみながら、咲はあえて視線を合わさず更に追い打ちをかける。
咲「いや~、『キス』はした訳じゃない?だから文化祭の後二人の関係が
それより先に進んでてもおかしくはないかな~ってね♪」
紅「そ・・それより先って・・そっ・・そっ・・それは・・つまり(//////////)」
咲「う~ん・・・・つまり、Aか~Bか~『C』かって事♪」
紅「なっ・・・・!!!ちっ・違うわ!ジュンは・・ジュンは・・・・
私の下僕で・・・だから・・私の・・・・・・!」
慌てふためく真紅、混乱しきったその様子はいつも澄ました少女も
ただの女の子だと言う事を示していた。
顔を真っ赤にして違う違うと繰り返す真紅。それを意地悪というよりは
寧ろ年下の行動を暖かく見守るように見つめる咲。
それが憎らしく真紅は咲に反論する。
紅「な・・・・なら貴女達はどうなの!?そ・・そういう、は、破廉恥な事!
あ・・・・貴女には言えるかしら!?」
しかし咲の方が一枚も二枚も上手だ、こと恋愛に関しては。
咲「あたし?・・・そりゃあもっちろん♪私と高坂はラブラブだもん、ね~高坂っ?」
高坂「うん、そうだね~咲ちゃん♪」
言いながら丼を食べている高坂に肩を擦り寄せるる咲、そしてそのまま軽くキス。
見せつけるようにしたその咲の行動に真紅はまた顔を赤らめる。
咲「はい、私は言ったよ。ね?だからさ、私らに言ってみようよ。大丈夫だって、
私も高坂も絶対誰にも言わないからさ♪」
紅「・・・・・・ぁ(////////////)」
これ以上何を言っても無駄だ、真紅は観念した。
紅「わ・・私は・・!・私は・・ジュンと・・ジュンと・・あの・・その・・(/////)」
咲「うんうん!ジュン君とどうした~?♪」
真紅の告げようとする言葉に眼を輝かせる咲。
真「ジュ・・・ジュンとは・・・その・・(/////)」
ジュン「何やってんだ、真紅?」
紅「ひあんっ!!!!(/////)」
突然真紅の後ろから現れたジュン。言おうとした言葉は喉の奥に引っ込み、
真紅は慌てふためく。
ジュン「どうしたんだ、何驚いてんだよ真紅?」
紅「な・なんでもないわっなんでも・・なっ・・なっ・・!!(/////)」
ジュン「??あっ・・・・そ。」
高坂「やあ桜田くん♪」
声をかけられた方、ジュンはそっちを見る。いつも笑顔の高坂がいて、
その恋人咲が ニヤニヤとジュンを見ている。
ジュン「や、やあ高坂くん。後、春日部さんも・・。」
高坂とジュンは他愛のない話を始める。咲は話をするジュンと真っ赤に頬を
染める真紅を交互に見やり、また一つ思いついた。
咲「~~♪ねえ桜田くん、なんだから君も座ったら?」
現れた真紅の恋人、咲はこれ好都合とジュンも巻き込む事にした。
ジュン「あ、そ・・・それじゃ・・。」
ジュンは咲の笑顔に一抹の不安を覚えたが人の好意を断るのも悪いと思い
素直に従った。
咲「いや~この前の文化祭以来だね、まともに喋ったの。」
ジュン「で・・・ですね。」
咲「桜田君さぁ、田中みたいに服作るの上手いね。私さ、服飾の仕事
目指してんだけど君もやってみない?」
ジュン「いや・・・僕は・・。」
咲はすぐには本題には入らず他愛のない話をして外堀を埋める作戦に出る事にした。
以前、大野と田中が付き合っている事が発覚した時の失敗を踏まえての事だ。
いくらか話も弾み、咲はこの前薔薇水晶から聞いた話を織り交ぜ本題に一歩踏み込む。
咲「そうそう桜田君さ、真紅ちゃんとこの前の文化祭から付き合ってるけど
君らってお互い家も近いんだってね。」
咲はそう言いながら顔を真っ赤にして俯く真紅をチラリと見る。
ジュン「え・・・あ、はい。」
咲「良いね~♪私と高坂も幼なじみだけど君らもなんだ~~♪」
ジュン「へえ・・・そうなんだ、高坂くん。」
高坂「うん、小学校が一緒だったんだ~♪」
咲「それで私と高坂も付き合ってる訳だし、お互い共通する所多いよね~♪」
咲「けどさ、桜田君達、もう付き合って結構経つけどどうなの?」
ジュン「え?ど・・・・どうって?」
ジュンは意味が分からなさそうな顔で首を傾げる。
咲「いやあ、だからさ、二人はキスもした訳だしアレじゃない。もうそろそろ
寒くなるしお互いの肌が恋しいって思ったりする訳で・・・つまりは」
高坂「桜田君と真紅さんが何処までいったか知りたいんだって♪」
いつもの笑顔で高坂が核心をつく言葉を言ってのける。
一瞬固まるが、意味を理解したのかジュンの顔がみるみるうちに赤くなる。
さっきの真紅に負けないくらいの赤さだ。
ジュン「えっ!?えぇっ!?いやっ・・・あの、キス・・はしたけど・・・真紅と・・
・・いや・・・だから・・ええっと・・・」
ジュンは顔を真っ赤にし、しどろもどろになりながら意味の分からない言葉を口走る。
咲「ま、そういう訳よ。さっき真紅ちゃんにも聞こうと思ったんだけど、
君もいる訳だし調度良いや。でどうなのお二人さん?♪」
咲の言葉にジュンと真紅は顔を見合わせた。
ジュンと真紅はお互いの真っ赤な顔を見合わせる。
ジュン「し・・・真紅・・・い・・・言って良いのか?」
紅「・・・え・・ええ・・。べ・・・・別に構わないわ・・・・(//////////)」
ジュン「・・・・はぁ、それじゃ分かった。・・・・僕が言うよ。」
咲は心の中でガッツポーズをとった。高坂は相も変わらずニコニコと微笑んでいる。
既に昼時もかなり過ぎ、食堂に人はまばらだ。
いるのはお喋りに興じている生徒が 何人かだけだが
こっちにはまったく気付いておらず興味はなさそうだ。
が、しかしジュンは辺りを警戒して何度も辺りを振り向く。
咲「・・・・準備はオーケー?」
ジュン「・・・・はい。」
咲「それじゃあ~、言ってもらいましょうか♪」
ジュン「・・・あ、・・・あの・・どんな風に言ったら・・。」
ジュンは言葉をつまらせながら咲に聞く。
咲「あ、あ~そうだった。別に普通にAかBかCで言ってくれたら良いよ♪」
ジュン「・・・・分かりました・・・。」
ジュンは顔を真っ赤にして俯く真紅を見てから大きく息を吸った。
ジ「・・・ぼ、僕と・・・・僕と・・・真紅は・・・・。」
咲「うんうん♪言って言って♪」
ジュン「・・・・・・し・・・・C・・・・まで・・・。」
言い終わった後の真紅とジュンは全身真っ赤だった、顔から指先まで
朱色に染まっていた。
咲「そっ・・・・か♪おめでとう。良かったね、初めてが本当に好きな人でさ♪」
高坂「うん♪おめでと~、真紅さん、桜田くん♪」
紅「あ・・・・ありがとう・・・・(////////////)」
ジュン「ありがとう・・・・・(/////////)」
真紅は消え入りそうな声で返事をする、
それに続いてジュンも。
咲「・・・・・で、初めては何処だったの?やっぱりどっちかの家?」
更に咲は聞く。もうここまで言ってしまえばもう隠す事もないだろう。
ジュンが咲の質問に答えようとしたが真紅がそれを制し、
ジュンに微笑みかけ口を開く。
紅「・・・・ジュンばかりに話させるのはいけないわ・・・。私も・・・話すわ。
私達はジュンの家で結ばれたの。とても・・・・とても幸せな時間だったわ。」
ジュン「真紅・・・。」
視線を交わしあう二人を見つめ、咲も暖かい気持ちになる。
咲「そうなんだ。・・・とってもお似合いだよ二人とも♪だからさ、絶対にお互い
離さないようにしなよ。本当に大変なのはこれからなんだからさ♪」
咲は二人に優しい微笑みを投げ掛けた、二人はお互いの手を固く握っていた。
真紅とジュンは咲と高坂に挨拶をすると頬を朱色に染めながら、
お互いの手を繋いで食堂を後にした。
後には咲と高坂だけが残った。
咲「何か・・・・・良かったね、あの二人。」
咲は隣で微笑む高坂に声をかける。
高坂「そうだね咲ちゃん。薔薇水晶さんが言ってた通りとってもお似合いだねあの二人♪
心が通じ合ってるって・・・・本当に素晴らしい事だよねっ♪」
高坂はそう言うと席を立った、咲に手を伸ばしつつ。
高坂「行こ、咲ちゃん♪」
咲は高坂の女性のようにスラリとした手を見つめる。
そして高坂の笑顔を見、手を握り席を立つ。
咲「そうだね高坂。行こっか♪」
高坂の手を握りながら咲はさっきの二人の事を思った、
自分と高坂のように幸せになれるように
薔薇っちとげんしけんの仲間達:番外
『自己分析とそれに伴う感情の指向(リク、蒼星石の報われない恋)』
あの日、文化祭があったあの日、僕は聞いた。彼女の、君への想い。
「大切な人です・・・。」
そう告げた彼女を見る君の瞳は恥ずかしさの中に穏やかさと幸せを秘めていた。
何故だったんだろう、僕はそれを見て、胸に、チクリと刺さるような痛みを感じたんだ。
僕にとって君はただの友達のはずなのに、
つまらない事を言い合って笑いあうだけの中なのに。
あの日、僕は見た。文化祭の後、君と真紅がキスをした所を。
半ば事故のような形でのキス、だけど君と真紅の顔には
恥じらいだけじゃなく幸せがあった。
文化祭の帰り、僕と翠星石と別れた後繋いだ君達のあの手、
お互いを慈しむようだった。
そして気付いたんだ、僕は君が、ジュン君が好きだったんだって、
君の無愛想な優しさに惹かれていたんだって。
僕はだけど、君に僕の気持ちを伝える気はないんだ。
君と真紅の幸せを壊したくないから。最初はつらかったけど
今なら君達を応援できる。
僕が君に恋した事は素晴らしい思い出、
僕が君に恋した分君が真紅を幸せにする。
それが今僕が願う・・・・君への想い