薔薇っちとげんしけんの仲間達『オタク訪問』
げんしけん部室
斑目「え~~、突然ですが明日から一二週間程部室が使えなくなりました・・・。」
一同『えぇ~~~~!!??』
笹原「マジっすかそれ!?」
荻上「困りましたね。」
高坂「だねぇ。」
田中「俺達、何もしてないぞ??」
咲「ちょっと待て・・・・何で私を見る?!私は何もしてないぞ!?」
大野「・・・・ま、まあ咲さん前例ありますし・・・あはは・・。」
咲「やっとら~ん!!ボヤ騒ぎの事は謝ったしょ!」
薔薇「???・・・・どゆこと?」
笹原「うん、去年ちょっと色々とあったんだ。」
薔薇「・・・・・ふむむ。」
斑目「まあ、安心してくれ。今回は部室使用停止ではな~い。」
薔薇「・・・・じゃ・・・・何~?」
斑目「工事だわ。」
荻上「はあ・・・工事。」
久我山「そ、そんな話聞いててたか?」
笹原「いえ、まったく。」
咲「何だ、やっぱ私関係ないじゃん。・・・・大野ぉ~~??」
大野「あうぅ~~~。」
斑目「とにかく突然だったのよ。いきなり俺だけが呼び出されてよ、お達しがあって、
『電気と水道工事で部室使えません』だからな。」
田中「きっついな~それ。」
久我山「に、荷物持ち出しできんな、それじゃ。」
大野「あっ!でもそれじゃ今回も『アレ』ですね♪」
咲「無視するな大野~~・・・ってまた『アレ』すんの!?」
斑目「まあ・・・自然とそうなるね・・。」
薔薇「・・・・うい?・・・『アレ』??」
荻上「何ですか・・・『アレ』って?」
咲「『オタク』訪問だ。」
二日後、田中宅
田中「おっす、みんな入ってくれ。」
田中がドアを開け全員を招き入れる。
笹原「おじゃましま~す・・・。」
げんしけん総勢10名が部屋に入る。
田中「お茶入れるからそこら辺に座ってて。」
そう言って田中が流しに消える。
大野「あっ、田中さん私も手伝います!」
続いて大野も。
残った八人はめいめいそこらに座る。
朽木「ムヒョー、コスプレの衣装がいっぱいであります!!」
そう言って朽木はコスプレの衣装に近付こうとする、が、
咲が襟首を掴んでそれを制する。
咲「はい、クッチーは触らない。だまってそこ座る。」
朽木「しかし春日部姉さん、彼女はどうなるですか!!不公平であります!!」
不満満々の顔で衣装置きの前を指差す朽木。
咲もそっちを見る。
薔薇「・・・~~♪・・・いっぱい♪コスプレ・・・衣装がいっぱい♪」
薔薇水晶が無邪気に目を光らせ衣装を見ている。
咲「あの娘は良いの。はい、クッチー座る!!」
咲が拳を握り締めたのを見て朽木は大人しく引き下がった。
咲「ねえ薔薇っち、コスプレの衣装だけず~~~っと見てて飽きない?」
田中の部屋の押し入れを探りながら言う咲。(すぐに田中がそれを阻止するが)
薔薇水晶はコスプレから目を離さず一言、
薔薇「・・・・・うん♪」
田中「ははは♪気に入ってくれて嬉しいな。薔薇水晶さん、今度はコスプレ何したい?」
お茶を会員に渡しながら言う田中、それに即座に薔薇水晶は反応して振り返る。
薔薇「・・・・・オセロット!!・・・・ガンアクションが・・・・カッコイイ~♪」
大野「3ですか?それとも2?」
薔薇「・・・・・3・・・♪」
それを聞き何人かが苦笑する。
意味の分からない咲は首を傾げるだけだった。
それから五日後、高坂宅
高坂「いらっしゃ~い♪」
荻上「・・・・・え・・。」
高坂の部屋の中を見て絶句する荻上。オタクなのに外見に気を使っているから
部屋も、 と思ったのが間違いだったようだ。
咲を見ると、聞かないでくれと言う顔をする。
そんな中でも薔薇水晶は相も変わらず、部屋に置いてあったゲームに
キラキラと目を輝かす。
高坂「する?キングダムハーツ2?」
それに気付いた高坂が薔薇水晶に微笑む。
薔薇「・・・・・・うんっ♪」
まるで尻尾を振る犬のように喜ぶ薔薇水晶。そんな彼女を見て楽しそうに笑う咲。
咲「薔薇っちって私らと同い年なのにねぇ。どうして精神年齢がこう違うのか・・」
大野「でも可愛いくて良いじゃないですか咲さん♪」
クスクスと笑う二人。それにつられて他のメンバーも笑う。
ただ、荻上がどう笑えばといった顔をしていた。
久我山と斑目は薔薇水晶がゲームをしているのを眺めている。
薔薇「・・・・あ・・・・え・・えと、・・・うぅ~。」
と、薔薇水晶が本当に分からなくなった時には高坂がゲームの楽しみを壊さない、
理想的な具合でアドバイスを横から入れる。
薔薇「・・・・・あ、ああ~~~♪・・・・あ、ありがと高坂さんっ♪」
高坂「どういたしまして♪」
と、薔薇水晶が高坂に抱き着くが咲はそれを見咎めず微笑ましくそれを見る。
もしこれが笹原妹であろう者なら容赦はないだろう、とその場にいた全員が思っていた。
それから咲と田中、大野が咲が卒業した後に服の店を出す話で盛り上がる。
そんな様子を見ながら荻上は溜息をつく。馴染めていないような気になる。
笹原「荻上さん、楽しくないかな?」
斑目と同じようにゲームを見ていた笹原が荻上に声をかけてきた。
荻上「あ、いえ・・・そんな事ありません・・・。薔薇水晶さんの
ゲームをしてるの見るだけでもそれなりに・・・・・。」
ボソっと荻上が言うと、笹原は少し微笑みまたゲームに目を戻した。
ちなみに朽木は高坂の部屋のエロ同人誌を幸せそうに読み耽っていた。
(それを軽蔑の目で荻上と咲が見ていたのは言うまでもない)
更に三日後、荻上宅
荻上「何で・・・・ブツブツ・・・・私の家が・・ブツブツ・・」
まるで怨み節でも唱えるように呟き続ける荻上。
咲「まあまあ、今日は人が少ない訳だし良いじゃんかオギッペ♪」
荻上の肩に咲の手が乗る。その後ろを大野、笹原、薔薇水晶、高坂が付いて行く。
笹原「い、良いのかな。俺達来ちゃって?」
高坂「う~ん、多分大丈夫だよ♪」
笹原「多分って~・・・。」
大野「(くすっ・・・荻上さんの部屋の同人誌、気になりますよね~♪)」
薔薇「・・・・・ゲーム、あるかな♪・・・・やりたい、な♪」
ガチャ
荻上「・・・・どうぞ、入って下さい。」
明らかに歓迎はしていない顔をして5人を招き入れる荻上。
筆のようになった髪がゆらゆらと揺れる。
咲「へ~、結構キレイだね。やっぱり人が来るなら普通するよね、掃除。」
当て付けのように言う咲の言葉に、全員が先日の斑目の部屋を瞬時に思いだす。
典型的な汚いオタクの部屋(高坂のグチャグチャとはまた違う)が鮮明に頭に浮かぶ。
笹原「あ、ははは・・・・。まあ、確かに汚かったよね。」
薔薇「・・・・・踏む所、あんまり・・・・なかった、けどゲームとマンガ借してもらった♪」
咲「つか、斑目の部屋の汚いの、去年より三割増しだったよ。間違いない。」
雑談をしながら荻上の部屋に入る一同。中は整然としている。
大野「荻上さん~♪荻上さんは同人誌、何処に置いてるんですか?」
部屋を見回しながら大野がニヤリと笑いながら荻上に質問する。
荻上の頭の筆がピクリと震える。
荻上「・・・何で貴女に言わないといけないんですか?」
荻上は大野を睨み付ける。
大野「だって荻上さん同人誌持っているのに見当たらないじゃないですか。
・・・・誰だって気になりますよ~♪」
また始まる、咲と笹原は苦笑いをした。
荻上「貴女みたいに部屋の見える所に置くような真似はしません!」
大野「でも荻上さんも持ってるんだから隠す必要ないじゃないですか!!」
また始まったげんしけんお馴染みのケンカ。咲が止めようと入るが、
しかし・・・・
薔薇「・・・・・・荻上さんっ♪」
口論の真ん中に突如薔薇水晶が割って入る。それで口論が止まる
荻上「あ・・・・はい?」
薔薇「・・・・・マンガ・・・よ、読んでOK?」
荻上「ど・・・・どうぞ。」
薔薇「・・・・デ・・ディモールト・グラッツェ♪♪」
ニコニコとした顔で薔薇水晶は荻上の部屋の漫画の棚に向かう。
荻上「・・・・・」
大野「・・・・・」
薔薇水晶の笑顔に毒を抜かれ、二人の口論は止まった。
咲「いやあ、凄いよね薔薇っち。あの二人のケンカ一瞬で止めちゃったよ。」
高坂「だね♪」
みんなが見てる中、薔薇水晶は一人楽しく漫画を読み始める。
荻上「はあ・・・・、それじゃコップ出しますね。ジュースは買ってきてましたし。」
荻上が流しに向かう。それを見て咲が笹原の背中を押した。
咲「ササヤンも行く!男だから手伝いなさい!」
咲の顔が笑っていた。
笹原は気付けば流しにいた荻上の横に立っていた。
笹原「お、荻上さん、俺も手伝うよ。一人じゃ持てないでしょ。」
少し照れ隠しで笹原は荻上からコップを受けとる。
荻上「あ・・・・ありがとうございます笹原先輩。」
ジュースを入れている二人の姿を咲は好奇の目で見ていた。前々から咲は
荻上が笹原に気があるのではと疑い、色々な手段を使って試していた。
咲「う~~ん、やっぱオギッペは笹原が好きなんじゃないかねぇ?まったく、
自分の気持ちにとっとと気付くいて付き合っちまえば良いのにねえ。」
ニヤニヤと微笑む咲をやれやれと言った表情で眺める高坂と大野。
大野「でも、あの二人の問題ですから、ねぇ?」
高坂「う~ん・・・そうだね。」
咲「でも、くっつくと思うじゃん、ねえ?」
そんな横で薔薇水晶は事にそんな話そっちのけで漫画を読み続けている。
荻上「あ、それじゃお願いします。」
笹原「うん、それじゃ持っていくね。」
一緒に帰ってきた二人を咲がずっとニヤニヤと笑って見ていた。
翌日、薔薇水晶宅
斑目「・・・・・・」
笹原「・・・・・・」
田中「・・・・・・」
大野「・・・・・・」
久我山「・・・・・」
荻上「・・・・・・」
朽木「・・・・・・」
咲「・・・・で・・・・でっかい・・・・。」
目の前に立つ一戸建て、それは周りの家の二倍はあろうかと言う大きさ。
それでは薔薇水晶はお金持ちなお嬢様だったのか!と一同が唖然としていると
玄関のドアが開き、学校で着ている私服よりやや軽目の服装で
薔薇水晶が中から現れた。
薔薇「・・・・・ど、どぞ・・・中に。」
薔薇水晶はモジモジと顔を赤らめ、玄関に全員を手招いた。
咲「うわぁ・・・。」
一同が入った薔薇水晶の部屋、それは今まで行ったげんしけんのメンバーの
どの部屋より大きかった。
しかし、その広さも中にびっしりと詰め込まれたオタグッズで他のメンバーと
変わりない大きさに変容している。
500円フィギュアがギッシリ詰まったケース、田中と一緒に作ったプラモを飾った棚、
アニメージュの束、コスプレの衣装ををかけるクローゼット、アニメのDVDボックスの山、
アニメのポスター、漫画と同人誌だけの本棚、まさしくオタクの鏡と言って良い部屋。
にも関わらず部屋の中は清潔感が漂っている。
斑目「良く集めたなぁ。」
笹原「圧巻っすね。」
田中「何か俺達の部屋と全然違って見えるな。」
薔薇「・・・・えへ・・・へへへ♪」
恥ずかしそうに照れ笑いする薔薇水晶。
咲「けど、これだけ集めたって事は薔薇っちって沢山お小遣い貰ってるの?」
薔薇「・・・・ううん。・・・私・・・バイトして・・・・集めた♪」
咲「マジ・・!?」
薔薇「
・・うん。お小遣い・・・一万円・・・だから、欲しい物は
・・・バイトもして買わなきゃ駄目♪」
金持ちなのに親に頼らない、そんな薔薇水晶の姿にげんしけんの面々は
感動と尊敬の念を送る。
しかし、そんな空気をまたもあの男が破る。
朽木「うーーーわ~~~~薔薇っちん、このコスプレ衣装凄いにょ~!!」
朽木「うっひょ~~~、良く出来てるヨ、コレ!!!!」
まったく場の空気を読まない朽木の行為、メンバーはどうするよと言った顔で見回す。
薔薇「・・・・あぁっ!・・・触っちゃ・・・」
薔薇っちがあたふたとうろたえ、泣きそうになる。が、次の瞬間、
ドグシャアアアア!!!!!!!!!!
踊る朽木の顔面に咲の右ストレートが炸裂し、朽木は廊下まで吹っ飛んだ。
笹原「グ、グーパン・・・。」
荻上「本気の一発・・・。」
大野「咲さん・・。」
斑目「い、今、腕伸びた?」
田中&久我山「伸びた。」
薔薇「・・咲さん・・波紋使い・・・。」
咲「いったい何をしてるんだお前は、女の子の部屋を漁るなんて最低だろうがっ!!!!」
咲の怒声が部屋を揺るがす。しかし、既に廊下に吹っ飛ばされ意識の飛んだ
朽木に聞こえているはずもない。
結局、朽木をそのまま放っておいて雑談に花を咲かせた。
こうしてげんしけんの漂流部室は咲ちゃんパンチで幕を閉じた
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