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10cm

私と貴方の距離は10cm 背伸びすれば届く距離


水「背、高くなったわねぇ」
高校の入学式の帰り道、突如として水銀燈が発した言葉にジュンは足を止めた。
J「そうかな…?確かにそこそこは伸びたけど」
水銀燈とジュンは小学校は一緒だったが、中学が別だったので必然と会わなくなるのだ。
高校の入学式、彼女を見たときはまるで別人だとジュンは思った。
銀色の髪は腰辺りまで伸び、あの幼さかった顔はまるで芸能人みたいに整ってより女性らしくなっていたのだ。
いや、芸能人も裸足で逃げ出すほど美しかった。
教室でこれから友人になるであろう男子は水銀燈の周りに群がり
ケータイの番号などを我先にと聞きだしていたのをJUMは思い出した。
水「小学校の時なんて私の方が高かったのに…こんなに伸びるなんてぇ」
J「ほら、俺も成長期だし」

J「でもビックリだよ、水銀燈がこんなに綺麗になっちゃったとは」
水「あらぁ、ありがと。JUMもすっかり男っぽくなっちゃって」
頬をちょっと赤くしながら彼女はジュンの肘を小突く。
水「でもねぇ、教室で大変だったのよぉ」
J「見たよ、凄かったね」
水「なら助けてくれてもよかったじゃなぁい」
それを見てるのが面白かった とはとても言えない。
くくっと笑いながらJUMはごめんね、と謝った。
J「で?その群がる狼たちはメルアド狙い?」
水「そうよぉ、携帯持ってないって言って誤魔化したわぁ」
水「一番酷かったのが付き合ってくださいだったぁ、どうしろって言うのよぉ」
J「付き合ってあげればいいじゃん」
水「それ本気で言ってる?」
J「うそ」
水「もぉ…」
完璧にからかわれてるな、と水銀燈は思った。
中学校でなにかあったと彼女は予想する、そう思うと中学時代の彼を知らない彼女はなぜか悔しさが込み上げてきた
彼のことをもっと知りたいと言うのはやはり女の飽くなき欲求なのだろう。


水「あ…JUMはぁあの約束…覚えてるよね?」
J「覚えてるよ、いつまでも一緒にいようって奴でしょ?」

水銀燈とジュンが小学校の卒業式の終了後、学校の校庭に一本だけ立っている桜の木の下で交わした約束。
それは彼が私立の中学に行くことが決まり、同じ中学に行けないと知った彼女がとった最終手段だった。
「私水銀燈はジュンを一生愛し続けます! ジュンも同じ事言ってよぉ」
「うん、僕ジュンは水銀燈を一生愛し続けます!」
「ジュン、高校は一緒のところに行こうね、絶対だよ」
「うん、絶対に絶対に絶対一緒のところに行こう!」
「私絶対に勉強して頭良くなって、綺麗になってジュンの隣を歩くんだからぁ」
「だから待っててね、お願いよぉ…うぅ…えっぐ」
「約束する、だから泣かないでよ水銀燈」
「じゃあ…またね…」
「またねぇ…」

水「覚えててくれたんだぁ」
J「忘れろってほうが無理だよ、水銀燈泣きながら約束してたし」
水「記憶にございませぇん」
J「政治家発言は禁止だよ」
水「でもぉ、ちゃんと約束果たせたし私は満足だわぁ」
J「隣歩いてるし、同じ高校だしね」
水「あ…でもねぇ、あと一つだけ果たしてない約束があるのよぉ」
足をとめ、空を見上げながら彼女は言った。
そこはかとなく頬を赤く染め、目を閉じて彼女は空を見上げる。
その表情は夕暮れで赤く染まっていてジュンには見えないが、なにか空気が変わった感じは伝わってきた

水「それはねぇ」
J「それは…?」
スーっと彼女は深い深呼吸をし、ジュンの方に向き直る
大丈夫、今なら言える…3年間ずっと言えなかった言葉を…
水「ジュンの…恋人…彼女になることぉ」
言えた……やっと言えた。
J「それは違うよ、約束なんかじゃない」
水「え………?」
J「だって、ずっと昔から一緒じゃないか、叶える必要なんて無いよ」
J「いつまでも俺と水銀燈は一緒だ…だからそんな約束なんて必要ない」
水「ばかぁ…ジュンのばかぁ!」
J「ごめん、ちょっとキザな台詞を言ってみたかった」
水「怖かったじゃなぁい…うぅ…ひっく…えっぐ」
あぁ、容姿は見違えるほど変わっても泣き虫なのは変わってないんだな とジュンは思った。
J「ごめん、でも本当だよ」
水「今度からそう言う冗談はやめてよねぇ…」
涙を拭いながら、どこか嬉しそうに彼女は言う。

J「水銀燈」
水「なによぉ…ん!」
夕暮れで重なる2人、幸い通りには誰もいないのが救いなのだろう。
水「ん…んぅ…」
J「ごめんね」
水「いいわよぉ」
水「ジュンの方が背高いから、こうすると私が見上げなくっちゃいけねいわねぇ」
J「背伸びすれば届く距離だよ」
水「そうねぇ…ふふ」
ちゅっ
水「今度は私からよぉ」


私と貴方の距離は10cm 背伸びすれば届く距離
見上げればいつも貴方がいる

END