水銀「ねぇねぇ真紅ぅ、これ見なさいよぅ」
真紅「いったい何なの水銀t…そ、それは…!」
水銀「そうよぅ…劇場版くんくん探偵プレミアム試写会チケットが当たったのぉ」
真紅「なんて、なんて羨まし、いえ、別に羨ましくなん……やっぱり羨ましいのだわっ」
水銀「ふふっ、正直ねぇ。そっかぁ…貴女ハズれたのよねぇ」
真紅「うっ…うぅ…」
水銀(真っ赤になって悔しがっちゃって…か、可愛いわぁ)
水銀「それでぇ……これ、ペアチケットなのよねぇ?もし連れt」
真紅「連れていって下さい(土下座)」
水銀「は、早いのね…」
真紅「くんくんの為ならプライドなんて無きに等しいのよ」
水銀「そ、そう…でもまぁあの真紅が土下座までしてるんだしぃ…い、いいわよぅ、連れてってあげるわぁ」
真紅「ありがとうございます(抱擁)」
水銀「ちょ、し、真紅ぅっ、何…あ(身震い」
水銀(真紅が私に抱きつ………し、幸せだわぁ…)
みーんみんみんみんみん。蝉が短い命を謳歌している。
水不足が不安になりそうなほど、今日も馬鹿のような快晴。
「えー、ここの公式は――」
教師が何か必死に話しているが、頭には入らない。
横を向いて窓の外を見る。青い空ぐらいしか見えはしない。
平坦な教師の声、喧しい蝉の悲鳴、ペンの走る音。
本当に退屈で何もない、いい日和だと思った。
(……ホント、なんで夏休みにこんなとこに)
夏季休暇も初期の7月後半。
現在は期末試験の成績が芳しくなかった者の為の補講中。
周囲にいるのは雛苺、金糸雀、ベジータ、翠星石、真紅あたり。
無論、水銀燈は成績が悪くてこの場にいるのではない。
むしろ期末試験は良く出来たほうだったと自負している。
それでもこの場にいるのは、偏に暇だったからだ。
補講は期末で赤点を取ったものに課されている。
が、それだけではなく自主的に勉強しようと言う者にも門戸が開かれている。
真紅などはその類だろう。……実は成績が悪かったのならそれは面白いが。
ジュンは外になど出かけたくないと絶賛引き篭もり中。
薔薇水晶はご家族と一緒に避暑地へと旅行中。
蒼星石……と二人で出掛けるのは周囲からのやっかみが酷い。
おかげで結局特にやる気もないこんな補講で時間潰しである。
(家で本でも読んでれば良かったわぁ……)
一応出すだけ出しておいたノートには何も書かれていない。
暫くはシャーペンを弄んだり、少しだけ授業に耳を傾けていたが、すぐ飽きた。
再び窓の外を眺めながら、隠そうともせず一つあくびをした。
「あー、ゴホン。次はここの公式を――」
気付いてはいるのだろうが、面と向かって注意はしてこない。
教師も生徒の成績についてくらい、当然把握しているのだろう。
そんな態度に辟易しつつも、窓の外を眺める。
相変わらず、翳る事無く太陽が照り付けてくる。嫌がらせのようないい天気。
「すぅー……すぅー」
「ん?」
一定間隔で前から吐息が聞こえてくるのに気付く。
ちらりと視線を向ければ、うつ伏せになった真紅の姿。
彼女がこんな風に無防備な姿を晒すのもなかなか珍しい。
それにしても補講で眠るとは、豪胆というかいい根性してるというか。
(ダメよぉ……そんな風にしてたら、何されても文句言えないわぁ)
「くんくん……ステキなのだわ」
どうやら良い夢を見ているらしい。可愛らしい寝言を呟いている。
――そそられた。
先程まで使われていなかったシャーペン――芯は出さない――を掴む。
そろり、そろりと。周囲に気付かれないように真紅の首元に伸ばす。
つんつんと、軽くシャーペンで突いてみる。小さな反応があった。
「んぁ……私ははんにんじゃないのだわぁ」
……面白いかもしれない。
突いたり、髪の毛をシャーペンで巻いたり、首筋をなぞったりする。
その度に眠っているはずの真紅からは小さな反応が返ってくる。
暇潰しにはもってこいの相手だ、そう思った。
が、その考えが一瞬にして別の方向へと発展してしまった。
ふとした拍子から、真紅の首筋が露になったのだ。
荒れることのない、絹のような真っ白い、柔らかそうな肌。
誘うように扇情的な綺麗な項。うなじ。ウナジ。UNAZI。NAPE(英:うなじ)
思わず見入ってしまう。魅入られてしまう。
悪魔のように可憐で華麗なうなじ。思わずビューティフル、などと呟きそうになる。
「……しん、く」
小さく声をかけてみるが、よっぽど疲れているのか起きる気配はない。
ごくり、息を呑む。音を立てないよう、僅かに持ち上げた机椅子を前に寄せる。
目の前にうなじがある。これを、思う様蹂躙したくなった。しよう。
そろり、指を伸ばして撫ぜてみる。思った以上に滑らかで、柔らかい。
「ん、ぁ……」
気のせいか、吐息に熱く艶やかなものが混ざったように聞こえる。
すぐに我慢できなくなる。真紅は起きない。やりたい放題だ。
「ん……おバカさぁん」
今の私は、酷く意地悪で、さぞ悦んだ表情をしているだろうと思いながら。
舌を出し、舐めた。
ちろちろと、柔らかなうなじを舐める。撫でるように舐める。
「だ、だめぇくんくん……なめちゃだめ……」
本当に寝言なのだろうか。真紅の声は喘いでいるようで、それがまた艶かしい。
「しん……くぅ。ぴちゃ、ぴちゃ。ん……ぅ」
冷房が効いているとはいえ真夏の絶頂期。汗の味がした。
「しんくのあじがするわぁ……うふふ」
髪を掻き揚げて、首全体を、汗を拭き取るように舐め回す。
舌に残る冷たい感覚と、塩の味がたまらない。
「だ、あめぇくんくん……こんな、とこで、ひゃん」
唾液が僅かに絡みつき、反射してうっすらと光を放つ。
噛み付きたくなるほどに色気を増した、濡れたその首筋。
「我慢、できなくなりそ」
とはいえ、これ以上のことは学校、あまつさえ授業中に行えない。
少しだけ欲求不満を感じたが、次で終わりにしよう。
「これで、おしまぁい」
汗を舐め取った舌先を指で拭い、口に含む。しんくのあじがする。
そのまま、今まで繋がっていた首筋に、痕を残すほどの勢いで口付けた。
「ひッ!!」
流石に先程までとは反応が違う。真紅が嬌声を上げた。
が、幸いな事にそれと同時、授業終了を告げるチャイムが響く。
声はかき消された。――ああ、なかなか充足した時間だった。
……
「何か首筋が冷たいのだわ。水銀燈、あなた何かした?」
「何もぉ。でも真紅ぅ、授業中に寝ちゃあダメよ、おバカさぁん」
くすくすと、顔を赤らめた真紅を、先程の表情とダブらせて笑った。
終われ
『トイレ事件』
休み時間、トイレで用を足す真紅。さて、出ようと思ったら
ドアが開かなくなった。どうやら、鍵が壊れたみたいだ。
真「どうしましょう…。だ、誰かいないの?」
返事はない。
真「こんなところで、閉じ込められるなんてついてないのだわ…」
その時、コンコンとドアがノックされた。
水「誰かいるのぉ~?」
真「その声は水銀燈?ねえ、閉じ込められちゃったの」
水「それは大変ねぇ。ちょっと待っててぇ~」
真「…これで出られるわ。水銀燈もたまには役に…きゃあ!」
上から、パンが降ってきた。投げ込まれているみたいだ。
真「水銀燈ね!これはなんの嫌がらせなの?」
水「いやぁ、餓死しちゃったら困るからぁ」
真「こんなのは良いから、先生を呼んできてちょうだい!」
それから約十分後。上から、水が降ってきた。冷たい。
真「きゃあ!な、なんなの今度は!?濡れちゃうでしょ!」
水「喉が渇いたと思ったのよぉ。さすがに便器の水は飲めないでしょぉ?」
真「水銀燈、あなたわざとやってるわね!」
水「……どうしてそんなこと言うのぉ?私はただ、優しさで…」
真「え?ごめんなさい。水銀燈のこと誤解してたわ」
水「ところでぇ、あなたのくんくん人形、薔薇水晶がおもちゃにしてたわよぉ?」
バターン!!勢いよくドアが開いた。ドアが水銀燈の顔に当たる。
真「さっさと、そういうことは言いなさい!くんく~ん、今助けに行くわ!」
水「……いだぁい…。何よぉ、出られるんじゃなぁい」
…完。
ある日、薔薇学園では定期テストが行なわれていた。
カリカリカリカリ…
真「わ、わからないのだわ…」
真紅は右を向く。
水「わ、わからないわぁ…。乳酸菌の取りすぎかしら…。」
水銀灯は左を向く。
二人の目が合った。
真「……!(キュピーン!)」
水「……!(キュピーン!)」
今、点数を取るための作戦が発動した!
まずは梅岡の気をそらさなくてはならない。
真「(なにかいい案はないの?)」
水「(そうねぇ…。ヤクルトでも投げてみるぅ?)」
真「(却下、だわ)」
水「ショボーン(´・ω・`)」
真「(私が鉛筆を落とすからその間に水銀灯カンニングして。)」
水「(わかったわぁ)」
そして真紅は鉛筆を落とす…
カラーン、カラカラカラカラ…。
真「あぁ!!鉛筆を落としてしまったわぁ!」
梅「しょうがないなぁ…。よいしょっと」
真「(今よ!水銀灯!)」
水「(わかったわぁ!ムムムムム…白眼!!)」
真「!?」
梅「ほら、もう落とすなよ?」
真「え?あっ、はい!」
水「ふぅ~。」
真「(……水銀灯?見えたわけ?)」
水「(o^-')bビシッ」
真「(教えてもらおうかしら?)」
水「(あらぁ、嘘に決まってるじゃない♪)」
真「…ビキビキ(#^ω^)」
水「(あ、あら?ちょっと、ここは笑うところよぉ?)」
真「(てめーは俺を怒らせた…。)」
水「(ちょっ、ちょっと真紅!今はテスト中よ!)」
ゴゴゴゴゴゴ…。
そしてその日、一つの教室が消し飛んだ…。
もちろんテストはなくなった…。
銀(このままでは私の乳酸菌が死んでしまう)
紅「あら、何をしているの?」
銀「乳酸菌と薔薇の細胞を融合させていたのよぉ」
紅「危ないことしてるのね…」
銀「身体にいい薔薇を作ったつもりだったのに」
紅「つもりだったって…」
ベ「な、なんだこいつは!うおお!助けてくれー!」
銀「ここからが本当の地獄ね」
「ねぇ真紅ぅ、乳酸菌とってるぅ?」
「くんくん牛乳を毎日飲んでいるわ」
「まぁ、お子ちゃまねぇ」
「な、なんですって!水銀燈、あなたは私を怒らせたのだわ!!!!」
「あらぁ、わたしなんてヤクルトを一日約大ジョッキに3杯ほどのんでるわぁ、最近計ったのぉ」