翠「真紅のデロリアンを借りたですぅ。ちょっくらJUMの未来を見てくるです」
蒼「僕も行くよ」
ドヒューン
翠「15年後ですから32,3歳のはずです」
蒼「ヒゲとか生やしてたら笑っちゃうね」
翠「あっ、多分あいつです」
蒼「見つからないようにしないとね」
翠「レンタルビデオ屋へはいっていったです」
蒼「ちょっと、エッチなコーナーに行っちゃったよ?」
翠「追うですよ」
蒼「え?ま、まって」
翠「さっさとこいですぅ」
蒼「うわぁ……ってよく見たらあれベジータじゃないか」
翠「ちっ、結構カッコよくなってやがったですね」
J「よお、おまえら」
翠・蒼「ひぃぅ!」
J「過去から来たんだろ?全部知ってるよ」
翠・蒼「JUM(くん)…あまり変わってないね(ですぅ)」
J「つまり、お前らが過去に戻った後、全部僕に話してしまったんだ」
翠「それで私らがここに来ることを知ってたですか」
J「ああ、そういうこと」
蒼「単刀直入に聞くけど、JUM君は誰と結婚したんだい?」
J「独身だよ」
翠「そそ、それはどういうことですか」
J「お前らがいつも騒がしいから、モンロー主義を貫くことにしたのさ」
翠「マリリンモンロー?」
蒼「孤立主義のことだよ。で、一人身で寂しくないの?」
J「いや、もうじき巴と結婚するんだ」
翠・蒼「なんですってー」
J「あ、言っとくけど今(未来)のお前らのことは秘密だ。未来が変わってしまうからな」
翠「別にいーです。自分の力で未来は変わるですから」
J「そうだな。若いっていいよなあ」
蒼「おっさんみたいだよ」
J「おっさんなんだよ」
翠「なんだかえらく疲れたです。もう帰るですよ」
蒼「それじゃ、さよなら未来のJUMくん」
J「じゃあな!」
ドヒューン
真「ちょっとあなたたち、私のデロリアンを無断で持っていったわね」
蒼「え、借りたって……」
翠「ひ~実は無断だったですぅ。助けて蒼星石~」
真「全くもう、何をしていたか全部話してもらうのだわ」
J(デロリアンは僕のだろ……)
蒼「……とまあ、そういうことがあったんだ」
J「へえ。孤立主義か。僕もそうさせてもらうかな」
翠「そうはさせねえです。未来はいくらでも変えられるですよ」
真「そうね。前途は希望に満ち溢れているのだわ」
エンディング曲 ベラ・リン「また会いましょう」
『空へ消えていく片思い』
夕暮れの放課後、窓から見えるのはあなた。こんなにも胸が苦しい
のは、どういうことだろうか…。双子に生まれて、共に生きてきた。
同じものを食べて、同じ服を着て、同じような時間を過ごしてきた。
蒼「ごめん、そこにあるタオル取ってくれる?」
ジュン「おう。毎日、部活なんてして疲れないか?」
蒼「僕は君と違って、運動神経には自信があるからね」
ジュン「いつも体育じゃヒーローだもんなぁ。はい、タオル」
蒼「ありがとう。ジュンくんもさ、入りなよ、陸上部」
ジュン「遠慮しとくよ。僕は見てるだけで楽しいからさ」
彼は、蒼星石の部活が終わるまで、いつも待っていた。どうしてか
なんて、わかりきっている。好きだからだ。私はそんな二人をいつも
この教室から、眺めていた。だからって、どうにもならないけど…。
翠「二人とも、幸せそうな笑顔ですぅ…」
水「ねえ、どうしてあんたは告白しようとしないのよぉ?」
翠「私じゃ、ジュンとは釣り合わないですぅ…」
水「じゃあ、逃げるんだぁ…。何もしないままで逃げるんだぁ」
翠「そ、そういうわけじゃ…ないですけど…。でも…」
水「でも…なぁにぃ?」
翠「このままそっと、二人を見守るのが、姉として正しいと思うんです…」
水「あなたが、それで良いならもう、何も言わないわぁ…」
水銀燈はそう言うと、職員室へと去っていった。彼女は先生に呼び出しを
食らっていて、その途中、トイレに行くついでに、翠星石と話していたみたいだ…。
双子だからって、全部が同じわけじゃない。性格なんて、まったく逆だ。
そのついでに、好きになる人も違ってたら、どんなに楽だっただろう…。
私は姉だから、妹に譲らなくちゃ。我慢しなくちゃ。そう思えば思うほど
切なくて、胸が締め付けられていった。
蒼「ジュンくんって、本当におかしな人だよ。翠星石もそう思わない?」
翠「…そうですね…。変な奴です…」
蒼「…どうしたの?なんだか、元気じゃないけど」
翠「べ、別にそうでもないですよ?今日はもう、疲れたから寝るです」
蒼「…そう…。おやすみ、翠星石」
寝室に入った瞬間に、ベッドに倒れこんだ。枕で顔を隠して
声が漏れないように、泣いた。
翠「わ、私は姉だから、妹の幸せを願うのが正しいです…。ひぐっ…」
風呂から上がり、翠星石が寝ている寝室にこっそり入る。床に、彼女の
ノートを見つける。数学のノートだった。
蒼「明日は数学あるから、カバンに入れといてあげよう」
カバンに入れようと思った時に、とあるページが開いた。最後のページだ。
そこには、「ジュン」の名前が、何百と書かれていた…。
蒼「もしかして、翠星石はジュンくんのことが…」
どうして気付いて上げられなかったのだろうか…。
私はバカだ。翠星石の気持ちも知らないで、ジュンくんの話ばかりして。
ごめん…。そっと翠星石の顔を見つめる…。僕が我慢しなきゃ…。
次の日の学校で、私は見てしまう。見たくなかったそれを、見てしまう。
ジュンが、蒼星石を屋上に誘っていた。屋上は、告白スポットとして有名だ。
ならば、考えられる行動は、一つしかない。
翠「…ジュンは芸のない奴です…。わざわざ有名な屋上で告白なんて…」
どうしてだろう。涙が溢れそうで、苦しい。見られたくない。
誰にも泣き顔なんて、見られたくない。そう思った時、水銀燈が
とても変な顔をしながら、私の顔を見つめた。思わず笑ってしまう。
翠「あははは、な、なんですかいきなり!あははは」
水「うふふ。あんたに泣き顔は似合わないわぁ~。笑いなさい」
翠「水銀燈…。ありがとうです…」
一方、屋上では、呼び出された蒼星石と、呼び出したジュンがいた。
ジュンは、蒼星石を見つめながら、告白した。
ジュン「僕は、蒼星石が好きだ。付き合って欲しい…」
答えは、YESではなく、NOだった。
蒼「……ごめんね。僕、部活に専念したいから…。本当にごめん」
ジュン「そ、そうか。悪いな、変なこと言っちゃって」
蒼「い、良いんだよ。ありがとう…。僕は、君が嫌いなわけじゃないから」
ジュン「ああ。これからも、友達として接してくれよ」
蒼「も、もちろんだよ。……じゃあ、また教室で…」
ジュン「おう。わかった」
これで、良かったんだ。翠星石が幸せになるなら、僕はこれで良いんだ。
放課後、珍しく蒼星石は部活を休んだ。急に私と帰りたいと言い出した。
私は、何故ジュンと帰らないのか?と疑問に思っていた。
翠「…あの、ジュンとはどうなったんですか?」
蒼「どうって、なんのことだい?」
翠「そ、そんなの決まってるです!告白されたくせに…」
蒼「…そのことなんだけど、僕はきっぱりと断ったよ」
翠「な、なんでですか!?好きだったんじゃないんですか?」
蒼「…僕にとって、ジュンくんは友達だよ。それ以上には思ってないよ」
心の中で、驚きと安心感が同時に生まれた。なんだ、そうだったんだ。
てっきり、私は蒼星石はジュンのこと好きだと…。
蒼「翠星石、君はジュンくんのこと好きなんでしょ?」
翠「…べ、別にあんな奴なんとも思ってない…です」
蒼「素直になりなよ、本当は好きなんでしょ?」
翠「…好き…です」
蒼「じゃあ、今度ジュンくんを、デートにでも誘いなよ」
翠「…そ、そうして見るです。でも、あいつ誘いに乗りますかねぇ?」
蒼「大丈夫だよ。僕は、応援してるよ。いつだって君のこと…」
翠「ありがとうです…。勇気が沸いてきたです」
一人の少女の片思いが、空へと消えていく。一人の少年の片思いが、空へと
消えていく。君の片思いは、その相手の胸まで飛んでいって欲しいよ…。
…完。
J「暇だから怖い話でもするか」
翠「だったら蒼星石も呼ぶです」
J「なんだ、一人じゃ怖いのか?」
翠「そんなことはねーですよ」
蒼「とっても怖い話が聞けるんだって?」
J「む、よし、とっておきの話を」
僕が田舎に帰ったときのことだ。田んぼ道を散歩していたら、
向こうに白い影が見えたんだ。
蒼「影なら黒いんじゃないの?」
J「それが不思議なことに、「あれは影だな」って思ったんだよ」
蒼「陽炎かなんかかな」
翠「……」
気になって近づいていこうとしたんだ。そしたらジジイが「かずき~行ってはならぬ~」
翠「ひゃあああ!!」
J「え?そこは怖がるところじゃない」
翠「だって、お前の名前はJUMですぅ」
J「ただの人違いだったんだよ」
蒼「……それでどうなったのさ」
J「ああ。爺さんが言うには、あれを見たら大変なことになるって」
だけど僕は近づいていった。なぜか気になって仕方なかったんだ。
ある程度の距離まで来ると、影がゆらゆら揺れているのが分かった。
もう少し行くと、人間だということが認識できた。
蒼「それでどうなったのさ」
翠「……」
その人間は、踊っているように見えた。だけど踊り方がおかしかった。
おかしな腕の曲がり方をしていた。いや、腕だけじゃない。全身が揺れていた。
そもそも人間なのに、影だったんだ。全身が白い影。真っ白だった。
蒼「ゴク……」
翠「……」
僕の近くを猫が通りかかった。その猫は影のほうへ向かっていった。
すると突然、狂ったように踊りだしたんだ。実際、狂っていたかもしれない。
僕はやっと分かった。あれを見たらいけない。あれをみたら、僕はあれになってしまう。おわり。
翠「なんだ、大して怖くなかったですぅ」
蒼「JUM君、それは見なくてよかったね。もし見ていたら…」
翠「なな、何を言いだすですか」
蒼「もし見ていたら……僕みたいになってたよお」
翠「ひいいぃなんですかその踊りは!!」
蒼「なにって、ゴーゴーだよ」
体育で足を挫いてしまった翠星石。仕方がないので蒼星石が翠星石をおぶって帰る道中。
翠「恥ずかしいですぅ・・・。」
蒼「仕方がないだろう、君は今自分で歩けないんだから・・・っていうか翠星石少し太った・・・?
前より重くなってるよ。」
翠「うるせぇ~ですぅ~!」
蒼星石の首を絞める。
蒼「ぐっ・・・く、苦しい・・・わ、悪かったよ、謝るから放して・・・。」
首から手を放す。
翠「まったく、蒼星石は口が悪いのです。」
蒼「君には劣るけどね・・・。」
翠「む、減らない口ですねぇ。そんな奴にはこうしてやるです!」
ぎゅっ。後ろから蒼星石を強く抱きしめる。
蒼「ちょ・・・ちょっと、翠星石!?」
翠「・・・・・・いつも有難うです、蒼星石・・・・・・大好きですよ・・・(////)」
蒼「・・・有難う・・・僕も君のことが大好きだよ・・・(////)」
こうして二人は仲良く帰っていきました。
『輝く星に願いを込めて』
何のために生きているかなんて、誰も知らない。輝く星たちに質問しても
輝き方を教えてくれる星はない。涙を流すことに、理由はいらないだろ。
授業中、ふと思うんだ。見えていないところでも、星は輝いているって…。
蒼「そんな風に、思うことは変かな?」
水「え?ごめんなさぁい、MD聴いてて、わからなかったわぁ」
蒼「はぁ…。良いよ、別にどうでもいい話だし」
水「えぇ?言ってよ、気になるじゃなぁい」
蒼「…もう忘れた」
水「そんなぁ~。思い出してよぉ~」
今聞いてる授業に、意味はあるのだろうか。ボランティアをしても世界
の全てを救うことなんて、出来ないじゃないか。でたらめで、無駄なこと
ばかりじゃないか。例えば、生きるとはこうだなんて、定義があれば良かったのに。
雛「ねえ、見てぇ、梅岡先生の似顔絵を描いたのぉ」
蒼「全然、似てないよ。それより、授業をちゃんと聞こうよ」
雛「うゆ~、蒼星石は厳しいのぉ」
蒼「ノートに落書きしてちゃ、提出する時に怒られるよ?」
雛「うにゅ~それは勘弁して欲しいのぉ~。今すぐ消すのぉ」
僕が、こうして何気ない日々を過ごしている間に、誰かが死んでる。
誰かが殺されてる。飢えに苦しんでいる人がいる。
ああ、自分がこんなにも無力だったなんて知らなかった…。
学校が終わり、僕は翠星石と一緒に帰る。踏み切りの前で止まって
いると、線路を歩く小さな猫がいた。このままでは、轢かれてしまう。
思わず、飛び出そうと思ったけど、止められた。どうして?
翠「止めとくです!今飛び出したら、電車に轢かれるです!」
蒼「でも、このままじゃ、あの猫は…」
翠「自分の命と、猫の命、どっちが大切なんですか!?」
蒼「でも早く助けないと!」
大きな、電車の警笛が鳴る。僕たちの前にいた猫が、姿を消した。
目を瞑ってしまった。猫は、僕が助けなかったせいで、死んだんだ。
もっと早く助けに行けば、猫は死なずに済んだのに……。
翠「しょうがないですよ…。蒼星石は悪くないですよ…」
僕は無力だ。猫一匹の命でさえ、救えないんだ。
猫の肉片が、あちこちに飛び散っている。僕はそれを見て吐いた。
せめて美しく、死なせてあげたかった。
翠「だ、大丈夫ですか!?」
蒼「おえぇ!ぼ、僕は…なんて最低なんだ」
翠「ど、どうして蒼星石が最低になるんですか!?」
蒼「助けられなかった…。そのくせ、その猫を見て吐くなんて…」
翠「……蒼星石は…悪くないです。誰も、悪くないです…」
僕には、何も出来ないのか?
僕があの猫に、してあげられることはなんだろう?死んだ存在に
してあげられることは、一体なんなのだろうか…。
夜に置きざりにされたまま、虚しく過ぎていく時間。
翠「ふぁぁ~あ。もう、寝るですよ?明日も学校ですし…」
蒼「うん。先に寝てていいよ」
翠「わかったですぅ~……zzzzz」
翠星石の体に、毛布をかぶせてあげる。僕は眠れなくて、夜空を見上げる。
そこには、昼に隠れていた星たちが、楽しそうに踊っていた。
そんな夜空を眺めていると、あの猫の顔が浮かんでくる…。
蒼「僕にしてあげられること…」
流れ星なんて、流れてはくれない。それでも、僕は願いを込める。
蒼「あの猫が、天国で幸せで暮らしてますように…」
星たちに質問しても、願いを込めても、返事は返ってこない。
そんなことはわかってる。それでも、願いを込める。
無駄なことなんて、本当は一つもないんだ…。
星たちは、返事をしない代わりに、僕の心を照らしてくれた…。
…完。
翠「まったく風邪とは情けねぇやつです!しゃーねーからおかゆでも作ってやるです!」
蒼「汗かいたら着替えないとね!わー(/////)いきなり脱がないでー!」
翠「おかゆです!ふーふー。はい、あーんです!あーんですぅ♪・・・おいしいですか?」
蒼星石のおでこがいきなり・・・・・
蒼「まだ、熱あるみたいだね!あれ、何だか顔まで赤いよ!」
翠「それは大変です!寝てないとダメです!(/////)」
蒼「翠星石何も一緒に寝なくとも・・・僕も一緒に!(/////)」
---------きりとり線---------
J「蒼星石ー、はさみ貸してくれ」
蒼「いいよ、はい」
翠「いいのですか?あのはさみは」
蒼「JUMくんだからね」
翠「ま、まーったく蒼星石は、JUMにばかり甘すぎですぅ」
J「はい、ありがとな」
蒼「どういたしまして」
翠「翠星石のじょうろは貸さねーですよ」
J「ん?じょうろなんて借りる機会ないだろ」
翠「そーですね。そうでしたね…」
蒼(姉さん…)
蒼「ちょっと髪伸びたかなぁ
JUM「切るのか?
蒼「うん。鋏ならあるしね。庭師のだけど。
ザクザクザクザク
翠「切るんじゃねーです翠星石と同じにするですJUM「なんでだよ
翠「それは・・・
蒼「もうすぐテストだからね
JUM「替え玉か・・・
翠「うるせーです
JUM「でもさ、目の色逆だし、お前が髪切ろよ。翠「うわあああ~~ん!チビ人間の馬鹿~です!
おしまい
蒼星石が登校すると下駄箱に手紙が
翠「またですか!これで何通目です?」
蒼「あはは;はぁ~」
翠「また、お断りをしに行くですか?」
蒼「そうなるね!」
翠「蒼星石は真面目すぎです。そんなの無視すれば良いです」
蒼「そうはいかないよ。ちゃんとお断りしないと」
放課後、手紙書かれていた場所へ行く蒼星石。
男「やあ来てくれたんだね」
蒼「ええ一応・・・」
男「で、俺と付き合ってくれないか?」
蒼「ごめんなさい!僕には好きな人が!」
男「えっ、じゃぁ最終手段しかないか」
蒼「最終手段?」
男が蒼星石を押し倒し体を上から押さえつける。
蒼「や、やめてー・・・・う、動けないぃ・・・」
男「チャンスをやろう・・・向かうべき『2つの道』を・・・!!
蒼「(ゴクリ)」
男「一つは、好きなやつを忘れ、これから俺と付き合うか?・・・・・!!
もう一つは、このまま俺の矢で射抜かれ既成事実を作るか・・・・!!
さあ、選べ!!!!!」
蒼「いやー!!!!!!!」
ザッ
翠「向かうべき道が『二つ』あるっていったな・・・お前にそんな多い選択肢はありえないな」
男「ハッ!」
翠「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
男「ぎゃあああああああ」
翠「ゆっくりと味わいな『羞恥プレイを』・・・・」
男「ひいいいい」
翠「たったそれひとつだけだ・・・お前の進む道は」
翠「ごぉ~まぁるさぁ~ん♪ごぉ~まぁ~るさぁん♪えど○ぃん♪」
蒼「へぇ…翠星石がジーパン履くなんて、明日は雪かな?」
翠「な、何て事を言いやがるですか!たまにはこんな格好もいいと思っただけです!」
蒼「へぇ…ジロジロ…」
翠「な、何ですか?そんなに人の顔をまじまじと見つめて…」
蒼「翠星石も案外ジーパンが似合うんだね?」
翠「そ、そりゃ当たり前です!蒼星石が似合うんだから、双子の姉の翠星石が似合わないはずねぇです!」
蒼「うん。まぁ、そりゃそうだけど…!!!!」
翠「?どうしたですか?」
蒼(こ、これ!エド○ィンじゃなくてリー○イスの年代物じゃないか!)
蒼「ねぇ!コレどこで売ってたの!?」
翠「へっ?この前のフリマで買ったですがなにか?」
蒼「そう…(ナデッ!」
翠「キャッ!ど、どうしたですか蒼星石!何で翠星石のお尻を撫でるですか!」
蒼「いい!いいよこの艶!この生地の質感!ねぇ?もっと近くで見せて!てか、脱いじゃって!(ガバッ!」
翠「きゃああああああ!!!!!」
『ある薔薇双子の幸せ』
「のびやかに~、すこやかに~」
声に乗せて、踊るように草花に水を撒く。
「ふふ、楽しそうだね、翠星石」
僕はそんな彼女に声をかけてみた。
「花たちがこんなにきれいに咲いているからです。蒼星石だって笑ってるですよ?」
僕が笑ってる?本当だ。ふふっ、言われて初めて気づくなんておかしいや。
「僕も同じさ。楽しいから」
どちらからともなく声を出して笑い始める。それを遮って2つの音が鳴った。
「オーブンの音ですぅ。クッキーが焼けたですね」
同時に鳴ったのはインターホンのようだ。
『おはよう・・・って、何してんだお前ら?』
『あらぁ、ジュンじゃな~い』
『釣りしてる・・・』
『そ、そう・・・』
やってきたのはジュン君みたいだ。そういえば、真紅がデートがどうとか言ってたっけ。
「翠星石はクッキーを用意しといて。僕はジュン君を連れてくよ」
「ラジャーです!」
庭の手入れに使っていた鋏を花壇に立てかけて家に上がり、玄関へ向かう。
「おじゃましまーす」
「おはよう、ジュン君」
ドアから顔をのぞかせたジュン君はいつもより少しおしゃれしてるように見えた。やっぱりデートなんだな・・・
「悪いけど、今真紅はいないよ」
ちょっと意地悪な言い方をしてみた。
「ええ!?な、なんで?」
案の定というか、彼は期待以上のリアクションをしてくれた。むしろそこまで驚かれるとこっちが困る。
「ふふ、紅茶の葉が切れてるから買いに行ってるだけだよ」
「ああ、そっか」
良かった。どうやら納得してくれたようだ。
「すぐ戻ってくると思うから、上がってきなよ。ちょうどクッキーも焼けたところだし」
「サンキュ。そうさせてもらうよ」
彼にそう言って、僕は庭の方の片付けに向かった。
「おいしそうに焼けてるですよ~!」
「う、うわっ?」
部屋に入ってきたのは蒼星石ではなく、ジュンだった。改心の出来のクッキーを一番に見せてやろうと思ったのに。
「なんだ、お前かです」
ついそう口走ってしまった。
「お前とは何だよ、お前とは」
ジュンの抗議を無視して、クッキーをオーブンの皿から器に移していく。
「真紅ならいないですよ」
「蒼星石から聞いたよ。すぐ戻ってくるんだろ?」
「あと15分もすれば帰ってくるんじゃないかですぅ」
真紅の行きつけの店までの距離を考えればもう少しかかってもおかしくないが、彼女とジュンの仲のよさは周知の事実であり、ましてや今日はデートなのだ。もっと早いかも知れない。
「そっか。なあ、ところで・・・」
その声に反応して振り向くと、ジュンはクッキーに手を伸ばしていた。
「待てですうぅぅ!」
私は慌ててそれを止める。
「うわっ、なんでだよ!?」
まずは蒼星石に味見をしてもらいたい。でも、それはこいつに言う事でもない。
「そ、それは・・・」
タイミングのいいことに、そこへ蒼星石が戻ってきた。
「これを食べろです~!」
そう言いながら、クッキーを蒼星石の口に押し込む。
「もがっ・・・んぐんぐ」
なんとか食べれているようだ。
「味はどうですか!?」
「ごっくん・・・おいしい。うん、おいしいよ!」
良かった。どうやら見た目だけでなく味も改心の出来のようだ。
「やったですぅ~!」
「あ~、よかったよかった。だから俺にもくれないか?」
おっと。あまりの喜びにジュンを放置してしまっていた。
「へっ、食わせてやるです!」
私はそう言って、クッキーを机に置いた。
「じゃあ、僕は紅茶を入れてくるね。ティーパックだけど」
蒼星石は紅茶を取りにキッチンへ消えていった。ジュンはそれを待たずにクッキーを食べ始めていた。
「ほんとだ。すごいうまいよ、これ」
「当たり前です。翠星石が作ったんだからおいしいに決まってるです!」
私は心の底に残る喜びを抑えてそう言う。
「真紅もこれぐらいうまいもん作れたらな~」
彼は軽くうなだれてため息を吐いた。しかし、そこへ蒼星石が声をかける。
「駄目だよ。翠星石はやるだけやって後片付けしないから」
うっ。痛いところを・・・
「と、ところでさっき何か言いかけてなかったですか?」
強引に話を変える。紅茶を持ってきた蒼星石が笑っていたが、目で黙らせた。
「ああ、そうそう。外で水銀燈と薔薇水晶が釣りしてたんだけど、何で?」
成功したようだ。そういえば、水銀燈達を見ないと思ったら、そんなことしてたとは。
「魚が食べたかったからじゃないですかぁ?」
そう思ったから、素直に答えてみた。要領を得ない様子のジュンに蒼星石がフォローを入れる。
「家は手に入るものは自足するようにしてるから。庭の花もほとんどは食べれる野菜だよ」
「へえ~、人数多いと食費も馬鹿になんないってことか」
どうやら納得したようだ。
それからクッキーと紅茶を食べながら他愛も無い話をしていると、真紅が帰ってきた。
「ただいま」
「「「おかえり~」」」
3人の声が被った。
「あらジュン。もう来てたのね。なら早速だけど、紅茶を入れなさい」
いつもの台詞からも、喜びがにじみ出ているようだ。私が蒼星石に目配せをしようとすると、彼女もちょうどこっちを見ていた。
それだけで意思を伝えて、行動に移す。
「じゃ、私達はここらへんでいなくなるですぅ~」
「頑張ってね、ジュン君」
なるべく小さく言ったつもりだったが、条件反射で真紅の買ってきた紅茶を入れていたジュンがこちらに気づいた。
「お前ら、何か用事でもあるのか?」
テーブルについた真紅がこちらを睨んでいる。早く行きなさい。目でそう語っていた。
「は、花屋のバイトですぅ~」
「そうそう。じゃっ、行ってきま~す」
困った。花屋のバイトに行くのは本当だけど、どう考えてもいつもより30分は早く出たことになる。
「時間余っちゃったね」
僕がそう言うと、翠星石は笑って答えた。
「ならゆっくり歩いていけばいいです」
「うん、そうだね」
口ではそう言ったが、当たり前のようにそんなことが言える彼女を僕は少し眩しく感じた。
「あ!見るです、蒼星石。あそこの家の垣根に、さざんかが咲いてるです~」
翠星石がその垣根に向けて駆けていく。
「翠星石はほんとに花が好きだねえ・・・」
「そりゃそうです!花は人間なんかより素直ですから」
やれやれ、姉さんの人見知りにも困ったものだ。そんなことを考えているうちに、彼女はさざんかに見入っていった。
「きれいです~・・・」
しかし僕が翠星石の横に行くと、その時にはなぜか彼女の顔は暗くなっていた。
「でもこの花もいつかは散ってしまうんですね・・・」
その姿を見て、僕は反射的に思いを口に出していた。
「僕はずっと一緒にいるよ」
「えっ?」
彼女は驚いた顔をしていた。我ながら随分大胆な事を言ったと思ったが、反芻してみてもおかしいとは思わない。これが僕の本心だ。
「私も・・・私も蒼星石とずっと一緒です」
僕はその言葉を聞いて、横から翠星石の肩を抱き寄せた。
翠星石も僕に身を寄せてくる。
彼女が僕のそばにいる。それだけで僕は幸せなんだ。
この頃蒼星石と一緒にいない。いやいれない。二人っきりがいいのにいつも誰かが蒼星石の横にいる。邪魔だった。
お前達はただ高校で同じクラスになっただけだろう?
どうして?
生まれてからずっと一緒だった私が引き離されなければいけないんだ。
A「あははは・・」
蒼星石の横で女が笑う・・・その場所は私だけの物だったのに・・・その笑顔は私だけの物だったのに・・・・
今日のつまらない授業はもう終わった・・早く帰って蒼星石を独り占めしよう・・
翠「蒼星石一緒に帰ろうです・・」
蒼「あぁ・・ゴメン翠星石・・今日はちょっと友達と寄るところがあるんだ・・・先に帰っててくれるかな?」
友達?私は?私のことは大事じゃないの?
翠「・・・・・」
蒼「翠星石・・?」
翠「そうですか!じゃあ翠星石は先に帰ってるです!友達と一緒に楽しんでくるですぅ!」
嘘だ。本当は自分と一緒にいて欲しい・心の中では少し期待していた、やっぱり今日は行くのやめるよ、そんな言葉を待っていた・・・でも
蒼「そう・・じゃあゴメンね!早めに帰ってくるから!」
行ってしまった・・・やっぱり友達が大事なのか・・・・悔しい悔しい悔しい・・・!
真「翠星石・・?」
真紅の言葉でふと我に返る、いつのまにいたんだ
翠「なんですか・・」
真「いや・・あなたと一緒に帰ろうと思ってね・・帰る人がいないんでしょ?・・あぁ、 私だけじゃないわよ、水銀燈も金糸雀も
雛苺も薔薇水晶もいるわ」
なんだ聞いてたのか、そう思ったが別に間違ったことは言われてない、実際一緒に帰る人はいない、一緒に帰らせてもらうか・・・
翠「そうですね・・・一緒に帰ってやるですぅ」
真「フフッ・・全く・・じゃあ、みんなの所に行きましょうか?」
みんなで商店街を歩いて帰る。八百屋もあるし服屋もある・・そういえば蒼星石はどこに居るんだろう・・・?まぁいいや・・
水「それでさ・・梅岡ったら、ちびっちゃったのよねぇwww」
雛「あはははwwおかしいのぉww」
前を歩く水銀燈達が今日の出来事を話している・・あぁ、そういえばそんなこともあったかな・・
梅岡・・あいつはそんなに好きじゃない、いつも蒼星石との関係を「禁断の姉妹愛」だとからかってくる・・・まぁ今は別にどうでもいいか・・
真「・・・・・」
真紅が自分の顔をジーッと見ている・・何かついているのだろうか・・
翠「何ですか真紅?・・翠星石の顔に何かついてるですか・・?」
真「いえ・・別に・・ただ何となく浮かない顔してるから・・」
翠「そんなことないですよ」
即答する。こういう事にはやけに真紅は鋭い・・さっさと帰ろう・・
真「・・嘘はつかない方がいいわ」
あぁ!鬱陶しい!
翠「だからぁ!そんなことないって・・・!」
言葉が止まる、目の前の光景に絶望した。
蒼星石と同じクラスの女子がキスをしていた
翠「蒼星石に何してるですか!!!!」
考えるよりまず体が動いた、早く引きはがさなければ私の蒼星石が・・・!
真「ちょ・・!翠星石待ちなさい!」
真紅が後を追ってくる、でもそんなの知らない・・・・
翠「早く蒼星石から離れるです!!!!」
叫んだ、商店街に居る人が一斉に自分の方向を見るけれどどうでもいい・・
気づいたら女子達の目の前にいた・・早く離さなきゃ・・
腕を振り上げる
真「まちなさい!!翠星石!!!」
真紅がこっちに走ってくる・・・
蒼「まって!翠星石・・落ち着いて・・!!」
蒼星石も何か言っている
でも・・・そんなの 関 係 な い
ばきっ
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る
あははああ、私の蒼星石にあんな事するからいけないんだ・・・・
翠「はぁ・・はぁ」
どれくらいたったのかよく分からない・・ただ、自分が誰かを殴り続けていたのは分かる
・・誰を殴ってたんだっけ・・・あぁ・・そうか・・蒼星石にキスをしていたあの女か・・フフッ・・これでこりただろう
翠「どうですか・・金輪際蒼星石に近寄らないとちかいますか・・・」
私は先程まで殴っていた女を見た、でもそれは違った・・女じゃない・・誰?・・
顔は私が殴っていたせいか血で真っ赤に染まっている・・見覚えがある・・いつも見ている気がする・・いや、見ている?
翠「・・蒼星石ぃ・・?」
これは蒼星石私の妹・・え?そんなはずない・・だってだって私は蒼星石を助けようと・・・でも現に私が憎くて堪らない女は蒼星石の名前を必死に呼んでいて・・・
どうしようどうしようどうしよう・・
真「翠星石!あなたはなんてことをしているの!!」
翠「えぁ・・違う・・違う翠星石は・・・翠星石は・」
違うんだ・・違う・・そう思っていたら水銀燈達も後ろから追いついてきた
水「いったい何があったの!」
どうすればいいんだ
真「ちょうどよかったわ水銀燈!蒼星石が・・大変なの!」
水「えっ蒼星石が!!」
どうすれば・・・・・・
雛「真紅~周りに人がいっぱいいるの~」
金「・・ここはひとまず誰かの家に行ったらどうかしら?」
真「そうね・・・」
水「じゃあ、私の家に行きましょう!救急箱もちゃんとあるわ」
水銀燈が蒼星石をおんぶしている・・・おぶわれている蒼星石の目は固く閉じられている
・・私のせい・・・私が蒼星石を殴ったから・・・
真「翠星石!!!!!何してるの!!早くこっちに来なさい!」
真紅が叫んだ
翠「でもぉ・・私は蒼星石を・・・」
真「いいから早く!!!」
私は慌てて真紅達の後を追った
水「ふぅ・・・やっとついた」
走ること数分私たちは水銀燈の家に到着した。ついたらついたでみんな蒼星石の手当を始めた、私は見ているだけしかできなかった。
すると、突然女子が私の方に寄ってきて
女「あんた!何してるの!!バカじゃないの!!蒼星石になにしてるのよ!!あんた達姉 妹じゃないの!!」
何を言ってるんだ・・元はといえばお前のせいだろう・・・!!
翠「・・・・・」
女「何か言いなさいよ!!!この!クズ!!」
腹が立った・・・むかついた・・だからまた拳を振り上げた
翠「お前が!!お前が・・!!!翠星石から蒼星石を奪ったです!!お前なんかただ高校で一緒になっただけのくせに・・・
蒼星石と翠星石は生まれたときからずっと一緒だったのに・・・・!!」
振り上げた拳を振り下ろした
女「・・・・ッ!!」
パチンッ!
頬に痛みがはしった・・・横を見ると真紅が私を睨んでいる
真「貴方は・最低よ・・・そんなことでこの女に手を挙げようとするなんて・・この大バカ者」
雛「・・そうなの~・・翠星石。翠星石はいつも優しいの・・だからこんな事で怒っちゃダメ
なの・・」
蒼「・・・・・そうだよ」
ふっと顔を上げる。そこには頭に包帯を、顔には絆創膏をはった妹が立っていた
水「蒼星石・・まだ立たない方がいいわ」
蒼「いいんだ・・ありがと水銀燈」
ふらついた足取りで私の方に向かってくる蒼星石、すると私の目の前で膝をついた
蒼「・・翠星石・・どうしてこんな事をしたの・・?」
翠「・・・・・・・」
答えられない
蒼「黙っていちゃ分からないよ・・翠星石」
翠「・・・・・」
蒼「翠星石・・・」
翠「こわかった・・・」
声が震える
蒼「・・・・・」
翠「怖かったんです・・蒼星石があいつと仲良くすると・・蒼星石がどこか遠くに行っちゃうんじゃないかって・・」
こんなの私のいいわけにすぎない
翠「今日私が一緒に帰ろうって言ったの覚えてますか・・?・・蒼星石は友達と用があるからと言って行ってしまったです・・・」
蒼星石はずっと私を見つめている
翠「悔しかったです・・なんであんな奴と一緒に蒼星石がいるのかって・・・だから・・だから・・・商店街で蒼星石がキスを
してるのをみたら・・なんか頭が真っ白になって・・・」
一瞬の間をおいて蒼星石が口を開いた、と思ったら
女「はっ!!そんなんで怒ってるの!!バカみたい」
女が言った。私はなにも言えなくなった、その通りだった。こんなくだらない理由で私は・・・私は・・・
すると蒼星石がいきなり立ち上がり
蒼「・・確かに翠星石は間違っている・・・」
心がズキンと痛む
蒼「・・でも・・そんな形でも・・ボクのことを好いてくれたのはとても嬉しい・・」
蒼星石は私に笑顔を向けた
翠「・・・・・蒼星石」
女「はぁ?・・もうあんた達ワケわかんない・・蒼星石になんかキスすんじゃなかったわ
ホントワケ分からない・・あぁ、もうバイバイ・・あたし帰るわ」
女は帰っていった、私にとっては良いことだが蒼星石はいいのだろうか友達なのに・・
翠「いいんですか・・追わなくて・・」
蒼「いいんだよ・・今更追ってももう遅いしね・・それに彼女の事はあまり好きじゃなかったんだ・・
それよりゴメンね・・寂しい思いさせて・・」
あぁ・・なんて優しい子なんだ・・悪いのは私の方なのに・・こんな怪我させたのは私の方なのに・・・・・
ゴメンナサイ・・本当にゴメンナサイ・・蒼星石
翠「ウゥ・・エグッ・・ごめんなさいです蒼星石・・・蒼星石ぃ・・」
蒼「うん・・いいよ・・翠星石・・・だから・・もう泣かないで・・ね?」
そんなこと言ったらまた涙が出てくる
翠「はいですぅ・・エグッ・・」
蒼「もう・・泣いちゃダメだろ・・?さぁ、涙を拭いて・・」
私の涙を蒼星石の手が拭う
ごめんなさい蒼星石、ありがとう蒼星石
これからもよろしくお願いします・・・・
終わった・・ごめん何か微妙だ・・翠星石元に戻ってるし・・
もし仮にまとめにのるようなことになってものせないで・・
『雛の下克上【蒼星石編】』
ふふ~ん♪悪役には飽きたけど、コイツをとっちめるまで終われないの。
そう、それがヒナのジャスティスなのよー!!!
今夜はパジャマパーティーなの~♪蒼星石をもてあそぶのよ~♪
…っと言う訳で。
~夜(翠&蒼宅)~
雛「ヒナねぇ悩みがあるのぉ。」
翠「ちびちびにも悩みがあるなんて意外ですぅ。」
蒼「僕でよかったら話してよ?」
ふん。この際翠のばかちんは放っておくのよ!
雛「あのね…胸……なのよ。最近男子がヒナのオッパイばっかり視るのよぉ。」
翠・蒼「………」
ふっふ~ん♪絶句してるの~♪全然悩んでないのよ?むしろ自慢?
翠「やい!ちびちび!!そりゃ自慢ですか!?」
雛「違うの。男子の目が怖いのよー。」
蒼「羨ましい悩みだね。(苦笑)」
雛「羨ましい?蒼星石もおっきくなったらヒナの気持ち解るもん!!(抱き!)」
むふっ♪読み通り!!蒼星石破れたり!!!!
蒼「ちょっ!!なっ!?やめ…ぁん…。」
おおぅ…薔薇しぃ~の気分が判ったのよー♪蒼星石のオッパイ小振りでかわいいの~♪
次は…耳にふぅ~…ぺろん…
蒼「はぁ……み…耳は…んぁ…はぁ…」
雛「耳は何なの?ねぇ?」
翠「………(ドキドキ)」
ぅゆ?翠星石がモゾモゾしてるのよ?
雛「翠星石も…?」
翠『ぽかっ!!』
翠「蒼星石が嫌がってるです!やめるですよ!!」
雛「痛っ!イヤだったの?蒼星石ぃ?」
蒼「う…ん……イヤ……じゃない…。」
翠「そそそ蒼星石!!!!何をトチ狂ってやがるですか!?」
雛「じゃぁ翠星石もなの~!!(抱き!!&モミっ!!)」
翠星石は…首筋に…ちゅっ…
翠「なっ…やめ…ちびちび…ぁ……。」
ほっほぅ。これは蒼星石より少し大きいの…
蒼「雛…苺……僕も…」
うはっwwwwwww乗ってきたwwwwwww
翠「ぁあっ…ん……女の子同士は……ダメ…ですよぉ…んっ」
蒼「お…姉ちゃ…ん…んんっ…かわ…いいよぉ…」
さて、ヒナは見学させてもらうの♪この二人は薔薇より百合の方が似合うのね~。
翠「ぅん…蒼星石もぉ…かわいい……ですよぉ。」
蒼「はぁ…汚して!!ぼくを汚してぇ!!!」
翠「蒼星石……蒼星石ぃ!!!」
翠・蒼「い…いっくぅぅう~~!!!!」
…………………。
すんげ~のよ~。とっちめるつもりが新しい世界に目醒めさせたみたいなの~。
翠「雛苺ぉ…おまえも…来るですぅ…。」
やばっ矛先が……ヒナは百合には興味無いの~!!雛「あ…っと、用事思い出したの!!今日は帰るのよ~」
『かちゃ…ん』
ん~?かちゃん?まさか…
蒼「んふふ。逃がさないよ…雛苺…。」
いやぁ~~~~~!!!!!!
~蒼星石編・終了~
『いつか僕の腕の中で』
今日の園芸部は忙しかった。
植木鉢やプランターの植え替え、つるを巻かせるための支柱を立てたりなどなど・・・・・・
それらの仕事を僕と翠星石の2人――といっても、園芸部の部員は僕たち2人だけしかいないけれど――でやらなくちゃいけなかったからだ。
おかげで、全て終えた頃には初夏の長い日がとっぷりと暮れてしまっていた。
「ふい~、ようやく終わったです。蒼星石、帰るですよ」
植え替えた草たちに水を撒き終えた翠星石が、思いきり伸びをする。
「うん、そうだね」
僕は2人分の荷物を持ってきて、片方を彼女に渡す。僕たちは揃って学校を出た。
薔薇学園前駅はその名の通り、学校の目の前にある。いつもは学生でにぎわっているが、さすがにこんな時間になると人っ子一人いなかった。
「眠いのですぅ・・・・・・。蒼星石、着いたら起こすです・・・・・・」
ようやく来た電車に乗るとすぐ、翠星石はそう言ってすぐに寝てしまった。
「はいはい」
そう言う僕も大分眠くなってきていた。僕たち2人以外に誰もいないこの状況では、線路から伝わる規則的な振動が眠気を助長してくるのみだ。
僕はまぶたをこじ開けるために近くの窓を開け
「はっ!?」
今、僕ひょっとして寝てた?
そう思って外を見ると、そこにはさっきより明らかに暗くなった空。そして、開け放たれた窓から吹き込む風は・・・・・・
「潮の香り!?ちょ、ちょっと翠星石!」
僕の肩に寄りかかって寝ている翠星石を揺り起こす。
「ん~、もう着いたですかぁ?」
何を呑気な・・・・・・
「ね、寝過ごした!海まで来ちゃったよ!」
「なんだ、そんなことで――ええ?」
ようやく目が覚めたようだ。そんな僕たちに、車掌のアナウンスが無常な事実を告げた。
『間もなく終点、終点~。本日は薔薇鉄道をご利用いただきましてまことにありがとうございました。なお、本車は本日の終電となっております~』
「へ?」
「うん、そういうわけだから・・・・・・迎えにきてくれる?」
終点になっていた駅は無人駅だった。
電車も倉庫にでも行くのかすぐに出て行ってしまったので、携帯電話を持っていない僕たちはやっとの思いで電話ボックスを探し出し、家に電話をかけた。
「もう、しかたないわねぇ。分かったわ、駅の近くで待ってなさい」
電話に出たのは水銀燈姉さんだった。気づけば、おそらくもう雛苺たちは寝てしまっている時間だ。
「ほんと?ありがとう。うん、分かった。じゃあね」
姉さんは迎えに来る事をあっさり了承してくれた。とは言っても、帰ったら多少なりとも怒られるんだろうけど。
「水銀燈姉さんが迎えに来てくれるってさ。ここら辺で待ってよう」
僕は電話ボックスの外で待っていた翠星石にそう声をかけた。
「は、はいです・・・・・・」
どうもさっきから彼女の様子がおかしい。
「どうかしたの?」
彼女は答えず、ただうつむいているだけだ。体の調子が悪いわけではなさそうだし、この気温なら寒いっていうわけでもないだろう。
昔はこんなことはなかった。翠星石のことは自分のことのように分かったし、逆もそうだった。
段々彼女の気持ちが分からなくなってきたのは高校生になった頃から・・・・・・そして、彼女に双子の姉に対するものとは違う感情を抱き始めたのもその頃からだった。
いつもと違って翠星石が喋らないので、自然と沈黙が降りる。なんとなく気まずくなってしまった。こんなことも初めてだった。
しばらくして、僕は彼女が声を抑えて泣いていることに気づいた。
「どうしたの?翠星石。何で泣いてるの?」
さっぱり分からない。僕が何かしたのだろうか。
「うっ、ひっく・・・・・・ごめんです、蒼星石ぃ」
今度は突然謝られてしまった。事情の飲み込めない僕は目を丸くしていた。
「何で?教えてよ、翠星石」
僕がそう促すと、彼女はぽつぽつと語り始めた。
「翠星石は、降りる駅に着いたときに起きていたのですぅ・・・・・・でも、蒼星石の寝顔を見てたら、まだ家に帰りたくないって思ったのです!」
これには確かに驚いた。だがしかし。
「なぁんだ、そんなことか」
「え?」
僕がそう言うと、彼女は驚いて僕の目を見上げた。
「姉さんとなら僕はいつでも、どこへだって行くよ」
僕の紛うことなき本心だ。だって僕は彼女を・・・・・・
「そうせいせきぃ~」
彼女が僕に跳びついてきた。慌てて受け止めると、抱き合う格好になってしまった。僕は気恥ずかしさを覚えて、軽く体を離す。
「まだ水銀燈姉さんが迎えに来るには時間があると思うんだ。だからさ」
そこで一度言葉を切ると、彼女は先を促すように僕の目を見た。
「海、行かない?」
街灯の明かりが目の前の海を幾分幻想的に映し出していた。
「綺麗です~」
翠星石はさっきまで泣いていたのに、今は極上の笑顔に変わっていた。
「うん、そうだね。本当に」
僕がこう言ったのは海に対してだけじゃない。僕は目の前の姉を見ていた。
彼女はしばらく呆けていたが、突然靴を脱いで海へ向かっていった。
「あ、濡れちゃうよ、翠星石!」
聞こえていないようだ。彼女は波打ち際で立ち止まり、こう言った。
「蒼星石、あれ!あれ見るです!」
僕は彼女の後ろまで駆けて行った。彼女が何を見ているかはすぐ分かった。少し遠くの、入り江になっている部分。そこに、一輪の花が咲いていた。
「何が咲いてるか、分かるの?」
「分からないです。でも、綺麗なものは綺麗なのです!」
僕にはそんな発想は無かった。
「翠星石・・・・・・」
僕の前に無防備に立っている翠星石。この上なく美しいと思える僕の姉。
彼女を僕のものにしたい。彼女のものになりたい。
僕は後ろから彼女を抱きしめようとして・・・・・・やめた。言ってしまえば、怖かったのだ。
翠星石。今はまだ勇気が足りないけれど。
いつか、僕の腕の中で・・・・・・
「風邪引きの平日」
翠「うー…」
布団の中で大きく伸びをする。風邪を引き始めてから今日で二日目。
温かい格好をしてゆっくり寝たはずであるのだが、運の悪いことに昨晩よりも悪化しているようだ。
今日はもうダルくて起き上がる気すら起こらない。きっと熱も上がっているんだろう。
けほけほと咳をしながら、同じく風邪を引いて寝込んでいるはずの蒼星石のことを考える。
この風邪の原因にもなったあの日。蒼星石の告白。思い出すだけで、熱とは別の意味で顔が熱くなった。
思わず、近くに置いてあった大きな兎のぬいぐるみを引き寄せてボカボカ殴る。
そんな時、部屋の扉が開かれて、
蒼「翠星石?起きてる?」
お盆に色々載せて蒼星石がはいってきた。
驚いた翠星石は、思わずぬいぐるみを放り投げた。
翠「なにやってるのです!蒼星石も風邪引いてるんですから、
看病はおじじとおばばに任せて寝ているのです!」
蒼「おじいさんはお店に出てるし、おばあさんも今買い物だから…
僕の事は気にしないで。翠星石よりは体調もいいみたいだし」
そう言って、軽く咳をしながら、お盆を横に置く。
蒼「大丈夫?昨日よりもぐったりしてるし、顔も赤いみたいだけど…」
顔が赤いのは、少なくとも熱の性ばかりではない。
翠星石は、照れ隠しのように布団からガバッと起き上がった。
翠「だ、大丈夫ですよ!よくなって来てるので…すぅ」
しかし、起き上がったとたん眩暈に襲われて、すぐにまたひっくり返ってしまう。
蒼「ほら…だから、無理しないで。」
翠「うぅ~…」
布団をかけられて翠星石はうなる。
蒼「台所にりんごがあったから切って持ってきたけど、食べる?」
翠「もらうですぅ…」
蒼「うん、わかった。」
蒼星石は、お盆の上に置いてあった一口サイズに切ったりんごにフォークを刺して、
翠星石の口元まで持って来る。
蒼「はい、あーん」
ごく自然にそう言うことをしてくる蒼星石に、翠星石は顔から火が出そうだ。
翠「そ、蒼星石…」
蒼「どうしたの?」
翠「ちょ、ちょっと恥ずかしいかも…ですぅ…」
消え入りそうな声。それを聞いたとたん、蒼星石の顔も真っ赤に染まる。
蒼「え、えっと、これは…ほ、ほら!翠星石今起き上がれないし、
それに、僕たちいちおう今こいび…と…だし…」
あたふたと言い訳をするが、結局互いに顔を赤らめたまま暫く無言の時間。
蒼「…はい」
翠「あーん…ですぅ」
そのうちに、再び差し出されるりんご。照れながらそれを口に含む翠星石。
りんごは、色が変わらないように塩水が振ってあって少ししょっぱかったけれど、
みずみずしい味とその冷たさが、熱のある翠星石には気持ちよかった。
翠「美味しいです!」
蒼「そっか。よかったぁ…もう少し食べる?」
翠「もちろんです!」
その後、翠星石は残りのりんごも蒼星石に食べさせてもらった。
そして最後のひとかけら。それも差し出そうとした蒼星石に、翠星石は布団から手を伸ばす。
翠「最後のひとつくらい…翠星石が食べさせてやるのですぅ!」
フォークを取り上げて、蒼星石に向かって突きつける。
翠「はい、あーん、です!」
蒼「……あーん」
ぱくっ
蒼星石は、最初の翠星石と同じように照れながら、差し出されたフォークからりんごを食べた。
蒼「あ、たしかにこのりんご美味しいね!」
微笑む蒼星石。
翠「うん!美味しいのですぅ!…蒼星石が、食べさせてくれたですし」
蒼「!…あはは、じゃあ、僕このお皿片付けてくるね。
薬と水は、お盆の上に載ってるから…飲んでおいて!」
さらに紅くなった頬をかくすように慌てて立ち上がって出て行こうとする蒼星石。
慌てすぎたのか、部屋の入り口の扉に体をぶつけてしまっうが、
蒼星石に向けて再び照れ笑いをして出ていったのであった。
<「風邪引きの平日」前編・終>
翠「蒼星石~♪」
蒼「うひゃあ!すすす翠星石!!こんなところで抱きつかないでよ!!(胸があたる///」
翠「?・・何を恥ずかしがっているですか?私たち双子じゃないですかぁ♪(ギュッ」
蒼「ちょwまw強く抱きしめると胸があたqあwせdrftgyふじこlp;@:「」」
鼻血が吹き出る蒼星石
翠「ちょっ、蒼星石!!どうしたんですか!蒼星石!」
水「あらまっ、蒼星石の鼻から噴水のごとく鼻血がでてるわぁ
真「本当だわ、見事ね」
雛「そうなのー、赤い噴水なんて滅多にみれないのー」
金「今のうちに写真を撮っておくかしらー」
薔「・・・・みんな・・テラヒドス・・・」
ダーッと流れるラブレター・・蒼星石はまたか・・、といい私はモテモテですね・・とつぶやく。・・凡そ2~30通か・・さすが我が妹です!!・・
と褒めたいたいところだがこのラブレターをくれた人はみんな女の子だ。
蒼「う~ん・・気持ちは嬉しいけど・・なんだかなぁ・・」
蒼星石は心底困っていた、この子は優しいのでラブレターをくれた人にはきちんとあって丁寧にお断りする・・
私ならこんなの絶対無視だ・・そんなことを考えていると先程までラブレターを読んでいた蒼星石が
蒼「やばい!早く行かなきゃ!時間が・・!」
そういうといきなり走りだした
翠「ちょっ蒼星石!!どこいくですかぁ!!」
蒼「あぁ!翠星石!ゴメン!」
蒼星石は私の方に急いで戻ってきた
蒼「あのね、ボクがもらったラブレターあるじゃない?・・その中の一枚の約束の時間がもうすぐなんだ!だから早く行かなきゃ!」
蒼星石は一気にそう言うとまた走り出した・・足が速いのですぐに見えなくなる・・って何をボーッとしているんだ!私、早く追いかけなければ!
翠「はぁ・・はぁ・・蒼星石・・足はやすぎですぅ・・」
つ・・疲れた・・何とか追いついたが死にそうだ・・しかしそうこうしてるうちに女の子から
蒼星石への告白は始まっていた・・
A「蒼星石さん!付き合ってください!私本気なんです!」
女の子が必死に蒼星石に自分の気持ちを伝える・・蒼星石は静かにその女の子の話を聞いている・・・はぁ・・結局断るんだから・・
スパッと「付き合えません」って言えばいいのに・・ すると今までAの話を聞いていた蒼星石が
蒼「そうなの・・ありがとう」
A「えっ・・じゃあ付き合ってもらえるんですか!」
Aの目が輝く、私の心は波が立っている・・嘘だ・・蒼星石がこいつと付き合う?冗談じゃない・・
蒼「ううん・・ちがうよ・・ボクは君とは付き合えない・・いや付き合わない」
やっぱり!!蒼星石は付き合う気なんて無かったんだ!バンザーイ!!
しかしAは納得していないようで
A「・・どうしてですか?私はこんなに蒼星石さんの事が好きなのに・・!」
そう言うとAは蒼星石に抱きついた・・おいおい・・Aよぉ・・私の蒼星石になにしとんじゃーー!そういって殴り込もうとした私、でも
蒼「離れてくれるかな・・ボクしつこい人は嫌いなんだ・・それに好きな人居るし・・」
A「・・分かりました・・それじゃあ・・最後に一つ・・バーカ!!」
そういうと女の子は手元にあったカンを蒼星石にむかって投げた
スコーン!
いい音がした・・良い肩をしてる・・ソフト部か?・・じゃなくて!!あのクソアマ!!蒼星石にカン投げやがった!!
今度合ったら・・・地獄送りじゃ!!
そう頭の中で考え私は蒼星石の元に急いだ、カンはどうやらおでこにあたったらしい・・うっすら血が滲んでいる
蒼「いてて・・」
翠「な