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水 「薔薇水晶…起きなさい、朝よぉ…。」
薔 「むぅ…あと五分…。それに今日…休み。」
水 「何言ってるの、ほっとくとお昼まで寝てるでしょぉ…。だいたい、何で私が起こしてあげなきゃいけないのよぉ…。」
薔 「…妹特権。」
水 「何それ…。とにかくさっさと起きなさぁい…。」
薔 「ふぁい…。」
寝ぼけ眼をゴシゴシと擦りながら体を起こす。
水 「顔洗って、さっさと着替えなさい…直に朝食よ。」
水銀燈はぽんと薔薇水晶の頭を叩くと部屋を出て階段を下りる
薔 「ねむねむ…ふぁ…」
欠伸をしながら洗面所で顔を洗い、部屋で着替える。
部屋を出ると…雛苺と金糸雀が同じタイミングで出てきた
雛 「おはよ~なの…。」
金 「おはようなのかしら~…。」
薔 「おはよう。」
二人も自分と同じく今起きたようだ。
三人そろって一階に降りると、そこにはいつもの光景が在る
真 「おはよう…遅いわよ三人とも…。」
真紅が朝から紅茶を飲んでいる…
水 「あら…もうヤクルトがなくなりそうね…買ってこなきゃ…。」
水銀燈が冷蔵庫を開けてヤクルトを漁っている
翠 「お前らもうちっと早く起きやがれです~!」
蒼 「翠星石、気をつけてないと目玉焼き焦げるよ?」
翠星石と蒼星石が朝食の準備をしている

そして…
一同『いただきま~す』
皆揃って朝食を摂る…
そんな何時もと替わらない…けど、だからこそ素敵な一日…

それが…始まるはずだった…。

雛 「うゆ…お手紙きてるの~。」
翠 「誰からですぅ…?」
雛 「…え~と…あれ…?」
真 「どうしたの、雛苺…。」
雛 「…お父様からなの…?」
その瞬間…時が止まったようにしんとなる…
翠 「ちょっと!ちび苺!なんて書いてあるですぅ!!」
蒼 「翠星石、気持ちは分かるけど落ち着いて…。」
水 「どうしたのぉ?」
真 「お父様から手紙よ…いつ以来かしらね…。」
水 「本当に…?お父様からなの…?」
そこに…金糸雀と薔薇水晶も下りてきた。
金 「お父様から手紙かしら!?」
薔 「お父様………。」
真 「そう…ローゼンお父様よ…。」
それを聞いた途端…薔薇水晶は蒼白になり、体の中に嫌なものが込み上げる…
忘れていたはずの事が鮮明に蘇ってくる…。
薔 「…なん…で…?」
しかし、皆手紙の方に注意が向いており…だれも薔薇水晶の様子には気付かなかった。


真 「ええと…」
真紅はローゼンからの手紙を読み始めた…。
薔 「…(お願い…)」
皆が久しぶりに届いた手紙に嬉々としている中、
薔薇水晶だけはその手紙の内容が怖かった…。
長い内容ではなかった為、直に本題となった。
真 「…お前たちが七人の姉妹であることは知っていると思う…。」
翠 「今更ですぅ。」
金 「何が言いたいのかしら…?」
真 「…おそらく、この手紙が届くには…もしかしたらもう着いているかもしれない…。」
そこまで呼んで…真紅の声が止まった…そして険しい表情をみせた。
薔 「………。」
薔薇水晶は…ずっと何かを懇願するような表情で下を向いている…
水 「薔薇水晶…?」
薔 「(…お願い…それ以上は…)」
そして…

真 「七番目の姉妹…雪華…綺晶…が?」

翠 「はぁ!?七番目って…。」
雛 「…うゆ…薔薇水晶…?」
薔 「……………………。」
薔薇水晶は座ったまま震えていた…
薔 「ごめ…な…さい。」
蒼 「…薔薇水晶…何か知ってるの…?」
薔 「ごめん…なさい…。」
水 「…雪華綺晶って…それに貴女…。」

薔 「私は…ローゼンの娘じゃない…!!皆とも…姉妹じゃない…!!」

それだけ言うと薔薇水晶は階段を駆け上がり部屋に閉じこもった。

薔 「どうして…どうして今ごろ…!?」
薔薇水晶はその場に座り込み泣き出した…。
薔 「どうして…どうして…そっとしておいてくれなかったの…」
自分でも忘れていたのに…
薔 「私じゃ…ダメなの…?」
自分は…偽者…。
それを隠してきた…嘘をついていた…。
薔 「ねぇ…どうして…。」
胸が張り裂けそうなほどズキズキと痛む…。
何かが…私を許さなかった…。
例え許されたとしても…自分で自分を許せない…。
薔 「もう…私は…。」

ここには居られない…

翠 「どういうことですぅ…?薔薇水晶は私たちの姉妹じゃないんですか?」
蒼 「はっきりとは分からないけど…そういうことみたいだね…。」
自分たちは七人姉妹…水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅、雛苺、薔薇水晶…
真 「…でも違ったのね…。本当の七番目は…」
水 「雪華綺晶…。じゃあ、薔薇水晶は?」
蒼 「…お父様の娘じゃないって言ってたね…。」
真 「まったく…何がどうなっているのか…。」
翠 「今は話を聞ける状況じゃないですぅ…。だから、その雪華綺晶とやらが来たらキッチリ話してもらうです。」
蒼 「それがいいね…。けれど、どうするの?」
真 「どうするもなにも、聞いてみないと何も分からないわ。」
金 「薔薇水晶が本当に…姉妹じゃなかったら?」
真 「そうね…まあ…話を聞いてから決めましょう…もっとももう決まっているようなものだけど。」
水 「あとは…あの娘の心次第ね…。」

薔 「…これで…いいかな…。」
薔薇水晶は小さ目の鞄に財布や少しの着替えといったものを詰め、
ドアノブに手をかけて立ち止まる。
薔 「…無理…。」
玄関から出ればどうしても気付かれてしまう。
気付かれるのは構わないが、顔を合わせたくなかった…。
薔薇水晶は部屋の窓から周囲をみる。
ここから塀に降りれて外に出ればばどうにかこの場は気付かれずにすみそうだ。
薔 「……しかた…ないよね…。」
薔薇水晶は、窓から塀に降りると窓のないところを通り外に出た…
薔 「……さようなら…ねえさま…。」
薔薇水晶は逃げるように走って行った。


雛 「…うゆ?」
蒼 「どうしたの、雛苺?」
雛 「なんだか物音がしたの…。」
真 「物音……まさか…。」
真紅と水銀燈は薔薇水晶の部屋へ上がった
鍵は掛かっておらず、すんなりと中に入れた。
水 「ちょっと…薔薇水晶!?」
真 「居ないわね…。」
真紅はあいている窓から周囲を見た…
真 「ここから出たのね…変なところで器用なんだから…。」
水 「真紅…これ…。」
水銀燈は机の上に置いてあった手紙のようなものを見つけた…
翠 「ちょっと、ちょっと、一体何の騒ぎです!?」
蒼 「もしかして薔薇水晶…。」
水銀燈が手紙を開くと…

―幸せをありがとう…
 本当にごめんなさい…
 そして…さようなら…。
 本当の姉妹と…仲良く暮らしてください…。

水 「…まったく…あの娘は…なんでこう…。」


薔 「…これからどうしよう…。」
夕焼けに照らされた公園で薔薇水晶はひとり、自分の身の振りを考えていた。
飛び出したのは良かった…けれどこれから何処に行くか考えていなかった。
薔 「…お父様のところ…。」
だが、居場所がよく分からない…。
薔 「はぁ…。」
溜息をつきながら夕焼けを見つめる…。
薔 「…怒ってるかな…皆…。」
自分はあの人たちに嘘をついていた…。
薔 「…楽しかったな…。」
ずっと一人だった…。
あの人たちと一緒に暮らす事になった時…いや、そう言われたとき…とても不安だった。
けれど、暖かく迎え入れてくれた…。
薔 「もう…一緒に居られない…。」

いつも皆を気にかけている真紅
策士と言ってるわりにおっちょこちょいな金糸雀
口は悪いけど本当はとっても優しい翠星石
いつも静かで、優しく見守ってくれる蒼星石
生まれは早いのに自分よりも幼稚な雛苺
そして…

薔 「一緒に…居かったな…。」
願ってはいけないこと…けれど、今一番の願い…。
薔 「また…一緒に暮らしたいな…。」
そう思えば思うほど、胸が締め付けられ涙が次から次に流れる…
薔 「また…一人なんて嫌だ…。」
気付けば、悲しみが嗚咽となってこぼれる…
薔 「私だって…私だって…!!」
もう私は…必要とされていない…。

私は…どうすれば良いの…ねぇ…誰か…誰か私を…。

? 「薔薇水晶!!」
薔 「…え…。」
誰かが自分を呼んだ…。
顔を上げるが逆光でよく見えない…。
? 「こんなところに居たの…?」
薔 「あ…あ…。」
この声は…

誰よりも自分の事を気にかけ…何度も助けてくれた人…

水 「捜したわよ…。」
薔 「銀…ねえさま…。」


二人は並んでベンチに腰掛けていた…
薔 「……」
今すぐここから立ち去りたい…あわせる…顔がない…
けれど…どこかホッとしている自分がいる…
水 「帰るわよ…薔薇水晶。」
薔 「ダメ……」
首を横に振る。
水 「ダメと言う事は…嫌じゃないんでしょ…?」
薔 「……」
いつもそうだ…水銀燈には心の奥底まで見透かされている気がする…
薔 「でも…ダメ。」
水 「何言ってるの、帰るわよ。」
薔 「ダメ!!」
水銀燈が薔薇水晶の手を握り立とうとしたが、薔薇水晶はその手を強く振り払う。
薔 「私は…今までずっと…嘘をついてた…。」
水 「……」
薔 「お父様の名前は槐…ローゼンじゃない!なのに…それなのに私は…!!」
水 「だから何…?」
そう言った水銀燈の表情はどこか呆れているようだった。
水 「姉妹じゃないから…私たちが追い出すとでも思ったの?」
薔 「違う…!」
許せなかった…幸せを与えてくれた人たちを騙していた自分が許せなかった…。
だから…一緒に居られない…。
薔 「…私は…皆と一緒にいる資格なんてない…!」
水 「資格…?なによそれ。」
薔 「…だって…だって…!」
水 「…ねぇ…薔薇水晶…どうして貴女は泣いているの…?」
薔 「……え…」
…悲しいから…。
そう…悲しいから…。
水 「何がそんなに悲しくて泣いているの…?」
薔 「わ…わた…しは…。」
水 「貴女は…何を願っているの…?」
薔 「私の…望み…。」
途端により多くの涙が頬を伝う…。

水 「私は…貴女がいなくなると寂しいわ…。」

その一言で充分だった…。
入れ物を壊されたように本当の気持ちが溢れる…
薔 「…私は…皆と…一緒に…居たい!!」
薔薇水晶は、縋り付くように水銀燈に抱きついた
薔 「離れるなんて嫌だ…皆と…銀ねえさまと一緒に居たい!!」
水 「馬鹿ね…素直にそう言えばいいのよ……。」
水銀燈は優しく薔薇水晶の髪を撫でた

薔 「私のお父様は…ローゼンじゃない…。」
薔薇水晶の父親の名前は槐…ローゼンとは親しかったようだ。
薔 「お父様は…私にローゼンの娘として生きるようにと…。」
誰にもばれないようにと釘を刺された…だから、きっと悪い事なのだと思った…。
水 「どうして…?」
薔 「分からない…ただお父様は…ローゼンを妬んでいるように見えた…。そして…他のローゼンの娘と一緒に暮らすようにいわれた…。」
水 「それで、貴女はここに来たのね…。」
薔 「始めは…ローゼンの娘を演じているだけだったけど…何時の間にかそれを忘れて…。」
水 「…私たちと暮らすの…楽しい?」
薔 「うん…とっても…。」
本当の姉妹ではないことを忘れるほどに…。
けれど…その分思い出したときは辛かった…。
水 「ねぇ、薔薇水晶…血が繋がっているかどうかなんて、たいした問題じゃないと思うわ…。」
薔 「……?」
水 「血は繋がってないけど、姉妹、兄弟、親子…そう言っている人たちは沢山いるわ…。」
薔 「うん…。」
水 「逆に、血は繋がってても他人だって言う人もいる…。ようは、気持ちの問題に過ぎないのよ。
   まあ、戸籍上云々ってあるけど…所詮紙とか記録上のものじゃない。」
薔 「………」
水 「それに…他の娘たちも…完全に血が繋がっているわけじゃないわ…。」
薔 「………」
それは、薔薇水晶も何となく感じていた、
二人の人間の間にあれほど髪の色や瞳の色が違う子どもが生まれる事はありえない…。
水 「血の繋がりなんてたいした問題じゃないのよ。」
薔 「そっか…。」
水 「蒼星石と翠星石を見てみなさい…。」
薔 「そう言えば…そう…w」
ふふっと自然に笑みがこぼれる…
水 「だから、一緒に帰りましょう…ね?」
薔 「うん…w」
差し伸べられた手を今度は強く握る
水 「なぁにぃ…また泣いているの?」
薔 「え…?」
自分の頬を触ると、確かに涙が流れている…けれど…
薔 「えへへ…嬉し泣き…。」
水 「なら良いわ…。」


薔 「ねぇ…水銀燈…えっと…雪華綺晶…、どんな娘なのかなぁ…。」
水 「さぁ…私もあった事ないから…写真ぐらい入れておけば良いのにねぇ…。」
薔 「…仲良く…できるかな…。」
正直不安だった…自分が…七番目の姉妹のふりをしていた事を責められるかもしれない…。
水 「大丈夫よ…心配しなくても良いわ…。」
薔 「そうだと良いけど…。」
? 「あの…。」
唐突に後ろから声をかけられ、振り向くと…
水 「…え?」
水銀燈は驚きのあまりしばし硬直した…
しかし、一番驚いていたのは薔薇水晶と声の主だった…。
薔 「私…と…同じ…。」
そこには…自分と瓜二つの顔…けれど…髪の毛の色は自分と違い白…。
? 「もしかして…薔薇水晶…?」
さらに、自分の名前を知っている…。
雪 「初めまして…私…雪華綺晶…。」
薔 「雪華…綺晶…!?」
この人が…本当の…。
水 「貴女が…雪華綺晶…?どうしてこんな所に…?」
雪 「それが…駅を降りてからの道が分からなくて…暫く迷って…。」
恥ずかしいのか頬が赤く染まっている…悪い娘ではなさそうだ。
薔 「あ…あの…」
なんと言えば良いだろうか…けれど…。
雪 「あなたの事は…お父様から聞きました…私に瓜二つの姉妹がいると…。」
薔 「え…。」
水 「知ってたのね…お父様…。」
ならば、手紙に書いておけばいいのにと水銀燈は溜息をつく。
水 「けれど…どうしてこんなに似ているの…貴女たち…?」
雪 「私たちは、どちらも母親似のようです…。」
水 「それは…つまり…。」
薔 「…母親は…同じ人?」
雪 「はい…だから、私と薔薇水晶の血は半分繋がっています…。」
そう言うと、雪華綺晶は薔薇水晶に手を差し出した…

雪 「よろしく…薔薇水晶…。」
一瞬と惑ったが薔薇水晶はその手をそっと握り…
薔 「よろしく…雪華綺晶…。あの…怒ってない…?」
雪 「いいえ…怒るほどの事でもありませんし…ね。」
雪華綺晶はそう言ってにっこりと微笑んだ。
薔薇水晶も安堵したように息を吐くとにっこりと微笑んだ。
水 「(大変だったけど…上手く収まったわね…。)」
着信: ジョウショウキーリューウー…
水 「真紅からね…もしもし…。」
真 〈見つかったの?早く帰ってきなさい…〉
水 「ちょっと、何していたのよ…私一人に捜させて…。」
真 〈あら、あなたに任せれば問題ないでしょう…別に、遊んでいたわけじゃないわ…〉
水 「じゃあ、何をしていたの?」
真 〈新しい姉妹の為の歓迎会の準備よ…〉
水 「それは…あの娘の分も?」
水銀燈はチラリと雪華綺晶と話している薔薇水晶を見た。
真 〈ええ、だから早く帰ってくるのだわ。〉
水 「はいはい…。」
薔 「どうしたの?」
水 「真紅から…貴女たちの歓迎会があるから早く帰ってきなさいって。」
雪 「まぁ…わざわざそんな事を…。」
薔 「…私も…?」
水 「ええ…改めて…嫌かしら?」
薔 「ううん…嬉しい…。」
水 「それなら、早く帰りましょう…。」

ローゼンの娘のふりをしろ…ローゼンの娘として生きろ…お父様はそう言った。
そのときは、到底納得できなかった…。
けれど…それがなければ…出会えなかった…。

薔 「ありがとう…お父様…。おかげで私は…」


―とても…幸せです…。

end

おまけ

雪 「あの…薔薇水晶?」
薔 「なぁに?」
二人は並んで水銀燈の後ろを歩いていた…
雪 「…水銀燈…ねえさま…とっても素敵…。」
薔 「…うん…私も大好き…w」

雪 「一目惚れ…してしまいました…。」
薔 「!?」
雪 「ああ…ここに来て良かった…。」
薔 「待って…銀ねえさまは…私が…。」
雪 「銀ねえさま…そう呼べば良いの…?」
雪華綺晶の目は完全に恋する乙女だ
薔 「…こればっかりは…雪華綺晶でも譲れない…。」
雪 「薔薇水晶も…銀ねえさまを?」
薔 「それこそ…一万年と二千年前から…。」
雪 「なんだか、よく分からないけど…それなら、二人一緒に…ね?」
薔 「…おお…それはナイスアイデア…w」
二人は顔を見合わせクスクスと笑う
水 「何コソコソ話しているの?」

薔&雪 「「なんでもな~い」」

水銀燈の運命や如何に…!