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ジュンは、いつものように部屋で引きこもっていた。
趣味は、怪しげな通販グッズを弄繰り回して、クーリングオフで業者を泣かせる事。
そう、彼はインターネットの世界で有名なクーリングオファー・・・人呼んで「クーリングJUM」その人である。

今日のジュンは、怪しげな通販アイテム「黒魔道書~僕と師匠の秘密レッスン~」をゲットしてホクホクだ。
朝から何度も、その本に書かれている怪しげな魔方陣やら魔法薬を試しては「あぁ、この本は嘘つきだな♪」
と思いつつ快感を得ていた。言うまでも無い。彼は一種の変態だ。

一通り遊び終えた彼は、魔道書を適当にバラバラとめくっては、何か遊べるモノはないかと探していた。
すると、ページの隙間に古い紙が挟んであるのを見つけた。文字は英語で書かれており、ジュンにも何とか解読が可能だった。

「・・・えーと・・・"捲きますか、捲きませんか"・・・何を?」

彼は何を捲くのかを読み取ろうとしたが、それらしき文字は無かった。
紙の隅っこに「Rozen」と書かれていたが、それは恐らく無関係だろうとジュンは判断した。
Rozen・・・ローゼン・・・どこかで聞いた事があるかもしれない。どことなく覚えのある響だな、と思いつつ
彼は床にチョークで魔方陣を書いた。下はカーペットだが、姉には黙っていれば問題ない。引きこもりだし。

「うーんと・・・"欠片を護ると、我は誓う。我が身を螺旋に、汝が覚める。捲こう、それが契りならば"」

・・・・数秒待ったが、何も起こらない。こんなのはいつもの事だが、ちょっとショックだったりもする。
なんせ思わせぶりな古い紙に書かれていたのだ。いつもよりは期待してしまう。ていうか、誰かに見られてたら死ぬほど恥ずかしい。

「・・・まぁ、こんなもんだよね。そうさ、僕の人生はこんなもんさ。さて、クーリングオフだ。そうしよう畜生!」

悔しがるジュンをよそに、床の魔方陣はゆっくりと胎動していた。明滅する淡い光・・・それは間違いなく、
彼が求めていたホンモノだった。床の異変に、流石のジュンも気付き始める。
「おぉ・・・!なんか光ってる・・・いや、でも・・・ま、マジかよ!?ん・・・・・UWAAAAAAAA!!!」

それまで淡い光を放っていただけの魔方陣が、眩い光で部屋を覆った。
まるでフラッシュバンのような閃光・・・オタクなジュンは一瞬、特殊部隊に襲われたのか!と思ったが、
よくよく考えれば自分が狙われるような理由はない事に気付き、ちょっと自己嫌悪した。
というか、そもそもマトモな思考ができずにいる。軽いパニック状態だ。

「UWAAAAAAA!!・・・・あれ?おさまってる・・・?」

ゆっくりと目を開けるジュン。すると、そこには巨大なハードケースの鞄が置いてあった。
表面は皮だろうか。なんだか高級そうなソレを見て、ジュンは狂喜乱舞する。

「イィィィィヤッホォォッォオウ!!やっと!僕にも!(暗い)春が来たッ!!」

ドキドキソワソワ、そしてニヤニヤしつつ、ジュンは鞄に手を伸ばした。
・・・バカッ!・・・ついに鞄を開けてしまった。それは吉と出るか凶と出るか特殊部隊の毒ガスか・・・!

「・・・人?ハハ、デカイネ。まるで女子高生のようだ・・・・ってUWAAAAAAAAAAAA!!!!」

人!そこにはまごう事なき人間が入っていたのだ。しかも美少女。金髪、碧眼、ツインテールにゴスロリ!
いや、まだ人間と決まったワケではない。100万近くはする噂のリ○ルドールとかそんなのかもしれない。
そう思い、ジュンはソレに手を触れようとした・・・が!

「・・・触れるな下僕!」

バチィィィィン!すさまじい快音を立てて、ジュンの手は弾き飛ばされた。痛い。泣きそうなくらいに痛い。
というか、もう既に涙を浮かべている。ジュンはヤワなハートの持ち主だ。そんな彼に、
この状況で泣くなと言う方が無理な注文である。しかし懸命に泣き出すのを堪え、彼は美少女に問い詰めた。
「お、お前誰だよ!」
「何・・・ってトボけないで欲しいわ。アナタが契約したのでしょう?私と」
「契約って・・・」
「その証拠に、こうして魔方陣が床に書いてあるわ。貴方がこの場で契約呪文を詠んだ証拠。
 貴方はもう既に、この私の下僕なのよ」
「げ、げげ・・・下僕って!僕は善良な高校生だぞ!た、たしかに引きこもりだけどそれだって
 基本的な人権とか・・・」
「ゴチャゴチャ五月蝿いわね!いいかしら?貴方は魔方陣を使って契約し、私の下僕となった。
 全ては貴方が招いた事態なのよ?責任を取りなさい」
「責任って・・・」
「誓いなさい。この私のローザミスティカを護る・・・と」

彼女・・・真紅と名乗った少女は、尻餅をつくジュンの眼前に指輪をはめた手を差し出す。
ただでさえ美少女なのに、その瞬間・・・彼の目には少女が神々しくさえ映った。
潤んだ瞳に潤んだ唇・・・その両方で問われたジュンは、もはや彼女の虜だった。
「え・・・と・・・」
「誓いの口付けを・・・」
「わかり・・・ました・・・」

唇をそっと指輪につける。その瞬間、真の契約が成立した。
・・・が。その直後、下の階からジュンの姉・・・桜田のりがやってきた。
バンッ!とドアが開く。そして正気に戻るジュン。

「ジュンくぅぅぅうん!また変な通販で・・・・え・・・あれ・・・その娘・・・」
「ね、姉ちゃん!・・・これは・・・ちがっ・・・そう、通販で・・・」
「あら、騒がしいわね」
「「「・・・・・・・・」」」

痛々しい沈黙が続く。そしてジュンは気付いた、自分の失言に。
通販・・・そう、美少女が通販というのはどういう事なのだろう。

「じゅ、ジュンが!デリバリー!女の子をデリバリィィィィイ!!!」
「ち・・・ちっがぁぁぁあぁあう!!」
「あら、ジュンの姉なの?私は真紅。今日からジュンは私の下僕となったわ」
「ジュンくんが愛の下僕ッ・・・!お、お赤飯!お赤飯よぉぉ!」
「待て!待つんだ姉ちゃん!時に落ち着けって!」

これが、女子高生・真紅と桜田ジュンの出会いである。
この後、ジュンは多種多様な言い訳で姉を言いくるめ、真紅と同居するに至った