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回診。 病院に勤める医師ならば必ず従事することになる仕事であり、自身の担当する患者に異常が出ていないか診療状況の把握と確認を行う医師の日常業務だ。 漫画やドラマなどの創作物ではよく医療業界の権威が多数の部下を引き連れて大名行列の相様を呈している描写が成されるが、 患者の様態をこまめにチェックすることは大変重要である。 ましてや院長であるメフィストの宝具と<新宿>という土地に顕現したメフィスト病院に勤務する面々ならば、誰もがその重要性を認識していた。 元々の魔界都市<新宿>であれば患者から少しの間目を離した隙に患者が死んでしまうことなどがままあるのだから。 尤も、暴れていた患者を押さえつけようとした看護夫がつい殺してしまったケースもあるのだが。 無論、メフィスト病院の医療スタッフは優秀だ。株式会社に例えるならば『社内教育が行き届いている』といえばいいのだろうか? 思わず患者を殺してしまうことなど半殺しにこそすれあってはならないことだ。 「うむ…身体には異常はない」 回診のために病室を訪れていた不律はカルテを見ながらベッドの上で眠る患者を見つつ嘆息する。 傍らに不律のサーヴァントのファウストはいない。院長と一対一で医者として語り合いたいと願い出てきたので、それを許可して行かせた形だ。 不律も、ファウストが抱いている想いは重々承知している。十中八九今後の行動に支障が出るような願い出でもない限り、それは認めてやるつもりだ。 メフィスト病院の中でも優秀な医療スタッフとして認知されている不律だが、己のサーヴァントの方が医術も患者と向き合う器量も上だと不律は評価している。 容姿は些か人間からかけ離れているが、そのくせ心の方は誰よりも真人間に近く、不律から見るとまばゆいほどの良心の持ち主だ。 願いのために動いているとはいえ、できるだけその望みを聞いてやりたいというのは不律の本心だ。 さて、不律がなぜ目の前の患者に異常はないのに嘆息したかというと、『身体には』異常がない――つまり、それ以外に問題があったのだ。 「あ、あのー…せんせー、ゆえはー……」 前髪で目を隠した少女が怯えを半分に混ぜた哀願の視線を不律と隣の看護婦へ交互に送る。 ベッドの上で目を瞑って植物のように動かない小柄な少女――名を綾瀬夕映という――はある日を境に眠り続けたままその瞼が開かれていないのだ。 しかし眠り続けていること以外は至って正常で、現に夕映はどこにも傷どころか憂いもない安らかな寝顔だった。 まるで白馬の王子様がキスしてくれる時を今か今かと待ちわびているようだ。 ――ここにドクターメフィストが来れば彼女は目覚めるのだろうか? そう自問して、目覚めるとしか思えない自分に不律は一抹の恐怖を覚えた。 回診が終わることを見越してか、不律の傍らにいる看護婦は夕映の身辺を整理している。 「儂にも、詳しいことは専門外故にわからぬ。元の担当医ならばわかるじゃろうが…」 不律に不意に視線を向けられ、少しビクついた後に夕映の見舞いに来た宮崎のどかは小さく頷いた。 現在の回診で相対している患者は、運悪く全くの専門外――不律に言わせてみるならば『ありえない』専門科に回された患者だった。 その『ありえない』専門科とは憑依科や夢科のように、心霊療法に魔術を行使する治療を施す専門科のことだ。 本来、不律はそれらの専門科の管轄する患者の診察はしなくともよいのだが、 夕映の担当医が調べたいことがあると言って不律に回診の業務を押し付けてそれを渋々承諾したという経緯もあり、現在に至る。 このように、メフィスト病院は外科といったメジャーな通常医療はもちろん、スピリチュアルな分野の医療まで幅広く取り揃えている。 それだけでなく設備も時代の先を行っており、<区外>の医療機器開発の権威が見たら自分のしてきたことはなんだったのかと虚無感に襲われることだろう。 始めてそれらを目にしたときは流石の不律も混乱を隠せなかったが、予め刻み込まれていた『役割』についての記憶を頼りに今では他の医療スタッフ以上の扱いができる。 ここ最近では、夕映のように眠り続けて目覚めない症状を持つ患者が増えていると聞く。 先に述べたように不律はそういった魔術的なモノは専門外だが、これがサーヴァントの仕業だと断定するのは容易だ。 今度、この娘の担当医にどのような症状か聞いておくべきだろうと不律は考える。 この手の専門医ならばこの件の黒幕への手がかりを与えてくれるはずだ。 「直に専門の医師がくるが、待つか」 「いえ…あのー、学校がありますのでー…。ゆえをお願いしますー…――」 「…儂の白衣が何処か汚れておるか」 「え、あ、あの、その、すいませんでした…!」 のどかが鞄を持って部屋から出ていこうとしたとき、のどかの目は不律の腰あたりにいっていた。 具体的には腰に差している物騒な刀を見ていたのだ。 不律に聞かれるとのどかはしまったというような顔をしてそそくさと部屋を出ていった。 不律も彼女を見届けるとカルテに必要事項を書き込み、一息ついてから次の患者へと移るべく出口の方へ向く。 「後は頼む」 不律はそう看護婦に一言伝え、部屋を出た。 白い廊下を、刀を携えた白衣の老人が歩く。 屈強な肉体の看護夫とすれ違った。腰のベルトには麻酔銃が据えてあり、『憑かれた患者』にはこれを浴びせかけて周囲の被害を食い止める役割を持つ。 次に、ロボット・パトロールとすれ違った。このロボットは1時間おきにメフィスト病院内を巡回し、不審者には高圧放電や麻酔ガス、 それ以上の危険な輩には容赦なくレーザー砲と超振動派が浴びせられる。 これをまともに食らっては並のサーヴァントでも致命傷は免れないだろう。 「……」 ある意味でメフィストの名に相応しいと思った。 不律も、白衣の下には電光被服と刀を常に携帯している。勤務中に関わらず、だ。 ここの医療スタッフは皆、雑事をこなす看護婦であってもなんらかの護身のための装備を所持している上に生身の身体能力も常人のそれを超えている。 医長クラスになるとそれこそサーヴァント以上の、現代科学の及ばないとんでもない力を持っている。 そんなメフィスト病院のスタッフの中で不律が医師として活動する際は常に電光被服と刀で武装していた方がむしろ自然だった。 ファウスト曰く、医療スタッフ一人一人から魔力を感知できる、とのことだ。 恐らくは、メフィストがサーヴァントであるならばここの不律以外の医療スタッフはメフィストの宝具によって顕現している存在なのだろう。 かの完全者に並ぶ力を持つ者がこの病院には大勢いるのだから恐ろしいものである。 (聖杯のためにはメフィストをも討たねばならぬ…) 自身の過去を消すために、聖杯を手に入れる。それを成し遂げるためには院長をもいずれは相手にしなければならない。 それを、とても残念に思う不律が、そこにはいた。それは何も、メフィスト病院を求める人々の希望をつぶしてしまうからの理由だけではない。 あの美貌を思い出すと、鉄のように冷たい心も瞬く間に融解し、輝かしい太陽の虜にならずにはいられなくなるのだ。 「見事だ」と褒められれば思わず五体投地をしてしまいたくなるような、 メフィストの顔に傷つける者がいれば全てを忘れて電光被服をフル稼働させてそいつをメッタ斬りにしたくなるような、 そんなメフィストを手にかけなければならないことが、たまらなく辛くなる不律の心があった。 (我が身、既にアイゼン) それでも、不律には譲れないものがある。 パンドラの箱たる研究の成果と研究そのものを消す。その願いのためには、もはや手段を選んではいられないのだ。 かつて不律は、元同僚の持つ野望を『非望』と切り捨てたことがある。 そして現在、元同僚のように、聖杯という途方もない代物に手を出して己の咎をなくそうとしていることは自分でもわかっていた。 たとえ自身の身を落とそうとも、その命に換えることになろうとも、不律は研究を抹殺せねばならないのだ。 ファウストの存在がメフィストに気付かれていたのならば、自分もマスターだと気付かれているだろうが、 何故かメフィストに排除されるどころか不律は今も医療スタッフとして働くことができている。 まるで野放しにされているようで屈辱も少しはあったが、それを抑えてその役職に甘んじている。 このため、不律はメフィスト病院内では『マスター』ではなく『医者』として振る舞うと決めていた。 自分が死んでは、誰がかの研究を葬るのか。一つしかない命だ、不律もファウストも医術の心得があるとはいえ、慎重になるに越したことはない。 メフィスト病院や医療スタッフがメフィストの宝具によって顕現しているのであれば、殊更気を付けなければなるまい。 この病院内で騒ぎが起これば、すぐさまメフィスト含む医療スタッフが武装を固めて異分子の排除態勢に入るであろう。 その当事者が自分となれば、鉄をもバターのように両断する剣術と電光被服によるサーヴァントをも超越した敏捷を持つ不律といえど生きては帰れない。 この『メフィスト病院』においては、目の前にサーヴァントがいても正当防衛以外では刀とファウストを使ってはならないことを肝に銘じておいた。 このことや来訪している患者数を鑑みれば、メフィストと戦う時はまだまだ当分先であることに不律はほんの少し安堵を覚えるのだった。 ---- 【四ツ谷、信濃町方面(メフィスト病院)/1日目 午前8時10分】 【不律@エヌアイン完全世界】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [契約者の鍵]有 [装備]白衣、電光被服(白衣の下に着用している) [道具]日本刀 [所持金] 1人暮らしができる程度(給料はメフィスト病院から出されている) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れ、過去の研究を抹殺する 1.無力な者や自分の障害に成り得ないマスターに対してはサーヴァント殺害に留めておく 2.メフィスト病院では医者として振る舞い、主従が目の前にいても普通に応対する 3.メフィストとはいつか一戦を交えなければならないが… 4.ランサー(ファウスト)の申し出は余程のことでない限り認めてやる 5.眠り病の患者(綾瀬夕映)の担当医に話を聞いてみる [備考] ・予め刻み込まれた記憶により、メフィスト病院の設備等は他の医療スタッフ以上に扱うことができます
回診。 病院に勤める医師ならば必ず従事することになる仕事であり、自身の担当する患者に異常が出ていないか診療状況の把握と確認を行う医師の日常業務だ。 漫画やドラマなどの創作物ではよく医療業界の権威が多数の部下を引き連れて大名行列の相様を呈している描写が成されるが、 患者の様態をこまめにチェックすることは大変重要である。 ましてや院長であるメフィストの宝具と<新宿>という土地に顕現したメフィスト病院に勤務する面々ならば、誰もがその重要性を認識していた。 元々の魔界都市<新宿>であれば患者から少しの間目を離した隙に患者が死んでしまうことなどがままあるのだから。 尤も、暴れていた患者を押さえつけようとした看護夫がつい殺してしまったケースもあるのだが。 無論、メフィスト病院の医療スタッフは優秀だ。株式会社に例えるならば『社内教育が行き届いている』といえばいいのだろうか? 思わず患者を殺してしまうことなど半殺しにこそすれあってはならないことだ。 「うむ…身体には異常はない」 回診のために病室を訪れていた不律はカルテを見ながらベッドの上で眠る患者を見つつ嘆息する。 傍らに不律のサーヴァントのファウストはいない。院長と一対一で医者として語り合いたいと願い出てきたので、それを許可して行かせた形だ。 不律も、ファウストが抱いている想いは重々承知している。十中八九今後の行動に支障が出るような願い出でもない限り、それは認めてやるつもりだ。 メフィスト病院の中でも優秀な医療スタッフとして認知されている不律だが、己のサーヴァントの方が医術も患者と向き合う器量も上だと不律は評価している。 容姿は些か人間からかけ離れているが、そのくせ心の方は誰よりも真人間に近く、不律から見るとまばゆいほどの良心の持ち主だ。 願いのために動いているとはいえ、できるだけその望みを聞いてやりたいというのは不律の本心だ。 さて、不律がなぜ目の前の患者に異常はないのに嘆息したかというと、『身体には』異常がない――つまり、それ以外に問題があったのだ。 「あ、あのー…せんせー、ゆえはー……」 前髪で目を隠した少女が怯えを半分に混ぜた哀願の視線を不律と隣の看護婦へ交互に送る。 ベッドの上で目を瞑って植物のように動かない小柄な少女――名を綾瀬夕映という――はある日を境に眠り続けたままその瞼が開かれていないのだ。 しかし眠り続けていること以外は至って正常で、現に夕映はどこにも傷どころか憂いもない安らかな寝顔だった。 まるで白馬の王子様がキスしてくれる時を今か今かと待ちわびているようだ。 ――ここにドクターメフィストが来れば彼女は目覚めるのだろうか? そう自問して、目覚めるとしか思えない自分に不律は一抹の恐怖を覚えた。 回診が終わることを見越してか、不律の傍らにいる看護婦は夕映の身辺を整理している。 「儂にも、詳しいことは専門外故にわからぬ。元の担当医ならばわかるじゃろうが…」 不律に不意に視線を向けられ、少しビクついた後に夕映の見舞いに来た宮崎のどかは小さく頷いた。 現在の回診で相対している患者は、運悪く全くの専門外――不律に言わせてみるならば『ありえない』専門科に回された患者だった。 その『ありえない』専門科とは憑依科や夢科のように、心霊療法に魔術を行使する治療を施す専門科のことだ。 本来、不律はそれらの専門科の管轄する患者の診察はしなくともよいのだが、 夕映の担当医が調べたいことがあると言って不律に回診の業務を押し付けてそれを渋々承諾したという経緯もあり、現在に至る。 このように、メフィスト病院は外科といったメジャーな通常医療はもちろん、スピリチュアルな分野の医療まで幅広く取り揃えている。 それだけでなく設備も時代の先を行っており、<区外>の医療機器開発の権威が見たら自分のしてきたことはなんだったのかと虚無感に襲われることだろう。 始めてそれらを目にしたときは流石の不律も混乱を隠せなかったが、予め刻み込まれていた『役割』についての記憶を頼りに今では他の医療スタッフ以上の扱いができる。 ここ最近では、夕映のように眠り続けて目覚めない症状を持つ患者が増えていると聞く。 先に述べたように不律はそういった魔術的なモノは専門外だが、これがサーヴァントの仕業だと断定するのは容易だ。 今度、この娘の担当医にどのような症状か聞いておくべきだろうと不律は考える。 この手の専門医ならばこの件の黒幕への手がかりを与えてくれるはずだ。 「直に専門の医師がくるが、待つか」 「いえ…あのー、学校がありますのでー…。ゆえをお願いしますー…――」 「…儂の白衣が何処か汚れておるか」 「え、あ、あの、その、すいませんでした…!」 のどかが鞄を持って部屋から出ていこうとしたとき、のどかの目は不律の腰あたりにいっていた。 具体的には腰に差している物騒な刀を見ていたのだ。 不律に聞かれるとのどかはしまったというような顔をしてそそくさと部屋を出ていった。 不律も彼女を見届けるとカルテに必要事項を書き込み、一息ついてから次の患者へと移るべく出口の方へ向く。 「後は頼む」 不律はそう看護婦に一言伝え、部屋を出た。 白い廊下を、刀を携えた白衣の老人が歩く。 屈強な肉体の看護夫とすれ違った。腰のベルトには麻酔銃が据えてあり、『憑かれた患者』にはこれを浴びせかけて周囲の被害を食い止める役割を持つ。 次に、ロボット・パトロールとすれ違った。このロボットは1時間おきにメフィスト病院内を巡回し、不審者には高圧放電や麻酔ガス、 それ以上の危険な輩には容赦なくレーザー砲と超振動派が浴びせられる。 これをまともに食らっては並のサーヴァントでも致命傷は免れないだろう。 「……」 ある意味でメフィストの名に相応しいと思った。 不律も、白衣の下には電光被服と刀を常に携帯している。勤務中に関わらず、だ。 ここの医療スタッフは皆、雑事をこなす看護婦であってもなんらかの護身のための装備を所持している上に生身の身体能力も常人のそれを超えている。 医長クラスになるとそれこそサーヴァント以上の、現代科学の及ばないとんでもない力を持っている。 そんなメフィスト病院のスタッフの中で不律が医師として活動する際は常に電光被服と刀で武装していた方がむしろ自然だった。 ファウスト曰く、医療スタッフ一人一人から魔力を感知できる、とのことだ。 恐らくは、メフィストがサーヴァントであるならばここの不律以外の医療スタッフはメフィストの宝具によって顕現している存在なのだろう。 かの完全者に並ぶ力を持つ者がこの病院には大勢いるのだから恐ろしいものである。 (聖杯のためにはメフィストをも討たねばならぬ…) 自身の過去を消すために、聖杯を手に入れる。それを成し遂げるためには院長をもいずれは相手にしなければならない。 それを、とても残念に思う不律が、そこにはいた。それは何も、メフィスト病院を求める人々の希望をつぶしてしまうからの理由だけではない。 あの美貌を思い出すと、鉄のように冷たい心も瞬く間に融解し、輝かしい太陽の虜にならずにはいられなくなるのだ。 「見事だ」と褒められれば思わず五体投地をしてしまいたくなるような、 メフィストの顔に傷つける者がいれば全てを忘れて電光被服をフル稼働させてそいつをメッタ斬りにしたくなるような、 そんなメフィストを手にかけなければならないことが、たまらなく辛くなる不律の心があった。 (我が身、既にアイゼン) それでも、不律には譲れないものがある。 パンドラの箱たる研究の成果と研究そのものを消す。その願いのためには、もはや手段を選んではいられないのだ。 かつて不律は、元同僚の持つ野望を『非望』と切り捨てたことがある。 そして現在、元同僚のように、聖杯という途方もない代物に手を出して己の咎をなくそうとしていることは自分でもわかっていた。 たとえ自身の身を落とそうとも、その命に換えることになろうとも、不律は研究を抹殺せねばならないのだ。 ファウストの存在がメフィストに気付かれていたのならば、自分もマスターだと気付かれているだろうが、 何故かメフィストに排除されるどころか不律は今も医療スタッフとして働くことができている。 まるで野放しにされているようで屈辱も少しはあったが、それを抑えてその役職に甘んじている。 このため、不律はメフィスト病院内では『マスター』ではなく『医者』として振る舞うと決めていた。 自分が死んでは、誰がかの研究を葬るのか。一つしかない命だ、不律もファウストも医術の心得があるとはいえ、慎重になるに越したことはない。 メフィスト病院や医療スタッフがメフィストの宝具によって顕現しているのであれば、殊更気を付けなければなるまい。 この病院内で騒ぎが起これば、すぐさまメフィスト含む医療スタッフが武装を固めて異分子の排除態勢に入るであろう。 その当事者が自分となれば、鉄をもバターのように両断する剣術と電光被服によるサーヴァントをも超越した敏捷を持つ不律といえど生きては帰れない。 この『メフィスト病院』においては、目の前にサーヴァントがいても正当防衛以外では刀とファウストを使ってはならないことを肝に銘じておいた。 このことや来訪している患者数を鑑みれば、メフィストと戦う時はまだまだ当分先であることに不律はほんの少し安堵を覚えるのだった。 ---- 【四ツ谷、信濃町方面(メフィスト病院)/1日目 午前8時10分】 【不律@エヌアイン完全世界】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [契約者の鍵]有 [装備]白衣、電光被服(白衣の下に着用している) [道具]日本刀 [所持金] 1人暮らしができる程度(給料はメフィスト病院から出されている) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れ、過去の研究を抹殺する 1.無力な者や自分の障害に成り得ないマスターに対してはサーヴァント殺害に留めておく 2.メフィスト病院では医者として振る舞い、主従が目の前にいても普通に応対する 3.メフィストとはいつか一戦を交えなければならないが… 4.ランサー(ファウスト)の申し出は余程のことでない限り認めてやる 5.眠り病の患者(綾瀬夕映)の担当医に話を聞いてみる [備考] ・予め刻み込まれた記憶により、メフィスト病院の設備等は他の医療スタッフ以上に扱うことができます **時系列順 Back:[[かつて人であった獣たちへ]] Next:[[“黒”と『白』]] **投下順 Back:[[心より影来たりて]] Next:[[餓狼踊る街]] |CENTER:←Back|CENTER:Character name|CENTER:Next→| |00:[[全ての人の魂の夜想曲]]|CENTER:不律|24:[[絡み合うアスクレピオス]]| ----

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