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能楽。 日本の伝統芸能の一つとして知られる。 能と狂言の総称であるそれはかつて猿楽とも呼称されていた。 猿楽は室町時代以前では庶民の文化レベルであったが観阿弥・世阿弥らによって集大成され、現在に残るほどの文化に昇華された。 その起源には諸説あり、一説には聖徳太子の側近であった秦河勝が起源となったのではないかという話がある。 かの世阿弥は河勝の子孫を自称しており、著書『風姿花伝』には聖徳太子が秦河勝に六十六の面を与え神楽を奏させたというエピソードが記されている。 明治維新後には猿楽の役者たちが失職し、他の伝統芸能諸共消滅の危機に瀕していたが、 かの岩倉具視や九条道孝の助力もあり猿楽は能楽に改められ、「能楽社」が発足。歴史の波の中に消えていく運命は免れた。 そんな能楽は、魔震の被害から20年経つという外界と断絶された新宿でもしっかりと現存していた。 その象徴が、神楽坂にある能楽堂であろう。 築50年を超えるそれは新宿の中では最も古く、能楽シテ方(=能での主人公的役回りのこと)のとある流派の職分家が所有する由緒ある能楽堂であった。 今もそこでは継続して能楽の公演が行われており、愛好家はもちろん一般の人々の興味も引き、公演日には客席がほぼ満員になるほど盛況であった。 そして現在、能楽堂の舞台にて、扇を片手にシテ方を演じ、能面をかぶって舞う少女の姿があった。 正方形の舞台の上を踏むたびに桃色のロングヘアーが揺れる。 観客は一人を除いていない。舞台の傍らに、少女とは対照的な壮年の男性が真剣な目で少女の能を睨んでいた。 この男は能を演じている少女の師匠にあたる者だ。 兼ねてより、能楽師を志した者は所属する流派の家系の家に住み込んで内弟子となり、修業の日々を送らねばならない。 この少女も能楽師を夢見て、この能楽堂を所有する職分家の内弟子となった一人であった。 元来、能楽は女人禁制の決まりであったが、近年ではそれが緩和されて女性にも門戸が開かれている。 彼女もまた、珍しい女性能楽師の卵として弟子達の中ではそれなりに注目されていた。 少女が舞台の上を踵を上げることなく摺り足で舞台を行く。 ハコビと呼ばれる運歩法で円弧を描くように正方形の舞台を回り、扇を現在演じている演目に合わせてゆったりと、それでいて優雅に振る。 能楽においては舞台から見て正面と右、左の3方向に客席があり、能楽師はそれぞれの方角にいる観衆の目を意識して見せねばならないのだ。 舞台の上で登場人物そのものになりきっている仮面の少女の演技は、男からすれば見事なものであった。 その動き、ハコビやカマエの一挙一動からも感情が伝わり、面が動くことはなくとも舞から発せられる感情のエネルギーが全身を駆け巡っていく感覚だった。 演目のシテ役をプロの能楽師に勝るとも劣らないほどに演じきってみせている。 「終わりました」 少女が演目を終え、能面を外して師の方へ目線を移す。 その顔は無表情という言葉がこれ以上なく当てはまっており、何を考えているのかが一切わからない。 「流石だな。見事な能だった。もう少し突き詰めれば若竹能に出ても問題ないレベルに達するだろうな」 「ありがとうございます」 「しかし、だな。こころよ」 男はこころと呼ばれた少女の舞を褒めつつも、少し困ったような顔をして腕を組む。 少女の名は秦こころといった。現在は新宿の能楽の有名な職分家に住み込んで弟子入りしている。 能楽堂にて数週間後に公演される『若竹能(若手能楽師が稽古の成果を見せるための能の公演)』のために日々鍛錬に励んでいた。 こころの演じる能楽を見た能楽師は誰もがその素質に驚愕し、賛辞と拍手を送った。 若手の駆け出しとは思えない、前途有望な能楽師であった。 だが、男が難しい顔を見せたように、こころにはある難点があった。 「もう少しわかりやすく演じることはできないか?」 「わかりやすく?」 こころは師の言葉の意味がわからないといった様子で小首を傾げた。 「私がお前の能を『見事』と言えるのは私が能楽を生業としているからこそだ。お前の所作が何を表しているかがわかるからな。 だが、能を初めて観る方々にとってはどうかな?特別区、果てには世界中から神楽坂を訪れた人々がここの能を観に来る。 そんな人達が皆、能を理解しているはずがないことなど自明の理だ」 「……」 こころの難点。それは伝統芸能になじみの無い庶民には難しすぎて意味が分からないことだった。 確かに能楽師の目からすれば出来は非常にいいが、素人目で見ると何をしているかがわからず、不安になってその演目とは関係のないことまで考えてしまうのだ。 プロの能楽師であるこころの師匠は新宿のNPCでありながらもそれを的確に見抜いていた。 「今日の稽古はここまでにしよう。これからはお前の自由時間を多めにとる。自主的に鍛錬して、お前だけのわかりやすい能を編み出してみてくれ。 私もそろそろ年だ。年寄りには考えつかない、お前なりの新しい能を期待しているぞ」 「はい、考えてみます」 この会話を最後に、今日のこころの稽古は終了となった。 ◆ ◆ ◆ 言うまでもないが、秦こころはこの新宿での聖杯戦争におけるマスターの一人である。 66種類の面が付喪神と化した存在で、面霊気とも呼ばれている。 彼女に与えられた役職は前述のとおり、とある能楽師の家に住み込みで修業中の天才若手能楽師。 66種類の面を常に携帯している様子が自分だけの能面を好んで使っているように見えたのか、関係者の間では「My能面」を持っていることでも有名であった。 また、この新宿は外界と断絶されてしまったという点で幻想郷と似ていた。 「私の能楽ってわかりにくいの?」 近場の公園にて、夜風に吹かれながらこころは独り言ちた。 こころにはこの日の稽古で師にかけられた言葉が引っ掛かっている。 幻想郷の博麗神社で精神安定のために能楽をしていた時もそのような不満を小耳にはさんだことがある。 マミゾウによれば、「難しすぎて不安になり、余計なことまで考えてしまう」のだそうだ。 「新しい希望の面を使いこなせれば何か見えてくるかな?」 豊聡耳神子に新たに作ってもらった希望の面を手に取る。 先の幻想郷での宗教戦争は、希望の面がなくなったことによりこころの能力が暴走し、人々が刹那的な快楽を求めるようになったことに起因する。 その騒動の中で、道教勢力に立つ神子に与えられたのがこの希望の面だったのだ。 尤も、この面は道具として完璧すぎるゆえに、こころの自我が失われてただの道具に逆戻りしてしまう可能性を孕んでいる。 博麗神社で能楽を始めたのも希望の面をまだ使いこなせておらず、精神を安定させて無用な騒ぎを防ぐという側面もあった。 新宿で与えられた役割は、日常的に能楽ができるという点でこころとしても非常に助かっていた。 「まろからすれば見事でおちゃったよ」 「ライダー」 こころがライダーと呼んだ先に霊体化を解いたこころのサーヴァントが現れる。 しかしその外見はおおよそ人とはいいがたく、形容するならば台座に乗ったからくり箱と、その前方に取ってつけた腕のない人形といった風体。 その名も【機巧《からくりの》おちゃ麻呂】。 平安時代から存在する機巧兵にして、こんななりだが平安の神楽で江戸中を魅了した舞踏家でもある。 「能楽とは何とも雅な舞でおちゃるなぁ~。狂死郎の歌舞伎にも劣らぬでおちゃるよ」 「そんなによかった?」 おちゃ麻呂に褒められたこころは頭に張り付いている面を福の神に変えた。 彼女なりの嬉しさの表現だろうか。 「そちの舞を見ていると、まろも舞ってみたくなったでおちゃる~。あそ~れ――」 「ぬおおぉぉぉ~~~私が吹き飛ぶぅぅぅ~~~~」 「おちゃ~~~~!?!?!?」 おちゃ麻呂が舞おうとして得物の扇を一振りした瞬間、こころが力の抜けた悲鳴を上げた。 こころの方へ目を向けると、まるで扇から煽られた風に吹かれているようにヨレヨレで、今にも倒れそうな態勢であった。 おちゃ麻呂は高名な陰陽師に製造された退魔機巧兵で、魔の者を見事調伏したという逸話から、霊的・魔的なモノを祓う最高ランクの『退魔力』を持つ。 彼の舞にも退魔力は付加されており、それを見た霊的なモノは祓われる。 こころは付喪神であり、その祓われる対象に入っていた。 「まことや、こころは付喪神でおちゃった…げに危うし、げに危うし」 「気を付けろ!我々はまだ不安定なんだ!」 「おちゃ~、般若面となりて怒られたでおちゃる……されど、まろが意識しておけばもう心配ないでおちゃるよ。心安かれでおちゃる」 ただ、祓われるといってもおちゃ麻呂が意識さえしておけば特に問題はない。 対魔力がサーヴァントの意思で効果を弱めることができるのと同様に、退魔力もその力を弱めてこころのような存在を傷つけぬようにできるのだ。 おちゃ麻呂は人形を精一杯動かし、頭を下げて謝った。 「さても、それがそちの希望の面でおちゃるか?げにあやしげな面持ちでおちゃるな~。つゆ完璧とは思えぬでおちゃる」 「確かに変だけど、我々には必要な面だから」 「されどその面を使い続けるとそちは道具に戻ってしまうのでおちゃろう?何ぞそれを使い続けるでおちゃ?」 「この面を使い続けて自我に取り込めって狸の妖怪に言われたの。そのためには色んな人間の感情を見て、表情を学ばなければならない」 こころがこの面を使い続ける理由は二ッ岩マミゾウにあった。 こころは無表情だが感情自体は豊かで、感情を司る面を被ると対応した感情に変化し、口調も変わる。 以前までのこころは面こそが本体であり、自身の感情そのものという認識を持っていた。 だが、本体は妖怪となって形を成した『こころ』であり、 『こころ』自身が感情・表情を手に入れることで面霊気の『こころ』は完成して自我を保ち続けることができる、とマミゾウは諭したのだ。 「ライダーも私と同じで表情がない。でも、面がないのに感情がとても豊かだわ。他の人間や妖怪と違う…あなたって面白い♪」 「ほっほっほっ……まろの『これ』は人形ゆえ表情はなかれども、師父様から賜りしこの魂は感情を持っているでおちゃるからな~。 まろがただの機巧で終わらなかったのもそのおかげかもしれないでおちゃる」 おちゃ麻呂は歯車のぎっしりと詰まった箱から生えた手で己の人形を指さしながら言った。 おちゃ麻呂はからくりにも関わらず、その機体に魂を持ち、意思と感情を持っている。 彼も感情を持っていたからこそ、逸話になるほどの偉業を成し、英霊という存在にまで押し上げられたのだろう。 「そう、私もただの道具で終わりたくない……。だから私は、この聖杯戦争を通して感情を学ぶ。それが私の願いだ!」 こころは自分の手元にある契約者の鍵を取り出した。 透き通るように青いそれは元々は神子がくれた希望の面にいつの間にか入っていたものだ。 それを得て何が起こるでもなく、こころ自身も特に理由もなく持ち歩いていたのだが、ある日を境に突然新宿へ飛ばされた。 マミゾウに敗北し、その言葉を受けて感情を探しに行こうとした矢先であった。 「この聖杯戦争を通して…?さらば、そちは聖杯が欲しくないのでおちゃるか?」 「聖杯戦争みたいな殺し合いは殺意を生むわ。そんなモノを認めるわけにはいかない!」 殺意という感情は人間を不安定にさせ、果てには多くの死をもたらし、感情をも含めてその人間達の『全て』を壊してしまう。 感情のバランスを保つ面霊気のこころにとって、それは許しがたいものだった。 「ほっほっほっ……あなおもしろき面霊気かな~。……そちを見ていると、まろもそちが何を成し遂げるのか見てみたくなったでおちゃるよ~」 おちゃ麻呂は扇を人形の口元に当てる。 彼は、前述のとおり魔を祓う機巧兵として生きていた。 初めてこころの正体を知った時は何事かと思ったが、彼女からは悪しきモノを感じないので自らのマスターとして認め、彼女についていくことにした。 現に、妖怪であるはずのこころはこの聖杯戦争を認めないと言ったのだ。 劉雲飛のような善悪両方の気配を持つ者にも会ったことがあるが、今のところこころからは悪しきモノは感じられない。 「……新宿に潜む悪しきモノは、別にいるようでおちゃるなぁ~」 現界した当初からおちゃ麻呂が感じていた、新宿に巣食う『魔の者』の気配。 この再現された平和な新宿にも、「再現元」と同じように悪しきモノがいることをおちゃ麻呂は見抜いていた。 いずれはこの新宿にも、魔界都市に相応しい悪しきモノが表舞台に姿を現してくるのだろうか。 「悪しきモノを祓うはまろの使命。その時は、まろが祓ってしんぜよう~」 おちゃ麻呂はこころに聞こえぬよう、か細い声で呟いた。 ---- 【クラス】 ライダー 【真名】 機巧おちゃ麻呂@サムライスピリッツ 天下一剣客伝 【パラメータ】 筋力C 耐久B 敏捷E~A+ 魔力A 幸運A 宝具A 【属性】 秩序・善 【クラス別スキル】 対魔力:A Aランク以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師ではライダーに傷をつけられない。 後述の逸話により退魔の属性を得たため、それと同時に破格の対魔力も得ている。 騎乗:- ライダークラスにあるまじきことだが騎乗スキルを所有しない。 ライダーは台座を足代わりにして移動している。 【保有スキル】 退魔力:A 霊的・魔的なモノを祓う力。 ライダーは陰陽師により生み出され、最終的に羅将神ミヅキを始めとする魔の者を調伏したことからこのスキルを有する。 ライダーの全ての攻撃は霊体にもダメージを通すことができ、 さらに魔の属性または闇の属性を持つサーヴァントに対しては追加ダメージを負わせる。 なお、無差別というわけではなく、対魔力と同じくライダーの意思で対象を指定できる。 舞踊:A 江戸の民を魅了し続けた平安時代の舞踏、裏式神楽雅《うらしきかぐらみやび》。 ライダーの場合、その舞踏自体に退魔の属性が宿っており、 周囲で発動している同ランク以下の魔術を全てキャンセルする。 どんな強力な魔術工房やエンチャントですら舞一つで全て台無しになる上、攻撃魔術から同行者を守る実質的なバリアとしても機能する。 さらに攻撃にも使うこともでき、見切りにくく、予想のつかない身体動作により敵の防御姿勢を容易に崩すことができる。 敵の防御判定におけるファンブル率を大きく上昇させる。 侍魂:C サムライスピリッツ。武芸者同士の御前試合に参加していた逸話からこのスキルを持つ。 怒りの爆発を武器に乗せて力に変え、あるいは自身を無の境地に置くことで静なる剣を引き出す奥義。 ライダーは厳密にはサムライではないため、ランクはそこまで高くない。 王服茶:A ライダーの好物である縁起物のお茶であり、薬湯。 この茶を飲んだ者はみな病魔を払われ快癒したという逸話から、 ライダーの出した王服茶を飲んだ者の受けたダメージを回復し、毒などのバッドステータスを治癒する。 【宝具】 『師父製山車舞台型魂宿退魔機巧兵御茶麻呂《しふせいだしぶたいかたたまやどるたいまのからくりのつはものおちゃまろ》』 ランク:A 種別:退魔宝具 レンジ:―― 最大捕捉:―― 平安時代に高名な陰陽師「師父様」が生涯をかけて生みだしたおちゃ麻呂の機巧《からくり》の体そのものが宝具。 からくりでありながら魂を持ち、豊かな意思・感情を持っている。 からくりの特性上、その内部に様々な機構を持ち奇怪な攻撃ができる他、 ある程度の範囲ではあるが材料さえ揃えばライダー自身の体を分解して魔力を消費せず自己修復が可能。 さらに、ライダーの機巧内部の埃や塵の量、潤滑油の質などにより敏捷が大幅に上下する。 四六のガマの油のような神秘の宿った油を潤滑油としてライダーに注入したともなれば、敏捷はA+ランクまで上昇するだろう。 時を経て、仲間の遺志を継ぎ見事羅将神ミヅキを封印した逸話から、最高ランクの対魔力、そしてあらゆる行動に退魔の属性がついている。 【weapon】 切鉄翁・裏鉄嫗《きりがねおきな・うらがねおうな》 ライダーが舞に使う一対の鉄扇。 舞踊と共に繰り出される機巧体動作は多彩で、完全に見切るのは困難。 黒鉄鋳造刃金焼入白銀歯車《くろがねちゅうぞうはがねやきいれはくぎんのはぐるま》 ライダーのからくり箱の頂点で常に回っている巨大な歯車。 変形し、押し付けて高速回転させることで敵を切り刻む。 人形 機巧部の前についている平安の公家風の人形。 ただの人形のため、表情はないがライダー自体は普通に感情豊かである。 人形自体も頭突きや足払いができる他、獅子舞に変形して敵を飲み込む「獅子舞 鬼遣」「獅子舞 鬼紋封」といった技も使用可能。 台座 ライダーの移動手段。常にライダーはこの台座に乗っており、ライダーとして現界した原因の一つ。 遠隔操作・攻撃可能。 【人物背景】 高名な陰陽師「師父様」が生涯をかけて生みだした機巧戦士の内の一体。 平安時代、陸奥・恐山にて力を蓄えている羅将神ミヅキを始めとする世に災いをなすであろう魔の者を調伏するために製造された。 現代から1000年以上昔の産物であるが、驚くべきことにただの機械ではなく、意思や感情を持っている。 からくり箱のような機巧部分の正面にちょこんと人形がついているが、人形に表情を変える機能はないため、表情はない。 いわゆる公家言葉っぽい喋り方をするが、「おじゃる」となるべき部分が全て「おちゃる」となっている。 彼の他に「いちゃ麻呂」「ろちゃ麻呂」「はちゃ麻呂」…と、40体以上の機巧兵がいる。 普段は京都「天閣座」に奉納されており、年に一度だけ「機巧人形舞台」として平安の舞を披露しているが、 ひとたび世に魔が溢れると目覚め、魔を調伏し終えると再び眠りにつく。 江戸時代初期に、羅将神ミヅキを封印するべく、おちゃ麻呂は法力僧数十人と兄弟の機巧兵とともに恐山に赴いたが、 壮絶な戦いの果てに戦いを共にした法力僧や兄弟である機巧兵はおちゃ麻呂を残して全滅してしまう。 一人眠りについたおちゃ麻呂だったが、「サムライスピリッツ天下一剣客伝」本編で再び高まったミヅキの気配によって目覚め、 仲間の遺志を継いで最後の戦いに挑むのだった。 そして御前試合を経て、ついに宿敵・ミヅキを見事封印することに成功。 かつての戦友の子孫と対面するも、おちゃ麻呂は死んでいった兄弟と喜びを分かち合えないことに寂しさを感じていた。 しかし、幕府お抱え・柳生一族の中でもカラクリに精通した者の手によっておちゃ麻呂の兄弟はみな復活する。 この出来事にはおちゃ麻呂も感激のあまり涙を流す(しぐさをしていた)。 そして、ミヅキ封印により本来の魔の者を調伏する役目から解き放たれた彼ら機巧兵は思い思いの道を辿った。 農夫となる者、平安京に帰る者、柳生新陰流を極める者、 旅に出る者、茶店で働く者、忠臣となる者、寝てから考える者…と様々な道を歩み、 おちゃ麻呂は平安時代の舞を江戸に蘇らせ、あらゆる人々を魅了し続けた。 【サーヴァントとしての願い】 新宿に潜む悪しきモノを祓う こころの行く末を見届ける 【マスター】 秦こころ@東方project 【マスターとしての願い】 ライダーと共に感情を探しに行く 【weapon】 弾幕ごっこで使用する遠距離攻撃、面、扇、薙刀など 面の目の部分からレーザーが発射されたりとスペルカードルールに則して様々な方法で弾を放てる。 【能力・技能】 感情を操る程度の能力 それぞれの感情を司る66の面を持っており、被った面によってこころの性格は様々に変化する。 多すぎるので普段は喜怒哀楽の面を主に使っている。 「希望の面」が失われたことで幻想郷の人間達から希望の感情が失われたりと多数の感情にも影響を及ぼすことが可能なようだが、詳しい能力の規模や応用性は不明。 こころの持つ感情の波動を相手に浴びせて情緒不安定にさせる「喜怒哀楽ポゼッション」なるスペルカードがある。 能楽 特技に能楽を演じることができ、こころが新宿に来る前に起きていた宗教戦争は後に『心綺楼』というタイトルの能楽として披露されるはずであった。 【参戦方法】 契約者の鍵が神子の作った希望の面に入っていた。 【参戦時期】 『心綺楼』マミゾウED後。 【人物背景】 66枚の古い能面の面霊気(付喪神)。 こころ本人は無表情で周囲を漂っている面をかぶるとその面に対応した感情になるという特徴を持つ。 六十六枚全てに感情が割り当てられているが流石に多いので普段は喜怒哀楽の面くらいしか使用しないらしい。 ただし決して無口ではなく会話は普通に成立しており、会話シーンでは無表情のまま口調が次々に変化するという妙な光景が見られる。 『心綺楼』騒動の元凶であり、面の1つである『希望の面』を失い、能力が暴走。 その結果として人里の人々全体から希望の感情が失われ、刹那的な快楽を求めるようになってしまった。 「東方心綺楼」では面を揃え再び人々の感情を安定させるために、希望(信仰)を集めてきた者を新たな希望の面とするべく襲い掛かってくる。 豊聡耳神子によって新しい希望の面を作ってもらったことで、異変は解決するかと思われたが、 その面が完璧すぎたため使いこなすことができず、このままでは自我が失われ、ただの道具に戻ってしまう事態に陥る。 それを打開しようと奔走していたが、二ッ岩マミゾウに諭され、新しい神子の希望の面を使いこなして自我を手に入れることを目指すようになる。 【方針】 聖杯戦争には乗らない。
能楽。 日本の伝統芸能の一つとして知られる。 能と狂言の総称であるそれはかつて猿楽とも呼称されていた。 猿楽は室町時代以前では庶民の文化レベルであったが観阿弥・世阿弥らによって集大成され、現在に残るほどの文化に昇華された。 その起源には諸説あり、一説には聖徳太子の側近であった秦河勝が起源となったのではないかという話がある。 かの世阿弥は河勝の子孫を自称しており、著書『風姿花伝』には聖徳太子が秦河勝に六十六の面を与え神楽を奏させたというエピソードが記されている。 明治維新後には猿楽の役者たちが失職し、他の伝統芸能諸共消滅の危機に瀕していたが、 かの岩倉具視や九条道孝の助力もあり猿楽は能楽に改められ、「能楽社」が発足。歴史の波の中に消えていく運命は免れた。 そんな能楽は、魔震の被害から20年経つという外界と断絶された新宿でもしっかりと現存していた。 その象徴が、神楽坂にある能楽堂であろう。 築50年を超えるそれは新宿の中では最も古く、能楽シテ方(=能での主人公的役回りのこと)のとある流派の職分家が所有する由緒ある能楽堂であった。 今もそこでは継続して能楽の公演が行われており、愛好家はもちろん一般の人々の興味も引き、公演日には客席がほぼ満員になるほど盛況であった。 そして現在、能楽堂の舞台にて、扇を片手にシテ方を演じ、能面をかぶって舞う少女の姿があった。 正方形の舞台の上を踏むたびに桃色のロングヘアーが揺れる。 観客は一人を除いていない。舞台の傍らに、少女とは対照的な壮年の男性が真剣な目で少女の能を睨んでいた。 この男は能を演じている少女の師匠にあたる者だ。 兼ねてより、能楽師を志した者は所属する流派の家系の家に住み込んで内弟子となり、修業の日々を送らねばならない。 この少女も能楽師を夢見て、この能楽堂を所有する職分家の内弟子となった一人であった。 元来、能楽は女人禁制の決まりであったが、近年ではそれが緩和されて女性にも門戸が開かれている。 彼女もまた、珍しい女性能楽師の卵として弟子達の中ではそれなりに注目されていた。 少女が舞台の上を踵を上げることなく摺り足で舞台を行く。 ハコビと呼ばれる運歩法で円弧を描くように正方形の舞台を回り、扇を現在演じている演目に合わせてゆったりと、それでいて優雅に振る。 能楽においては舞台から見て正面と右、左の3方向に客席があり、能楽師はそれぞれの方角にいる観衆の目を意識して見せねばならないのだ。 舞台の上で登場人物そのものになりきっている仮面の少女の演技は、男からすれば見事なものであった。 その動き、ハコビやカマエの一挙一動からも感情が伝わり、面が動くことはなくとも舞から発せられる感情のエネルギーが全身を駆け巡っていく感覚だった。 演目のシテ役をプロの能楽師に勝るとも劣らないほどに演じきってみせている。 「終わりました」 少女が演目を終え、能面を外して師の方へ目線を移す。 その顔は無表情という言葉がこれ以上なく当てはまっており、何を考えているのかが一切わからない。 「流石だな。見事な能だった。もう少し突き詰めれば若竹能に出ても問題ないレベルに達するだろうな」 「ありがとうございます」 「しかし、だな。こころよ」 男はこころと呼ばれた少女の舞を褒めつつも、少し困ったような顔をして腕を組む。 少女の名は秦こころといった。現在は新宿の能楽の有名な職分家に住み込んで弟子入りしている。 能楽堂にて数週間後に公演される『若竹能(若手能楽師が稽古の成果を見せるための能の公演)』のために日々鍛錬に励んでいた。 こころの演じる能楽を見た能楽師は誰もがその素質に驚愕し、賛辞と拍手を送った。 若手の駆け出しとは思えない、前途有望な能楽師であった。 だが、男が難しい顔を見せたように、こころにはある難点があった。 「もう少しわかりやすく演じることはできないか?」 「わかりやすく?」 こころは師の言葉の意味がわからないといった様子で小首を傾げた。 「私がお前の能を『見事』と言えるのは私が能楽を生業としているからこそだ。お前の所作が何を表しているかがわかるからな。 だが、能を初めて観る方々にとってはどうかな?特別区、果てには世界中から神楽坂を訪れた人々がここの能を観に来る。 そんな人達が皆、能を理解しているはずがないことなど自明の理だ」 「……」 こころの難点。それは伝統芸能になじみの無い庶民には難しすぎて意味が分からないことだった。 確かに能楽師の目からすれば出来は非常にいいが、素人目で見ると何をしているかがわからず、不安になってその演目とは関係のないことまで考えてしまうのだ。 プロの能楽師であるこころの師匠は新宿のNPCでありながらもそれを的確に見抜いていた。 「今日の稽古はここまでにしよう。これからはお前の自由時間を多めにとる。自主的に鍛錬して、お前だけのわかりやすい能を編み出してみてくれ。 私もそろそろ年だ。年寄りには考えつかない、お前なりの新しい能を期待しているぞ」 「はい、考えてみます」 この会話を最後に、今日のこころの稽古は終了となった。 ◆ ◆ ◆ 言うまでもないが、秦こころはこの新宿での聖杯戦争におけるマスターの一人である。 66種類の面が付喪神と化した存在で、面霊気とも呼ばれている。 彼女に与えられた役職は前述のとおり、とある能楽師の家に住み込みで修業中の天才若手能楽師。 66種類の面を常に携帯している様子が自分だけの能面を好んで使っているように見えたのか、関係者の間では「My能面」を持っていることでも有名であった。 また、この新宿は外界と断絶されてしまったという点で幻想郷と似ていた。 「私の能楽ってわかりにくいの?」 近場の公園にて、夜風に吹かれながらこころは独り言ちた。 こころにはこの日の稽古で師にかけられた言葉が引っ掛かっている。 幻想郷の博麗神社で精神安定のために能楽をしていた時もそのような不満を小耳にはさんだことがある。 マミゾウによれば、「難しすぎて不安になり、余計なことまで考えてしまう」のだそうだ。 「新しい希望の面を使いこなせれば何か見えてくるかな?」 豊聡耳神子に新たに作ってもらった希望の面を手に取る。 先の幻想郷での宗教戦争は、希望の面がなくなったことによりこころの能力が暴走し、人々が刹那的な快楽を求めるようになったことに起因する。 その騒動の中で、道教勢力に立つ神子に与えられたのがこの希望の面だったのだ。 尤も、この面は道具として完璧すぎるゆえに、こころの自我が失われてただの道具に逆戻りしてしまう可能性を孕んでいる。 博麗神社で能楽を始めたのも希望の面をまだ使いこなせておらず、精神を安定させて無用な騒ぎを防ぐという側面もあった。 新宿で与えられた役割は、日常的に能楽ができるという点でこころとしても非常に助かっていた。 「まろからすれば見事でおちゃったよ」 「ライダー」 こころがライダーと呼んだ先に霊体化を解いたこころのサーヴァントが現れる。 しかしその外見はおおよそ人とはいいがたく、形容するならば台座に乗ったからくり箱と、その前方に取ってつけた腕のない人形といった風体。 その名も【機巧《からくりの》おちゃ麻呂】。 平安時代から存在する機巧兵にして、こんななりだが平安の神楽で江戸中を魅了した舞踏家でもある。 「能楽とは何とも雅な舞でおちゃるなぁ~。狂死郎の歌舞伎にも劣らぬでおちゃるよ」 「そんなによかった?」 おちゃ麻呂に褒められたこころは頭に張り付いている面を福の神に変えた。 彼女なりの嬉しさの表現だろうか。 「そちの舞を見ていると、まろも舞ってみたくなったでおちゃる~。あそ~れ――」 「ぬおおぉぉぉ~~~私が吹き飛ぶぅぅぅ~~~~」 「おちゃ~~~~!?!?!?」 おちゃ麻呂が舞おうとして得物の扇を一振りした瞬間、こころが力の抜けた悲鳴を上げた。 こころの方へ目を向けると、まるで扇から煽られた風に吹かれているようにヨレヨレで、今にも倒れそうな態勢であった。 おちゃ麻呂は高名な陰陽師に製造された退魔機巧兵で、魔の者を見事調伏したという逸話から、霊的・魔的なモノを祓う最高ランクの『退魔力』を持つ。 彼の舞にも退魔力は付加されており、それを見た霊的なモノは祓われる。 こころは付喪神であり、その祓われる対象に入っていた。 「まことや、こころは付喪神でおちゃった…げに危うし、げに危うし」 「気を付けろ!我々はまだ不安定なんだ!」 「おちゃ~、般若面となりて怒られたでおちゃる……されど、まろが意識しておけばもう心配ないでおちゃるよ。心安かれでおちゃる」 ただ、祓われるといってもおちゃ麻呂が意識さえしておけば特に問題はない。 対魔力がサーヴァントの意思で効果を弱めることができるのと同様に、退魔力もその力を弱めてこころのような存在を傷つけぬようにできるのだ。 おちゃ麻呂は人形を精一杯動かし、頭を下げて謝った。 「さても、それがそちの希望の面でおちゃるか?げにあやしげな面持ちでおちゃるな~。つゆ完璧とは思えぬでおちゃる」 「確かに変だけど、我々には必要な面だから」 「されどその面を使い続けるとそちは道具に戻ってしまうのでおちゃろう?何ぞそれを使い続けるでおちゃ?」 「この面を使い続けて自我に取り込めって狸の妖怪に言われたの。そのためには色んな人間の感情を見て、表情を学ばなければならない」 こころがこの面を使い続ける理由は二ッ岩マミゾウにあった。 こころは無表情だが感情自体は豊かで、感情を司る面を被ると対応した感情に変化し、口調も変わる。 以前までのこころは面こそが本体であり、自身の感情そのものという認識を持っていた。 だが、本体は妖怪となって形を成した『こころ』であり、 『こころ』自身が感情・表情を手に入れることで面霊気の『こころ』は完成して自我を保ち続けることができる、とマミゾウは諭したのだ。 「ライダーも私と同じで表情がない。でも、面がないのに感情がとても豊かだわ。他の人間や妖怪と違う…あなたって面白い♪」 「ほっほっほっ……まろの『これ』は人形ゆえ表情はなかれども、師父様から賜りしこの魂は感情を持っているでおちゃるからな~。 まろがただの機巧で終わらなかったのもそのおかげかもしれないでおちゃる」 おちゃ麻呂は歯車のぎっしりと詰まった箱から生えた手で己の人形を指さしながら言った。 おちゃ麻呂はからくりにも関わらず、その機体に魂を持ち、意思と感情を持っている。 彼も感情を持っていたからこそ、逸話になるほどの偉業を成し、英霊という存在にまで押し上げられたのだろう。 「そう、私もただの道具で終わりたくない……。だから私は、この聖杯戦争を通して感情を学ぶ。それが私の願いだ!」 こころは自分の手元にある契約者の鍵を取り出した。 透き通るように青いそれは元々は神子がくれた希望の面にいつの間にか入っていたものだ。 それを得て何が起こるでもなく、こころ自身も特に理由もなく持ち歩いていたのだが、ある日を境に突然新宿へ飛ばされた。 マミゾウに敗北し、その言葉を受けて感情を探しに行こうとした矢先であった。 「この聖杯戦争を通して…?さらば、そちは聖杯が欲しくないのでおちゃるか?」 「聖杯戦争みたいな殺し合いは殺意を生むわ。そんなモノを認めるわけにはいかない!」 殺意という感情は人間を不安定にさせ、果てには多くの死をもたらし、感情をも含めてその人間達の『全て』を壊してしまう。 感情のバランスを保つ面霊気のこころにとって、それは許しがたいものだった。 「ほっほっほっ……あなおもしろき面霊気かな~。……そちを見ていると、まろもそちが何を成し遂げるのか見てみたくなったでおちゃるよ~」 おちゃ麻呂は扇を人形の口元に当てる。 彼は、前述のとおり魔を祓う機巧兵として生きていた。 初めてこころの正体を知った時は何事かと思ったが、彼女からは悪しきモノを感じないので自らのマスターとして認め、彼女についていくことにした。 現に、妖怪であるはずのこころはこの聖杯戦争を認めないと言ったのだ。 劉雲飛のような善悪両方の気配を持つ者にも会ったことがあるが、今のところこころからは悪しきモノは感じられない。 「……新宿に潜む悪しきモノは、別にいるようでおちゃるなぁ~」 現界した当初からおちゃ麻呂が感じていた、新宿に巣食う『魔の者』の気配。 この再現された平和な新宿にも、「再現元」と同じように悪しきモノがいることをおちゃ麻呂は見抜いていた。 いずれはこの新宿にも、魔界都市に相応しい悪しきモノが表舞台に姿を現してくるのだろうか。 「悪しきモノを祓うはまろの使命。その時は、まろが祓ってしんぜよう~」 おちゃ麻呂はこころに聞こえぬよう、か細い声で呟いた。 ---- 【クラス】 ライダー 【真名】 機巧おちゃ麻呂@サムライスピリッツ 天下一剣客伝 【パラメータ】 筋力C 耐久B 敏捷E~A+ 魔力A 幸運A 宝具A 【属性】 秩序・善 【クラス別スキル】 対魔力:A Aランク以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師ではライダーに傷をつけられない。 後述の逸話により退魔の属性を得たため、それと同時に破格の対魔力も得ている。 騎乗:- ライダークラスにあるまじきことだが騎乗スキルを所有しない。 ライダーは台座を足代わりにして移動している。 【保有スキル】 退魔力:A 霊的・魔的なモノを祓う力。 ライダーは陰陽師により生み出され、最終的に羅将神ミヅキを始めとする魔の者を調伏したことからこのスキルを有する。 ライダーの全ての攻撃は霊体にもダメージを通すことができ、 さらに魔の属性または闇の属性を持つサーヴァントに対しては追加ダメージを負わせる。 なお、無差別というわけではなく、対魔力と同じくライダーの意思で対象を指定できる。 舞踊:A 江戸の民を魅了し続けた平安時代の舞踏、裏式神楽雅《うらしきかぐらみやび》。 ライダーの場合、その舞踏自体に退魔の属性が宿っており、 周囲で発動している同ランク以下の魔術を全てキャンセルする。 どんな強力な魔術工房やエンチャントですら舞一つで全て台無しになる上、攻撃魔術から同行者を守る実質的なバリアとしても機能する。 さらに攻撃にも使うこともでき、見切りにくく、予想のつかない身体動作により敵の防御姿勢を容易に崩すことができる。 敵の防御判定におけるファンブル率を大きく上昇させる。 侍魂:C サムライスピリッツ。武芸者同士の御前試合に参加していた逸話からこのスキルを持つ。 怒りの爆発を武器に乗せて力に変え、あるいは自身を無の境地に置くことで静なる剣を引き出す奥義。 ライダーは厳密にはサムライではないため、ランクはそこまで高くない。 王服茶:A ライダーの好物である縁起物のお茶であり、薬湯。 この茶を飲んだ者はみな病魔を払われ快癒したという逸話から、 ライダーの出した王服茶を飲んだ者の受けたダメージを回復し、毒などのバッドステータスを治癒する。 【宝具】 『師父製山車舞台型魂宿退魔機巧兵御茶麻呂《しふせいだしぶたいかたたまやどるたいまのからくりのつはものおちゃまろ》』 ランク:A 種別:退魔宝具 レンジ:―― 最大捕捉:―― 平安時代に高名な陰陽師「師父様」が生涯をかけて生みだしたおちゃ麻呂の機巧《からくり》の体そのものが宝具。 からくりでありながら魂を持ち、豊かな意思・感情を持っている。 からくりの特性上、その内部に様々な機構を持ち奇怪な攻撃ができる他、 ある程度の範囲ではあるが材料さえ揃えばライダー自身の体を分解して魔力を消費せず自己修復が可能。 さらに、ライダーの機巧内部の埃や塵の量、潤滑油の質などにより敏捷が大幅に上下する。 四六のガマの油のような神秘の宿った油を潤滑油としてライダーに注入したともなれば、敏捷はA+ランクまで上昇するだろう。 時を経て、仲間の遺志を継ぎ見事羅将神ミヅキを封印した逸話から、最高ランクの対魔力、そしてあらゆる行動に退魔の属性がついている。 【weapon】 切鉄翁・裏鉄嫗《きりがねおきな・うらがねおうな》 ライダーが舞に使う一対の鉄扇。 舞踊と共に繰り出される機巧体動作は多彩で、完全に見切るのは困難。 黒鉄鋳造刃金焼入白銀歯車《くろがねちゅうぞうはがねやきいれはくぎんのはぐるま》 ライダーのからくり箱の頂点で常に回っている巨大な歯車。 変形し、押し付けて高速回転させることで敵を切り刻む。 人形 機巧部の前についている平安の公家風の人形。 ただの人形のため、表情はないがライダー自体は普通に感情豊かである。 人形自体も頭突きや足払いができる他、獅子舞に変形して敵を飲み込む「獅子舞 鬼遣」「獅子舞 鬼紋封」といった技も使用可能。 台座 ライダーの移動手段。常にライダーはこの台座に乗っており、ライダーとして現界した原因の一つ。 遠隔操作・攻撃可能。 【人物背景】 高名な陰陽師「師父様」が生涯をかけて生みだした機巧戦士の内の一体。 平安時代、陸奥・恐山にて力を蓄えている羅将神ミヅキを始めとする世に災いをなすであろう魔の者を調伏するために製造された。 現代から1000年以上昔の産物であるが、驚くべきことにただの機械ではなく、意思や感情を持っている。 からくり箱のような機巧部分の正面にちょこんと人形がついているが、人形に表情を変える機能はないため、表情はない。 いわゆる公家言葉っぽい喋り方をするが、「おじゃる」となるべき部分が全て「おちゃる」となっている。 彼の他に「いちゃ麻呂」「ろちゃ麻呂」「はちゃ麻呂」…と、40体以上の機巧兵がいる。 普段は京都「天閣座」に奉納されており、年に一度だけ「機巧人形舞台」として平安の舞を披露しているが、 ひとたび世に魔が溢れると目覚め、魔を調伏し終えると再び眠りにつく。 江戸時代初期に、羅将神ミヅキを封印するべく、おちゃ麻呂は法力僧数十人と兄弟の機巧兵とともに恐山に赴いたが、 壮絶な戦いの果てに戦いを共にした法力僧や兄弟である機巧兵はおちゃ麻呂を残して全滅してしまう。 一人眠りについたおちゃ麻呂だったが、「サムライスピリッツ天下一剣客伝」本編で再び高まったミヅキの気配によって目覚め、 仲間の遺志を継いで最後の戦いに挑むのだった。 そして御前試合を経て、ついに宿敵・ミヅキを見事封印することに成功。 かつての戦友の子孫と対面するも、おちゃ麻呂は死んでいった兄弟と喜びを分かち合えないことに寂しさを感じていた。 しかし、幕府お抱え・柳生一族の中でもカラクリに精通した者の手によっておちゃ麻呂の兄弟はみな復活する。 この出来事にはおちゃ麻呂も感激のあまり涙を流す(しぐさをしていた)。 そして、ミヅキ封印により本来の魔の者を調伏する役目から解き放たれた彼ら機巧兵は思い思いの道を辿った。 農夫となる者、平安京に帰る者、柳生新陰流を極める者、 旅に出る者、茶店で働く者、忠臣となる者、寝てから考える者…と様々な道を歩み、 おちゃ麻呂は平安時代の舞を江戸に蘇らせ、あらゆる人々を魅了し続けた。 【サーヴァントとしての願い】 新宿に潜む悪しきモノを祓う こころの行く末を見届ける 【マスター】 秦こころ@東方project 【マスターとしての願い】 ライダーと共に感情を探しに行く 【weapon】 弾幕ごっこで使用する遠距離攻撃、面、扇、薙刀など 面の目の部分からレーザーが発射されたりとスペルカードルールに則して様々な方法で弾を放てる。 【能力・技能】 感情を操る程度の能力 それぞれの感情を司る66の面を持っており、被った面によってこころの性格は様々に変化する。 多すぎるので普段は喜怒哀楽の面を主に使っている。 「希望の面」が失われたことで幻想郷の人間達から希望の感情が失われたりと多数の感情にも影響を及ぼすことが可能なようだが、詳しい能力の規模や応用性は不明。 こころの持つ感情の波動を相手に浴びせて情緒不安定にさせる「喜怒哀楽ポゼッション」なるスペルカードがある。 能楽 特技に能楽を演じることができ、こころが新宿に来る前に起きていた宗教戦争は後に『心綺楼』というタイトルの能楽として披露されるはずであった。 【参戦方法】 契約者の鍵が神子の作った希望の面に入っていた。 【参戦時期】 『心綺楼』マミゾウED後。 【人物背景】 66枚の古い能面の面霊気(付喪神)。 こころ本人は無表情で周囲を漂っている面をかぶるとその面に対応した感情になるという特徴を持つ。 六十六枚全てに感情が割り当てられているが流石に多いので普段は喜怒哀楽の面くらいしか使用しないらしい。 ただし決して無口ではなく会話は普通に成立しており、会話シーンでは無表情のまま口調が次々に変化するという妙な光景が見られる。 『心綺楼』騒動の元凶であり、面の1つである『希望の面』を失い、能力が暴走。 その結果として人里の人々全体から希望の感情が失われ、刹那的な快楽を求めるようになってしまった。 「東方心綺楼」では面を揃え再び人々の感情を安定させるために、希望(信仰)を集めてきた者を新たな希望の面とするべく襲い掛かってくる。 豊聡耳神子によって新しい希望の面を作ってもらったことで、異変は解決するかと思われたが、 その面が完璧すぎたため使いこなすことができず、このままでは自我が失われ、ただの道具に戻ってしまう事態に陥る。 それを打開しようと奔走していたが、二ッ岩マミゾウに諭され、新しい神子の希望の面を使いこなして自我を手に入れることを目指すようになる。 【方針】 聖杯戦争には乗らない。

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