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英純恋子&アサシン」(2016/05/30 (月) 00:50:35) の最新版変更点

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     そして弄ぶ、狭いステージの上、操られながら上手く踊るの/踊らされてるのも随分前から分かっていて、それでも、それでも                 ▼  ▼  ▼ 「わざわざご足労いただき、感謝いたしますわ」  返事代わりに侮蔑を込めて鼻を鳴らし、壮年の魔術師は豪勢な椅子に座った少女を睨めつけるように見た。  そんな視線などまるで意に介していないかのように悠然と紅茶を口に運ぶ姿が、心底癪に障る。 「……ハナブサ・コンツェルンの令嬢ともあろうお方が、来客に椅子も勧めんのかね」 「あら、失礼。わたくし、幼い頃から体が弱いものですから。一人だけ腰掛ける非礼をお詫びしますわ」  魔術師のこめかみに、みしりと血管が浮いた。  挑発しているのか、それとも自分が特権階級たることに微塵も疑問を抱いていないのか、あるいは身の程知らずの無礼者か。  おそらくはその全てなのだろうと、魔術師は即座に結論付ける。  そうでなければ、このような馬鹿げた場所にわざわざ呼び出したりはしないだろう。  魔術師が招かれたのは、〈新宿〉で最も高価な宿泊施設であるハイアット・ホテルの一室である。  正確にはこの部屋だけでなくフロア全体を彼女が丸ごと借り上げて、此度の『聖杯戦争』の本拠地としているのだ。  その桁外れの財力こそが、彼女の背後に存在する「英財閥」の強大さを雄弁に物語っている。  ――『英純恋子(はなぶさ・すみれこ)』。  彼女もまた、男と同じくこの〈新宿〉の聖杯戦争のマスターなのだという。  ふざけた話だ。  恐らくこの〈新宿〉における英財閥は彼女の本来の世界にのバックボーンを再現する形で存在しているのだろうが、しかし彼女は魔術師ではない。  ただの資産家に過ぎない娘が、時計塔で名を挙げた自分と対等のように振る舞い、あまつさえ見下してすらいる。  聖杯に授けられた令呪によって運用できる僅かばかりの魔力では、使役できるサーヴァントもたかが知れていよう。  にも関わらずこの傲岸極まる振る舞い。体に染み付いた人間性とは、舞台を変えても変わらないものと見える。 「……随分と怖い顔をなさるのね。わたくしの提案した共闘のお誘い、お気に召しませんでして?」 「当然だ。どうやって私がマスターだと知ったのかは知らんが、年端もいかぬ小娘に預けてやる背中はないぞ」 「あなたを探り出したのはわたくしのサーヴァントですわ。もっとも、招待状はわたくしのアイデアですけど」  明確な対立の意思を込めた返事にもその慇懃無礼な表情を崩さずに、純恋子は楽しそうな口ぶりで言う。  探索に優れたサーヴァント。アサシンかキャスター、次点で機動力に優れたライダーやランサーか。  いずれも敵ではない、と壮年の魔術師は値踏みする。  なにしろ、自分のサーヴァントは最優と称されるセイバーのクラス。、  今この場で奇襲を受けたとして、切り抜けるだけなら何とでもなるという確信が男にはあった。 「そして、答えはNOということですわね。それは残念――というわけでもありませんわね」 「……どういう意味だ?」 「そのままの意味ですわ。このわたくしと共に勝ち残るには……貴方、随分とチンケでつまらない殿方ですもの」  今度こそ、感情の熱量が沸点を越えた。  男の口角が小刻みに震えながら釣り上がったが、それは笑みの形を作ったものではなかった。  屈辱。  その二文字が今の男の脳内から脊髄を通って四肢の隅々に至るまで駆け巡り、蒸気となって立ち上らんばかりとなっていた。   一流の魔術師を自負するこの自分をここまでコケにしたのだ。  もはや提案の破却だけでは収まらない。  身の程知らずの小娘には、断罪以外に取る道はあるまい! 「――セイバーッッッ!!!」  呼ぶ声を先読みしていたかのように、男の傍に戦闘態勢で実体化したのは絢爛たる鎧の剣士。  この距離ならば、三歩踏み込むだけで、その剣は小娘の首を跳ね飛ばすだろう。  さすがに純恋子も反応を示した。  しかし今更何を言おうが、男の怒りが収まることなどない。 「……本当に小さい男。もはやわたくしが手を下すまでもありませんわね――『アサシン』!」 「何がアサシンか! 我がしもべの剣、アサシンごときがどうこう出来るかァァ!!」  下劣なマスターには下劣な英霊。  暗殺者のクラスとは、身の程知らずの下僕に相応しい無様さだ。  男は手をかざした。  前進の合図。すなわち、攻撃の号令である。 「応ッ!!!」  セイバーが応えた。  そしてその言葉が音となって伝わるよりも早く、純恋子へと一歩を踏み込んだ。  一歩。  一歩を踏み込んだ。  三歩踏み込めば剣が届く距離で、セイバーは一歩だけ踏み込み、そこで止まった。  信じられないものを見るような目で、男は自らのサーヴァントを見た。  サーヴァントもまた男へと視線を送ろうとしたが、思うようにいかなかった。  眼球だけを動かして危険を知らせようとしていたが、首を回すわけにはいかず……回しようもなかった。  そこで男はようやく気づく。  虹だ。  七色の虹が鋭利な刃となって、セイバーの喉元を骨に達するまでに深く裂いていた。  壮年の魔術師は、その年季に相応しくないほどに取り乱した叫び声を上げた。  自身が無敵と信じた英霊の首元から溢れ出す鮮血はまるで現実味がなく、しかし紛れもなく現実そのものだった。  純恋子のアサシンの攻撃だというのか。しかしこの距離で三騎士相手に成功するはずがない。  気配遮断スキルは、攻撃時には大きく効果を減じる。セイバーならば即座に反応して切り捨てるはずだ。  こんなことが、あり得るはずがない――あり得るはずがない! 「貴様ァァァァァあぁァァァ!!」  半狂乱で放った呪詛魔術は、しかし純恋子までは届かず、幾重にも重なった虹の壁に阻まれる。  打つ手を失った男は、死にかけの魚のようにぱくぱくと口を動かした。 「……なん、で」 「なんでってそりゃあオジサン、あんたらが間抜けだったからじゃないの?」 「な、に」 「よっぽど自信あったのか知らないけどさ。でも現実は非情です、はい残念! 分かったらちゃちゃっと死んでよね」  憤死寸前の形相のまま、男は視線を自分の目の前へと動かした。  虹の輪を背負った、純恋子よりも更に若い少女である。  まだ十二、三歳ぐらいでありながら、誰もが目を奪われるほどに可憐な容姿をしている。  しかしその服装はサイバーチックな可愛らしいもので、まるで暗殺者というよりも、日本のアニメや漫画に出てくるような――  ――魔法少女。  それを認識する前に、虹の魔法少女の手刀が男の頚椎を意識ごとへし折った。                   ▼  ▼  ▼  英純恋子は紅茶を一口飲み、僅かに顔を顰めた。  人死になど見慣れた光景であるとはいえ、流石に死体の前で飲む紅茶が美味いわけでもない。 「まったく。人を呼んで処分しなければなりませんわね」  呟いて、下手人である己のサーヴァント――アサシンを見る。  素手で人間を絶命させた割には(暗殺者としては当然なのかも知れないが)さらさら気にしている素振りは見受けられない。  まだ、あのミョウジョウ学園『黒組』のクラスメート達のほうが人間味溢れる反応をしそうだ。  それが暗殺者としていいことなのかどうかは別として。 「――アサシン」  呼ぶと、サーヴァントの少女は振り返った。  同性の純恋子から見ても……いや同性だからこそか、はっと息を呑むほどに可愛らしい。  もっともその本性を見てしまっては、蝶よ花よと愛でるには少しばかり躊躇いがあるが。  アサシンのサーヴァント。真名は、虹の魔法少女『レイン・ポゥ』。  魔法少女にして、暗殺者(アサシン)。  純恋子は魔法少女アニメに夢中になるような歳ではないが、しかし暗殺業の魔法少女の存在に失望を感じなかったといえば嘘になる。  魔法少女といえば夢と希望、愛と勇気の、女の子の憧れとなるような存在だ。  しかしそんな魔法少女たちの世界に、暗殺者が必要とされているということは。  結局、魔法の国もまた、腐敗と癒着と私利私欲に溢れた、ドブのような匂いを放つ世界に過ぎなかったということ。  今も純恋子を取り巻く、醜い悪意の渦と同じように。    アサシンが、横たわる魔術師の死体をつま先で蹴って言う。 「一応、床が血で汚れないように気ぃ遣ったんだからさ。ちょっとは感謝してよね」 「……殺しのプロというのも、あながち嘘ではないようですわね」 「あ、今更そうやって疑っちゃうわけ? 多感な年頃だからそういうのはキズつくんですけど」 (嘘おっしゃいな)  白々しい言葉がよくもすらすらと出てくるものだと感心するが、これがレイン・ポゥという英霊の特性らしい。  彼女の真の武器は虹の魔法ではなく、抜群のコミュニケーション能力と演技力だということだ。  考えようによっては、人を欺いて出し抜くことに特化しているともいえる。  その最たるものが、先ほど見せた三騎士相手の奇襲だ。  条件付きで気配遮断スキルのランクダウンを無効化するスキルは、ある意味でアサシンの本質を表している。 「んで、こんなやり方でマスターの願いってのは叶うわけ?」 「わたくしの願いは、自らが女王として立つに相応しい存在であることの証明。  好敵手足り得ないようなマスターには、正々堂々たる決着を与える必要すらありませんわ」 「うわー、私が言うのもなんだけど性根がひん曲がってるわ。私を喚ぶ時点でろくな人間じゃないけど」  純恋子はぱちぱちと瞬きをした。 「あら、意外。自覚はあるんですのね」 「自覚なきゃこんな仕事やってられんっしょ」 「もっともな言い分ですわね」  そう言うと、アサシンはわざとらしくため息をついた。 「なんかマスターって、私の知ってるやつに似てるわ。いや知ってるっていうか、直接会ったことはないんだけど。  依頼主みたいな感じっていうか……とにかくなんとなくさ、私は特別!って素で考えてそうな感じがするんだよね」 「わたくしが特別なのは改めて言うまでもないでしょうに」 「はぁ……私をこき使ってくれた魔法少女様も、あんたみたいに性格悪い大金持ちのお嬢様だったりするのかな」  うんざりした顔のアサシンに、悠然たる笑みを浮かべたまま純恋子は呼びかける。 「その性格の悪いお嬢様へ、これから力を貸していただくことになるのだけれど。御覚悟はよろしくて?」 「ま、利害は一致してるからね。私も聖杯の力でもう一度人生やり直したいって気持ちはあるし。それに」 「それに?」 「今度は、もっと上手く立ち回って生きてやる。誰にも私をハメさせたりはしない」  ぞくりと、機械化されたはずの背筋が粟立つような錯覚を覚える視線。  まるで、生前誰かに陥れられたことがあり、それと純恋子を重ねているかのような。  まっすぐに向けられるその視線を持ち前の克己心で正面から受け止め、純恋子はあえて微笑んだ。 「……お互い、意図しないステージで踊らされた者同士。上手くやっていけると思いません?」 「どーだか。ま、あんたがスポンサーで私は雇われ。いつも通りやるだけか」  どこまでもドライな虹の魔法少女の生き様は、純恋子の生き方と幾度と無く交差しながら、しかしどこまでも相容れない。  君臨者を鼻で笑う彼女を、女王たらんとする自分が扱おうとするのは滑稽ですらある。  しかし、それもまた自分の戦い。  一ノ瀬晴のように他人の陰に隠れるのとは違う。サーヴァントを己の手足、その最強のパーツとしてこの聖杯戦争を戦い抜くのだ。  なにせ――彼女は、一度“魔王”を殺している。ゆえに、この〈新宿〉において殺せない敵はいない。 ---- 【クラス】  アサシン 【真名】  レイン・ポゥ@魔法少女育成計画Limited 【ステータス】  筋力C 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具C 【属性】  中立・悪 【クラス別スキル】 気配遮断:B 自身の気配を消す能力。 完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。 【固有スキル】 魔法少女:B+ 魔法少女である。ランクが高いほど高水準の魔法少女となる。 魔法少女は人間離れした戦闘能力と視覚聴覚を得、排泄や食事などの新陳代謝行為を一切行わなくて良くなる。 また、疲労の蓄積する速度が人間よりも遥かに遅く、長期の不眠不休にも耐えられるスタミナと常人離れしたメンタルを持つ。 更に、固有の魔法を1つ使える。アサシンの場合それは宝具となる。 アサシンは暗殺者として経験と鍛錬を積んでいるためランクが高いが、それでも上位には及ばない。 そしてアサシンは魔法少女の状態で呼び出されているため、このスキルの発動は阻害できない。 演技力:B 他者に好感を与えるキャラクターを演じ、友好な関係を築くことができるスキル。 アサシンはこのスキルを用いて他者と交流する場合、自身の属性を好きな組み合わせとして誤認させられる。 またアサシン本来の性格を知らない相手がアサシンの演技を見抜こうとする場合、成功ロールにマイナス修正が加わる。 人間観察:C 人々を観察し、理解する技術。 誰が誰にどのような感情を抱いているかを見抜き、把握した上で行動できる。 単体でもそれなりに有用だが、先述の演技力スキルとの組み合わせで真価を発揮するスキル。 魔王殺し:EX 生前のとある逸話により与えられた、虹の魔法少女の異名。 霊格が自分より高い、あるいは宝具を除く平均ステータスが自分より高い英霊に対してのみ発動するスキル。 このスキルが適応された不意討ちの一撃目に限り、気配遮断スキルのランク低下デメリットを無効化する。 【宝具】 『実体を持つ虹の橋を作り出せるよ』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:視界内 最大補足:10 レイン・ポゥの固有魔法にして象徴。 アサシンが念じた場所から反対側へと伸びていく虹の橋を作り出す。 虹の橋は厚さを持たないが、サーヴァントが踏みしめてもヒビひとつ入らない。幅は最大1メートル半、長さは視認範囲内なら無限遠。 また魔術によって生成されるものの、実体を持つため性質としては神秘を帯びた武器に近く、対魔力等のスキルの影響を受けない。 一見するとメルヘンチックな魔法だが、その実体は攻撃・防御・応用性に優れた凶悪な能力。 虹の縁はサーヴァントの肉体をやすやすと切り裂く鋭利な刃であり、橋として魔法少女の全力疾走に耐える強度は盾としても使える。 視認不可能な細さの虹を複数発生させ張り巡らせることで、触れたものを感知するセンサーにすることも可能である。 欠点は、視認範囲外の虹は徐々に崩れて消滅してしまうことと、攻撃するには「虹を伸ばして」「斬りつける」の二動作が必要であること。 正面切っての戦いでは決め手に欠けるうえ見切られる危険があるが、逆に奇襲にはこの上なく適した能力である。 【weapon】 戦闘手段として使用するのは宝具で作り出す虹の刃のみ。 もっとも、レイン・ポゥは素手でも並の魔法少女なら瀕死に追い込めるだけの格闘能力を持つ。 【人物背景】 魔法少女育成計画シリーズ三作目に登場する、虹の魔法少女。 変身前の名前は『三 香織(にのつぎ・かおり)』。中学一年生。社交的で友達の多い、明るい少女である。 魔法少女服はサイバーチックな意匠を持ち、背後に虹の輪を背負っている。 ある日魔法の国から来た妖精トコにより、香織は親友の酒己達子らと共に魔法少女へとスカウトされる。 悪い魔法使いに追われているというトコを助けるため、香織たち七人の新米魔法少女は協力を決意。 手にした力に戸惑いながらも、魔法少女レイン・ポゥは仲間と共にトコを狙って襲い来る敵の魔法少女たちとの戦いに見を投じていく。 ……もっとも、このあらすじは物語の一面ではあっても真実ではないのだが。 本来ならば英霊になり得る存在ではないはずだったが、『Limited』作中で起こしたとある事件により彼女の名は知れ渡ることとなる。 続編『JOKERS』に登場する魔法少女・袋井魔梨華など「虹の魔法少女」を知る者は多く、それが結果として彼女の英霊化に繋がった。 【サーヴァントとしての願い】 第二の生。 次はもうちょっと賢くやって、今度こそ楽しく生きる。 【マスター】  英純恋子@悪魔のリドル 【マスターとしての願い】  自らが真の女王であることを証明する。 【weapon】  サイボーグである自分自身。 【能力・技能】  全損した両手両足を含むほぼ全身をサイボーグ改造しており、特に義肢には戦闘用の改造を施している。  その強度は拳銃を握力だけで破壊し、壁を拳で破砕し、片手で人間をやすやすと投げ飛ばすことが可能なほど。  また指先にワイヤーを仕込んでいる他、腕全体を銃器アタッチメントに換装することも出来る。 【人物背景】  英財閥の令嬢。名前は「はなぶさ・すみれこ」と読む。  彼女の家は明治維新以降に急成長した家であり敵が多く、彼女も幼い頃より幾度と無く命を狙われた結果、四肢を失うほどの重傷を負っている。  それでも血の滲むほどの努力を重ねてリハビリを乗り越え、強化改造した義肢を武器に今まで生き抜いてきた。  そんな自分の存在に強烈な自負を持ち、家柄への誇りとも相まって特別扱いされないと気がすまないタイプ。  同じように命を狙われながらも生き延びてきた一ノ瀬晴には並々ならぬ対抗心を抱いている。  ミョウジョウ学園黒組に参加し晴への暗殺を表明した理由は、他人によって生かされている晴を倒して自分が真の女王であることを証明するためである。  そのため彼女自身は常人を越えた戦闘能力を持ちながらも暗殺者ではなく、晴への暗殺も半ば(一方的な)決闘のような形だった。  結果的に彼女は土壇場で驚異的な行動力を発揮した晴により、99階建てのビルの最上階から突き落とされ戦闘不能になる。  最終回では晴への対抗心を捨て穏やかな表情を浮かべていたが、この聖杯戦争への参戦時期はそれ以前であり、未だ敗北の記憶の抜け切らぬ状態である。 【方針】  聖杯狙い(聖杯そのものが目的ではないが)。  女王として焦ることなく優雅に勝利を得たいところだが、生粋の暗殺者であるアサシンとは見解の相違が生じている。
     そして弄ぶ、狭いステージの上、操られながら上手く踊るの/踊らされてるのも随分前から分かっていて、それでも、それでも                 ▼  ▼  ▼ 「わざわざご足労いただき、感謝いたしますわ」  返事代わりに侮蔑を込めて鼻を鳴らし、壮年の魔術師は豪勢な椅子に座った少女を睨めつけるように見た。  そんな視線などまるで意に介していないかのように悠然と紅茶を口に運ぶ姿が、心底癪に障る。 「……ハナブサ・コンツェルンの令嬢ともあろうお方が、来客に椅子も勧めんのかね」 「あら、失礼。わたくし、幼い頃から体が弱いものですから。一人だけ腰掛ける非礼をお詫びしますわ」  魔術師のこめかみに、みしりと血管が浮いた。  挑発しているのか、それとも自分が特権階級たることに微塵も疑問を抱いていないのか、あるいは身の程知らずの無礼者か。  おそらくはその全てなのだろうと、魔術師は即座に結論付ける。  そうでなければ、このような馬鹿げた場所にわざわざ呼び出したりはしないだろう。  魔術師が招かれたのは、〈新宿〉で最も高価な宿泊施設であるハイアット・ホテルの一室である。  正確にはこの部屋だけでなくフロア全体を彼女が丸ごと借り上げて、此度の『聖杯戦争』の本拠地としているのだ。  その桁外れの財力こそが、彼女の背後に存在する「英財閥」の強大さを雄弁に物語っている。  ――『英純恋子(はなぶさ・すみれこ)』。  彼女もまた、男と同じくこの〈新宿〉の聖杯戦争のマスターなのだという。  ふざけた話だ。  恐らくこの〈新宿〉における英財閥は彼女の本来の世界にのバックボーンを再現する形で存在しているのだろうが、しかし彼女は魔術師ではない。  ただの資産家に過ぎない娘が、時計塔で名を挙げた自分と対等のように振る舞い、あまつさえ見下してすらいる。  聖杯に授けられた令呪によって運用できる僅かばかりの魔力では、使役できるサーヴァントもたかが知れていよう。  にも関わらずこの傲岸極まる振る舞い。体に染み付いた人間性とは、舞台を変えても変わらないものと見える。 「……随分と怖い顔をなさるのね。わたくしの提案した共闘のお誘い、お気に召しませんでして?」 「当然だ。どうやって私がマスターだと知ったのかは知らんが、年端もいかぬ小娘に預けてやる背中はないぞ」 「あなたを探り出したのはわたくしのサーヴァントですわ。もっとも、招待状はわたくしのアイデアですけど」  明確な対立の意思を込めた返事にもその慇懃無礼な表情を崩さずに、純恋子は楽しそうな口ぶりで言う。  探索に優れたサーヴァント。アサシンかキャスター、次点で機動力に優れたライダーやランサーか。  いずれも敵ではない、と壮年の魔術師は値踏みする。  なにしろ、自分のサーヴァントは最優と称されるセイバーのクラス。、  今この場で奇襲を受けたとして、切り抜けるだけなら何とでもなるという確信が男にはあった。 「そして、答えはNOということですわね。それは残念――というわけでもありませんわね」 「……どういう意味だ?」 「そのままの意味ですわ。このわたくしと共に勝ち残るには……貴方、随分とチンケでつまらない殿方ですもの」  今度こそ、感情の熱量が沸点を越えた。  男の口角が小刻みに震えながら釣り上がったが、それは笑みの形を作ったものではなかった。  屈辱。  その二文字が今の男の脳内から脊髄を通って四肢の隅々に至るまで駆け巡り、蒸気となって立ち上らんばかりとなっていた。   一流の魔術師を自負するこの自分をここまでコケにしたのだ。  もはや提案の破却だけでは収まらない。  身の程知らずの小娘には、断罪以外に取る道はあるまい! 「――セイバーッッッ!!!」  呼ぶ声を先読みしていたかのように、男の傍に戦闘態勢で実体化したのは絢爛たる鎧の剣士。  この距離ならば、三歩踏み込むだけで、その剣は小娘の首を跳ね飛ばすだろう。  さすがに純恋子も反応を示した。  しかし今更何を言おうが、男の怒りが収まることなどない。 「……本当に小さい男。もはやわたくしが手を下すまでもありませんわね――『アサシン』!」 「何がアサシンか! 我がしもべの剣、アサシンごときがどうこう出来るかァァ!!」  下劣なマスターには下劣な英霊。  暗殺者のクラスとは、身の程知らずの下僕に相応しい無様さだ。  男は手をかざした。  前進の合図。すなわち、攻撃の号令である。 「応ッ!!!」  セイバーが応えた。  そしてその言葉が音となって伝わるよりも早く、純恋子へと一歩を踏み込んだ。  一歩。  一歩を踏み込んだ。  三歩踏み込めば剣が届く距離で、セイバーは一歩だけ踏み込み、そこで止まった。  信じられないものを見るような目で、男は自らのサーヴァントを見た。  サーヴァントもまた男へと視線を送ろうとしたが、思うようにいかなかった。  眼球だけを動かして危険を知らせようとしていたが、首を回すわけにはいかず……回しようもなかった。  そこで男はようやく気づく。  虹だ。  七色の虹が鋭利な刃となって、セイバーの喉元を骨に達するまでに深く裂いていた。  壮年の魔術師は、その年季に相応しくないほどに取り乱した叫び声を上げた。  自身が無敵と信じた英霊の首元から溢れ出す鮮血はまるで現実味がなく、しかし紛れもなく現実そのものだった。  純恋子のアサシンの攻撃だというのか。しかしこの距離で三騎士相手に成功するはずがない。  気配遮断スキルは、攻撃時には大きく効果を減じる。セイバーならば即座に反応して切り捨てるはずだ。  こんなことが、あり得るはずがない――あり得るはずがない! 「貴様ァァァァァあぁァァァ!!」  半狂乱で放った呪詛魔術は、しかし純恋子までは届かず、幾重にも重なった虹の壁に阻まれる。  打つ手を失った男は、死にかけの魚のようにぱくぱくと口を動かした。 「……なん、で」 「なんでってそりゃあオジサン、あんたらが間抜けだったからじゃないの?」 「な、に」 「よっぽど自信あったのか知らないけどさ。でも現実は非情です、はい残念! 分かったらちゃちゃっと死んでよね」  憤死寸前の形相のまま、男は視線を自分の目の前へと動かした。  虹の輪を背負った、純恋子よりも更に若い少女である。  まだ十二、三歳ぐらいでありながら、誰もが目を奪われるほどに可憐な容姿をしている。  しかしその服装はサイバーチックな可愛らしいもので、まるで暗殺者というよりも、日本のアニメや漫画に出てくるような――  ――魔法少女。  それを認識する前に、虹の魔法少女の手刀が男の頚椎を意識ごとへし折った。                   ▼  ▼  ▼  英純恋子は紅茶を一口飲み、僅かに顔を顰めた。  人死になど見慣れた光景であるとはいえ、流石に死体の前で飲む紅茶が美味いわけでもない。 「まったく。人を呼んで処分しなければなりませんわね」  呟いて、下手人である己のサーヴァント――アサシンを見る。  素手で人間を絶命させた割には(暗殺者としては当然なのかも知れないが)さらさら気にしている素振りは見受けられない。  まだ、あのミョウジョウ学園『黒組』のクラスメート達のほうが人間味溢れる反応をしそうだ。  それが暗殺者としていいことなのかどうかは別として。 「――アサシン」  呼ぶと、サーヴァントの少女は振り返った。  同性の純恋子から見ても……いや同性だからこそか、はっと息を呑むほどに可愛らしい。  もっともその本性を見てしまっては、蝶よ花よと愛でるには少しばかり躊躇いがあるが。  アサシンのサーヴァント。真名は、虹の魔法少女『レイン・ポゥ』。  魔法少女にして、暗殺者(アサシン)。  純恋子は魔法少女アニメに夢中になるような歳ではないが、しかし暗殺業の魔法少女の存在に失望を感じなかったといえば嘘になる。  魔法少女といえば夢と希望、愛と勇気の、女の子の憧れとなるような存在だ。  しかしそんな魔法少女たちの世界に、暗殺者が必要とされているということは。  結局、魔法の国もまた、腐敗と癒着と私利私欲に溢れた、ドブのような匂いを放つ世界に過ぎなかったということ。  今も純恋子を取り巻く、醜い悪意の渦と同じように。    アサシンが、横たわる魔術師の死体をつま先で蹴って言う。 「一応、床が血で汚れないように気ぃ遣ったんだからさ。ちょっとは感謝してよね」 「……殺しのプロというのも、あながち嘘ではないようですわね」 「あ、今更そうやって疑っちゃうわけ? 多感な年頃だからそういうのはキズつくんですけど」 (嘘おっしゃいな)  白々しい言葉がよくもすらすらと出てくるものだと感心するが、これがレイン・ポゥという英霊の特性らしい。  彼女の真の武器は虹の魔法ではなく、抜群のコミュニケーション能力と演技力だということだ。  考えようによっては、人を欺いて出し抜くことに特化しているともいえる。  その最たるものが、先ほど見せた三騎士相手の奇襲だ。  条件付きで気配遮断スキルのランクダウンを無効化するスキルは、ある意味でアサシンの本質を表している。 「んで、こんなやり方でマスターの願いってのは叶うわけ?」 「わたくしの願いは、自らが女王として立つに相応しい存在であることの証明。  好敵手足り得ないようなマスターには、正々堂々たる決着を与える必要すらありませんわ」 「うわー、私が言うのもなんだけど性根がひん曲がってるわ。私を喚ぶ時点でろくな人間じゃないけど」  純恋子はぱちぱちと瞬きをした。 「あら、意外。自覚はあるんですのね」 「自覚なきゃこんな仕事やってられんっしょ」 「もっともな言い分ですわね」  そう言うと、アサシンはわざとらしくため息をついた。 「なんかマスターって、私の知ってるやつに似てるわ。いや知ってるっていうか、直接会ったことはないんだけど。  依頼主みたいな感じっていうか……とにかくなんとなくさ、私は特別!って素で考えてそうな感じがするんだよね」 「わたくしが特別なのは改めて言うまでもないでしょうに」 「はぁ……私をこき使ってくれた魔法少女様も、あんたみたいに性格悪い大金持ちのお嬢様だったりするのかな」  うんざりした顔のアサシンに、悠然たる笑みを浮かべたまま純恋子は呼びかける。 「その性格の悪いお嬢様へ、これから力を貸していただくことになるのだけれど。御覚悟はよろしくて?」 「ま、利害は一致してるからね。私も聖杯の力でもう一度人生やり直したいって気持ちはあるし。それに」 「それに?」 「今度は、もっと上手く立ち回って生きてやる。誰にも私をハメさせたりはしない」  ぞくりと、機械化されたはずの背筋が粟立つような錯覚を覚える視線。  まるで、生前誰かに陥れられたことがあり、それと純恋子を重ねているかのような。  まっすぐに向けられるその視線を持ち前の克己心で正面から受け止め、純恋子はあえて微笑んだ。 「……お互い、意図しないステージで踊らされた者同士。上手くやっていけると思いません?」 「どーだか。ま、あんたがスポンサーで私は雇われ。いつも通りやるだけか」  どこまでもドライな虹の魔法少女の生き様は、純恋子の生き方と幾度と無く交差しながら、しかしどこまでも相容れない。  君臨者を鼻で笑う彼女を、女王たらんとする自分が扱おうとするのは滑稽ですらある。  しかし、それもまた自分の戦い。  一ノ瀬晴のように他人の陰に隠れるのとは違う。サーヴァントを己の手足、その最強のパーツとしてこの聖杯戦争を戦い抜くのだ。  なにせ――彼女は、一度“魔王”を殺している。ゆえに、この〈新宿〉において殺せない敵はいない。 ---- 【クラス】  アサシン 【真名】  レイン・ポゥ@魔法少女育成計画Limited 【ステータス】  筋力C 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具C 【属性】  中立・悪 【クラス別スキル】 気配遮断:B 自身の気配を消す能力。 完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。 【固有スキル】 魔法少女:B+ 魔法少女である。ランクが高いほど高水準の魔法少女となる。 魔法少女は人間離れした戦闘能力と視覚聴覚を得、排泄や食事などの新陳代謝行為を一切行わなくて良くなる。 また、疲労の蓄積する速度が人間よりも遥かに遅く、長期の不眠不休にも耐えられるスタミナと常人離れしたメンタルを持つ。 更に、固有の魔法を1つ使える。アサシンの場合それは宝具となる。 アサシンは暗殺者として経験と鍛錬を積んでいるためランクが高いが、それでも上位には及ばない。 そしてアサシンは魔法少女の状態で呼び出されているため、このスキルの発動は阻害できない。 演技力:B 他者に好感を与えるキャラクターを演じ、友好な関係を築くことができるスキル。 アサシンはこのスキルを用いて他者と交流する場合、自身の属性を好きな組み合わせとして誤認させられる。 またアサシン本来の性格を知らない相手がアサシンの演技を見抜こうとする場合、成功ロールにマイナス修正が加わる。 人間観察:C 人々を観察し、理解する技術。 誰が誰にどのような感情を抱いているかを見抜き、把握した上で行動できる。 単体でもそれなりに有用だが、先述の演技力スキルとの組み合わせで真価を発揮するスキル。 魔王殺し:EX 生前のとある逸話により与えられた、虹の魔法少女の異名。 霊格が自分より高い、あるいは宝具を除く平均ステータスが自分より高い英霊に対してのみ発動するスキル。 このスキルが適応された不意討ちの一撃目に限り、気配遮断スキルのランク低下デメリットを無効化する。 【宝具】 『実体を持つ虹の橋を作り出せるよ』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:視界内 最大補足:10 レイン・ポゥの固有魔法にして象徴。 アサシンが念じた場所から反対側へと伸びていく虹の橋を作り出す。 虹の橋は厚さを持たないが、サーヴァントが踏みしめてもヒビひとつ入らない。幅は最大1メートル半、長さは視認範囲内なら無限遠。 また魔術によって生成されるものの、実体を持つため性質としては神秘を帯びた武器に近く、対魔力等のスキルの影響を受けない。 一見するとメルヘンチックな魔法だが、その実体は攻撃・防御・応用性に優れた凶悪な能力。 虹の縁はサーヴァントの肉体をやすやすと切り裂く鋭利な刃であり、橋として魔法少女の全力疾走に耐える強度は盾としても使える。 視認不可能な細さの虹を複数発生させ張り巡らせることで、触れたものを感知するセンサーにすることも可能である。 欠点は、視認範囲外の虹は徐々に崩れて消滅してしまうことと、攻撃するには「虹を伸ばして」「斬りつける」の二動作が必要であること。 正面切っての戦いでは決め手に欠けるうえ見切られる危険があるが、逆に奇襲にはこの上なく適した能力である。 【weapon】 戦闘手段として使用するのは宝具で作り出す虹の刃のみ。 もっとも、レイン・ポゥは素手でも並の魔法少女なら瀕死に追い込めるだけの格闘能力を持つ。 【人物背景】 魔法少女育成計画シリーズ三作目に登場する、虹の魔法少女。 変身前の名前は『三 香織(にのつぎ・かおり)』。中学一年生。社交的で友達の多い、明るい少女である。 魔法少女服はサイバーチックな意匠を持ち、背後に虹の輪を背負っている。 ある日魔法の国から来た妖精トコにより、香織は親友の酒己達子らと共に魔法少女へとスカウトされる。 悪い魔法使いに追われているというトコを助けるため、香織たち七人の新米魔法少女は協力を決意。 手にした力に戸惑いながらも、魔法少女レイン・ポゥは仲間と共にトコを狙って襲い来る敵の魔法少女たちとの戦いに見を投じていく。 ……もっとも、このあらすじは物語の一面ではあっても真実ではないのだが。 本来ならば英霊になり得る存在ではないはずだったが、『Limited』作中で起こしたとある事件により彼女の名は知れ渡ることとなる。 続編『JOKERS』に登場する魔法少女・袋井魔梨華など「虹の魔法少女」を知る者は多く、それが結果として彼女の英霊化に繋がった。 【サーヴァントとしての願い】 第二の生。 次はもうちょっと賢くやって、今度こそ楽しく生きる。 【マスター】  英純恋子@悪魔のリドル 【マスターとしての願い】  自らが真の女王であることを証明する。 【weapon】  サイボーグである自分自身。 【能力・技能】  全損した両手両足を含むほぼ全身をサイボーグ改造しており、特に義肢には戦闘用の改造を施している。  その強度は拳銃を握力だけで破壊し、壁を拳で破砕し、片手で人間をやすやすと投げ飛ばすことが可能なほど。  また指先にワイヤーを仕込んでいる他、腕全体を銃器アタッチメントに換装することも出来る。 【人物背景】  英財閥の令嬢。名前は「はなぶさ・すみれこ」と読む。  彼女の家は明治維新以降に急成長した家であり敵が多く、彼女も幼い頃より幾度と無く命を狙われた結果、四肢を失うほどの重傷を負っている。  それでも血の滲むほどの努力を重ねてリハビリを乗り越え、強化改造した義肢を武器に今まで生き抜いてきた。  そんな自分の存在に強烈な自負を持ち、家柄への誇りとも相まって特別扱いされないと気がすまないタイプ。  同じように命を狙われながらも生き延びてきた一ノ瀬晴には並々ならぬ対抗心を抱いている。  ミョウジョウ学園黒組に参加し晴への暗殺を表明した理由は、他人によって生かされている晴を倒して自分が真の女王であることを証明するためである。  そのため彼女自身は常人を越えた戦闘能力を持ちながらも暗殺者ではなく、晴への暗殺も半ば(一方的な)決闘のような形だった。  結果的に彼女は土壇場で驚異的な行動力を発揮した晴により、99階建てのビルの最上階から突き落とされ戦闘不能になる。  最終回では晴への対抗心を捨て穏やかな表情を浮かべていたが、この聖杯戦争への参戦時期はそれ以前であり、未だ敗北の記憶の抜け切らぬ状態である。 【方針】  聖杯狙い(聖杯そのものが目的ではないが)。  女王として焦ることなく優雅に勝利を得たいところだが、生粋の暗殺者であるアサシンとは見解の相違が生じている。 **時系列順 Back:[[北上&アサシン]] Next:[[荒垣真次郎&アサシン]] **投下順 Back:[[北上&アサシン]] Next:[[荒垣真次郎&アサシン]] |CENTER:Character name|CENTER:Next→| |CENTER:英純恋子|[[全ての人の魂の夜想曲]]| |CENTER:アサシン(レイン・ポゥ)|~| ----

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