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 <新宿>が先の<魔震>という災害に襲われたことで新宿区内の至る所からは妖気が吹き荒れ、一部の怪生物が生まれた。  結果として人の住めない地域がいくつか誕生し、その中には今も噴水のように破裂した水道パイプが水を吐き出すことによって湿気った数件の廃墟があった。  これらは元々は家の見本として木造建築という安上がりな手段で建てられ、当時の好景気の波に乗った中流階層の人々が買うことを期待されていたのだ。  しかし、その後のバブル崩壊、<魔震>という悲劇の波に呑み込まれて現在は放置されて朽ちてゆく一方となっている。  妖鼠が腐った床をかじり魔虫が溢れカビが蔓延る。妖気を含んだ腐敗した空気がたち込めるこれらの建物をもはや家とは呼べまい。  人が住めるようにリフォームするくらいならば潰して新しく家を建てるべきだと誰もが言うに違いない。  こんな場所に住もうという人間がいれば、であるが。  そんな廃墟の一つ。とりわけ巨大な家は正に建てた当時の景気の良さを現しているだろう。  この豪邸は中世の西欧貴族の城をイメージとして建てられたものであり、家というより城に近かった。  他の廃墟とは異なり大部分が石造りであるため比較的に腐朽しておらず、悪臭もそれほど酷くない。  その家の中で最も広い部屋であるホールの中央に一人の魔術師がいた。  何処かから手に入れた家畜の首を刎ねて、その血で陣を描き中央には骨が転がっていた。  魔術師の男は聖杯を得るために任意のサーヴァントを呼び出す聖遺物を用意していた。この骨がそうだろう。  そして儀式の準備は完了した。後は儀式を行うだけ“だった”  そう───全て過去形だ。  なぜなら男は既に人の形をしていないほど破壊されていたのだから。  この儀式の場に残されたのは男を殺して令呪を奪った者のみだ。 「『森の音楽家クラムベリーの試験』か」  殺した方の男は殺された方の男の手記を読んでいた。  どうやら几帳面な性格の魔術師だったらしい。  触媒となった遺骨の出所、呼び出されるであろうサーヴァントとそれの運用方法を事細かに記載していた。  魔法少女『森の音楽家クラムベリー』。  かつて魔法の国と呼ばれる異国で魔法少女なる超人種に変身できる者を選別し、〝試験〟と称して殺し合わせたバーサーカー。  自分の参加者として大勢の魔法少女を殺し、その行為が発覚するまで選りすぐった魔法少女を選別した。  彼女の〝試験〟に合格した者の大半は無論のこと優秀だ。殺し以外でも優秀さを発揮し魔法の国で活躍できたらしい。  そのためこのクラムベリーとやら、一時期は神格化さえされたらしい。 「ほぅ、よいではないか」  好感が持てる。  この時代には無価値な者が多すぎる。  選別するのは当然だ、それで全滅するならば始めから存在する価値は無かろうよ。 「では来るがいい」  たった一言。本来呼び出すための呪文など男にとっては何の意味無い。  王が来いと命じたならば疾く馳せ参じるのが天上天下森羅万象に通ずる道理である。  そして王命に応える形で夥しい量の魔力の奔流が光を伴って渦巻く。  まるで嵐の如く強風が吹き荒れるも僅か二秒でそれは止まる。  そして──── 「あ、あの。あなたが私を呼んだマスターですか?」  犬の格好をした少女がそこにいた。    *   *   *  魔法少女『たま』は考える。とりあえず無い頭で考える。 (この人、サーヴァントだよね……?)  自分を呼んだマスターは目の前の男であることは令呪の繋がりから感じ取れる。  だがサーヴァントの「他のサーヴァントの位置を感じ取れる」能力はこの男がサーヴァントであることを訴えている。 (でも、サーヴァントが私を呼び出すことなんてできるのかな。でも実際にできているし……)  何だか分からなくなってきたので取り敢えず聞くことにした。  自分の昔のリーダーの魔法少女『ルーラ』みたいに聞いたら何でも聞くな馬鹿って怒るかなあと思いつつ、 「あ、あの。あなたが私を呼んだマスターですか?」  おずおずと聞いてみる。  聞いた後に後悔した。  よく見るとこの人恐い。眼が合っただけでもう涙が出そうだ。  しかし、聞かれた方はというと、 「クックック。そうだとも我がお前のマスターだ。  サーヴァントを呼び出すのがマスターなのだろう? ならば我(オレ)がマスターに違いあるまいよ」  腕組みをしながら口角を吊り上げてたまに表面上はにこやかに返事をした。 「よ、よ、よかったです。これで契約は完了しました」  本当に良かったと心の底から喜んで尻尾を振る。  たまは犬をモチーフにした魔法少女だ。尻尾もあるし長い爪もある。  名前はたまだがニャンコではなくワンコなのだ。 「そう、それは良かったな。ところでお前はどこの誰だ?」 「わたしはアサシンのサーヴァントの『たま』と言います。あなたが私の骨を使って呼び寄せたんですよね?」 「いや、触媒ならばそこに転がっているソレが選んだものだ。我ではない」 「え?」  マスターが指を差した方向には無惨に破壊された男の死体が転がっていた。  キャワンと犬の如き悲鳴をあげて飛び退く。 「そうか。ソレはどうやらお前の骨を別の者の骨と思って取り寄せたわけか」  愉悦の笑みを深めながらマスターの男は腕を組んで見下ろしていた。 「あ、あの、じゃあ私って」 「ふむ、どうやらお呼びでなかったみたいだぞ」 「う、そんなぁ」  ついにたまの涙腺は崩壊した。    *   *   *  たまの真名を知ったことで男はたまというサーヴァントがどういう者かを知識の奥より引っ張り出す。  己の主人を見捨てて死なせ、次の主人は見捨てないで助けた結果、その主人に殺される。  身体能力が低く、知能も低く忠犬にも番犬にもなれなかった魔法少女。それがたまだ。  サーヴァントとしてのステータスも低く『臆病』などというバッドステータスまでついている始末。  端的に言って駄犬、外れサーヴァントと言っていいだろう。  まともな判断力を有していればこやつに命を預けることなどしない。  故にさっさと令呪で自害させて他のサーヴァントを召喚するか、奪うかすればいい。  魔術師ならばそうするだろう。 「良かったな犬よ。他のマスターであれば貴様は用済みだったろうよ」 「え?」 「ああ、この令呪で一言『死ね』と命じて貴様を死なせ、次のサーヴァントを召喚しただろう」 「え? え? え?」  たまは己の立場を理解したらしい。そしてこう思っているに違いない。  我もそこらの雑種と同じくたまを殺して次のサーヴァントを呼ぶのかと。 「安心せよ駄犬。だが我の威光に痺れる女子を殺す法は無い。  その畏怖をもって我のサーヴァントとなることを許す」 「あ、ありがとうございます」  尻尾をブンブンと振り心底嬉しいことを態度で示すのはまさに犬のソレだった。 「それで駄犬。貴様の聖杯は掲げる願いはなんだ?」 「それは、あの、無いです」    *   *   *  無いと答えた瞬間、明らかにマスターの態度が悪くなった。  人の域を超えた殺気に当てられてたまはきゃんと声を上げたけて縮こまる。 「次に我へ虚偽の申し立てをした場合、その首を床に置いてもらうぞ」 「う、うぅ、嘘は言ってないです」  偽らざる本心だ。  たまには聖杯に願う望みが無い。呼ばれたから、必要とされたから嬉しくて飛び出してきたのだ。 「無いはずがなかろう? サーヴァントとは聖杯を必要とする者が呼ばれるのだ」 「じゃあ、その、帰りたいです」 「ほぅ、駄犬。貴様は我の傍で仕える栄誉を受けながら忠義を果たさずに帰ると?」 「う、うー。ごめんなさい。わかりません」  どうしたらいいのかわからない。  一つ分かったのはこの人はとても怖い人だ。 「フン。まぁ良い。貴様もまた己の望みを自覚しておらぬというわけだ。  ならば黄金Pとして貴様も育成(プロデュース)してやろう。  貴様がもしも己の願望(ゆえつ)を見つけられなければ、その時はやはりその首を置いていってもらう。  それまで同伴することを許す」 「え? あ、あの」 「では行くぞ駄犬。目指す都市の中心部。雑種共の欲望の渦巻く歓楽街だ」 「ま、まって下さーい」  スタスタと先も行くマスターについていくたま。  こうして、たまの育成計画(※WITH 黄金P)は始まった。 ---- 【サーヴァント】 【クラス】 アサシン 【真名】 たま(犬吠埼 珠)@魔法少女育成計画 【属性】 秩序・善 【パラメーター】 筋力:E+ 耐久:E 敏捷:C+ 魔力:E 幸運:D+ 宝具:C 【クラススキル】 気配遮断:C  アサシンのクラススキル。自身の気配を消して他のサーヴァントに見つからないようにする。  但し攻撃時はランクが下がる。 【保有スキル】 臆病:A  戦闘時に相手と堂々と戦う際に敏捷ステータスがワンランクダウンするスキル。  いわゆるバッドステータスだが、たまを脅かす限り命令には服従する。  このスキルは外せない。 魔法少女:C  魔法の国から与えられた超人的身体能力と魔法を持つ美少女に変身できる能力。  変身解除中は平均以下の女子中学生程度の能力しか発揮できないが、魔力の補給なく60ターン(半日~一日)の単独行動が可能。  また思念によってステータスを一時的に上昇させられることができる。  またこのスキルを持つ者は通常のサーヴァントよりも霊格が下がり、人間でも傷つけられる。 戦闘続行:A  致命的なダメージを受けない限り生存し、戦闘を継続可能とするスキル。  たまの場合は三度敗走しても必ず主の元へ戻ってくる生還力を意味する。 狂化:E  理性を失うことでランクを上げるスキル。  たまの場合は命令を受けた時に『忠実に実行する』ための成功率が上昇する。  但し常に思考力が低下するため命令内容や命令を実行する意味を理解できないことも多い。 【宝具】 『元気の出る薬』  ランク:E 種別:対人(自身)宝具 レンジ:- 最大捕捉:一人 魔法の国で流通した身体能力を活性化させる薬。 これを服用すると自身のステータスのうち、倍加(+)があるものは常に倍加状態になる。 『透明外套』  ランク:E 種別:対人(自身)宝具 レンジ:- 最大捕捉:一人  纏った者を光学的に見えなくするマント。 『いろんなものに素早く穴を開けられるよ』  ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:10 最大捕捉:- 自身の爪で傷つけた穴を広げる。塞がっていなければ時間差で発動可能。 穴の大きさは で物理的、魔力的強度を一切無視する。 この宝具を防ぐには傷一つ付かない無敵性が必要。 『審判の時、例え貴女がいい人でも』(ルーラズ・ハイロゥ)  ランク:D 種別:対人(自身)宝具 レンジ:- 最大捕捉:一人  たまがかつて最初の主から貰った首輪。二番目の主によって血痕がつけられている。  主が絶対絶命の時に如何なる状況でも必ず相手に不意打ちの一撃を与えられる。  ただし成功率はたまにとってどれだけ恐くない人かに依る。  また失敗時は主を見殺しにする。 【weapon】  爪のみ 【人物背景】 魔法少女育成計画より参戦。 N市と呼ばれる都市で魔法の力を得て魔法少女となった少女。 『森の音楽家』と呼ばれる魔法少女により催された魔法少女達の殺し合いにおいて、 俗にいう「ルーラチーム」と呼ばれる魔法少女ルーラを筆頭にしたチームの一人だった。 彼女のアサシンとしての適性は不意打ちと主を裏切って見殺しにしたことに起因する。 なお、殺し合いの黒幕にして最上級の魔法少女である『森の音楽家』を仕留めたのは彼女であり、 繰り返される惨劇に終止符を打った英雄と崇められてもおかしくないのだが、その功績を知る者はいない。 【サーヴァントとしての願い】 怖い、もう帰りたい 【マスター】 ギルガメッシュ@Fate/Zero 【マスターとしての願い】 ここの聖杯がこの世の財ならばアレを持つべきは我だ。 【weapon】 王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)  あらゆる財宝を収集した黄金の京の蔵へアクセスして財宝を取り出す。  なお財宝を取り出す際に射出することが可能。  ほぼ全ての宝具の原典と未来に製造される道具、更に令呪のストックまでもが詰まったチートアイテムの宝庫。 天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)  ギルガメッシュの持つEXランクの対界宝具。  通常出力ですらAランクの宝具に勝つ威力と固有結界などの異界破壊能力を持ち、  最大出力では受肉した悪魔さえ滅ぼす。 【能力・技能】 全知なるや、全能の星(シャ・ナクパ・イルム)  あらゆる事象や未来を俯瞰する慧眼。  相手が最善手しか打たないチェスで勝利したり魔術の特性を一発で見抜くというチート眼力。 黄金律  人生でどれだけお金がついて回るか。  Aランクのギルガメッシュにはどうあがいても金持ちになる因果力を発揮する能力。 カリスマ  高すぎて呪いの域にあるカリスマ性。率いられた者はに能力に補整がかかる 【人物背景】 世界最古の英雄王。 あらゆる財宝を集め尽くし蔵にしまい、己を生み出した神々を嫌悪した。 冬木の第四次聖杯戦争で召喚され、終盤に受肉、現世に留まる。そして再びこの世を統べる王になる(予定) 受肉後より参戦。魔術師めがマスターに成れて我に成れない道理は無い。 【方針】 この世界を散策する。

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