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Where do they come from? And where do they go?」(2015/08/19 (水) 22:36:19) の最新版変更点

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         我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか                                ――ポール・ゴーギャン      知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る                                ――鴨長明、方丈記 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  何も大学と言う場所は、年の若い男女達が主役の場、と言う訳ではない。 年配の人物や、一時別の大学を卒業し、社会人を経験したのに、また戻ってくる者も、少なくない。 何故、その様な事をするのか、と言う理由についてであるが、これに関しては、本当に人それぞれである。 時間と金にゆとりが出来たので、学歴に箔をつけてみたいと言う中年もいる。 今の仕事を辞め、新しくやりたい仕事の為に、貯金を切り崩して、必死に大学で勉強しようとする二十代後半の社会人もいる。 高校を卒業してすぐに仕事を始めたり主婦になったが、勉強をしたくなったので、受験に備えて勉強し、入学する主婦もいる。  では、彼女は、どんな経緯でこの大学に入学し始めたのだろうかと。 W大学の文学部哲学科で教授を務めて三十年のベテラン、山田司郎はパワーポイントで作ったスライドを移動させ、講義内容を口にしながら考えていた。  『田村玲子』は率直に言って、山田がこれまで教えて来たどの生徒よりも物覚えが良く賢い女性だった。 登録された学生のデータによると、彼女の年齢は二十六歳。脳細胞の全盛期を過ぎた人物とは思えない程、頭脳も冴えている。 掃いて捨てる程いる、この大学に入れる程の知能を遊び呆ける為だけに使う、若いだけの男女にも見習ってほしい程であった。 ただ賢いだけでない。山田は主にサルトルを専門的に研究している人物だが、田村は鋭い切り口で此方に対して質問を投げ掛けて来る事が多い。 その質問に関しても、よく彼の著作や二次文献を読み漁っている事が良く解る内容で、答えがいのあるものばかりだ。早い話、哲学についても造詣が深い。 是非とも自分のゼミに入って欲しいものだと山田は願っていた。彼女程優秀な学生は、恐らく自分の教授人生の中で、二度と現れないのでは、と言う確信すらあった。 哲学科の教授と言うのは他の学部の教授達と比べて各界へのコネは少ないと思われがちであるが、実は書籍の編集の世界へのコネを多く彼らは持っている。 山田もその一人だ。田村が望むのであれば、懇意にしてやっている嘗ての教え子に彼女を紹介して、高い地位を与えてやるのも良いし、 彼女自身の高い語学力を活かさせて、翻訳の仕事を紹介しても良い。  ――このように山田は、田村玲子に対して露骨とも言う程贔屓をしているのだが、同時に彼女には謎が多い。 先ず彼女が、この大学に来るまで何をやっていたのか、もとい、前職はなんだったのかと言うのが解らない。そして同時に、彼女の家族構成も全く分からない。 だが最たる謎は、何故この大学に入学したのか、であろう。十八、十九程度の年齢の少年少女なら、遊びたかったからとか、勉強がしたかったからとか言うのが相場だ。 大した謎じゃない。しかし、時期に三十路になろうとしている人物であった場合、何かしらの理由がある筈なのだ。生徒でなくても、教授だってこれは気になる。 以前同じ講義を聞いていた女学生のグループが、田村にその事を聞いていたが、如何にも大人の口ぶりで、「ちょっと勉強がしたかっただけよ」と答えていた。 嘘だろうな、と山田は思った。無論山田は読心術など使えない為、これが本当に田村の本心だと言う可能性だってきっとある。 それなのに彼がそう思った訳は、あくまでも勘である。その勘が、何故だろう。とても信頼が出来るのだ。十何年以上も研究し続けた、サルトルについての事柄が叩き込まれた己が大脳よりもだ。  それともう一つ気になる事は、田村の身体から醸される、冷たい気配だ。時折、彼女と目がバッチリ合う事がある。その瞬間、山田はいつも寒気を感じるのだ。 人間以外の生物。例えるならば、人間の知能を持ったライオンに見つめられているような。そんな感覚である。 たまに思う事があるのだ。田村は、本当に人間なのだろうかと。人間の姿をした化物なのではないのだろうかと。  ……考えすぎか、と思う事にした。 どうも昨日の、学会で発表する為の論文の作成作業による徹夜が響いているようだ。 講義が終わったら学内の自販機で、学生が良く飲んでいるエナジードリンクとやらを買って飲んでみるかと山田は考える。 チラリと田村に目線を彼は移した。机に突っ伏して寝ている男子学生を両サイドに侍らせながら、彼女は真面目にノートに、自分の発言を纏めているのであった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  <新宿>は嘗て<魔震>と呼ばれる未曾有の、そして地学史上稀に見る程不可解な大地震より、一時壊滅的な大ダメージを負った街であると言う。 日本国の徹底的な復興作業と、世界各国から集まった義捐金で、復興不可能とすら嘗ての専門家は口にした程の被害ぶりは跡形もなく消え去った。 ――が、それでも。嘗てこの国で<魔震>と呼ばれる現象が起った何よりの証拠である、<新宿>と他区の境界線をなぞる様な形で生まれた<亀裂>だけは。 しっかりと東京都に刻み込まれているのであった。  <新宿>は<魔震>前のような、東京都の中でも取り分けて栄えた区としての地位を、今や完全に取り戻したと言っても良い。 が、この区の行政の頭を悩ませているのが、やはりあの深さ五十数㎞以上にも達すると言われているあの亀裂である。 あれのせいでどれだけ不便な交通網を区民や都民に強いているのか、区長は痛いほど理解していた。 一色あの亀裂を埋め立てようと言う計画も立つには立ったが、コストと時間がかかり過ぎる為に結局お流れになった。 結局あの亀裂に対する対策は、橋を増やすしかないと言う極めて頭の悪い事でしか解決が出来ない。これはある意味で、人間の敗北とすら言える。  このように<新宿>は行き来するのがやや不便な区なのであるが……不思議なものである。 そんな区でも、ホームレスと言うのは何故か集まるのである。周りを亀裂で囲まれたこの区ではなく、足立や葛飾にでも行けばいいのに、態々<新宿>へと足を運ぶ。 何故彼らがそんな事をするのかは、聞いて見ない事には解らない。都会の喧騒が心地よいからなのか、それとも飯を恵んでくれる物好きがいるからなのか。 それは、解らない。少なくとも人並みの生活を送る人間には。そして、誰も気にしない。戸籍も住民票もない人間がいなくなっても、誰が問題にすると言うのか? 「そう言う目で見てくれるな、アサシン」     <新宿>は新大久保の裏路地に響くその声は、妙齢の女性のものであった。 聞く者が聞けば、あっとなるだろう。さにあらん、その声の持ち主の名は、田村玲子。W大学の文学部哲学科に在籍する生徒の一人なのだから。  まるで時間が凍結した様に静かな路地だった。 夜と言うせいもあろう、裏路地故に人の出入りが少ないと言うせいもあろう。 だが人がそもそも存在しない訳は……今田村が、『アスファルトにこびり付いた赤黒い液体を、二リットルのミネラルウォーターで洗い流している』からではないのか? そして、田村のその作業を冷めた瞳で見つめる、黒い全身タイツ状の服を着用した、体格の良い青年は、何者なのか? 「人間の食事からでもエネルギーが摂取出来る事は出来るが、人間からエネルギーを取るのとでは効率が違い過ぎる。責めるのはよせ」 「……」  アサシンと呼ばれた男、『駆動電次』は答えない。 寡黙な男だ、と、地面にミネラルウォーターを流し続けながら田村は考える。後藤も寡言な男だったが、駆動は後藤以上に何も喋らない。 最後に喋ったのは、駆動を呼び出した時の自己紹介の時だったか? あの時は自分のクラス名だけを伝えて、駆動は即座に霊体化した。 本当に、それ以外田村と駆動は言葉を交わしてすらいない。三木のようにお喋りを好む性質と言う訳では田村はないが、それでも、全く駆動の方からアクションを起こさないのは困り者だ。  田村玲子、と言うのは彼女の本当の名前ではない。 否、訂正するべきか。彼女には名前などない。いやそもそも、彼女の性別も嘘であれば、彼女の肉体自身も嘘である。 彼女と言う呼称も、便宜上、肉体が女性のものであるから用いているだけである。 田村玲子と言う存在は『パラサイト』と呼ばれる生き物だ。Parasite……つまり寄生虫とか寄生生物を意味する英単語であるが、 田村玲子達パラサイトと言う者達の生き方は、その英単語と違える事はない。彼らは人間の脳に寄生し、その身体を乗っ取る生き物なのだ。  彼らの主食は原則、寄生した生物と同系の生物……つまり田村の場合は、人を喰う事になる。 但し彼女は、本来人間が食べるような野菜や牛や豚などの肉でも、パラサイトが生命活動を維持出来る事を知っている。 知ってはいるが、彼女が述べた通りエネルギーの摂取効率が違い過ぎる。だからこそ――こうしてホームレスの肉体を喰らっていたのである。 これから巻き起こる聖杯戦争の熾烈な争いを生き残る為のエネルギーを蓄える為に。尤も、この街には広川はいない。従ってパラサイトの為の食事場も無い。 だからこそ食事には細心の注意を払い、人を『綺麗』に食べ、人が死んだと言う形跡を可能な限り消さねばならない。なくなって見て初めて解る、広川と言う男の手腕よ。  右手に刻まれた、人間の眼球と口を模した、淡く発光するタトゥーを見つめる田村。 自身が聖杯戦争の参加者である事を如実に示す烙印とも言うべきか。令呪、と呼ばれているものらしい。 何の因果かは解らないが、田村はこうして<新宿>の聖杯戦争へと招かれてしまったのだ。あの時草野の死体から零れ落ちた、不思議な鍵など拾わねば良かったと考えだす。 これが人間が言う所の後悔か、と田村は自問する。初めて知った時は不可解な感情だとこれっぽちの理解も示さなかったが、成程。今はよく理解出来る。  昔ならば、世界の終りが告げられても。自分の身体に死が舞い込んでも。ああそうか、と思うだけで、何の感慨も湧かなかった筈だ。 だが何故だろう。今は、田村は余り死にたくなかった。死そのものに恐怖していると言う訳ではなく、死んだ後で自分の知らない・知りたい事が起ってしまうのが惜しいのだ。 目下の懸念は自分が寄生した女性の母体が、Aとセックスした事で生まれたあの赤子である。あれはひょっとしたら、自分達パラサイトが何者なのか。 と言うインスピレーションを、自分に与えてくれるのでは――そう思い育てて来た筈なのだ。だが今は、そんな思惑とは別の感情が湧いて来ているような気がする。 女は子を産み母となり、母は子を愛で母性を知る。知識としては田村も知っている。それと同じような気持ちが、自分にも湧き起っているのか? パラサイトが人の子を案じているのだろうか。ありえない……話では、ないのかも知れない。狼に育てられた、アマラとカマラではないが、 そもそもパラサイトは人の脳に寄生する生き物だ。元来人間の脳が有していた、物事に対する考え方を、パラサイトに影響を与えても、不思議はないだろう。  元の世界に戻りそして、あの赤子の行く末を見てみたい。 だが、聖杯戦争も気になる。パラサイトは神と言う超自然的かつ絶対的、そして概念的で形而上学的な存在を信じない。 しかし実際、そのような超越者がいるのだと言う。そしてその超越者が、聖杯と言うものを実際に用意してもいると言う。 聖杯が叶える願いと言うものに対する執着は希薄だが、実際にこの<新宿>に馳せ参じているというサーヴァント、と言う名の過去の英霊、 或いは異世界の強者の姿を、見てみたい気もする。好奇心、と言う奴である。動物に備わる本能とは違う欲望が強くなっているのが田村には解る。 この上、――命名していいのかは解らないが――赤子に対する母性だ。全く、次から次へと、興味の念は絶えない。 「アサシン」  緘黙を貫く自らのサーヴァントに、パラサイトの女は問うた。 「人は――『我々』は、何処から来て、何処へ行くのだと思う」  それは、田村を現在進行形で悩ませる問いかけ。 パラサイトは何の為に生まれ、何の為に生きるのか。田村玲子はこの命題を追い求める為に子供を成し、自らの同胞を殺めた。 今や人間以上に優れた知性の持ち主となったパラサイトですら答えられぬ問いに、駆動は何と答えるか。はたまた、沈黙を貫くだけか。 「俺にとっては人もお前達も、白紙に過ぎない」  それは酷く虚無的な言葉だった。 不思議なものである。人と言うのは些細な痛みにも神経質に反応し、些細な事で怒り、喜び、そして悲しむ生物だと思っていた。 駆動にはそれらがない。人間を人間足らしめる感情が極端に希薄なのである。パラサイトである自分ですら、それらに対してやや理解を示して来たと言うのに。 何故この男には、それらがないのか。田村には、理解が出来ない。  ――……面白い――  田村は駆動に興味を覚えた。 人の身でありながら人間に対して強い憎悪を抱き、人と言う種を間引く為に敢えてパラサイトに接触して来た広川と言う男に対して抱いた感情と同じだ。 この男は自らの存在を哲学する為のサンプルに成り得る。自分達パラサイトの存在の謎と、存在する理由を解き明かすツールが、此処まで揃うとは。 自分は幸運なのかも知れないな、と、田村は思うようになる。  二リットルのミネラルウォーターのペットボトルを、路地の脇に置き終えた田村が、スタスタと裏路地の方を進んで行く。 要件は終わった、と言う事を言外に示している。その事を感じ取った駆動も霊体化を始め、彼女に追随する。  ……まさか、田村も知る由はあるまい。 怒りや悲しみ、絶望が強くなり過ぎた時。人は、その感情や情動を失うと言う事など、想像すら出来ないだろう。 そして自らの引き当てたサーヴァントこそが、その類であった事など、解る筈もないだろう。  彼の名は、駆動電次。 人の身体に奇居子を寄生させられる事で人生を狂わされた、哀れな男。孤独で報われない戦いを終生行い続けた、原始的な暴力の化身。 駆動は惰性で戦うだけである。相手が奇居子だろうがサーヴァントだろうが、それは変わらない。今も夢見る、人間としての幸福を求めて。 ---- 【クラス】 アサシン 【真名】 駆動電次@ABARA 【ステータス】 (黒奇居子発動時) 筋力A+ 耐久A++ 敏捷A+++ 魔力E- 幸運C 宝具EX (黒奇居子非発動時) 筋力B+ 耐久B+ 敏捷A+ 魔力E- 幸運C  【属性】 中立・悪 【クラススキル】 気配遮断:A++ サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。 示隔領域と言う空間を纏う事で高度に発達した科学技術や高ランクの千里眼や感覚スキルを持たない限り不可視の状態を維持可能。 自らが攻撃体勢に移ると、むしろ気配遮断のランクが『上がる』。この気配遮断の数値は、後述の宝具を発動した時の値である。 【保有スキル】 戦闘続行:A+ 往生際が悪い。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 再生:A+ 傷を付けられれば、即座に回復する。四肢の欠損からですら、常人には視認不可能な速度で復活出来る。 但し、頸椎の剥離に関して言えば、再生能力が格段に落ちる。 反骨の相:B 権威に囚われない、裏切りと策謀の梟雄としての性質。同ランクの「カリスマ」を無効化する。 千里眼:C+ 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。とくに不可視化などを、ほぼ完全に無力化する。 単独行動:D マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクDならば、マスターを失っても半日間は現界可能。アーチャークラスでの召喚ではない為、ランクは低い。 【宝具】 『はらぺこゴウナ(黒奇居子)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:自身 検眼寮が保管する、奇居子及び示現体に対抗する為の聖遺物であり最終兵器。 その正体は数百年前に存在した大企業、第四紀連が白奇居子をもとにして開発した生体兵器。単体では、甲殻を持った虫状の生物。 これ自体は何の意味もなく、これを人間に寄生させる事で初めて真価を発揮する。この宝具はアサシンに移植されている。 宝具を発動させると、胞(えな)と呼ばれる、非常に強固な外骨格状の組織装甲を形成、それで己の身体を身を包み、全能力の爆発的な向上を行わせる。 アサシンの場合は肋骨(あばら)状の組織を形成する。宝具を未発動、つまり非胞展開時においても、圧倒的なスペックを発揮する。 特に向上が著しいのは敏捷性についてで、重力や慣性の法則、衝撃波の発生と言う不可避の現象を無視した、極超音速での空中機動をも齎す。 残像すら確認出来ない程の速度での高速移動による不可視性に加え示隔領域と呼ばれる自身の透明化を保証する空間を纏う事で、 Aランク以下の感覚、気配察知、直感、千里眼に類するスキルや宝具を完全に無効化する。 弱点である頚椎の剥離を除いて、一時的な行動不能状態にすら持ち込む事は困難であり、四肢断裂ですら常人には認識不可能な速度で再生する。 胞は追加展開が可能で、緊急時には盾のように用いることも可能。驚異的な速度での活動にも耐える高速思考や、大気圏外における活動も保証される。 魔力消費が極端に少ない常時発動型の宝具。解除は可能。  黒奇居子を埋め込むと言う事は非常に危険な措置であり、アサシンはこの宝具を埋め込まれた三人の内の一人。 残りの二人の内一人は知能と情緒の大幅欠如、一人は車椅子での生活を余儀なくされた程。アサシンには目立ったデメリットはなく、ほぼ完璧に馴染んでいる。 但し、アサシンに関しては極端にデメリットが少ないとは言え、奇居子を元にした宝具である以上、アサシンはこの宝具を発動させると人喰いの衝動を発動させる。 そして聖杯戦争に際しては、その特徴がフィーチャーされており、この宝具を発動してから一分が過ぎた場合には、凄まじい空腹感に襲われ、人を貪り喰う衝動に苛まれる。 この衝動が発動した時には、魔力消費の少ないと言う長所が消滅。宝具性能に見合った、爆発的な燃費の悪さがマスターに襲い掛かる。 【weapon】 【人物背景】 報われないヤドカリ   【サーヴァントとしての願い】 不明 【マスター】 田村玲子@寄生獣 【マスターとしての願い】 自らの存在意義に関する謎の解明 【weapon】 【能力・技能】 田村玲子は人間ではない。この生き物はパラサイトと呼ばれる寄生生命体で、この個体はとある人間女性を宿主に決めた数あるパラサイトの内の一人。 パラサイトは人間の脳を奪うと首から上と同化して全身を操り、顔は同じでも元の宿主とは全く別の人格となる。 寄生部分である表面を含めた頭部全体が「脳細胞」の状態となり、脳・眼・触手・口などの役割を兼ねる。 一見すると一般の人間と同じだが、頭部は自由に変形しゴムのように伸縮したり、鋼鉄のように強くすることができる。 刃物の形状で攻撃する際には鉄をも切断するほど強力であり、重いものを持ち上げる腕力と動きの素早さも尋常でなく、 一般人の動体視力ではその動きを捉える事すら不可能に近い。いわば考える、強靭な筋肉。 またパラサイト宿主の体を身体能力の限界に近い状態で長期間稼働させる事も可能。 ただし、寄生部分以外はあくまでも人間のままである為無茶は出来ない。理性や感覚が働かない為に、限界を超えた負荷を発動して負傷する事も珍しくない。  また彼らは痛覚に対する恐怖が希薄で、痛みを恐れない。但し自分がどの程度まで痛めつけられれば死に至るかと言う事については理解している。 寄生部位の頭は非常に再生力が強く、生半可な兵器では死に至らしめる事は難しいが、人間としての部位は別で、主要な内臓に重大な損壊を負えば死ぬし、頭を胴体から切り離され放置しても死ぬ。  以上のようにパラサイトは様々な性質や特質を持っており、少々の攻撃では防御されたり避けられたり、ダメージも受けない。 但し、物理的な攻撃には極端に強靭な一方で、毒物・強酸を浴びたり体内に取り込まされる、火をつけられるなど、細胞同士の反応がずれたり、神経伝達に齟齬が発生する攻撃には不覚を取る事もある。 【人物背景】   人に寄生する事でしか生きられないか弱い生物。自らのレゾンデートルをいつも悩み続ける寄生獣 【方針】 聖杯戦争を楽しんでみる
         我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか                                ――ポール・ゴーギャン      知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る                                ――鴨長明、方丈記 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  何も大学と言う場所は、年の若い男女達が主役の場、と言う訳ではない。 年配の人物や、一時別の大学を卒業し、社会人を経験したのに、また戻ってくる者も、少なくない。 何故、その様な事をするのか、と言う理由についてであるが、これに関しては、本当に人それぞれである。 時間と金にゆとりが出来たので、学歴に箔をつけてみたいと言う中年もいる。 今の仕事を辞め、新しくやりたい仕事の為に、貯金を切り崩して、必死に大学で勉強しようとする二十代後半の社会人もいる。 高校を卒業してすぐに仕事を始めたり主婦になったが、勉強をしたくなったので、受験に備えて勉強し、入学する主婦もいる。  では、彼女は、どんな経緯でこの大学に入学し始めたのだろうかと。 W大学の文学部哲学科で教授を務めて三十年のベテラン、山田司郎はパワーポイントで作ったスライドを移動させ、講義内容を口にしながら考えていた。  『田村玲子』は率直に言って、山田がこれまで教えて来たどの生徒よりも物覚えが良く賢い女性だった。 登録された学生のデータによると、彼女の年齢は二十六歳。脳細胞の全盛期を過ぎた人物とは思えない程、頭脳も冴えている。 掃いて捨てる程いる、この大学に入れる程の知能を遊び呆ける為だけに使う、若いだけの男女にも見習ってほしい程であった。 ただ賢いだけでない。山田は主にサルトルを専門的に研究している人物だが、田村は鋭い切り口で此方に対して質問を投げ掛けて来る事が多い。 その質問に関しても、よく彼の著作や二次文献を読み漁っている事が良く解る内容で、答えがいのあるものばかりだ。早い話、哲学についても造詣が深い。 是非とも自分のゼミに入って欲しいものだと山田は願っていた。彼女程優秀な学生は、恐らく自分の教授人生の中で、二度と現れないのでは、と言う確信すらあった。 哲学科の教授と言うのは他の学部の教授達と比べて各界へのコネは少ないと思われがちであるが、実は書籍の編集の世界へのコネを多く彼らは持っている。 山田もその一人だ。田村が望むのであれば、懇意にしてやっている嘗ての教え子に彼女を紹介して、高い地位を与えてやるのも良いし、 彼女自身の高い語学力を活かさせて、翻訳の仕事を紹介しても良い。  ――このように山田は、田村玲子に対して露骨とも言う程贔屓をしているのだが、同時に彼女には謎が多い。 先ず彼女が、この大学に来るまで何をやっていたのか、もとい、前職はなんだったのかと言うのが解らない。そして同時に、彼女の家族構成も全く分からない。 だが最たる謎は、何故この大学に入学したのか、であろう。十八、十九程度の年齢の少年少女なら、遊びたかったからとか、勉強がしたかったからとか言うのが相場だ。 大した謎じゃない。しかし、時期に三十路になろうとしている人物であった場合、何かしらの理由がある筈なのだ。生徒でなくても、教授だってこれは気になる。 以前同じ講義を聞いていた女学生のグループが、田村にその事を聞いていたが、如何にも大人の口ぶりで、「ちょっと勉強がしたかっただけよ」と答えていた。 嘘だろうな、と山田は思った。無論山田は読心術など使えない為、これが本当に田村の本心だと言う可能性だってきっとある。 それなのに彼がそう思った訳は、あくまでも勘である。その勘が、何故だろう。とても信頼が出来るのだ。十何年以上も研究し続けた、サルトルについての事柄が叩き込まれた己が大脳よりもだ。  それともう一つ気になる事は、田村の身体から醸される、冷たい気配だ。時折、彼女と目がバッチリ合う事がある。その瞬間、山田はいつも寒気を感じるのだ。 人間以外の生物。例えるならば、人間の知能を持ったライオンに見つめられているような。そんな感覚である。 たまに思う事があるのだ。田村は、本当に人間なのだろうかと。人間の姿をした化物なのではないのだろうかと。  ……考えすぎか、と思う事にした。 どうも昨日の、学会で発表する為の論文の作成作業による徹夜が響いているようだ。 講義が終わったら学内の自販機で、学生が良く飲んでいるエナジードリンクとやらを買って飲んでみるかと山田は考える。 チラリと田村に目線を彼は移した。机に突っ伏して寝ている男子学生を両サイドに侍らせながら、彼女は真面目にノートに、自分の発言を纏めているのであった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  <新宿>は嘗て<魔震>と呼ばれる未曾有の、そして地学史上稀に見る程不可解な大地震より、一時壊滅的な大ダメージを負った街であると言う。 日本国の徹底的な復興作業と、世界各国から集まった義捐金で、復興不可能とすら嘗ての専門家は口にした程の被害ぶりは跡形もなく消え去った。 ――が、それでも。嘗てこの国で<魔震>と呼ばれる現象が起った何よりの証拠である、<新宿>と他区の境界線をなぞる様な形で生まれた<亀裂>だけは。 しっかりと東京都に刻み込まれているのであった。  <新宿>は<魔震>前のような、東京都の中でも取り分けて栄えた区としての地位を、今や完全に取り戻したと言っても良い。 が、この区の行政の頭を悩ませているのが、やはりあの深さ五十数㎞以上にも達すると言われているあの亀裂である。 あれのせいでどれだけ不便な交通網を区民や都民に強いているのか、区長は痛いほど理解していた。 一色あの亀裂を埋め立てようと言う計画も立つには立ったが、コストと時間がかかり過ぎる為に結局お流れになった。 結局あの亀裂に対する対策は、橋を増やすしかないと言う極めて頭の悪い事でしか解決が出来ない。これはある意味で、人間の敗北とすら言える。  このように<新宿>は行き来するのがやや不便な区なのであるが……不思議なものである。 そんな区でも、ホームレスと言うのは何故か集まるのである。周りを亀裂で囲まれたこの区ではなく、足立や葛飾にでも行けばいいのに、態々<新宿>へと足を運ぶ。 何故彼らがそんな事をするのかは、聞いて見ない事には解らない。都会の喧騒が心地よいからなのか、それとも飯を恵んでくれる物好きがいるからなのか。 それは、解らない。少なくとも人並みの生活を送る人間には。そして、誰も気にしない。戸籍も住民票もない人間がいなくなっても、誰が問題にすると言うのか? 「そう言う目で見てくれるな、アサシン」     <新宿>は新大久保の裏路地に響くその声は、妙齢の女性のものであった。 聞く者が聞けば、あっとなるだろう。さにあらん、その声の持ち主の名は、田村玲子。W大学の文学部哲学科に在籍する生徒の一人なのだから。  まるで時間が凍結した様に静かな路地だった。 夜と言うせいもあろう、裏路地故に人の出入りが少ないと言うせいもあろう。 だが人がそもそも存在しない訳は……今田村が、『アスファルトにこびり付いた赤黒い液体を、二リットルのミネラルウォーターで洗い流している』からではないのか? そして、田村のその作業を冷めた瞳で見つめる、黒い全身タイツ状の服を着用した、体格の良い青年は、何者なのか? 「人間の食事からでもエネルギーが摂取出来る事は出来るが、人間からエネルギーを取るのとでは効率が違い過ぎる。責めるのはよせ」 「……」  アサシンと呼ばれた男、『駆動電次』は答えない。 寡黙な男だ、と、地面にミネラルウォーターを流し続けながら田村は考える。後藤も寡言な男だったが、駆動は後藤以上に何も喋らない。 最後に喋ったのは、駆動を呼び出した時の自己紹介の時だったか? あの時は自分のクラス名だけを伝えて、駆動は即座に霊体化した。 本当に、それ以外田村と駆動は言葉を交わしてすらいない。三木のようにお喋りを好む性質と言う訳では田村はないが、それでも、全く駆動の方からアクションを起こさないのは困り者だ。  田村玲子、と言うのは彼女の本当の名前ではない。 否、訂正するべきか。彼女には名前などない。いやそもそも、彼女の性別も嘘であれば、彼女の肉体自身も嘘である。 彼女と言う呼称も、便宜上、肉体が女性のものであるから用いているだけである。 田村玲子と言う存在は『パラサイト』と呼ばれる生き物だ。Parasite……つまり寄生虫とか寄生生物を意味する英単語であるが、 田村玲子達パラサイトと言う者達の生き方は、その英単語と違える事はない。彼らは人間の脳に寄生し、その身体を乗っ取る生き物なのだ。  彼らの主食は原則、寄生した生物と同系の生物……つまり田村の場合は、人を喰う事になる。 但し彼女は、本来人間が食べるような野菜や牛や豚などの肉でも、パラサイトが生命活動を維持出来る事を知っている。 知ってはいるが、彼女が述べた通りエネルギーの摂取効率が違い過ぎる。だからこそ――こうしてホームレスの肉体を喰らっていたのである。 これから巻き起こる聖杯戦争の熾烈な争いを生き残る為のエネルギーを蓄える為に。尤も、この街には広川はいない。従ってパラサイトの為の食事場も無い。 だからこそ食事には細心の注意を払い、人を『綺麗』に食べ、人が死んだと言う形跡を可能な限り消さねばならない。なくなって見て初めて解る、広川と言う男の手腕よ。  右手に刻まれた、人間の眼球と口を模した、淡く発光するタトゥーを見つめる田村。 自身が聖杯戦争の参加者である事を如実に示す烙印とも言うべきか。令呪、と呼ばれているものらしい。 何の因果かは解らないが、田村はこうして<新宿>の聖杯戦争へと招かれてしまったのだ。あの時草野の死体から零れ落ちた、不思議な鍵など拾わねば良かったと考えだす。 これが人間が言う所の後悔か、と田村は自問する。初めて知った時は不可解な感情だとこれっぽちの理解も示さなかったが、成程。今はよく理解出来る。  昔ならば、世界の終りが告げられても。自分の身体に死が舞い込んでも。ああそうか、と思うだけで、何の感慨も湧かなかった筈だ。 だが何故だろう。今は、田村は余り死にたくなかった。死そのものに恐怖していると言う訳ではなく、死んだ後で自分の知らない・知りたい事が起ってしまうのが惜しいのだ。 目下の懸念は自分が寄生した女性の母体が、Aとセックスした事で生まれたあの赤子である。あれはひょっとしたら、自分達パラサイトが何者なのか。 と言うインスピレーションを、自分に与えてくれるのでは――そう思い育てて来た筈なのだ。だが今は、そんな思惑とは別の感情が湧いて来ているような気がする。 女は子を産み母となり、母は子を愛で母性を知る。知識としては田村も知っている。それと同じような気持ちが、自分にも湧き起っているのか? パラサイトが人の子を案じているのだろうか。ありえない……話では、ないのかも知れない。狼に育てられた、アマラとカマラではないが、 そもそもパラサイトは人の脳に寄生する生き物だ。元来人間の脳が有していた、物事に対する考え方を、パラサイトに影響を与えても、不思議はないだろう。  元の世界に戻りそして、あの赤子の行く末を見てみたい。 だが、聖杯戦争も気になる。パラサイトは神と言う超自然的かつ絶対的、そして概念的で形而上学的な存在を信じない。 しかし実際、そのような超越者がいるのだと言う。そしてその超越者が、聖杯と言うものを実際に用意してもいると言う。 聖杯が叶える願いと言うものに対する執着は希薄だが、実際にこの<新宿>に馳せ参じているというサーヴァント、と言う名の過去の英霊、 或いは異世界の強者の姿を、見てみたい気もする。好奇心、と言う奴である。動物に備わる本能とは違う欲望が強くなっているのが田村には解る。 この上、――命名していいのかは解らないが――赤子に対する母性だ。全く、次から次へと、興味の念は絶えない。 「アサシン」  緘黙を貫く自らのサーヴァントに、パラサイトの女は問うた。 「人は――『我々』は、何処から来て、何処へ行くのだと思う」  それは、田村を現在進行形で悩ませる問いかけ。 パラサイトは何の為に生まれ、何の為に生きるのか。田村玲子はこの命題を追い求める為に子供を成し、自らの同胞を殺めた。 今や人間以上に優れた知性の持ち主となったパラサイトですら答えられぬ問いに、駆動は何と答えるか。はたまた、沈黙を貫くだけか。 「俺にとっては人もお前達も、白紙に過ぎない」  それは酷く虚無的な言葉だった。 不思議なものである。人と言うのは些細な痛みにも神経質に反応し、些細な事で怒り、喜び、そして悲しむ生物だと思っていた。 駆動にはそれらがない。人間を人間足らしめる感情が極端に希薄なのである。パラサイトである自分ですら、それらに対してやや理解を示して来たと言うのに。 何故この男には、それらがないのか。田村には、理解が出来ない。  ――……面白い――  田村は駆動に興味を覚えた。 人の身でありながら人間に対して強い憎悪を抱き、人と言う種を間引く為に敢えてパラサイトに接触して来た広川と言う男に対して抱いた感情と同じだ。 この男は自らの存在を哲学する為のサンプルに成り得る。自分達パラサイトの存在の謎と、存在する理由を解き明かすツールが、此処まで揃うとは。 自分は幸運なのかも知れないな、と、田村は思うようになる。  二リットルのミネラルウォーターのペットボトルを、路地の脇に置き終えた田村が、スタスタと裏路地の方を進んで行く。 要件は終わった、と言う事を言外に示している。その事を感じ取った駆動も霊体化を始め、彼女に追随する。  ……まさか、田村も知る由はあるまい。 怒りや悲しみ、絶望が強くなり過ぎた時。人は、その感情や情動を失うと言う事など、想像すら出来ないだろう。 そして自らの引き当てたサーヴァントこそが、その類であった事など、解る筈もないだろう。  彼の名は、駆動電次。 人の身体に奇居子を寄生させられる事で人生を狂わされた、哀れな男。孤独で報われない戦いを終生行い続けた、原始的な暴力の化身。 駆動は惰性で戦うだけである。相手が奇居子だろうがサーヴァントだろうが、それは変わらない。今も夢見る、人間としての幸福を求めて。 ---- 【クラス】 アサシン 【真名】 駆動電次@ABARA 【ステータス】 (黒奇居子発動時) 筋力A+ 耐久A++ 敏捷A+++ 魔力E- 幸運C 宝具EX (黒奇居子非発動時) 筋力B+ 耐久B+ 敏捷A+ 魔力E- 幸運C  【属性】 中立・悪 【クラススキル】 気配遮断:A++ サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。 示隔領域と言う空間を纏う事で高度に発達した科学技術や高ランクの千里眼や感覚スキルを持たない限り不可視の状態を維持可能。 自らが攻撃体勢に移ると、むしろ気配遮断のランクが『上がる』。この気配遮断の数値は、後述の宝具を発動した時の値である。 【保有スキル】 戦闘続行:A+ 往生際が悪い。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 再生:A+ 傷を付けられれば、即座に回復する。四肢の欠損からですら、常人には視認不可能な速度で復活出来る。 但し、頸椎の剥離に関して言えば、再生能力が格段に落ちる。 反骨の相:B 権威に囚われない、裏切りと策謀の梟雄としての性質。同ランクの「カリスマ」を無効化する。 千里眼:C+ 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。とくに不可視化などを、ほぼ完全に無力化する。 単独行動:D マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクDならば、マスターを失っても半日間は現界可能。アーチャークラスでの召喚ではない為、ランクは低い。 【宝具】 『はらぺこゴウナ(黒奇居子)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:自身 検眼寮が保管する、奇居子及び示現体に対抗する為の聖遺物であり最終兵器。 その正体は数百年前に存在した大企業、第四紀連が白奇居子をもとにして開発した生体兵器。単体では、甲殻を持った虫状の生物。 これ自体は何の意味もなく、これを人間に寄生させる事で初めて真価を発揮する。この宝具はアサシンに移植されている。 宝具を発動させると、胞(えな)と呼ばれる、非常に強固な外骨格状の組織装甲を形成、それで己の身体を身を包み、全能力の爆発的な向上を行わせる。 アサシンの場合は肋骨(あばら)状の組織を形成する。宝具を未発動、つまり非胞展開時においても、圧倒的なスペックを発揮する。 特に向上が著しいのは敏捷性についてで、重力や慣性の法則、衝撃波の発生と言う不可避の現象を無視した、極超音速での空中機動をも齎す。 残像すら確認出来ない程の速度での高速移動による不可視性に加え示隔領域と呼ばれる自身の透明化を保証する空間を纏う事で、 Aランク以下の感覚、気配察知、直感、千里眼に類するスキルや宝具を完全に無効化する。 弱点である頚椎の剥離を除いて、一時的な行動不能状態にすら持ち込む事は困難であり、四肢断裂ですら常人には認識不可能な速度で再生する。 胞は追加展開が可能で、緊急時には盾のように用いることも可能。驚異的な速度での活動にも耐える高速思考や、大気圏外における活動も保証される。 魔力消費が極端に少ない常時発動型の宝具。解除は可能。  黒奇居子を埋め込むと言う事は非常に危険な措置であり、アサシンはこの宝具を埋め込まれた三人の内の一人。 残りの二人の内一人は知能と情緒の大幅欠如、一人は車椅子での生活を余儀なくされた程。アサシンには目立ったデメリットはなく、ほぼ完璧に馴染んでいる。 但し、アサシンに関しては極端にデメリットが少ないとは言え、奇居子を元にした宝具である以上、アサシンはこの宝具を発動させると人喰いの衝動を発動させる。 そして聖杯戦争に際しては、その特徴がフィーチャーされており、この宝具を発動してから一分が過ぎた場合には、凄まじい空腹感に襲われ、人を貪り喰う衝動に苛まれる。 この衝動が発動した時には、魔力消費の少ないと言う長所が消滅。宝具性能に見合った、爆発的な燃費の悪さがマスターに襲い掛かる。 【weapon】 【人物背景】 報われないヤドカリ   【サーヴァントとしての願い】 不明 【マスター】 田村玲子@寄生獣 【マスターとしての願い】 自らの存在意義に関する謎の解明 【weapon】 【能力・技能】 田村玲子は人間ではない。この生き物はパラサイトと呼ばれる寄生生命体で、この個体はとある人間女性を宿主に決めた数あるパラサイトの内の一人。 パラサイトは人間の脳を奪うと首から上と同化して全身を操り、顔は同じでも元の宿主とは全く別の人格となる。 寄生部分である表面を含めた頭部全体が「脳細胞」の状態となり、脳・眼・触手・口などの役割を兼ねる。 一見すると一般の人間と同じだが、頭部は自由に変形しゴムのように伸縮したり、鋼鉄のように強くすることができる。 刃物の形状で攻撃する際には鉄をも切断するほど強力であり、重いものを持ち上げる腕力と動きの素早さも尋常でなく、 一般人の動体視力ではその動きを捉える事すら不可能に近い。いわば考える、強靭な筋肉。 またパラサイト宿主の体を身体能力の限界に近い状態で長期間稼働させる事も可能。 ただし、寄生部分以外はあくまでも人間のままである為無茶は出来ない。理性や感覚が働かない為に、限界を超えた負荷を発動して負傷する事も珍しくない。  また彼らは痛覚に対する恐怖が希薄で、痛みを恐れない。但し自分がどの程度まで痛めつけられれば死に至るかと言う事については理解している。 寄生部位の頭は非常に再生力が強く、生半可な兵器では死に至らしめる事は難しいが、人間としての部位は別で、主要な内臓に重大な損壊を負えば死ぬし、頭を胴体から切り離され放置しても死ぬ。  以上のようにパラサイトは様々な性質や特質を持っており、少々の攻撃では防御されたり避けられたり、ダメージも受けない。 但し、物理的な攻撃には極端に強靭な一方で、毒物・強酸を浴びたり体内に取り込まされる、火をつけられるなど、細胞同士の反応がずれたり、神経伝達に齟齬が発生する攻撃には不覚を取る事もある。 【人物背景】   人に寄生する事でしか生きられないか弱い生物。自らのレゾンデートルをいつも悩み続ける寄生獣 【方針】 聖杯戦争を楽しんでみる

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