……夜明けが来た。
豪奢かつ快適な高級椅子に腰掛けながらも、険しい表情を崩さずにいる男は、何とも知れずそう知覚した。
壁にかけられた時計を見れば、時刻は5時丁度。まんじりともせず膨大な資料に目を通していた疲れが急に肩にかかる。
窓に歩み寄り、ブラインドを指で下ろして目下の町並みを眺める。
歌舞伎町を初めとした新宿の街路は、『眠らない町』と称されるほど喧騒に満ちているのが平常だ。
良くも悪くも煩雑な、蛮人たちの営みが人間の本質を露わにする。そんな新宿を、男は愛おしく想っていた。
しかし今、男―――新宿警察署長の目に映る<新宿>は、不気味な静寂に沈んでいる。
人智を超えた更なる混沌を招くべく、闇の中に渦を巻いて、何かが胎動している……そんな焦燥をここ数日感じながらも、署長は有効な手を打てずにいた。
頻発する怪事件は、新宿警察署の最高権限を持つ彼のデスクにうず高い紙片の山をもたらしていた。
まるで糸口も掴めない、複数の手際によるバラバラ殺人。市井のみならず、署員の間にも実しやかに広まる異形の怪物の目撃情報。
隠し通せぬまでに広まった大量殺人事件の裏に潜む、アウトローの者たちを殺して回る殺人鬼たちの影。
もはや事態は新宿署だけで収拾できるものではない事は火を見るより明らかだった。

「……だが、何故だ」

思わず漏れた独り言には、並々ならぬ困惑が込められている。
他者よりも強力な職権を持つ彼は、その権利を行使する義務に縛られてもいる。
即ち、新宿区の治安と秩序を一定化するという使命を果たさねばならない。
遠坂凛のような異常殺人者や反社会勢力に攻撃を加えるセリュー・ユビキタス達のようなテロリストは取り締まらねばならない、そこに疑問はない。
しかし、そんな彼の職分を……彼の常識を超えた物が、彼女たちの周囲には多すぎる。
映像で疑いなく実在を証明される彼女たちの連れ合い……新宿署内では『ベルセルク』と仮称される怪人たちがいる。
素人目に見ても、生物の運動能力の限界を遥かに超える挙動。物語の中の不可解を現世に持ち込むかのごとき理不尽。
ワニの面を被った男。金属製と思しき巨大化する腕を持つ少年。
そして特異な外見的要素は前者より少ないながらも、見ていると死の実感を覚えざるを得ないくたびれた男。
これら化外は、噂が広まるも未だ新宿署の手中にない怪物たちと同種の物であると考えざるを得ない。
このような事態、災害派遣を名目に自衛隊を投入することを"上"が即座に決定すると署長は予測していた。
<魔震>以降、国内有数の地理に恵まれた街からの人離れを防ぐ政策に奔走してきた世代が今は中枢を占めている。
現行の科学で説明が出来ない事象を、帝都に暗然と出入りする各国のエージェントが本国に伝えていないはずがない、とも署長は思う。
同盟国は協力を装って、そうでない国は秘密裏に、この国の火事場から有用な物を漁りに来るだろう。
しかし上からも外からも、<新宿>への干渉はほとんどない。このような状況にも関わらず、市民の区外への流出の動きも皆無。

「私が動かねばならない、はずだ」

各区長が主導するには事が暴力的すぎる以上、後の軋轢を考慮しても自分がやらなければならない。
新宿の全人民が死滅する前に、避難を促さねばならないほどに事態は急迫していると理解している。
しかし―――その理解に及んでからどれほどの時が経ったのか、未だ署長は行動を起こさずにいた。
遥かに仰ぐ権力者たちにホットラインを繋ごうと思い立った瞬間、意識が飛ぶ。"日常に戻る"。
起死回生の指示で署員を多数死なせた責任に押しつぶされそうになり、デスク内のH&Kを取り出して弾を込めようとした瞬間、意識が飛ぶ。"日常に戻る"。
そういった記憶はあるのに、二度と同じ行動を起こす気になれない。
その理由も原因も分からぬまま、署長は日々の凶事に振り回されている。

「うんざりだ。こんな今日も、また来る明日も」

ルーチン・ワークというには異常すぎる振れ幅の毎日に、署長の精神は一日の四半分の時点で限界に来ていた。
……しかしその穢れも、残る一日の3/4が過ぎればリセットされる。永遠に損耗が繰り返される。
そしてそれは、自身の行動では絶対に止まる事はない。止められるとしても、実行に移せないよう何かに縛られている。雁字搦めとはこのことか。
いっそ悪魔に魂でも売れば、この束縛から逃れられるのだろうか……哀れな男がそんな夢想に落ちようとした、その時だった。

「ン……」

室内に、熱がある―――直感に従い顔を上げた署長の対面、デスクを見下ろすように、影法師が立っていた。
間違いなく数秒前までいなかったその姿に、署長が瞠目する。視線が無意識にヒトガタの顔へ飛ぶ。
御伽草子から抜け出してきたかのような端整な顔立ちの男だった。徽章のついた帽子が一瞬警察官を想起させるが、目をつけてみればそれは学帽。
肌の張りを見れば、成人にも満たない年の頃なのではないか。しかし怜悧に光る両目、誂えたように馴染む外套、そして全身から発される気が、その疑問を封殺する。
一警察署の署長室に侵入された、という危機感にすら勝る存在感を、その少年は持っていた。

「葛葉ライドウ。鳴海探偵事務所より、依頼された案件の報告に参りました」

「……鳴海二佐……いや、鳴海氏の……使い……か……」

タイプライターで打たれた文章を、鋼の鍵盤で出力するような声色で語りながら、少年は封筒を差し出した。
署長は一瞬の躊躇の後に受け取って、裏面を確認する。封代わりに貼られた特注のシールには見覚えがあった。
陸自を若年退役して探偵を始めた元エリート、鳴海昌平が開く探偵事務所のシンボルだ。
民間協力者として密に関係を構築した業者の中でも、署長が直接会った事がある程度には優秀な長を持つ探偵組織。
これほど若い構成員がいるとは知らなかったが、なるほど言われてみれば、"探る者"の風格がある。
内心の動揺を抑え付けるべく威厳を込めた咳の後、封筒を開封し書面に目を走らせる。

「大久保の裏カジノの調査結果か。こんな朝早くに、私に直接渡すほどの内容とは思えんが、何故……」

「用件はもう一つ。貴方を悩ませている案件の解決に関わる事です」

質問を遮るように、少年が懐から大瓶を取り出して机に置いた。
目尻を下げた署長の息が詰まる。その瓶の中には、見たこともない色の液体と、半分ほどに欠けたヒトの顔が納められていた。
否、厳密にはヒトではない。ゴツゴツとした起伏の激しい肌は明らかに人皮ではなく、口から覗く牙の大きさは人間の比ではない。
悪趣味なジョークグッズとしか思えないそれから、目を離せない。異形の怪物の目撃証言の一つと奇妙に一致していたから、か?
いやそれがなくとも、きっと署長は目を惹きつけられていただろう。『ベルセルク』達にも通じる化外の気配が、確かにその死骸には残留していた。

「これを、どこで?」

「大久保の調査中に仕留め、持参しました。説明が必要でしょうか?」

「……頼む」

少年は淡々と、『悪魔』の実在とそれが帝都に害を成している現状を語る。
相手を信用させようと企む詐人の臭いなど微塵もしない、清廉な物腰で語られるには眉唾すぎる。
だがその内容は、ふざけているのか、と声を荒げようとする事もできないほどに現実味でコーティングされていた。

「……」

署長は長い人生経験から、少年の声と会話の間に極小の惑いがある事に気付いた。
少年にとって今語っていることは、本来口に出してはならぬと自身に律している事なのではないか……。
それを曲げて語っている事実と、目の前にある実証、そしてこれまで署長の元に集まった情報を総合すると、署長は一つの結論に至らざるを得なかった。
目の前のうら若き探偵事務所の使いが、<新宿>を守護するという堅固なる意思を持つ、自分の同志なのだろう、という、確信に近い結論に。

「これを提供してほしい。科警研……いや日本の学者全てを動員してでも、"悪魔"なる生物を根絶する効果的な方策を見つけさせると誓おう」

「貴方達では、それは不可能です。この件を収束させる為にこちらが協力を願いたいのは、情報についてのみ」

「情報……探偵稼業の君達が、それを警察に求めるのかね」

少年は頷くと、大瓶を懐に仕舞い直した。遥か年少者に誓願を退けられたというのに、署長に不思議と不快感はない。
幾度となく感じてきた諦観が、署長に自分の無力さを認識させる切欠となっていた。
この少年に協力することが、自分が<新宿>に最も貢献できる道なのかもしれない、という直感に従って署長は言葉を吐き出す。

「いいだろう。無制限とはいかないが、教えられる事は教えよう」

「感謝します。知りたいのは、警察がマークしている人物の中で<新宿>の外から来た人間の情報です」

……件の悪魔とは何の関係もない情報なのではないか、などという疑問は抱かない。
署長が知る限り、『ベルセルク』の連れ三人の内、二名は外国人。
ヤクザ襲撃事件のセリュー・ユビキタス、魔腕の怪人を引き連れているヒスパニック系の女。
提供できる情報としては、セリューのそれが最も大なるものだろう。
なにせ名前も居住地も割れており、さらにその情報は警察が独占している。
だが、先日警官隊を突入させて皆殺しの憂き目を見ている以上、優秀とはいえあくまで民間企業である鳴海探偵事務所へ軽々に仔細を漏らしていいものか?
少年の『只者ではなさ』は十分に察せられるが、それをセリュー一味の『只者でなさ』と秤にかけるほどの尋常からの度外は、署長にはなかった。

「……犯罪者というわけではないが、外部から来た人間で我々が注視する人種といえば、やはり他国の諜報員だろうな」

「ここも帝都ですからね。そういった者には、やはり目がいきますか」

「これだけの変事下だ。彼等も彼等なりに行動を起こすはずなのだが、不気味なほどに動きを掴めない。それが逆に気になってな」

机に積み上げられた書類の中からファイルを一冊取り出す署長。
開かれたページには、諜報員の通名と国籍が並んでいる。
大国から名前を聞いた事もない国まで、"草"の名がひしめいているが、相手が相手だけに情報は極端に少ない。
目を通す少年の視点の僅かな淀みから、署長は鳴海探偵事務所もまた、彼等に目をつけていたのだな、と推測した。

「この、ムスカという男にチェックが入っているのは?」

「古美術界隈に接触した節があったので、国際窃盗グループに関わりがあるかも、と一度調査した。最も、単なる旅先道楽だったようが」

「諜報員が道楽ですか?」

「スパイだって毎日働いてるわけじゃないさ」

肩をすくめる署長に、心中を量りかねる視線を返しながら、少年はファイルを机に置く。
署長が言うまでもなく、持ち出すわけにはいかない捜査資料の内容は頭の中に暗記したようだ。

「今提供できる情報は、これだけというわけですね」

「……そうだ」

「では、次に"実績"を上げた後で、またお邪魔させていただきます」

一礼して扉に向かう少年の言葉には、署長が言及を避けた情報があると看破している含みがあった。
少年の背中を見る署長の胸中に、えも言えぬ安心感が広がる。
遥かに年少の者に対し覚える感情としては不思議なものだったが、『葛葉ライドウ』が持つ雰囲気は、俗人とは一線を隔すものがあった。
彼ならば、この<新宿>を覆う暗雲を晴らし、異変を終息させてくれるのではないか……そこまで考えて、ふと思い至る。
あの『ベルセルク』たちを見たときの慮外たる絶望感もまた、このような説明のつかない……言わば絶対者に対する感情ではなかっただろうか。
ドアノブに手をかけ、(入室時は立てなかった)軋む音を鳴らしながらライドウが呟いた忠告が、その気付きに確信を持たせる。

「恐らく早晩―――帝都の渾沌は、際限なく深まります。どうか、御留意を」

決定している事項を通達するように、眼光鋭く言葉を残す。
<新宿>を混沌に堕とす者がいるのならば、自分はそれに抗う―――そんな鉄の意志を込めた言葉を。
そんなライドウの影を目で追いながら、署長は意識を変えた。
夢物語のような胡乱な混迷ではなく、解決に至る糸口が存在するのならば、前向きに迷える、と。
未だ事態は何一つ、好転していない。
しかし陽炎のように現れた探偵との邂逅で、署長の心からは諦めが薄れていた。


『―――! 今、続報が入りました! 現場では車が炎上し、逃げ出す人波でリポーターも近寄れない状況との事です……!』

「端末借りるぜ、オッサン」

「ああ」

京王プラザホテルの一室……塞とそのサーヴァントが拠点とする部屋に備え付けられたテレビが緊張したスタジオを映している。
朝のニュースの時間に発生した凶事を市民に伝えんと口角泡を飛ばすアナウンサーの目には、明らかな恐怖が見受けられた。
事件の内容と被害の出鱈目ぶりもさることながら、こんな非現実的な情報を発信して今後自分に何らかの不利益が降りかからないか……?
そのような恐慌状態とも言えるアナウンサーの心配は、結果として杞憂となっていた。
報道放送が<新宿>に与える影響を考慮した何らかの存在が、あらゆる局に対し即座にスクランブルをかける準備をしていたのだ。
現に、この部屋に招かれた高校生・佐藤十兵衛が持つワンセグは、奇妙なモザイクと雑音のみを捉えていた。

「TV業界にこれだけ影響力……介入力を持てる奴の仕業か。単に公的機関ってだけかもしれんが……」

「そのテレジャッカーがどこの誰かは知らんが、流石にTwitterやらGALAXまではまだ手を回せてないみてーだな」

「SNSで情報集めか、現代っ子」

「うちの馬が直に見てるが、然々っと聞かされただけだから……お、根性ある野次馬みっけ」

慣れた手付きでパソコンを操作する十兵衛が開いたページを塞が覗き込むと、バーサーカーと思しきサーヴァントの巨体の一部を写した画像がUPされていた。
静止画像だけでも、暴れれば一都市などひとたまりもなく粉砕されるであろうと思わせる凶暴性が見て取れる。
こんな化け物が、まかり間違えば自分達の足元で激発していたという事実に、塞の背中にも流石に冷たいものが走る。
発信を妨げられた映像を送ってきた局の記者から聞いた限り、各局はこの情報を再度流す方針で固まりつつあるようだ。
豪腕を振るう何者かの押さえが利かないほど、事態は急転している。
SNSや口コミで<新宿>の全住民の目が塞が拠点とする地の近くに向けられるのもそう遠い未来ではあるまい。
場合によっては、別に用意してある拠点に移る必要もあるかもしれない、と考えた所で、塞の懐に振動が走る。

「もしもし。……そうか。無理はするな、もう帰っていい」

「タモさん彼女? 叶姉妹のどっち?」

「佐藤クルセイダーズからも、そろそろかかって来るんじゃないか?」

「ウチは効率重視なのでラインで既読スルー済みよ」

二人のマスターが互いに携帯端末で確認したのは、各々の息がかかったNPCからの情報。
可能ならば、程度の期待ではあったが、事を起こしたサーヴァントのマスター達の足取りを追わせていたのだ。
場の混乱もあり、彼等の影すら掴めない、という結果ではあったが。
眉間に右手を添えながら、十兵衛は嘆息と共に部屋の中を見回した。
十兵衛が彼の馬、『比那名居天子』から得た塞のサーヴァント『鈴仙・優曇華院・イナバ』の情報によれば、彼女は精神の波長を操る程度の能力を持つという。
対魔力を保有するサーヴァントが侍るマスターに洗脳の類をかけてくるとは思えないが、念話も送受信する物である以上、この相手に限っては内容を盗聴されないとも限らない。
故に十兵衛は念話で天子に語りかける平時の感覚を断ち、己の脳髄だけに言葉を廻らせる。

(パソコンには何の鍵もしてない。ここに重要な情報はないな……部屋の内装も殆ど弄ってない、生のままの様子だ)

(頭の中にデータを叩き込んでるとか言いそうな顔してるし……自分が死んだら終わりの聖杯戦争じゃ、それでいいんだろうがな)

「オッサン、情報が大事とか言う割には部屋に書類とかないんだな。何の為に人使ってんだよ」

「書類管理をするのが面倒でね。こんな便利な物があるんだ、紙媒体なんて嵩張るだけで無駄だろう?」

電話を受けていた携帯とは別に、ポケットからスマートフォン型の端末を取り出して示す塞。
十兵衛は塞のサングラスの下の目を窺うのではなく、彼の放つ声の質に耳をそばだてた。

(ブラフだ。俺が食いついて奪いにかかる程度の馬鹿かどうかを量ろうとしている)

(最初からマスターとバレてる分、やはり警戒が強いな。やはり、情報だけ貰ってトンズラってのは難しいかな……)

「このテレジャッカーにも心当たりあったりする?」

「多少はな。俺が必要と判断したら、こっちの情報を開示するよ。お前もそうするといい」

「同盟を結んだんだ、立場は対等じゃないと。今教えてくれよ」

「対等だから、無駄な情報を与えたくないのさ。仮に俺の心当たりを知ったお前が討伐に向かって、無駄足だったら腹が立つだろう?」

「……OKOK、分かったよ。無駄足にならないって自信ができたら教えてくれ」

肩をすくめる十兵衛と、サングラスの下の感情を消した目で十兵衛を観察する塞。
同盟を組んだ、という関係にしては距離感を拭えないマスター二人を他所に、彼等のサーヴァントは平静であった。
鈴仙は従者としての節度を保った沈黙でマスターの背後に神経を尖らせ、天子は初めて見る高級ホテルの部屋をウロウロと見て回るという平時の態度のままである。
遠慮も何もなくバスルームに侵入し、「十兵衛の家のと全然違う!」などと大騒ぎする天子に一同の目が注がれる。
数分後、ホテルの備品の高級石鹸と鈴仙が買い込んだ化粧品をドロップした天人が姿を現した。
スナック菓子を頬張りながら、満面の笑みを浮かべる彼女には悪意に類する感情が微塵もない。
精神に関わるスキルを持つ鈴仙は、その無邪気さの背景となる根拠のない自信をおぞましいと感じた。
"我"の絶対性を疑わない相手は、その波長もまた、常に固定されている。
精神の波長を操作するにも、漣すら起こらない海では波に乗りようがない。
とはいえ鈴仙以外には、天子は我儘な子供にしか見えていないようだ。
塞は十兵衛に非難じみた視線を飛ばし、十兵衛は「フッ」と笑って窓際に歩いていき、地上41階から見える<新宿>の景色に目を向ける。

「十兵衛……」

「サーヴァントは人間の何倍もの腕力を持つ……そんな怪物に教育を行うことが我々人間に出来るのだろうか……」

「十兵衛君」

「おこがましいとは思わんかねハザマくん」

早くも同盟を組んだ事を後悔しかけている塞と、窓から外を見て目を合わせようとしない十兵衛。
聖杯戦争中だというのにどこか弛緩した空気が流れる中、鈴仙はマスターと同じく、同盟相手への不安を隠しきれなかった。
天子の能力はともかく、性格は信頼を置いたり、自在に利用したりするのにはあまりにも不適すぎる。
マスターの方も小賢しいだけの一般人、加えて性格も好感を持てるようなものではなく、サーヴァントを御せているとも言い難い。
自分の真名や能力の大半を知られている上に、普通に戦えば負ける公算が高い相手だという事実がある以上、
いますぐに同盟を破棄するわけにもいかないが、切る事を前提として付き合う必要がある組ではないか……。
そこまで思い至ったその瞬間であった。鈴仙の、他のサーヴァントを凌駕する索敵知覚がざわついた。

「! マスター、近くに……100m圏内に、もう一体サーヴァントがいる!」

「何!?」

塞の驚愕は、先の十兵衛・天子達を捕捉した瞬間のそれを上回っている。
この客室は地上から150m以上の位置にあるが、鈴仙のサーヴァント探知能力はホテル全体を覆って余りある。
フロント及び各階のホールには鈴仙が監視カメラに被装させた波長を狂わせる魔術トラップが仕掛けてあり、
対魔力スキルを有しないアサシン相手ならば、気配遮断スキルを阻害して感知を可能とするはずだった。
つまり、先の十兵衛たちのようなイレギュラー的な侵入方法でない限り、大半のサーヴァントは1Fに入った時点で警戒が可能なはずなのだ。
此度のサーヴァントもまた、空を飛ぶなりの方法でホテル内を通らずにこの部屋の至近に迫りつつある。

「ただ通り過ぎたわけじゃないんだな?」

「ええ。間違いなく、この部屋に近づいてきている……でも、反応が消えたり出たりで妙な……」

「テレポートの類じゃない?」

駄菓子を食べながら、焦る様子もなく告げる天子。
塞にとっては、この場に彼女というサーヴァントを招いていた事こそが不運であった。
鈴仙一人ならば、一般人に紛れられる程強力な気配遮断の真似事で敵をやり過ごす事が出来たかもしれない。
だが他になまじ強力な力を持つサーヴァントがいる以上、その手は使えない。

「そもそも、並みのサーヴァントなら地上から俺達を察知できるはずがないんだがな……」

「相手は並みのサーヴァントじゃあなさそうだぜ、オッサン」

窓から階下を見下ろす十兵衛が、塞を呼び寄せて示す先は、真向かいの建物。
二棟並び立つ京王プラザホテルの南館……ガラス張りの壁面に、それはいた。

「……おいおい」

塞が思わず、サングラスを僅かに下げて肉眼で確認したのを誰が責められようか。
そこには、身一つで高層ビルを駆けては消え、上方に姿を現してはまた駆ける銀髪の男がいた。
それだけならば、サーヴァントならばありえない話ではない。問題はその隣に、同じように壁面を駆け上がる影がいることだ。
疾風のような速度のサーヴァントに遅れず追随し、テレポートの際だけ身体を預けて、また走り出す。
聖杯戦争のセオリーから言って、サーヴァントの傍にいるのはマスター、それは常識として塞たちの脳に焼き付けられている。
よく目を凝らせば、マスターと思しき男の背には、何やら魔力の集中が見受けられる。
流石に素の身体能力ではないようだが、それでも異常としかいいようのない光景であった。

「どうするよ、オッサン」

「もう逃げるのは無理だ。腹を括れよ、高校生」

塞の言葉を裏付けるように、二人の超人の動きが止まる。
二対の視線は、塞達の客室の方向を穿ち……踏み込みによってガラス窓が粉砕され、その破片が崩れ落ちるより早く、二人は中空に身を投げ出した。
対角線上の本館に届くか否かは全く考慮していない、軽い跳躍。重力に引かれて落ち始める両影が、一瞬で掻き消える。
鈴仙が障壁波動を即座に張れるようスペルカードを取り出し、部屋全体に対サーヴァント用の波長撹乱幕を走らせた。
塞は鈴仙から聞いていた虚構の初陣の顛末を思い出し、普段の戦闘スタイルを一切忘れて鈴仙の背後に回る。
十兵衛は無表情のままバルコニー前の大窓を叩き割り、ガラス片を指に挟んで構えを取った。
天子は不敵な笑みを浮かべながら、闖入するサーヴァントに思いを馳せていた。

八秒後。

室内に、突如膨大な圧力が出現した。窓側にいる十兵衛達と、扉側にいる塞達の合間―――部屋の中心に、並び立つ男が二人。
一瞬の躊躇もなく、鈴仙に銃口を向けたのは、銀髪の魔人(サーヴァント)。
自分達を囲む四人全てに流し目を送りながら言葉を発したのは、そのマスターたる魔使(マスター)。

「この部屋に満ちる、人を狂気に駆り立てる波動……根源は、お前だな」

室温が数℃下がったように誤認するほど、冷たい敵意が籠もった声だった。


緊迫する室内の情調は、各人の思案を練り混ぜて死の兆香を放っている。
とりわけ動揺大きく、表層への発露を隠し得ないのは鈴仙だ。
現出したサーヴァント・ダンテのステータスは、同じくセイバーとして召喚された天子をも凌ぐ上級水準にある。
剣の英霊とはイメージを異にする得物が、寸分のブレもなく鈴仙の眉間に向けられる事実から見て、波長を乱し幻惑する搦め手に対する耐性もあるようだ。
生半な詭計奇策を弄する相手を一笑に付し、純粋な技量と力量で自己を上回る敵を求める英霊。
しかし鈴仙の驚愕と焦燥は、そのような分かりやすい一面に対するものではなかった。

(波長が……別人のように……!?)

マスターを伴ってこの場に転移してきた瞬間と今とで、ダンテが放つ存在としての波長が変転しているのだ。
体内のあらゆる回路を組み替えねば不可能な芸当を、波長を読める鈴仙でなければ見破れないほど自然にやってのけた相手。
鈴仙の戦術能力の基盤となる能力に対して、黒贄や天子と比しても超絶な有利を取られていると言わざるを得まい。
攻め込まれれば、敗色濃厚この上なし……この場にいるもう一人のサーヴァントが信頼できる味方であれば、話は別だが。
その点に期待できない以上、場が膠着している現状はむしろありがたい。黒贄のように豹変して襲い掛かられないとも限らないが。
凶悪なバーサーカーへのトラウマが、鈴仙に発声を促させた。

「……その通りよ。最も、貴方達には効果を期待できないみたいだけど」

「ん? なにかやってるの?」

恍けた天子の声を聞きながら、ダンテのマスター……ライドウは心中で頷いていた。
早朝、警察署にて得た情報と彼がそれ以前に収集した情報を重ね、始めに浮かび上がったのがこのホテルと、サングラスの男という焦点だった。
<新宿>の住民は聖杯戦争の参加者からはNPCと呼ばれ、一部はあえて彼等の知己を模す事でその存在の非自然性を暗に示している。
では、NPCの存在意義は何か? 聖杯戦争という儀式を複雑化し、達成を困難にする事で成就の際のリターンを増す為か。
それとも、虚像とはいえ生命を闘争の前に晒す事で、参加者の一部の行動を抑制、あるいは激発させる為か。
後者だとすれば、ライドウはまさにその狙いに絡め捕られていると言える。仮初のものだとしても、帝都を守護せずして在れないが故に。
最もライドウには、未だ確信が持てないもう一つの推測もあったが。
ともかく、<新宿>にてNPCの存在は『儀式の補助』を行う為の一線を決して踏み越えない。
逆に言えば、一市民としての常識(ロール)を超えた活動をしている者は、聖杯戦争の関係者である可能性が高いのだ。
NPC達にも意思がある以上、マスターやサーヴァントに唆されたり、戦争の過程でロールを乱されて蠢動する個体もいるだろう。
極端な例では、サーヴァントの持つ"超"能力によって異形化し、完全に配役から逃れる者すら複数確認済みだ。
玉石真偽交い混ざる中、ライドウはサングラスの男……塞を見出した。
無論塞の活動は、探偵や警察程度に目を付けられようもない高度な技術と豊富な経験に裏付けされる秘匿の巧たるものだった。
しかし、ライドウの探偵としての能力は、条理を一飛びに踏み越える。デビルサマナーの本領、ここにあり。

「セイバーには、そうだろう。だが、人間に向けていい能力ではないな」

「……マスターの方を狙えば、次の瞬間私の聖杯戦争は終わりそうだから、ね」

「賢い嬢ちゃんだな。お互いにとって喜ばしい事だ、なぁ、少年?」

「その喜びがある内に、すぐに"俺達"と聖杯戦争を始めない理由を聞きたいんだがな? お客さん」

会話の余地があると判断して口を挟む塞に、ライドウが向き直る。
塞はライドウの若さに驚くよりも早く、その佇まいに瞠目した。
陽気な印象を与える快漢を従えているにも関わらず、その影響の伝播が微塵もなく落ち着いている。
ただの人間ではなく、サーヴァントと並び立っているのに、だ。
沈着な塞とて、人間の枠を超え英霊に至った存在と縁を結ぶ現況には一種の高揚を覚えずにはいられない。
それが一切ない者がいるとすれば、それは感受性の未達によるものか……あるいは。
聖杯戦争以前に、サーヴァントに連なる存在と渡り合った事のある、魔境の住人か。
塞の直感から生まれた戦慄が、無意識に相手へ2対1の不利を喚起させようとする言動となって表面化していた。

「……強盗の真似事をしたのにも、理由はある。調査の一環だ」

「何を聞き取ろうっていうのかな」

「<新宿>の人間を悪魔化させているサーヴァントとマスターを探している」

ほう、と関心を示したのは塞だけではない。
十兵衛もまた、ライドウの言葉に思うところがあったのだ。
初めて声を出した十兵衛を見遣るライドウの視線が、そのサーヴァントである天子にも注がれる。

「剣士の英雄とはいえ、その手の呪術に縁のない者ばかりではないが……」

「俗世の垢に浸かってないウチの箱入り様は、そんな多才さとは無縁だぜ」

「そうよ。そういうのは、趣味ではないわ」

「趣味でやるにしては、度を過ぎたお遊びだがな」

十兵衛の持って回った言い回しと、心外そうに口を尖らせる天子を見てダンテが独り言ちる。
噂レベルではあったが、塞たちも人間が異形化する事件については聞き及んでいた。
サーヴァント、あるいはマスターの闘争が目撃されたものではないかと推測していたが、目撃例が多すぎる。
撹乱を目的とした偽装もしくは人心の混乱により自然発生した流言ではないかと結論する前に、このライドウの言葉。
疑いを晴らす為にも、情報を得る為にも、対話は望むところと言えた。

「なるほど、そんな真似ができるのはサーヴァントくらいの物だろう。だが俺達がその下手人なら、その悪魔とやらを……」

「拠点であるこのホテルに配備していないはずがない、でしょう?」

「そういった実用を目的としての行為じゃあないみたいでな。街に無節操に放って混乱を広げてるくらいだ」

「能力を持つ個人が女だということだけが分かっている。通常ならば悪魔化した住民を虱潰しに探し、術者と繋がりの深い者を見つける手を取るが……」

ライドウが、懐に手を入れる。場に走る緊張を意に介さず抜かれた掌中には、『封魔管』ではなく、『契約者の鍵』が握られていた。
見慣れたアーティファクトを見て、塞は眉を寄せた。<新宿>の聖杯戦争においては常識である知識が、彼にライドウの次の科白を予測させる。

「……聖杯の招きを受けた者同士には、有無を言わさぬ相互理解の手段がある。契約者の鍵を見せ合えば、全ての疑惑は晴れるだろう」

「断る」

一瞬の間もおかぬ拒絶に、ライドウは過敏に反応しない。
無言で鍵を懐に仕舞い、帯刀している赤口葛葉の柄巻に手を絡ませただけ。
だが、それだけの動作で、場の緊張度が数倍に跳ね上がる。
この場には無駄な争いを避ける理性がある者しかいないが、必要と感じた時に実力の行使を躊躇う者もいない。
仲介役に回る必要があると察した十兵衛が口を挟まなければ、命をチップとした鉄火場となる事は明白だった。

「まあまあ、そっちの要求だけ聞いてもしょうがないジャン。戦争ったって手順はあるだろ、まずは国内の世論操作で時間潰そうぜ」

「帝都の住民には、手順を待つだけの安寧はもはやない。自分達の業(カルマ)と比して重過ぎる運命を強いられている」

「そりゃNPCの方々は気の毒だし、俺の知り合いの出来損ないだっている。できれば助けてやりたいさ」

「十兵衛、物言いに説得力がないわ。自分以上の伊達男に当たって動揺しているようね」

「セイバー、ちょっと大人しくしてて……『新宿・イケメンマスターランキング』の頂点から転落してショックを受けていますので……」

自分のサーヴァントに痛いところを突かれてプルプルと震える同年代のマスターの姿に、ライドウもわずかに熱誠を収める。
彼自身、塞とそのサーヴァントが件の悪魔化事件の犯人である可能性は低いと考えていたからだ。
未明に接触したラクシャーサの男を通して感じた下手人の悪意と、事前に注目していた塞の行動には無視できない違和感がある。
捜査スキルを駆使して掴んだ塞の諜報活動はハイレベルな策謀ではあっても、NPCを害する事を目的としない、協力関係を築く為の行動と見えた。
奇抜なアクセサリーを頭につけたサーヴァントも、献身的にそれに協力しているようで、マスターとの
だが、ラクシャーサの男に復讐を実行する為の力を与えた女の所業は違う。
仇を取るための力を与えたといえば聞こえはいいが、それは後戻りを禁じ、先へ進むにもブレーキを外された"魔"の力。
人類という種そのものを憎悪し、その未来に一片の希望すら抱かぬ者にしかできぬ悪行だ。

「こっちの主従はなかなかアットホームだな。聖杯も色んな人材を集めてるようで無駄な苦労が偲ばれるってもんだ」

「言葉の端々から自信が窺えるおたくのサーヴァントみたいに、手の内が全部バレても困らない奴なんてそうそういないんだからさ。
 契約者の鍵を晒して、胸襟を開き合おうなんて提案に乗る奴はいねーよ。ここは話し合いで分かり合おうぜ」

「そういうことだな。重ねて、アーチャーは自身のスキルの効果で正体秘匿の真似事が出来る。全てを明かしたところで、絶対的に信用されるとも言い切れない」

「……」

「この情報開示は、敵意がないことの証左と考えてもらいたいな」

ライドウが、帝都守護の為にのみ振るう愛刀から手を離す。
ひとまず、流血の危難は去った。


簡単な自己紹介を交わし、ライドウが礼を欠いた乱入を謝した後、三組は情報の交換を始めた。
各々の視点で感じた<新宿>への印象から、友好関係を持つNPCへの縁繋ぎまで多岐に渡る会話が進む。
全ての行動や考えを机上に広げたわけではないが、それでも特に各人の注意を引く情報があった。

「……なるほどな、"悪魔"ってのは比喩表現ではなく、正真のそれだったってことかい」

「とんでもなく優秀な手駒を持ち込めてるってわけだ。なんかズルくない?」

「『仲魔』と呼んでほしい。所有物のように扱うと拗ねる奴もいるし、無条件で扱えるほど人間に拠っているわけでもない」

十兵衛の「この街を守護りたいなら、下で暴れてた連中を追いかけた方がいいんじゃないの?」という言葉に、ライドウはそうしている、と返したのだ。
デビルサマナーとして使役する悪魔の一体を、最初に暴挙に出たと確信したバーサーカーに付けて拠点を探らせている、と。

「悪魔は実在する、か……ライドウくんが知る個体が悪魔化事件によって発生している以上、その線でマスターやサーヴァントを探れるかもな」

「人間を悪魔化する事自体は可能だが、里で聞き及んだその手の外法とは相当に異なる結果が生じている。おそらくは過程も。
 平行世界から来たデビルサマナーやダークサマナーの手による事態だと考えているが……だとすれば、俺の知る個人ではないだろう」

「俺の常識じゃ悪魔と付き合いがあるって公言する奴は狂人か詐欺師と相場が決まってるんだが……。サーヴァントなんてもんと契約してるんだ、信じざるを得ないな。
 その手の話じゃ、憑依されて首が180度回るとか、悪魔と交配して合いの子を産んで不幸を撒き散らすなんてのを良く聞くが……」

「事実が欲求を巻き込んで迷信になる。専門家の前で迷信を説くなんてやめなさい、十兵衛」

「まあ、迷信にも事実は混ざってる。合いの子が不幸を撒き散らす相手は外道に限られる、なーんてのが真相だったりするかもな。え、新宿二位のボーイ?」

冗談めいて言うダンテに、ライドウが目配せする。
完全に信頼していない相手に真名や素性のヒントを与える事は避けるべきだと、無言の掣肘を加えたのだ。
ダンテもそれは承知のようで、冗談以上に反応することはなかった。
サングラスの中の兇眼を鎮めながら、塞もまた心中を開かず賞賛の言葉を送る。

「しかし、俺達のような一般人やNPCにはできない追跡術だ。さっきの壁走り……で済むレベルじゃない芸当も、悪魔の力による物なのかい」

「そう考えてもらっていい。セイバーがいたから出来たことではあるが」

「やって見ようと思うこと自体、相当なもんだ」

ライドウがあれほど目立つ侵入方法をした理由は、悪魔化の女がサーヴァントだった場合、クラスはキャスターである可能性が高いと踏んだからだ。
大規模な陣地作成スキルを保有するキャスターなら、二棟建ての高層ビル全てに仕掛けを設置し、トラップを仕掛けられるだろう。
それほどのレベルに達していなくても、Aランク相当の魔術を使いこなすキャスターなら、あれだけ目立つ敵に遠距離攻撃を放たない理由もない。
地上が壮絶な喧騒に満ちているのだ、攻撃により衆目を引いたとしても、その喧騒の理由となったサーヴァント戦の延長と見られる事は十分に期待できる。
あれだけ憚りなく外法を行う者だ。最悪陣地を変えることになっても敵陣営の一つを潰せるならばと、軽挙に出てくれれば幸いと考えての曲芸だった。
その背景には無論、罠や暴挙を物ともせず勝てる自信が必須ではあったが。

「しかし、そんな悪魔がゴロゴロしてるとなると、俺が提供できる情報の内容にもようやく合点がいくってもんだな」

「? なんだ、そんな曖昧なネタを出されても困るぜ、十兵衛」

「そう思って温めてたんだがね。まあ聞いてくれよ」

携帯電話を持っていないライドウの為に、十兵衛はパソコンを操作し、厳重にパスワードをかけた外部記憶媒体のデータを印刷する。
そこには塞も保持していない、極めて重要な情報が羅列されていた。

「成る程。学生の面目躍如ってわけか」

「オッサンの言うとおり佐藤クルセイダーズはガキの集まりだからな。これくらいが関の山よ」

「これは助かる。あるいは、マスターにも辿りつけるかも知れない」

熟達のデビルサマナーと豪腕のスパイをして感嘆させたその書類の内容は、膨大な数の中高生のリストだった。
十兵衛は佐藤クルセイダーズを酷使して<新宿>の中学高校にその魔手を伸ばし、欠席している者やある種の特徴を持つ者をリストアップしていた。
ある種の特徴、すなわち……『身体のどこかに奇妙な痣がある』『怪我でもしたのか、最近包帯やガーゼを付けている』といった噂がある生徒を。
欠席はともかく、噂に関しては本物のマスターなら容易に隠し通せるし、紛れも多い。それほど価値のない情報だ。
より重要な情報を集める事が出来る塞やライドウにとっては、本来なら冷笑に値するもの。
だが、痣持ちの生徒があまりに不自然に多い。
マスターであるならば痣……令呪を隠さないなどありえないのに、近日に突然刺青と見紛う痣を他の生徒に目撃された者が数十名。
ボディペイントの類が流行っている事はない、と学生である十兵衛が請け負うまでもなく、十分に警戒すべき事態だ。

「悪魔化の力を与えている女は、ラクシャーサの男の例を見ても力に対する適切な扱い方を教えているとは思えない。
 この中には確実に、力に酔って正常な判断をなくした者が混ざっているだろう。欠席者も相当に多いが……」

「そっちがマスター候補の本命で、学生に令呪もどきをつけて撹乱でもしてるのかと思ったが、力に酔えずに引きこもってる奴とかも中にはいそうだな」

「このリストの半分でも、話に聞いたヤクザの彼と同じ目に遭わされてるとすれば、流石に術者の正気を疑うわ。イカれた奴はいくらか知ってるけど、ここまでの妖怪変化は……」

「数の問題でもないがな、胸糞悪いって言葉がここまでハマる奴も珍しいぜ」

ライドウの情報提供により浮かび上がった、凶行の徒に、各人の警戒が深まる。
道義的な問題を除けても、人外の魔物を多数生み出すその力はあまりに危険だ。
しかし、実体を見せない相手だけに固執するわけにもいかない。
さしあたって、ライドウが糸を付けているメイドとバーサーカーや、討伐令を出された者達に傾倒すべきと考えたのは塞だった。

「俺からも警戒すべき連中について情報を提供したい。遠坂凛は知っているだろう?」

「いきなり討伐令を出された、大量殺人で連日報道されている連中だな」

「俺とアーチャーは、あの主従と交戦している。バーサーカーの真名は黒贄礼太郎だ」

一同の視線が、塞に集まる。
消耗した様子もないこの主従が、あの死体の山を築いた魔人と戦ったというのか。
疑念を孕んだ視線を受けても、塞は構う事なく言葉を続ける。
地図を取り出し、マークをつけたポイントの一つを指差しながら。

「マスターである遠坂は地図のこの位置にある豪邸に身を隠している。サーヴァントは意思の疎通が出来るほど狂化のランクが低いようだったが、
 膂力は恐らくどちらのセイバーをも上回ると思った方がいいな。筋力も敏捷も、計り知れないほど増大する能力を持っていた」

「良く無事で済んだな、オッサン。アーチャーのおかげか?」

「まあな。頼りになる相方さ」

「そこの兎さん、能力は教えてもらえなかったが、大したもんだ。で、バーサーカーのおつむのほうはどうよ?」

「会話は出来るがそれだけだ。狂戦士の例に漏れず、目に映ったものを破壊することしか考えられない化け物だ。なにが英霊なんだかな」

肩をすくめる塞は、内心で十兵衛への評価を改めていた。
彼は天子と鈴仙の縁により、塞のサーヴァントに関し宝具を除く全ての情報を保持している。
あえてそれを知らぬと公言することで、口外する気がない事を暗に示したのだ。
この程度の腹芸が出来るのならば、最低限の条件は満たせていると思っていい、と塞は考える。
それゆえに、多少の警戒もせねばならない、とも。

「ライドウくんは帝都……<新宿>の治安と平穏に重きを置いている。俺は仕事で聖杯を国に持ち帰らなけりゃならない。十兵衛はどうなんだ?」

「どうなんだと言われてもな。俺は巻き込まれただけの一般人だぜ。聖杯だの何だのには興味はねー。黙って野に下るつもりもないが」

「サーヴァントとの契約を切って聖杯戦争を降りても、聖杯を求めるマスターは見逃さないだろう。命あるまま我を通したいなら、正しい選択だと思う」

「と、なれば……俺達のスタンスは、十二分に一致する。願いもなく、愉しみもなく、この儀式への執着もない」

ライドウは帝都の騒乱を座して見過ごせず、悪魔の力を用いた常人及ばざる捜査能力と戦闘能力は傑出している。
塞は己の職務の一環で聖杯戦争に望んでおり、広範に至る諜報術の多芸ぶりと、老獪の域に達した精神力を持つ。
十兵衛は何のしがらみもなく、ただ自身の欠如(サガ)を埋める為だけに戦い、それ故に『諦めない』為には手段を選ばない。
各々が各々にしかない長所を持ち、短所を補うサーヴァントとの齟齬も少ない。
塞は一旦言葉を切ると、場を見渡して一つの提案を行った。

「俺としては、この停戦に留まらず共闘……同盟を組みたいが、どうだ?」

「協力することに異論はないが、運命共同体になる程まだそちらを信用できない」

「葛葉の意見に同意だな。まだ聖杯戦争の全容も掴めてないんだ、まずは黒幕に接触して真意を聞き出したい」

ゴールの場所と、そこに待ち受けるものを知らずに走るのは十兵衛の流儀に合わない。
聖杯を餌にサーヴァントとマスターを戦わせる者が企図するところを知りたいというのは、ライドウも同じことだった。

「そのチャンスは、討伐令の出ている連中を排除し、令呪を得る際に掴めるかもな……では、俺から提供できるもう一つの情報がある」

「セリュー・ユビキタスとワニ頭(セベク)のバーサーカーに関する情報か」

「察しがいいな。現時点では新宿警察にしか知られていない、奴等の拠点の情報だ。まだ実際に赴いてはいないが、精度の高さは保障する」

<新宿>の一角を指差して語る塞を見て、ライドウは警察署長が自分に明かそうとしなかった情報はこれか、と悟っていた。
秘密裏に突入した特殊編成班が壊滅したというのだから、組織の外の人間には簡単には明かせないだろう。
それをも把握している塞という男の情報収集力は、<新宿>の時代感に適合できていないライドウを一側面で上回る。
二心がないとすれば、心強い仲間になり得る、とライドウは結論した。

「『討伐令を出された者達』と『帝都に乱を齎す存在』に対してのみ、共闘を約束する……まずは、それくらいの関係を結びたい」

「前者だけ……ってわけにはいかないんだろうな。分かった、それでいい。十兵衛、お前はどうだ?」

「討伐クエストを出されている相手を仕留める際には、必ず他の組も一枚噛む形を整えて全員が令呪を得る結果を演出する。
 それを守ってくれるなら、断る理由はない。この街に平和を取り戻し、それぞれの目的を遂げる為に皆で頑張ろう!」

手を合わせることも、心を通わせる事もなく、未だ同盟に至らぬ三組は約定だけを取り決めた。
一秒も余韻に浸る事なく、十兵衛が踵を返して歩き始める。

「おい、どうした?」

「契約書を作るわけでもねーんだろ。このホテルはタモさんの拠点であって、俺が籠もってもやることは少ない。
 佐藤十兵衛がこの面子のプラスになれる行動をするのに、一刻も無駄に出来る時間はない。聖杯戦争は始まってんだからな」

「少年、俺等も行くぞ。この街は狭い上に、火種は有り余ってると来てる。後手に回れば背中から焼かれるぜ」

「インドア派としちゃ、羨ましい限りのバイタリティだね。俺は、TV局に干渉した輩について調べをつけておくさ。
 討伐令が出ている二組については、12時までにどちらを攻めるか決めて連絡してくれ。多数決で決めよう」

「十兵衛、この隣の部屋に引越しなさいよ。ここの方が住み心地よさそ……ちょっと!」

天子の手を引く十兵衛が扉を開けて去り、ライドウとセイバーが煙のように消え失せる。
残された塞は三体の化外とその主が散らした火花の燻る自室を見渡し、一息ついて壁に背を預けた。
鈴仙はサーヴァント探知の感覚を最大まで広げて『仲間』を警戒しながらも、塞に問いを投げる。

「行かせていいの?」

「何だ、同郷のお嬢様と話足りなかったのか」

「あの天人様と何を話せと? ……それはともかく、私の手の内を知ってる連中を野放しにするなんて」

「それほど嬉しくもないことに、佐藤は最低線からやや上にいるマスターのようだ。線上で綱渡りしてもらうのが一番だったんだがな」

「こちらの有用性を正しく判断できて、それが翳らない限りは裏切らない、と?」

「そう期待してもいいだろう。可愛くないガキだがな」

鈴仙の戸惑いは、冷笑する塞の反応を見て更に深まっていく。
十兵衛に対してはそれでもいいのかもしれないが、あのライドウとセイバーに関しては話が違う、と。
マスター・サーヴァントどちらも、塞と鈴仙を上回るとしか言いようのない彼等を懐に入れていいのか、と。

「確かにあの学帽君もそのサーヴァントも、邪気や偽りとは無縁に見えるけどね。
 彼等と軍靴を並べるなら、むしろその力強さが、私達の足を止めることになるかもしれないわ」

「確かに、俺が求める最良の同盟相手とは程遠い。佐藤たちがバッタなら、葛葉たちはホークかな」

「鷹匠を気取るほど、私のマスターが思い上がるとは考えたくないのだけれど」

「鷹自体には求める物はない。俺が欲しいのは、鷹を見上げる競争相手の視線だよ」

「??」

塞が少し気まずそうに、首を傾げる鈴仙に言葉を続ける。
なるほどその内容は、鈴仙にとっては想定する事を避けて当然のものだった。

「『紺珠の薬』が見せる未来は、あり得るものに限られる。そうだな?」

「あっ……」

「前回の使用時にお前が見た未来を聞くに、上位のサーヴァントが相手では俺達は宝具さえ使わせずに倒される可能性が高い」

「否定は出来ないわね」

「お前のサーヴァントとしての目を信じて聞くんだが、あのセイバーを相手にして全力を出さずに勝てる者がいると思うか?」

鈴仙が不愉快そうに溜息をつく。
これもサーヴァントの悲しみか、主君が著しく誤った見識を持ってでもいなければ、多少の感情の揺れだけで叛逆をするわけにもいかない。
真っ当な誇りがある英霊ならば契約に従い、そうでない者も聖杯が与える奇跡の為に思い留まる。それが聖杯戦争のシステムだ。
塞の示唆するところが理解できるだけに、鈴仙は迫りくる心労と疲弊の足音を幻聴していた。

「共闘関係を作ることで、あのセイバーがまだ見ぬ強敵としのぎを削り、それを私が視界に入れる『起こり得る未来』を誘発させようってわけね」

「苦労をかけてすまないとは思う。よほどの相手と見込まない限りはやらないさ。さて、今朝方話した『メフィスト病院』について新たな情報が入ったんだが……」

「うう……」

本当に申し訳なさそうに、情報提供者から届いたメールをスクリーンに映す塞。
己のサーヴァントの力を信じ、その人格を尊重しながらも手札としての機能を最大限活用する。
彼はマスターとして魔術師に在らざる身でありながら、聖杯戦争に配されるに相応しい男だった。






【西新宿方面/京王プラザホテルの一室/1日目 午前10時半】

【塞@エヌアイン完全世界】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[契約者の鍵]有
[装備]黒いスーツとサングラス
[道具]集めた情報の入ったノートPC、<新宿>の地図
[所持金]あらかじめ持ち込んでいた大金の残り(まだ賄賂をできる程度には残っている)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を獲り、イギリス情報局へ持ち帰る
1.無益な戦闘はせず、情報収集に徹する
2.集めた情報や噂を調査し、マスターをあぶり出す
3.『紺珠の薬』を利用して敵サーヴァントの情報を一方的に収集する
4.鈴仙とのコンタクトはできる限り念話で行う
5.正午までに、討伐令が出ている組の誰を狙うか決める
[備考]
・拠点は西新宿方面の京王プラザホテルの一室です。
・<新宿>に関するありとあらゆる分野の情報を手に入れています(地理歴史、下水道の所在、裏社会の事情に天気情報など)
・<新宿>のあらゆる噂を把握しています
  • <新宿>のメディア関係に介入しようとして失敗した何者かについて、心当たりがあるようです
・警察と新宿区役所に協力者がおり、そこから市民の知り得ない事件の詳細や、マスターと思しき人物の個人情報を得ています
・その他、聞き込みなどの調査によってマスターと思しき人物にある程度目星をつけています。ジョナサンと佐藤以外の人物を把握しているかは後続の書き手にお任せします
・バーサーカー(黒贄礼太郎)を確認、真名を把握しました
・セリュー・ユビキタスの主従の拠点の情報を警察内部から得ています
  • <新宿>の全ての中高生について、欠席者および体のどこかに痣があるのを確認された生徒の情報を十兵衛から得ています
・<新宿>二丁目の辺りで、サーヴァント達が交戦していた事を把握しました
・佐藤十兵衛の主従と遭遇。セイバー(比那名居天子)の真名を把握しました。そして、そのスキルや強さも把握しました
・葛葉ライドウの主従と遭遇。佐藤十兵衛の主従と共に、共闘体制をとりました


【アーチャー(鈴仙・優曇華院・イナバ)@東方project】
[状態]魔力消費(小)、若干の恐怖
[装備]黒のパンツスーツとサングラス
[道具]ルナティックガン及び自身の能力で生成する弾幕、『紺珠の薬』
[所持金]マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:サーヴァントとしての仕事を果たす
1.塞の指示に従って情報を集める
2.『紺珠の薬』はあまり使いたくないんだけど!
3.黒贄礼太郎は恐ろしいサーヴァント
4.つらい。
[備考]
・念話の有効範囲は約2kmです(だいたい1エリアをまたぐ程度)
・未来視によりバーサーカー(黒贄礼太郎)を交戦、真名を把握しました。
・この聖杯戦争に同郷の出身がいる事に、動揺を隠せません







結局、京王プラザホテルのフロントはライドウとダンテの来訪に気付くことはなかった。
目撃の有無に関わらず、ホテルの壁を駆け上がる者がいるという現実を信じた人間は"偶然にも"いなかったのだ。
内堀も外堀もすり抜けて、一城から姿を消した闖入者は、明るく清潔なスイートルームから一転、害虫飛び交う路地裏を黙々と進んでいる。

「大当たりとはいかなかったが、まあチップは増えたな。少年、あいつらをどう思うよ」

「聖杯戦争の参加者が、全て帝都に無秩序な混乱を撒き散らす者ばかりでないとは知れた」

「『シンジュクを陰に日向にぶっ壊そうトーナメント』をやらされてるなんて考えたくはなかったしな」

ライドウが探偵のロールをこなしながら捜査スキルを駆使して集めた情報は、帝都に対し何の憚りもない悪意に満ちていた。
その最たる例が悪魔化の秘術をばら撒く女であるのだが、全ての主従がそれに近い存在である最悪の想像だけは退けられたのだ。

「願望器を求めること自体は、一概に非難されることではない。手に入れる為に用いる手段か……聖杯戦争のシステム自体に、問題があるのだろう」

「マスターの二人はまあ癖があるにしても、外道とまでは言えないってとこか」

「では、サーヴァントの二人はどうだ?」

ライドウが、目だけをダンテに向けて問う。
霊体化しながらも、歩くような速度でライドウに寄り添うダンテは、端的に答えた。

「早急に倒す必要がある相手だな」

「……英霊とは、すなわち夢物語の住民だ。人格について語る意味は薄いとはいえ、あまりに実務的すぎないか?」

「サーヴァントとしての発言を求められてると思ったからそうしたまでだ。俺個人の感想を言おうか?」

「そうだな。脱線せずに続けてくれ」

「まず、俺と同じセイバーのクラスの嬢ちゃん。立ち会って負ける要素はないが……あの発散する自信は、根拠が皆無ってわけでもないのさ」

ライドウは、同年代のマスターが従えるセイバーの姿形を思い出す。
引け目という単語が全身の細胞中に1ミクロンもないような、貴人じみた存在だった。

「あのサーヴァントに、何かあると?」

「体質上、カミサマの類の前に立つと血が騒ぐらしくてな。サーヴァントになるまでは知らなかった感覚って奴さ」

「神性スキルは確認できなかったが……」

「だから不気味なのさ。宝具が神造だとすれば……間違いなく、とんでもない切り札だろうよ」

不安要素は早急に排除すべき、と語るダンテ。
では、もう一人のサーヴァント……アーチャーを危険視する理由は何か。
ライドウの疑問を受け、ダンテは「こっちは更に曖昧なんだがね」と前置きする。

「あのマスターが、少年の調べ通りの情報通だと分かったからこそ、気になることがあってな」

「聞かせてくれ」

「『契約者の鍵』の交換を少年が持ち出した瞬間だよ。塞という男は当然の理由で断ったが、あまりに即断すぎた。
 情報を重きに置く奴なら、損得勘定で損とみた時も、相手が呑むはずもない要求を出してその反応から別の情報を得ようとしたりしてもおかしくはないだろ?」

「サーヴァントとマスターの能力という、最も重要な情報を目の前に出されているのに、臭いも嗅がずに跳ね除けたのが気になる、と」

「まるで、いつでもどこでも簡単に調べられるといわんばかりにな。能力を看破するスキルか……情報が湧き出す泉でも持っているのかも知れん。だが、まあ……」

ダンテは敵対者を屠るサーヴァントとしての眼光を弱め、ライドウに笑いかけた。

「それは俺達が、全ての主従を平らげて聖杯を獲ろうと思った時の話さ。予測不能な牙や猛毒も、俺達以外に当たればラッキーで済む」

「そうだな、セイバー。……モー・ショボーが念話を送ってきた。巨獣のバーサーカーを従えた女は、雑居ビルに身を潜めたらしい」

ライドウがサーヴァントと契約し、聖杯戦争に参加したことで新たに習得したスキル『念話』は、悪魔とも問題なく交信を可能とした。
偵察に出した疾風族モー・ショボーは、その任務を果たしたと判断したのでライドウの元へ戻る、とたどたどしい言葉で伝えてくる。
出来れば監視役としてその場に残したかったが、遠隔地に悪魔を長時間派遣するのは魔力消費が激しすぎる。

「巨獣の主従に討伐令が出されるのは時間の問題だろう。可能ならばその前に叩きたい」

「口約束だってのに、律儀だな」

討伐令が出されれば、十兵衛と塞の主従と連携して戦う約定がある。
ライドウにそれを破るつもりがない以上、その約定に縛られて後手に回る前に。
帝都を脅かし、かつ存在を隠す事もなく暴れる主従は倒しておきたかった。

「正午に、討伐令が出ている二組のどちらかを攻めるんだ。時間の余裕はあまりないな?」

「サーヴァント同士の遭遇戦は、これからも激化していくだろう。セイバー、感覚を研ぎ澄ましてくれ」

「Don't think, feel、か。熱い一日になりそうだな、少年」






【西新宿方面/京王プラザホテル周辺/1日目 午前10時半】

【葛葉ライドウ@デビルサマナー葛葉ライドウシリーズ】
[状態]健康、魔力消費小、モー・ショボー使役中
[令呪]残り三画
[契約者の鍵]有
[装備]黒いマント、学生服、学帽
[道具]赤口葛葉、コルト・ライトニング
[所持金]学生相応のそれ
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の主催者の思惑を叩き潰す
1.帝都の平和を守る
2.危険なサーヴァントは葬り去り、話しの解る相手と同盟を組む
3.正午までに、討伐令が出ている組の誰を狙うか決める
4.バーサーカーの主従(ロベルタ&高槻涼)を排除する
[備考]
  • 遠坂凛が、聖杯戦争は愚か魔術の知識にも全く疎い上、バーサーカーを制御出来ないマスターであり、性格面はそれ程邪悪ではないのではと認識しています
  • セリュー・ユビキタスは、裏社会でヤクザを殺して回っている下手人ではないかと疑っています
  • 上記の二組の主従は、優先的に処理したいと思っています
  • ある聖杯戦争の参加者の女(ジェナ・エンジェル)の手によるチューナー(ラクシャーサ)と交戦、<新宿>にそう言った存在がいると認識しました
  • チューナーから聞いた、組を壊滅させ武器を奪った女(ロベルタ&高槻涼)が、セリュー・ユビキタスではないかと考えています
  • ジェナ・エンジェルがキャスターのクラスである可能性は、相当に高いと考えています
  • バーサーカー(黒贄礼太郎)の真名を把握しました
・セリュー・ユビキタスの主従の拠点の情報を塞から得ています
  • <新宿>の全ての中高生について、欠席者および体のどこかに痣があるのを確認された生徒の情報を十兵衛から得ています
・<新宿>二丁目の辺りで、サーヴァント達が交戦していた事を把握しました
  • バーサーカーの主従(ロベルタ&高槻涼)が逃げ込んだ拠点の位置を把握しています
・佐藤十兵衛の主従、葛葉ライドウの主従と遭遇。共闘体制をとりました


【セイバー(ダンテ)@デビルメイクライシリーズ】
[状態]健康、霊体化、魔力消費極小
[装備]赤コート
[道具]リベリオン、エボニー&アイボリー
[所持金]マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の破壊
1.基本はライドウに合わせている
2.人を悪魔に変身させる参加者を斃す
[備考]
人を悪魔に変身させるキャスター(ジェナ・エンジェル)に対して強い怒りを抱いています
ひょっとしたら、聖杯戦争に自分の関係者がいるのでは、と薄々察しています







「お待たせ」

「無事だったか、十兵衛。頼まれてた物用意してきたぞ。変な注文だったが……これでいいのか?」

「ありがとう、高野君。……よし、パーフェクトだ。流石はハーフを彼女に持つ男」

「ヴィクトリアとのデート中に呼び出されるなんて、佐藤クルセイダーズも大変ねぇ」

「やめろ……」

ホテルを後にした十兵衛は、路肩に駐車されたオープンカーに乗り込んだ。
運転席にいたのは、佐藤クルセイダーズの構成員の中でも十兵衛が最も重用する高野照久。
十兵衛が別の構成員に普段から指示しておいた、「俺が入った部屋の窓が割れたらその建物の下に高野くんを呼べ」という命令により、
監視員から召集を受けて十兵衛を拾いに来た彼は、佐藤揮下のNPCの中でも、リーダーの目的を良く知る唯一の存在だった。
実体化している天子とも面識があり(当然、偽名で認識しているが)、聖杯戦争についても最低限の事は知らされている。

「現場は見てないが、サーヴァントってのは相当派手に暴れたらしいな」

「半信半疑だったみたいだけど、これで信じる気になっただろ。高野くんの光速後ろ回し蹴りも青銅(ブロンズ)クラスまで弱体化してるんだし、近づかないようにね」

「まあ、十兵衛が名居さんみたいな綺麗な人と同棲して、一日以上生活を共に出来てる方が不自然だし」

「十兵衛は性格が悪いからね。普通の女の子なら一緒には暮らせないでしょう」

「それについては俺も言いたいことが多いが……あっ、ダーマスから着信。深度A情報か」

『直接会って説明したい情報』を得たという軍団員からの通知を受け、十兵衛は高野に行き先を伝えた。
頬杖をついて外を眺めれば、消防車や救急車が忙しく行き交っている。
ジョナサン達の戦いの後始末に向かっているとすれば遅きに失するので、なにか別の事件でも起こったのだろうか。
まだ半日も過ぎていないというのに、暗闘の黙約を返上する者が予想以上に多いのか、と十兵衛は思案する。

「どうにも勝手が違うな。比較的順調に立ち回れているが……これまでの人生で積み上げてきた常識が全く通用しない。新宿の街が刻一刻とダン・ウィッチに見えてくるぜ」

「でもサーヴァントの名居さんもいるじゃないか。相当強いクラスなんだろ?」

「サーヴァントの采配は、実戦経験さえ積めば完璧にこなせるくらいには自信があるよ。俺は軍師タイプだからな」

問題は俺と同じ立場のはずのマスターだよ、と十兵衛は視界を左手で遮って呟いた。
ライドウを別格としても、ジョナサン、塞と出会ったマスターの大半が、どこか現実離れした雰囲気を身に纏っていた。
サーヴァントには及ぶまいが、何か奇跡めいた切り札を保有していると考えていいだろう。
神がかりな力で戦局に影響を及ぼすなど、聖杯戦争に関わる前ならば十兵衛も鼻で笑っただろう。
しかし今、この<新宿>でこの直感を軽視することは、すなわち敗死に直結する。十兵衛にはその確信があった。

「決まりだ。聖杯を餌にしたレースには乗らない。奇跡を欲する奴等は、奇跡を求めるに相応しいド派手な戦いをしてくれればいいさ」

「ま、聖杯戦争は本来魔術師の闘争らしいし。無関係の人間が首を突っ込んで勝てるなんて勝てるのはただの思い上がり。
 十兵衛に美点があるとすれば、プライドを散逸させずに実利的な一極に集中させられる才能ね」

「セイバーには悪いと思っているよ。快刀乱麻を断つ勢いでこの事変を解決したいだろうから」

「迂直の計、狡兎三窟大いに結構。マスターの器量に応じるのがサーヴァントの度量、大まかな方針には従うわ」

「できれば細かい命令にも従って欲しいが……ちょっと意外だな、戦いを避けたがらないと思ってたよ」

「私は楽しいから戦って、楽しいから首を突っ込んでいるのよ。楽しみ方には拘らないわ」

帽子についた桃の実を弄りながら、天子は心底楽しそうに笑っていた。
力で上回る相手を前にしても、遍く世界の全てを見下す事の出来る異常な精神性。
十兵衛は己のサーヴァントを眺めながら、英霊という存在について思いを馳せる。

(意識が有頂天までいってしまっている系のコイツが顕著だが……聖杯戦争における駒として現界した英霊に、どうも共感が持てないな。
何せ一度生を終えた連中なんだ。願いや生前の意志は引き継いでいるとしても、マスターとは違って本物の命は持たない、都合よく似非再現された存在でしかない。
聖杯戦争で負けて消えても、世界に記憶された英雄としての記録は消えないんだから、俺達の死とはワケが違う。その辺が命を預けるのに少し不安だな)

十兵衛は漠然とした不安を抱く。その不安こそが、十兵衛が神秘に耐性のない一般人である証明だった。
英霊の放つ時代の寵児たる輝きは、時にその人格を覆い隠す。
人間的で天真爛漫な天子でさえ、十兵衛の目からは時にエイリアンのような理解しがたい存在に映っていた。

「それで、これからどうするの? 葛葉やタモリの後にくっついていくだけ?」

「セイバーはこの事変の内実を明かしたいんだろ? その為には、あいつらを盛り立てて事の推移を見極めるのがベストさ」

「十兵衛には別の目的がある、ように聞こえるけど」

「俺に奇跡は必要ないが……神秘が世界の裏側にある事を知れたのは、今後の為に役立てられそうだからな」

「へえ、魔術師を志しでもするの?」

「まさか。俺が得たいのは神秘じゃなく、神秘を扱う者たちとの関係だよ」

魔術師に限らず、異能を操る者たちが世間に隠れているという事実を知った十兵衛。
彼はそういった者達に接触し、聖杯戦争後の自身の人生にプラスとしたいと企図していた。
異能者達が歴史の表舞台から隠れおおせている以上、それだけの力を持つ互助組織を結成しているのは想像に難くない。
無論それらの組織がパラレル・ワールドの存在で、十兵衛が戻るべき世界にはいないという可能性もある。
しかし、異能者達から彼等にとっての常識を聞き集め、それを元に自分の世界を探れば、あるいは何かが見つかるかもしれない。
この<新宿>から神秘に列なる物を持ち帰れば、尚更己の為に役立てやすいだろう。

「着いたぞ、十兵衛」

「ああ。元の役割(ロール)に戻ってくれ」

走り去る高級車。
残された十兵衛が立つのは柏木の丁目境にある廃教会。
参拝する者もいなくなったその建物の扉は、半開きになって十兵衛を待っていた。
押し戸を封印していた南京錠と針金が散らばっている。力づくでこじ開けたようだ。
無言で教会に侵入する十兵衛を、先客が感極まった表情で出迎えた。

「十兵衛ええええええ!!」

ステンド・ガラスから漏れる陽光が、教会の中を照明代わりに満たしている。
待望と狂気を孕んだ奇声を上げた男を、十兵衛は興味深そうに眺め、平静に挨拶をする。

「よお、ダーマス。テンション高いな」

「聞いてしまった俺は聞いてしまったそして思い出したたたしたした」

「情報があるんだって? 話せよ」

「女に会ったんだ刺されたんだ見えた外れた俺俺はいつも聴いてた流行りの着メろを思い出した、これこれこっれええええれえ」

痙攣するような動きで腕を振り上げた増田が握る携帯からは、男の悲鳴が鳴り響いている。
それは、十兵衛がクラスメイト全員……即ち佐藤クルセイダーズ構成員にも買わせた音声データだった。

「ああ、金田の悲鳴か。高野くんなんかは設定するのを嫌がったけど、ダーマスは格闘技好きの設定が生きてたから面白がってたな」

「毎日聴いてたこれがお前が殺した僕が殺した僕達が殺した金田保の声だった頭が痛い痛い痛い悪魔の手助けをした」
                 .....
「記憶に障害が出てるな。お前は罪悪感を覚えるはずがねーだろ」

「街中に僕の罪が溢れている。悪魔になってでも罪を償わなければ」

増田の首筋に赤い三本の螺旋が光る。精神の平定を欠くような様子も、収まった。
ライドウの証言と一致する現象を前に、十兵衛は歎息して背負っていたゴルフ・バッグを床に下ろす。
手を突っ込んで引き出したのは、ゴルフクラブなどではない。
小太刀。大脇差、とも呼ばれる、刃渡り二尺程の刀剣だった。

「仮にNPCが外見だけではなく内面もコピーして造られていて……普段は浮かび上がらないよう不要な記憶を封印されているとして、お前に記憶が蘇っていると考えても」

「ダーマスは知らないだろうから言っておこう。俺の使う富田流では中条流から派生した剣術を教えている」

十兵衛が後ろ腰に小太刀を構え、身を低くする。

「いわゆる"居合"の構えだ。刃圏に入れば斬るぜ」

二人の間には20m程の距離が空いている。
増田の顔に笑みが浮かぶ。普段ならばまだしも、今の彼に刃物を恐れる神経はなかった。

「佐藤十兵衛。お前を殺し、僕も死んでやる。友達とし……」

全身に赤い紋様が広がっていく、その間隙。
初速がライフル弾に匹敵する機動を可能とする悪魔が顕現する直前に、十兵衛が刀を抜き放った。
増田の視線が抜き放たれた刀に飛び、刀身がない事に気付く。
カラン、と鍔が落ちた音がする。しかし、その音源に目をやる前に、増田は脇腹に鈍い痛みを感じた。

「!?」

赤い紋様が広がる腹部に、より赤い血が滲み出ていた。抉られた傷痕には、大口径の銃弾が通過したような焦げがある。
体組織が解れて血飛沫を噴出させると同時に、悪魔化の過程で強化された聴覚が背後に刺突音を拾う
反射的に振り返ると、教会の顔、マリア像の右目に剥き出しの刃が突き刺さっていた。
十兵衛の抜刀の勢いで刃が飛んだとでもいうのか、そんな馬鹿な……仮にそうだとしても、射出速度が速すぎる。

「末端部を狙えと言ったのに」

呆然とする増田の懐で、怖ろしく冷静に呟いた男が一人。
そこには距離を一息に詰め、『無極』によって精神をコントロールし、全身の発条を引き絞る十兵衛がいた。
増田が再度向き直るより早く、十兵衛の拳が最短の距離を走って正確に胸部……心臓を打つ。

「ぐっ! この……」

(固い! 完全に変化してなくてもこれか)

十兵衛の打撃には流派に伝わる名前がある。
熊にさえ通じ、人間相手なら九分九厘その意識を断絶させる『金剛』。
皆伝を認められた奥義でさえ、"魔"に片足を突っ込んだ程度の相手を倒すに至らなかった。

「何が、居合だ……ペテン野郎!」

「俺のは現代格闘富田流。剣術なんて使う場面少ないし、学んだのは居合の精神だけだよ」

しかし、十兵衛の表情に焦りはない。
その余裕の裏付けを増田が知ったのは、怒りのままに先んじて変化した異形の右腕を振るった直後だった。

「斬り落としたら治らなかった時困るでしょ。これで十分よ」

「!?」

突如聞こえた第三者の言葉を脳が認識するより早く、増田の魔腕が明後日の方向に捻じ曲がる。
同時に、頭を鷲掴みにされて地面に叩きつけられた。ここでようやく、増田は三人目の人間……それも細腕の女が、その場に出現している事に気付いた。
全力で振り払おうとするが、体は微動だにしない。女の膂力に恐怖しているのだ、と増田は気付く。
この出鱈目な力こそ、刀身の茎(なかご)を柄に固定した目釘を瞬時に引き抜き、弩弓を凌ぐ速度で刀身を射出した動力。
卵を割るような気軽さで、人越の域にある自分の頭を潰せると確信させるその力の前に、精神よりも魂が先に屈服したようで。
増田の悪魔化は急速に止まり、怯える人間だけが残った。

「見たかねダーマス。これが我が能力『ペチャープラチナ』の力だ……」ゴゴゴゴゴゴ

「なっ!?何……お前……」

「君の身に起こった事は全て理解している。何も心配することはないんだよ、俺が何とかしよう」

増田の脳裏に、トラウマのように焼き付けられた十兵衛への恐れが蘇る。
全てを見通され、得た力も容易くねじ伏せられた。
もはや増田に、初心を通す気力は残っていなかった。

「犯した罪の重さに耐え切れず、親友の俺を巻き添えにして自殺しようとした暴挙は許しがたいが、人間はやり直せるのだよ」

「いや……元々は十兵衛君の……」

「それ以上自分を責めるな! 大丈夫、お前が変な女に絡まれて悪魔になってしまった事は大変だが、きっと治せると思うから」

「……食欲がわかなくて……人を見る度に喰い付きたくなる衝動もありますし……この際本当に悪魔になる前に楽に死にたいというか……」

「馬鹿野郎! 一日や二日飯を抜いたくらいで人間が死ぬか!? 悪魔なら多分一週間くらいはいけるだろ! 少し我慢すれば事態は好転する、俺を信じてくれ」

「わ……わかった……」

増田は観念した。どうあがいても十兵衛は必ず自分を利用する、何らかの手段で自由意志を奪ってでも。
自棄の心境で受け入れた増田の諦念に、十兵衛が新たな水を差す。

「ダーマス……お前の得た悪魔の力は、確かにネガティヴなものかもしれない。だがお前が人間を襲ったりせず、自分の罪を罰する事に力を使ったのは尊い事だ。
 今この新宿が大変な事になっている事は知っているだろ。ならば、その正しい心を弱い者や俺を助ける為に使ってほしい。きっと殺された金田もそれを願っている」

「悪魔の力で、人助けを……そんなこと……」

「俺に付いてくれば、きっとできるさ。ハッピーバースディ!デビルマン!」

「十兵衛君……!」

目を輝かせる増田。肯定される、というだけで、人間は喜ぶものだ。
その後大義名分を与えられれば、己への評価を維持する為にもその大義を全うしようとする。
今や増田は自分の罪悪感を解消する方法を、十兵衛に再び仕える事に求めていた。
十兵衛は目尻に涙すら浮かべながら増田の肩を抱き、天子に念話を送る。

【肉体の再生力の確認と詳細な能力の把握をするから、ダーマスはしばらく同行させるぞ】

【え、葛葉に知らせなくていいの? 凄い手がかりじゃない】

【術者の女の情報だけ抜いとけばあいつの役には立つだろ。せっかく悪魔の駒が転がり込んできたんだ】

【使えるうちは使うってわけね】

【ああ。どのくらいで耐えられなくなるかを観察しておけば、他の悪魔化したNPCの焙り出しにも使えるだろうしな】

【治す方法も探してあげるの?】

【クラスメイトだぜ、当然じゃないか。治せるとすれば当然聖杯戦争の関係者だから、繋がりを作る切欠になるかもしれないし】


どこまでも実利的な十兵衛の思考。
感涙する増田にそれを悟られまいとするかのように、廃教会の時計が11時を知らせるオルゴールの音を奏でていた。






【西新宿方面(柏木三丁目・廃教会)/1日目 午前11:00】

【佐藤十兵衛@喧嘩商売、喧嘩稼業】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[契約者の鍵] 有
[装備]部下に用意させた小道具
[道具]要石(小)、佐藤クルセイダーズ(9/10) 悪魔化した佐藤クルセイダーズ(1/1)
[所持金] 極めて多い
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争から生還する。勝利した場合はGoogle買収。
1.他の参加者と接触し、所属する団体や世界の事情を聞いて見聞を深める。
2.聖杯戦争の黒幕と接触し、真意を知りたい。
3.勝ち残る為には手段は選ばない。
4.正午までに、討伐令が出ている組の誰を狙うか決める。
[備考]
  • ジョナサン・ジョースターがマスターであると知りました
  • 拠点は市ヶ谷・河田町方面です
  • 金田@喧嘩商売の悲鳴をDL販売し、ちょっとした小金持ちになりました
  • セイバー(天子)の要石の一握を、新宿駅地下に埋め込みました
  • 佐藤クルセイダーズの構成人員は基本的に十兵衛が通う高校の学生。
  • 構成人員の一人、ダーマス(増田)が悪魔化(個体種不明)していますが懐柔し、支配下にあります。
  • セイバー(天子)経由で、アーチャー(ジョニィ・ジョースター)、バーサーカー(高槻涼)、謎のサーヴァント(アレックス)の戦い方をある程度は知りました
  • アーチャー(鈴仙・優曇華院・イナバ)の存在と、真名を認識しました
  • ある聖杯戦争の参加者の女(ジェナ・エンジェル)の手によるチューナー(増田)と交戦、<新宿>にそう言った存在がいると認識しました
  • バーサーカー(黒贄礼太郎)の真名を把握しました
・遠坂凛、セリュー・ユビキタスの主従の拠点の情報を塞から得ています
  • <新宿>の全ての中高生について、欠席者および体のどこかに痣があるのを確認された生徒の情報を十兵衛から得ています
・<新宿>二丁目の辺りで、サーヴァント達が交戦していた事を把握しました
・塞の主従、葛葉ライドウの主従と遭遇。共闘体制をとりました


【比那名居天子@東方Project】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]携帯電話
[所持金]相当少ない
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を異変として楽しみ、解決する。
1.自分の意思に従う。
[備考]
  • 拠点は市ヶ谷・河田町方面です



時系列順


投下順



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04:Turbulence 葛葉ライドウ 37:レイン・ポゥ・マストダイ
セイバー(ダンテ)
16:かつて人であった獣たちへ 佐藤十兵衛 39:有魔外道
セイバー(比那名居天子)
16:かつて人であった獣たちへ 39:有魔外道
アーチャー(鈴仙・優曇華院・イナバ)