前回までのあらすじ


地獄と化した新国立競技場から生還したレイン・ポゥは、床に落としていったタブレットで情報を集めようとしたら、ジャンキーよりもイカレたゴリラ共にタブレットを奪われてしまったのじゃ。





“怒りの日、終末の時。天地万物は灰燼と化し、ダビデとシビラの預言のごとくに砕け散る”

「ダビデとシビラの預言……魔王たる我には相応しく無いか…?」

「モーツァルトのレクイエムですか、敵を葬送するという点では丁度良いかと」

─────それ流してやるからさっさと死んでくれ。



“我招く無音の衝裂に慈悲はなく、汝に普く厄を逃れる術も無し”

「決め技に使えそうだな」

「普く厄を逃れる術も無し、というのが此方が敵にとって絶対的な存在である。という事を強調していますわね」

─────私がお前らという厄から逃れる術は無いものか。



“闇に飲まれよ”

「シンプルだがそれもまた良し

「シンプル・イズ・ベストという言葉も有りますしね」

─────あの泥に飲まれてりゃ良かったんだよ。



“我は無限。我は混沌。全てを飲み込み…力と為して無へと還すもの”

「あのランサーの技っぽい」

「そうですね」

─────私のストレスも無限だよ。



“カイザード・アルザード・キ・スク・ハンセ・グロス・シルク。灰燼と化せ冥界の賢者。七つの鍵を以て開け、地獄の門”

「私の羽が七枚あればなあ」

「増やせませんの?」

「無理」

─────地獄の門開いて向こう側へ旅立って下さい。



“自由を!”

「此れはダメだな」

「ダメですね」

─────自由を!!!




ホテルセンチュリーハイアット最上階。新国立競技場からハイテンションで帰ってきた魔王様と女王様は、そのままのテンションで落ちていたタブレットを拾い、ネットサーフィンを始めていた。
目的は情報集めでも、誤情報を流して他陣営を撹乱するわけでもなく、新国立競技場で出会ったサーヴァントが使っていた、“カッコ良い詠唱”に匹敵する詠唱探しである。
「これ採用」だの「この詠唱に合わせた必殺技を」だのとホザいているイカレ魔王と、「我は無敵なり」とか「TON☆JI☆CHI 」とかヌカシている女王を尻目に、レイン・ポゥのテンションはひたすら下がっていた。
正確にはストレスが天井知らずに上がっているが、際限無く気が滅入っている。という状態である。
帰ることも許されずに、酔っ払い二匹に絡まれ続ける飲み会に気分は近い。
盛り上がる二人の戯言に、心の中とはいえツッコミ入れる自分は、人類史に残る寛大な精神の持ち主だとレイン・ポゥは自画自賛する。

「良し。“焔に現るは、誇り高きいにしえの破壊獣”と“禁断のデュエルの時、タナトスが呼んでいる”この二つは中々良いな」

「私は“故に恋人よ枯れ落ちよ、骸を晒せ”がロマンチックで気に入りました」

─────枯れ落ちろ。お前らの生命。


「おい」

「アサシン」

─────死ね。死ね。死ね死ね死ね死ね死んじまえー。

「虹の道化師」

「…………ッ!?何?」

レイン・ポゥがいまの心境を表現するのに丁度良い歌を心の中で熱唱していたら、何時の間にやらナチュラルイカレジャンキー共がレイン・ポゥに話を振ってきていた。

「何れが良いとアサシンは思います?」

「修行の一環だ、虹の道化師。此れでお前のセンスを測る」

─────いや測らなくって良いから。

ギリギリと胃が痛む様な気がする。少なくとも此処でお気に召す回答が出来なければ、この魔王様は私の精神をクスリ漬けにするべく努力しだすだろう。
誰が此奴を喚んだ。召喚者出て来い、殺してやるから。
そんな事を考えていると、焦れたパムがネットサーフィンの成果を突きつけて「選べ」と凄んでくる。
此処で一番選びたい選択肢は“パムをヌッコロス”だが、当然選べるわけが無い。

「仕方ないですわね」

純恋子が助け舟のつもりか三つ選び出した。「いやもうマスターが選んで下さい。マスターが選らんでくださったのが一番良いです」とか言ったら凄い目で二人が睨んできた。殺したい。

選択問題・次の三つから答えよ。

1.春暁の紅姫
2.紅蓮の夜姫
3.薔薇の闇姫

何の罰ゲームだ!!!レイン・ポゥは心の中で絶叫した。

答えられて当然だろうこの程度、とばかりにふんぞり返る己がマスターを取り敢えず頭の中で惨殺しておく。
答えられなかったら、先刻魔王がヌカシていたように修行とやらが始まるのだろう。殺したい。
今のレイン・ポゥはさながら居なかった事にされた北斗の三男坊ににショットガン突きつけられたモヒカン(実際にはモヒカンではないが)の如し、選択肢を間違えれば即あべし。
それよりも答えは有るのだろうか?答えが明確な分三男坊の方がまだ有情。
それでもレイン・ポゥは必死に頭脳をフル回転させる。こんなイタイ修行とかやりたくないし。

─────待てよ。此奴確かダークネスとかホザいてたし、お嬢様とかいったら薔薇と相場が決まってるッッ!

「答えは3だッッ!」

思わず叫ぶ。叫ばずにはいられない。

「流石ですわアサシン。私の好みを良く把握していましたね」

─────してない。

「しかし何れも良いセンスだ。この三つは誰が考えたんだ」

腕組みしながらシミジミと呟く魔王。レイン・ポゥは猛烈に嫌な予感がした。逢いたいとか言い出すんじゃなかろうか?ナチュラルイカレジャンキーがこれ以上増えたら死ぬ。主にレイン・ポゥの精神が。

「神崎蘭子というアイドルですわ」

─────アイドル!?

「ひょっとして…新国立競技場でライブやってた…?」

チョッピリ震え声で訊くレイン・ポゥ、頼むからそうであってくれ。そして死んでてくれ。

「その通りですわアサシン。彼女は新国立競技場でイベントを行っていた346所属のアイドルです」

心中で歓喜の雄叫び上げながら、おくびにも出さずに生きているかどうか聞いてみる。

「別の仕事であのイベントには参加していませんでしたから、無事ですわよ」

─────死んでろおおおおおおおおお!!!!!

「是非一度会ってみたい」

─────やめて下さい私のメンタルが死んでしまいます。

「フフフ…英財閥の力を以ってすれば容易いことです」

「アイドルってそんなに暇じゃないだろ?」

「この件で346プロダクションは終わりです。社会的なバッシングに、遺族への賠償金。それに早速UVMが引き抜きを開始しています。明日には346は仕事も無くなるでしょう。
英財閥の力を以ってすれば、会食の時間を設けることなど容易いことです」

レイン・ポゥの淡い期待は、真夏の陽光に照らされたカキ氷の様に溶け去った。

「優れたセンスの持ち主だ。しっかり学べ、虹の道化師」

─────ふっざけんなあああああああああああ!!!!!


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「それで、だ。アイアンメイデン、私の頼みはどうなっている」

唐突に話題を変える魔王パム。その目には凶猛な戦意が漲っている。

「警察から得た情報により、セリュー・ユピキタスの拠点は突き止めています」

魔王様の頼みとは他サーヴァントの捜索に他なら無い。ランサーの乱入で新国立競技場での戦闘が、不完全燃焼に終わったパムは、今度こそ満足いくまで戦うつもりなのだ。
ついでにレイン・ポゥに言った、「令呪を獲得してやる」という言葉を守るべく、討伐例の出た面子を純恋子の伝手で探させていたのだった。
セリューを最優先して探させたのは、未知なる敵と戦いたいという、魔王様の闘争心の故である。

「もう一つ。遠坂凛の行方も凡そ判明しています」

「あの不死身のバーサーカーか。マスターとは前に戦って良い勝負だったんだろう」

フフン。と胸を張る純恋子に、レイン・ポゥは嫌なものしか感じない。

「あの時の私とは違います。今の私はダークネス……いいえ、“闇に気高く咲く鮮血の薔薇”英純恋子!!おさおさ引けは取りません!!!」

「ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ」

あまりのイタさに痙攣しだすレイン・ポゥを余所に、二人の会話は続く。

「で、“凡そ”というのは」

魔王様の質問に、さっきまで使っていたタブレットとは違う、もう一つのタブレットを取り出して説明する。

『最初見た時は服の所為で島村卯月かと思ったが、改めて見ると遠坂凛だった』という目撃情報が警察に寄せられている事を。
因みに連絡者は島村卯月の担当のプロデューサーで、頭頂から股間まで刃物では無い物体で真っ二つに両断された死体になって発見されていた。

「認識を誤魔化していたが、服の持ち主の知り合いと遭遇してバレたってわけか」

「服を奪ったのは……今までの服が血塗れだったから?」

レイン・ポゥと純恋子が遠坂凛の行動について分析する。
実際問題として、認識阻害の術を円滑に行使する為に島村卯月の服を奪った遠坂凛が犯したミスは、たったの一つ。
血塗れの服が、認識阻害におけるエラーとなっていた様に、今度の服は、“新国立競技場で行方不明になっているアイドルのもの”という事。
アイドルであるだけに顔も名前も知られている人物の服を着て、消失した新国立競技場の方からやってくれば、ファンの一人や二人とすれ違うことみある。
そしてこの場合、服を着ている当人がエラーと化すのである。ましてや知り合いともなれば尚更である。そして気付いてしまえば最後、黒贄礼太郎による殺戮の犠牲とされる。
既に警察に連絡したプロデューサー以外にも、数人の島村卯月のファンや知人が惨殺死体となって発見されていた。

「まあその辺りは当人に訊くさ」

そんな事はどうでも良い。とばかりに魔王様が会話を打ち切った

「何方を狙うか……セリュー・ユピキタスは拠点しか判っていなくて、今何処に居るのか判らないんだったな」

「〈新宿〉中を出歩いて居る様ですね」

フム…と魔王様はほんの少し考えると。

「遠坂凛を追うぞ」

と、言い放った。

「ハァ!!?」

仰天するレイン・ポゥでは無く、純恋子に何故遠坂凛を狙うのか質問する魔王様。

「遠坂凛の足跡は簡単に知れる……つまり!遠坂凛を狙ってやってくる他の主従も纏めて相手に出来る!!」

─────待ち伏せしてブッ殺すんなら私に任せろ。

「ああ…楽しくなりそうだ」

「今度こそ決着を着けますわ」

獰猛な笑みを浮かべる二人は、そんな発想は微塵も無いと、言葉以外のもので雄弁に示していた。

レイン・ポゥがストレスで発狂するのもそう遠くない未来かもしれない。






【西新宿方面(ホテルセンチュリーハイアット最上階/1日目 午後3:30分】

【英純恋子@悪魔のリドル】
[状態]意気軒昂、肉体的ダメージ(小)、魔力消費(小)、廃都物語(影響度:小)
[令呪]残り二画
[契約者の鍵]有
[装備]サイボーグ化した四肢
[道具]四肢に換装した各種の武器(現在は仕込み式のライフルを主武装としている)
[所持金]天然の黄金律
[思考・状況]
基本行動方針:私は女王(魔王でも可)
1.願いはないが聖杯を勝ち取る
2.戦うに相応しい主従をもっと選ぶ
3.新生した自分の力を遠坂凛に示して勝つ
[備考]
  • アーチャー(パム)と事実上の同盟を結びました
  • パムから、メフィスト病院でキャスター(メフィスト)がドリー・カドモンで何を行ったか、そして自分の出自を語られました
  • 遠坂凛&バーサーカー(黒贄礼太郎)、セリュー・ユビキタス&バーサーカー(バッター)の所在地を掴みました
  • メイド服のヤクザ殺し(ロベルタ)、UVM社の社長であるダガーの噂を知りました
  • 自分達と同じ様な手段で情報を集めている、塞と言う男の存在を認知しました
  • 現在<新宿>中に英財閥の情報部を散らばせています。時間が進めば、より精度の高い情報が集まるかもしれません
  • 遠坂凛が実は魔術師である事を知りました
  • 新国立競技場で新たに、セイバー(ダンテ)、アーチャー(バージル)、セイバー(チトセ・朧・アマツ)、アーチャー(八意永琳)、アーチャー(那珂)、ランサー(高城絶斗)の存在を認知しました
  • キャスター(タイタス1世)の産み出した魔将ク・ルームとの交戦及び、黒贄礼太郎に扮したタイタス10世をテレビ越しに目視した影響で、廃都物語の影響を受けました
  • 次はもっとうまくやろうと思っています
  • 口上と必殺技名を幾つか考えつきました


【アサシン(レイン・ポゥ)@魔法少女育成計画Limited】
[状態]霊体化、肉体的ダメージ(小)、魔力消費(小)、身体の内から自分ではない何かが皮膚を裂いて現れその何かに任せて暴れ回りたい程のストレス
[装備]魔法少女の服装
[道具]
[所持金]マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯獲得
1.マスターを狙って殺す。その為には情報が不可欠
2.天昇じゃなくて昇天しろ馬鹿共
3.死ね死ね死ね死ね死ね死ね死んじまえ〜
[備考]
  • 遠坂凛が実は魔術師である事を知りました
  • アーチャー(パム)と事実上の同盟を結びました。凄まじく不服のようです
  • パムから、メフィスト病院でキャスター(メフィスト)がドリー・カドモンで何を行ったか、そして自分の出自を語られました
  • ライドウに己の本性を見抜かれました(レイン・ポゥ自身は気付いておりません)
  • 魔王パムを召喚した者に極大の殺意


【アーチャー(魔王パム)@魔法少女育成計画Limited】
[状態]肉体的ダメージ(中)、実体化
[装備]魔法少女の服装
[道具]
[所持金]一応メフィストから不足がない程度の金額(1000万程度)を貰った
[思考・状況]
基本行動方針:戦闘をしたい
1.私を楽しませる存在めっちゃいる
2.聖杯も捨てがたい
3.神崎蘭子とかいうアイドルに逢ってみたい
[備考]
  • 英純恋子&アサシン(レイン・ポゥ)と事実上の同盟を結びました
  • 新国立競技場で新たに、セイバー(ダンテ)、アーチャー(バージル)、セイバー(チトセ・朧・アマツ)、アーチャー(八意永琳)、アーチャー(那珂)、ランサー(高城絶斗)の存在を認知しました
  • すごくテンションが上がっています
  • 口上と必殺技名を幾つか考えつきました
  • 遠坂凛の潜伏先を大雑把に把握しています。
  • 遠坂凛に群がってくるサーヴァントと戦うつもりです