メフィスト病院の執務室のデスクに腰掛けて、老医不律は束の間ではあるが一息をついていた。
病院に絶え間なく訪れてくる患者を他のスタッフと共に捌ききり、ようやく訪れた数分間の貴重な空き時間だった。
勤務するスタッフの例に漏れず不律も多忙に追われているが、老体といえどまだ十全に戦えるほどには体力は有り余っている。
しかし、その厳格そうな顔つきの中には驚き醒めやらぬ様子がたたえられていた。

「まさか我々の知らぬ間にマスターが退院していたとはな…」

メフィスト病院に入院しており、少し前にこの病院を退院していたマスターの少女がいた。
不律がそれを知ったのは、綾瀬夕映の件の後処理を終えた直後のことだった。
自身にも支給されているPCタブレット端末を回収し、今後もスムーズにメフィスト病院の職務を遂行するべく――且つ、メフィスト病院外で起きた出来事もチェックしつつ――端末を操作して過去の患者のデータを閲覧していた。
既にサーヴァントらしき者が暴れた余波が<新宿>で確認されていることにも驚きはあったが、調べているとある患者のカルテに目が留まった。
番場――、という名前ではない。患者に対しての処置の一部に、だ。

――魔力を補填し、このまま安静。目が覚めるまで待つ。

「魔力」という単語は、聖杯戦争に関わる者には聞き流せぬ言葉だった。
医者の守秘義務も徹底されているからか、治療以外の余分な情報は記載されないからか『マスター』とは一言も書かれていないものの、
他の項目からして人間とわかる以上、魔力が重要となってくる人間となればそれこそマスターか、何者かの手に落ちたNPCのいずれかしかいない。
番場について詳しく調べてみると、その症状は死神すら裸足で逃げ出しそうなほどの惨状だった。

「左眼球の眼窩からの突出、両手両足の複雑骨折に、頭蓋骨破砕、それによる大脳の損傷、その他多数――」
【流石に、私としてもこの方の治療には少しばかり骨が折れますね】

不律の傍らで霊体化しているファウストとしても、ここまでの症状はそうそう見ないものらしい。
他方、『治せない』と言わないあたりはファウストも破格の医術を心得ているというべきか。
そして、番場の治療は院長であるメフィストが直々に行ったという。
その治療方法は理解の範囲を超えていたことは言うまでもないとして、成程、この症状で入院から退院までたったの2時間強というわけだ。
否、メフィストが治療したにしてはそれでもこの間隔は長すぎる。
メフィスト病院は1時間も経たずに患者の殆どが入れ替わるのだ。
一方で、二重人格をあの院長が治療していなかったことは、ともすれば番場の凄惨な状態よりも衝撃的であったが、そこは一先ず置いておこう。
やはり聖杯戦争の本戦の段階にまで生き残ったマスターは、一筋縄ではいかぬ連中ばかりのようだ。

【サーヴァントもおったじゃろうが――】
【恐らくは、この方と同じようにされたかと。ドクターメフィストは知識の記録に貪欲な御方です。
仮にサーヴァントも同じように治療を受けたとすれば、カルテとして記録されているのかもしれませんね】
【うむ…確かめてみる価値はある】

それを聞いた不律は、懐からタブレット端末を取り出し早速調べてみることにした。
メフィスト病院でなくとも、医療に携わる者の間では知識の共有が不可欠である。
不律にはサーヴァントのカルテを調べる権限がない――という懸念はあったが、それは杞憂に終わり、拍子抜けするほどに番場のサーヴァントらしき者のカルテがあっさりと表示された。
研究者としての側面も持つ不律からしても、メフィスト病院の技術力には舌を巻くばかりだ。
病院の再生医療に対してはかの研究を想起させるので、複雑な心境であったが。

【バーサーカー…道理で魔力が足りなくなる筈じゃ。あのマスターも辛かろうて】
【バーサーカーといえば、元々は弱い英霊を強化するためのクラスです。狂化による強化分を差し引いても圧倒的な力量差があったかと考えられます】

やはりカルテには秘匿すべき真名は書かれていないが、これでは患者の秘密などあったものではないと思う不律であった。
クラスはバーサーカー。担当医は番場と同じくメフィストで、霊体・霊核の損傷が激しかったためにアストラル体を用いたことと、
治療が完了したと同時にメフィストに襲い掛かったため、メフィスト病院の地下に拘禁した旨が書かれている。
殺されずに済んだことが奇跡のように思える。

【しかし、サーヴァントよりも気にかかるのは――】
【何故、この主従がメフィスト病院にいらしたか…ですね。その観点から見ると、どうも不自然な点が見えてきます】

不律は端末を操作し、再び番場のカルテを表示する。
ジェネレーションギャップなどどこ吹く風と言わんばかりの手慣れた手つきだ。
周囲の規格外の才能の影に隠れてあまり目立たないが、不律も人間からすれば天才の域を大きく超える才がある。
使い方の基礎こそ役割の記憶頼りだが、メフィスト病院の機器を応用できているのは元々の能力に依るところも大きいのだ。

【番場の脳幹が無事な分、おそらくそれなりの時間はかろうじて生き永らえるじゃろうが…病院に来なければ死を免れなかったろう】
【そこです。番場さんは本当に『かろうじて生きていられる』ギリギリの状態なのです。…まるで敢えて調整したかのように】

【下手人が体の構造に詳しくないのか、私には若干粗があることも読み取れてしまいますが…】と、ファウストは自嘲気味に付け加えた。
人体というものは意外と頑丈なもので、生命維持に必要な部分さえある程度機能していれば回復せずともそれなりに長持ちする。
例えばあの夢見の患者や植物状態や脳死のように、「実質的に死んでいるが肉体は生きている」というケースは少なくない。
この番場のケースは、まさに『最小限に必要な部位を維持しつつ』『最大限にその他の部位を破壊している』のである。

【状態からして手ずから動くことはまず不可能。運び込まれたと見るべきじゃ】
【以上を踏まえると、その主従は「生かされていた」と考える方が自然かもしれません。バーサーカーが霊核を損傷しながらも同時に入院したことにも説明がつきます】

霊核が破壊されたサーヴァントは、通常では現界を保てずにそのまま消滅してしまう。
だが、この場合はアーチャーでもない限り、マスターのようにある程度生存することなく即時に魔力が霧散してしまい、生命を維持することができない。
しかし、生かされていたとなればどうだろうか。
魔力さえ供給できれば実体化はできなくとも、存在自体はこの世に留めることができる。
バーサーカーは木端微塵にされた後に、何かしらの術によって魔力を供給され、マスターと同じように無理矢理生かされていた、というのがファウストの仮説である。
確かに偶然見つけられて病院まで運び込まれたといえばそれまでだが、主従同士の戦闘が起きる場所でNPCが通りかかるのも不自然だし、かといって下手人がここまで痛めつけておいて見逃すのもおかしい。

【では、何のために――とはいうが、大方察しは付くな】
【ええ。メフィスト病院の、それもドクターメフィストの治療が如何なるものかをその目で見るためでしょう】

メフィスト病院、もといメフィストから預かれる恩恵はあらゆる主従にとって垂涎の的だろう。
現に、先ほどアーチャーの主従がメフィストに接近し、病院に勤務することになったのは記憶に新しい。
聖杯戦争など意に介さずに大規模な病院を構えるサーヴァントの敵情視察という戦略的な意味でも、メフィストの美貌とその治療を一目見れるだけで十分価値はある。
そこから得られる情報を少しでも多くするためにも、必要以上に傷を負わせたのだろう。

【本当に、酷いことをする方もいるものです…】

ファウストからの念話の声が重くなり、ほんの少しだけ怒気を孕んだものになる。
穏やかな物腰ではあるが、こう見えてファウストの内面は穏やかでなくなっているのを不律は感じた。
この場に実体化していれば義憤で手を震わせていたに違いない。
優しいやつだ、と思う。自分達もいずれ残酷な決断を迫られる時がくるかもしれないというのに。

【文面の情報だけで真相が明らかになったわけではないぞ、ランサー。礼服の殺人鬼はともかく、下手人が返り討ちにした可能性もある】

黒い礼服のバーサーカーが無関係なNPCも巻き込んで殺戮の限りを尽くしていることは周知の通りだが、
カルテから得られた情報だけでは、その前後に何があったのかは断定できない。
ともすれば、番場の主従が下手人に襲い掛かり、逆に痛めつけられた上でいいように利用されたということもなくはない。
それは番場が単なる被害者なのではではなく聖杯を求めている――つまり、不律、あるいはファウストが斬らざるを得ない者であることも考えられるのだ。

【勿論、それもあり得る話でしょう。…それでも、女の子が血を流すというのは、どうにも苦手でしてね】

討伐令で礼服のバーサーカーの情報に触れた時にも、ファウストは不快感と怒りを露にしていたものだ。
それは罪なき多くの人々を殺めた、謀略があったとはいえ少女を死なせてしまった過去の自分自身への憤りでもあった。

【――せめてマスターだけでも、聖杯戦争から解放してあげたかったですね。望まぬ者にも戦いを強要するなど、世界そのものが病んでます】
【それは儂にもどうにもできぬ。メフィスト病院は病める者達を治すがための場所よ。蔓延る『病』から避難させるための場所ではない】

ファウストの声が、今度はどこかやるせない感情を含むものになる。
あんな目に遭って、さぞ怖かったことだろう。
しかも、番場は二重人格とのことだ。人格が解離するほどに暗い過去を過ごしていたに違いない。
元の世界は返せずとも、その身を病院に留めて聖杯戦争の呪縛から解き放ってやりたい、という想いがファウストにはあったが、それはメフィスト病院では通用しないことも承知していた。
不律の言ったように、メフィスト病院というのは病める者達のために用意された場所だ。
病と認められない者――病院の治療を必要としない者――は勤務するスタッフと患者の関係者以外はここにいてはならない。
病が完治すれば、その患者は即刻退院の措置が取られるというのはスタッフの間では常識だ。
スタッフである不律もその絶対原則を覆せるような立場ではなく、たとえ患者が退院を拒んだとしても、そこに例外はない。

【…聖杯もむごいことをする】
【まったくです】

ファウストの想いを汲み、不律も否応なしに退院させられたマスターのことを考える。
甚大な被害を及ぼす戦闘が既に幾度も勃発している<新宿>に、魔力を貪り食らうサーヴァント共々丸腰同然で放り出されることが何を意味するのかは想像に難くない。
不律は彼女を葬ることができなかったことを残念がってはいない。
かのマスターは二重人格、心の裡に鬼を飼っている可能性も無くはないといえど、自身の障害にならなければマスターをも斬る必要はない。
主従が一組脱落すれば確かに聖杯に願いをかける不律にとっては利益となるが、それとは別に彼女への哀れみが強かった。


「――不律先生、来患の方がお見えです。問診の後に診察をお願いしたいのですが、ご準備できますか?」
「解った」


しばらくタブレット端末と睨めっこをしていると、執務室に入ってきた看護師からまた新たな患者が来院してきたことを告げられる。
ふと時計を見れば、午前の10時30分を示そうとしていた。
本当に束の間の休憩時間だったが、また持ち場に戻らねばならない時間が近づいている。

【今後も、メフィスト病院を訪れる主従が多くおる。ここで働いている以上しばらく自由には動けんが…また時間を見つけて調べられることは多い筈】
【では、それ以外では医者として働くと】
【うむ。聖杯戦争もまだ序盤。しばらくはアーチャーのようにここに籠城するのもよかろう。その過程で命も救えるのだからお主も吝かではあるまい】
【勿論ですとも!命に貴賤も、本物も偽物もありませんからな!】

そう念話で話しながら、不律は執務室を出る。
メフィスト病院に勤務している以上、その利を生かさぬわけにはいかない。
病院では医者として振る舞うとはいっても、情報収集を怠っていては他の主従に置いていかれるばかりだ。
勤務の合間を縫って、出来得る限りの情報はメフィスト病院で集めておきたいところだ。
だが、その利もメフィスト病院の医者としての責務を果たさねば露と消えてしまうのは明白。
なるべく時間に余裕を作るために、不律はやや早歩きで病院の通路を歩いていた。

「む」
「あ…」

診察室へ向かうその途上で、不律は二人の女性に出くわした。
居合独特の歩法を習得していたからか、早歩きとはいえ道行く人が見れば相当なスピードを出して歩いていたようで、対面する女性の長い髪が不律の立ち止まった拍子に揺れる。
思わず声を上げた、二人のうち片方は女性というよりはどちらかといえばあどけない少女のような印象が目立つ。
もう片方は落ち着いた、知的な雰囲気のある女性で、少女とは対照的だった。
いや、対照的というよりは、傍らにいる少女の持ちうる能力や足りない部分を全てにおいて昇華させたような、少女との師弟関係を匂わせるような女性であった。

「あら、不律先生」
「アーチャー…否、『鈴琳』先生か」
「ええ。薬科の臨時専属医として勤務することになりましたの。助手の一ノ瀬共々、改めてよろしくお願いしますわ」

二人の女性――アーチャー、鈴琳もとい八意永琳とそのマスターは、既にメフィスト病院のスタッフとして認められているのか、自身と同じメフィスト病院から支給された名札付きの白衣を着用していた。
志希もアーチャーの隣で少し縮こまりながら「よ、よろしくお願いします」とぎこちなくお辞儀する。
白昼堂々帯刀しており、常に仏頂面のような面構えをした老人を前にした苦手意識もあるだろうが、世代の違いからかどう接したらいいのかよくわからない様子だった。

(…因果なもんじゃ)

不律はそんな志希を見つつ、悟られぬように小さくため息をつく。
まさか、こうも早くに自身の前に巻き込まれたマスターを抱える主従が現れようとは。
先刻の病室でのやり取りどころか志希が病室に入ってきた瞬間から、彼女が不運にも契約者の鍵を拾ってしまった被害者であることは、ファウストにはもちろん不律にも一目瞭然であった。
魔力もなければ、不律のようにマスター単体でも戦えるような身体能力も有しておらず、修羅場慣れしているとも言い難い。
番場のように精神に異常があるわけでもなく、誰かを殺してでも叶えたい願いがあるという様子でもない。
一般人の基準では変わっているのかもしれないが、<新宿>の聖杯戦争の参加者の中では常人の範疇であった。
魔界都市の祝福そのものでもある輝けるメフィストの美貌と、どこぞの兇眼者どころか宇宙の真理よりも謎めいたアーチャーの胡散臭さなだけに、それが一層際立って見えた。





【…不律さん】

ファウストが念話にて、不安げに声をかけてくる。
この主従については今後どうするつもりであるのかを、マスターに聞いているのだ。
無論、不律にはファウストがどのような答えを望んでいるのかはわかるし、不律自身もそう考えていた。

【…アーチャーが院長に取り入った目的はマスターの保護じゃ。建前の可能性もあるとはいえ、一ノ瀬を見れば確かに理に適っている】

アーチャーがメフィスト病院で何を企んでいるのかはさておき、病院――もといメフィストに接近してきた動機だけを見れば特におかしくもない。
得体の知れないサーヴァントの陣地に足を踏み入れるリスクはあれど、メフィスト病院は不律が先ほど言ったように籠城するのには最適な場所だ。
マスターが貧弱ならば、尚更ここに入るメリットは大きくなる。
メフィスト病院の防衛システムと医療技術に守られているというだけで、マスターが討たれるという懸案はほぼ解決してしまうとも言っていい。
…それだけに、退院していったマスターが出る際にどんな思いをしていたかが容易に想像できる。

【正直、私としてはこのまま成り行きで同盟を組んだままにすることをお勧めします。もちろん、志希さんの命を救いたいという気持ちもありますが――
アーチャーが敵に回したくない相手というのもあります。あの方の実力は未知数ですが、私の予測では相当な難敵となるのは間違いないかと】
【誠か】
【はい…恐らくですが、ドクターメフィストと肩を並べているといっても過言ではありません】

ファウストはメフィストと対峙していたアーチャーの姿を思い返す。
あの時感じた深淵を覗いたが如き悪寒は、アーチャーというサーヴァントの格がメフィストに匹敵し得ることを肌に知らせていた。
あの一切の妥協も許さない美の魔人の首を縦に振らせただけでなく、優秀とも言わしめたのだから単なる薬師の英霊である筈がない。
不老不死の薬といい、卓越した魔術といい、最高水準の魔力のランクといい、アーチャーは膨大な知識と才能をその魂に刻み込んでいるのは明らかだ。
未だ彼女の戦闘を見たことがないゆえに断定はできないが、戦闘に転用できるものは星の数ほどに上るだろう。

【現時点で明確なアーチャーの弱点は――】
【それ以上はいけません、不律さん】
【…わかっておる。儂も、その可能性については考えたくはない】

弱点とは、言うまでもなくマスターの一ノ瀬志希である。
このアーチャーというサーヴァントを討つという状況において、無力なマスターというこれ以上なく露呈した弱点を狙わない主従はそういないだろう。
それを承知しているからこそ、アーチャーもここにいる。
ここはメフィスト病院。聖杯の恩寵を望んでいるとしても、自ら刀を振るってはいけない。
病院で患者を殺し得る力が振るわれた時、病院そのものが牙を剥くのだから。

【どちらにせよ、アーチャーを相手にすることを考えるのは時期尚早じゃ。この主従と敵対する理由はない】

【今のところはな】と不律は付け加える。念話を通して、ファウストの安堵が伝わってくる。
強力なサーヴァントを従えながらも、聖杯を望まない巻き込まれた少女のマスター。
無力なマスターに対してはサーヴァントのみを討つという方針の不律の主従にとっては、ある意味では最も苦手とする相手だった。
不律とて、斬る必要のない相手は可能な範囲内であれば生かしておきたいというのが本心だ。そういう意味でも、この主従には敵対してほしくはないと思う。
また、一ノ瀬志希がメフィスト病院にいることができているのはアーチャーの影響が強い。
仮にアーチャーを討ち取ったとしても、一ノ瀬志希はメフィスト病院にいられなくなるだろう。
サーヴァント無しで<新宿>に放り出されては、一ノ瀬志希は死んだも同然だ。

【院長の言っていたように、アーチャーが慈悲深いことに嘘はないじゃろう。…尤も、プライドも高いようじゃが】
【でなければ、一ノ瀬さんをそのままにしておくとも限りませんしね。マスターを変えずにメフィスト病院に来たのもそのためでしょう】

アーチャーに何らかの下心はあれど、一ノ瀬志希を帰すために現界していることは偽りではあるまい。
それならば、一ノ瀬志希とアーチャーをそのまま据え置くことは不律も吝かではなかった。
共同戦線を組むかはまだ不明だが、アーチャーから何か有力な情報が得られればそれに越したことはない。
もし聖杯戦争の過程でアーチャーがメフィスト病院に反旗を翻したとしても、状況を鑑みてメフィストの下についたままにするかその場に乗じてアーチャーにつくかを見極めればいい。
アーチャーがメフィストと肩を並べているのであれば、それはメフィスト打倒の一手になり得るということでもある。
しかし、メフィスト側につくことになった場合は…一ノ瀬志希は見捨てるしかないだろう。





「どうかしましたの?私の助手が何か」

しばらく無言で互いに向かい合っていたからか、痺れを切らしたようにアーチャーが口を開く。
どうやらあちらも暇ではないようで、大方これから薬科の持ち場へ向かうところだろう。

「いや…お主らがうまく専属医として務まるか気になっただけよ。…アーチャーには愚問か」
「ええ、愚問ね。先の案内で薬科に関連する場所は既に把握しています。一ノ瀬についても私がみっちりと指導致しますわ」

不律に対し、アーチャーは言ってのける。
一ノ瀬志希はともかく、メフィストに認められたのだからすぐに馴染むだろうとは不律自身も思っている。
アーチャーの顔には柔和な笑みが浮かんでおり、一見温かい印象を受けるが、その裏では何を考えているのか見当がつかない。
アーチャーの傍らでは、志希が怯んだ表情をしながら横目で己がサーヴァントを見ていた。
「みっちりと」に何やら嫌な予感を覚えたようであった。

【あの方は、随分人遣いが荒いようですな】
【…若い内にそういった経験をしておくのもいいじゃろう】

ファウストは、内心で志希に同情する。今のアーチャーの笑みは、余興を楽しむ時の顔だ。
ファウストが思うに、アーチャーはかなりの年月を生きているらしい。
途方もない時を長生きした者は、見出した嗜好への期待を隠すことは難しいものだ。
一方で、不律は周囲に妙な違和感を覚える。此処が病院とはいえ、人の気配がしなくなったのだ。

「それよりも貴方のサーヴァント、私達に用があるのではなくて?まさかこんな場所で人払いの術をかけるなんて」

アーチャーの言葉を聞いて、不律は顔色は変えずとも僅かに目を見開く。
志希が小さい悲鳴を上げながら不律の隣へと視線を移していたので、不律もそれに倣って顰めた目を隣へ向けると、実体を得たファウストが既に現界していた。
どうやら不律の意図しないところでファウストは霊体化したまま、人払いの術を周囲に施していたらしい。

「おや、やはり貴方には見抜かれてしまいますか」
「私の知る魔術とは少し違うみたいだけれどね」

ファウストは丁寧な物腰で話しているが、そのまま直立しているせいで見る者を圧倒させる威圧感に満ちている。
3m近い巨体に加え、長身に比してあまりにもスレンダーな身体に、頭に被った紙袋の織り成す異様な風体は、魔の道に堕ちた医者のそれを連想させる。
そんなファウストの姿を改めて視た志希は、顔を青くしつつ乾いた怯え笑いを浮かべながら、後ずさりさえしていた。

「あわ、あわわわわ…」
「あのー、そこまで怖がられると流石に傷つくのですが…」

ファウストが落ち込んだように首を傾げる。
しかしその首はきっちり180度、つまり首が完全に半回転してしまっており、逆さになった紙袋から覗く光に志希は蛇に睨まれた蛙のようにすくみ上がった。

「…あまり、私のマスターを怖がらせないでもらえるかしら」
「えー、私としたことが失礼しました。患者を見下ろすのは医者としても褒められたものではないですからな」

コホンと一呼吸置いてからファウストは志希に詫び、足を屈めて人並みの身長に合わせる。
メフィストの美貌に比べれば霞んでしまうものの、ファウストの外見は常人からすれば相当なインパクトを持つだろう。
百聞は何とやらとは言うが、やはり実際に見た方がその時に感じる感情の振れ幅は大きくなる。
しかし、メフィストの美貌に当てられた時のそれとは違い、世界の深淵を見た時のような明確な恐怖と驚嘆の混じった呆けが浮かんでいた。
なお、不律は奇妙な挙動をする輩は多く目にしてきたのですぐに慣れ、ファウストはそういうサーヴァントだと割り切っている。

「ランサー…何か話したいことでもあるのか?」
「いえ、特に用事もございませんが、折角ですし自己紹介をと。一方だけで終わらせては不公平ですから」

不律の問いに対し、ファウストが答える。
成程、先ほどの夢見の患者をメフィストと共に診た時にはアーチャーの臨時専属医としての採用の可否のみで散会し、こちらから話す機会がなかったといえばそうだ。
しかし、自己紹介とは言ってもクラス名や医者であることくらいしか話すことはないはずだ。
また、互いに一度会っているため、一ノ瀬志希を通してファウストの情報が伝わっている可能性も高い。

【一体、何のつもりじゃ…儂は許可を出した覚えは――】
【最低限、交流を持っておくのもいいと思いまして。志希さんもアーチャーも、今は不律さんの同僚です】
【しかし――】
【…たとえ貴方の心身が鉄だとしても、孤独を貫かねばならないということはありませんよ?相手の存在を知るだけでなく、人についてもある程度触れておいた方が今後のためにもなります。
成り行きとはいえ、同盟関係になったのですから。それに、アーチャーの今後の動向を見るヒントを得られるやもしれません】
【むぅ…】

「貴方のクラスは既にマスターから聞き及んでいるわ。医者であることも一目瞭然。今更自己紹介なんて、不要ですわ」
「まあ、そうおっしゃらずに。仮初の役職とはいえ、我がマスターと同じメフィスト病院の専属医になったのですから」
「そうは言っても、貴方達もそれ以上の情報は明かしたくないのではなくて?手の内を知られたいというのなら、喜んで聞かせてもらうけど」
「いやはや、これは手厳しい」

ファウストは小さく笑いながら、アーチャーに応対する。
二人の対話を、不律は顔の皺を深くさせて、志希は不安げな顔で見守っていた。
この場がメフィスト病院内であるが故に戦闘が起きる心配はないが、それでもNPCのいない空間で英霊が対峙している状況というものは、その気がなくとも張り詰めた緊迫感を生む。

【ランサー…アーチャー達と話すことは認めよう。しかし、あまり深入りせぬようにな】
【と、言いますと?】
【確かに、儂らとアーチャー達は客観的に見れば同盟なのやもしれぬ…が、あくまでアーチャーが取り入った相手は院長じゃ。
アーチャーからすれば儂らは眼中にすらない危疑があることをくれぐれも忘れるな】
【私としても、その可能性は勿論視野に入れております。マスターの言葉とあらば…肝に銘じておきましょう】
【アーチャーは、確かに慈悲深いじゃろう。しかし同盟とは言っても過度に依存すると、儂らがトカゲの尻尾切れにされるやもしれぬ】

不律は念話でファウストに忠告する。
成り行きで同じ場所にいるものの、現時点では、未だ互いに偶然遭遇した参加者程度の関係でしかないのだ。
下手に近づきすぎると、いいように利用された上で背後から討たれないとも限らない。
しかも、相手はあの癖者で底の見えぬアーチャーだ。ともすれば、アーチャーの能力で不律がどんなスタンスかが既に割れているということも考えられる。
そうでなくとも、アーチャーならばいざという時には非情な選択肢も躊躇なく取れる人物であるという確信に近いものがあった。

【――それこそ、一ノ瀬を守るために】

アーチャーには慈悲があるかもしれないが、それは慈悲が向けられる相手次第だ。
マスターを守るために、同盟相手を切り捨てる――願いをかける不律にとっては取ってほしくない選択肢である。
ゆえに、慈悲深いことと信頼に足ることは同義ではないのだ。

【アーチャー達との共闘も悪くない。一ノ瀬も生かしておく。しかし、この主従とはある程度距離を置く。今はまだ、見極めねばならぬ時期じゃ。よいか、ランサー】
【了解しました】





「けど、殊勝な心掛けね。材料が揃えば妖怪用の薬くらいは処方してあげるわ」
「よ、妖怪用ですと!?この私のどこが妖怪に見えるというんですか!?」
「全部、かしら」

その人間の肉体構造からあまりにも逸脱した身体に一瞥もくれず、アーチャーは無慈悲に返した。
念話では真摯な一方で、実体として話しているファウストはそれを感じさせない。
妖怪扱いされたことがかなり心外なようで、驚いているのを誇示するかのように首をろくろ首のように長くしながら、2m以上に伸ばした腕を大げさに仰いで見せる。
それを志希は絶句しながら見守っていた。

「人間用のもので結構です!何やら毒になりそうな響きなので。あ、そうだ、もし薬を調合していただけるのでしたら――」
「残念だけど、育毛剤の処方は受け付けていないの。髪の毛がないのは病じゃないですもの」
「そんなあ!?」

それを聞いてファウストは項垂れて残念がっていたが、頭の紙袋がひとりでにゴムのように伸びたかと思うと、
気を持ち直したかのように鞭打って元の大きさに戻り、アーチャーに向き直った。
不律は、アーチャーがファウストの被る紙袋の中身を見通した上で言葉を先取ったことにはもはや驚けなかった。

「…変な奴だとは思ってやるな。此処では最も『医者』らしい医者じゃ」
「えっ?あっ、はい」

ファウストの身体変化を見て現実逃避するように立ち尽くしていた志希に、不律は声をかける。
人付き合いの苦手な人間のするようなぎこちない反応が返ってくる。
あまり会話をする気はなかったが、ファウストを誤解されたまま別れて今後の行動に支障が出るのは拙い。
ファウストは言わば人間より一歩進んだような存在だが、やはり人間だ。妖怪のような怪物では一切ない。

「でも、二重の意味でへんたいしてるっていうかなんていうか~…」
「…否定はしまい」

とはいえ、これはまだ序の口で、実際ではカエルの如く舌をしならせたり唐突に花を咲かせたり、首が取れたりするのだが。
それ以上、会話は続かなかった。
夢見の患者の件からしばらく経ってからの、束の間の対面だった。








今から四時間弱前のことを思い返しながら、不律は手術室で一人、受け持った患者の手術を黙々と執刀していた。
この患者は、メフィスト病院の襲撃者(ジャバウォック)の件での被害者ではなく、元々メフィスト病院に入院していた難病の患者である。
襲撃者によって傷ついた患者は、どんな惨状であろうとものの30分でメフィスト病院お抱えの専属医が全て完治させてしまった。
もちろん、それには病院前での治療を担当した不律や、あのアーチャーも含まれている。
異常事態から元通りになったメフィスト病院で、不律は元通りの役目をこなしているに過ぎないのだ。

では全て元通りになったかというとそんなことはなく、襲撃により防衛に割いた約1時間の空白は、未だ治療を受けていない患者が増えるということも意味していた。
1時間足らずでほぼ全ての患者が退院できるメフィスト病院には、1時間治療を受けられない時間帯があった分、平時の倍以上の患者が押し寄せる事態となっていたのだ。
不律の所属していた診療科は特にその皺寄せを受けることになり、病院前での治療から休憩無しでそのまま患者の手術の執刀を受け持っている。
やはり忙しくなっただけあって人手も足りないため、数あるメフィスト病院の手術室で不律は一人で手術に当たっているというわけである。

病院前で展開していた急設の手術設備の片付けは担当しなかった。それにかける時間分、患者の治療に専念しろということだろう。
設備の片付けを担当した者――アーチャーと一ノ瀬志希を始め、今回の皺寄せをあまり受けなかった診療科のスタッフには多少の休憩があるようだが、特に理不尽は感じない。

聖杯戦争開幕前からメフィスト病院で専属医をしていたこともあり、その手術の手際は見事なものだ。
実に、一人しかいない筈の手術室が、二人、あるいは四人に分身しているかのごとく素早い作業を行っていた。
これは比喩でもなんでもなく、手術の一工程から、心拍数、麻酔などの各確認を済ませ、次の工程に必要な道具を助手無しで取り揃えるまでの過程を5秒から10秒のローテーションで繰り返す。
傍から見れば、肘から先はあまりの速さに霞んで見え、数秒ごとに手術室を所狭しとテレポートの如く瞬間移動して回る不律の姿が目に入る。
このメフィスト病院の医師にも劣らぬ業は、不律の装備している電光被服の成し得るものであった。
電光被服には単純な身体能力だけでなく、動体視力や身体の精密操作といった神経由来の能力も強化されるため、
本来は戦闘でしか使わぬものだが、これと持ち前の知識を手術に応用することでメフィスト病院の専属医足りえる腕を発揮し、その資格を得ていたといえる。
むしろ、不律としては電光機関無しで自分以上の腕を持つ医師がいること自体がもはや常軌を逸していると言いたいものなのだが。

こうしている今も不律は懐の電源装置から電光被服に電気を送り込みつつ、独り手術を進める。
あと数分ほどで手術を終わらせることを目標にし、テキパキと患者の患部を治療する中で、不律は病院襲撃の件で邂逅したあの美しき吸血鬼――ライダーの言っていたことが脳裏に蘇る。

――魔界医師は敵対するよりも利用してやる方が都合がよい。

…仮にも、いずれメフィストを倒さねばならないと認識していながらも、その通りだと心底感じてしまう。
襲撃者の騒動による被害を短時間で修復してしまうダメージコントロール能力もそうだが、やはり恐ろしいのはメフィスト病院の防衛システムだ。
その存在だけは記憶していたが、いざ異常事態に陥ってそれを直に目にするとその凄まじさが改めて痛感させられるというものである。
件の襲撃者のサーヴァントも、それと対峙したという警備員から聞いた話だけでもかなりの難敵であろうことが伝わってくるが、
メフィストが直々に出向くまでの事態となり、あまつさえその手から逃れたのだから実際に尋常でない実力を持っているといえる。
それとは別に問題なのは、メフィストが出てくるまで動いていた防衛システムが同僚曰く「第一段階」ということだ。
つまりかの襲撃者でも「その程度で済む」のであり、その後に第二、第三の更なる防衛線が張られているということでもあり、ここがメフィストの陣地内であることを再認識させられる。
既に自明のことだが、病院内でメフィストに戦いを挑んでも勝ち目はない。

となれば、やはりメフィストを相手にするならば病院外でなければどうしようもないだろう。
しかし、それだけでは全く以て足りないこともまた理解してしまう。
メフィスト病院という未だに未知の領域が山ほどある陣地の中で、メフィストは今も新たなシステムや装置を業務の片手間に作っているに違いない。
どんなにメフィストへの対策を練っていたとしても、彼はそれ以上のものを即座に用意していとも簡単に破られるであろう。
また、空間の謎が既にメフィスト病院に施されていることからして、ファウストの十八番の一つである空間転移や空間歪曲をも会得しているといっていい。
ファウストの得意分野をもカバーされているとなると、やはり厳しいというレベルではない。
そのことは、真っ向から戦っても不律とファウストのみでは彼を討つことは今後も億に一もないことを意味していた。
まさに、前途多難と言わざるを得ない。

「……」

縫合を終え、手術が無事終わったところで、不律は手を止めた。
メフィストと彼の抱える病院が如何なるものかを思い知る機会はたった半日で数知れずあった。
そして、<新宿>にはメフィストの他にもアーチャー、吸血鬼のライダー、そして先ほどの襲撃者や討伐対象のバーサーカーのように、規格外の強者であふれかえっていると来た。
そんな魔境<新宿>の聖杯戦争において、不律の主従はどうすれば聖杯に近づくことができるだろうか。

「やはりこの<役割>は、おいそれと手放してよいものではない…か」

真っ先に浮かんだのは、メフィスト病院から受けられる恩恵を受け続けること。
いずれ一戦を交えねばならぬだろうが、幸いなことにメフィストは聖杯にかける願いはないという。
患者を傷つけた者以外は無差別に受け入れている分、こちらから手出ししない限り報いは受けないということだ。
やはり、いくら時間がかかろうとも、機が見えるまではこの役職に甘んじた方が遥かに賢い選択肢だと、不律は思った。
その間にメフィスト病院で力をつけることは十分に可能だろう。
同時に病院内で他の主従の情報を得られれば、有利にはなっても不利になることはない。
それらのためには、以前よりも積極的に院長や他のスタッフに働きかける必要が出てくる。

(…思えば、アーチャーの狙いはマスターの保護だけでなくこちらにもあったのやもしれぬ)

ふと、メフィスト病院の専属医としてではなく聖杯戦争のマスターとして勝つため考えを巡らせると、アーチャーがメフィストに接近したもう一つの可能性が浮かび上がってくる。
アーチャーのマスターの非力さに目が行って見えていなかったが、確かにメフィスト病院は情報以上に有用な道具が豊富だ。
例えば不律の持つタブレット端末のような、メフィスト病院備え付けの道具を手に入れることができれば、憂いの5つや6つが吹き飛ぶといえよう。

「しかし、勝つためには外部の詳しい情報を得ることもまた必要…」

他方で、それは同時に専属医としての役割を果たさねばならず、<新宿>での行動に大きな制約ができてしまうということでもある。
メフィスト病院のタブレット端末で病院外での事件を調べられるとはいえ、集められる病院外部の情報には限度があり、具体的なサーヴァントの情報が届かないデメリットもある。
そのデメリットを解消するとなると、自身やファウストの代わりに足となって情報を収集し、連絡を取り合える人物――詰まる所、同盟が必要となる。
病院には今まで相当数の主従が出入りしただろうが、同盟を組むためには勤務の合間を縫って病院に属さない主従とのコンタクトは必須だろう。
幸い、メフィスト病院の専属医としての立場のおかげで交渉で切れる手札には事欠かない。メフィストの機嫌を損ねない範囲で小出しにしていけば問題はないだろう。

勿論、相手は選ぶ。アーチャーやかの兇眼者のような胡散臭い輩は、正直言って苦手だ。特に後者とは不律の過去をぶり返されたことが原因で一戦を交えたことがある。
高望みであることは承知だが、一時的な同盟を結ぶならば互いに思惑はあれど、為すべきことを果たしてくれる信用に足る人物でなければ安心はできない。
何はともあれ、今後時間が空けば、メフィスト病院を訪れた主従の中から秘密裏に連絡を取れる人物を探すことも視野にいれておくべきか。

「頑迷固陋…儂も未だ幼き子よ」

患者の安定を確認し、手術の後片付けを済ませた手術室で、不律は独り言ちた。
4時間程前にファウストから言われたことを思い出す。

――相手の存在を知るだけでなく、人についてもある程度触れておいた方が今後のためにもなります。

確かに、その通りだと今では思う。
これまで不律は、聖杯戦争でもファウスト以外の人物とは必要以上のことはあまり話さないつもりだった。
同盟を組んでも、最終的に聖杯を得られる主従は一組だ。成り行きやその場で一時的な共闘こそすれ、結局は自分以外の全サーヴァントが命を落とさなければ意味がない。
ファウストも決して弱いサーヴァントではないこともあり、情報を得るべく他人に頼ることはあれど基本的に同盟を組むのにはあまり積極的ではなかった。
不律自身、<新宿>に来る前まではほぼ単独で行動していたために、堅実に一組一組を斃していく方が性に合った。

『医者として振る舞う』方針もそういうことだ。
本来は従来の方針故にこちらから仕掛けてもおかしくはなかったが、メフィスト病院では決して戦ってはならない以上、
目の前に主従がいても事務的な対応をしてその存在を認識するだけに留めておく、いずれ命を落とす者の人柄を知っても心労が増えるだけ、の筈だった。

しかし、強者のひしめく聖杯戦争の状況はもはや不律とサーヴァント一騎だけでどうにかなる問題ではない。
役職や同盟も駆使していかねば、最悪詰んでしまう可能性がとても大きいのだ。
そして役職にしろ、同盟にしろ、うまく活用するにはまず相手の「人」について詳しく知らなければならない。
メフィスト病院の機器や情報を得ようにも院長やスタッフと交渉せねばならないし、同盟を組むならば尚更、相手がどんな人物かを知ることが今後の明暗を分けるという場面も出てくる。
相手の存在を知るだけでなく、どんな奴かを知ってようやくスタートラインに立てるのだ。
たとえ心身が鉄だとしても、孤独を貫かねばならないということはない。
ファウストの言っていたことがよくわかる。

(儂も、折れる必要があるか)

このままでは、心まで折られかねない。
不律の心身は、確かに鉄だった。
しかし、鉄にもまた融点があった。

「オペ終了、成功です!」

その時、突如手術室にどこからともなく声が響く。
直後に床に大きなドアが出現したかと思えば、そこから生えるようにファウストが現れた。
ドアの向こう側には、不律のいる手術室と同じ光景が垣間見えていた。

「…お主も終わったか」
「ええ、久々なので少々気合いが入ってしまいましたが、バッチリです」

指でOKサインを作りながら、ファウストは答える。
ファウストには、不律が受け持っていた別の患者の治療を任せていた。
現在、メフィスト病院はこの通り患者が平時よりも多いので、中には複数の患者の手術を同時に任されている医師もおり、不律もその一人であった。
何を無茶なとも思ったが、それをやり通してみせるのがメフィスト病院の専属医なのだろう。
そこで、不律は同時に手術できるという意味でも、ファウストに不律の担当している患者の一人の治療を受け持たせることにした。
メフィスト病院ではファウストを使わないと肝に銘じていたとはいえ、それは要するに攻撃能力を使わないというだけだ。
病院にいるにも関わらず、その腕を振るうことができないでいてはファウストも息が詰まるだろう。
少しでも多くの命を救うことを使命とするファウストがそれを断るはずもなく、嬉々として引き受けた後にメフィスト病院の専属医と変わらぬ早業で病を完治させてきたところだ。

「こちらもこの通り、終えたばかりよ」
「お見事です!私も、負けてられませんね」
「今から報告と、治療を待つ他に患者がおらぬか問い合わせにいく」
「ご一緒します」

そう言って、ファウストの姿は不可視の霊体となり、不律の後ろにつく。
不律はメフィスト病院の白衣を身に纏い、手術室を出た。

【ところでランサー…少しばかり話したい事がある】
【はて…?お聞きしましょう】








不律はメフィスト病院の通路を早めに歩きながら、先ほど考えていたことをファウストに伝えた。
それは不律が人との繋がりを重視し始めたことでもあり、不律が今後生き残れる可能性にも繋がるため、ファウストは歓迎した。
あの吸血鬼やメフィストについても脅威に思っていたのはファウストも同じだ。
あれに単騎で、しかも真っ向から立ち向かっても、生き延びることは難しいだろう。
可能な限りの命を救う――ファウストにとっては、無論不律の命も含まれているのだ。
しかし、病院の様子を見ていると、悠長に念話をしている場合ではないことが伝わってきた。

【手術室に入る前よりも、更に慌しくなっておるな】
【また、只ならぬ事態が起きたようですね】

周囲を見てみれば、医師や看護師問わず、あらゆる病院のスタッフが忙しそうに東奔西走していた。
不律が手術に当たっている間に、かなり状況が変わっているのを肌で感じた。
ファウストの言う『また』とは先刻の襲撃者の件に他ならない。
またメフィスト病院に対する襲撃者かと身構えもしたが、どうやらそういう話でもないようだ。
たった今、生々しい傷を負った患者がベッドに寝かされ、不律とすれ違う形で搬送されていくのを目にした。
どちらかといえば病院の外で起きたことが原因らしい。

「如何した」
「不律先生!ロビーで多数の患者が搬送されてきています。先生もロビーへ応援に向かっていただけますか?」

不律は近くを歩いていた看護師に声をかけ、何があったのかを把握するために話を聞いた。
看護師の話によれば、メフィスト病院の近場にある新国立競技場に黒い礼服の男が乱入して大規模な殺人が起こったようで、その余波で負傷した患者がこのメフィスト病院に押し寄せているとのことだ。
間違いなく、「また」<新宿>でサーヴァントによる騒動が起きたのであろう。
こうも<新宿>のあちこちで主従による被害が湧き起こっているのを鑑みると、初っ端から白昼堂々好き勝手にやる主従が多すぎると溜息を禁じ得ない。

【…ッ!あの礼服の殺人鬼が…!!】
【落ち着け、ランサー】

ファウストが霊体でありながらも、耳を塞ぎたくなるほどの憎しみを声に滲ませる。
不律が宥めるも、ファウストはしばらく礼服の殺人鬼への怒りを抑えきれなかった。
霊体化を解かなかったのは最低限理性が残されている証か。

【今は情報を集めることが先決、討伐対象に憤るのはその後じゃ】
【失礼、取り乱しました。…あのバーサーカーの所業は、『ファウスト』でなかった頃の私を思い出してしまいますので】

ファウストも「元」がつくとはいえ、殺人鬼だ。どんな美談が後につこうとも、その罪過が消えることは永劫にない。
ファウストに「過去への後悔」があるとすれば、彼にとって礼服の殺人鬼は「過去への後悔」を象徴するものであった。
後悔というものは、誰しもが消したくなるものだ。

「ロビーにはすぐに向かう。…ところで、その新国立競技場での事件はどこで知り得た?」

ファウストの何とも言えない感情を念話越しに感じながらも、不律は看護婦から事件の情報の出所を聞く。
勤務中でも、非常時ならばそれに乗じてある程度は自由に動けるが、流石にメフィスト病院を飛び出して国立競技場に行くとなると役職を失いかねない。
ファウストには悪いが、ここは我慢してもらうしかないだろう。
できれば、病院で知り得る限りのより具体的な情報がほしいところだ。

「患者の方から直に聞いたのと…もっと早いものだと、その様子が病院のテレビスクリーンに映されていました。私も見ていましたから。私のいた場所だと、薬科の休憩室ですね」
「テレビに映っていたのか」

流石の不律も、驚きのあまり思わずオウム返しをしてしまう。
何と、件の殺人はテレビで生中継されていたというのだ。
その放送を直に見ていたというのに、この看護婦はやけにあっさりしている。やはり魔界病院のスタッフだからか、相当に修羅場慣れしているらしい。
それよりも、生中継されていたということは、<新宿>どころかかなりの広域にわたって事件の様子が広められたということになる。
何故、人の目につくような場所に敢えて殴り込むのか――という疑問が浮かんだが、それも後回しにして新国立競技場でそもそもどんな催しがあったのかを聞く。
不律とて、モラトリアム期間でも情報収集を怠っていたわけではなく、ニュースや新聞くらいは見るようにしていたが、殆ど記憶にないとなると余程不律の眼中になかったことになるであろう。

「ご存じないのですか?人気アイドルのライブですよ、346プロ主催の。<魔震>からの復興20周年のコンサ-トイベントだそうで」
「あいどる…?…若い者の文化は、儂にはよくわからぬ」

成程、不律の記憶にはほとんど無いわけだ。
そもそも不律は世代が世代なだけにアイドルのような若者の文化に対してはあまり理解がなく、たまに小耳に挟んだりその様子を見てもそこまで関心は持たなかった。
新聞やテレビでも宣伝は何度か目にしていた筈だが、さして気にも留めていなかったのだ。
ところが、更に重要な情報が看護師の口から出てきた。

「何とも、一ノ瀬さんの友人が出ていたそうです」
「何っ、一ノ瀬の関係者がか!?」
「ええ、一ノ瀬さんもアイドルのようで、全部本人から聞いたのですが」
「…件の惨劇を見て、一ノ瀬は如何した」
「すごい形相で、休憩室を飛び出していきましたよ。私はその後すぐに復務したので、戻ってるといいのですが」
「…そうか、礼を言う。時間をとらせたようで済まぬな」

看護婦に別れを告げ、不律は足早にその場を離れる。
今頃は外で設備の片付けに当たっていた者の休憩もとっくに終わり、勤務に戻っている頃だ。
これからどこへ向かうかというと、薬科の方面である。

【不律さん。これは、嫌な予感がしてきましたよ…!】
【奇遇じゃな。儂もそう思っておる】

何のために行くかといえば、アーチャー達が戻って来ているかどうかを確かめるためだ。
確かに直ちにロビーへ行って患者の受け入れにあたるべきだろうが、一度薬科へ寄ってアーチャー達の様子を見に行っても職務怠慢とは見なされないだろう。
しかし、一ノ瀬志希の場合は別だ。
あの院長のことだ、休憩時間を超えて患者の治療を怠っていたとなれば黙ってはいまい。最悪、解雇もあり得る。
また、休憩室を飛び出していった一ノ瀬志希に対して、アーチャーがどう動いたのかも気になる。
それも含めての寄り道だった。

「何いっ、鈴琳先生がいない!」

1分も経たずに薬科の休憩室がある場所に移動すると、やはり薬科のスタッフの大声が聞こえてくる。
その付近では、周囲よりも慌ただしさが段違いに大きかった。
数人の白衣を着た医師や看護婦が慌てた様子で話し合っており、案の定アーチャー達は戻っていないようだった。

【どう見る、ランサー】
【個人的な感情抜きでも、ここは助け舟を出しておくべきかと。アーチャーは敵に回せば厄介ですが、それは味方にすれば心強いということです】
【うむ…違いない】

ここは、やはりアーチャーと一ノ瀬志希が帰って来た時を見越して口利きをしておくべきだろう。
まだあちら側がどう考えているかは不明だが、少しでも恩を売っておけば、今後は多少なりとも楽にはなる。
不律としては警戒はまだ解いていないとはいえ、少なくとも敵対する可能性は薄れると見ている。

【尤も、アーチャーならば一人でどうにかしてしまいそうではあるが…】
【できることは全てやっておくべきですよ、不律さん。いらぬ気遣いだと言われるやもしれぬでしょうが――医者は、お節介を焼くくらいが丁度いいですからな】

ファウストの言葉を聞いて踏ん切りがついたか、不律は薬科のスタッフに近づいた。

「少しよいか」
「不律先生!」

集まっていた薬科のスタッフが一斉に不律の方へ向く。
その中の一人が、「聞いてください!」と言おうとしたのを不律は制し、口を開いた。

「鈴琳先生についてじゃが、言伝を預かっておってな」
「鈴琳先生のことで、何かご存知で!?」

薬科のスタッフの一人が、食いつくように不律に聞き返してくる。
その表情は心配半分、焦燥半分といったところか。

「先ほど新国立競技場であった殺人事件については耳にしておるな」
「ええ、まあ…」
「そのことじゃが、鈴琳先生とその助手はその事件現場に赴いておってな」

薬科にいたスタッフのほぼ全員の顔に、今度は疑問符のついた怪訝な表情が浮かび上がる。
何を言わんとしているのかは不律にもわかる。丁度それを、スタッフの一人が聞いた。

「では、なぜ新国立競技場にまで?」

何故。メフィスト病院の医者でなくても誰しもがそう思うだろう。
本来医師が行うべき治療をすっぽかしてまですることがあった理由がなければ、納得するのは難しい。
そして、不律は「それはな」と言ってから息を少しばかり大きく吸い込み、コホンと咳払いしてから、少しだけ声を硬くして、続けた。

「まだ生きておる患者をメフィスト病院に誘導するのと――ドナー用に使える臓器や血液の残っている死体があるかを調べに行ったのじゃ」

それを聞いて、薬科の周囲であった喧騒が一気に静まり返る。
薬科周辺はメフィスト病院の騒がしさはどこ吹く風、と言わんばかりに凍てついたような静寂が支配していた。
妙な緊張感が、不律に走る。決して油断せずに、スタッフの顔色から目を離さないようにする。
周囲のスタッフの顔は呆けたように無表情だったが、次第に明るさを取り戻していった。
そして、スタッフの一人が言った。

「なんだ、そういうことか」
「う、うむ…」

胸のつっかえが取れたかのように、スタッフは心からの安堵の色を浮かべながら微笑んだ。

「わかりました。そういうことでしたら、院長や婦長から何かあれば、こちらからそう伝えておきます」

不律からアーチャーのいない理由を聞いたスタッフは一同に納得したようで、数秒後には解散し、何事もなかったかのように業務に戻っていった。
そこには、皺がれた顔の中に複雑な表情を残している不律だけが残されていた。
不律は無言で踵を返し、ロビーへと向かう。そろそろ行かなければ不律までペナルティをくらってしまう。

【私が言うのも何ですが、あんな理由でよかったのでしょうか…?】
【儂の思いつく限りでは、あれが理由としては最適じゃ。…不本意ではあるがな】

確かに、それを聞いてアーチャーと一ノ瀬志希が何を思うかは不律も理解している。
が、やはり「生きている患者をメフィスト病院に誘導するため」だけでは、理由としての説得力が薄い。
というのも、メフィスト病院にとっての患者は、『病院に救いを求めて来た者』。これに限る。
それは裏返せば、自分から行かない限り救いの手は差し伸べないということでもあり、自分から病める者を探しに行ってもメフィスト病院の方針とは矛盾してしまうのだ。

しかし『ドナー用の臓器』については、メフィスト病院に限っては説得力のある説明だった。
不律のデフォルトの役職がメフィスト病院の専属医である分、病院での常識というものはある程度は理解している。
その最たるものが、『臓器についての扱い』だった。
メフィスト病院は常にドナー用の臓器を求めている。それを手に入れた過程や理由を問わずに、だ。
提供された臓器によってどこを治療できるか、誰を治せるかということしか考慮せず、それをこの病院のスタッフは全面的に認めている。
そのため、代用の臓器を探しにいくことはメフィスト病院のスタッフからは「患者を救うための善意の行動」と捉えられやすく、
決して「死人を侮辱している」という悪の側面は目を向けられないのだ。
ゆえに、不律はアーチャーと一ノ瀬志希のいなくなった理由づけとして、多少血生臭くなることを百も承知でこれを使った。

【やはり此処はドクターメフィストの陣地…スタッフの皆さんも人の感覚からは途方もなくズレた方々ですね】
【まったくじゃ】

ここはメフィスト病院。
魔人の営む病院であり、そこに勤める者もまた魔界の住人であることを決して忘れてはならない。
それを、不律とファウストは改めて肝に銘じずにはいられなかった。

(…儂からしてやれることはやった。流石にお主らを綺麗なままで保つことはできぬ。いらぬ世話かもわからぬが…後はお主次第じゃ、アーチャー)

【それにしても、志希さんはとても優しい子のようですね】
【…まさか、友の危機に病院を飛び出すとはな】
【しかもそのお友達の殆どがNPCである筈。にも関わらずに起こした行動です。確かに戦略上は間違っているかもしれない。しかしそれは何よりも尊い。私も、見習いたいものです】
【……】

不律は、しばらく黙りこくってから肯定の意をファウストに返した。
少なくとも、かつての友を問答無用で斬り殺してきた自分に比べれば、友のために動いたというだけであまりにも眩いものがあることは言うまでもなかった。




【四ツ谷、信濃町方面(メフィスト病院)/1日目 午後2:40】

【不律@エヌアイン完全世界】
[状態]健康、廃都物語(影響度:小)
[令呪]残り三画
[契約者の鍵]有
[装備]白衣、電光被服(白衣の下に着用している)
[道具]日本刀、メフィスト病院のタブレット端末
[所持金] 1人暮らしができる程度(給料はメフィスト病院から出されている)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れ、過去の研究を抹殺する
1.無力な者や自分の障害に成り得ないマスターに対してはサーヴァント殺害に留めておく
2.メフィストとはいつか一戦を交えなければならないが…
3.ランサー(ファウスト)の申し出は余程のことでない限り認めてやる
4.アーチャーは警戒、しかし敵対する意思はなく、共闘も視野に入れている
5.一ノ瀬志希はできれば生かしておきたい
6.メフィスト病院の専属医としての立場を最大限利用する
7.外部で情報を集めてくれる主従を隙を見て探す
[備考]
  • 予め刻み込まれた記憶により、メフィスト病院の設備等は他の医療スタッフ以上に扱うことができます
  • 一ノ瀬志希とそのサーヴァントであるアーチャー(八意永琳)の存在を認識しました
  • 眠り病の呪いをかけるキャスター(タイタス1世(影))の存在を認識、そして何を行おうとしているのか凡そ理解しました。が、呪いの条件は未だに解りません。
  • メフィストが投影した綾瀬夕映の過去の映像経由で、キャスター(タイタス1世(影))の宝具・廃都物語の影響を受けました
  • ライダー(姫)の存在を認識しました。また彼女に目を付けられました
  • メフィスト病院が何者かの襲撃を受けている事を知りました。が、誰なのかはまだ解っていません
  • 支給されたタブレット端末で、番場真昼とバーサーカー(シャドウラビリス)のカルテを閲覧しました
  • 支給されたタブレット端末で、メフィスト病院の外で起きた出来事を調べていました。しかし集められる情報には限界があるようです。どの程度調べられたかは後続の書き手にお任せします
  • 一ノ瀬志希が病院を飛び出したことを知りました
  • 薬科のスタッフに対し、鈴琳(アーチャー)とその助手(一ノ瀬志希)は「まだ生きている患者をメフィスト病院に誘導することとドナー用に使える臓器や血液の残っている死体があるかを調べることを目的に事件現場(新国立競技場)に行った」と説明しました


【ランサー(ファウスト)@GUILTY GEARシリーズ】
[状態]健康
[装備]丸刈太
[道具]スキル・何が出るかな?次第
[所持金]マスターの不律に依存
[思考・状況]
基本行動方針:多くの命を救う
1.無益な殺生は余りしたくない
2.可能ならば、不律には人を殺して欲しくない
[備考]
  • キャスター(メフィスト)と会話を交わし、自分とは違う人種である事を強く認識しました
  • 過去を見透かされ、やや動揺しています
  • 一ノ瀬志希とそのサーヴァントであるアーチャー(八意永琳)の存在を認識しました
  • 眠り病の呪いをかけるキャスター(タイタス1世(影))の存在を認識、そして何を行おうとしているのか凡そ理解しました。が、呪いの条件は未だに解りません
  • ライダー(姫)の存在を認識しました。また彼女に目を付けられました
  • メフィスト病院が何者かの襲撃を受けている事を知りました。が、誰なのかはまだ解っていません
  • バーサーカー(黒贄礼太郎)に激しい怒りを感じています
  • 不律の受け持った患者の一部の治療を担当しました