Light shines on the heaven the earth the spirit Light brings glory and grace.
May it open your eyes to the truth Shanti Shanti...

(Gayatri Mantra )





遥かなる遠く――

例えるならばそれは大河だった。
見渡す限り光が走っている。地を越え、空を越え、その狭間の境界すらをも越え、限りない“果て”へと向かっている。
そのすべてが石のように美しく、時にはさんさんときらめき、時には、ふっ、とその気配を消す。
明滅が石となり、光芒が水となり、続く境界が流れとなる。そうして光は一つの巨大な大河となる

彼ないし彼女は知っている。
その光ひとつひとつが“全て”であり“一”であり、“世界”であり“空”であることを。
手に取れば転がせそうな光ひとつひとつが宇宙なのだ。

幾億数千万の光が目の前に広がっている。それは同じ数だけ宇宙が存在することを意味する。
光は宇宙であり、宇宙は光なのだから。

そこに“果て”などなかった。目を凝らし先を見て、これで終わりだ、と思っても次の瞬間には、ぱっ、と視界が広がり更なる光の支流が現れる。
世界の“果て”を求めることは、自分の背中を追いかけることと同義だっだ。“果て”を求めたところで回帰する場所は一つしかない。

――そうして大河は何時しか海となっていた。

光の海。1000000000000の宇宙が1000000000000のきらめきを持って消えていった。
寄せてはかえし、寄せてはかえし、波が海を駆け抜け、音を奏でていく……

彼ないし彼女はその光の王であった。

存在とはすなわち振動である。
すべての粒子が正しく振動することで物質は生まれ、消滅する。
しかし振動する粒子本体は消えない。別の振動数に移り、また別の物質が生まれる。
そうして宇宙は存在という永遠の音楽に充たされ、変化しつつも決して絶えることはない。

彼ないし彼女もかつては音楽の一部だった。
コーラスの一部であり、奏でる弦であり、音楽そのものでもあった。
しかし彼ないし彼女はそこから抜け出し、シンフォニーを守る調律者/チューナーとなった。

『かつて上位存在が下位存在に転落したことがあった。それが一つの音楽を歪ませ、歪みが君たちを生んだ』

どこかでその猫は喋った。
どこまでも続く無限の宇宙のどこかでその猫は喋っている。

『かつて、という表現は本来ここでは正しくない。時とは因果の一次元的な定義に過ぎない。
 この言葉は過去であり、現在であり、未来であり、そして同時に何物でもない。
 その上で調律者たる君たちに私は語りかけている。』

光の海は音を奏でている。静かに、雄大な響きを持ってして。
その響きを調律するものこそ、彼であり、彼女であり、あるいはもう一人の彼であった。

『時の上に偏在するもの、涅槃に達したるもの、光の王たちよ。
 君たちはだから、これから遠い未来たる過去を生きることになる。それが君たちの現在となる』

猫は――あるいは彼ないし彼女はその言葉の意味を知っていた。
無限なるもの。それはかつてニルヴァーナと呼ばれ、そして“果て”でもあった。
それを知っているからこそ、彼ないし彼女はこの光すべてに存在することができる。
1000000000000の宇宙には1000000000000だけ彼がいて、彼女がいる。
それは1000000000000であり3であり1である。

故に――猫は、そして彼ないし彼女はこう言うのだ。

『時に偏在するものたちよ。君たちはどこにでもいる。この宇宙すべてに彼らは偏在し、世界の調べを守っている。
 存在を脱したものはもはや因果に縛られることはない。
 だから調律者/チューナーはどんな場所にも姿を現すことができる。どんな形でも、姿でも、人でも、猫でも』

あるいは、と付け加えるように、

『かつての姿、悪魔――あすらの王として、君たちは存在している』






オリジナルの九十九十九がトランクからロータリーに降り立つ。僕と同じ顔、同じ体の九十九十九。美しすぎる。でも本当は醜い。
オリジナルの九十九十九が姿を見せたときに、もう一人の九十九十九も現れる。緑色の四角の中に赤い7。もうひとつの≪玉座≫、セブン・イレブンから。

(九十九十九)








その街に彼女が訪れたのは夜だった。
駅。雑踏。あふれでる人々の足音。靴音がごたごたとうるさい。
ある者は疲れた顔を浮かべながらも帰路につき、ある者は「ははは」と調子の外れた声を上げて笑っている。
復興した街。21世紀初頭。日本――東京。

「あ……」

口を開くと声が出た。
それはほかの誰でもない――彼女の声だった。
彼女は他人ではなかった。彼女には彼女だけの身体があった。
短く切りそろえられた黒い髪がある。夜に溶け込むような黒い瞳。人形のような白い肌。
どれもが彼女のものであり、彼女のものでしかない。
ああそれがなんて――不思議なことだろう。

目の前にはこんなにも多くの人がいる。
くたびれたサラリーマン。ぽっこりお腹のでた中年男性。にこやかな笑みを張り付ける若い女。
そのどれもが人であり、同じ生き物であり、本来ならば区別のない存在だった。

けれども彼女は彼らではない。
彼女は彼女でしかない。駅に現れ、立ち尽くす少女は、そう、彼女でしかないのだ。

彼女は不思議な顔をして目の前の自分でいない誰か達を見た。
誰かが誰かと共に話している。その隣で全く関係ない誰かが端末を開いている。
この街は自分でない誰かで溢れている。

みんな、誰かだった。
それ以外のものではない。ただ“自分ではない”という一点のみで彼らは定義されている。
しかしそれは逆説的に自分を“自分ではない、ではない”という意味でしか定義できないことでもある。

おかしな話だ。何の意味も持たない、歪な世界。
彼女にはそう見えた。

……それが起こるまでは。




……シッダールタがこの川に、千の声のこの歌に注意深く耳を澄ますと、悩みにも笑いにも耳をかさず、魂を何らか一つの声に結びつけず、自我をその中に投入することなく、すべてを、全体を、統一を聞くと、千の声の大きな歌はただ一つのことば、すなわちオーム、すなわち完成から成り立っていた。

(シッダールタ)





それは静かに現れた。
赤子の寝息のように穏やかに、それは存在を結んだのだ。
ふわり、とその姿が輪郭を持った。

それは人のカタチを持っていたが植物と同化しており、身体をつたう蔦が緑を湛え生命を芽吹かせている。
纏う雰囲気は一言でいえば、静、である。
虚空に座り込み動かない。それでいて穏やかな生命の波が彼を中心にたゆたっている。

――端的に言って、彼はサーヴァントであった。

<新宿>で発生した聖杯戦争に呼ばれし英霊である。
そうした具体的な状況と紐付けされることで――彼女は名前を得た。

私。
自分の名前。
セラ。

セラがセラであると気付いたとき、彼女は、はっ、と顔を上げた。
けれどその瞬間にはサーヴァントは既に姿を消していて、あるのはもはやただの街だ。
何の変哲のない。ただの、普通の街。

――ただの?

セラは己の抱いた印象に疑問を抱いた。
この街の状況を、当たり前のもの、と考えている自分自身が発生したことが、ひどく意外だった。

「え……ここ」

言葉が滑り落ちた。当たり前のように発音され、そして街に呑みこまれ消えていく。
普通のことだ。セラはなぜ自分がその“当たり前”に疑問を抱いているのかが分からなかった。

――セラは、そこに至って、同時に自身が何も覚えていないことに気づいていた。

自分を得た。
名前を得た。
けれどそれだけだった。

自分がどうしてここにいるのか、セラには分からなかったのである。

しかし聖杯戦争という言葉は分かるのだ。
そのルールも、舞台となるこの街のことも。
けれど、その前後の文脈がすっぽりと抜け落ちているのである。
台本を渡され、役割とセリフを与えられた。それをどうこなせばいいのかは分かる。
けれど――そもそも自分が何故演じているのかが分からない。
そんな奇妙な欠落感がセラを貫いた。

けれど同時に彼女は納得もしていた。
サーヴァントとの縁/パスから伝わってくる温かな意思。
その温かさに縛られる――定義されることは決して間違っていない。

自分は確実に何かをしに――堕ちてきた。
<新宿>に、この街に、この東京に、この世界に。
遥かな遠くよりなすべきことをなしに来たのだ。


それを理解した時、セラは孤独を覚えた。
自分を得た。他人を得た。縁を得た。そこまでいって――初めてセラは自分が今一人であることを意識したのだ。
地には無数の人たちがいて、街はきらびやかに脈動している。摩天楼に切り取られた空は暗い。けれどその向こうには星があるはずだ。
その星の海の下で彼らは生きている。
堕ちてきたセラもこれから歩かなくてはならない。たった一人で何もないままに。

――貴方はどこにでもいて、どこにでもいない。けれど今は確かにここにいる。

その孤独を感じ取ったのだろう。セラのサーヴァントは穏やかな口調で語りかけてくれた。

――ならば見届けることができる。涅槃より降り立ったあすら王よ、この業の結末を共に……

その言葉に込められたものをセラは知っていた。
きっとそれは慈悲と呼ばれるものだった。







遥かなる遠く――

あすら王たちと一つになった少女。
顕現せしはブッダ。
彼らは共に堕ち、そして出会った。






【クラス】
セイヴァー

【真名】
覚者(ブッダ)@Fate/EXTRA

【ステータス】
筋力A 耐久A 敏捷C 魔力B 幸運B 宝具A++

【属性】
秩序・中庸

【クラススキル】
  • カリスマ:A+
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。生前は王として君臨した三者は高レベル。
A+は既に魔力・呪いの類である。

  • 対英雄:B
相手の全パラメータを、英雄なら2ランク、反英雄なら1ランクダウンさせる。

【保有スキル】
  • 菩提樹の悟り:EX
世の理、人の解答に至った覚者だけが纏う守護の力。 対粛清防御と呼ばれる“世界を守る証”。
EXランクでは物理、概念、次元間攻撃等を無条件で自身のHP分削減し、精神干渉は完全に無効化する。
スキル「神性」を持つ者は、ある程度このスキルの効果を軽減出来る。

  • カラリパヤット:EX
古代インド式の武術。才覚のみに頼らない、合理的な思想に基づく武術の始祖。攻めより守りに長けている。
セイヴァーは格闘技において、勝るのは氷室の天地版プラトンぐらい、と無双を誇る。

【宝具】
『一に還る転生(アミタ・アミターバ)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:零 最大補足人数:1人
セイヴァーの大宝具である究極の対個人宝具。下記の『転輪聖王(チャクラ・ヴァルティン)』の最大展開。
人類創生に匹敵するエネルギーを集中し、解放する。その時点の人類史の長さや版図の広がり、言い換えれば人口等によって威力が変動するが、何十億人分ものエネルギーを受けるため、理論上これに耐えられる人類は存在しない。EXTRAにおけるダメージ値は五十六億七千万(EXTRA世界の地球人口と同数と思われる)で、これを上回る威力を持った宝具は存在しない。
また、人類を救う最終解脱説法なので、人外にあたり、かつ存在の規模が人類の版図を超えた存在が対象となると、無効化はされないが効果が軽減してしまう。

『転輪聖王(チャクラ・ヴァルティン)』
ランク:? 種別:? レンジ:? 最大補足人数:?
セイヴァーの小宝具である、相手を倒すための武具。『転輪聖王』とは古代インドの理想の王を指す。本来セイヴァーは徒手空拳で戦うが、この宝具は飛び道具で攻撃を行う。セイヴァーの背にある曼荼羅のようなこの宝具に順番に7つの光が灯り、全てが揃うと『一に還る転生』が発動する。
字コンテではセイヴァーの上空に展開される7kmの光輪であり、範囲内に光の矢を放つ全天方位型の移動砲台と解説されていた。
チャージすると光の輪は増えて七つ揃い虹を思わせる姿になったりなどの案も考えられていたが、製作コスト面からボツになった。そのためどこまで当初の設定が反映されているか不明。
ゲーム中の戦闘では7kmの光輪や相手を攻撃し続けるビーム砲台といった要素はない(やろうと思えば出来るのかは不明)が、通常攻撃時や『一に還る転生』発動時にビームが多数放たれたりなど名残と思わしき描写は残っている。


【人物背景】
英霊としての彼は原作参照。
基本の7クラスには該当しない、特別なクラスのサーヴァント。
「Fate/EXTRA」のラスボスにして究極の出オチ。
聖杯戦争終了後、熾天の玉座にて主人公を待ち構えるトワイス・H・ピースマンが従えるサーヴァント。
本来は神霊をも超える力を持つがサーヴァントとして召喚に応じた為、如来(悟りを開いた仏)としてのそれ程には力や権限は無い。
余談だが、元ネタの仏教での三千大千世界は『大銀河団規模』が尺度を持ち、如来と違い悟りを開けていない菩薩ですら、太陽系くらいは軽く管理している。
ただし、サーヴァントとしても規格外の強さを誇り、キャス狐がこれまで戦ってきたサーヴァントとは格が違うと称する。



【マスター】
セラ@クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー

【マスターとしての願い】
???

【weapon】
特になし

【能力・技能】
記憶喪失。聖杯戦争のルールや東京についての知識はある。
けれど自分が何故ここにいるのかは思い出せないでいる。

【人物背景】
かつてどこかの宇宙であすらの王と一つになり、次元の調律者となった少女。