シンジは思う。
 ――失敗した、と。
 同盟相手の調達に焦る余り、早まった判断をしてしまった、と。

 間桐シンジは、新宿の聖杯戦争に参加するつもりなどなかった。
 いや、そもそも彼はこのような魔都が存在しているという事実からして聞いたことがなかった。
 よしんば知っていたとしても、足を踏み入れることはしなかっただろうと断言できる。
 自分が参加を決めたのはムーンセルの聖杯戦争であり、間違ってもこんな訳の分からない町の戦争ではないのだから。
 しかし、彼は今その<新宿>にいる。
 理由は定かではない。
 天下無敵のムーンセルにおける、何兆分の一かの小さな可能性から生じたバグに足元を掬われたのか、それとも若き天才児である自分を妬んだ何者かが小癪な真似を働いたのか……どちらにせよ、彼にとってはたまったものではない。
 月の聖杯戦争に参加した暁にはこうしてやろう、ああしてやろうと色々な策を練っていた。
 それも全て水の泡だ。こんなふざけた運命の悪戯のせいで、自分の計画はご破算。

 想定外の事態に極めて弱いシンジに冷静さを失わせるには、今回の"予定外"は十分なファクターだった。

 結果。
 シンジは同盟の締結に躍起となり、聡明な彼らしくもないミスを犯す。
 それが今、この矜持の高い少年へ屈辱を与えているスキンヘッドの魔術師だった。
 彼が召喚したのはバーサーカーのサーヴァント。
 狂化の適性が非常に高く、宝具も強力なものを持つ――それを知るなり、シンジは自身のサーヴァントとの意見交換さえしないままにスキンヘッドとの同盟を取り付けた。
 尤も、プライドだけは一人前の彼のことだ。
 仮に話し合ったところで、同盟を結ぶ以外の選択肢は存在しなかったろうが。

 そして――案の定、例の如く同盟相手はシンジへ刃を向けた。
 彼曰く、もはや用は済んだのだという。
 なんでも厄介な主従がおり、目障りなそいつらを消すために戦力が必要だった。
 だからシンジを懐柔し、彼を体よく利用する形で立ち回り、無事に敵を討った。だから、最早シンジ達に用はない。

 「ま、そう顔を真っ赤にして怒らなくてもいいじゃねえのよ。
  俺、これでもお前のことは評価してたんだぜ? 
  ガキな所が玉に瑕だけどよ、そこらのボンクラよりかはよっぽど優秀だった。
  ――ま、だから見切りを付けたんだけどな。優秀な仲間ってのは、裏切った時に一番めんどくせえからよ」

 シンジの耳に、男の声は届いていなかった。
 彼の中では、強い後悔の念と焦りがグチャグチャになっている。
 さしもの彼も、この状況には悟らざるを得ない。即ち、自分の敗北を。聖杯戦争における死を。
 魔術師の傍らで、赤い眼光を瞬かせ、狂戦士が大斧を構えている。
 あとは指示一つあれば、あの大斧がシンジの頭を潰れた柘榴のようにしてしまうことだろう。
 悪足掻きをしようにも、間違いなく自分が何かアクションを起こすより、敵が自分を殺すほうが早い。
 つまり、完全に詰んでいた。チェスの天才であるシンジをして、打開不可能と言う他ない盤面が完成していた。

 「クソッ……クソッ! 何でこの僕が、こんなトコで――――!」

 「ま、冥土の土産に教えてやるよぉ。シンジ君」

 にぃ――と口を三日月に歪めて、スキンヘッドの魔術師が下卑た声で呟いた。


 「ルールってのは、破るためにあるんだよ。同盟のルールだろうが、何も変わらねえ」 


 それと同時に、狂戦士が斧を振り上げ、勢いよくシンジめがけ振り落とす。
 すでに廃止されて久しい、断頭台という処刑法を彷彿とさせる殺人方法がシンジを襲う。
 間桐シンジは走馬灯を見ない。今際の際に体感時間が引き伸ばされるという現象のみを体感していた。

 (はは……まあ、そうだよな。死に際に思い出すようなコトなんて、僕にはないし)

 つまらない人生だった。
 だが、このまま目の前のゲスな男に潰されるだけでは余りにやり切れない。
 だから、最後に減らず口の一つでも残してやろうと思い立つ。
 ルールは破るためにある? ――その発想が既に、シンジにとっては気持ちが悪い。

 間桐シンジは"ゲーマー"である。
 ウィザードでありながら、アジア圏屈指のゲームチャンプとして知られる名うてのクラッカー。
 ゲームで勝つためなら、彼は小汚い小細工だってする。
 現にシンジが相手の立場だったなら、同じことをしたかもしれない。
 だからこれは、ある意味で自業自得の結果でもある。
 しかしだ。そんな彼にだって、プライドとはまた違った部分での矜持がある。

 「……分かってないなあ、お前」 

 ゲームというのは、ルールの範疇で遊ぶからこそ楽しいもの。
 今回のように小細工の範囲ならばまだしも、そこから逸脱すれば立派なチート行為となる。
 シンジは思う。
 きっとこの男は、ゲームをやらせたら不正ツールで強化したキャラクターでオンラインゲームに出てくるような、マナーもへったくれもない底辺プレイヤーだ。
 俺が楽しいんだからそれでいいとか、バカみたいな理屈を並べて自分を正当化する、プライドも何もない屑野郎だ。
 僕も卑怯者だって自覚はあるけど、一緒にしてくれるなよ、このハゲ頭。

 「いいか、ルールってのはさ――」 

 その悪態もそこまで。
 斧は振り下ろされる。
 引き伸ばされた体感時間の終わりは唐突に訪れ、シンジは思わず反射的に目を瞑ってしまった。


 しかし。
 いつまで経っても、痛みや衝撃はやって来ない。
 痛みを感じる間もなく即死させられたのかとも思ったが――


 「……ああ? なんだ、てめぇ」 


 シンジの耳に入ってきたのは、動揺を含んだ魔術師の声だった。
 恐る恐る瞼を上げてみると、そこには驚くべき光景があった。
 シンジと狂戦士の間に割り込んでいたのは、一人の剣士。

 伝説上のエルフのような耳を持った謎の男が、バーサーカーの攻撃を真っ向から受け止めていたのだ。

 「フフ。お前、小さいヤツだな」

 聞こえてくる声は、シンジのものでも、魔術師のものでもない。
 しかし、どちらにとっても聞き覚えがあった。
 シンジにとっては、使えないサーヴァント。
 焦る余りロクな意思疎通もせずに外れと片付け、手綱を相手の男へ半ば握らせていたキャスターの英霊。

 星を思わせる赤髪と、前髪に混じった金髪。
 ――何度見てもどうなってるんだその頭、と聞きたくなったのをよく覚えている。 
 体格で言えば今のシンジよりもひ弱そうでありながら、しかしその眼に宿る眼光は紛れもなくサーヴァントのもの。
 首から提げた黄金の逆三角錐へあしらわれている眼の装飾は――ウジャト眼、とか言ったろうか。

 「……ぶはっ、誰かと思えばシンジ君のサーヴァントかよ。
  キャスター風情が出てきて、俺のバーサーカーに敵うとでも思ったか?」
 「いいや、オレはアンタのサーヴァントなんかと戦うつもりはないぜ」

 チッチッ、と指を振って挑発するキャスター。
 それに苛立った様子で舌打ちをすると、魔術師はバーサーカーへ殺せ、と指示を出す。
 エルフの剣が砕け散り、その身体は両断された。 
 だが、追撃がキャスターを捉えることはない。
 また新たな――今度はトランプの「クイーン」を思わせる女剣士が割って入り、再びその歩を止めたのだ。

 「アンタ、ルールは破るためにあると言ったね! なら、どうだい。オレと一つゲームをしようぜ!」
 「……ゲーム?」
 「そう、簡単なゲームさ! 仮にアンタがオレに勝てば、オレはゲームのペナルティで闇に飲み込まれるだろうぜ」
 「ほう? ……じゃあ、俺が負ければどうなるってんだ?」
 「もちろん、罰ゲームを受けてもらう。
  安心しな、殺しはしないぜ。ただちょっと、ルールの大切さってのを知ることになるくらいさ。
  それとも……アンタは、「キャスター風情」に恐れを成しちまうようなチキン野郎なのかな」

 宝具を使ったイカサマもないと約束しよう。
 そう言って両手を上げてみせるキャスター。
 安い挑発ではあったが、シンジに負けず劣らずの高い自尊心を持った魔術師には覿面だったようだ。

 「面白え……乗ってやろうじゃねえか!」
 「オーケー! そんな勇気あるアンタに、オレが挑むゲームは――これだぜ」

 言えば、キャスターは路傍に無造作に投げ捨てられていた積み木のおもちゃを取り上げ、自分と魔術師の間へぶちまける。

 「ルールは簡単さ。この積み木は全部同じサイズの長方形をしている。
  こいつを縦長に構えて、一個ずつ地面に積み上げていくんだ。後はもう分かるだろう?」
 「先に崩した方が負けってことか」
 「幸い今日は風のない日だ。互いのプレイング以外に勝負を左右する要素はない……
  先手は譲ってやるぜ! このゲームはバランス感覚が要求される……二手目からでも十分崩れるってことはあるはずだ。ちょっとしたハンディキャップってやつだよ」
 「……舐めやがって」

 苛立ちを隠そうともせずに、魔術師は積み木の一個を拾い上げる。
 そしてそれを縦に持ち直して、地面へと立てた。
 すると、どうだ――地面が完全な平面ではないからか、たったの一個でさえかなり不安定。

 ドクドクと、心臓が打楽器になってしまったかのように喧しく音を立てる。

 「ほー……! なかなかおもしろいゲームじゃねえか」

 次に、キャスターが積み木を手にする。
 彼は、今しがた魔術師が置いた積み木の上に次の木を置き――倒れない。

 「さ、次はアンタの番だぜ」
 「言われなくても分かってらぁ! チッ、ムカつく餓鬼だ……」   

 口では悪態をついていたが、彼の内心は焦燥感に満たされていた。
 キャスターが最初に言った通り、このゲームには慎重さとバランス感覚が要求される。
 少しでもそれを崩せば途端に積み木は崩れ、自分の負けが確定してしまう――

 (いや……待てよ? ヘヘ……そうだ。縦に積み上げるってのがルールだが、別に積み方に指定はねえ……)

 これだ。
 この方法でなら、ムカつくキャスターをぎゃふんと言わせて打ち破ることができる。
 男は積み木を新たに拾い上げると、キャスターの置いたそれと交差するような形で積み木を積んだ。
 上から見ると、ちょうど積み木がX字を描いているように見える。

 「へえ……やるね! だが、アンタはそれを後悔することになるぜ!」

 しかし。
 それくらいのことは、このキャスターだって想定している。
 キャスターは積み木を迷わず、しかし男がしてみせたように交差はさせず、前と同じ形で載せた。
 グラグラと積み木が揺れ、揺れ、揺れ、揺れ――止まる。

 (な……畜生! 何で崩れねェんだ!?)
 「ふう……少しヒヤッとしたが、これならまだまだいけそうだぜ。――さ、どうした? アンタの番だ、魔術師さんよ」

 積み木を持つ手が、震える。
 このままでは自分の手の震えで木を崩してしまいそうなほど、小刻みに震えている。
 落ち着け。
 落ち着け。
 落ち着け――俺なら、このくらいは余裕でできる筈!
 意を決して、手にした木を積んだ。
 ぐらぐらと揺れた後――止まる。

 「は、はははは! そら、てめえの番だぜキャスター! いくらてめえでもここまでくりゃ――」
 「フフ……違うぜ。アンタの番さ」

 魔術師は、頭の血管が切れるのではないかと錯覚した。
 自分があれほど苦労して積んだ積み木の上に、キャスターはもう木を積み終えているのだ。
 毛ほどの迷いもなく、載せたあとの揺れにも動揺していない。
 イカサマを疑いもしたが、ゲームの形式が極めてシンプルな以上、その可能性は彼自らが否定することとなった。

 そして――

 積む。
 積み返す。
 積む。
 積み返す。
 積む。
 積み返す。

 そんなやり取りを、四往復ほど続けた頃。


 「―――う、うおおおおおおお!!」


 プレッシャーと焦りに堪えられなくなったのか、ついに魔術師は叫び始めた。
 一方のキャスターは、相変わらずの不敵な笑みで彼を見ている。
 それが癪に障った魔術師は、最早ゲームのルールなどかなぐり捨てて叫んだ!
 こんな遊びに付き合ってやる理由はない――こっちのサーヴァントを使って、虫ケラのように蹴散らしてやる!

 「バーサーカーッ! この餓鬼をブチ殺せ!!」

 バーサーカーは呼応するように、既存の言語に当て嵌めることの出来ない咆哮をあげる。
 勝ちを確信する魔術師だったが、彼は未だ気付いていなかった。
 ルールを破るという行為。闇のゲームでその行いに手を染めることが、果たして何を意味するのかを。

 「フフ……予想通りだぜ! ルールを破ったな、魔術師!!」
 「ッ――な、なんだ……!?」
 「ルールを破った者には、罰が与えられる――」 

 キャスターは右手で、魔術師の眉間を指差した。
 そして。
 敗者、ゲームのルールを守らない愚者に相応しい「罰ゲーム」が……彼の手により、執行される。


 「  罰  ゲ  ー  ム  !  !  」





 「な……なんだこりゃあ!?」

 瞬間――魔術師の視界を埋め尽くすのは、数え切れないほどの"ルール"の数々!
 常識的なマナーから万国共通の法律まで、様々なルールが所狭しとその視界に浮かび上がってくる。
 ゴミ箱を見れば、《燃えるゴミと燃えないゴミを一緒にしてはいけない》
 道路を見れば、《ポイ捨ては禁止されている》
 建物を見れば、《建築物に落書きをしてはいけない》
 もはや、魔術師には目の前が見えなかった。
 一面のルール、ルール、ルール、ルール、ルール、ルール――それは彼の精神を、いとも容易く発狂させる。

 「ひ、ひぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいっ!! やめろ、やめてくれぇぇぇえええええええ――――!!」

 ◆


 その後の顛末は、実に簡潔なものだった。
 バーサーカーにはキャスターの宝具で応戦しつつ撤退し、予め確保しておいた拠点住居へと逃げ帰る。
 ……あの"ルール"に埋め尽くされた魔術師がどうなったのかは、シンジにも、そしてキャスターにも定かではない。
 もしかするとどこかで敵に狩り殺されたのかもしれないし、今もなお規則だらけの視界で生きているのかもしれない。
 だが、もう一度シンジ達の敵として立ち塞がることはきっとないだろう。
 敗者は敗者らしく消えるのがルール。――そこに例外はない。

 では、勝者の彼らがどうかと言えば。

 「へー! シンジくん、ゲーム上手いんだね!」
 「当然だろう? まあ君も、アジアチャンプの僕と五分で戦えるってんだからなかなかのものだと思うよ」

 すっかり元通りのペースに戻っている間桐シンジと、先の威勢がすっかり消え失せているキャスターの少年。
 二人は、拠点内でゲームに興じていた。
 と言っても、テレビゲームではない。
 その辺で簡単に買えるような型遅れのアナログゲームで気ままに遊んでいる。
 この二人、どちらもゲームの腕前は一級品だ。
 一見ただ遊んでいるだけに見えて、その水面下では高度な読み合いや戦略が張り巡らされている。

 「それでさ、キャスター」
 「違うよ。ボクは――ボクは、武藤遊戯。キャスターはもう一人のボクさ」
 「……あっそ。じゃあ武藤、そのもう一人のボクとやらは、本当に聖杯はいらないのかよ?」

 キャスターへ一度は押した、粗悪な雑魚サーヴァントという烙印を撤回したシンジだったが、一つだけ未だに腑に落ちない事があった。それがこれ。なんとあのキャスターは、聖杯に託す願いを持たないのだという。

 「うん。もう一人のボクには、これ以上叶えたい願いなんてないんだってさ」
 「ふーん……変なやつ。――おっ。ほい、4カード」
 「へへへ、そうはさせないよ。ボクは――ストレートフラッシュ!」
 「……オマエ、ちょっと運良すぎない?」
 「あはは……よく言われるよ」

 でも、まあ。
 こういうサーヴァントも、悪くないかもしれない。
 再び五枚ずつのカードを配りながら、シンジはふとそんなことを思うのだった。 






【クラス】
キャスター

【真名】
アテム@遊☆戯☆王

【パラメーター】
筋力:E 耐力:D 敏捷:E 魔力:A 幸運:A+++ 宝具:EX

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
陣地作成:A
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
 千年アイテムの担い手が拓く陣地はただ一つ。
 闇に満たされた、互いの破滅を懸けたゲームである。

道具作成:D
 魔力を帯びた器具を作成できる。
 適性がなく、道具に魔力を込めることで最低限の指向性を持たせる程度。

【保有スキル】
遊戯王:EX
 「カリスマ」と「軍略」の複合スキル。格は双方Aランクに相当する。
 数々の強敵を相棒と彼を支える仲間共に下し、ついには決闘者の頂点に君臨した彼のみが保有するスキル。
 天下無双の三幻神を従えた王としてのキャスターを前に勝利した決闘者はただ一人のみ――

二重人格:A
 アテムと、彼が憑依した器である「武藤遊戯」の人格は表裏一体。
 「武藤遊戯」が表層に出ている内は、いかなる宝具を用いても彼をサーヴァントと看破できない。
 ただし、何かしらの理由でアテムが遊戯の中に存在することを見抜いた場合、このスキルはその人物には通じなくなる。

見えるけど見えないモノ:EX
 かつて絶望的な状況に際した時、仲間との絆によって封印されし神の最後の1パーツを引き当てた逸話の具現。
 キャスターが窮地に立たされた場合、彼の幸運スキルはEXランクにまで上昇する。
 英霊の座に召し上げられても尚、彼とその友の友情の証が潰えることは決してない。

闇のゲーム:A
 キャスターは、相手に闇のゲームを挑むことが出来る。
 ゲーム内容は彼が提示する場合が殆どだが、共通しているのは闇のゲームの敗者には罰が与えられること。
 キャスターが闇のゲームに勝利した場合、彼は例外的に相手へあらゆる防御耐性を無視した「罰ゲーム」を叩き込むことが出来る。――ただし、対魔力スキルのある相手には基本通じないスキル。

【宝具】
『決闘王の記憶(レジェンダリー・コレクション)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
 キャスターのような『決闘者』にとって、魂にも等しいカードデッキ。
 それらはただの紙切れでありながら、あらゆる魔術をも凌駕し得る可能性を秘めている。
 このデッキ内に存在するカードには三種類存在する。
 一つは魔物を召喚し、最大五体までの使役を可能とする「モンスターカード」。
 一つは不可思議な事象を引き起こし、王の決闘をサポートする「魔法カード」。
 そしてもう一つが、盤面へ伏せ、相手の行動をトリガーとして発動させる「罠カード」。
 キャスターのデッキ内には所謂「雑魚」カードも入っているが、どれも他のカードとの組み合わせで無限の戦略を生むことができる。逆に言えば、彼以外にこの宝具を使いこなすことは叶わない。

『決闘王の栄光(ロード・オブ・アテム)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:1~1000
 双顎を持つ赤き竜――オシリスの天空竜。
 剛腕を持つ青き巨人――オベリスクの巨神兵。
 黄金の躰を持つ不死の鳥――ラーの翼神竜。
 一度は彼の好敵手として現れ、そして最後には「創造神」召喚の鍵となった三体の神を召喚、使役する。
 この神はEXランク相当の神性を持つ。
 本来、聖杯戦争で神霊の類は召喚できないが、古の三幻神はあくまでもキャスターのカードデッキを媒介として召喚されているため、聖杯戦争のルールから逸脱した存在として顕界している。

『光の中に完結する物語(ジェセル)』
ランク:EX 種別:対神宝具 レンジ:1~1000 最大捕捉:-
 ファラオの名の下に三幻神を束ねることで誕生する創造神。名を、ホルアクティ。
 その創世の光は、世界を暗黒に落とし込んだ大邪神ゾーク・ネクロファデスを一撃で消し去った。
 宝具としての破壊力は最早語るに及ばない。
 一度の真名解放で、創世の光は敵対者を母性にも似た浄化の力で霧散霧消させる。
 ――だが、この宝具には大きな弱点が存在する。
 一つは、言わずもがな三体の神を並べねばならないこと。
 そして、真名解放には絶大な魔力を消費せねばならない為、発動は即ちキャスター・アテムの消滅を意味する。
 創造神を呼ぶ瞬間こそが、再度動き始めたファラオの物語に、新たなる終止符が打たれる瞬間でもあるのだ。

【weapon】
 デュエルディスク


【人物背景】
 古代エジプトのファラオ。
 黄金のパズルに導かれて相棒と出会い、
 蒼き眼の龍を担う好敵手と闘い、
 仲間に支えられながら神を討ち、光の中に消え去った。
 願いはない。なぜなら彼の物語は、すでに完結している。


【マスター】
間桐シンジ@Fate/EXTRA

【マスターとしての願い】
自分の名前を記録に残したい。

【能力・技能】
 ハッカーとしての天才的な腕前。
 物心ついた頃から自主学習の繰り返しの日々を送ってきたためか知力は非常に優れており、実年齢にそぐわない高等教育レベルの学力を保有している。
 チェスの腕前は、ムーンセルの管理AIに匹敵する演算能力を持つ人物を相手に善戦するほど。
 扱うコードキャストは相手サーヴァントの幸運値を低下させるloss_lck(64)。漫画では敏捷を低下させるものやCCCでは小攻撃+スタン効果を与えるshock(32)も使ってくる。

【人物背景】
 没落した貴族が西欧財閥から優良遺伝子を買い取り、跡取りとして生み出したデザインベビー。
 両親からはまともな愛情は向けられていなかったようで「物心ついた頃から部屋を与えられて勉強をしていた」と語っており、どうやらネット世界ではともかく、現実世界では友人がいなかったらしい。
 自身の境遇については「ドライなの好きだし」と悲観していないが、寂しさは感じていた。
 自分の名前を記録に残したいという願望から聖杯戦争に参加したため、「命の奪い合い」という意識はなく、ゲーム感覚。
 ムーンセルの聖杯戦争に参加するはずが<新宿>にやって来てしまい、やや混乱気味である。
 ちなみに外見はムーンセルの彼の姿。

【方針】
 なんだかよくわからない。
 けど聖杯戦争だというのなら勝ちに行く。