<新宿>はかつて大地震による被害に見舞われた。

復興には時間と人材と資金を要する。

全てをつぎ込んだことにより、<新宿>は念願の平穏を掴み取る事ができた。



そして――平穏な<新宿>で聖杯戦争の幕が上げられる。




聖杯戦争、サーヴァント、マスター。
何でも願いが叶う。
全てを把握した少女は、ぬーんと呆けている。

「市松は色々お願いはありますが、一体どうすればいいのでせうか」

と、少女――市松こひなは言う。
確かに願望機は夢のようなものであるが、いざ何を願うか想像してみると何も浮かばないものだ。
さておき、もう一つ重要な事実がある。

こひなのサーヴァント――バーサーカーの姿がどこにもない。
何も始まらないので、そのバーサーカーを探そうと立ち上がったこひな。
先に腹の虫が鳴った。

腹が減ってはなんとやら
こひなは遠慮なく好物のカプ麺(カップラーメンのこと)を幾つか取り出し
夕飯のカプ麺をその中から一つ選び、お湯を注ぎ終えた。

瞬間! こひなに電流が走る!!!

視線を感じる。
異常な視線に対し、こひながハッと顔をあげ、周囲を見渡す。
日本ではよくある押し入れの襖がほんのわずか開いており、隙間から何かが覗きこんでいた。

人形。

大人一人が入る着ぐるみと称した方がいいかもしれない。表情の変化のないソレが、こひなに視線をぶつけている。
間違いなくソレがバーサーカーであろう。
さすがのこひなも無言になったが、双方共に動きはなかった。

「……狼のバーサーカーさん?」

動物の狼っぽい外見なので、こひなはそう呼ぶ。
返事もないし、動きもない。
ぬーんと様子を伺ったこひなだが、いつの間にかカプ麺が完成していた。

「これは市松のカプ麺なのです。譲る訳にはいかないのです」

呼びかけてみたがバーサーカーは微動だにしない。
反応なし。
そもそも人形で、バーサーカーなので理解力があるかも不明。
こひなはぬぬと心の奥底で思う。

バーサーカーも人形、そして自分も『人形』
人形の頂点をかけた戦が今ここで火ぶたを切られたのだと。



朝。

「市松は学校に行きます」

そう宣言するこひなを余所に、バーサーカーは玄関近くの扉の隙間からそれを見届けた。

こひなは相変わらずの日常を送っている。
ただの小学生。
復興した<新宿>の学校――生徒数は多いとは呼べないほどであったが、そこへこひなが一人加わった。
そんな状態。
居候のコックリさんたちがいないだけで、こひなは以前と変わらぬ生活と感じている。
相変わらず、子供一人に対して広々とした一軒家が<新宿>に用意されており、こひなだけが住んでいた。

一方で、コックリさんたちのいない生活はちょっぴり寂しく、物足りない。
バーサーカーがいるものの。
バーサーカーは喋らないし、動かない。
彼の性格(人形にあるのか定かではないが)も知らないこひなはぼやく。

「狼はイヌ……」

狐。
狗。
狸。

最終的に狼。

………憑き物についての議論は置いておく。

今日も小学校が終わり、いつも通りの下校が始まる。
ただ、こひなの耳に物騒な話題が入ってきた。
それは子供を迎えに来た母親たちの立ち話であったか、スーパーでの店員同士の他愛ない話であったか
家電販売の店から流れたニュースキャスターの読み上げであったか
どこで聞いたかはともかく、内容はこういったもの。


変死体

死亡推定時刻

深夜2時


「バーサーカーさんは押し入れで引きこもっていたのです」

こひなは言い聞かせるかのように言う。
自分がカプ麺を食べ、そのまま押し入れの前で爆睡したから、きっとバーサーカーは外出していない。
……………はず。

「……嫌な予感」

こひなは足を止めた。
最悪のシナリオが想像できてしまう。
バーサーカーは滅多に動かないと思うが、こひなのいない間に動いているのかもしれない。
彼女が熟睡している間に、何かしでかしているかもしれない。
何故、こひなが例の噂に敏感なのか?
それはバーサーカーのある宝具を警戒しての事なのだ。



「バーサーカーさん、白状するのです」

時刻は深夜0時。
子供が寝る時間はとっくに過ぎていた。
こひなは、夜食用のカプ麺を用意し、万全の態勢でバーサーカーのいる押し入れの前でスタンバイする。

「証拠は揃っています。質問はすでに拷問に変わっている――なのです」

深夜0時から朝6時。
この時間帯のみ、バーサーカーの宝具が発動してしまう。
一応、マスターのこひなには無害であるらしいが、それ以外には無差別なのだ。

「正直にお話しすればこのカツヌードルを差し上げます」

バーサーカーは相変わらず隙間から様子を伺うだけで何もしない。

「ほう、市松と持久戦をするのでせうか。上等なのです」




「市松の思いこみだったのです」

朝まで持ちこたえたが、結局バーサーカーはピクリともせず、時刻は6時を迎えた。
一先ず、こひなはいつも通り学校へ向かう準備を始める。

「ぬ?」

すると、押し入れからバーサーカーが姿を露わにするように出て来る
こひなは動じることもなく、バーサーカーの全貌を知った。

「海賊さんでせうか?」

よく見れば海賊がよく身につけてるフックや眼帯のある容姿で……バーサーカーは狼?の海賊だった。
こひなとしては、押し入れからの引きこもりを止めただけで十分な成長だと感心する。

「バーサーカーさん、お留守番よろしくなのです」

そして、平凡な日常を繰り返す。
こひなは疑念を覚えるどころか、安心を獲得していた。
人形だと自称する変わった少女・こひな。
しかし、彼女も結局のところは少女で、子供だった。

バーサーカーに話は通用しない。バーサーカーは全うな理性などありはしない。
彼女は未だそれを受け入れきれていなかった。



ある空き巣の話をしよう。

彼はある日の深夜、<新宿>の住宅街にある一軒家へ忍び込もうとしていた。
この辺りは警官の巡回が手薄であることを事前に下調べしており、さらには侵入しようとする一軒家には
子供一人しかいないことも把握している。
どうして、子供一人だけ暮らすのを周囲の人間は気に留めないのか?
まあ、近年では両親が共働きしたり、出張や、酷い話だが育児放棄なんてこともある。

何であれ、空き巣からすれば子供の事情などは然したる問題ではない。
要するに恰好な獲物という訳なのだ。
彼が周囲を見回してから、手際よく忍び込もうと身構えた時。
一軒家の扉がわずかに開かれているのに気づく。

おや、もう誰か『入っている』のだろうか?
空き巣が隙間の闇を覗き込むと、着ぐるみのような何かがこちらを覗き見していた。


我に返った時。
空き巣は踵を返し、復興により賑わいを醸し始めた都心へ足を運んでいた。
俄かに信じられなかった空き巣だが、改めて思う。

アレはヤバい奴だ。

生まれて今日まで幽霊だとか悪魔だとか、胡散臭い都市伝説なんて信じた事もなかった彼だが
あの妙な――狼のような着ぐるみ、いや人形かも……今となってはどうでもいいが
とにかく、アレはやばい類の存在だと感じた。


アレは一体なんなんだ?
子供のいたずらとは思えない。
そもそも、真夜中に着ぐるみを被り、外を覗き見てるなんて常軌を逸脱してないか?
よく分からない。
ああ……多分、理解しちゃ駄目なんだろうな。
人間本能でやばい存在をやばいって反応できるのはマジなんだな。
アレは本当にやばい奴だ。
人間だとしても、化物だとしても関わっちゃいけない。
もしかしたら――
これ以上、悪い事をするなって警告してきた神様が見せた幻覚か何かかもな……
今日はもう帰って寝るとするか……


その後の空き巣を知る者はいない。





                IT'S ME






【クラス】バーサーカー
【真名】フォクシー(Foxy)@Five Nights at Freddy's
【属性】秩序・狂

【パラメーター】
筋力:C 耐久:C 敏捷:A+++ 魔力:B 幸運:A 宝具:EX


【クラススキル】
狂化:EX
 全ステータスを上昇させ、理性の大半を奪われてしまう……のだが
 バーサーカーは海賊フォクシーのキャラクターを持つ。それらしい行動を優先する。
 会話はしないが、ダムダムと謎めいた歌を口ずさむので声は発せる。


【保有スキル】
アニマトロニクス:B
 バーサーカーは霊体化することができない。代わりに、実体化を保つ魔力消費が不要。
 戦闘時以外ではステータスを隠蔽し、ただの人形、もしくは着ぐるみと認識させる。
 見抜くには同ランク以上の直感等の看破能力が必要。

視線:EX
 自分を見ている者の位置を何となく把握し、追跡をする。
 監視カメラのような媒体ごしの視線でも感じ取れる。


【宝具】
『Freddy Fazbear's』
ランク:E 種別:対人 レンジ:- 最大補足:3人(4人)
バーサーカーと同類の機械人形、フレディ・ファズベアー、ボニー、チカを召喚する。
彼らは「単独行動:E」のスキルを保有しており、バーサーカーを手伝う。
低確率だが、ゴールデン・フレディなるものが召喚され、目視した対象に必ずスタンを与える。
スタンは幸運判定に成功するか、しばらくすれば回復可能。
バーサーカーが捕らえた者を押し込む着ぐるみもこの宝具の一部に含まれる。


『0:00 AM~6:00 AM』
ランク:EX 種別:対人 レンジ:1 最大補足:1人
深夜0時から午前6時のみ発動する宝具。
この時間帯になるとバーサーカーはマスター以外の者を全力で殺しにかかる。
シャイな行動パターンは相変わらずなものの、捕捉範囲と感じれば全力疾走で急接近し、相手を捕らえようとする。

詰め込むことが可能な対象であれば
バーサーカーは捕らえた者を梁やワイヤーが詰っている着ぐるみの中へに押し込む。
いかに対象が頑丈であっても押し込まれ、対象が不死であれば人形の中で永遠に死に続ける。
そして、そこから逃れる術はどこにもない。

即ち、捕まったらお終い。



【人物背景】
恥ずかしがり屋の海賊の狐。よく狼と間違われるが狐である。
茶色のパンツと、右目に折りたたみの眼帯、右手に海賊のフックを付けている。
犬のように鋭利な歯があり、金歯も混じっているようだ。
原作とは違いサーヴァントとして万全の状態で召喚された為、酷い損傷はない。

【行動パターン】
テンプレ的なバーサーカーの場合、戦場特攻が恒例行事だがこのバーサーカーはそれがほぼありえない。
特攻はせず、まずは物影から覗き見する事が圧倒的に多い。
これは決して相手の隙を伺っているのではなく、恥ずかしがり屋のフォクシーとしての行動である。

『0:00 AM~6:00 AM』の発動時間では本気で殺しにかかるが
捕まえれば相手を即死させられる為、いつになくバーサーカーから襲撃をしかける頻度が増えるだけで
宝具が発動していない場合でもバーサーカーから襲撃する可能性はある。

結論を言えば、行動パターンを予測する事は不可能に近い。


【サーヴァントとしての願い】
?????





【マスター】
市松こひな@繰繰れ!コックリさん

【マスターとしての願い】
まだ考えている

【能力・技能】
家系の事情で魔力はある。

【人物背景】
生物学上人間だが、人形を自称する電波少女。
笑うと目とか取れる。低確率に作画解放し美少女になれる。

【方針】
バーサーカーの宝具『0:00 AM~6:00 AM』を理解しており、それが発動し、殺戮するのを警戒している。
取り合えず、他のマスターかサーヴァントと接触してみたい。