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カウンターテナーの発声法

    
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http://countertenor.anpanda.com/に移転しました。
 

某大学のグリークラブでは、カウンターテナーを使った曲の演奏をしていました。その際、短時間ではありますが、カウンターテナーの岡田孝先生にご指導いただく機会がありました。その時教えていただいたことに、私の経験を加え、役立ちそうなことを書いておきます。

ただし、ここに書かれたことを実行したことによってのどを痛めるなどの不利益を受けられたとしても、私は一切責任を負いません。ましてや、岡田孝先生の教えを正確に解釈出来た保証はありませんので、先生に一切の責任が無いことは言うまでもありません。

ただし、何かお気づきのことなどございましたらコメントいただければ幸いです。


1.基本

・歌うときの姿勢は実声と同じです。
・呼吸は細い糸が背骨を通っているように。
・ポリフォニーを歌っている限りは純粋なファルセットでかまいません。ただし、単なるファルセットより響きを集めた輝きのある声を目指して下さい。
・原則としてノン・ビブラートで。
・ピッチを正確に。「白いそうめんの束の真ん中の一本の赤いそうめんを押し出すように。」


2.母音

一番出しやすい母音が[a]の人と[i]の人がいると思います(発声法が違う)。
[a]の人は後述するように低音を出しやすいのですが、響きを集めにくい。
[i]の人は[i]以外の母音では低音を出しにくいのですが、響きを集めやすい。

なお、プロのカウンターテナーは[a]でも[i]でもない(というより、そのレベルを超えている)人がほとんどです。

岡田孝先生によると、[i]を出しやすい人の方が多いそうです。けれど、[a]でも[i]でも、その人の個性なのだから、どちらでもよいとおっしゃってました。


3.顔

歌っている時の顔は意外と重要です。
目を見開いて、頬骨を上げて、下顎を突き出して西洋人のような彫りの深い顔で歌いましょう。


4.練習

4-1.響きを集める

とりあえず自分の出しやすい音程、母音で音をのばします。
音をのばしたまま顔の横に両手を広げて置き、「響き」を手のひらで集めるように徐々に両手のひらを近づけていきます。
響きは上の前歯の裏に集めるようにするといいでしょう。

響きを集める感覚が分かったら、音、母音を変えて同様にします。


4-2.声を安定させる

ロングトーンの練習が一番いいと思います。

ファルセットの方が実声よりも息が長持ちすると思いますので、タリスの『エレミアの哀歌』の「beth」(約20秒)をノンブレスでいけるようにしましょう。
音量は小さくてもいいので、響きを集めたまま変えないで、あるいは、どんどん響きを増していくように。

息が実声より長持ちしない人は発声法が間違っているかもしれません。


4-3.強い音を出す

空気の塊を吸い込んで上の前歯の裏にぶつけるイメージでハッハッハッなどと発声します。この時、手のひらを口の前に置き、ハッと言うときに空気の塊を上の前歯の裏に投げ込むようにすればよりよいでしょう。響きを集めること、腹筋を使うことは言うまでもありません。

この練習はやりすぎるとのどを確実に痛めるので、長時間やってはいけません。また、演奏会の2週間前以降はやらない方がいいでしょう。


4-4.高い音を出す

とにかく出してみるしか無いと思います。先天的な要素が大きいと思いますので、いくら練習しても出ないものは出ないかもしれません。しかし、高い音をイメージしやすくなることによって高めの音を楽に出せるようになり、ピッチも正確になってきます。


4-5.低い音を出す

カウンターの一番難しいところであり、一番重要なところです。表返らずに低音を出す、また、表と裏の境界を無くすことが必要になります。


4-5-1.表返らない

表返らずに低音を出すのはBassが低音を出すのに似ているところがあります。多分ある程度出来るようにならないと似ているところが分からないと思いますが、具体的には顔をやや上向きにして、音は胸に落とすようにします。

最初は小さな音でいいので、裏でロングトーンしてcresc.します。音量が限界のところで頑張って音をキープして下さい。この時、息を鼻腔の方に流したり、下顎をやや突き出すようにしたりすれば出しやすくなります。

[i]が得意な人は口を[u]に近づけると他の母音でも出しやすくなります。


4-5-2.境目を無くす

かなり先天的なところもありますが、2で述べた[a]の得意な人は結構出来ちゃったりします。

まず、自分が実声の「張った声」、「抜いた声」、裏声の3種類でどの高さの音まで出るか把握します。把握できたら、それらの重なる音域において、[a]の母音で4-5-1.をマスターして下さい。その声と「抜いた声」を同じ音程で交互に出しながら、どっちつかずの声を探して下さい。その声でロングトーン、cresc.、decresc.、の練習をします。

音程、母音を変えて同様にします。

4-1.で「響きは上の前歯の裏」と書きましたが、ここでは響きは「鼻の後ろ」と思ってください。そして、4-5-1.に書いたように息を鼻腔の方に流すようにした方が境目を無くす練習には良いと思います。また、当間修一先生の書かれた合唱講座の「ファルセットへの道」と「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」が参考になります。

岡田先生は、低い声を出すのは基本的には不可能だから、いかに上手く表に返るかが重要だ、とおっしゃっていました。
また、ふつう発声練習は低音から高音へ進むものだけど(例えば、ドミソミド)、低音のためには逆の練習(ソミドミソ)をすべきだそうです。


4-6.響きを変えない

音程、母音によって響きを変えないように練習します。

オクターブの跳躍や、[i-a-i]とか[u-a-u]とかのばしながら母音を変える練習が効果的かと思われます。


これ以上は実声と同様の練習をして磨きをかけるしかありません。


5.実践

・響きを集めた輝きのある声になりやすいのは[i]の母音だと思うので、多少言葉は曖昧になっても、[i]に近い音でいいと思います。その分、言葉を意識して歌いましょう。
・のばす音ではどんどん響き・輝きを増していくように意識して。
・出しやすい音だからといって出しすぎない。小さな音で充分聞こえます。高い音ほど小さい音だと思っていいでしょう。
・低音は出しにくいからといって表返って大声をだすと非常にみっともない。表返るなら小さな音で。また、複数の人数がいるときは全員が表返ることはしない。
・ドーっシラシー、ドーシっシーラーシなどの基本パターンが出てきたら喜ぶ。


6.緊急事態-声が出ない-

カウンターの発声は多分1時間半も持ちません(発声法が悪いせいかもしれないが)。実声で3時間歌った後などもつらいと思います。だから、リハーサルでは歌いすぎないこと。
もし、出なくなったら休むのが一番。一言もしゃべらなければ、1時間もすれば大分回復します。

それでも回復しない時は奥歯で物を噛んでいれば出ることが多いです。のど飴か何かを奥歯でガリガリと噛んで、奥歯に飴がくっついたままで歌ってみましょう。ただし、当然のどにはよくないと思うので、緊急時のみにしましょう。

どうしようもなかったらあきらめましょう。合唱なら、1人ぐらい歌えなくてもどうということはありません。


7.応用

・カウンターがある程度出来るようになると実声の高音に応用が効きます。
・響きは上の前歯の裏と書きましたが、曲によっては額、鼻、頬、顎などに変えてみるといいかもしれません。
・ポリフォニーで無ければビブラートを付けたり、ピッチを高めに取ったりして他のパートより目立たせることもあります。
・ソロ(ソリではない)をやるなら、4-5-2.を応用して、ファルセットと胸声を混ぜていくことが必要。
ポリフォニーを歌っている限りはビブラートは邪魔ですが、ビブラートをわざと付けたり消したりのコントロールをする練習は演奏効果のためだけではなく、発声練習として重要なようです。また、最初の音への入り方で印象が全然違うので、入りに気を使うことも心がけてください。
普通に「はっきり入る」のと「するどく(クンッと)入る」、ビブラートかあるのと無いのの組み合わせだけで4種類の表現ができます。


8.最後に-岡田孝先生のお言葉から-

「君たちの歌には『祈り』がない。」
「君たちは恵まれ過ぎている。昔の人たちがどういう気持ちで『主よ、あわれみたまえ。』と言ったのか考えてみなさい。」
「言葉を捧げる意識を持ちなさい。」
「指揮は見る物ではなく感じる物。」