プロローグ01,闇の始動

    
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プロローグ01,闇の始動






 夜の帳が降り天空に輝く月の下で、ある都心にある巨大な屋敷は喧騒に包まれていた。

 そして屋敷の大広間から女性の苦しげな呻き声が聞こえる。


「頑張って下さい!!もう少しでございます!!鈴未様!!」


 ある広間に体を横にして天井から垂れた縄を持ち汗をかき喘いでいる女性がいた。 

 そして女性の周りを10人程度の袴を着た男女が祝詞を唱えている 



 彼女の名前は、天宮 鈴未



 ―――今から新たな命を誕生させようとしていた―――



 ただの出産ならここまでする必要は無いだろう


 だが、彼女は最候補の退魔師の一族

 さらに、その中の最候補の術者の血筋の子を産むのだ


    出産は、ここまで順調だった・・・


     ―――そう、この時までは―――






       ■▽△■△▽■




 大広間から少し離れた別室で静未の夫である”天宮 源三は宗主でもあり戦友であり友である”天宮 崎蓑と共に待っていた。


 戦闘や術者達の前では圧倒的な威圧感で存在していた源三だが、今日は何時もと違って何処か落ち着かずそわそわしていた。


 お茶とポン酢を間違えて飲んでも気づかず、かと思えば急に庭の手入れをし始め、そうと思えば、部屋をウロウロし始める。

      • ちかもその顔が無表情なのでかなり怖かった




 そんな源三を鬱陶しそうに見ていた静蓑が彼を注意する。


 「源三、お主が鈴未の心配しているのは解かるが、もう少し落ち着け・・・・

 ・・・「私は落ち着いております」・・・ならばその腕の振るえを止めよ」



 源三がコップから手を離すと机の振るえが止まり、無表情に外を見ていた。


 そんな源三を見てため息をついて静蓑は言った。



 「心配なら見てこれば良いではないか」


 「いえ、私は心配などしておりません」


 静蓑は呆れたような―――顔をしていた(ま、本当にそんな顔しているのだが)



 だが、源三が動揺する気持ちはわかる。




 今から自らの子共が生まれてくる――

 ちかもそれが最候補の術者である者の――




 その後、奇想天外な行動をしていた源三と、それを物珍しそうに見ている静蓑の元に近づいてくる一人の術者が居た。


 「・・・・源三様、生まれました・・・・」 


 術者は頭を床に付け振るえながら報告をした。

     まこと
 「それは 真実 か?それで子供は?鈴未は?」


 「あ、は、はい・・・・えーっと・・・」


 殺意すら立つ視線で威圧しながら術者をにらむ源三に術者の体が耐え切れなくなり気が動転し始めた。


 「・・・源三、気にかかるのは解かるが、もう少し気を静めよ」


 静蓑の言葉に源三は気を抑えてあらためて術者に聞いた。


 「鈴未と子の様子はどうだ?」


 「は、はい!!鈴未様は健康で子供も元気で男の子です」


 「子供は見ることはできるか?」


 「はい、見るだけならかまいません」


 「そうか、礼を言う」



 術者は、「こちらです」と言って二人を部屋の先導した。


 しばらく歩いて


 源「まだ着かんか」


 術者「あ、はいもう少しでございます!!!」


 そして10mぐらい進んで


 源「まだ着かんか」


 術者「もうしばらくの辛抱でございます」


 術者はひやひやしながら先導していく、静蓑だけはそんな二人を笑いを堪えてみていた。

 そして、赤子の居る部屋に着いた。


 「こちらでございます・・・」


 「む、すまない、礼を言う」


 術者はその言葉を聞くと、廊下の向こうに去っていった。


 「源三、私はここで見ていよう」


 「ああ・・・」


 静蓑は源三に気を使い、ここで待つことにした。


 源三が部屋に入ると、何人かの術者達がにこやかに源三に話しかけた。


 「源三様、りっぱな男の子ですよ!!」


 「きっと貴方様に似て優秀な術者になるでしょう」


 「鈴未様は、別室で休んでおられます」 


 源三の「席をはずしてくれ」と言う言葉に術者達は部屋の外に出て行った。

 誰も居なくなった後、源三は部屋の中央にある布団に近づいた。


 そこには、かわいらしい寝顔をしている赤子が一人――

 己の血を分けた子供が居た――


 ぎこちなくその子の頭をなでた。


 「初めてと言っておこうか我が子供よ・・・どう接していいかわからない私を許してくれ」

 優しく話しかけていた源三




 その時――――異変が起きた。




 光の陽の気で満ちているはずのこの館に闇の陰の気が流れ込んできた。


 その気配は外に居る静蓑も感じていたようで、彼も部屋に中に入ってきた。


 「源三・・・これは・・・」


 「はい、陰の気配が・・・」


 二人は気配を探っていたがそのあと驚愕した。

 今自分達が感じているこの陰気は、魔物が出すような禍々しいような悪の気で満ちておらず、どちらかと言うと自分達と同じような安定している気配があった。


 それだけならまだいい――――


 その陰気が目の前の赤子の回りに集まっていることまでは・・・・



 「源三何を!!!」


 「・・・・・」


 その時、源三がいきなり手のひらから光質化した剣を出した。


 その剣を振り下ろそうとするが、そこから腕が動かない。


 (く・・・何をしているのだ私は・・・この子は確実に天宮の厄災になる存在なのに・・・何をしているのだ)


 何時もは容赦なく敵を倒してきた源三だが、目の前の子供は自らの大切な命であり、無意識にそういう感情が絡み合って動きを止めていたのだった。


 「危ない!!」

 その言葉を聞いたあとはすでに源三の体は突き飛ばされていた。

 そのあとはっとして見ると、静蓑が息を荒げていた。


 「静蓑・・・お主・・・」


 源三が見たとき、静蓑の左足の膝から下が無くなって、骨が見え、地と肉が垂れていた。


「源三、静めるぞ!!」


 その言葉にはっとして、慌てて手に印を刻んだ。

 すると、荒れ狂っていた陰気が収まって行った。


 完全に収まると、外の術者達が中に入ってきた。




 あるものは驚愕し


 あるものは静蓑の足を見て驚いて


 あるものは体が振るえていた


 しばらくすると、先ほどの気配を感じたのか、多くの術者達が入ってきた。

 二人と赤子は部屋から出され、治療を受けることになった。



 その夜、術者達は部屋を調べたが原因はわからなかった。


 そして、夜はふけていった。
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