恋の鞘当ぽいもの
「……………」
この旅始まって以来の苛立ちがヘンリーを襲っていた。
理由はよく解らないがムカムカする。
その痛みは、彼のボキャブラリの中では上手い表現が出来ない。
理由はよく解らないがムカムカする。
その痛みは、彼のボキャブラリの中では上手い表現が出来ない。
ただ言えるのは──…リュカと、突如現れた二人の幼馴染みの存在が原因であるという事だけだった。
「あのね…フローラとそのお兄さんは、私に一番最初に出来た友達なんだ。初めての船旅で一緒に遊んだんだよ、それでね…」
嬉しそうに仲間モンスターにそれを報告している彼女。スラリンを膝に乗せてホイミンとチロルを隣に置き、ピエールは感慨深そうにそれを聞いていた。コドランは少し眠そうだ。
「…うん、嬉しいよ。だってね……」
魔物達が何を言っているのかは、ヘンリーには解らない。
だがきっと、リュカと幼馴染みとの再会を祝っているのだろう。その位は解る。今まで一緒に旅をしていたんだから。
だがきっと、リュカと幼馴染みとの再会を祝っているのだろう。その位は解る。今まで一緒に旅をしていたんだから。
リュカは嬉しそうにニコニコ笑う。それが気に食わなかった。
幼馴染みとの再会が嬉しいのは解る。しかしそれに腹が立つ。
ただひたすらにパパスさんの最期の言葉を遵守しようとしていた彼女が、チロルとの再会の後の非難をも受け流した彼女が。
今はあんな風にふにゃりと笑っているのだ。
ただひたすらにパパスさんの最期の言葉を遵守しようとしていた彼女が、チロルとの再会の後の非難をも受け流した彼女が。
今はあんな風にふにゃりと笑っているのだ。
あんな表情は見たことが無かった。今までずっと一緒に居たというのに。
ずっと
一緒に居たのに
「……馬鹿か俺は」
ヘンリーは木に背を預けた。帽子を深く被る。軽く横に首を振った。
これじゃ玩具を取られた子供がすねているのと同じだ。そう言い聞かせた。
これじゃ玩具を取られた子供がすねているのと同じだ。そう言い聞かせた。
本当はリュカが玩具だなんて思ってはいないのに。
一番近い存在。
子分?そんな言葉じゃ足りない。
一番近い存在。
子分?そんな言葉じゃ足りない。
けれどヘンリーは頑に、兄離れが寂しいだけだと新たな言葉を自分に与えた。
「初めての友達が無理矢理結婚させられちゃうなんて嫌なんだ。皆も…協力してね」
ピキー、とスラリンが鳴く。コドランとホイミンがリュカの周りを飛んで、ピエールが意気揚々と素振りを始めた。チロルの頭を撫でながら、リュカは嬉しそうに笑っている。それからそのままの笑顔でヘンリーを見た。
「ちょっと寄り道になっちゃうけど…頑張ろうね」
「…あぁ」
「…あぁ」
この笑顔が自分に向けられる分には悪くないのに、と思った。けれどその思いには直ぐに蓋をした。
蓋をする。簡単に決壊なんてしない様に。この感情も関係も変わる必要なんて無いのだから。
近寄ってリュカの頭に手を置いた。
リュカが不思議そうにヘンリーを見上げる。
リュカが不思議そうにヘンリーを見上げる。
「親分は俺だけなんだからな」
「…?うん」
「………」
「…?うん」
「………」
俺だけ。
それが今は何故か良い響きに思えた。
それが今は何故か良い響きに思えた。
何が俺だけで良いかなんて、そんな事はヤボな事は口にしないけれど。
........
なんか今更ネタw
なんか今更ネタw