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#center(){{{ *&font(27px){&bold(){救世主まきちゃん}} }}} **ステータス(レーティング:N) -&bold(){キャラクター名:救世主まきちゃん} -&bold(){よみ:きゅうせいしゅまきちゃん} -&bold(){性別:女性} -&bold(){体型:華奢} -&bold(){学年:中等部2年} -&bold(){部活:帰宅部} -&bold(){委員:無所属} -&bold(){武器:ソード} -&bold(){初期ステータス} --攻撃力:20 防御力:0 体力:5 精神:5 FS(知名度):0 --移動力:2 -&bold(){アビリティ} --『武芸』 --『慧眼』 ***キャラクター説明 自分をこの混沌なる世界を救うために現れた救世主だと思い込んでいる女子中学生。 つんつんした髪の毛ときりりとしたまゆがチャームポイント。自分を救世主だと思っているため、必ず腰には大きな剣をぶら下げている。 まともな能力は持たないが、救世主なので剣術がすごいつよい。偶に剣道部の助っ人に成ったりもする。 実は昔、ほんとうに世界を救っている。 -特殊能力『名乗りを上げる』 --我が名は救世主まきちゃん!この混沌なる世界を救うために現れた救世主である! --という、かっこいい口上を名乗る。 --大変満足して能力休みになる。 --(フレーバー能力です。) ***エピソード 自分をこの混沌なる世界を救うために現れた救世主だと思い込んでいる女子中学生。 つんつんした髪の毛ときりりとしたまゆがチャームポイント。自分を救世主だと思っているため、必ず腰には大きな剣をぶら下げている。 まともな能力は持たないが、救世主なので剣術がすごいつよい。偶に剣道部の助っ人に成ったりもする。 実は昔、ほんとうに世界を救っている。 ■エピソード ※これは現実世界で実際に選挙が行われる前に書かれたSSです。 それはマキちゃんが中学1年生の時のことでした。 朝、テレビをつけたまきちゃんの目に飛び込んできたのは、目が飛び出るほど刺激的なニュースでした。 『朝のニュースだよ!なんと今日の夜、地球に月と同じくらいの隕石が落下することがわかったんだ!落下地点は日本○☓県ほにゃらら市なんちゃら町!勿論、そんなことが起きたら地球は耐えられない!人間は皆絶滅だよ!こんなことに成ったのは内閣政府が腑抜けているせいだ!こんな悲劇が二度と起きないように、若い皆はちゃんと投票に行かないとだね!お姉さんとの約束だよっ!じゃあねー!』 窓を開けて街を見下ろすと、勿論そこでは大混乱。住人たちは日頃の恨みを晴らそうと隣人たちにスクーターやゴルフのドライバーで殴りかかったり、コンビニのものをショベルカーで盗み出したりと、酷い有様でした。 それを見たまきちゃんは、ほんとうに世界が終わってしまうんだと思い、とても恐ろしい気持ちが湧いてきました。まきちゃんは身震いしました。その恐怖に?違います。まきちゃんは、ワクワクしていたのです。 「やったーっ!これでようやく、世界を救えるぞー!」 そう、彼女の名は救世主まきちゃん。彼女は自分のことを、世界を救う救世主だと信じて疑っていないのでした。 「よーし!頑張るぞー!早速訓練だー!」 そう言ってマキちゃんはジャージに着替えると、腕立て伏せをはじめました。一回、二回、三回、四回。なんと五回連続、まきちゃんがこの領域に足を踏み入れるのは初めてのことです。 「う、うぐあーっ!腕が~っ!腕が悲鳴を上げているーッ!はちきれんばかりに膨張しているーッ!だけど!ここで負けるわけには行かない……私は世界を救うんだーッ!」 あまりにも過酷な修行に折れそうな心を、マキちゃんは必死で奮い立たせました。六回、七回。可愛らしい顔が真っ赤になっていきます。それでもまきちゃんは諦めませんでした。自分が負けたら誰が世界を救うのか?その思いが、彼女を突き動かしているのです。 八回、九回。回数を重ねる度に、彼女の頬を大粒の汗が伝いました。床には彼女の汗で、まあ小さいといえば小さい気もするけどこう汗の池的なのができていました。 しかし、そこで彼女の動きは止まってしまいました。 「はぁーっ!はぁーっ!ううう……動いてくれ私の腕ー……!頼む……!後一回、後一回なんだ~……っ!」 しかし、そうはいっても彼女の腕は限界でした。ぶるぶると震え、少しでも曲げたらそのまま崩れ落ちてしまうことは明白でした。 「そんな……ここまで来て……私は世界を救うことができないのか……ごめんよ、皆……!」 まきちゃんの目から、涙がこぼれ落ちました。後一回、後一回腕立て伏せができれば、10回の大台を達成することができるのに。この一回に世界がかかっているのに、少し詣でを動かすことができない。悔しさと腕の痛さで、まきちゃんの心が折れそうに成った、その時。 (諦めるな、まき!) 「はっ……!この声は、お父さん!?」 まきちゃんの頭のなかに、懐かしい声が聞こえてきました。それは幼いころに死んだはずの、彼女の父、勇者まさむねの声でした。 (そうだ、ぱぱだよマキちゃん。お前は昔から私を超える、救世主になると言っていたじゃないか。死んでからも、お前のことはずっと空から見ていた。お前の気持ちの強さは誰よりも知っている。まき、お前はそんな腕の痛みに負ける子じゃない。がんばれ、まきちゃん!) 「お、お父さん……!」 (そうだ、小学校の頃ちゃんばらでいつも俺を魔化していたお前なら、きっとできるはずだ!俺を倒しておいてそんな腕立て伏せに負けるなんて、ゆるさないぞ!) 「幼なじみのまもるくん!」 (『後なんかいい感じのセリフたくさん』) 「皆……!皆ありがとう!負けない……私、10回目の腕立て伏せをやりきってみせる!」 皆の心の声が、まきちゃんに力を与えました。 「うおおーっ!救世主、ファイトーっ!」 力強い動きで、まきちゃんの腕が曲げられ……そして、伸ばされました!膝は付いていません!遂に……まきちゃんは10回連続腕立て伏せを成し遂げたのです! 「うおっしゃー!しゃらーっ!っしゃああーーっ!」 嬉しさのあまり、まきちゃんは立ち上がり何度もガッツポーズを作りました。 やったなまきちゃん!おめでとうまきちゃん!10回連続で腕立て伏せなんて、誰にでもできることじゃないよ!そんな君なら、きっと世界を救うことができる……!君こそ、真の救世主だ! 「へへへ、それほどでも……。よ~し、救世主に休んでいる暇はない……次はスクワットだ!絶対に世界を救うぞー!」 君はなんて救世主なんだ、まきちゃん!あんな過酷な修行を終えた後に、更に修行を自ら課すなんて……!やはり君は救世主になるべくして生まれた女の子だ!がんばれまきちゃん!負けるなまきちゃん!世界を救うその日まで……! ----- そして、その日の夜。日本○☓県ほにゃらら市なんちゃら町、隕石落下予定地点。そこには修業を終え、救世主装備に身を包んだまきちゃんの姿がありました。 「ありがとう、お父さん。お父さんのおかげで、私は強くなれたよ。」 父の形見である剣に向かって、まきちゃんは一人語りかけます。その顔には朝方とは違い、こう……すごい救世主っぽい感じが沢山ありました。 「見ててね、お父さん。私が、世界を救うところ!」 チャキッ。まきちゃんが剣を構えました。その視線の先には、大気圏を突き破り、今まさに地球を破壊線と迫る巨大隕石の姿がありました。 「我が名は救世主まきちゃん!この混沌なる世界を救うために現れた救世主である!世界を滅ぼそうとする巨大隕石よ、覚悟せよーっ!」 剣を構えたまま、まきちゃんは巨大隕石に斬りかかりました。隕石の表面に、剣が突き刺さります。 ですが隕石はその勢いを緩めず、地球へと突き刺さろうとします。まきちゃんの体は押され、ドンドン後ろへと下がっていきました。 ……あまりにも無謀な勝負。それは、アリが人間の体重を受け止めようとするような、どうあがいても勝ち目のない勝負でした。 「……負けない。」 ですが、それでも。 「私は、絶対に負けない!」 まきちゃんは確信していました。自分こそが世界を救うのだと。それこそが、自分の生まれた意味なのだと。 突如。その気迫に応じるように、まきちゃんの剣に青白い光が灯りました。その光に押され、隕石の動きが弱まります。まきちゃんは剣を再び掲げました。 「私は救世主まきちゃん!絶対に、絶対にーッ!」 「世界を、救うんだーッ!」 ――――カッ! まきちゃんが剣を振り下ろしました。剣から伸びた青白い光がその動きと呼応し、大きな刃となって、隕石に突き刺さりました。 ―――。数秒後。まきちゃんの、否。地球の前には、巨大な隕石の姿はありませんでした。真っ二つに成った隕石は軌道がそれ、地球から離れていったのです。 「やったよ、お父さん……。」 まきちゃんはその手に握られた剣に向かってつぶやきました。隕石とまともにぶつかった剣はぼろぼろで、所々が焦げ付いていました。まきちゃんのからだも、同じくらいボロボロで、右目は殆ど見えず、左腕の感覚はありませんでした。 それでも、彼女の顔には満面の笑みが浮かんでいました。そのはずです、彼女は、世界を救ったのですから。 「まきちゃんはやっぱり、救世主だったよ……。」 最後にそうつぶやき、彼女は地面に倒れました。冷たい朝の空気が、彼女の肌をなでました。 ----- 次の日の朝。まきちゃんは病院で目を覚ましました。 いろいろ大変な怪我でしたが、命に別状はなく、後遺症もないようでした。 「うんうん、やっぱりこういう物語はハッピーエンドじゃなくちゃね!」 マキちゃんはひまつぶしのために、備え付けのテレビを付けました。ビデオカードは結構高いのですが、気にしないでおきましょう。 テレビでは、昨日と同じ朝のニュースが流れていました。 『いえーい!早起きな君達にベリーグッドなニュースをお届けするぜ!昨日世界を滅ぼすはずだった隕石はどこかの誰かさんの手によって真っ二つに成って、何処かへ飛んでいっちまった!世界は救われた!喜べー!ちなみにこの一連の事件で犯罪率は150%上昇、刑務所はパンパンで裁判も追いつかないって話だが、そいつは些細な問題だ!兎に角世界は救われたんだ!これも若い君達が投票に行ったお陰に違いない、さあ、君もレッツ投票だ!』 世界は救われた。その言葉を聞いて、まきちゃんはとても誇らしい気分になりました。ですが、同時にこうも思うのです。 世界を救ったのは自分かもしれない。でも、これから世界を導いていくのは、一人だけの力ではなしえません。世界を導いていくには、皆の力が必要なのだと。 そんな力は自分にはないと、そう思うかもしれません。ですが、それは間違いです。私たちには、世界を変える力があります。 そう、投票権です。これを投じるだけで、世界は変る。貴方の一票で、世界を変えることができる。 皆、投票に行こう!それこそが救世主ではない私達が、世界にできる大きな献身なのです。 皆が投票に行けば、救世主がいなくても、世界を守ることはできる。 そうなれば、私も救世主ではなく、一人の女の子として、投票に行くことができる―――きっとそれこそが、世界を本当に救うということなのだ。 まきちゃんはそう心に強く思いながら、入院中でも投票できる、不在者投票のやりかたを検索するのでした。 彼女が中学生では投票できないことに気づくのは、もう少しだけ後のお話…… おわり。 ----
#center(){{{ *&font(27px){&bold(){救世主まきちゃん}} }}} **ステータス(レーティング:N) -&bold(){キャラクター名:救世主まきちゃん} -&bold(){よみ:きゅうせいしゅまきちゃん} -&bold(){性別:女性} -&bold(){体型:華奢} -&bold(){学年:中等部2年} -&bold(){部活:帰宅部} -&bold(){委員:無所属} -&bold(){武器:ソード} -&bold(){初期ステータス} --攻撃力:20 防御力:0 体力:5 精神:5 FS(知名度):0 --移動力:2 -&bold(){アビリティ} --『武芸』 --『慧眼』 ***キャラクター説明 自分をこの混沌なる世界を救うために現れた救世主だと思い込んでいる女子中学生。 つんつんした髪の毛ときりりとしたまゆがチャームポイント。自分を救世主だと思っているため、必ず腰には大きな剣をぶら下げている。 まともな能力は持たないが、救世主なので剣術がすごいつよい。偶に剣道部の助っ人に成ったりもする。 実は昔、ほんとうに世界を救っている。 -特殊能力『名乗りを上げる』 --我が名は救世主まきちゃん!この混沌なる世界を救うために現れた救世主である! --という、かっこいい口上を名乗る。 --大変満足して能力休みになる。 --(フレーバー能力です。) ***エピソード ※これは現実世界で実際に選挙が行われる前に書かれたSSです。 それはマキちゃんが中学1年生の時のことでした。 朝、テレビをつけたまきちゃんの目に飛び込んできたのは、目が飛び出るほど刺激的なニュースでした。 『朝のニュースだよ!なんと今日の夜、地球に月と同じくらいの隕石が落下することがわかったんだ!落下地点は日本○☓県ほにゃらら市なんちゃら町!勿論、そんなことが起きたら地球は耐えられない!人間は皆絶滅だよ!こんなことに成ったのは内閣政府が腑抜けているせいだ!こんな悲劇が二度と起きないように、若い皆はちゃんと投票に行かないとだね!お姉さんとの約束だよっ!じゃあねー!』 窓を開けて街を見下ろすと、勿論そこでは大混乱。住人たちは日頃の恨みを晴らそうと隣人たちにスクーターやゴルフのドライバーで殴りかかったり、コンビニのものをショベルカーで盗み出したりと、酷い有様でした。 それを見たまきちゃんは、ほんとうに世界が終わってしまうんだと思い、とても恐ろしい気持ちが湧いてきました。まきちゃんは身震いしました。その恐怖に?違います。まきちゃんは、ワクワクしていたのです。 「やったーっ!これでようやく、世界を救えるぞー!」 そう、彼女の名は救世主まきちゃん。彼女は自分のことを、世界を救う救世主だと信じて疑っていないのでした。 「よーし!頑張るぞー!早速訓練だー!」 そう言ってマキちゃんはジャージに着替えると、腕立て伏せをはじめました。一回、二回、三回、四回。なんと五回連続、まきちゃんがこの領域に足を踏み入れるのは初めてのことです。 「う、うぐあーっ!腕が~っ!腕が悲鳴を上げているーッ!はちきれんばかりに膨張しているーッ!だけど!ここで負けるわけには行かない……私は世界を救うんだーッ!」 あまりにも過酷な修行に折れそうな心を、マキちゃんは必死で奮い立たせました。六回、七回。可愛らしい顔が真っ赤になっていきます。それでもまきちゃんは諦めませんでした。自分が負けたら誰が世界を救うのか?その思いが、彼女を突き動かしているのです。 八回、九回。回数を重ねる度に、彼女の頬を大粒の汗が伝いました。床には彼女の汗で、まあ小さいといえば小さい気もするけどこう汗の池的なのができていました。 しかし、そこで彼女の動きは止まってしまいました。 「はぁーっ!はぁーっ!ううう……動いてくれ私の腕ー……!頼む……!後一回、後一回なんだ~……っ!」 しかし、そうはいっても彼女の腕は限界でした。ぶるぶると震え、少しでも曲げたらそのまま崩れ落ちてしまうことは明白でした。 「そんな……ここまで来て……私は世界を救うことができないのか……ごめんよ、皆……!」 まきちゃんの目から、涙がこぼれ落ちました。後一回、後一回腕立て伏せができれば、10回の大台を達成することができるのに。この一回に世界がかかっているのに、少し詣でを動かすことができない。悔しさと腕の痛さで、まきちゃんの心が折れそうに成った、その時。 (諦めるな、まき!) 「はっ……!この声は、お父さん!?」 まきちゃんの頭のなかに、懐かしい声が聞こえてきました。それは幼いころに死んだはずの、彼女の父、勇者まさむねの声でした。 (そうだ、ぱぱだよマキちゃん。お前は昔から私を超える、救世主になると言っていたじゃないか。死んでからも、お前のことはずっと空から見ていた。お前の気持ちの強さは誰よりも知っている。まき、お前はそんな腕の痛みに負ける子じゃない。がんばれ、まきちゃん!) 「お、お父さん……!」 (そうだ、小学校の頃ちゃんばらでいつも俺を魔化していたお前なら、きっとできるはずだ!俺を倒しておいてそんな腕立て伏せに負けるなんて、ゆるさないぞ!) 「幼なじみのまもるくん!」 (『後なんかいい感じのセリフたくさん』) 「皆……!皆ありがとう!負けない……私、10回目の腕立て伏せをやりきってみせる!」 皆の心の声が、まきちゃんに力を与えました。 「うおおーっ!救世主、ファイトーっ!」 力強い動きで、まきちゃんの腕が曲げられ……そして、伸ばされました!膝は付いていません!遂に……まきちゃんは10回連続腕立て伏せを成し遂げたのです! 「うおっしゃー!しゃらーっ!っしゃああーーっ!」 嬉しさのあまり、まきちゃんは立ち上がり何度もガッツポーズを作りました。 やったなまきちゃん!おめでとうまきちゃん!10回連続で腕立て伏せなんて、誰にでもできることじゃないよ!そんな君なら、きっと世界を救うことができる……!君こそ、真の救世主だ! 「へへへ、それほどでも……。よ~し、救世主に休んでいる暇はない……次はスクワットだ!絶対に世界を救うぞー!」 君はなんて救世主なんだ、まきちゃん!あんな過酷な修行を終えた後に、更に修行を自ら課すなんて……!やはり君は救世主になるべくして生まれた女の子だ!がんばれまきちゃん!負けるなまきちゃん!世界を救うその日まで……! ----- そして、その日の夜。日本○☓県ほにゃらら市なんちゃら町、隕石落下予定地点。そこには修業を終え、救世主装備に身を包んだまきちゃんの姿がありました。 「ありがとう、お父さん。お父さんのおかげで、私は強くなれたよ。」 父の形見である剣に向かって、まきちゃんは一人語りかけます。その顔には朝方とは違い、こう……すごい救世主っぽい感じが沢山ありました。 「見ててね、お父さん。私が、世界を救うところ!」 チャキッ。まきちゃんが剣を構えました。その視線の先には、大気圏を突き破り、今まさに地球を破壊線と迫る巨大隕石の姿がありました。 「我が名は救世主まきちゃん!この混沌なる世界を救うために現れた救世主である!世界を滅ぼそうとする巨大隕石よ、覚悟せよーっ!」 剣を構えたまま、まきちゃんは巨大隕石に斬りかかりました。隕石の表面に、剣が突き刺さります。 ですが隕石はその勢いを緩めず、地球へと突き刺さろうとします。まきちゃんの体は押され、ドンドン後ろへと下がっていきました。 ……あまりにも無謀な勝負。それは、アリが人間の体重を受け止めようとするような、どうあがいても勝ち目のない勝負でした。 「……負けない。」 ですが、それでも。 「私は、絶対に負けない!」 まきちゃんは確信していました。自分こそが世界を救うのだと。それこそが、自分の生まれた意味なのだと。 突如。その気迫に応じるように、まきちゃんの剣に青白い光が灯りました。その光に押され、隕石の動きが弱まります。まきちゃんは剣を再び掲げました。 「私は救世主まきちゃん!絶対に、絶対にーッ!」 「世界を、救うんだーッ!」 ――――カッ! まきちゃんが剣を振り下ろしました。剣から伸びた青白い光がその動きと呼応し、大きな刃となって、隕石に突き刺さりました。 ―――。数秒後。まきちゃんの、否。地球の前には、巨大な隕石の姿はありませんでした。真っ二つに成った隕石は軌道がそれ、地球から離れていったのです。 「やったよ、お父さん……。」 まきちゃんはその手に握られた剣に向かってつぶやきました。隕石とまともにぶつかった剣はぼろぼろで、所々が焦げ付いていました。まきちゃんのからだも、同じくらいボロボロで、右目は殆ど見えず、左腕の感覚はありませんでした。 それでも、彼女の顔には満面の笑みが浮かんでいました。そのはずです、彼女は、世界を救ったのですから。 「まきちゃんはやっぱり、救世主だったよ……。」 最後にそうつぶやき、彼女は地面に倒れました。冷たい朝の空気が、彼女の肌をなでました。 ----- 次の日の朝。まきちゃんは病院で目を覚ましました。 いろいろ大変な怪我でしたが、命に別状はなく、後遺症もないようでした。 「うんうん、やっぱりこういう物語はハッピーエンドじゃなくちゃね!」 マキちゃんはひまつぶしのために、備え付けのテレビを付けました。ビデオカードは結構高いのですが、気にしないでおきましょう。 テレビでは、昨日と同じ朝のニュースが流れていました。 『いえーい!早起きな君達にベリーグッドなニュースをお届けするぜ!昨日世界を滅ぼすはずだった隕石はどこかの誰かさんの手によって真っ二つに成って、何処かへ飛んでいっちまった!世界は救われた!喜べー!ちなみにこの一連の事件で犯罪率は150%上昇、刑務所はパンパンで裁判も追いつかないって話だが、そいつは些細な問題だ!兎に角世界は救われたんだ!これも若い君達が投票に行ったお陰に違いない、さあ、君もレッツ投票だ!』 世界は救われた。その言葉を聞いて、まきちゃんはとても誇らしい気分になりました。ですが、同時にこうも思うのです。 世界を救ったのは自分かもしれない。でも、これから世界を導いていくのは、一人だけの力ではなしえません。世界を導いていくには、皆の力が必要なのだと。 そんな力は自分にはないと、そう思うかもしれません。ですが、それは間違いです。私たちには、世界を変える力があります。 そう、投票権です。これを投じるだけで、世界は変る。貴方の一票で、世界を変えることができる。 皆、投票に行こう!それこそが救世主ではない私達が、世界にできる大きな献身なのです。 皆が投票に行けば、救世主がいなくても、世界を守ることはできる。 そうなれば、私も救世主ではなく、一人の女の子として、投票に行くことができる―――きっとそれこそが、世界を本当に救うということなのだ。 まきちゃんはそう心に強く思いながら、入院中でも投票できる、不在者投票のやりかたを検索するのでした。 彼女が中学生では投票できないことに気づくのは、もう少しだけ後のお話…… おわり。 ----

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