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港河 真為香


ステータス(レーティング:A)

  • キャラクター名:港河 真為香
  • よみ:みなとがわ まいか
  • 性別:女性
  • 体型:普通
  • 学年:高等部3年
  • 部活:合気道部
  • 委員:鉄道公安委員会
  • 武器:隻腕
  • 初期ステータス
    • 攻撃力:0 防御力:15 体力:11 精神:4 FS(魔人適性):0
    • 移動力:2
  • アビリティ
    • 『武芸』

特殊能力『彼我合一の境地』(発動率:100%)

パッシブ能力。
通常攻撃を行う際、96%の確率で攻撃力が「攻撃対象の攻撃力」の値だけ上昇する。

※武芸で二回通常攻撃となる場合、通常攻撃のたびに成功判定を行う
※攻撃力上昇効果は重ねがけできない

能力原理
(未記入)

キャラクター説明

(未記入)

エピソード

『この先DANGEROUS』『関係者以外立入禁止』『最悪死ぬ』少女は小学三年生なので、看板に書かれている文字の全てを読めたわけではなかった。だが、おおよその意味はわかったし、なにより赤と黄色を効果的に使った剣呑な配色が雄弁に主張を伝えてきていた。

少女は満足そうにうなずき、柵を昇り始めた。肩には灰色の毛布を、マントのように装備している。垂直シャフトのみで構成された柵は手がかりが少ないが、登り棒と比べれば簡単だった。やがて少女は柵の頂上まで辿り着き、忍者返し機構も器用にクリアすると、灰色のマントを翻して柵の内側に滑り降り、消えた。

港河真為香エピソード
『新幹線との一騎討ち』

新幹線は、我が国が誇る最強の交通機関である。イノシシは新幹線に勝てるだろうか。勝てない。ヒグマは新幹線に勝てるだろうか。勝てない。では、シカは? ……いかに霊獣であるシカと言えども新幹線には勝てないだろう。いや、ライオンだろうとゾウだろうと、新幹線に勝つことはできない。

地上最強の生物となる。それが、幼き港河真為香の抱いた、身の丈に余る大それた野心であった。新幹線を倒すことができれば、自分こそが地上最強である証明になると真為香は考え、命懸けで構内に侵入したのである。

軌道上に居る真為香に、運転手が気付いた時には手遅れだった。手遅れになるまで気付かなかったことを、彼の不注意として責めるのは酷であろう。猛スピードで走る新幹線の運転席から前方の障害物を発見するのは難しい。ましてや、その侵入者が保護色となる灰色の毛布を被って潜んでいたとなれば。

(きた……!)新幹線接近による微かな振動を感じ取った真為香は、被っていた毛布を取り払い立ち上がった。左足を前に、右足を後ろに広い間隔で開き自然体で腰を少し落とす。広げて前に突き出した左手は照準だ。新幹線の姿はまだ爪よりも小さい。車両の足元で火花が散っているのが見える。

勝負は一瞬。少しでもタイミングが狂えば真為香は新幹線に轢き殺され、愚かなチャレンジャー生物の一体として歴史に汚名を刻むことになろう。真為香は息を止め、急ブレーキの火花を散らしながら向かってくる巨大な鉄の塊に意識を集中した。

果たして生身の人間が、新幹線と一騎討ちして勝つことは可能なのか? ——必ずしも不可能ではない。

「ひかり」……それは、物理上最速の存在であり、地上最速の鉄道であった新幹線に与えられた名である。だが、この世界には「ひかり」よりも速い物がある。物理法則を越え、光速をも凌駕するもの。その名は「のぞみ」という。

強い意志の力、すなわち「のぞみ」は時として物理法則すらも超越する。常識を破壊し、己の認識を世界に押し付ける能力。それが『魔人』の能力である。強い想いがあれば、人は、新幹線にだって勝てる。

けたたましく鳴き叫ぶブレーキ音。しかし新幹線は急に止まれない。真為香との距離が急速に詰まってゆく。その距離百メー……、三メートル!「ぜえぃっ!」気迫の叫びと共に真為香は全身の力を載せた右拳を突き出す! タイミングは完璧! 新幹線の鼻先に真為香の小さな拳が炸裂する!

グシャアッ! 全身に響き渡る激突音と共に、真為香は新幹線が潰れる確かな手応えを感じた。ふわりと宙に浮くような高揚感……いや、違う。本当に飛んでいる! 新幹線との激突反動で弾き飛ばされたのだ。やっぱり新幹線には勝てなかったよ! 新幹線は真為香の拳では些かも怯まず急制動を続ける。

鮮血の尾を引きながら宙を舞う真為香は、平行に同じ方向へ飛んでいく物体に気付いた。回転しながら飛ぶ、その棒のような物体は、千切れ飛んだ真為香自身の右肘から先であった。そして真為香は、完膚なきまでに己を叩きのめした新幹線を振り返った。

流線型をした柔らかな顔立ちが、なんだかとっても愛おしく感じた。右腕と引き換えにして確かに感じ取ったその力強さ。そして優しさ。(新幹線って……素敵……!)それが、真為香の初恋であった。

そして真為香は、新幹線の高架を逸れ、その下に広がる大きな河の中にざぶんと飛び込んだ。



辛くも命を取り止めた真為香は、己の思い上がりを恥じた。人の力には限界がある。新幹線を真正面から叩き伏せようだなんて、なんと愚かだったのだろう!

相手が強ければ——相手の力を用いて倒すべし。真為香は手痛い敗北以来、合気道の鍛練を怠らなかった。「相手と気を合一させ、抗うのでなく流す。相手の動きと一つになり、その力を利用して相手を制する(*1)」 それが『合気道』。

真為香の修めた合気道の極意の名は『彼我合一の境地』。魔人ならぬ身でありながら、新幹線を討ち破りうる大いなる力である。しかし、真為香はもう新幹線と一騎討ちをしようなどとは思わない。合気道を極めたのは、新幹線と並び立つに相応しい自分になるため。そして、新幹線の心を理解するため。

新幹線を殴るための右腕は、新幹線に捧げた。残された左の隻腕は、新幹線と手を取り合って未来を築くためにある。

妃芽薗学園高等部三年、港河真為香18歳。彼女はまだ、知らない。現在の日本では、人間と新幹線との結婚はまだ認められていないことを。

(港河真為香プロローグ、おわり!)

*1 ダンゲロスSSC二回戦第四試合その1より引用

-Summon of Sedna-


エピローグ

+【港河真為香エピローグSS】
「……間もなく到着の電車は、のぞみ壱〇四号、金城ふ頭ゆきです」

構内に流れた放送を耳にした真為香は、反射的にカメラを左手に持って駆け、転落防止柵間際まで駆け寄って構えた。
700系のぞみ号が減速しながらホームへと入ってくる。
無心でシャッターを切る。切る。切る。
咄嗟のことで完璧な撮影態勢ではなかったが、もともと撮るのはそんなに得意なわけではない。

今回の撮影に、時々撮れる『奇跡の一枚』はあるだろうか。
期待しながら四角に囲まれた右向き三角のボタンを押し、カメラの写真データを開く真為香。
しかし、そこに700系新幹線の姿はなく、何も走っていない軌道と、誰もいないホームが写っているだけだった。

ここで、ようやく真為香は自分の置かれている状況の異様さに気付いた。
自分以外誰一人いない新幹線ホーム。
あり得ない『金城ふ頭ゆき』新幹線。

真為香は駅名標示を見た。
そこには『妃芽薗新校舎』と書かれている。

ゐくよちゃんに吹き飛ばされたはずの左腕は、何事もなかったかのように付いている。
右腕は、外出用の装飾義手だ。
服装はいつもの駅員風スーツに、蟹鉄エンブレムつき帽子。
三対の三つ編みに乱れはない。

「間もなく発車します。閉まるドアに御注意ください」

アナウンスに促され、ベンチに置いてあった自分のバッグを持ち慌てて新幹線に乗り込む。
車内にも真為香以外の乗客は誰もいない。

[御乗車ありがとうございます。当列車は、港河真為香さまの貸し切り専用列車となっております]

車両前方にLED掲示メッセージが流れたのを見て、怪訝な顔をしていた真為香の表情がぱっと明るくなった。
新幹線全車両貸し切り!
なんという夢のような響きだろう。
興奮で早鐘を打つ胸をなだめながら、真為香は富士山側の窓際に腰をおろした。
しかし、折り畳みテーブルの裏に書かれた案内を見てすぐに飛び上がった。

「八号車!! でっ伝説の!!」

思わず叫んだ真為香は、鞄をひっ掴んで八号車目指して駆け出した。
車両区切りの自動ドアが開くのを待つのすらもどかしく、最後尾の十六号車から八号車まで全速力で走る。
八号車に飛び込んだ真為香が見たのは、現在の新幹線ではあり得ない光景。

車両の両側に大きく開いた窓。
白いクロスがかけられ、整然と並ぶテーブルと赤い椅子。
2000年に廃止されたはずの食堂車!

心臓の鼓動はますます高鳴り、おかしくなってしまいそうだ。
真為香はメニューを開く。
通常の食堂車メニューとは異なる、真為香専用のオリジナルメニューであった。

「あの……アルコールを頼んでも、いいんですか?」

ぼんやりとした靄が服を着込んでいるような姿のウェイターに、真為香は躊躇いがちに訊いた。
靄の顔のあたりが、にっこりと笑ったような雰囲気になり、問いに答える。

「ええ。これからは、年齢を気にせずに好きなだけ飲んでいいんですよ」

「もうひとつ、質問です。私はある人の名前から取って壱九四号と名付けたはずなんですけど、どうして壱〇四号なんですか?」

「ああ、そのことですか」
靄のウェイターは、一層優しげな口調になる。
「この先に苦しみはありませんから、『九』は付いてないんですよ」

なるほど、と真為香は納得し、ミートソーススパゲッティと、大好きなカクテルを注文した。

空には雲ひとつなく、空気は澄み渡り、遠くの景色まではっきりと見える絶好のコンディション。
大好物のスクリュードライバーを飲みながら、富士山の姿を大きなパノラマウインドウから眺めるのは最高に気分が良かった。

(おしまい)

  
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