• イーリアスの系譜







―――――それは、かの少女達が生まれた時の話。




『イーリアス』


彼女は、幾度となく戦い続けてきた。

生まれた時から戦うことを宿命づけられ、
戦いの中でしか生き抜く術を知らなかった。
だれにも頼らず、自分は一人でも戦うのだと、そう理解していた。
彼女を作り出した人間に、そうさせられていた。

やがて、彼女はもう、そんな存在ではなくなった。

誰かを守りたいと願い、誰かといたいと想い、
誰かにすがることを、彼女は覚えた。

彼女は戦い以外を知った。心を知った。
幾度となく、人が心を動かす事を、『綺麗』だと感じていた。

それは、主に大切にされていた彼を守ると誓った時。
それは、かつてともに過ごした姉妹と出会ったとき。
それは、おかしな仮面をつけた彼に心を救われたとき。

それは確かに、彼女にとって幸せな思い出だった。

だが、揺れ動く心の中で、確固として動かぬものがある。

心の底にこびりつく、過去の出来事。
自身が生まれた理由を、自身が戦い続けた日々を。
彼女はずっと、忘れることはできなかった。

幸せだと感じるたびに。
彼女の心が揺れ動く度に。

フェルノート=イーリアスは、姉妹を殺めた過去を思い返す。





01話

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