09.12 > 23 クリスマスプレゼントSS

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                                                     #center(){ 届くかどうか分からないけど、でも、やる事が大事。 届くかもしれないし、届かなくても自分で届けると信じる事が大事。 だって、いつも「信じる心」が試されてるから。 } #hr(width=50%) 去年の冬には送れなかった。 その事を少しだけ後悔しながら店の前まで歩いてきた。 取材のついでにプレゼントにいいお店をちょこっと調べて、この店に決めた。 公私混同とは思うけど、まぁ、これくらいは許してくれると・・・思う。 前のクリスマスの時は、伏見藩国で国の中で買ったけど、広い世界に出て色々あるなぁとちょっと思った。 この店はほんの少し値が張るけど高価すぎず、シンプルで使いやすいものが多いと評判だった。 安くて良いものもいいけど、クリスマスプレゼントくらいはちょっと高くて良いものもいいかなという感じでこの店に決めた。 ひとまず店の中に入ると、目の前に大きな時計に目が奪われた。 童謡の大きな古時計に出てくるような時計がしっかりと時を刻んでいる。 ショーケースのようなものはなく、木製の棚にそれぞれの品を陳列していて、自由に手に取って見れる形式らしい。 客は今、自分ひとりしか居ないようで、主人もカウンターでなにやら新しい商品のデザインをしてるようだ。 この店の人気の理由は、実は金額だけでなくこの主人が直接デザインした凝った意匠にもあった。 個人工房と専売契約しているらしく、その工房から直接ここへ商品を出しているらしい。 ほぼ一点ものでプレゼントするにはうってつけ、という風に教えてもらった。 お店の中をとりあえず一周して、商品をざっと見る。 棚が商品の金額によって分けられているため、予算内で収まるものが見つけやすかった。 とりあえず、何がいいだろう。 ミサンガは送ったから手首につけるものはもういいかな・・・。 かといって、ペンダントとかだとなくしやすそうだし。 いつもつけてもらいたいからなぁ・・・。 うーんとうなりながら棚を見つめていると、ひょこっと雷鼠と風鼠がポケットから顔を出した。 二柱はちゅーと言いながらポケットから出てきて、風鼠はぴょんと飛んで、雷鼠は服を伝って自分の頭の上に収まった。 一緒に考えてあげるとのことで、二柱を頭に乗せながら棚を見て回ったけど、その姿を他の人に見られなくて良かったとちょっと思った。 しかし、二柱の助力も甲斐なく陳列商品にはあんまり良さそうなものはなかった。 流石に良いのは、既にクリスマスプレゼント用に買われているようだ。 店の主人に聞こうかと思ったけど、流石に集中している中に声をかけるのは気が引けて、店から出ようとしたとき。 二柱が頭の上からぴょんと飛び降りて、そのまま主人のいるカウンターへと向かってしまった。 慌てて追いかけたがスピードが速く、そのままカウンターの上まで登ってしまった。 「ん?」 「あ、すみません。」 二柱が一生懸命にスケッチブックを覗いているのに気づいて、反射的に謝ってしまった。 「すみません。自分の鼠で。お邪魔してすみません。」 「いえいえ。大丈夫ですよ。気に入ったものはありましたか?」 「一通り見せてもらったのですが、中々難しくて。」 「プレゼント用?」 「はい、クリスマスプレゼントに。」 「・・・彼女宛かな?」 「え、・・・ああ、ハイ・・・。」 何となく気恥ずかしくなって尻すぼみな返事になってしまった・・。 店の主人は壮年の男性で、そんな様子の自分を見みるとそうかーと破顔している。 何はともあれ、声をかけることが出来たんだから、相談でもしてみようと話しかけた。 自分のイメージを説明していい商品がないかどうか尋ねると、やはり良さそうなのは売れてしまっているとのことだった。 「もう少し早ければねぇ。」 「そうですかぁ・・。」 その時、カウンターの上の二柱がちゅーと鳴いた。 主人にはただの鳴き声に聞こえただろうが、この絵のがいい!とのことらしい。 主人が二柱の声で自分のスケッチブックを覗くとヒゲの生えた顎に手をかけて何やら考えている。 雷鼠と風鼠を交互に見ると、今度はスケッチブック手にとってうーんとうなる。 スケッチブックには色のついていない二本の棒のようなものが×の字で描かれていた。 それが具体的に何かと分からなかったのは、色がついていないせいだった。 しばらく考えていた主人は、色鉛筆を取り出すとおもむろにスケッチブックに色を付け始めた。 そのまま帰ることも出来ないのでしばらくそのままカウンターの前に立ち様子を伺う。 しばらく細かく器用に鉛筆を取替え動かししているとその動きが止まった。 「よし。これどう?」 そう言うとスケッチブックをカウンターの上に置いた。 覗き込むようにして全員でスケッチブックを見る。 そこには2色の綺麗な色のヘアピンような髪留めが描かれていた。 黄金でもない淡く綺麗な黄色と透き通って見えそうな綺麗な青色で、まるで雷鼠と風鼠の色を映したようだった。 すごくよかった。ほとんど一目ぼれ状態。 「いいです!これ、いいです!」 「そうかー。じゃあ、これにする?」 「え?」 一瞬言っている意味が分からなかった。 でも、すぐに言葉の意味を頭が理解した。 「いいんですか・・・?」 「いいよいいよ。この二匹のおかげでこの色思いついたから。」 そういうと人差し指で雷鼠と風鼠の頭をぐりぐりなでる。 僥倖とは、まさしくこのことだ。 「予約って形かな。完成したら知らせたいけど連絡先は?」 「あー・・えっと、すみません。実は旅の途中で寄ってて。2、3日ならここの宿に泊まってます。」 「じゃあ明日の朝一に工房に持ってってどれくらいで仕上がるか相談してくるから、明日中には連絡入れるね。」 「えっ、いいんですか?・・・でも、そこまでしてもらったら悪いです。」 「いいよいいよ。気にしなくても。じゃあそういうことで。」 「・・・はい。ありがとうござますッ。」 雷鼠と風鼠もそろってありがとうと鳴いた。 /*/ その翌日、連絡をもらって2週間ほどで出来るとのことだった。 工房の職人さんもやる気を出したらしく、必ず仕上げると断言したそうだった。 そして、2週間経った後、同じ店の前にやってきた。 「こんにちはー。」 「あ、いらっしゃい。出来てるよ。」 カウンターまで近づくと主人が奥の棚から箱を取り出してきた。 箱を受け取って開けてみる。 あの時のスケッチブックと同じ色のものがそこにはあった。 主人の方を見るといい笑顔で返してきた。 一本一本外して単独で使うこともできるし、×の字にして一つの髪留めとしても使えるとのことだった。 単色なのに色が映えている。しかも割としっかりと出来ている上にすごく軽い。 聞いていた値段以上のものなのは間違いない。 「すごくいいですっ。・・・でも。。。」 「お金はあれでいいよ。原材料費も意匠代も変わらないからね。」 「でも・・・」 「工房のオヤジが張り切っちゃったせいだから。」 言いたいことが分かっていたのか、見透かしたように説得してくる。正直、勝てる気がしない・・・。 欲しいという気持ちと、でも悪いという気持ちの中で結局欲しい気持ちに負け、向こうの言い値を受け入れる形になった。 「あ、そう言えば、あの二匹は?」 「今、ポケットの中で寝てます。」 「そうか。じゃあ、これを二匹に渡しておいて。」 そう言って、もう2つ箱を取り出してきた。 中には小さな筒がそれぞれ収まっていた。 筒の真ん中には丸い小さな玉が嵌っていて、それが髪留めと一緒のものだという事がすぐに分かった。 「これは?」 「髪留めの報酬ってところ。材料が余ったから作ったんだとよ。」 「いや、でもこれまでもらう訳には。」 「じゃあ、あれだ。二匹にクリスマスプレゼントってことで。」 「でも。。」 「人の好意は受け取る受け取る。それくらいやった所でこの店潰れないから。」 人のいい笑顔に気圧されて、そのまま受け取ってしまった。 しっぽ飾りで黄色は雷鼠、青は風鼠にへとのことだった。 二匹にはプレゼントとして送っておいてということだったので、箱から出さずにそのまま髪留めの箱と一緒にしまった。 主人に笑顔で見送られてそのまま店を後にした。 見送りの際にいい仕事をありがとうとまで言われてしまった。 自分も人も信じられなかった去年が嘘みたいだった。 動くことで変わる事がある。 もう一度、自分の信じる心を、信じよう ----
         #center(){ 届くかどうか分からないけど、でも、やる事が大事。 届くかもしれないし、届かなくても自分で届けると信じる事が大事。 だって、いつも「信じる心」が試されてるから。 } #hr(width=50%) 去年の冬には送れなかった。 その事を少しだけ後悔しながら店の前まで歩いてきた。 取材のついでにプレゼントにいいお店をちょこっと調べて、この店に決めた。 公私混同とは思うけど、まぁ、これくらいは許してくれると・・・思う。 前のクリスマスの時は、伏見藩国で国の中で買ったけど、広い世界に出て色々あるなぁとちょっと思った。 この店はほんの少し値が張るけど高価すぎず、シンプルで使いやすいものが多いと評判だった。 安くて良いものもいいけど、クリスマスプレゼントくらいはちょっと高くて良いものもいいかなという感じでこの店に決めた。 ひとまず店の中に入ると、目の前に大きな時計に目が奪われた。 童謡の大きな古時計に出てくるような時計がしっかりと時を刻んでいる。 ショーケースのようなものはなく、木製の棚にそれぞれの品を陳列していて、自由に手に取って見れる形式らしい。 客は今、自分ひとりしか居ないようで、主人もカウンターでなにやら新しい商品のデザインをしてるようだ。 この店の人気の理由は、実は金額だけでなくこの主人が直接デザインした凝った意匠にもあった。 個人工房と専売契約しているらしく、その工房から直接ここへ商品を出しているらしい。 ほぼ一点ものでプレゼントするにはうってつけ、という風に教えてもらった。 お店の中をとりあえず一周して、商品をざっと見る。 棚が商品の金額によって分けられているため、予算内で収まるものが見つけやすかった。 とりあえず、何がいいだろう。 ミサンガは送ったから手首につけるものはもういいかな・・・。 かといって、ペンダントとかだとなくしやすそうだし。 いつもつけてもらいたいからなぁ・・・。 うーんとうなりながら棚を見つめていると、ひょこっと雷鼠と風鼠がポケットから顔を出した。 二柱はちゅーと言いながらポケットから出てきて、風鼠はぴょんと飛んで、雷鼠は服を伝って自分の頭の上に収まった。 一緒に考えてあげるとのことで、二柱を頭に乗せながら棚を見て回ったけど、その姿を他の人に見られなくて良かったとちょっと思った。 しかし、二柱の助力も甲斐なく陳列商品にはあんまり良さそうなものはなかった。 流石に良いのは、既にクリスマスプレゼント用に買われているようだ。 店の主人に聞こうかと思ったけど、流石に集中している中に声をかけるのは気が引けて、店から出ようとしたとき。 二柱が頭の上からぴょんと飛び降りて、そのまま主人のいるカウンターへと向かってしまった。 慌てて追いかけたがスピードが速く、そのままカウンターの上まで登ってしまった。 「ん?」 「あ、すみません。」 二柱が一生懸命にスケッチブックを覗いているのに気づいて、反射的に謝ってしまった。 「すみません。自分の鼠で。お邪魔してすみません。」 「いえいえ。大丈夫ですよ。気に入ったものはありましたか?」 「一通り見せてもらったのですが、中々難しくて。」 「プレゼント用?」 「はい、クリスマスプレゼントに。」 「・・・彼女宛かな?」 「え、・・・ああ、ハイ・・・。」 何となく気恥ずかしくなって尻すぼみな返事になってしまった・・。 店の主人は壮年の男性で、そんな様子の自分を見みるとそうかーと破顔している。 何はともあれ、声をかけることが出来たんだから、相談でもしてみようと話しかけた。 自分のイメージを説明していい商品がないかどうか尋ねると、やはり良さそうなのは売れてしまっているとのことだった。 「もう少し早ければねぇ。」 「そうですかぁ・・。」 その時、カウンターの上の二柱がちゅーと鳴いた。 主人にはただの鳴き声に聞こえただろうが、この絵のがいい!とのことらしい。 主人が二柱の声で自分のスケッチブックを覗くとヒゲの生えた顎に手をかけて何やら考えている。 雷鼠と風鼠を交互に見ると、今度はスケッチブック手にとってうーんとうなる。 スケッチブックには色のついていない二本の棒のようなものが×の字で描かれていた。 それが具体的に何かと分からなかったのは、色がついていないせいだった。 しばらく考えていた主人は、色鉛筆を取り出すとおもむろにスケッチブックに色を付け始めた。 そのまま帰ることも出来ないのでしばらくそのままカウンターの前に立ち様子を伺う。 しばらく細かく器用に鉛筆を取替え動かししているとその動きが止まった。 「よし。これどう?」 そう言うとスケッチブックをカウンターの上に置いた。 覗き込むようにして全員でスケッチブックを見る。 そこには2色の綺麗な色のヘアピンような髪留めが描かれていた。 黄金でもない淡く綺麗な黄色と透き通って見えそうな綺麗な青色で、まるで雷鼠と風鼠の色を映したようだった。 すごくよかった。ほとんど一目ぼれ状態。 「いいです!これ、いいです!」 「そうかー。じゃあ、これにする?」 「え?」 一瞬言っている意味が分からなかった。 でも、すぐに言葉の意味を頭が理解した。 「いいんですか・・・?」 「いいよいいよ。この二匹のおかげでこの色思いついたから。」 そういうと人差し指で雷鼠と風鼠の頭をぐりぐりなでる。 僥倖とは、まさしくこのことだ。 「予約って形かな。完成したら知らせたいけど連絡先は?」 「あー・・えっと、すみません。実は旅の途中で寄ってて。2、3日ならここの宿に泊まってます。」 「じゃあ明日の朝一に工房に持ってってどれくらいで仕上がるか相談してくるから、明日中には連絡入れるね。」 「えっ、いいんですか?・・・でも、そこまでしてもらったら悪いです。」 「いいよいいよ。気にしなくても。じゃあそういうことで。」 「・・・はい。ありがとうござますッ。」 雷鼠と風鼠もそろってありがとうと鳴いた。 /*/ その翌日、連絡をもらって2週間ほどで出来るとのことだった。 工房の職人さんもやる気を出したらしく、必ず仕上げると断言したそうだった。 そして、2週間経った後、同じ店の前にやってきた。 「こんにちはー。」 「あ、いらっしゃい。出来てるよ。」 カウンターまで近づくと主人が奥の棚から箱を取り出してきた。 箱を受け取って開けてみる。 あの時のスケッチブックと同じ色のものがそこにはあった。 主人の方を見るといい笑顔で返してきた。 一本一本外して単独で使うこともできるし、×の字にして一つの髪留めとしても使えるとのことだった。 単色なのに色が映えている。しかも割としっかりと出来ている上にすごく軽い。 聞いていた値段以上のものなのは間違いない。 「すごくいいですっ。・・・でも。。。」 「お金はあれでいいよ。原材料費も意匠代も変わらないからね。」 「でも・・・」 「工房のオヤジが張り切っちゃったせいだから。」 言いたいことが分かっていたのか、見透かしたように説得してくる。正直、勝てる気がしない・・・。 欲しいという気持ちと、でも悪いという気持ちの中で結局欲しい気持ちに負け、向こうの言い値を受け入れる形になった。 「あ、そう言えば、あの二匹は?」 「今、ポケットの中で寝てます。」 「そうか。じゃあ、これを二匹に渡しておいて。」 そう言って、もう2つ箱を取り出してきた。 中には小さな筒がそれぞれ収まっていた。 筒の真ん中には丸い小さな玉が嵌っていて、それが髪留めと一緒のものだという事がすぐに分かった。 「これは?」 「髪留めの報酬ってところ。材料が余ったから作ったんだとよ。」 「いや、でもこれまでもらう訳には。」 「じゃあ、あれだ。二匹にクリスマスプレゼントってことで。」 「でも。。」 「人の好意は受け取る受け取る。それくらいやった所でこの店潰れないから。」 人のいい笑顔に気圧されて、そのまま受け取ってしまった。 しっぽ飾りで黄色は雷鼠、青は風鼠にへとのことだった。 二匹にはプレゼントとして送っておいてということだったので、箱から出さずにそのまま髪留めの箱と一緒にしまった。 主人に笑顔で見送られてそのまま店を後にした。 見送りの際にいい仕事をありがとうとまで言われてしまった。 自分も人も信じられなかった去年が嘘みたいだった。 動くことで変わる事がある。 もう一度、自分の信じる心を、信じよう ----

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