歴史を変えてはならぬ。

歯車の回転が向きを変えてしまえば、全てが狂うと同じだ。
過去を一つ変えてしまえば、元あるべき未来の全てが崩落し、なかったことになる。
新たな未来が生まれ、本来の未来は捨てられる。
その未来でしか存在しない人間は消え、新たな未来でしか存在しない人間が現れる。
二度と未来は戻せない。世界の全てに影響を与える。

だからこそ人は言う。
過去を、歴史をなかったことにしてはならぬのだと。

それでも変えようとする存在は必ず現れる。
過去に未練がない者もいれば、過去に後悔しかない者もいる。

過去ではなく在り方そのものを変えようとする者もいる。
全てを始まりを根絶やしにしようとする者もいる。


未来と過去を巡る争いは絶える事はない―――………



◆ ◇ ◆



れきしをかえてはなぜいけないの?



歴史を変えるとはいえ、前の主人を助けるだけなのだ。それの何が罪なのだろう。
刀剣男士の今剣は疑問を抱いた。
仲間は皆口を揃えて「歴史を変えてはいけない」と言うが
実際に歴史を変えた事もないのに、何故「いけない」のだと断言できるのか?
それとも、実際に歴史が変わったからこそ歴史を変える敵と戦をしなければならないのか?

今剣以外にもその事情を知る刀剣男士はいない。
ただ何となく「歴史を変えたら駄目だ」と言うばかりで、歴史が修正されたことによる具体的な被害は不明。
恐らく、刀剣男士には教えてはならないものかもしれない。

ただ、納得がしたかった。

本当に歴史を変える事により未来は崩壊してしまうのかどうかを。
実際に歴史を変える事により過去は崩壊してしまうのかどうかを。



◆ ◇ ◆



気付いた時には、今剣はここにいた。
仲間も、主である審神者もいない、右も左も分からない土地。


「……かまくら…?」


何とか読める言語で土地の名を知る。
今剣の知らぬ日本。つまり――これが未来の世界なのだ。
昔の面影があまりにも少ない光景に、今剣は茫然としていた。
そして、聖杯戦争。
歴史修正をする敵とも、それすら仇なす敵とも無縁な戦争。

歴史を守る刀剣男士が現在(いま)を生きる人間を……殺せと?

暇は与えられない。
呆けている間に美少年のサーヴァントが今剣の前に現れたのである。


「おや、あなたが私の主(マスター)でしょうか」

「ぼくは――今剣。よしつねこうのまもりがたなですよ」


◆ ◇ ◆



「きっと、よしつねこうをたすけようとしたから……ぼくは、あるじさまにすてられたんです」


現れたサーヴァント、アーチャーに対して今剣は包み隠さず正直に話した。
アーチャーは自棄に強張った顔を浮かべていたものの、次第に普通の――初対面と同じ穏やかな顔をする。
今剣は思う。
歴史を変えようとしたからこそ、このような戦争に放り捨てられたのだと。
そのような意思は、歴史修正を目論む敵に刃を向ける兵士が持つべきではない。
余計な感情を持つ刀剣男士は破棄される。
破棄ついでの出兵なんだと、今剣は考えていた。


「これは正当な聖杯戦争ですから、ご心配には及びません」

「じゃあ、なんでもねがいごとがかなうのは、ほんとうなんですか!?」

「勿論」

「よしつねこうをたすけることも、ですか?」

「……うん」

「……あーちゃーは、れきしをかえるのはいけないとおもいますか?」


希望のある返答を期待した訳ではないが、英霊である彼に問いかけるべきだと今剣は思っただけ。
アーチャーは沈黙をしたものの、返事をした。


「彼がもし生きていたなら――そのくらいは想像できるはず。それを願うかはあなた次第です」


今剣にとっての主は審神者。
審神者の元へ帰還するのが道理。
聖杯戦争で勝利を手にすれば、源義経を救済できる。
小さな主は決断することができなかった。



◆ ◇ ◆



――ああ言ってしまったけど、どうするべきかな


アーチャーは今剣のいない場所で悩む。


――違う。『あの人』のことじゃない。きっと『別人』だ。


アーチャーは今剣が自分の正体を把握しているかと疑念を抱いた。
だが、嘘をついている様子はない。

アーチャーは自分の正体を今剣は知っているはずだと更なる疑念を抱いた。
だけども、今剣はアーチャーを知らない。


アーチャーが那須与一であることを、知らない。


反応がなかったということは『アーチャーの知る源義経』ではない『別の源義経』に仕えた短刀なのだろう。
もしかしたら、その『源義経』は正しい人で。
だからこそ、助けたいと今剣は願っているのだろう。

しかし、アーチャーにとって源義経はただの化物だった。

二度と顔も会わせた無くない。関わりたくない。
聖杯に彼の記憶を消すのを願ってもいいくらいの、どうしようもない存在なのだ。
なのに、舞台が鎌倉で、主が義経の刀とは何たる皮肉だろうか。


――所詮は刀。主に忠実なんだろう


刀とはいえ義経のもの。
義経に仕えたとはいえ、刀。
所詮は刀だが、されど刀だ。

たとえアーチャーの知る『源義経』でなくとも、やはり『源義経』。
されど『源義経』だ。


――あの様子だと、どうかな。まだ分からないけど……最悪は……


殺す決断には至っていない。
殺す意思は残っている。
事実としてアーチャーはまだ真名を名乗っていないのだ。



源義経を巡り悩める主従は聖杯戦争を続ける。



【クラス】アーチャー
【真名】那須与一@ドリフターズ
【属性】秩序・中庸

【ステータス】
筋力:D 耐久:D 敏捷:C 魔力:D 幸運:C 宝具:C


【クラススキル】
対魔力:D 
 一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:D
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 マスターを失ってから半日間現界可能。

【保有スキル】
心眼(偽):C
 直感・第六感による危険回避。
 虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。
 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。

千里眼:B
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
 ランクが高くなると、透視、未来視さえ可能になる。

道具作成:D
 魔力を帯びた器具を作成可能。
 アーチャーは弓と矢に特化しており、それ以外の道具は作成できない。

【宝具】
『かくして扇は射抜かれた』
ランク:C 種別:対人(自身)レンジ:- 最大補足:-
 アーチャーの戦況、状態が悪化した場合のみ発動する。
 発動した際、全パラメーターが1ランク上がり、攻撃の威力が上昇。
 また、攻撃対象が一つであれば必中となる。回避する為には幸運判定に成功しなければならない。

【weapon】
弓矢

【人物背景】
那須家が生んだゴルゴ13
源氏バンザイ

【サーヴァントとしての願い】
一応マスターには従う。だが……



【マスター】
今剣@刀剣乱舞

【マスターとしての願い】
???

【weapon】
短刀・今剣…これが破壊されると今剣自身も消滅する

【能力・技能】
刀剣男士。夜での戦闘では遠距離攻撃を回避しやすい。
手傷の治療は資源を使う。一般的な人間よりかは丈夫かもしれない。

【人物背景】
源義経の守り刀

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